JPH10304610A - 永久磁石回転子及び永久磁石回転子用抜き板の製造方法 - Google Patents

永久磁石回転子及び永久磁石回転子用抜き板の製造方法

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JPH10304610A
JPH10304610A JP9104085A JP10408597A JPH10304610A JP H10304610 A JPH10304610 A JP H10304610A JP 9104085 A JP9104085 A JP 9104085A JP 10408597 A JP10408597 A JP 10408597A JP H10304610 A JPH10304610 A JP H10304610A
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magnetic pole
punched
permanent magnet
magnet
magnet rotor
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JP9104085A
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English (en)
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Eiji Shimomura
英二 霜村
Kazuto Sakai
和人 堺
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、磁石と鋼板積層体に形成し
た磁極用溝との隙間により生じる磁石特性の低下を避
け、構成された積層体回転子の界磁磁束密度を向上し、
且つ埋め込み磁石型の製造を容易にした永久磁石回転子
を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、鋼板抜き板7をシャフト5軸
方向に積層してなる永久磁石回転子4において、鋼板抜
き板7に設けた磁極用打抜き部7aにボンド磁石流動体
8を充填して硬化させ、磁極6を形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャフトに永久磁
石を取り付けて構成された、永久磁石回転電機の永久磁
石回転子及び永久磁石回転子用抜き板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】永久磁石回転電機は、回転子に永久磁石
を配置して磁極を形成し、さらに電機子側に移動磁極を
発生させ、回転子と移動磁極の吸引力で動力を引き出す
同期電動機であり、その動作原理により高い運転効率を
維持できる。
【0003】最近では、永久磁石電動機においても可変
速運転が広く用いられ、高速,超高速回転の領域にその
適用が進められている。。回転子に永久磁石を配置する
形態として、外周貼り付け磁石型と埋め込み磁石型の2
通りがある。貼り付け磁石型は、製造工程が容易であ
り、着磁した磁石を貼り付けることにより、大型機種の
ように組み込み着磁が困難なものに適用できる。しか
し、高速回転を行う場合、過大な遠心力が働く用途には
不向きであり、この場合埋め込み磁石型が用いられる。
埋め込み磁石型は、その他に、電気自動車などに採用さ
れる、定出力可変速運転を実現する弱め界磁制御が容易
であり、また、着磁後の磁石動作点が、貼り付け磁石型
に比べて高くなり、出力特性が向上出来るというメリッ
トがある。このため、埋め込み磁石型の採用が主流であ
り、大型機種への適用の試みもなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁石は、大
きく鋳造・焼結磁石とボンド(プラスチック)磁石に分
けることができる。高いエネルギー密度を有する鋳造・
焼結磁石はモータ出力増大に寄与するが、焼結工程か
ら、或いは硬く脆い性質から複雑な形状に成形すること
ができず、せいぜい研削・研磨加工で形を整える程度し
か成形はできない。
【0005】それに対し、ボンド磁石では、射出成形な
どにより、複雑な形状を形作ることが容易である。しか
しながら、エネルギー密度は低下するため、小形機種、
或いはエネルギー密度よりも形状を優先する特殊機種に
おいて採用が試みられている。
【0006】さて、埋め込み磁石型で磁石に鋳造・焼結
磁石を採用する場合、その磁石形状に合わせてソリッド
ロータ部に溝を明ける必要がある。この溝は、磁石装着
の作業性或いは焼結工程でできた磁石の寸法公差などに
より、所定寸法(磁石体積)よりも大きくする必要があ
る。そうした場合、磁石と溝との隙間はギャップとなっ
て磁石の動作点を下げる(磁束密度を低下させる)こと
になり、高エネルギー性能を十分発揮できないことにつ
ながる。このように、鋳造・焼結磁石では複雑な磁極形
状をとることができないことと、磁極用溝に磁石が合わ
ないケースが生じた場合、磁石を研削加工して収めなけ
ればならないこと、さらにこのような磁石の嵌め合いし
ろのギャップによる動作点の低下が設計段階で予測でき
ないという問題を生じ易い。
【0007】また、ソリッドロータでは、高速運転時、
高い周波数成分であるスロットリップル磁束が発生して
ロータ表面に鎖交し、ロータ表面に大きな渦電流を生じ
る。この渦電流によるジュール損によりロータは発熱
し、温度特性の悪い磁石の特性を大幅に低下する場合も
ある。そのため、大きな渦電流が生じないように、ロー
タは薄い鋼板の積層体であることが望ましい。また、積
層体の鋼板間は絶縁されているのが好ましく、そのため
