JPH10303693A - Sawマッチドフィルタ - Google Patents

Sawマッチドフィルタ

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Publication number
JPH10303693A
JPH10303693A JP10490097A JP10490097A JPH10303693A JP H10303693 A JPH10303693 A JP H10303693A JP 10490097 A JP10490097 A JP 10490097A JP 10490097 A JP10490097 A JP 10490097A JP H10303693 A JPH10303693 A JP H10303693A
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JP
Japan
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electrode
electrodes
matched filter
saw
common
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Pending
Application number
JP10490097A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Takeuchi
嘉彦 竹内
Kazuhiko Yamanouchi
和彦 山之内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Radio Co Ltd
Original Assignee
Japan Radio Co Ltd
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Publication date
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  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】インパルス応答の補正がなされて、インパルス
応答の振幅の変化が抑制されたSAWマッチドフィルタ
を提供する。 【解決手段】予め定めた特性を呈し、かつSAWの遅延
時間を互いに異ならしめるように設けた複数の符号化電
極34n と各符号化電極34n を構成する一方側の電極
指が電気的に接続される共通電極32を分割して分割電
極321 、322、323 、324 、325 とし、分割
電極322 上にキャパシタ41 を形成しキャパシタ41
と分割電極321 とボンディング・ワイヤ51 によって
接続し、分割電極323 上にキャパシタ42 を形成しキ
ャパシタ42 と分割電極322 とボンディング・ワイヤ
2 によって接続し、分割電極324 上にキャパシタ4
3 を形成しキャパシタ43 と分割電極323 とボンディ
ング・ワイヤ53 によって接続し、分割電極325 上に
キャパシタ44 を形成しキャパシタ43 と分割電極32
4 とボンディング・ワイヤ54 によって接続し、分割電
極325 と共通電極33とから出力を取り出すようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波(SA
W)を利用したSAWマッチドフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスペクトル拡散(以下、スペクト
ル拡散をSSとも記す)通信復調用SAWマッチドフィ
ルタは図8に示すように構成されている。従来のSAW
マッチドフィルタは圧電基板1上に設けられたすだれ状
の入力電極(IDT)2と出力電極100とから構成さ
れている。出力電極100は複数の電極指からなり、か
つ予め定めた特性を呈し、かつSAWの遅延時間と互い
に異ならしめるように設けた複数の符号化電極10
1 、1032 、…、103N と符号化電極1031
1032 、…、103N の電極指の一方が電気的に接続
される共通電極101と符号化電極1031 、10
2 、…、103N の電極指の他方が電気的に接続され
る共通電極102とから構成されている。
【0003】ここで、予め定めた特性を持たせるため
に、符号化電極1031 、1032 、…、103N は符
号化電極相互の電極の間隔が互いに異なるように設定し
てあっても、または共通電極に接続される各符号化電極
1031 、1032 、…、103N のそれぞれを形成す
る電極指をたとえば入れ換えるようにするなど、電極指
構造が異なるように設定してあってもよい。
【0004】なお、本明細書において、Nは符号化電極
の総数を示し、nは入力電極2側から第n番目の符号化
電極であることを示す。N、nは自然数である。
【0005】上記のように構成された従来のSAWマッ
チドフィルタにおいて、入力端子より供給された電気信
