JPH10310968A - 網状不織布並びにこれを用いた固液分離用シート及びその成形体 - Google Patents

網状不織布並びにこれを用いた固液分離用シート及びその成形体

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JPH10310968A
JPH10310968A JP13435797A JP13435797A JPH10310968A JP H10310968 A JPH10310968 A JP H10310968A JP 13435797 A JP13435797 A JP 13435797A JP 13435797 A JP13435797 A JP 13435797A JP H10310968 A JPH10310968 A JP H10310968A
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JP
Japan
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synthetic resin
nonwoven fabric
melting point
stretching
sheet
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JP13435797A
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Inventor
Ken Shiraishi
謙 白石
Mitsuko Yamada
美津子 山田
Chiemi Morimura
智恵美 森村
Nagayo Oohiro
永世 大廣
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】補強材、或いは家庭廃水中の生ゴミ等の有機廃
棄物と廃液との分離に好適に用いられ、且つ自然環境の
下で微生物によって分解され得る網状不織布並びにこれ
を用いた固液分離用シート及びその成形体を提供する。 【解決手段】一方向の延伸倍率を大にして延伸し、延伸
方向に対し略平行に且つ断続的にスリットを穿設すると
ともに拡幅して得た合成樹脂フィルムの複数枚を、その
前記延伸方向が経緯に略直交するように積層,接着す
る。合成樹脂フィルムを生分解性を有する樹脂から形成
する。積層されて隣接する少なくとも一方の合成樹脂フ
ィルムを融点の異なる2以上の層から形成し且つ最も融
点の低い層を表出させた複層フィルムとする。隣接する
合成樹脂フィルム同士を低融点層部分において熱圧着す
る。この網状不織布は経緯方向に強度があり、且つ自然
界において分解し、補強材或いは固液分離用シート、こ
れを袋状に成形した固液分離用シート成形体に好適に用
いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有する
合成樹脂フィルムを用いた網状の不織布に関し、主に、
紙,生分解性プラスチックフィルム等を補強する補強材
として好適に用いられる、或いは家庭廃水中の生ゴミ等
の有機廃棄物と廃液との分離に好適に用いられる網状の
不織布並びにこれを用いた固液分離用シート及びその成
形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より紙若しくはフィルム等を補強す
る補強材として、或いは家庭廃水中の生ゴミ等の有機廃
棄物と廃液との分離に用いられる固液分離用シートとし
て、合成樹脂製の網状のシートが広く使用されている。
【0003】そして従来、この様な網状のシートに適し
たものとして、一方向の延伸倍率を大にして延伸し、該
延伸方向に対し略平行に且つ断続的にスリットを穿設す
るとともに拡幅して得た合成樹脂フィルムの複数枚を、
その前記延伸方向が経緯に略直交するように積層,接着
した網状の不織布(割繊維不織布)が知られている。こ
の割繊維不織布は薄くて軽量であり、経緯方向の強度に
優れるとともに、通気(水)性に富むため、上記補強材
或いは廃液分離用シートとして優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、家庭
から多量の生活ゴミが排出され、また産業界からも多量