表面に絶縁コーティングされている電磁鋼板が有望であ
る。
【0008】ロータに薄い鋼板の積層体を採用すると、
積層後に磁石を装着する溝を明けることは困難である。
そのため、素材となる帯状のフープ状鋼板を、回転子形
状に打ち抜く前に磁極(形状)を打ち抜き、それを積層
することで、磁極用溝を形成する必要がある。そうする
と、積層時の寸法公差も加わって、さらに溝寸法を磁石
寸法より大きく採らなければならなくなる。即ち、磁石
と溝との隙間はさらに広がり、磁石の動作点を下げるこ
とになる。
【0009】そこで、本発明の目的は、磁石と鋼板積層
体に形成した磁極用溝との隙間により生じる磁石特性の
低下を避け、構成された積層体回転子の界磁磁束密度を
向上し、且つ埋め込み磁石型の製造を容易にした永久磁
石回転子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、上記目的を達成するために、鋼板抜き板をシャフト
軸方向に積層した永久磁石回転子の磁極用打抜き部に、
ボンド磁石流動体(バインダーと磁石粉との混合体)を
充填して硬化させ、磁極を形成したものである。
【0011】この構成によれば、薄い鋼板の積層体であ
る回転子の磁極用打抜き部に隙間無く磁石(流動体)が
充填でき、鋳造・焼結磁石で工作上必要な嵌め合いしろ
のギャップ効果による予測できない磁石性能の低下およ
び研削加工による磁石寸法出しの必要性がなくなる。
【0012】請求項2に記載の発明は、磁極形状に近
く、研削加工の必要の無い程度の単純形状の鋳造・焼結
磁石を予め磁極用打抜き部に配置した後、ボンド磁石を
充填し、硬化させた、いわゆる複合構造の磁極としたも
のである。これにより磁極のエネルギー密度を高くする
ことができる。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項2記載の
発明において、鋳造・焼結磁石の表面にスリット或いは
燐酸鉄或いは燐酸亜鉛処理などの表面処理により表面凹
凸を付与したものである。この場合、鋳造・焼結磁石表
面には抜け落ち防止のためスリット或いはパーカー処
理、サンドショットなどの表面処理により表面凹凸を付
帯させているので、ボンド磁石流動体がスリッ卜及び表
面凹凸部内に充填されることによる投錨効果を付与させ
ることができる。
【0014】請求項4に記載の発明は、鋼板抜き板をシ
ャフト軸方向に積層してなる永久磁石回転子において、
鋼板抜き板に設けた磁極用打抜き部に、複数の小断面形
状を有する鋳造・焼結磁石片を配置した後、ボンド磁石
流動体を充填し硬化させて磁極を形成したものである。
これにより、回転子動作磁束密度を向上するために複雑
な磁極形状を採用した回転子に対しても、鋳造・焼結磁
石の持つ高エネルギー密度特性を磁極のすみずみまで発
揮させることができ、発生磁束密度の大きさのむらが無
くなり、その脈動によるトルクリプルの発生を抑制する
ことができる。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項4記載の
永久磁石回転子において、鋳造・焼結磁石片を、円形断
面を持つ長尺寸法形状としたものである。この場合、作
業性の困難さを伴わず、磁極用打抜き部の中の鋳造・焼
結磁石の占績率を高くでき、さらに高エネルギー密度特
性を、磁極に付帯させることができる。
【0016】また、請求項6の発明のように、鋳造・焼
結磁石片に球(ビーズ)形状のものを用いると、さらに
作業性が上がり、且つ磁極用打抜き部の中の鋳造・焼結
磁石の占績率を高くでき、高エネルギー密度特性を磁極
に付帯させることができる。また、鋳造・焼結磁石片と
して、請求項5、6に記す円柱状或いは球状片を用いる
と、ボンド磁石とのなじみがよくなり、ボンド磁石の硬
化時の界面における応力増大、また、回転機運転時のボ
ンド磁石と鋳造・焼結磁石との熱膨張率の違いに起因し
た熱応力の発生を抑制でき、クラックの発生、破損を防
止できる。
【0017】請求項7に記載の発明は、鋼板抜き板をシ
ャフト軸方向に積層してなる永久磁石回転子において、
鋼板抜き板に断面が円弧状辺を有する略四角形状の磁極
用打抜き部を複数個設け、これら磁極用打抜き部にボン
ド磁石流動体を充填して硬化させ、磁極を形成したもの
である。これにより、ボンド磁石の低エネルギー密度特
性による動作磁束密度の低下を、限られた回転子寸法の
中で磁極の表面積を増やすことにより補うことができ
る。即ち、動作磁束密度を増加できる。
【0018】請求項8に記載の発明は、鋼板抜き板をシ
ャフト軸方向に積層してなる永久磁石回転子において、
前記鋼板抜き板に複数の断面円形状の磁極用打抜き部を
設け、これら磁極用打抜き部にボンド磁石流動体を充填
して硬化させ、磁極を形成したものである。これによ
り、ボンド磁石の低エネルギー密度特性による動作磁束
密度の低下を、限られた回転子寸法の中で磁極の表面積
を増やすことにより補うことができる。即ち、動作磁束
密度を増加できる。
【0019】請求項9に記載の発明は、鋼板を積層した
永久磁石回転子において、磁極用打抜き部端面に燐酸鉄
或いは燐酸亜鉛処理(いわゆるパーカー処理)或いは腐
食処理などの表面処理により複雑な表面凹凸を形成した
後、ボンド磁石流動体を充填し、硬化させたものであ
る。これにより、一般に、ボンド磁石のバインダは樹脂
であるためキュアー処理により収縮硬化を生じ、鋼板積
層端面から遊離する傾向にあり、ひどい場合は磁極磁石
の剥離を起こすことがあるが、上記表面処理により鋼板
端面に凹凸を形成しておくことで、投錨効果により磁極
用磁石は鋼板表面に十分な強度で固定されることにな
り、温度履歴,衝撃などによって剥離することがなくな
