JPH10298270A - 化学構造に耐酸化性炭素を持つ重合体、その製造方法および反応性溶液の組み合わせ - Google Patents

化学構造に耐酸化性炭素を持つ重合体、その製造方法および反応性溶液の組み合わせ

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JPH10298270A
JPH10298270A JP12283797A JP12283797A JPH10298270A JP H10298270 A JPH10298270 A JP H10298270A JP 12283797 A JP12283797 A JP 12283797A JP 12283797 A JP12283797 A JP 12283797A JP H10298270 A JPH10298270 A JP H10298270A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化に伴う変色、機能低下を抑制したメタセ
シス重合性環状オレフィン重合体およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 メタセシス重合体の分子鎖中に耐酸化性
炭素である第4炭素および/またはエーテル結合を有す
る第3炭素を導入することにより、酸化反応に伴い生じ
るポリエン構造を切断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタセシス重合性
環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中に第4
炭素および/またはエーテル結合を有する第3炭素を持
つことを特徴とする重合体、その製造方法および反応性
溶液の組み合わせに関する。より詳しくは、メタセシス
重合性環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中
に耐酸化性炭素である第4炭素および/またはエーテル
結合を有する第3炭素を挿入することで酸化劣化によっ
て生じる二重結合の共役を切断し、重合体の変色を押さ
えることおよび機能低下を防ぐことを目的とした重合体
とその製造方法および反応性溶液の組み合わせに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、メタセシス重合触媒系(複分解触
媒系ともいう)によるメタセシス重合性環状オレフィン
重合体としてはメタセシス重合触媒系の触媒成分を含有
するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー
液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分
を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモ
ノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内
に注入し、その金型内において重合および架橋反応せし
めることによって成形された架橋重合体組成物を得る方
法(RIM)による、ジシクロペンタジエンを主成分と
した架橋重合体組成物が知られている(帝人メトン社
製、メトン)。また、溶液中でノルボルネンをメタセシ
ス重合させる方法によりポリノルボルネンが得られてい
る(日本ゼオン社製、ノーソレックス)。
【0003】しかしながら、これらの重合体の構造中に
は二重結合のα位に第3水素を有しているために水素の
引き抜きを伴う酸化反応が起こりやすく、最終的には二
重結合の共役が起こり変色の原因となっている。このた
め、場合によっては得られたポリマーを水添する場合も
見られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、これら酸
化に伴う変色、機能低下を抑制する方法について鋭意検
討した結果、本発明に到達したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、変色した重
合体の構造について解析した結果、酸化反応に伴いポリ
エン構造が生じていることを見い出し、変色の原因はこ
の共役する二重結合数が増加することにより吸収波長が
長波長にまで伸び着色したものと推定し、共役する二重
結合を途中で切断できれば酸化反応による変色を押さえ
ることが可能であると考え、その手段としてメタセシス
重合体の分子鎖中に耐酸化性炭素である第4炭素および
/またはエーテル結合を有する第3炭素を導入すること
を考え本発明に到達したものである。
【0006】すなわち本願発明は、 1. その化学構造中に下記式(1)または式(2)の
構造を含むことを特徴とするメタセシス重合体、
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】2. ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨
格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]
ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を
持つメタセシス重合性環状オレフィンを単独で重合しあ
るいは他のメタセシス重合性環状オレフィンと共重合し
て得られるメタセシス重合体、 3. その0.05モル以上がビシクロ[2,2,1]
ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ
[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位
にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンで
ある、メタセシス重合性環状オレフィンをメタセシス重
合してなるメタセシス重合体、 4. メタセシス重合性環状オレフィンをメタセシス重
合に不活性な溶液中に溶解させ、メタセシス重合触媒系
の存在下重合することを特徴とする上記1〜3記載の重
合体の製造方法、 5. メタセシス重合触媒系が触媒成分とメタセシス重
合触媒系の活性化剤成分からなる触媒系にあって、その
メタセシス重合触媒系の触媒成分とメタセシス重合触媒
系の活性化剤成分とを別々に含み、かつ、2種以上のメ
タセシス重合性環状オレフィンを含むモノマー液の組み
合わせであって、当該2種以上のメタセシス重合性環状
オレフィンを含むモノマー液をすべてあわせた組成中に
含まれる全メタセシス重合性環状オレフィン中に、ビシ
クロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−
オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位およ