号は、入力電極2にてSAWに変換され、SAWは圧電
基板1上を伝搬する。この伝搬路に離散状に配置され
た、出力電極100を形成する符号化電極1031 、1
032 、…、103N を通過する際に、SAWのエネル
ギーの一部を電気信号に変換し、共通電極101および
102にて加算されて出力端子より出力される。
【0006】ここで、1ビットのデータをNチップの拡
散符号で位相変調した信号に対するSAWマッチドフィ
ルタについて説明する。
【0007】1チップの時間幅をτC とすると、1チッ
プ当たりの信号fC (t,φn )は次の(1)式によっ
て与えられる。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、信号はf0 がキャリア周波数で、
時刻t0 の初期位相はφ0 で時刻t 0 +τc まで信号が
続き、位相φn の変調が施されている。従って、Nチッ
プ分1ビットに対応するSS信号fss(t)は、次の
(2)式によって表わされる。
【0010】
【数2】
【0011】ここでは、簡単化のためチップ時間τc
キャリア周波数の1周期の整数倍とする。この信号のフ
ーリエ変換Fss(ω)は、
【0012】
【数3】
【0013】をfのフーリエ変換としたとき、下記の
(3)式によって表わされる。
【0014】
【数4】
【0015】この信号のSAWマッチドフィルタの周波
数応答FM (ω)は、FSS * (ω)をFSS(ω)の複素
共役として、下記の(4)式のようになる(G.L.Turin,
"AnIntroduction to Matched Filters," IRE Trans. I
nform. Theory, IT-6, pp.311-329 (1960) )。
【0016】
【数5】
【0017】ここで、T0 はインパルス応答を時間軸上
で負の領域に持ち込まないためのバイアス遅延時間であ
る。
【0018】したがって、マッチドフィルタのインパル
ス応答fM (t)は、次の(5)式にて表現できる。
【0019】
【数6】
【0020】(5)式から、マッチドフィルタのインパ
ルス応答は、入力信号1チップ分の信号の時間反転波形
を時間T0 より−τC の時間間隔で配置され、各々の波
形に−φn の位相分を与えたものである。
【0021】ここで、このマッチドフィルタをSAW素
子で実現する場合、fC (−t,0)なるインパルスを
入力電極に印加するとするならば、出力電極は理想的に
はデルタ関数特性をもつ電極を距離間隔τC ・vS で、
入力電極に遠い側からそれぞれ−φn (n=1,2,
…,N)の位相を持って配置すればよい。vs はSAW
の音速である。実際にはデルタ関数特性を実現すること
は困難であるため、利用周波数帯域以上の帯域を持つ符
号化電極にて実現できる。
【0022】このような構成により得られたSAWマッ
チドフィルタのインパルス応答を図9に示す。横軸は時
間、縦軸は対数表示した振幅である。符号化電極のある
時間範囲においてほぼ振幅一定のインパルス応答が得ら
れている。
【0023】図9の例は、温度特性の良好なSTカット
水晶(以下、ST水晶と記す)を用いた場合である。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】一方、最近のSAWマ
ッチドフィルタは民生用途に利用されるため、小型軽
量、低消費電力が求められる。ここで、SAWマッチド
フィルタを低消費電力化するため、挿入損失を低減する
必要がでてきている。電気機械結合係数の大きな材料を
用いて、例えば128°回転Y板X方向伝搬ニオブ酸リ
チウム(LiNbO 3 )基板を用いて低損失化を図った
例のインパルス応答を図10に示す。
【0025】図10から、このSAWマッチドフィルタ
のインパルス応答は時間と共に振幅が減少しており、実
際の信号を入力した際、信号の拡散通信における復調器
(Y.Takeuchi, K.Yamanouchi, "High Data Rate Spread
Spectrum Demodulators using Low-Loss SAW Matched
Filters," 1996 IEEE Intrn. Symp. Spread SpectrumTe
ch. & Appli. Proc., pp.725-729 (1996))において、
データを連続する2ビット間の位相差により変復調する
差動位相変調した信号に対するスペクトル拡散復調器に
おいて、2ビット間の振幅差により生ずる不要な相関パ
ルスが発生するという問題点が生ずる。
【0026】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、インパルス応答の補正がなされて、
時間の経過にかかわらずインパルス応答の振幅の変化が
抑制されたSAWマッチドフィルタを提供することを目
的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるSAWマ
ッチドフィルタは、予め定めた特性を呈し、かつSAW