る。
【0020】請求項10に記載の発明は、請求項1記載
の永久磁石回転子において、鋼板抜き板をシャフト軸方
向に積層した積層体の両端部或いは任意の間隔で設けら
れた前記抜き板の磁極用打抜き部に、その磁極用打抜き
部の内部に向かって突出する爪を設けたものである。こ
れにより、爪は、硬化した磁極用磁石内部にしっかりと
食い込み、高速運転時など、過大な力が或いは衝撃が加
わっても磁石の脱落は無く、安定した動作特性と耐久性
を付与できる。
【0021】請求項11に記載の発明は、請求項1記載
の永久磁石回転子において、鋼板抜き板をシャフト軸方
向に積層した積層体の両端部或いは任意の間隔で設けら
れた前記抜き板の磁極用打抜き部を、他の抜き板の磁極
用打抜き部より広くしたものである。この場合、磁極用
打抜き部を広げたことにより形成された空間(溝)に
は、ボンド磁石流動体が侵入し、硬化した時点でつば
(楔)となり、磁極用磁石を積層体にしっかり固定し、
脱落・振動を防止するため、高速運転時など、過大な力
が或いは衝撃が加わっても磁石の脱落は無く、安定した
動作特性と耐久性を付与できる。
【0022】請求項12に記載の発明は、鋼板抜き板を
シャフト軸方向に積層してなる永久磁石回転子におい
て、フープ状鋼板から磁極形状を打ち抜き、この磁極用
打抜き部にボンド磁石流動体を充填し、加圧成形処理を
行って硬化させて磁極を形成した後、回転子形状に打抜
くようにして永久磁石回転子用抜き板を製造するもので
ある。
【0023】請求項13に記載の発明は、請求項12記
載の永久磁石回転子用抜き板の製造方法において、磁極
用打抜き部にボンド磁石流動体を充填し、加圧成形処理
を行って硬化させる磁極形成連続工程間、フープ状鋼板
を磁化させるようにして永久磁石回転子用抜き板を製造
するものである。これにより、形成された磁極用磁石は
鋼板から複雑な圧縮力を受けた状態で安定させることが
でき、また、ボンド磁石のキュアー処理による収縮硬化
のため生じる鋼板抜き板端面からの磁極用磁石の剥離を
抑えることができる。
【0024】請求項14に記載の発明は、請求項13記
載の永久磁石回転子用抜き板の製造方法において、前記
磁極形成連続工程を行う設備に付帯して、前記設備を覆
うように或いは個々の設備間に、励磁ボックスを配置
し、この励磁ボックスに設置したコイルに通電すること
により前記フープ状鋼板を磁化させるようにして永久磁
石回転子用抜き板を製造するものである。これにより常
にフープ状電磁鋼板に対して圧延方向に磁化状態を維持
することができる。
【0025】請求項15に記載の発明は、請求項13記
載の永久磁石回転子用抜き板の製造方法において、前記
磁極形成連続工程区間に位置するフープ状鋼板の長手方
向両端に接するように磁気ヨークを配置し、この磁気ヨ
ークに巻回したコイルに通電することにより前記フープ
状鋼板を磁化させるようにしたものである。この場合、
磁化方向としては、請求項14と同様のフープ状鋼板の
圧延方向だけではなく、その直角方向にも可能となる。
【0026】請求項16に記載の発明は、請求項12記
載の永久磁石回転子用抜き板の製造方法において、磁極
用打抜き部にボンド磁石流動体を充填し、加圧成形処理
を行って硬化させて形成された磁極に対し、フープ状鋼
板の状態のまま着磁を行い、その後、回転子形状に打ち
抜くようにしたものである。これにより、着磁に必要な
電源容量が少なくて済み、作業性も向上する。
【0027】請求項17に記載の発明は、請求項16記
載の永久磁石回転子用抜き板の製造方法において、コイ
ルをトロイダルに巻いた励磁用ボックスを設置し、その
中にフープ状鋼板を流し、連続的に着磁を行うようにし
たものである。
【0028】請求項18に記載の発明は、請求項16記
載の永久磁石回転子用抜き板の製造方法において、着磁
対象である磁極の位置するフープ状鋼板の長手方向両端
に接するように磁気ヨークを配置し、この磁気ヨークに
巻回したコイルに通電することにより連続的に着磁を行
うようにしたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明を永久磁石回転電機
に適用した一実施形態について説明する。永久磁石回転
電機の横断面構造を概略的に示す図1において、電機子
1は鉄心2に形成されたスロット2a群にコイル3を収
納した構成となっており、その界磁空間内に、埋め込み
磁石型の磁極6を有する永久磁石回転子4が配置され
る。
【0030】永久磁石回転子4は、図2に示すように、
電磁鋼板抜き板7をシャフト軸方向に積層した後、磁極
用打抜き部7aにボンド磁石流動体(バインダーと磁石
粉との混合体)を注入・充填し、加圧成形・キュアー処
理を行って硬化させ、磁極6が形成されている。
【0031】この構成によれば、薄い電磁鋼板の積層体
である回転子の磁極用打抜き部に隙間無くボンド磁石
(流動体)が充填でき、鋳造・焼結磁石で工作上必要な
嵌め合いしろ及び積層体であるがための打抜き部内面の
凸凹(抜き板7の相対ずれ)によるギャッブが生じな
い。この鋳造・焼結磁石に見られるギャップは設計時に
予測不能であり、当然そのギャップによる磁石性能の低
下も予測できない。これらギャップは、磁石の動作磁束
密度(即ち、エネルギー密度)を低下させ、また、減磁
界が発生するため磁石安定性を悪化させる、いわゆるギ
ャップ効果をもたらす。
【0032】本実施形態では、このようなギャップの発
生が無いだけでなく、鋳造・焼結磁石でよく経験する、
磁石が磁極用打抜き部7a形状に合わない時に行う研削
加工による磁石寸法出しの必要性がなくなる。さらに、
積層体であるがための打抜き部7a内面の凸凹(抜き板
7の相対ずれ)が、ボンド磁石流動体の流入により、返
