JPH10314806A - アルミニウムの冷間圧延方法 - Google Patents

アルミニウムの冷間圧延方法

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JPH10314806A
JPH10314806A JP14462697A JP14462697A JPH10314806A JP H10314806 A JPH10314806 A JP H10314806A JP 14462697 A JP14462697 A JP 14462697A JP 14462697 A JP14462697 A JP 14462697A JP H10314806 A JPH10314806 A JP H10314806A
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oil
water
emulsion
separated
rolling
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JP14462697A
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English (en)
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Kazuhiro Hosomi
和弘 細見
Hidetoshi Muramatsu
秀敏 村松
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速・高圧下圧延を連続かつ安定して行うこ
とができるアルミニウムの冷間圧延方法を提供する。 【解決手段】 乳化剤を含まず、自己乳化性を有する圧
延油と水とを混合することによって形成されるエマルシ
ョンを潤滑剤として使用するアルミニウムの冷間圧延を
行うにあたって、エマルションの平均粒径を20〜90
μmに設定した上で、ラメラ構造の静置分離槽1を通す
ことにより当該エマルションの油水分離を行う。そし
て、この油水分離された分離油および分離水を混合して
再びエマルションを製造し、それを再度冷間圧延に供す
ることによってエマルションの循環再使用が実現された
システムで冷間圧延を行うようにする。これにより、ア
ルミニウムの高速・高圧下圧延を連続かつ安定して行う
ことができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム(ア
ルミニウム合金を含む)の冷間圧延方法、特に、圧延潤
滑性に優れ、圧延後の油水分離性がよく、かつ、その分
離設備が安価で簡易であると共に、安定して循環使用で
きる水性エマルション系潤滑油を用いるアルミニウムの
冷間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルミニウムの冷間圧延では、
良好な板面を得、圧延後の焼鈍工程において焼鈍残留物
(オイルステイン)の発生を防止するために、2〜5m
2 /sの低粘度鉱油が潤滑剤として用いられている。
冷間圧延で低粘度鉱油を用いると、光沢性の良いアルミ
ニウム板材を得ることができばかりでなく、コスト面で
も有利になる。しかし、高速・高圧下圧延では、圧延板
材や圧延ロールに対する冷却能が劣るため、圧延板材や
圧延ロールの温度上昇が著しく、形状制御が困難となっ
たり、火災発生の危険性も生じたりするという問題があ
った。
【0003】このような問題を解決するために、アルミ
ニウム用水溶性冷間圧延油が提案されており、当該アル
ミニウム用水溶性冷間圧延油を潤滑剤として用いること
によって、圧延工程において圧延板材や圧延ロールの温
度上昇を充分な程度に抑えることができ、上述したよう
な問題を解決することができる。
【0004】しかし、これまでの水溶性冷間圧延油は、
乳化剤を用いて形成された水中油滴型エマルションであ
り、この乳化剤が前述のオイルステインの原因になると
いう問題があった。この問題を解決するため、本発明者
は、乳化剤を用いない水溶性冷間圧延油とその冷間圧延
方法を提案している(特開平5−65492号公報、特
開平6−108083号公報、特開平6−170409