び/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環
状オレフィンを0.05モル%以上含む、モノマー液の
組み合わせ、または、 6. 上記5の複数のモノマー液を混合してなる混合液
を金型内に注入し、その金型内においてメタセシス重合
および架橋反応せしめることによって成形する架橋重合
体組成物の製造方法、である。
【0010】なお、式(1)中R1、R2、R3、および
4は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択
され、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のア
ルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステ
ル基、シアノ基から独立に選択される。ただし、R1
2は少なくともいずれか一方が炭素1〜8個のアルキ
ル基である。X1とY1、もしくはX2とY2とが結合し
て、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を
形成していても良い。
【0011】また、式(2)中R1およびR2は個々に水
素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され(ただし、
少なくともいずれか一方は炭素1〜8個のアルキル
基)、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のア
ルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステ
ル基、シアノ基から独立に選択される。X1とY1、もし
くはX2とY2が結合して、シクロアルキル、シクロオレ
フィン基、酸無水物を形成していても良い。
【0012】メタセシス重合性環状オレフィンのメタセ
シス重合体の化学構造中に第4炭素を与えるビシクロ
[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位
にアルキル基を持つオレフィンとは式(3)の構造を有
する化合物である。
【0013】
【化5】
【0014】式(3)中R1、R2、R3、およびR4は個
々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され、X
1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル
基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、
シアノ基から独立に選択される。ただし、R1とR2は少
なくともいずれか一方が炭素1〜8個のアルキル基であ
る。X1とY1、もしくはX2とY2とが結合して、シクロ
アルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成してい
ても良い。
【0015】また、本発明におけるメタセシス重合とは
メタセシス重合触媒系により環状オレフィン化合物の二
重結合を開環させて成る重合のことを意味し、メタセシ
ス重合性とはそのような、メタセシス重合をすることの
できる性質を有していることを意味し、メタセシス重合
体とはメタセシス重合触媒系により環状オレフィン化合
物の二重結合を開環させて得られる重合体を意味する。
この重合体は主鎖に二重結合を有する。また、環状オレ
フィン化合物に二つ以上の二重結合や反応性の置換基が
存在する場合には、もう一方のオレフィンでメタセシス
重合反応、ラジカル反応、カチオン重合等の種々の反応
が起こり得るため架橋重合体を与えることもあり、これ
ら重合体も本発明の範疇に属する。
【0016】ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1
位および/または4位にアルキル基を持つ化合物の具体
的化合物としては、1−メチルジシクロペンタジエン、
1−メチル−ノルボルネン、1−メチル−5−エチリデ
ンノルボルネン、1−メチル−5−ビニルノルボルネ
ン、ボルニレン、1,7−ジメチル−ノルボルネン、1
位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンの2量
体、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエン
とヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−アル
ダー反応付加物、1−メチルナディック酸、1位にメチ
ル基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリロニト
リルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル
基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリル酸メチ
ルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位に
メチル基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリル
酸エチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、
1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとア
クリル酸オクチルエステルのディールス−アルダー反応
付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジ
エンとメタクリル酸メチルのディールス−アルダー反応
付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジ
エンとメタクリル酸エチルのディールス−アルダー反応
付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジ
エンとメタクリル酸オクチルのディールス−アルダー反
応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタ
ジエンと1,2−ジシアノエチレンのディールス−アル
ダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロ
ペンタジエンとマレイン酸ジエチルエステルのディール
ス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチ
ルシクロペンタジエンとマレイン酸ジオクチルエステル
のディールス−アルダー反応付加物、1−エチルジシク
ロペンタジエン、1−エチル−ノルボルネン、1−エチ
ル−5−エチリデンノルボルネン、1−エチル−5−ビ