って磁石の投錨効果をもたらし、磁石の剥離、抜け落ち
が防止される。
【0033】図3には、本発明の請求項2に対応する実
施形態を説明する、永久磁石回転子の横断面図を示す。
ボンド磁石は鋳造・焼結磁石に比べ、低エネルギー密度
であるため、それを補う目的に、磁極形状に近く、且つ
比較的相似であり、研削加工の必要の無い程度の単純形
状の鋳造・焼結磁石9を予め磁極用打抜き部7aに配置
した後、ボンド磁石8を注入・充填し、加圧成形・キュ
アー(硬化)処理を行う、いわゆる複合構造の磁極6a
としている。鋳造・焼結磁石9としては、現在最高のエ
ネルキー密度を有するネオジウム鉄ボロン磁石材料を用
いると良い。この複合磁石により、動作磁束密度は増大
し、回転機の出力の増大または小型化が達成できる。ま
た着磁した鋳造・焼結磁石9を用いた場合、注入された
ホンド磁石8は、鋳造・焼結磁石9の発生する磁界によ
り配向され、磁極磁化方向に対してエネルギー密度が向
上する、即ち、発生磁束密度が増大する効果をも付帯す
る。 図4には、本発明の請求項3に対応する実施形態
を説明する、磁極6bとなる複合磁石の部分断面図を示
す。先に述べた複合磁石において、鋳造・焼結磁石9a
表面には抜け落ち防止のためスリット10(或いはパー
カー処理、サンドショットなどの表面処理でも良い)を
設け、ボンド磁石流動体8がスリット10及び表面凹凸
部内に充填されることによる投錨効果を付与させてい
る。
【0034】この投錨効果により、ボンド磁石8と鋳造
・焼結磁石9aとの界面のぬれ(接着力)が悪くても、
磁石が剥離、抜け落ちることはない。図5には、本発明
の請求項4に対応する実施形態を説明する、磁極6cと
なる複合磁石の部分断面図を示す。本実施形態では、動
作磁束密度を向上するために複雑な磁極形状を採用した
回転子に対しなされたもので、複合磁石構造をより効果
的にするために、ボンド磁石8に混合されている磁石粉
に比べ十分大きい磁石片体積を有する、鋳造・焼結磁石
或いは薄帯磁石を粉砕するなどして得た鋳造・焼結磁石
片9b、または、磁極寸法より十分小さな寸法に製造し
た鋳造・焼結磁石片9bを充填して磁極用打抜き部7a
のすみずみまで分布、配置させた後、ボンド磁石流動体
8を注入・充填し、加圧成形・キュアー処理を行った複
合磁石を磁極6cとしている。ボンド磁石8を用いた埋
め込みタイプでは、その低エネルギー密度特性を補うた
め、後述するラップタイプの磁極単胞の集合体などの複
雑な磁極形状を採る必要が出てくる。これに対して単純
形状の鋳造・焼結磁石を用いて複合磁石化すると、これ
によって高エネルギー密度化し発生磁束密度が増大する
部分と、ボンド磁石のみの、低エネルギー密度のままの
磁石部分とが混在し、発生磁束密度にはむらが生じるこ
とになる。この場合、脈動トルクの発生など、回転機の
正常な動作が阻害される。これを避けるためには、その
磁極形状に合わせるように、複合磁石化するための鋳造
・焼結磁石も製造する必要がある。即ち、設計段階で磁
極形状が決定される度に鋳造・焼結磁石を製造すること
なり、現実的とは言えない。しかしながら、本実施形態
によると、どのような複雑な磁極形状に対しても、鋳造
・焼結磁石9bを磁極6cのすみずみまで分散させるこ
とができ、高エネルギー密度特性を発揮させることがで
き、さらに発生磁束密度の大きさのむらが無くなり、そ
の脈動によるトルクリプルの発生を抑制することができ
る。
【0035】図6には、本発明の請求項5、6に対応す
る実施形態を説明する複合磁石の部分断面図を示す。請
求項5対応の実施形態では、鋳造・焼結磁石片9cを充
填した複合磁石において、鋳造・焼結磁石片9cに円形
断面の長尺寸法のもののみを用いる。円形断面であるた
め、磁極用打抜き部7aに乱雑に挿入しても高い空間占
績率を維持でき、本来、最密充填が可能な断面形状であ
る。従って、過度の作業性の困難さを伴わず、磁極用打
抜き部7aの中の鋳造・焼結磁石の占績率を高くでき、
さらに高いエネルギー密度特性を磁極6dに付帯させる
ことができる。また、ボンド磁石8とのなじみがよくな
り(ボイドの発生が少ない)、ボンド磁石8硬化時の界
面における応力増大、また、回転機運転時のボンド磁石
8と鋳造・焼結磁石片9cとの熱膨張率の違いに起因し
た熱応力の発生を抑制でき、クラックの発生、破損を防
止できる。
【0036】また、請求項6対応の実施形態では、鋳造
・焼結磁石片に球(ビーズ)形状のものを用いる。これ
によると、円形断面形状の長尺寸法のものを用いるのに
比べ、さらに作業性が上がり、且つ磁極用打抜き部の中
の鋳造・焼結磁石の占績率を高くでき、高エネルギー密
度特性を磁極に付帯させることができる。また、円形断
面形状の長尺寸法のものと同様に、ボンド磁石8とのな
じみがよくなり、ボンド磁石硬化時の界面における応力
増大、また、回転機運転時のボンド磁石と鋳造・焼結磁
石との熱膨張率の違いに起因した熱応力の発生を抑制で
き、クラックの発生、破損を防止できる。
【0037】図7は、本発明の請求項7に対応する実施
形態を説明する、磁極形状を示す横断面図である。永久
磁石回転子4に構成した磁極6eを断面が円弧状辺を有
する略四角形状の磁極単胞11の集合体とするため、電
磁鋼板抜き板7の磁極用打抜き部7aを円弧状辺を有す
る略四角形状とし、ボンド磁石流動体8を注入・充填
し、加圧成形・キユアー処理を行っている。この工程
は、鋳造・焼結磁石の場合一つずつ収めていかなければ
ならないが、ボンド磁石で磁極を形成する場合、たとえ
磁極単胞数が多くても一括注入方式を用いることで、そ
れほどの工数増加にはつながらない。この方式を用いる
と、ボンド磁石の低エネルギー密度特性による動作磁束