号公報、特開平6−179888号公報)。
【0005】上記水溶性冷間圧延油は、特定のα一オレ
フィンあるいはポリプロピレンなどを基油とし、アルコ
キシアルキルエステルなどを油性添加剤としたものであ
る。この圧延油は、油(自己乳化性油)と水とを混合す
る混合機で高圧水中に圧送され、そこでエマルションを
形成し、圧延に供される。また、圧延後のエマルション
は、油水分離され、圧延油と水はそれぞれ濾過され、再
びエマルションを形成し、循環使用されることになる。
【0006】ここで、圧延後のエマルションを油水分離
する方法としては、遠心分離機による遠心分離や、固定
式繊維膜分離機による静置分離が使用されるが、近年の
板圧延量の急速な延びに起因した高速・高圧下圧延など
による生産性向上及びコスト低減の要求に対応するた
め、油水分離効率に優れ、かつ、安価で管理の容易な油
水分離法の開発が強く望まれている。
【0007】遠心分離については、精度よく油と水に分
離でき、設置面積も狭くてよいという利点はあるもの
の、装置が高価であるがゆえに上記要請に充分に応える
ものとはいえない。一方、静置式油水分離については、
設備費は安価であるものの、分離効率が悪く、設置面積
を広く取る必要があるという問題がある。このように、
遠心分離、静置式油水分離のいずれも一長一短であり、
上記要請を満足するものとは言い難い。
【0008】これに対し、固定式繊維膜(ポリエステル
系)分離は遠心分離及び静置式油水分離の両方の利点を
同時に備えており、設備費が比較的安価であることに加
え、分離効率にも優れている。ところが、固定式繊維膜
(ポリエステル系)分離は、エマルション中のアルミニ
ウム摩耗粉によって、目詰まりし易く、分離効率がすぐ
に低下するという問題があった。その対策として、分離
工程の前にカートリッジフィルターを介してアルミニウ
ム摩耗粉を除去することが考えられるが、ランニングコ
ストや管理工数が増える他、それによって分離効率が変
動してしまうなどの問題もあり、従来から知られている
油水分離法を用いたのでは、高速・高圧下圧延などによ
る生産性向上及びコスト低減の要求に充分に対応するこ
とはできないのが現状である。これを解決するため、本
発明者は、連続移動式繊維膜によって油水分離効率を改
善できることを提案している(特願平8-2981748 号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、圧延で使用
された後のエマルションを油水分離する場合における従
来の上記問題点を解消するためになされたものであり、
その目的は、乳化剤を用いない水溶性冷間圧延油を使用
して圧延後、圧延油を油水分離をする際に、油水分離効
率が良く、かつ、経時的に分離が安定で、管理工数・設
置面積・設備費が縮小された油水分離法を開発し、これ
によって安定したエマルションを循環再使用によって供
給できるようにし、最終的には、高速・高圧下で圧延を
連続かつ安定して行うことができるアルミニウムの冷間
圧延方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明は、乳化剤を含まず、自己乳
化性を有する圧延油と水とを混合することによって形成
されるエマルションを潤滑剤として使用するアルミニウ
ムの冷間圧延方法において、平均粒径が20〜90μm
に設定されたエマルションを冷間圧延工程に供すると共
に、冷間圧延後のエマルションについてはラメラ構造の
静置分離槽を用いて油水分離し、該ラメラ構造の静置分
離槽により分離された分離水と分離油とでエマルション
を形成し、このエマルションを再び冷間圧延工程に供す
るアルミニウムの冷間圧延方法を提供するものである。
【0011】また、本発明に係るアルミニウムの冷間圧
延方法においては、前記ラメラ構造の静置分離槽が、該
静置分離槽の底面に対して5〜60度の角度を持った複
数枚の板材を、その板間隔が50〜500mmとなるよ
うに設置したものであることを特徴とするものであり、
また、前記ラメラ構造の静置分離槽で分離した分離油に
ついて、更に遠心分離で油水分離することを特徴とす
る。更に、また、前記ラメラ構造の静置分離槽で油水分
離し、又は前記遠心分離で油水分離し、分離油中の水分