の遅延時間を互いに異ならしめるように設けた複数の符
号化電極と各符号化電極を構成する一方側の電極指が電
気的に接続される第1共通電極と各符号化電極を構成す
る他方側の電極指が電気的に接続される第2共通電極と
によって入力電極または出力電極を構成したSAWマッ
チドフィルタにおいて、第1共通電極または第2共通電
極によって生ずる位相遅延を補償する位相補償手段を備
えたことを特徴とする。
【0028】本発明にかかるSAWマッチドフィルタ
は、第1共通電極または第2共通電極によって生ずる位
相遅延が位相補償手段によって補償される。この結果、
共通電極による位相遅延はなくなり、インパルス応答の
振幅が変化していく傾向がなくなって、インパルス応答
の補正がなされる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるSAWマッ
チドフィルタを実施の形態によって説明する。
【0030】図1(A)および(B)は本発明の実施の
一形態にかかるSAWマッチドフィルタの構成および本
発明の実施の一形態にかかるSAWマッチドフィルタの
変形例の構成を示す斜視図である。
【0031】図1(A)および(B)において、20A
および20BはSAWマッチドフィルタであり、符号1
は圧電基板、符号2は入力電極、符号30Aおよび30
Bは出力電極であり、符号341 、342 、343 、3
4 、345 は符号化電極である。
【0032】図1(A)に示すSAWマッチドフィルタ
20Aは、圧電基板1上にすだれ状の入力電極2と出力
電極30Aとが形成してある。出力電極30Aは、複数
の電極指からなり、かつ符号化電極341 、342 、3
3 、344 、345 と、一方側の共通電極32を構成
する分割された分割共通電極(以下、単に分割電極とも
記す)321 、322 、323 、324 、325 と、他
方側の共通電極33とからなり、分割電極321 、32
2 、323 、324 、325 にはそれぞれの符号化電極
341 、342 、343 、344 、345 の電極指の一
方側が各別に電気的に接続してあり、他方側の共通電極
33には符号化電極341 、342 、343 、344
345 の電極指の他方側が電気的に接続してある。
【0033】ここで、予め定めた特性を持たせるために
符号化電極341 、342 、343、344 、345
符号化電極相互の電極間隔が互いに異なるように設定し
てあっても、または符号化電極341 、342 、3
3 、344 、345 をそれぞれ形成する電極指間の間
隔が異なるように設定してあってもよい。
【0034】なお、図1において、符号化電極が5個の
場合を例示しており、一般的N個の場合においては、前
記したように、Nは符号化電極の総数を示し、nは入力
電極2側から第n番目の符号化電極であることを示し、
符号化電極34n と記してある。
【0035】分割電極322 、323 、324 および3
5 のそれぞれには、板厚み方向に平行平板を持ち電極
との間に誘電体としてSiO2 を有するコンデンサで構
成されたキャパシタ41 、42 、43 、44 が形成して
あって、分割電極322 に形成されたキャパシタ41
分割電極321 とをボンディング・ワイヤ51 で電気的
に接続し、分割電極323 に形成されたキャパシタ42
と分割電極322 とをボンディング・ワイヤ52 で電気
的に接続し、分割電極324 に形成されたキャパシタ4
3 と分割電極323 とをボンディング・ワイヤ53 で電
気的に接続し、分割電極325 に形成されたキャパシタ
4 と分割電極324 とをボンディング・ワイヤ54
電気的に接続してあって、分割電極325 と共通電極3
3とから出力を取り出すように構成してある。
【0036】このようにして、分割電極321 、3
2 、323 、324 、325 の各間はボンディング・
ワイヤ51 、52 、53 、54 を介してキャパシタ
1 、42 、43 、44 で電気的に接続された状態にし
て、共通電極32を構成している。
【0037】なお、図1において、21は入力信号源
を、22は入力信号源の出力抵抗を、23は負荷抵抗を
示している。
【0038】上記のように、分割電極321 、322
323 、324 、325 の各間はキャパシタ41
2 、43 、44 でボンディング・ワイヤ51 、52
3 、5 4 を介して電気的に接続することによって、一
体的に構成された従来の一方の共通電極51がもつ誘導
性リアクタンスがこのキャパシタ41 、42 、43 、4
4による容量性リアクタンスで相殺された状態となる。
【0039】また、図1(B)に示すSAWマッチドフ
ィルタ20Bは、SAWマッチドフィルタ20Aにおけ
る共通電極33も、符号化電極341 、342 、3
3 、344 、345 の電極指の他方側の各電極指が接
続される分割電極331 、332、333 、334 、3
5 に分割してあって、分割電極331 、332 、33
3、334 、335 に符号化電極341 、342 、34