密度の低下を、限られた回転子寸法の中で磁極の表面積
を増やすことにより補うことができる。本実施形態で
は、回転子表面側および軸側にそれぞれ設けられた前・
後の円弧状磁極単胞11は1/2づつラップしており、
その表面積に比例して生じる磁束Φは加算されてロータ
表面においては、十分高い磁束密度に達する。即ち、回
転機の動作磁束密度を増加できるのである。
【0038】図8は、本発明の請求項8に対応する実施
形態を説明する、磁極形状を示す横断面図である。永久
磁石回転子4に構成した磁極を断面円形形状の磁極単胞
11の集合体とするため、電磁鋼板抜き板7の磁極用打抜
き部7aを円形形状とし、ボンド磁石流動体8を注入・
充填し、加圧成形・キュアー処理を行っている。これに
より、ボンド磁石の低エネルギー密度特性による動作磁
束密度の低下を、限られた回転子寸法の中で磁極の表面
積を増やすことにより補うことができる。本実施形態で
は、回転子表面側および軸側にそれぞれ設けられた前・
後の円形形状の磁極単胞11は密にラップしており、そ
の表面積に比例して生じる磁束Φは加算されて、ロータ
表面においては、十分高い磁束密度に達する。即ち、回
転機の動作磁束密度を増加できるのである。また、磁極
用打抜き部7aは円形断面であるため、ボンド磁石注入
後の占積率が高く、角部を持たないことから、衝撃など
に対し、十分な強度を有している。
【0039】図9は、本発明の請求項9に対応する実施
形態を説明する磁極形状を示す横断面図である。本実施
形態では、積層体にボンド磁石8を注入する前工程に
て、磁極用打抜き部7a端面に燐酸鉄或いは燐酸亜鉛処
理(いわゆるパーカー処理)或いは腐食処理などの表面
処理により複雑な表面凹凸12を形成しており、その
後、ボンド磁石流動体8を注入・充填し、加圧成形・キ
ュアー処理を行っている。ボンド磁石と電磁鋼板端面と
の界面でのぬれ性が悪いと、ボンド磁石8のバインダは
樹脂であるためキュアー処理により収縮硬化を生じ、電
磁鋼板積層端面から遊離し、ひどい場合は磁極用磁石の
剥離を起こす。しかしながら、上記表面処理により磁極
用打抜き部7a端面に凹凸12を形成しておくと、ボン
ド磁石8のバインダはその凹凸12に侵入し、硬化後、
その投錨効果により磁極用磁石は鋼板表面に十分な強度
で固定されることになる。従って、温度履歴,衝撃など
によって剥離することはない。
【0040】図10は、本発明の請求項10に対応する
実施形態を説明する、磁極近傍部分を示す縦断面図であ
る。ボンド磁石8で磁極を形成する場合、使用するバイ
ンダによっては硬化時大きな収縮を伴うケースがある。
このような場合、磁極用磁石は、回転子から脱落した
り、また、振動などにより破損し易くなる。本実施形態
は、電磁鋼板抜き板7をシャフト軸方向に積層した積層
体の両端部或いは任意の間隔で位置する抜き板7の磁極
用打ち抜き部7aに、打抜空間内部に向かって複数の爪
13を残し、積層後、爪13を軸方向に折り曲げたのち、
ボンド磁石流動体8を注入・硬化している。軸方向に折
り曲げた爪13は、硬化した磁極用磁石内部にしっかりと
食い込み、脱落・振動を防止するため、高速運転時な
ど、過大な力或いは衝撃が加わっても磁石の脱落は無
く、安定した動作特性と耐久性を付与できる。
【0041】図11は、本発明の請求項11に対応する
実施形態を説明する、磁極近傍部分を示す縦断面図であ
る。ボンド磁石8で磁極を形成する場合、使用するバイ
ンダによっては硬化時大きな収縮を伴うケースかある。
このような場合、磁極用磁石は、回転子から脱落した
り、また、振動などにより破損し易くなる。本実施形態
は、電磁鋼板抜き板7をシャフト軸方向に積層した積層
体の両端部或いは、任意の間隔で位置する抜き板7に磁
極用打抜き部7aを他より広げた抜き板7を用い、積層
後、ボンド磁石流動体8を注入・硬化している。磁極用
打抜き部7aを広げたことにより形成された空間(溝)
には、ボンド磁石流動体が侵入し、硬化した時点でつば
(楔)となり、磁極用磁石を積層体にしっかり固定し、
脱落・振動を防止するため、高速回転時など、過大な力
或いは衝撃力が加わっても磁石の脱落は無く、安定した
動作特性と耐久性を付与できる。
【0042】図12は、本発明の請求項12に対応する
実施形態を説明する、電磁鋼板抜き板7の素材となる帯
状のフープ状電磁鋼板14における磁極形成工程を示す
斜視図である。ボンド磁石8を用いた埋め込み磁石型回
転子を大型機に適用する場合、磁極6を形成した回転子
は大型になり、従って、大きな体積を持つ磁極用磁石を
形成しなければならず、注入条件及び加圧成形が困難に
なる。また、著しく複雑な磁極形状を採用した場合、ボ
ンド磁石流動体を注入し、キュアー処理を施すと、バイ
ンダである樹脂は収縮し引けを生じたり、或いはボイド
がそのまま残留したりして、磁極用磁石の性能低下或い
は強度低下を引き起こす。本実施形態は、フープ状電磁
鋼板14に対する磁極形成工程において、フープ状電磁
鋼板14から磁極形状を打ち抜き、シート部材のまま、
磁極用打抜き部7aにボンド磁石流動体8を注入・充填
した後、加圧成形・キュアー処理を行って硬化させ、磁
極6を形成した後、回転子形状に打ち抜き、電磁鋼板抜
き板7とするものである。積層する抜き板7単体で磁極
6を形成するため、引け、ボイドの発生を大幅に減少で
き、また、引け,ボイドがたとえ生じてもその抜き板7
を除いて積層することができる。また、ボンド磁石8の
硬化処理はセミキュアー状態であっても良い。その場
合、電磁鋼板抜き板7を積層して回転子を構成した後、
最終キュアーを行い、シート状になっている磁石界面間
を接着・バルク化すると、層間強度を向上できる。