を1000ppm以下とし、それらの分離油および分離
水を用いてエマルションを形成することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、乳化剤を含ま
ず、自己乳化性を有する圧延油と水とを混合することに
よって形成されるエマルションの平均粒径としては、2
0〜90μmの範囲である。エマルションの平均粒径が
20μm未満では、油水分離性も圧延潤滑性も悪くなる
一方で、90μmを越えると、ロール表面と圧延される
アルミニウム材表面との界面に供給されるエマルション
の量が不均一となり、部分的にオイルピットや焼き付き
不良が発生する場合がある。
【0013】また、本発明においては、上記乳化剤を含
まない平均粒径が20〜90μmのエマルションを圧延
に供した後、図1に示すようなシステムで当該エマルシ
ョンを再生して循環使用する。この場合、図1に示すシ
ステムで使用される油水分離装置として、ラメラ構造の
静置分離槽を用い、さらに、ラメラ構造の静置分離槽で
分離が不十分な場合は、遠心分離装置を用いることが好
ましい。
【0014】上記エマルションの形成方法としては、特
に制限されないが、自己乳化性を有する圧延油は、単純
に水と混合するだけではエマルションとはならないこと
から、混合後に強攪拌等をする必要がある。強攪拌はホ
モミキサーなどで行うことができるが、特開平6−17
0409号公報に記載されている図2に示すような混合
機を用い、ノズル直前で水に油を圧入するような形態で
混合することが、均一なエマルションを形成し、かつ、
これを供給できることからも好ましい。
【0015】図1に示すシステムによれば、圧延に供さ
れたエマルションは、ラメラ構造の静置分離槽1により
油水分離される。そして、分離された分離油と分離水と
は、それぞれ濾過器2で精密濾過された後、混合機3で
混合されることによって、乳化剤を含まない平均粒径が
20〜90μmのエマルションが再生される。再生され
たエマルションは、再び圧延に供され、循環使用される
ことになる。
【0016】上記ラメラ構造の静置分離槽の例示を示す
概略図を図3に示す。図3から明らかなように、該ラメ
ラ構造の静置分離槽1は、エマルション槽12、分離槽
14及び分離油槽13から構成される。すなわち、圧延
に供された使用済みエマルションはエマルション槽12
に導かれ、下部に形成された分離層入口121を通して
分離槽14に入る。ここで、ラメラ構造の板材11、1
1・・により分離された分離油は分離層14の上面から
浮上がり、ここから溢れ出て分離油槽13から取り出さ
れる。また、分離槽14の下方からは分離水が得られ
る。分離槽14には、分離槽14の底面に対して5〜6
0度の角度を持った複数枚の板材11、11・・を、そ
の板間隔が50〜500mmとなるように設置されてい
る。板間隔が50mm未満となると、理論的には油水分
離効率は向上するが、圧延で発生したアルミニウム摩耗
粉等のスラッジが板面に多く蓄積し、これにより分離効
率が低下することと、実際のメンテナンスが困難とな
る。また、板間隔が500mmを越えると、油水分離効
率は急激に低下し、板材を設置した効果が殆ど現れなく
なる。また、板面積としては、使用するタンクの構造等
の点から、特に制限されないが、広いほど好ましく、タ
ンク面積をS1、板の投影面積をS2とすると、その面
積比(S2×100/S1)が90%以上とすることが
特に好ましい。
【0017】また、複数枚の板材11、11・・を静置
分離槽の底面に対して5〜60度の角度で設置すること
としたのは、次の理由による。すなわち、通常、エマル
ションの油滴は、スト−クスの法則に従って浮上し、そ
の過程で凝集し、油滴が粗大化して浮上速度が増し、油
が水面(エマルション面)に分離浮上する。このため、
タンクの深さが深いほど油滴の浮上時間は長くなること
から、タンク深さは浅いほうが好ましい。しかしなが
ら、実用的には、設置面積は制限されるため、ある程度
深くせざるを得ず、一般的には、タンク深さは1000
mm以上となる。そこで、タンク底面に対して、平行ま
たは角度を付けて板材を設置すると、油滴の浮上距離、
すなわち、浮上時間は短くなる。例えば、1000mm