ニルノルボルネン、1,7−ジエチル−ノルボルネン、
1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンの2
量体、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエ
ンとヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−ア
ルダー反応付加物、1−エチルナディック酸、1位にエ
チル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリロニ
トリルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチ
ル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリル酸メ
チルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位
にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリ
ル酸エチルエステルのディールス−アルダー反応付加
物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエン
とアクリル酸オクチルエステルのディールス−アルダー
反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペン
タジエンとメタクリル酸メチルのディールス−アルダー
反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペン
タジエンとメタクリル酸エチルのディールス−アルダー
反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペン
タジエンとメタクリル酸オクチルのディールス−アルダ
ー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペ
ンタジエンと1,2−ジシアノエチレンのディールス−
アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシ
クロペンタジエンとマレイン酸ジエチルエステルのディ
ールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有する
エチルシクロペンタジエンとマレイン酸ジオクチルエス
テルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル
基またはメチル基を有するメチルシクロペンタジエンと
エチルシクロペンタジエンとのディールス−アルダー反
応付加物、1,4−メチルシクロペンタジエン、1,4
−ジ−メチル−ノルボルネン、1,4−ジメチル−5−
エチリデンノルボルネン、1,4−ジメチル−5−ビニ
ルノルボルネン、1,4,7−トリメチル−ノルボルネ
ン、1,4−ジメチルナディック酸、1,4−ジメチル
−5−シアノノルボルネン、1,4−ジメチル−5,6
−ジシアノノルボルネン等を挙げることができる。
【0017】メタセシス重合性環状オレフィンのメタセ
シス重合体の化学構造中にエーテル結合を有する第3炭
素を与える7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン
骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタ
セシス重合性環状オレフィンとは式(4)の構造を有す
るメタセシス重合性環状オレフィンである。
【0018】
【化6】
【0019】式(4)中R1およびR2は個々に水素、炭
素1〜8個のアルキル基から選択され(ただし、少なく
ともいずれか一方は炭素1〜8個のアルキル基)、
1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル
基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、
シアノ基から独立に選択される。X1とY1、もしくはX
2とY2が結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン
基、酸無水物を形成していても良い。
【0020】7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテ
ン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つオ
レフィンの具体的化合物としては、1−メチル−1,4
−エポキシ−2,3,4−トリヒドロベンゼン、2−メ
チルフランと1−ブテンのディールス−アルダー反応付
加物(例えば1−メチル−3−エチル−1,4−エポキ
シ−2,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランと
2−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば
1,2,3−トリメチル−1,4−エポキシ−4−ヒド
ロベンゼン)、2−メチルフランと1,3−ブテンのデ
ィールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−3
−ビニル−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼ
ン)、2−メチルフランと1−オクテンのディールス−
アルダー反応付加物(例えば1−メチル−3−ヘキシル
−1,4−エポキシ−2,3,4−トリヒドロベンゼ
ン)、1−メチル−1,4−エポキシ−4,4a,7a
−トリヒドロインデン、2−メチルフランとヘキサクロ
ロシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加
物、2−メチルフランとメチルシクロペンタジエンのデ
ィールス−アルダー反応付加物、2−メチルフランとエ
チルシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付
加物、1−メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベン
ゼン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−メチルフラン
とアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物
(例えば1−メチル−2−シアノ−1,4−エポキシ−
3,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランとアク
リル酸メチルエステルのディールス−アルダー反応付加
物(例えば1−メチル−2−カルボン酸メチルエステル