の廃棄物が排出されており、環境維持の面からこれら廃
棄物の処理が問題となっている。
【0005】ところが、前述した従来の網状の不織布は
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル等の合成
樹脂から形成されており、これらポリエチレン,ポリプ
ロピレン,ポリエステル等の合成樹脂は自然環境の下で
は分解されないため、従来これを廃棄するには焼却処理
或いは埋め立て等を行う必要があった。
【0006】しかるに、これを焼却処理すると有害物質
を生じて環境が破壊されるためこれまた不都合であり、
埋め立てによる廃棄では土地利用の制限から現在ではそ
の限界に至っており、この場合も甚だ不都合である。
【0007】また、近年、家庭から出される生ゴミ等の
有機廃棄物をコンポスト化することが進められている
が、自然界において分解しない従来の固液分離用シート
においては、有機廃棄物と分離用シートとを分別しなけ
ればならないという煩わしさがあり、これについても遅
々として進展しないという虞があった。
【0008】本発明は如上の問題点に鑑みなされたもの
であって、紙,生分解性プラスチックフィルム等を補強
する補強材、或いは家庭廃水中の生ゴミ等の有機廃棄物
と廃液との分離に好適に用いられ、且つ自然環境の下で
微生物によって分解され得る網状不織布並びにこれを用
いた固液分離用シート及びその成形体の提供を目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの本発明の請求項1に係る発明は、一方向の延伸倍率
を大にして延伸し、該延伸方向に対し略平行に且つ断続
的にスリットを穿設するとともに拡幅して得た合成樹脂
フィルムの複数枚を、その前記延伸方向が経緯に略直交
するように積層,接着して得られる網状の不織布であっ
て、前記合成樹脂フィルムを生分解性を有する樹脂から
形成するとともに、積層されて隣接する少なくとも一方
の前記合成樹脂フィルムを融点の異なる2以上の層から
形成し且つ最も融点の低い層を表出させた複層フィルム
とし、隣接する合成樹脂フィルム同士を該低融点層部分
において熱圧着したことを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2に係る発明は、請求項1の
発明における前記合成樹脂フィルムがポリ乳酸及び/又
はポリ乳酸を主体とする共重合体からなるものである。
【0011】また、請求項3に係る発明は、前記請求項
1または2に記載した網状不織布を用いてなるものであ
り、固形分を含む処理液を透過処理することで、固形分
と液体とを分離し得る個液分離用のシートに係り、請求
項4に係る発明は、前記請求項3に記載した個液分離シ
ートを袋状に成形してなる個液分離用のシート成形体に
係る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、上述した本発明に係る網状
不織布の一実施形態について説明する。
【0013】上述したように、本発明に係る網状不織布
は、生分解性を有する合成樹脂フィルムを積層したもの
であって、積層されて隣接する少なくとも一方の合成樹
脂フィルムを融点の異なる2以上の層から形成し且つ最
も融点の低い層を表出させて複層フィルムとしたもので
ある。従って、積層されて隣接する他方の合成樹脂フィ
ルムについては単層のものとしても良く、積層される全
ての合成樹脂フィルムを複層のものとしても良い。
【0014】積層される合成樹脂フィルムは、ジカルボ
ン酸及びジオールよりなるポリエステル、ポリグリコー
ル酸などの脂肪族ポリエステルなど生分解性を有する合
成樹脂から得られるものであれば良く、特に限定される
ものではないが、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体と
する合成樹脂から得られるものが特に好ましい。ポリ乳
酸及びポリ乳酸を主体とする合成樹脂は延伸加工性,結
晶性,配向性が良く、また、常温〜80℃(延伸温度)
付近でのタック性がないため、巻き取り或いは繰り出し
が容易であり、上記網状不織布の製造に適しているから
である。更に、これらは耐水性及び耐温水性にも優れて
おり、家庭の生ゴミの分離等、高温の廃液の処理に適し
ている。