3 、344 、345 の電極指の他方側の各電極指が各別
に電気的に接続してある。
【0040】分割電極332 、333 、334 および3
5 のそれぞれには、板厚み方向に平行平板を持ち電極
との間に誘電体としてSiO2 を有するコンデンサで構
成されたキャパシタ411、412、413、414が形成して
あって、分割電極332 に形成されたキャパシタ411
分割電極331 とをボンディング・ワイヤ511で電気的
に接続し、分割電極333 に形成されたキャパシタ412
と分割電極332 とをボンディング・ワイヤ512で電気
的に接続し、分割電極334 に形成されたキャパシタ4
13と分割電極333 とをボンディング・ワイヤ513で電
気的に接続し、分割電極335 に形成されたキャパシタ
14と分割電極334 とをボンディング・ワイヤ514
電気的に接続してあって、分割電極325 と分割電極3
5 から出力を取り出すように構成してある。
【0041】したがって、SAWマッチドフィルタ20
Bにおいて、分割電極321 、32 2 、323 、3
4 、325 の各間はキャパシタ411、412、413、4
14でボンディング・ワイヤ511、512、513、514を介
して電気的に接続されることになって、一体的に構成さ
れた従来の共通電極51および62がもつ誘導性リアク
タンスがキャパシタ41 、42 、43 、44 、411、4
12、413、414で相殺された状態となる。
【0042】ここで、本出願の発明者は、低損失SAW
マッチドフィルタの電気的な再励起効果を解析するため
符号化電極の時間応答を直接求める直接時間解析法を提
案している(竹内嘉彦、山之内和彦「SAW整合フィル
タの符号化電極におけるSAW伝搬特性」、第17回超
音波エレクトロニスの基礎と応用に関するシンポジウ
ム、PF8(1996))。
【0043】これまで、SAW素子の入出力インピーダ
ンス特性、通過特性を計算する上で有効な手段としてSm
ith の等価回路解析(W.R.Smith,H.M.Gerard,J.H.Colli
ns,T.M.Reeder,H.J.Shaw, "Analysis and Design of Di
spersive Interdigital Surface Wave Transducers," I
EEE Trans. Microwave Theoroy & Tech.,MTT-20, No.7,
pp.458-471 (1792) )がよく知られているが、SAWマ
ッチドフィルタの符号化電極間の再励起効果を含むパワ
ー・フローを計算するためには煩雑な操作が必要であ
る。
【0044】これに対して、本出願の発明者による上記
の直接時間解析法はSAWマッチドフィルタの時間応答
を直接求める手法を提案したものである。これについて
説明する。
【0045】SAWマッチドフィルタにおいて、符号化
電極34n を構成する対をなす電極指(以下、対をなす
電極指を単に電極指とも記す)は符号変調単位(1チッ
プ長)に対応する遅延時間を得る位置関係で離散的に配
置される。数対により構成される符号化電極34n の電
極指に対して、符号1チップの時間幅は充分長く、符号
化電極34n の電極指は定常状態として単一キャリア周
波数の散乱行列のみで表現できる。また、再励起は共通
電極の電極指の散乱行列を用いて計算できる。一方、符
号化電極34n の電極指の音響ポートからの入力は、符
号化電極34nの電極指間の遅延時間により1チップ前
の信号が入力されるため、符号化電極34n の電極指間
の散乱行列の縦続接続の計算は必要ない。
【0046】以下、式に用いる符号と明細書中の称呼と
の対応を、下記の表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】ここで、符号化電極34n の電極指を表す
散乱行列を次の(6)式に示すように決め、それぞれS
ijn と表わす。
【0049】
【数7】
【0050】符号化電極を無損失と仮定し、相反性を考
慮する(R.L.Rosenberg, "Wave-Scattering Properties
of Interfigital SAW Transducers," IEEE Trans. Soi
ns &Ultrason.,Vol.SU-28,No.1,pp.26-41 (1981) )。
SAWマッチドフィルタの構成上、キャリア周波数で、
符号化電極34n の電極指はSAWが正確に同相もしく
は逆相となるように配置されるため、符号化電極34n
の電極指間の位相整合を考慮して、∠S21n =∠S12n
=0となるよう、散乱行列に伝搬路の一部を付加して表
す。
【0051】図2を用いて、入力電極2側からn番目の
符号化電極34n で例示して説明する。
【0052】(n−1)番目の符号化電極からn番目の
符号化電極の音響ポートへの入力をan1(ここでnは入
力電極2側から第n番目の符号化電極を示し、添字1は
ポート番号を示す。以下、同様である)とし、(n+
1)番目の符号化電極からn番目の符号化電極の音響ポ