深さのタンクの中央部に、板材を1枚設置すると、中央
部においては、底面から板面の距離は500mm、板面
から水面まで500mmとなり、浮上速度は、板を設置
しない場合の1/2となる。これを複数枚とし、上記範
囲の角度で設置すると、板間にある油滴は浮上し、板面
に付着して凝集し、その凝集した油は板面に沿って、上
方へ移動し非常に大きな油滴(数10mm径以上)とな
って、水面(エマルション面)に急速に浮上する。これ
を、フロート式回収機等によって回収することにより、
油と水とを短時間のうちに完全に分離することができ
る。
【0018】また、上記ラメラ構造の静置分離層で分離
された分離油中の水分量が、1000ppm以上の場
合、分離油を図では省略する遠心分離装置で油水分離
し、分離油中の水分量を1000ppm以下にすること
が好ましい。分離油中の水分量が1000ppmを越え
ると、その後の濾過工程で使用する活性白土が水分を吸
着し、直ちに目詰まりを引き起こす場合がある。上記遠
心分離装置としては、特に制限されないが、小型遠心分
離装置が挙げられる。また、上記濾過は、精密濾過がで
きるものが好ましく、珪藻白土濾過を用いることが、分
離油中に存在する数μm 径のアルミニウム摩耗粉を排除
するためにも好ましい。また、上記ラメラ構造の静置分
離槽で分離された分離水中の油分量を0.1wt%以下と
することが好ましい。
【0019】次に、上記ラメラ構造の静置分離槽で分離
された分離水と分離油、または該分離油を更に遠心分離
装置で分離された分離水及び分離油は、これらを用いて
エマルションを形成し、このエマルションを再び冷間圧
延工程に供する。上記分離された分離油と分離水はそれ
ぞれタンクに一旦貯蔵され、その後上記混合器にて混合
することが好ましい。
【0020】本発明において用いられる「自己乳化性を
有する圧延油」の基油としては、公知のものが用いら
れ、特に、αオレフィン、ポリプロピレンが好ましい。
また、該圧延油の油性添加剤として適切なアルコキシア
ルキルエステルとしては、例えば、カプリン酸メトキシ
エチル、カプリン酸メトキシエトキシエチル、カプリン
酸エトキシエチル、カプリン酸エトキシエトキシエチ
ル、カプリン酸プロポキシエチル、カプリン酸プロポキ
シエトキシエチル、カプリン酸ブトキシエチル、カプリ
ン酸ブトキシエトキシエチル、カプリン酸ぺンチルオキ
シエチル、カプリン酸ぺンチルオキシエトキシエチル、
カプリン酸へキシルオキシエチル、カプリン酸へキシル
オキシエトキシエチル、ラウリン酸メトキシエチル、ラ
ウリン酸メトキシエトキシエチル、ラウリン酸エトキシ
エチル、ラウリン酸エトキシエトキシエチル、ラウリン
酸プロポキシエチル、ラウリン酸プロポキシエトキシエ
チル、ラウリン酸ブトキシエチル、ラウリン酸ブトキシ
エトキシエチル、ラウリン酸ぺンチルオキシエチル、ラ
ウリン酸ぺンチルオキシエトキシエチル、ラウリン酸へ
キシルオキシエチル、ラウリン酸へキシルオキシエトキ
シエチル、ミリスチン酸メトキシエチル、ミリスチン酸
メトキシエトキシエチル、ミリスチン酸エトキシエチ
ル、ミリスチン酸エトキシエトキシエチル、ミリスチン
酸プロホキシエチル、ミリスチン酸プロポキシエトキシ
エチル、ミリスチン酸ブトキシエチル、ミリスチン酸ブ
トキシエトキシエチル、ミリスチン酸ぺンチルオキシエ
チル、ミリスチン酸ぺンチルオキシエトキシエチル、ミ
リスチン酸へキシルオキシエチル、ミリスチン酸へキシ
ルオキシエトキシエチル、パルミチン酸メトキシエチ
ル、パルミチン酸メトキシエトキシエチル、パルミチン
酸エトキシエチル、パルミチン酸エトキシエトキシエチ
ル、パルミチン酸プロポキシエチル、パルミチン酸プロ
ポキシエトキシエチル、パルミチン酸ブトキシエチル、
パルミチン酸ブトキシエトキシエチル、パルミチン酸ぺ
ンチルオキシエチル、パルミチン酸ペンチルオキシエト
キシエチル、パルミチン酸へキシルオキシエチル、パル
ミチン酸へキシルオキシエトキシエチル、ステアリン酸
メトキシエチル、ステアリン酸メトキシエトキシエチ
ル、ステアリン酸エトキシエチル、ステアリン酸エトキ
シエトキシエチル、ステアリン酸プロホキシエチル、ス
テアリン酸プロポキシエトキシエチル、ステアリン酸ブ
