JPH10300928A - 波長板及びそれを用いた光ピックアップ装置 - Google Patents

波長板及びそれを用いた光ピックアップ装置

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JPH10300928A
JPH10300928A JP9105639A JP10563997A JPH10300928A JP H10300928 A JPH10300928 A JP H10300928A JP 9105639 A JP9105639 A JP 9105639A JP 10563997 A JP10563997 A JP 10563997A JP H10300928 A JPH10300928 A JP H10300928A
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JP
Japan
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wave plate
light
wavelength
film
pickup device
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Application number
JP9105639A
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English (en)
Inventor
Kenichi Hayashi
賢一 林
Kazuo Kobayashi
一雄 小林
Hideo Takezoe
秀男 竹添
Ken Ishikawa
謙 石川
Satoshi Nakao
聡 中尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に大面積かつ高精度で、しかも、廉価な
波長板を提供すること。 【解決手段】 波長板1は、入射する光の波長に対して
透明な性質を有する下地基板3と、この下地基板3の表
面3aに真空蒸着法によって形成された複屈折性を備え
た有機蒸着膜5を有している。有機蒸着膜5は、複屈折
性を備えた有機材料であるポリジアセチレン誘導体から
形成されている。ポリジアセチレン誘導体膜5は、紫外
線が照射されて波長400nm〜600nmに吸収帯を
持つ赤色を呈する相に相変化しており、光の吸収ピーク
がCDおよびDVD用の光ピックアップ装置に用いられ
るレーザ光の波長帯域から外れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の偏光状態を変
化させるために用いられる波長板及び波長板を備えた光
ピックアップ装置に関するものである。さらに詳しく
は、光記録媒体の再生・記録あるいは一方の動作を行う
光ピックアップ装置において、光源からの出射光と光記
録媒体からの戻り光を分離するために用いられる1/4
波長板などの各種の波長板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CDやDVD等の光記録媒体の再生を行
うための光ピックアップ装置としては、レーザ光源から
光検出器に至る光路の途中位置に偏光ビームスプリッタ
ー(PBS)および1/4波長板が配置された光ピック
アップ装置が知られている。このような光ピックアップ
装置は、図6(A)に示すように、レーザ光源210か
らの出射光がPBS241および1/4波長板100を
通過した後、集光レンズ(図示せず)によって光記録媒
体25の記録面251に光スポットとして照射され、そ
こで反射された光記録媒体25からの戻り光が再度1/
4波長板100およびPBS241を通過するように構
成されている。光記録媒体25からの戻り光は、1/4
波長板100を通過すると、レーザ光源21からの出射
光の偏光方位と90度異なる偏光方位のレーザ光に変換
され、PBS241によってレーザ光源210とは異な
る方向に設けられた光検出器に導かれるようになってい
る。
【0003】また、光磁気ディスク用の光ピックアップ
装置としては、光磁気ディスクに記録された情報の再生
を行うために差動検出光学系を備えたものが知られてい
る。この差動検出光学系は、図6(B)に示すように、
1/2波長板101とPBS242を備えており、光磁
気ディスクからの戻り光は、1/2波長板101によっ
て偏光方位を90度回転させられた後、PBS242に
よって分離されて異なる2方向に設けられたディテクタ
ー291、292に導かれるようになっている。
【0004】上記の1/4波長板100や1/2波長板
101等の波長板としては、複屈折性を備える雲母、石