−1,4−エポキシ−3,4−ジヒドロベンゼン)、2
−メチルフランとアクリル酸エチルエステルのディール
ス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−2−カル
ボン酸エチルエステル−1,4−エポキシ−3,4−ジ
ヒドロベンゼン)、2−メチルフランとアクリル酸オク
チルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例え
ば1−メチル−2−カルボン酸オクチルエステル−1,
4−エポキシ−3,4−ジヒドロベンゼン)、1−メチ
ル−2,3−ジシアノ−1,4−エポキシ−4−ヒドロ
ベンゼン、1−メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロ
ベンゼン−2,3−ジカルボン酸メチルエステル、1−
メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,
3−ジカルボン酸エチルエステル、1−メチル−1,4
−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン
酸オクチルエステル、1,4−ジメチル−1,4−エポ
キシ−2,3−ジヒドロベンゼン、2,5−ジメチルフ
ランと1−ブテンのディールス−アルダー反応付加物
(例えば1,4−ジメチル−3−エチル−1,4−エポ
キシ−2−ヒドロベンゼン)、2,5−ジメチルフラン
と2−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例え
ば1,2,3,4−テトラメチル−1,4−エポキシ−
ベンゼン)、2,5−ジメチルフランと1,3−ブテン
のディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジ
メチル−3−ビニル−1,4−エポキシ−2−ヒドロベ
ンゼン)、2,5−ジメチルフランと1−オクテンのデ
ィールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチ
ル−3−ヘキシル−1,4−エポキシ−2,3−ジヒド
ロベンゼン)、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−
4a,7a−ジヒドロインデン、2,5−ジメチルフラ
ンとヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−ア
ルダー反応付加物、2,5−ジメチルフランとメチルシ
クロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、
2,5−ジメチルフランとエチルシクロペンタジエンの
ディールス−アルダー反応付加物、1,4−ジメチル−
1,4−エポキシ−ベンゼン−2,3−ジカルボン酸無
水物、2,5−ジメチルフランとアクリロニトリルのデ
ィールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチ
ル−2−シアノ−1,4−エポキシ−3−ジヒドロベン
ゼン)、2,5−ジメチルフランとアクリル酸メチルエ
ステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,
4−ジメチル−2−カルボン酸メチルエステル−1,4
−エポキシ−3−ジヒドロベンゼン)、2,5−ジメチ
ルフランとアクリル酸エチルエステルのディールス−ア
ルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−2−カル
ボン酸エチルエステル−1,4−エポキシ−3−ヒドロ
ベンゼン)、2,5−ジメチルフランとアクリル酸オク
チルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例え
ば1,4−ジメチル−2−カルボン酸オクチルエステル
−1,4−エポキシ−3−ヒドロベンゼン)、1,4−
ジメチル−2,3−ジシアノ−1,4−エポキシ−ベン
ゼン、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−4−ヒド
ロベンゼン−2,3−ジカルボン酸メチルエステル、
1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−ベンゼン−2,
3−ジカルボン酸エチルエステル、1,4−ジメチル−
1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカ
ルボン酸オクチルエステル等を挙げることができる。
【0021】メタセシス重合性環状オレフィンの内、ビ
シクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7
−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の少なく
とも1位および/または4位にアルキル基を持つメタセ
シス重合性環状オレフィンと共重合可能なメタセシス重
合性環状オレフィンの具体例としては、ジシクロペンタ
ジエン、シクロペンタジエン3量体、シクロペンタジエ
ン−メチルシクロペンタジエン共2量体、5−エチリデ
ンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ノルボルネン、
ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネ
ン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a、5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−
メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタ
ヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−
ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オク
タヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネ
ン)などを挙げることができこれらの混合物も使用する
ことができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを
50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物
が好適に用いられる。
【0022】なお、上記のいずれのオレフィンもその合
成過程でオリゴマー等の各種の副生物を生じる場合があ
るが、それらの副生物は本願発明を実施するに当たって
必ずしも事前に分離する必要はなく、そのまま重合体中
に取り込まれあるいは、重合反応後に重合体から分離す