トキシエチル、ステアリン酸ブトキシエトキシエチル、
ステアリン酸ペンチルオキシエチル、ステアリン酸ぺン
チルオキシエトキシエチル、ステアリン酸へキシルオキ
シエチル、ステアリン酸へキシルオキシエトキシエチル
等が挙げられる。なお、アルコキシアルキルエステルの
酸及びアルコールの炭化水素基は、直鎖炭化水素でも、
側鎖を持った炭化水素でも良い。また、圧延油に含有す
るアルコキシアルキルエステルは、上記のものを単独で
用いてもよく、これらを組み合わせて用いることもで
き、その配合割合としては、圧延油中、3〜50重量%
とするのが好ましい。
【0021】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、これは単に例示であって本発明を制限する
ものではない。
【0022】本発明における、ラメラ構造静置分離槽の
分離効果、エマルションの平均粒径の影響及びエマルシ
ョン連続循環使用の影響について評価を行った。なお、
油水分離度、油中水分量、水中油分量、エマルション粒
径の測定方法とその良否の判断基準は、次に示す通りで
ある。
【0023】(1) 油水分離度 エマルション200mLを200mLメスシリンダーに
入れ、30分後の油水分離度で評価した。浮上した油量
をXmL、水(エマルション)の容量をYmLとした場
合に、油水分離度は次式により算出した。 油水分離度(%)={X/(X+Y)}×100 なお、油水分離度において許容される基準は、50%以
上としている。
【0024】(2) 油中水分量 油中水分量は、カールフィッシャー電量滴定方式により
測定した。油中水分量において許容される基準は、10
00ppm以下としている。 (3) 水中油分量 分離水200mLに塩酸5mLを添加し、更にヘキサン
100mLを加える。次にそれらをよく振って混合させ
て静置し、ヘキサンを抽出する。このヘキサンを予め秤
量したビーカーに入れ、加熱によってへキサンを蒸発さ
せ、残留した油を秤量した(ヘキサン抽出法)。 (4) エマルションの平均粒径 レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製LA
700)にて測定した。良否基準は、20〜90μmと
した。
【0025】(ラメラ構造静置分離槽の効果) 実施例1〜6、比較例1〜4 エマルション高さ(ラメラ構造の板間隔)の影響 ラメラ構造の板間隔の影響を知るため、100mm径の
ガラス製の円筒容器を用いて、エマルションの容量(高
さ)を変化させ、油水分離性を評価した。実験条件は下
記に示し、得られた結果は表1に示す。 圧延油は、基油がαオレフィン95%、油性添加剤と
してラウリン酸メトキシエチル5%を含有するものであ
る。 エマルションとしては、油分濃度10%、温度30
℃、平均粒径20μm±3μm、アルミニウム粉含有量
50ppm(平均粒径2μm)とし、その作製法として
は、図2に示す混合機にて、油圧力8kg/cm2、水圧力3
kg/cm2の条件下、スプレーノズル(共立合金社製KKS045
0 )を介して行った。 実験方法としては、100mm径の円筒ガラス製容器
にエマルションを、その高さが50、100、200、
300、400、500、600、750および100
0mmになるように入れ、30分後の油水分離度、油中
水分量、水中油分量を測定した。
【0026】
【表1】
【0027】表1から、エマルションの高さとともに、
油水分離度は低下し、油中水分量および水中油分量は増
加し、油水分離性は低下する傾向があることがわかる。
これは、エマルションの油滴が水面(エマルション)の
上面まで浮上する距離が長くなるためである。実施例1
〜6においては、油水分離度は50%以上、油中水分量
も1000ppm以下を満足した。これより、エマルシ
ョン高さ、すなわち、ラメラ構造の板間隔を500mm
以下にすれば、油水分離性は満足することがわかる。一
方、比較例1〜4においては、エマルション高さが50
0mmを越えると油水分離度は50%未満となり、油中
水分量も1000ppmを越え、特にエマルション高さ
1500mmでは、30分の静置時間で油水分離しない
ことがわかる。以上の結果より、ラメラ構造の板間隔は