英、水晶などの単結晶から形成されているものが知られ
ている。また、特公平7−3486号および特公平7−
7130号公報には、ガラス基板などの下地基板に対し
て斜め方向から無機材料を蒸着することにより下地基板
の表面に複屈折膜を成膜した構成の波長板が開示されて
いる。さらに、特開昭3−228033号公報には、L
B膜作製装置によって複屈折性を有する有機膜が形成さ
れた構成の波長板が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】水晶などの単結晶から
波長板を形成する場合には、単結晶を作成するための装
置として高価な単結晶製造装置が必要となるので、波長
板を安価に製造できないという問題点がある。また、単
結晶製造装置で製造可能な単結晶のサイズは限られてい
るため、大面積の波長板を製造できないという問題点も
ある。さらに、1/4波長板や1/2波長板などとして
機能させるために単結晶を研磨して、その厚みをコント
ロールする必要があるが、単結晶の厚みを高精度にコン
トロールするのは困難である。さらにまた、光の入射角
度によるリターデーションの変化が大きくなる。2つの
単結晶板を貼り合わせることにより波長板を製造する方
法もあるが、2つの単結晶板を貼り合わせる方法は製造
が複雑なため波長板のコストダウンの妨げになる。
【0006】また、特公平7−3486号および特公平
7−7130号公報に開示の透明基板に対して斜め方向
から無機材料を蒸着した構成の波長板は、斜め方向から
無機材料を蒸着するため、蒸着方向の制御が必要とな
る。従って、蒸着方向が高精度にコントロールできる機
構が付加された真空蒸着装置が必要となるので、単結晶
製造装置と同様に製造設備にコストがかかり、波長板が
高価なものになるという問題点がある。
【0007】さらに、特開昭3−228033号公報に
開示の波長板は、LB膜作製装置を使用している。LB
膜作製装置は、単分子膜しか製造できないため、各種の
波長板として機能させるためには相当の段数の単分子膜
を積層する必要があるので、製造が複雑になる。従っ
て、上記と同様に波長板のコストを下げ難いという問題
点がある。
【0008】以上の点に鑑みて、本発明の課題は、大面
積かつ高精度で、しかも、廉価な波長板を提供すること
にある。そして、本発明の波長板を採用した安価な光ピ
ックアップ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の波長板は、光の偏光状態を変化させるため
に用いる波長板であって、使用波長に対して透明な下地
基板と、この下地基板の表面に真空蒸着法によって形成
された複屈折性を備えた有機蒸着膜とを有することを特
徴としている。
【0010】本発明では、複屈折性を備えた有機材料を
下地基板の表面に成膜することによって波長板を形成し
てあるので、単結晶から波長板を形成する場合とは異な
り、高価な単結晶製造装置や、単結晶の厚みを調整する
ための研磨工程、あるいは2枚以上の単結晶板を貼り付
ける工程などの複雑な工程が不要である。また、真空蒸
着法によって下地基板の表面に有機蒸着膜を形成すると
いっても斜め蒸着膜から構成された波長板のように蒸着
方向を精度よくコントロールする必要はないので、一般
的な真空蒸着装置を用いることができる。さらに、有機
単分子膜を積層するLB膜作製装置を使用する必要もな
い。従って、高価で特殊な装置を用いず、さらに、複雑
な工程を介さずに波長板を作製できるので、廉価な波長
板を提供できる。また、真空蒸着法によって有機蒸着膜
を下地基板の表面に成膜するだけなので、バルク状の材
料(水晶等)とは異なり大面積の波長板を提供できる。
さらに、一般的な真空蒸着法と同様に蒸着条件をコント
ロールするだけで、高品位で均一な膜厚の有機蒸着膜を
成膜できるので、高精度の波長板を提供できる。
【0011】有機蒸着膜としては、例えば、一般式が前
述した化学式(1)で表されるものを用いることができ
る。なお、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテ
レフタレート(PET)等の複屈折性を備えた有機材料
を蒸着したものを使用しても良い。
【0012】ポリジアセチレン誘導体膜は、使用波長付
近に吸収ピークが生じないように赤色相に相変化させて
おくことが望ましい。CDやDVD用に使用されるレー
ザ光の波長は異なるため、これらのレーザ光に対して確
実に波長板として機能させるためには、これらのレーザ
光の波長帯域に吸収ピークが生じないようにすることが
好ましい。本発明の波長板によれば、上記の波長帯域に