ートへの入力をan2とし、共通電極51からn番目の符
号化電極への入力をan3とし、n番目の符号化電極から
(n−1)番目の符号化電極への出力をbn1とし、n番
目の符号化電極から(n+1)番目の符号化電極からの
入力をbn2とし、n番目の符号化電極から共通電極51
への出力をbn3として、出力のベクトルbn ハットは符
号化電極の散乱行列Sijn を用いて、ベクトルan ハッ
トから(7)式で示される。ここで、ベクトルbn ハッ
トは(8)式、ベクトルan ハットは(9)式で示され
る。
【0053】(7)式で示すように、出力のベクトルb
n ハットは入力のベクトルan ハットに基づいて定めら
れる。この場合に、入力an3、出力bn3が共通電極51
に関係している。
【0054】
【数8】
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】次に、符号化電極34n の電極指をつなぐ
共通電極32′(符号32′は共通電極32に対応する
が、分割されていない共通電極を示す)はN個の符号化
電極34n の電極指および出力端子により、(N+1)
行×(N+1)列の散乱行列SEij は(10)式のよう
に表わせて、符号化電極の電極指間の位相遅延を考慮し
て各要素は複素数とし、無損失、相反性を仮定する。こ
こで、散乱行列SEijの添字Eは共通電極に対するもの
であることを示している。
【0058】
【数11】
【0059】共通電極32′から符号化電極34n へ送
出される出力のベクトルaN3ハットは共通電極32′の
散乱行列SEij を用いてベクトルbN3ハットから(1
1)式で示される。ここで、出力のベクトルaN3ハット
は(12)式に示す如くであり、入力のベクトルbN3
ットは(13)式に示す如くである。
【0060】
【数12】
【0061】
【数13】
【0062】
【数14】
【0063】符号化電極34n の電極指間を右向き方向
(順方向)に伝搬するSAWをA(n,mt )、左向き
方向(逆方向)に伝搬するSAWをB(n,mt )で表
す。ここで、mt は時間を示す整数で、SAWが隣り合
う符号化電極を伝搬する時間幅を単位とする。an1、b
n1、A(n,mt )、B(n,mt )との関係は、下記
の(14a)式、(14b)式となる。
【0064】 an1=A(n,mt ), an2=B(n,mt ) …(14a) A(n+1,mt +1)=bn2, B(n−1,mt +1)=bn1 …(14b) となる。ここで(14a)式は符号化電極34n におけ
る入力、出力と順方向表示、逆方向表示との関係を示
し、(14b)式は隣接する符化号電極(n+1)と符
号化電極34n との間における例えば出力bn2と入力a
(n+1)1との関係を示している。
【0065】符号化電極34n の下記の(15)式に示
す初期状態(順方向および逆方向からの入力はなしとの
初期条件)および両端音響ポートの下記の(16)式に
示す初期状態(n=1の符号化電極341 の入力側音響
ポートからもn=Nの符号化電極34N の出力側音響ポ
ートからも入力なしとの初期条件)のもとに、 A(n,0)=0,B(n,0)=0 …(15) A(1,mt )≡0,B(N+1,mt )≡0 …(16) 共通電極32′の電気ポートからの入力を次の(17
a)式、(17b)式、(17c)式とする。
【0066】 b(N+1,1)=1,b(N+1,mt ≠1)=0 …(17a) b(N+1,mt )=1 …(17b) b(N+1,mt )=C(mt ),(C(mt )=±1は符号値) …(17c) ここで、b(N+1,mt )は時間mt における電気ポ
ートからの入力信号b (N+1)3を表すものとする。
【0067】符号化電極34n の電極指の散乱行列S
ijn および共通電極32′の散乱行列SEij を用いて、
入力を(17a)式とすることにより、チップ時間長の
バースト信号応答が求まり、(17b)式とすることに
より、左右音響ポートへの方向性を含めた変換効率およ
び入力インピーダンスが求まる。また、入力を(17
c)式とすることにより符号化信号応答を求めることが
できる。
【0068】上記の解析、特に(17a)式、符号化電
極34n の散乱行列Sijn および共通電極32′の散乱
行列SEij を用いた解析によって、インパルス応答を求
めると、共通電極32′が誘導性リアクタンスを持つ場
合、インパルス応答の後半部(B部分)が振幅において
減衰することが示され(図3(A)参照)、共通電極3
2′が容量性リアクタンスを持つ場合、インパルス応答
の前半部(C部分)が振幅において減少することが判る
(図3(B)参照)。
【0069】ここで、図10においてインパルス応答の
後半(A部分)の振幅が減少していることから、共通電
極が誘導性リアクタンスを持つものと考えられる。
【0070】共通電極32′が誘導性リアクタンスを持
つ場合、インパルス応答の後半部(B部分)が振幅にお
いて減衰することは、符号化電極34n は、相互間が近
距離配置とされるため、容量性リアクタンスを持ち、共