【0043】図13は、本発明の請求項13に対応する
実施形態を説明する、フープ状電磁鋼板14の磁極付近
の、磁化による形状変化を示す模式図である。磁極用打
抜き部7aにボンド磁石流動体8を注入・充填した後、
加圧成形・(キュアー処理)を行って硬化させる磁極形
成連続工程間、フープ状電磁鋼板14を長手方向に磁界
Hを加え、磁化している。電磁鋼板は磁化方向に伸び
る、いわゆる磁気ひずみ特性を持ち、磁気ひずみを発生
させると、磁極用打抜き部7aは周囲の電磁鋼板部位と
ともに磁化方向に寸法が伸び、その直角方向に縮むなど
して変形する。この状態でボンド磁石8からなる磁極6
を形成すると、磁界を取り去り、磁化状態を解消した場
合、磁気ひずみがなくなり、磁極用打抜き部7a寸法は
もとの状態に戻る。そのため、形成された磁極用磁石は
電磁鋼板から複雑な圧縮力を受けた状態で安定する。ま
た、電磁鋼板が磁化することによって磁極用磁石に接す
る電磁鋼板端面に生じる磁極(N,S極)がボンド磁石
流動体8を吸引する。このような相乗効果により、ボン
ド磁石のバインダーが樹脂であるための、キュアーによ
る収縮硬化により生じる電磁鋼板抜き板7端面からの磁
極用磁石の剥離を抑えることができる。なお、電磁鋼板
の磁化は、磁気ひずみが1.8T以上の磁化で急増する
特徴があることから、それ以上の磁化、できれば飽和磁
束密度以上にまで磁化を上げた方が良い。これは、運転
時には動作磁束密度で磁化されることを併せて考えると
妥当である。特に電磁鋼板の磁化方向と磁極6の着磁方
向が一致した場合、電磁鋼板の磁極6に接する端面に生
じる磁極は、さらに、ボンド磁石の磁粉を着磁方向に配
向させる結果、磁極6のエネルギー密度を向上し、動作
磁束密度を増大する効果も付帯することになる。
【0044】図14は、本発明の請求項14に対応する
実施形態を説明する、フープ状電磁鋼板14における磁
極形成工程においてフープ状電磁鋼板14を磁化する方
法を示す斜視図である。図では、磁極形成工程の中で特
に重要であると考えられる、最終段階であるキュアー処
理部付近を記載している。
【0045】このフープ状電磁鋼板14の磁化は、コイ
ル16をトロイダルに巻いた励磁用ボックス15の中に
フープ状電磁鋼板14を流してなされ、さらに励磁用ボ
ックス15に付帯(磁石形成設備全体を覆うように或い
は各設備間に配置する)させて、一連の、ボンド磁石流
動体8の注入・充填・加圧成形・キュアー処理を経る磁
極形成連続工程設備が設置されるため、コイルに通電し
て得られる磁界は、磁極形成工程間、常にフープ状電磁
鋼板14に対して圧延方向に磁化状態を維持することが
できる。フープ状電磁鋼板14は圧延方向に当然十分長
く、また工程設備設置間よりも十分長くすることができ
るため、励磁用ボックス15の両端部で生じる磁界の低
下即ち、電磁鋼板の磁束密度の低下はほとんど生じな
い。実際には、磁極形成工程設備のうち、加圧成形、キ
ュアー処理部において設備が大型になる場合は、それら
設備を覆うように励磁ボックス15は設置しないが、そ
れら前後にある励磁ボックス15による磁界が未設置部
の電磁鋼板に対しても十分な大きさで加わっているた
め、未設置部に在するフープ状電磁鋼板14についても
十分に磁化されている。
【0046】図15は、本発明の請求項15に対応する
実施形態を説明する、フープ状電磁鋼板14における磁
極形成工程においてフープ状電磁鋼板14を磁化する方
法を示す斜視図である。本実施形態では、磁極形成連続
工程設備を通過するフープ状電磁鋼板14の両端に接す
るように磁気ヨーク17を配置し、この磁気ヨーク17
に巻回したコイル16に通電することで、磁気ヨーク1
7を介して、フープ状電磁鋼板14を磁化するものであ
る。図では、磁極形成工程の中で特に重要であると考え
られる、最終段階であるキュアー処理部付近を記載して
いる。
【0047】また、磁化方向としては、フープ圧延方向
だけではなく、その直角方向にも可能である。一般に電
磁鋼板の磁気ひずみは圧延方向よりもその直角方向が格
段に大きく、磁極用磁石に加わる磁気ひずみに起因した
圧縮力はそれだけ大きくすることができる。
【0048】図16は、本発明の請求項16に対応する
実施形態を説明する、フープ状電磁鋼板14に形成され
た磁極用磁石の着磁方法を示す模式図である。フープ状
電磁鋼板14に、磁極用打抜き部7aにボンド磁石流動
体8を注入・充填・加圧成形・キュアー処理を行って硬
化して、磁極6を形成した後、フープ状態のまま磁極6
に対して、コイル16に通電することで大きな磁界を付
加し、着磁をしている。また、その後、回転子形状に打
ち抜いている。
【0049】ボンド磁石8を用いた埋め込み磁石型回転
子を大型機に適用する場合、磁極6を形成した回転子は
大型になり、従って、大きな体積を持つ磁極用磁石を着
磁することになる。そうすると、着磁するために巨大な
装置が必要となり、また、投入する電力も莫大なものと
なって、現実として、埋め込み磁石型の永久磁石回転子
の製造が不可能である。特にボンド磁石では、着磁に要
する磁界は鋳造・焼結磁石のそれに比べて格段に大き
く、回転機の容量・回転子形状によっては積層体とした
後にそれを実行することが非常に困難な場合が少なくな
い。そのような場合、積層する前の一枚板で着磁する
と、着磁に必要な電源容量が少なくて済む。本実施形態
では、フープ状態で実施するものであるが、これによる
と、回転子形状に抜いた抜き板7で着磁するよりもさら
に容易に着磁することができる。即ち、抜き板状態では
円弧状切断形状をしており、この切断部が一般には磁極
近傍に存在するため、さらに抜き板7ではシャフト装着
用の抜き穴が存在するため、その切断部がギャッブとな