吸収ピークが生じないようにポリジアセチレン誘導体膜
を波長400nm〜600nmに吸収帯を持つ赤色を呈
する相(赤色相)に相変化させることにより、CDおよ
びDVDの双方の光ピックアップ装置に適用可能な波長
板を実現できる。
【0013】光ピックアップ装置としては、上記構成の
波長板と、この波長板を通過する光を出射する光源と、
前記波長板を通過した前記光源からの出射光を光記録媒
体に光スポットとして集光する対物レンズと、前記光記
録媒体からの戻り光を光検出器に導くためのビームスプ
リッターとを備えた構成とすれば良い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明を適
用した波長板を説明する。
【0015】(波長板)図1は本発明を適用した波長板
を示す斜視図である。この図に示すように、本例の波長
板1は、入射する光の波長に対して光学的に透明な性質
を有する下地基板3と、この下地基板3の表面3aに真
空蒸着法によって形成された複屈折性を備えた有機蒸着
膜5を有している。
【0016】下地基板3は、ガラス基板やプラスチック
基板など使用すべき光の波長に対して透明な性質を有す
るものを採用できる。例えば、本例の波長板1をCD再
生用の光ピックアップ装置に使用する場合には、その光
ピックアップ装置に一般的に用いられるレーザ光(波長
780nm)を効率良く透過できる基板を使用すれば良
い。また、本例の波長板1をDVD再生用の光ピックア
ップ装置に使用する場合には、その光ピックアップ装置
に一般的に用いられるレーザ光(波長635nm、ある
いは650nm)を効率良く透過できる基板を使用すれ
ば良い。
【0017】有機蒸着膜5は、ポリジアセチレン誘導体
膜から形成されており、このポリジアセチレン誘導体膜
は、以下の化学式(2)に示されるポリジアセチレン誘
導体から形成されている。下地基板3の表面3aには、
ポリジアセチレン誘導体膜5を配向するための下地膜と
してのフィルム層(図示せず)が成膜されている。
【0018】
【化2】
【0019】ここで、ポリジアセチレン誘導体として
は、化学式(2)における側鎖基R、R’が以下の化学
式(3)〜(10)で表されるものを用いることができ
る。なお、化学式(2)〜(10)によって構成される
ポリジアセチレン誘導体は、ジアセチレンモノマーをポ
リマー化したものである。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】ポリジアセチレン誘導体膜5は、図1
(A)から分かるように、X−Y平面内で配向されてお
り、主鎖方向(配向方向)は矢印Hで示すようにY軸方
向になっている。このように成膜されたポリジアセチレ
ン誘導体膜5は、複屈折性を有しており、配向方向Hの
屈折率(ne)と配向方向Hに垂直な方向Iの屈折率
(no)とは異なる。また、本例の波長板1におけるポ
リジアセチレン誘導体膜5の膜厚dは、 2πΔnd/λ=π/2 ・・・(1) によって決定されている。なお、式(1)において、
λ、Δnは、それぞれ、ポリジアセチレン誘導体膜5に
入射する光の波長、異常光と常光の屈折率差(ne−n
o)である。異常光とはポリジアセチレン誘導体膜5の
配向方向Hに振動する偏光であり、常光とはポリジアセ
チレン誘導体膜の配向方向Hに垂直な方向Iに振動する
偏光である。
【0029】このようなポリジアセチレン誘導体膜5が
下地基板3の表面3aに成膜された構成の波長板1は、
図1(B)に示すように、Y’−Z’平面内でY’軸方
向に振動しながら進行する直線偏光に対してポリジアセ
チレン誘導体膜5の配向方向HがX’−Y’平面内にお
いてY’軸に対して45度の方向になるように傾けて配
置すると、波長板1に入射した直線偏光は、配向方向H
の成分と配向方向Hに垂直な成分の間に1/4波長の位
相差が生じて、円偏光として出射される。この円偏光が
光記録媒体で反射されて再びポリジアセチレン誘導体膜
5を通過すると、最初に入射した直線偏光と90度振動
方向が異なる直線偏光として出射される。すなわち、本
例の波長板1は1/4波長板としての機能を果たす。
【0030】ここで、本例の波長板1を構成しているポ
リジアセチレン誘導体膜5は、紫外線が照射されると、
青色、赤色、透明の順に、あるいは、青色にならず赤
色、透明の順に色相変化を起こし、この変化に伴って光
の波長に対する光吸収特性が変化する。その他の青色か
ら赤色に色相変化を起こす方法としては、熱処理、有機
溶媒浸漬等がある。
【0031】図2には側鎖基R、R’が化学式(3)に
おいてm=4、n=2で表されるポリジアセチレン誘導
体膜(PDA−C4 UC2 )を用いて波長板1を構成し