【0015】上記ポリ乳酸及びポリ乳酸を主体とする合
成樹脂は、粘度平均分子量(以下単に「分子量」とい
う)が10×104 以上であり、25×104 以下であ
るものが好ましく、更には13×104 以上であり、1
8×104 以下であるものが好ましい。分子量と樹脂の
溶融粘度とは相関関係にあり、この範囲よりも分子量が
低い場合には樹脂の溶融粘度が低いためにその製膜加工
が困難である。逆に分子量が高い場合には樹脂の溶融粘
度が高くなって製膜を高温で行う必要がある、或いは溶
融樹脂の送液が困難になるといった不都合を生じる。
【0016】ポリ乳酸は乳酸を脱水縮合または乳酸の環
状エステルの開環重合により得ることができる。また、
ポリ乳酸を主体とする合成樹脂は、ε−カプロラクトン
等の環状ラクトン類,脂肪族ポリエステル,バクテリア
セルロース,ポリビニルアルコール,ポリグリコール酸
等の生分解性樹脂の一種または二種以上をポリ乳酸にブ
レンドする、或いはε−カプロラクトン等の環状ラクト
ン類,脂肪族ポリエステル,バクテリアセルロース,ポ
リビニルアルコール,ポリグリコール酸等の生分解性樹
脂の一種または二種以上とポリ乳酸とを共重合させるこ
とにより得ることができる。
【0017】上記複層フィルムは共押出法,押出ラミネ
ート法などにより製造することができ、その厚みは40
μm〜120μmの範囲とするのが好ましい。40μm
以下であると押出後のフィルムの強度が低く、これを高
い延伸倍率で延伸することができないため、分子配向の
悪いフィルムとなり、最終的に得られる網状不織布の必
要な強度が得られないからである。また、120μm以
上であると得られる網状不織布の柔軟性が損なわれ、ハ
ンドリング性に劣るものとなる。
【0018】上述したように複層フィルムは高融点層と
低融点層とからなるものであるが、この高融点層と低融
点層との融点差は10℃以上であるのが好ましく、30
℃以上であると更に好ましい。そして、このような融点
差を有する上記生分解性樹脂を適宜選択して用いる。融
点差を有する生分解性樹脂であれば同一種類のものであ
っても良く、異なる種類のものであっても良い。
【0019】例えば、ポリ乳酸のみを用いて複層フィル
ムとする場合には、高融点層にポリ−L−乳酸(PLL
A)とポリ−D−乳酸(PDLA)とを混合して得られ
るステレオコンプレックス体(融点が約240℃)を用
い、低融点層にポリ−L−乳酸(融点が約170℃)を
用いることができる。
【0020】また、上述したポリ乳酸を主体とする合成
樹脂のみを用いて複層フィルムとすることもできる。ポ
リ乳酸は高結晶性の高分子であり、その融点が高いもの
であるが、これに他の生分解性樹脂をブレンドする或い
はこれらの共重合体とすることでその結晶化を阻害する
ことができ、その融点を低下させることができる。した
がって、ポリ乳酸と他の生分解性樹脂とのモル比を適宜
設定することでその融点を変化させることができる。
尚、このことはポリグリコール酸などの生分解性合成樹
脂についても同様である。
【0021】また、高融点層と低融点層との融点差が上
述した範囲内であれば、高融点層にポリ乳酸を、低融点
層にポリ乳酸を主体とする合成樹脂をそれぞれ用いるこ
ともできる。
【0022】高融点層の厚みT1 と低融点層の厚みT2
との比、T2 /T1 は0.2〜0.4の範囲であること
が好ましい。0.2以下であると後述のフィルムの接着
に際して十分な接着強度が得られないからであり、0.
4以上であると複層フィルムの延伸加工時に延伸斑が発
生して好ましくなく、また、接着に必要な量以上の過剰
なものとなるからである。
【0023】尚、複層フィルムは3層以上にすることも
できるが、この場合には少なくとも最も融点の低い層が
表出している必要がある。
【0024】以上の合成樹脂フィルムは一方向の延伸倍
率を大にして延伸され、延伸方向に対し略平行に且つ断
続的にスリットを穿設されたのち拡幅される。延伸加工
は合成樹脂フィルムの強度を向上させ、伸度を適正にす
るとともに、分子の配向を揃えて次のスリット,拡幅加
工を容易にすることをも目的としてなされるものである
ため、当該延伸加工には自由幅一軸延伸法を用いるのが
好ましい。但し、スリット,拡幅加工に問題を生じない
のであれば、どのような既知の延伸方式を採っても良