500mm以下が適しており、100mm程度が最適で
あることがわかる。
【0028】ラメラ構造板の間隔および角度の影響 実施例7〜11、比較例5〜8 上記ので用いたと同様のエマルションを使用し、図
4に示すようなラメラ構造の静置分離タンクを用いて、
ラメラ構造の有無、ラメラ構造の板間隔(h)および角
度(θ)を変化させ静置分離実験を実施し、油水分離
度、水中油分量、油中水分量を評価した。得られた結果
を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】実施例7〜11において、板間隔500m
m以下、板角度5〜60度の範囲では、油水分離度およ
び油中水分量は全て許容値を満足することがわかる。一
方、比較例5では、板間隔600mmで油水分離度およ
び油中水分量は、それぞれ、50%以下、1000pp
m以上となり、満足しないことがわかる。比較例6か
ら、板角度0度では油水分離度が急激に低下し、油中水
分量は増加していることがわかる。これは、板面間で浮
上した油滴が移動しないため、水面(エマルション面)
まで浮上することができないためである。比較例7か
ら、板角度70度になると、油水分離度は50%を満足
できず、油中水分量も1000ppmを越えていること
がわかる。これは、板間で浮上した油滴が充分凝集する
前に板面の上方へ移動してしまうためである。比較例8
では、ラメラ板が無いため、全く油水分離しないことが
わかる。
【0031】(エマルション粒径の影響) 実施例12〜14、比較例9および10 自己乳化性を有する圧延油として、炭素数14のα−オ
レフイン90wt%、油性添加剤として、ミリスチン酸
ブトキシエチル10wt%からなる圧延油を、10%の
エマルションになるように、図2に概略の断面を示す混
合機(即ち、高圧水中に自己乳化性を有する圧延油を圧
送するタイプの混合機)で混合し、ノズル(共立合金社
製KSS0450 、KSS0850 、KSS0250 、KSS1050 )を介して
圧延に供した。被圧延材として、板厚2.0mm、板幅
40mm、長さ450mmのJIS5052アルミニウ
ム合金材を用い、ロール径155mm、ロール温度50
°C、ロール表面粗さRa0.4μmのロールを有する
圧延機で、圧延速度70m/分、圧下率50%で圧延し
た。圧延に供するエマルションの平均粒径は、圧入する
油の圧力とノズルの変更によって、15〜95μmに変
化させた。
【0032】圧延時の圧延潤滑性は、ロードセルにて測
定した圧延荷重、板表面へ転写したロール表面の100
mm間隔の刻印痕から測定した先進率および圧延前後の
板厚、ロール径からBland&Ford式より求めた摩擦係数に
て評価した。なお、先進率は次式(1)より求めた。 先進率(%)=(L2−L1)×100/L1 (1) (式中、L1はロール表面の刻印痕間長さ(mm)を示
し、L2は圧延後の板表面上の刻印痕間の長さ(mm)
を示す。)
【0033】また、板面質は、板の幅方向3ヵ所からサ
ンプリングし、その面を電子顕微鏡(SEM)にて20
0倍で観察した。3ヵ所とも板面質(オイルピット)が
同じの場合をA、やや不均一であるが製品に問題がない
レベルをB、不均一で製品として問題がある場合をCと
した。
【0034】また、油水分離性は、既に述べたものと同
様に、エマルション200mLを200mLメスシリン
ダーに入れ、30分後の油水分離度により評価した。結
果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】エマルション平均粒径が20〜90μmの
場合を実施例12〜14に示し、エマルション粒径が1
5μmの場合を比較例9に、95μmの場合を比較例1
0に示した。エマルション平均粒径が大きいほど圧延時
の摩擦係数は低くなり、圧延潤滑性が向上することがわ
かる。これは、エマルション平均粒径が大きいほど、板
材表面あるいはロール表面でのプレーアウト(離水展
着)量が増し、ロールバイト内への導入油量が増すため
に圧延潤滑性が向上したと考えられる。また、エマルシ
ョン平均粒径が大きいほど油水分離性は良くなることが
わかる。これは、エマルションの油滴がストークスの法
則に従うためである。しかし、エマルションの平均粒径