た時に、その波長板1の波長に対する光吸収度特性を示
してある。なお、曲線Cはポリジアセチレン誘導体膜5
を波長450nm〜700nmに吸収帯を持ち青色を呈
する相(青色相)に色相変化させた波長板の特性曲線で
あり、曲線Dはポリジアセチレン誘導体膜5を赤色相に
色相変化させた波長板の特性曲線である。曲線Cに示す
ように、ポリジアセチレン誘導体膜5を青色相に色相変
化させた場合には、CD再生用の光ピックアップ装置に
一般的に用いられる波長帯域(約780nm)では、光
の吸収ピークが出現していないので、CD再生用の光ピ
ックアップ装置に波長板1を用いて光記録媒体に記録さ
れている情報を確実に再生できる。但し、DVD再生用
の光ピックアップ装置に一般的に用いられる波長帯域
(約635nm、あるいは約650nm)では、光の吸
収ピークが出現しているので、DVD再生用の光ピック
アップ装置にポリジアセチレン誘導体膜5を青色相に色
相変化させた構成の波長板1を使用すると、レーザ光の
強度が低下して光記録媒体に記録されている情報を確実
に再生できなくなる恐れがある。
【0032】これに対して、曲線Dに示すように、ポリ
ジアセチレン誘導体膜5を赤色相に色相変化させた場合
には、CD再生用の光ピックアップ装置に用いられる波
長帯域およびDVD再生用の光ピックアップ装置に用い
られる波長帯域の双方に光の吸収ピークが出現していな
い。このため、ポリジアセチレン誘導体膜5を赤色相に
色相変化させた構成の波長板1は、CDおよびDVD再
生用の光ピックアップ装置の両者に用いることができ
る。近年、CDおよびDVDの両者を再生可能な光ピッ
クアップ装置の開発が盛んに行われている点を考慮すれ
ば、ポリジアセチレン誘導体膜5を赤色相に色相変化さ
せておくことが有利である。
【0033】次に、ポリジアセチレン誘導体膜5として
PDA−C4 UC2 を下地基板3の表面3aに成膜した
構成の波長板1の信頼性について説明する。図3には波
長板1の異常光および常光に対する耐候性に関する信頼
性試験の結果を示してある。図3(A)および(B)に
示すように、波長板1は、異常光および常光に対して6
00nm〜800nm程度の波長帯域では、試験前と試
験後の透過率にほとんど変化がないことから、この波長
帯域のレーザ光に対して信頼性の高い波長板であると評
価される。なお、上記の波長帯域では、異常光および常
光に対して試験前および試験後の双方においてほぼ80
%以上の透過率が得られているので、この結果からも、
PDA−C4 UC2 をポリジアセチレン誘導体膜5とし
て用いて、さらに、ポリジアセチレン誘導体膜5を赤相
に色相変化させた構成の波長板1をCDおよびDVD再
生用の光ピックアップ装置に適用できることが分かる。
【0034】次に、PDA−C4 UC2 をポリジアセチ
レン誘導体膜5として用いた場合のポリジアセチレン誘
導体膜5の膜厚について説明する。
【0035】特公平7−3486、特公平7−7130
等に開示の無機材料を斜め蒸着した構成の波長板では、
異常光と常光の屈折率差Δnが約0.07となるので、
1/4波長板として機能させるため、すなわち、式
(1)を満足するためには斜め蒸着膜の膜厚を2786
nmにする必要がある。これに対して、本例の波長板1
において、異常光と常光の屈折率差Δnはポリジアセチ
レン誘導体膜5としてPDA−C4 UC2 を用いると有
機材料の特性から約0.6となり、式(1)を満足する
ためのポリジアセチレン誘導体膜5の膜厚は325nm
となる。このように波長板1におけるポリジアセチレン
誘導体膜5の膜厚は、斜め蒸着された無機蒸着膜の膜厚
に比べてほぼ1/9程度薄くできる。これにより、蒸着
時間を短縮でき、波長板1の製造効率のアップが図れる
という利点がある。
【0036】以上のように、本例の波長板1は、複屈折
性を備えた有機材料(ポリジアセチレン誘導体)を下地
基板3の表面3aに成膜することによって波長板を形成
してあるので、単結晶から波長板を形成する場合とは異
なり、高価な単結晶製造装置や、単結晶の厚みを調整す
るための研磨工程、あるいは2枚以上の単結晶板を貼り
付ける工程などの複雑な工程が不要である。また、真空
蒸着法によって下地基板3の表面3aに有機蒸着膜を形
成するといっても無機材料を用いた波長板のように蒸着
方向を精度よくコントロールする必要はないので、一般
的な真空蒸着装置を使用することが可能である。さら
に、有機単分子膜を積層するLB膜作製装置を使用する
必要もない。以上のことから、高価な装置を用いず、さ
らに、複雑な工程を介さずに波長板を作製できるので、
安価な波長板を提供できる。また、真空蒸着法によって