って着磁磁界(磁化力)を吸収して磁極6に加わる磁界
が減少してしまう。また、回転機容量などにより回転子
寸法が異なるため、それぞれに専用の着磁器が必要であ
り、流用するにしても、逐次着磁器ポールの位置調整が
必要となる。しかしながら、フープ状態で着磁すると、
切断によるギャップが存在せず、また、仕上がり後の回
転子形状・寸法に拘わらず着磁を行うことができる。
【0050】図17は、本発明の請求項17に対応する
実施形態を説明する、フープ状電磁鋼板14に形成され
た磁極用磁石の着磁方法を示す斜視図である。磁極6を
形成したフープ状電磁鋼板14は、コイル16をトロイ
ダルに巻いた励磁用ボックス18に導かれ、コイルに通
電することによって長手方向に磁界を発生して連続的に
着磁を行っている。フープ状電磁鋼板14は圧延方向に
当然十分長く、ギャップが存在しないため、励磁用ボッ
クス18の両端部で生じる磁界の低下がなく、均一な磁
界を付与でき、さらに磁界のすべてを磁極6に加えるこ
とができる。
【0051】図18は、本発明の請求項18に対応する
実施形態を説明する、フープ状電磁鋼板14に形成され
た磁極用磁石の着磁方法を示す斜視図である。磁極6を
形成したフープ状電磁鋼板14に対して、磁極の位置す
るフープ状電磁鋼板14の両側鋼板面に接するように磁
気ヨーク17を配置し、ヨーク17に巻回したコイル1
6に通電することで、磁気ヨーク17を介して、着磁に
十分な磁界を磁極6に加えるものである。この場合、着
磁方向は任意に変えることができるが、本実施形態で
は、フープ長手方向に対して直角方向に着磁方向を採っ
ている。本実施形態は、製造設備上フープを十分に長く
伸ばすことができない場合に特に有効である。
【0052】
【発明の効果】以上本発明によれば、磁石と鋼板積層体
に形成した磁極用溝との隙間により生じる磁石特性の低
下を避けることができ、また、構成された積層体回転子
の界磁磁束密度を向上させ、また、埋め込み磁石型の製
造を容易にした永久磁石回転子を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久磁石回転電機の横断面図。
【図2】本発明の実施形態を示す永久磁石回転子の斜視
図。
【図3】本発明の実施形態を示す永久磁石回転子の横断
面図。
【図4】本発明の実施形態を示す複合磁石の部分断面
図。
【図5】本発明の実施形態を示す複合磁石の部分断面
図。
【図6】本発明の実施形態を示す複合磁石の部分断面
図。
【図7】本発明の実施形態を示す磁極部横断面図。
【図8】本発明の実施形態を示す磁極部横断面図。
【図9】本発明の実施形態を示す磁極部横断面図。
【図10】本発明の実施形態である、磁極近傍部分を示
す縦断面図。
【図11】本発明の実施形態である、磁極近傍部分を示
す縦断面図。
【図12】本発明の実施形態である、磁極形成工程を示
す斜視図。
【図13】本発明の実施形態よる、磁極付近の形状変化
を示す模式図。
【図14】本発明の実施形態である、電磁鋼板の磁化方
法を示す斜視図。
【図15】本発明の実施形態である、電磁鋼板の磁化方
法を示す斜視図。
【図16】本発明の実施形態である、磁極の着磁方法を
示す模式図。
【図17】本発明の実施形態である、磁極の着磁方法を
示す斜視図。
【図18】本発明の実施形態である、磁極の着磁方法を
示す斜視図。
【符号の説明】
1…電機子、2…鉄心、2a…スロット、3…コイル、
4…永久磁石回転子 5…シャフト、6…(埋め込み磁石型)磁極、7…電磁
鋼板抜き板 8…ボンド磁石、9…鋳造・焼結磁石、9b…鋳造・焼
結磁石、10…スリット、11…磁極単胞、12…表面
凹凸、13…爪、14…フープ状電磁鋼板、15,18
…励磁ボックス、16…コイル、17…磁気ヨーク、H
…磁界、Ф…磁束。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層して
    なる永久磁石回転子において、前記鋼板抜き板に設けた
    磁極用打抜き部にボンド磁石流動体を充填して硬化さ
    せ、磁極を形成したことを特徴とする永久磁石回転子。
  2. 【請求項2】 鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層して
    なる永久磁石回転子において、前記鋼板抜き板に設けた
    磁極用打抜き部に、その空間より小さい鋳造・焼結磁石
    を配置した後、ボンド磁石流動体を充填し硬化させて磁
    極を形成したことを特徴とする永久磁石回転子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の永久磁石回転子におい
    て、前記鋳造・焼結磁石の表面にスリット或いは燐酸鉄
    或いは燐酸亜鉛処理などの表面処理により表面凹凸を付
    与したことを特徴とする永久磁石回転子。
  4. 【請求項4】 鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層して
    なる永久磁石回転子において、前記鋼板抜き板に設けた
    磁極用打抜き部に、複数の小断面形状を有する鋳造・焼
    結磁石片を配置した後、ボンド磁石流動体を充填し硬化
    させて磁極を形成したことを特徴とする永久磁石回転
    子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の永久磁石回転子におい
    て、前記鋳造・焼結磁石片を、円形断面を持つ長尺寸法
    形状としたことを特徴とする永久磁石回転子。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の永久磁石回転子におい