い。また、延伸に際しての温度は合成樹脂フィルムのガ
ラス転移点以上、融点以下の範囲に於いて適宜選定す
る。延伸フィルムを得るには分子がミクロブラウン運動
する必要があるため、ガラス転移点以上の温度が必要で
ある。但し、ガラス転移点以上の温度であっても、最適
な延伸温度は高分子の結晶性などの要因によって異な
る。
【0025】ついで、拡幅した合成樹脂フィルムをその
延伸方向が経緯に略直交するように積層するのである
が、その際、積層されて隣接する少なくとも一方の合成
樹脂フィルムを上記の複層フィルムとする。この後、熱
圧着用のローラ間に合成樹脂フィルムの積層体を通し、
隣接する合成樹脂フィルム同士を複層フィルムの低融点
層部分において熱圧着して最終的な網状の不織布とす
る。拡幅した合成樹脂フィルムを積層,熱圧着する態様
の一例を図1に示す。図1(a)は複層フィルム1の低
融点層1b同士を突き合わせて積層,熱圧着するものを
示しており、同図(b)は複層フィルム1と単層フィル
ム2とを積層,熱圧着するものを示している。尚、図中
1aは高融点層である。
【0026】前記熱圧着用のローラの温度は、前記低融
点層の融点温度より10℃以上、好ましくは20℃以上
高く、前記高融点層の融点温度より10℃以下、好まし
くは20℃以下の温度とする。低融点層の融点温度より
10℃以上高くするのは低融点層部分を十分に溶融させ
て熱圧着させるのに必要な温度であるからであり、高融
点層の融点温度より10℃以下にするのはこれより高く
すると高融点層部分が熱劣化するからである。
【0027】図2に示すように、割繊維不織布は経緯に
配置される割繊維の交点部分が接着されて一体性を備え
たものとなるため、不織布に所定の強度を持たせるには
当該交点部分が強固に接着される必要がある。この不織
布においては接着作用を果たす低融点層部分の樹脂とこ
れ以外の樹脂とが同一又は類似のものであるので、これ
らの親和性が高く、相互に化学的に結合するので、極め
て強固な結合を実現することができる。特に、ポリ乳酸
類は水に不溶であり耐薬品性も高いため、これをバイン
ダーとした接着が不可能であり、上述の複層フィルムを
用いた接着においてのみ強固な接着を実現することがで
きる。
【0028】そしてこの様にして製造された網状の不織
布は経緯に対する強度が高く、紙,生分解性プラスチッ
クフィルムなどを補強する補強材に好適に用いることが
できる。また、全面に細かな開口部を無数に備え、高い
開口率を備えるので、家庭廃水中の生ゴミ等の有機廃棄
物と廃液とを分離する際の固液分離用シートに好適に用
いることができる。尚、図2に示すように、積層される
合成樹脂フィルム(割繊維)同士の交点部分以外につい
ての複層フィルムの低融点層1bは表面に露出してお
り、紙,生分解性プラスチックフィルム等に裏当てしこ
れを補強する場合には、上述と同様にこれらを熱圧着用
のローラ間に通すだけで当該低融点層1bを用いて簡単
に接着することができる。また、この不織布を分離用シ
ートとして成形する際にも同様の理由でこれを容易に袋
状に成形することができる。また、当該網状不織布を構
成する割繊維は薄く扁平であるため、接着が容易であ
り、且つ強固な接着を実現することができる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)分子量が約20×104 であり、融点が約
172℃であり、ガラス転移点温度が約60℃であるポ
リ乳酸を前記複層フィルムの高融点層部分に用い、分子
量が約10×104 であり、融点が約131℃であり、
ガラス転移点温度が約55℃であり、乳酸含有量が約9
5mol%であるポリ乳酸・ε−カプロラクタン共重合
体を低融点層部分に用い、共押出法により複層フィルム
を製造した。尚、高融点層の厚みを55μmとし、低融
点層の厚みを15μmとした。
【0030】ついで得られた複層フィルムを、延伸温度
を80℃、延伸倍率を約5倍とした条件の下で自由幅一
軸延伸法により延伸した後、この延伸方向に対して略平
行に且つ断続的にスリットを穿設するとともにこれを拡
幅して割繊維とした。
【0031】得られた割繊維をその延伸方向が経緯に略
直交するように、且つ低融点層同士が対向,接するよう
に積層し、ついで温度が150℃であり、押圧力が約3