有機蒸着膜を下地基板3の表面3aに成膜するだけなの
で、バルク状の材料(水晶等)とは異なり大面積の波長
板を提供できる。さらに、一般的な真空蒸着法と同様に
蒸着条件をコントロールするだけで、有機蒸着膜を高品
位で均一な膜厚に成膜できるので、精度の良い波長板を
提供できる。
【0037】また、ポリジアセチレン誘導体膜5を赤色
相に色相変化させてあるので、CDおよびDVD再生用
の光ピックアップ装置に適用可能な便利な波長板を提供
できる。
【0038】(波長板の製造方法)次に、本例の波長板
1の製造方法を説明する。本例の波長板1の製造方法と
しては、まず、下地基板3の表面3aにポリエチレンテ
レフタレートからなるフィルム層を成膜する。このフィ
ルム層は、ポリエチレンテレフタレートを少量の1,1,1,
3,3,3-Hexafluoro-2-propanol に飽和するまで溶解させ
た後、1,1,2,2-Tetrachloroethane で十倍に希釈し、こ
の希釈した溶液から沈殿物などを取り除いたものを光学
的等方性を有するガラス基板3の表面にスピンコートす
る。フィルム層の膜厚は、例えば、1000Å〜200
0Åである。
【0039】次に、フィルム層の表面をシリコン、レー
ヨン、ポリエステル等のクロスで一方向にラビング処理
する。
【0040】次に、フィルム層の表面に、化学式(1)
に示すポリジアセチレン誘導体膜を形成するためのジア
セチレンモノマーを真空蒸着法により成膜する。この真
空蒸着時には、ジアセチレンモノマーはラビング処理さ
れた方向に自発的に配向する。本例では、上記の真空蒸
着を行うにあたって、抵抗加熱による加熱温度を124
℃、蒸着速度0.05nm/秒〜0.5nm/秒、真空
度を1〜4×10-3Paとして、式(1)を満たす膜厚
のジアセチレンモノマーを成膜する。
【0041】次に、ジアセチレンモノマー膜を紫外光重
合してポリマー化する。この重合時には、超高圧水銀灯
の出力強度を約0.1W/cm-2とし、照射時間につい
ては膜厚120nmにつき12分(膜厚650nmで6
0分、膜厚1000nmで90分程度)として紫外光を
照射する。これにより、ジアセチレンモノマーはポリマ
ー化してポリジジアセチレン(PDA−CmUCn)と
なる。すなわち、下地基板3の表面3aにポリジアセチ
レン誘導体膜5が形成される。この結果、波長板1が製
造される。
【0042】なお、ポリジアセチレン誘導体膜5に紫外
光を照射する時間や加熱する時間を制御することによ
り、分子鎖を切断してポリジアセチレン誘導体膜5を赤
色相に色相変化させておくことが好ましいのは前述した
通りである。
【0043】(波長板を用いた光ピックアップ装置)図
4には本発明を適用した1/4波長板を用いた光ピック
アップ装置の光学系を示してある。この図に示すよう
に、光ピックアップ装置20の光学系は、レーザ光源で
あるレーザダイオード(LD)21から出射されたレー
ザ光を光記録媒体25の記録面251に光スポットとし
て集光するための往路と、記録面251からの戻り光を
LD21とは異なる方向に設置された光検出器29に集
光するための復路とを備えている。
【0044】往路には、LD21から光記録媒体25に
向かってグレーディングレンズ22、偏光ビームスプリ
ッター(PBS)23、1/4波長板1、および対物レ
ンズ24がこの順序で配置されている。本例の光ピック
アップ装置20はトラッキングおよびフォーカス制御の
為の信号を得るために5ビーム法を採用している。この
ために、グレーディングレンズ22を用いてLD21か
らのレーザ光を5つのレーザ光に分割している。
【0045】復路には、光記録媒体25から光検出器2
9に向かって対物レンズ24、1/4波長板、およびP
BS23がこの順序で配置されている。
【0046】ここで、波長板1は、下地基板3の表面3
aに式(1)を満たす膜厚のポリジアセチレン誘導体膜
5が形成され、さらに、ポリジアセチレン誘導体膜5の
配向方向Hとポリジアセチレン誘導体膜5に入射するL
D21からのレーザ光の偏光方向とがなす角度が45度
となるように配置されている。すなわち、波長板1は、
1/4波長板として機能するように設置されている。
【0047】この構成の光ピックアップ装置20におい
て、LD21からのレーザ光はグレーディンスレンズ2
2によって5つのレーザ光に分割された後、PBS23
をそのまま透過して波長板1に導かれる。波長板1に導
かれた5つの分割光は、ポリジアセチレン誘導体膜5の
配向方向Hの成分とこの配向方向Hに垂直な方向Iの成
分の間に1/4波長の位相差が生じてそれぞれ直線偏光
から円偏光に変換されて出射される。これらの円偏光に
変換された各分割光は対物レンズ24を介して光記録媒