が大きくなるほど、板面の均一性は劣る傾向にあること
がわかる。これは、粗大な油滴はプレーアウトし易いた
め、局所的にこのような粗大な油滴があると、その部分
だけ、ロールバイト内へ導入される油量が大きくなり、
オイルピット等が増えるためである。これに対して、比
較例9および10から、エマルションの平均粒径は15
μmになると、摩擦係数は急激に高くなり、油水分離性
が低下することが分かる。さらに、エマルションの平均
粒径が95μmになると、圧延潤滑性および油水分離性
には問題ないが、板面質が急激に不均一になることがわ
かる。
【0037】(エマルションの連続循環使用の影響) 実施例15および16、比較例11 図1に示したシステムにおいて、ラメラ構造の静置分離
槽を設置した場合(実施例15)、さらに、ラメラ構造
の静置分離槽で分離した油分を遠心分離機で分離し、油
をさらに清澄化した場合(実施例16)およびラメラ構
造を持たない静置分離槽を用いた場合(比較例11)に
ついて、連続循環使用実験を実施した。該実験は油水混
合→圧延→油水分離→濾過の工程を1サイクルとし、連
続循環使用した場合の油水混合によるエマルション性
状;圧延時の摩擦係数、板面均一性;油水分離時の油中
水分量、水中油分量;濾過時の濾過圧力、プレコート回
数を評価した。実験条件を下記に示し、表4には油水分
離としてラメラ構造の静置分離槽を用いた場合(実施例
15)、表5にはラメラ構造の静置分離槽で分離した油
分をさらに遠心分離機で油水分離した場合(実施例1
6)、表6にはラメラ構造を持たない静置分離槽を用い
た場合(比較例11)の結果を示した。
【0038】<連続循環使用実験条件> 油水分離槽:1000mm(L) 、250mm(W)、1000mm(H) (容
量250L) ラメラ構造:板材寸法;990mm(L)、340mm(W)、2mm(t) 板材質;アルミニウム板 板間隔;100mm 板角度;45度 板枚数;7枚 静置時間 :30分 遠心分離装置:αラバル社製WSPX303−71型
(20L/分) 濾過装置:三菱化工機社製シュナイダーフィルター プレコート更新時期;4kg/cm2 白土;ガレオンアースV2R、珪藻土;中央シリカ#
600S 助剤;珪藻土:白土を6:4の割合で混合 濾過流量;2L/分 圧延条件 圧延材;8082アルミニウム合金、2.Omm(t)、40mm(W)
コイル ロール径155mm、ロール表面粗さ0.4μm 圧下率50%、圧延速度35m/分 圧延油:基油αオレフィン95%、油性添加剤ラウリ
ン酸メトキシエチル5% エマルション:油分濃度10%、温度30°C、 作製法;図2に示す混合機にて、油圧力8kg/cm2 、油
流量1L/ 分、水圧力3kg/cm2 および水流量9L/ 分とし、
スプレーノズル(共立合金社製KSS0450 )を介してエマ
ルションを作製した。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】表4から、10サイクルの循環使用して
も、エマルション濃度は9.8〜10.5%、平均粒径
が23.9〜26.3μmの範囲で安定していることが
分かる。このため、圧延時の摩擦係数は0.1〜0.1
2で、また、板面質も全てAランクであり優れた圧延性
能を示すことが分かる。さらに、油水分離後の油中水分
量および水中油分量もそれぞれ150〜225ppm、
0.2〜0.6%と非常に安定していることが分かる。
濾過時の差圧については、サイクル数とともにやや増加
する傾向にあるが、全く問題のない範囲であり、このた
め、1回もプレコートすることが無かった。なお、差圧
が徐々に増加する理由として、圧延により発生したアル
ミニウム摩耗粉に起因する目詰まりや白土が微量の水分
を吸着し、油を通し難くしているためと考えられる。表
5の結果も、表4の結果と同様に安定していることが分
かる。特に、油中水分量は表4に比べて、更に低くなっ
ていることが分かる。その結果、濾過での差圧の上昇傾
向が緩やかになっており全く問題がない。表6の比較例
では、1サイクルで既に油水分離が出来ず、2サイクル
を実施できなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明に係るアルミニウムの冷間圧延方