kg/cm2 である加熱ロールにより当該積層体を押圧
して熱圧着し、実施例1の網状不織布を得た。尚、この
網状不織布の開口率は約50%であった。
【0032】(実施例2)分子量が約18×104 であ
るポリ−L−乳酸と分子量が約11×104 であるポリ
−D−乳酸とを混合して得られるステレオコンプレック
ス体(融点が約230℃であり、ガラス転移点温度が約
70℃である)を前記複層フィルムの高融点層部分に用
い、分子量が約10×104 、融点が131℃、ガラス
転移点温度が約55℃、乳酸含有量が約95mol%で
あるポリ乳酸・ε−カプロラクタン共重合体を低融点層
部分に用い、まず、溶融押出法により、ポリ−L−乳酸
とポリ−D−乳酸とのステレオコンプレックス体よりな
る厚み50μmのフィルムを製造した後、押出ラミネー
ト法によりこのフィルムを基材としてポリ乳酸・ε−カ
プロラクタン共重合体よりなるフィルムをラミネートし
て厚さ75μmの複層フィルムを得た。
【0033】ついで得られた複層フィルムを、延伸温度
を80℃、延伸倍率を約5倍とした条件の下で自由幅一
軸延伸法により延伸した後、この延伸方向に対して略平
行に且つ断続的にスリットを穿設するとともにこれを拡
幅して割繊維(スプリットファイバー)とした。
【0034】得られた割繊維をその延伸方向が経緯に略
直交するように、且つ低融点層同士が対向,接するよう
に積層し、ついで温度が150℃であり、押圧力が約3
kg/cm2 である加熱ロールにより当該積層体を押圧
して熱圧着し、実施例2の網状不織布を得た。尚、この
網状不織布の開口率は約50%であった。
【0035】(実施例3)分子量が約5×104 、融点
が約225℃、ガラス転移点温度が約36℃であるポリ
グリコロール酸を前記複層フィルムの高融点層部分に用
い、分子量が約1×104 、融点が約145℃、ガラス
転移点温度が約3℃、グリコール酸含有量が約85mo
l%であるポリグリコロール酸・ε−カプロラクタン共
重合体を低融点層部分に用い、まず、溶融押出法によ
り、ポリグリコロール酸よりなる厚み50μmのフィル
ムを製造した後、押出ラミネート法によりこのフィルム
を基材としてポリグリコロール酸・ε−カプロラクタン
共重合体よりなるフィルムをラミネートして厚さ75μ
mの複層フィルムを得た。
【0036】ついで得られた複層フィルムを、延伸温度
を60℃、延伸倍率を約3.5倍とした条件の下で自由
幅一軸延伸法により延伸した後、この延伸方向に対して
略平行に且つ断続的にスリットを穿設するとともにこれ
を拡幅して割繊維とした。
【0037】得られた割繊維をその延伸方向が経緯に略
直交するように、且つ低融点層同士が対向,接するよう
に積層し、ついで温度が170℃であり、押圧力が約3
kg/cm2 である加熱ロールにより当該積層体を押圧
して熱圧着し、実施例3の網状不織布を得た。尚、この
網状不織布の開口率は約50%であった。
【0038】このようにして得られた実施例1乃至実施
例3に係る網状不織布を土壌中に3ヶ月間埋設した後、
この網状不織布を取り出してその分解状態を目視にて確
認したところ、実施例1乃至実施例3のいずれの網状不
織布についてもその形状が失われており、いずれについ
ても生分解性は良好であった。
【0039】また、実施例1乃至実施例3の網状不織布
の両方の面に紙を重ね合わせ、加熱温度を140℃、押
圧力を1.5kg/cm2 として約30秒間、加熱,圧
着したところ、網状不織布と紙とが良く接着し、表面が
平滑である複合紙が得られた。このように、この網状不
織布は積層されるフィルム同士の交点部分以外に低融点
層が露出しているため、当該低融点層部分を用いて紙,
生分解性プラスチックフィルム等の裏当を極めて容易に
行うことができる。
【0040】また、実施例1乃至実施例3の網状不織布
を固液分離用シートとして用い、これを袋状に成形し、
この袋内に一般家庭の排水を流し込み、透過処理した。
実施例1乃至実施例3の網状不織布はいずれも細かな開
口部を無数に備え、高い開口率を有するものであるた
め、当該不織布の開口部から廃液が良好に流出する一
方、有機廃棄物は網状不織布に捕捉され、有機廃棄物と
廃液とを良好に分離することができた。更に、廃液を速
やかに排出するとともに、構造的に保水力が弱いため、
廃液の切れが良く、有機廃棄物を内包した当該袋状の固