体25の記録面251に光スポットとして集光される。
【0048】光記録媒体25の記録面251に集光され
た光スポットは記録面251に記録されている情報に基
づいて強度変調を受けながら反射して、対物レンズ24
を介して再び波長板1に入射する。波長板1に入射した
光記録媒体25から戻り光は、LD21から出射された
直線偏光の偏光方向と90度異なるように円偏光から直
線偏光に変換されてPBS23に導かれる。PBS23
に入射した光記録媒体25からの戻り光は90度進行方
向を変えられ、光検出器29に導かれる。光検出器29
は、5個の受光素子を備えており、これらの受光素子に
戻り光がそれぞれ集光する。これらの5個の受光素子で
受光した光スポットに基づきフォーカシングエラー信号
(FE信号)、トラッキングエラー信号(TE信号)、
およびピット信号(RF信号)が検出される。
【0049】このような光ピックアップ装置20におい
ては、1/4波長板として、本発明を適用した波長板1
を備えている。本発明を適用した波長板1は、前述した
ように下地基板3に対してポリジアセチレン誘導体膜5
を成膜した構成のため安価で、しかも、高精度である。
従って、本発明を適用した光ピックアップ装置20によ
れば、光記録媒体25に記録されたデータを精度良く再
生可能な安価な光ピックアップ装置を実現できる。
【0050】なお、光ピックアップ装置の光学系として
は、上記の光学系の代わりに図5に示すような光学系を
採用してもよい。図5に示す光学系は、LD21と光検
出器29が同一平面上に配置されている構成のものであ
り、LD21と波長板1との間にホログラム素子27を
配置して、このホログラム素子27よって所定の偏光方
向となった光記録媒体25からの戻り光のみをLD21
から離れた箇所に設けられた光検出器29導くようにな
っている。この構成の光ピックアップ装置に対しても本
発明を適用した波長板を使用することができる。
【0051】(その他の実施の形態)波長板1は1/4
波長板としてだけではなく、1/2波長板など各種の波
長板を構成することができる。例えば、1/2波長板と
して機能させるためには、 2πΔnd/λ=π ・・・(2) を満足するようにポリジアセチレン誘導体膜5の膜厚d
を決定すればよい。そして、図1(C)に示すように、
Y’−Z’平面内でY’軸方向に振動しながら進行する
直線偏光に対してポリジアセチレン誘導体膜5の配向方
向HがX’−Y’平面内においてY’軸に対して45度
の方向になるように傾けて配置することで1/2波長板
としての機能を果たす。すなわち、波長板1に入射した
直線偏光は、配向方向Hの成分と配向方向Hに垂直な方
向Iの成分の間に1/2波長の位相差が生じて、入射し
た直線偏光の振動方向と90度異なる振動方向を持った
直線偏光として出射される。
【0052】このような1/2波長板は、光磁気記録媒
体ようの光ピックアップ装置に構成されている差動光学
系に組み込むことができ、本発明を適用した1/2波長
板を備えた光ピックアップ装置は、前述した光ピックア
ップ装置20と同様の効果を奏する。
【0053】また、下地基板3の表面3aに成膜する有
機蒸着膜としては、ポリジアセチレン誘導体膜に限定さ
れることはなく、複屈折性を有する有機材料、例えば、
ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレー
ト(PET)等を成膜しても良い。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の波長板に
おいては、下地基板の表面に複屈折性を備えた有機材料
を真空蒸着法によって成膜してある。従って、単結晶か
ら波長板を形成する場合とは異なり、高価な単結晶製造
装置や、単結晶の厚みを調整するための研磨工程、ある
いは2枚以上の単結晶板を貼り付ける工程などの複雑な
工程が不要である。また、真空蒸着法によって下地基板
の表面に有機蒸着膜を形成するといっても無機材料を成
膜して波長板のように蒸着方向を精度よくコントロール
する必要はないので、一般的な真空蒸着装置を使用して
波長板を製造できる。さらに、有機材料を成膜するとい
っても、有機単分子膜を積層するLB膜作製装置を使用
する必要もない。従って、高価な装置を用いず、さら
に、複雑な工程を介さずに波長板を容易に作製できるの
で、廉価な波長板を提供できる。また、真空蒸着法によ
って有機蒸着膜を下地基板の表面に成膜するだけなの
で、バルク状の材料(水晶等)とは異なり大面積の波長
板を提供できる。さらに、一般的な真空蒸着法と同様に
蒸着条件をコントロールするだけで、高品位で均一な膜