法によれば、エマルションの平均粒径を20〜90μm
とし、冷間圧延後のエマルションについてラメラ構造の
静置分離槽を用いて、あるいは、ラメラ構造の静置分離
槽で分離した油分を遠心分離機を用いて油水分離を行う
ようにしたため、アルミニウムの水溶性冷間圧延油で圧
延をした後に油水分離をする際に、油水分離効率が良
く、かつ、経時的に分離が安定で、管理工数・設置面積
・設備費が縮小されるようになる。従って、安定したエ
マルションが循環再使用によって安定に供給することが
可能となり、アルミニウムの高速・高圧下圧延を連続か
つ安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルミニウムの冷間圧延方法を実
施する装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るアルミニウムの冷間圧延方法に使
用するのに好適な油水混合機の構成を示す断面図であ
る。
【図3】ラメラ構造の静置分離槽の概略を示す断面図で
ある。
【図4】本実施例において使用されたラメラ構造の静置
分離槽の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1a ラメラ構造の静置分離槽 2 濾過装置 3 混合機 4 ロールスタンド 5 ノズル 6 水槽 7 油槽 11 板材 12 エマルション槽 13 分離油槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C10N 40:24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳化剤を含まず、自己乳化性を有する圧
    延油と水とを混合することによって形成されるエマルシ
    ョンを潤滑剤として使用するアルミニウムの冷間圧延方
    法において、平均粒径が20〜90μmに設定されたエ
    マルションを冷間圧延工程に供すると共に、冷間圧延後
    のエマルションについてはラメラ構造の静置分離槽を用
    いて油水分離し、該ラメラ構造の静置分離槽により分離
    された分離水と分離油とでエマルションを形成し、この
    エマルションを再び冷間圧延工程に供することを特徴と
    するアルミニウムの冷間圧延方法。
  2. 【請求項2】 前記ラメラ構造の静置分離槽が、該静置
    分離層の底面に対して5〜60度の角度を持った複数枚
    の板材を、その板間隔が50〜500mmとなるように
    設置したものであることを特徴とする請求項1記載のア
    ルミニウムの冷間圧延方法。
  3. 【請求項3】 前記ラメラ構造の静置分離槽で分離した
    分離油について、更に遠心分離で油水分離することを特
    徴とする請求項1又は2記載のアルミニウムの冷間圧延
    方法。
  4. 【請求項4】 前記ラメラ構造の静置分離槽で油水分離
    し、又は前記遠心分離で油水分離し、分離油中の水分を
    1000ppm以下とし、それらの分離油および分離水
    を用いてエマルションを形成することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項記載のアルミニウム冷間圧延方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009142842A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Jfe Steel Corp 冷間圧延における潤滑油供給方法
JP2010221233A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Jfe Steel Corp エマルション圧延油を使用する冷間圧延方法、冷延金属板の製造方法および冷間タンデム圧延機
JP2011051002A (ja) * 2009-09-04 2011-03-17 Jfe Steel Corp 熱延鋼板の冷却設備および冷却方法

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