液分離用シート成形体を容器から取り出す際の廃液のボ
タ落ちが最小限に抑えられた。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に係る発
明によれば、生分解性を有する合成フィルムにより網状
不織布を形成しており、これが自然界において分解する
ため、これを廃棄する際には、土中に埋設する或いは自
然界に放置するといった廃棄形態をとることができ、従
来型の廃棄のような環境破壊を伴うといった問題を生じ
ない。
【0042】また、この網状不織布は優れた機械的物性
を備えるとともに、薄いシート状をしているので、紙,
生分解性プラスチックフィルム等の補強材、或いは請求
項3に係る発明のように家庭排水の固液分離シートに好
適に用いることができる。そして、固液分離用シートと
して用いた場合に、上述の通り生分解性を備えているの
で廃棄の際にシートと有機廃棄物を分別する必要が無
く、極めて容易にこれをコンポスト化することができ
る。
【0043】また、積層される合成樹脂フィルム(割繊
維)同士の交点部分以外についての低融点層は表面に露
出しており、これを補強材として紙,生分解性プラスチ
ックフィルム等に裏当てしたり、請求項4に係る発明の
ように袋状に成形する場合には、この低融点層部分を用
いて接着することができ、その作業を容易に行うことが
できる。また、当該網状不織布を構成する割繊維は薄く
扁平であるため、接着が容易であり、且つ強固な接着を
実現することができる。
【0044】また、請求項2に係る発明によれば、合成
樹脂フィルムをポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とし
た合成樹脂から形成しているが、これらポリ乳酸及びポ
リ乳酸を主体とする合成樹脂は延伸加工性,結晶性,配
向性が良く、また、常温〜80℃(延伸温度)付近での
タック性がないことから、割繊維不織布の製造に極めて
適している。また、これらは耐水性及び耐温水性にも優
れており、これを請求項3及び4の発明に係る固液分離
用シート及びその成形体として、家庭の生ゴミの処理
等、高温の廃液の処理に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合成樹脂フィルムの積層,接着の
態様を示す説明図である。
【図2】本発明に係る網状不織布を示す部分平面図であ
る。
【符号の説明】
1 複層フィルム 1a 高融点層 1b 低融点層 2 単層フィルム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方向の延伸倍率を大にして延伸し、該
    延伸方向に対し略平行に且つ断続的にスリットを穿設す
    るとともに拡幅して得た合成樹脂フィルムの複数枚を、
    その前記延伸方向が経緯に略直交するように積層,接着
    して得られる網状の不織布であって、 前記合成樹脂フィルムを、生分解性を有する樹脂から形
    成するとともに、 積層されて隣接する少なくとも一方の前記合成樹脂フィ
    ルムを融点の異なる2以上の層から形成し且つ最も融点
    の低い層を表出させた複層フィルムとし、隣接する合成
    樹脂フィルム同士を該低融点層部分において熱圧着した
    ことを特徴とする網状不織布。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂フィルムがポリ乳酸及び/
    又はポリ乳酸を主体とする合成樹脂からなる請求項1記
    載の網状不織布。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または2に記載した網状不
    織布からなり、処理液の固形分と液体とを分離する固液
    分離用シート。
  4. 【請求項4】 前記請求項3に記載した個液分離シート
    を袋状に成形してなる固液分離用シート成形体。
JP13435797A 1997-05-08 1997-05-08 網状不織布並びにこれを用いた固液分離用シート及びその成形体 Pending JPH10310968A (ja)

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