通電極が誘導性リアクタンスの場合、共通電極32′と
符号化電極34n とによって、LC構造の遅延回路を構
成するためであるとも考えられる。
【0071】また、図9においてインパルス応答の後半
の振幅減少が少ないのは、ST水晶の誘電率が128°
Y−X LiNbO3 と比較して充分小さく、遅延量が
小さいためである。
【0072】上記の説明のように、SAWマッチドフィ
ルタ20Aにおいては、共通電極32の誘導性リアクタ
ンスはキャパシタ41 、42 、43 、44 によって打ち
消され、SAWマッチドフィルタ20Bにおいては、共
通電極32および33の誘導性リアクタンスは41 、4
2 、43 、44 、411、412、413、414によって打ち
消されるために、インパルス応答の後半の振幅の減少は
抑制されて、インパルス応答は図4に示すようになる。
【0073】SAWマッチドフィルタ20Aおよび20
Bにおけるキャパシタ41 、42 、43 、44 、411
12、413、414は、板厚み方向に平行平板を持つコン
デンサで構成したが、図5に示すように、分割電極32
1a、322a、323a、324a、325aの各間の圧電基板
1上に櫛形電極811 、812 、813 、814 を構成
し、分割電極331a、332a、333a、334a、335a
の各間の圧電基板1上に櫛形電極8111、8112、81
13、8114を構成して、櫛形電極811 、81 2 、81
3 、814 、8111、8112、8113、8114によるキ
ャパシタによって、共通電極の誘導性リアクタンスを打
ち消すようにしてもよい。
【0074】また、図6に示すように、分割電極3
1c、332c、333c、334c、335cの各間の圧電基
板1上に櫛形電極8121、8122、8123、8124を構
成して、櫛形電極8121、8122、8123、8124によ
るキャパシタによって、共通電極33の誘導性リアクタ
ンスを打ち消すようにしてもよい。
【0075】また、図7に示すように、キャパシタは分
割電極321bの所定長の端部上にSiO2 等の誘電体7
1をスパッタ等の手法により形成し、誘電体71の上面
に分割電極322bの所定長の端部にて第2層目の導体層
を形成するモノリシック型のキャパシタで構成してもよ
い。また、このように構成することによってボンディン
グ・ワイヤを必要としなくなることになる。
【0076】また、キャパシタの構成位置は、SAW伝
搬路外側、共通電極上、もしくは、符号化電極間に存在
するSAW伝搬スペースを利用しても差し支えない。
【0077】なお、上記した各実施の形態にかかるSA
Wマッチドフィルタにおいて、出力電極30A、30B
側に符号化電極を形成した場合を例示したが、入力電極
2側に符号化電極を設け、その共通電極を分割電極に
し、分割電極をキャパシタによって電気的に接続しても
よい。
【0078】また、上記した各実施の形態にかかるSA
Wマッチドフィルタにおいて、共通電極32、33が誘
導性リアクタンスを呈する場合を例示したが、共通電極
32、33が容量性リアクタンスを持つ場合は、分割電
極間をコイルによって電気的に接続することによって、
共通電極32、33が呈する容量性リアクタンスを打ち
消すようにすればよい。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかるSA
Wマッチドフィルタによれば、符号化電極が電気的に接
続される共通電極を分割電極構成とし、共通電極を構成
する分割電極間をキャパシタ(コイル)などによる容量
性(誘導性)リアクタンスで電気的に接続することによ
って共通電極の誘導性(容量性)リアクタンスが打ち消
されて、インパルス応答の傾斜をキャンセルされるとい
う効果が得られる。
【0080】また、この結果、本発明にかかるSAWマ
ッチドフィルタをスペクトル拡散信号復調用として用い
て、実際にスペクトル拡散信号を入力した場合に信号の
相関特性に劣化が生じるようなことはなくなり、逆拡散
を行う際に相関ピークの漏れがなくなり、誤り率特性等
の劣化を引き起こさないという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の作用の説明に供する模式ブロック図である。
【図3】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の作用の説明に供するインパルス応答を示す図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の作用の説明に供するインパルス応答を示す図である。
【図5】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の第1変形例の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の第2変形例の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の一形態にかかるSAWフィルタ