    て、前記鋳造・焼結磁石片を球形状としたことを特徴と
    する永久磁石回転子。
  7. 【請求項7】 鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層して
    なる永久磁石回転子において、前記鋼板抜き板に断面が
    円弧状辺を有する略四角形状の磁極用打抜き部を複数個
    設け、これら磁極用打抜き部にボンド磁石流動体を充填
    して硬化させ、磁極を形成したことを特徴とする永久磁
    石回転子。
  8. 【請求項8】 鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層して
    なる永久磁石回転子において、前記鋼板抜き板に複数の
    断面円形状の磁極用打抜き部を設け、これら磁極用打抜
    き部にボンド磁石流動体を充填して硬化させ、磁極を形
    成したことを特徴とする永久磁石回転子。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の永久磁石回転子におい
    て、磁極用打抜き部端面に燐酸鉄或いは燐酸亜鉛処理な
    どにより表面凹凸を形成したことを特徴とする永久磁石
    回転子。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の永久磁石回転子におい
    て、鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層した積層体の両
    端部或いは任意の間隔で設けられた前記抜き板の磁極用
    打抜き部に、その磁極用打抜き部の内部に向かって突出
    する爪を設けたことを特徴とする永久磁石回転子。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の永久磁石回転子におい
    て、鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層した積層体の両
    端部或いは任意の間隔で設けられた前記抜き板の磁極用
    打抜き部を、他の抜き板の磁極用打抜き部より広くした
    ことを特徴とする永久磁石回転子。
  12. 【請求項12】 鋼板抜き板をシャフト軸方向に積層し
    てなる永久磁石回転子において、フープ状鋼板から磁極
    形状を打ち抜き、この磁極用打抜き部にボンド磁石流動
    体を充填し、加圧成形処理を行って硬化させて磁極を形
    成した後、回転子形状に打抜くことを特徴とする永久磁
    石回転子用抜き板の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の永久磁石回転子用抜
    き板の製造方法において、磁極用打抜き部にボンド磁石
    流動体を充填し、加圧成形処理を行って硬化させる磁極
    形成連続工程間、フープ状鋼板を磁化させることを特徴
    とする永久磁石回転子用抜き板の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の永久磁石回転子用抜
    き板の製造方法において、前記磁極形成連続工程を行う
    設備に付帯して、前記設備を覆うように或いは個々の設
    備間に、励磁ボックスを配置し、この励磁ボックスに設
    置したコイルに通電することにより前記フープ状鋼板を
    磁化させることを特徴とする永久磁石回転子用抜き板の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の永久磁石回転子用抜
    き板の製造方法において、前記磁極形成連続工程区間に
    位置するフープ状鋼板の長手方向両端に接するように磁
    気ヨークを配置し、この磁気ヨークに巻回したコイルに
    通電することにより前記フープ状鋼板を磁化させること
    を特徴とする永久磁石回転子用抜き板の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項12記載の永久磁石回転子用抜
    き板の製造方法において、磁極用打抜き部にボンド磁石
    流動体を充填し、加圧成形処理を行って硬化させて形成
    された磁極に対し、フープ状鋼板の状態のまま着磁を行
    い、その後、回転子形状に打ち抜いたことを特徴とする
    永久磁石回転子用抜き板の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の永久磁石回転子用抜
    き板の製造方法において、コイルをトロイダルに巻いた
    励磁用ボックスを設置し、その中にフープ状鋼板を流
    し、連続的に着磁を行うことを特徴とする永久磁石回転
    子用抜き板の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の永久磁石回転子用抜
    き板の製造方法において、着磁対象である磁極の位置す
    るフープ状鋼板の長手方向両端に接するように磁気ヨー
    クを配置し、この磁気ヨークに巻回したコイルに通電す
    ることにより連続的に着磁を行うことを特徴とする永久
    磁石回転子用抜き板の製造方法。
JP9104085A 1997-04-22 1997-04-22 永久磁石回転子及び永久磁石回転子用抜き板の製造方法 Pending JPH10304610A (ja)

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