厚の有機蒸着膜を成膜できるので、高精度の波長板を提
供できる。このため、本発明を適用した波長板を備えた
光ピックアップ装置においては、光記録媒体に記録され
たデータを精度良く再生できると共に、光学系を廉価に
構成できる。
【0055】また、使用波長付近に吸収ピークが生じな
いようにポリジアセチレン誘導体膜を赤色相に相変化し
ておけば、CDおよびDVDの双方の光ピックアップ装
置に適用可能な波長板を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明を適用した波長板を示す斜視
図、(B)は、波長板を1/4波長板として使用した場
合の様子を示す説明図、(C)は、波長板を1/2波長
板として使用した場合の様子を示す説明図である。
【図2】ポリジアセチレン誘導体膜を色相変化させた場
合の光の波長に対する光吸収度特性を示す図である。
【図3】(A)は、異常光に対する波長板の透過率の耐
候性に関する信頼性試験結果を示す図、(B)は、常光
に対する波長板の透過率の耐候性に関する信頼性試験結
果を示す図である。
【図4】本発明を適用した波長板を備えた光ピックアッ
プ装置の概略構成図である。
【図5】図4とは異なる光学系を備えた光ピックアップ
装置の概略構成図である。
【図6】(A)は、1/4波長板を用いた光学系の一部
を示す図、(B)は、1/2波長板を用いた光学系の一
部を示す図である。
【符号の説明】
1 波長板 3 下地基板 3a 表面 5 ポリジアセチレン誘導体膜 20 光ピックアップ装置 21 レーザ光源 22 グレーディングレンズ 23 偏光ビームスプリッター 24 対物レンズ 29 光検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 謙 東京都目黒区大岡山2−12−1 東京工業 大学内 (72)発明者 中尾 聡 東京都目黒区大岡山2−12−1 東京工業 大学内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の偏光状態を変化させるために用いる
    波長板であって、 使用波長に対して透明な下地基板と、この下地基板の表
    面に真空蒸着法によって形成された複屈折性を備えた有
    機蒸着膜とを有することを特徴とする波長板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記有機蒸着膜は、
    ポリジアセチレン誘導体膜であることを特徴とする波長
    板。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記ポリジアセチレ
    ン誘導体膜は、下記の一般式 【化1】 で表されることを特徴とする波長板。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、前記ポリジ
    アセチレン誘導体膜は、吸収ピークが使用波長付近から
    外れるように波長400nm〜600nmに吸収帯を持
    つ赤色を呈する相に相変化したものであることを特徴と
    する波長板。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの項に規定
    する波長板と、この波長板を通過する光を出射する光源
    と、前記波長板を通過した前記光源からの出射光を光記
    録媒体に光スポットとして集光する対物レンズと、前記
    光記録媒体からの戻り光を光検出器に導くためのビーム
    スプリッターとを有することを特徴とする光ピックアッ
    プ装置。
JP9105639A 1997-04-23 1997-04-23 波長板及びそれを用いた光ピックアップ装置 Pending JPH10300928A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6917576B2 (en) 1999-08-26 2005-07-12 Asahi Glass Company, Limited Retarder and optical head device installing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6917576B2 (en) 1999-08-26 2005-07-12 Asahi Glass Company, Limited Retarder and optical head device installing the same

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