の第3変形例の構成を示す斜視図である。
【図8】従来のSAWフィルタのの構成を示す斜視図で
ある。
【図9】STカット水晶を圧電基板に用いたSAWフィ
ルタのインパルス応答を示す図である。
【図10】従来のSAWフィルタのインパルス応答を示
す図である。
【符号の説明】
1 圧電基板 2 入力電極 41 、42 、43 、44 、411、412、413、414
ャパシタ 51 、52 、53 、54 、511、512、513、514
ンディング・ワイヤ 20A、20B SAWフィルタ 30A、30B 出力電極 32、33 共通電極 321 、322 、323 、324 、325 、331 、3
2 、333 、334、335 分割電極 341 、342 、343 、344 、345 符号化電極 81 、82 、83 、84 、8111、8112、8113、8
14、8121、8122、8123、8124 櫛形電極 71 SiO2

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め定めた特性を呈し、かつSAWの遅延
    時間を互いに異ならしめるように設けた複数の符号化電
    極と各符号化電極を構成する一方側の電極指が電気的に
    接続される第1共通電極と各符号化電極を構成する他方
    側の電極指が電気的に接続される第2共通電極とによっ
    て入力電極または出力電極を構成したSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、第1共通電極または第2共通電極によ
    って生ずる位相遅延を補償する位相補償手段を備えたこ
    とを特徴とするSAWマッチドフィルタ。
  2. 【請求項2】予め定めた特性を呈し、かつSAWの遅延
    時間を互いに異ならしめるように設けた複数の符号化電
    極と各符号化電極を構成する一方側の電極指が電気的に
    接続される第1共通電極と各符号化電極を構成する他方
    側の電極指が電気的に接続される第2共通電極とによっ
    て入力電極または出力電極を構成したSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、第1共通電極または第2共通電極の一
    方を分割して分割共通電極とし、分割共通電極のそれぞ
    れを電気的に容量結合したことを特徴とするSAWマッ
    チドフィルタ。
  3. 【請求項3】予め定めた特性を呈し、かつSAWの遅延
    時間を互いに異ならしめるように設けた複数の符号化電
    極と各符号化電極を構成する一方側の電極指が電気的に
    接続される第1共通電極と各符号化電極を構成する他方
    側の電極指が電気的に接続される第2共通電極とによっ
    て入力電極または出力電極を構成したSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、第1共通電極および第2共通電極を分
    割して分割共通電極とし、同一共通電極を形成する分割
    共通電極のそれぞれを電気的に容量結合したことを特徴
    とするSAWマッチドフィルタ。
  4. 【請求項4】請求項2または3記載のSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、容量結合は分割共通電極の一端側上に
    キャパシタを形成し、キャパシタを介してキャパシタが
    形成された分割共通電極と該分割共通電極に隣り合う分
    割共通電極とを電気的に接続してなることを特徴とする
    SAWマッチドフィルタ。
  5. 【請求項5】請求項2または3記載のSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、容量結合は隣り合う分割共通電極間の
    圧電基板状に形成した櫛形電極によるキャパシタである
    こと特徴とするSAWマッチドフィルタ。
  6. 【請求項6】請求項4記載のSAWマッチドフィルタに
    おいて、キャパシタは分割共通電極の一端側上に形成し
    たSiO2 と、SiO2 が形成された分割共通電極に隣
    り合う分割電極の他端側を前記SiO2 の上面側導体層
    としたキャパシタであることを特徴とするSAWマッチ
    ドフィルタ。
  7. 【請求項7】請求項2または3記載のSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、符号化電極は電極指構造によって符号
    化した符号化電極であることを特徴とするSAWマッチ
    ドフィルタ。
  8. 【請求項8】請求項2または3記載のSAWマッチドフ
    ィルタにおいて、符号化電極は符号化電極相互の電極間
    隔により符号化した符号化電極であることを特徴とする
    SAWマッチドフィルタ。
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