ることができる。従って、本願発明において、「メタセ
シス重合性環状オレフィン」とは、そのような副生物を
も含むオレフィンを意味する。
【0023】本発明において、メタセシス重合触媒系に
おけるメタセシス重合触媒およびメタセシス重合触媒活
性化剤は特に限定されるものではないが、メタセシス重
合触媒成分としてはタングステン、モリブデン、ルテニ
ウム、レニウム、タンタル等のハライドまたはアンモニ
ウム塩が用いられる。かかる化合物としてはタングステ
ンヘキサクロライド、タングステンオキシクロライド、
ペンタクロロモリブデン、モリブデンオキシクロライド
等にアルコール化合物またはフェノール化合物を添加し
可溶化させ、さらにルイス塩基またはキレート化剤を添
加した触媒およびタングステン酸アンモニウム塩、モリ
ブデン酸アンモニウム塩等が好ましい。
【0024】メタセシス重合触媒にはメタセシス重合性
環状オレフィンと接触するとメタセシス重合反応を即開
始するものと、メタセシス重合性環状オレフィンと接触
しただけではメタセシス重合反応はおこらずメタセシス
重合活性化剤を必要とするものとがある。溶液重合の場
合には両者とも使用可能であるが、バルク重合の場合に
はメタセシス重合触媒系が触媒成分と活性化成分と別々
の方が好ましいことが多い。
【0025】メタセシス重合触媒系が触媒成分と活性化
成分と別々の場合のメタセシス重合触媒活性化剤成分
は、周期律表第I〜第III族の金属アルキル化物を中
心とする有機金属化合物、特にテトラアルキル錫、アル
キルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライ
ド、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物等が好ま
しい。
【0026】また、反応調節剤としてルイス塩基類が用
いられることもある。なかんずくエーテル類、エステル
類、ニトリル類等が用いられる。これら化合物の種類、
使用量は反応条件により適宜調節して用いることができ
る。
【0027】メタセシス重合性環状オレフィンをメタセ
シス重合に不活性な溶液中に溶解させ、メタセシス重合
触媒系の存在下重合する溶液重合方法は、0.05モル
%以上のビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/
または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨
格の1位および/または4位にアルキル基を有するメタ
セシス重合性環状オレフィンと(ゼロである場合を含
む)残りがその他のメタセシス重合性環状オレフィンか
らなるメタセシス重合性環状オレフィンとをメタセシス
重合不活性溶媒であるトルエン、キシレン、クロロベン
ゼン、塩化メチレン、ペンタン、へキサン、ヘプタン等
の溶媒中に溶解させ、系内の酸素や水分等のメタセシス
重合の阻害成分を除去したのち、触媒成分および活性化
成分を添加して重合させるのが一般的である。原料であ
るメタセシス重合性環状オレフィンの濃度は0.001
〜3モル/リットルの範囲で適宜選択される。また、反
応温度は、−50℃〜100℃の範囲で適宜選択され
る。重合反応停止にはアルコールなど添加される。ま
た、重合体を単離するために重合体と極性を異にする溶
媒等が使用される場合が多い。
【0028】ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格およ
び/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテ
ン骨格の1位および/または4位にアルキル基を有する
メタセシス重合性環状オレフィンの割合は目的とする耐
酸化性や力学特性などから選択されるものであり、0.
05モル%〜100モル%の範囲で任意に選択され得こ
とが判明した。二重結合の共役を切断し変色しにくくす
る目的からは、常温で使用される場合には、0.05モ
ル%〜5モル%の範囲が好ましく、また、80℃以上の
過酷な条件下で高い衝撃強度を要求される用途に使用さ
れる重合体であれば、2モル%〜30モル%の範囲が好
ましい。
【0029】なお、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨
格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]
ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を
有するメタセシス重合性環状オレフィンの割合が非常に
少ない場合にも変色防止のために効果があるのは、変色
に関係するポリエン構造を適当な長さで切断するのには
この程度の共重合度で十分であることを意味するものと
考えられている。この効果はビシクロ[2,2,1]ヘ
プテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,
2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアル
キル基を有するメタセシス重合性環状オレフィンの割合
が0.05モル%以上であればより明確である。
【0030】溶液重合方法で使用されるビシクロ[2,
2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシ
クロ[2,2,1]ヘプテン骨格を有するメタセシス重
合性環状オレフィン中には、その合成方法などにより、
2位または3位の二重結合についた置換基をもつ異性体
化合物等が存在することがある。例えば、メチルシクロ
ペンタジエンの2量体は、通常、1位にメチル基を有す
るものの割合は10モル%にも満たず、残りは2位にメ
チル基を有するものである。2位にメチル基のあるもの
はその立体構造により触媒の接近が阻害されるためと思
われる理由によりメタセシス重合不活性であるため共重
合しないが、溶液重合方法の場合には、メタセシス重合
せず溶液中に存在することになり重合体を単離する場合
に分離することが可能である。従って、ビシクロ[2,
2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシ
クロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または
4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィ
ンは分離精製して使用する必要はない。
【0031】添加剤としては、充填剤、顔料、酸化防止
剤、光安定剤、エラストマー、高分子改質剤など添加さ
れることがあるが、当該溶液重合で得られた重合体の場
合には溶融状態で添加剤と混合し成形加工することが可
能である。なお、このことは、当該溶液重合で得られた
重合体が後述するバルク重合とは異なり、架橋構造を有
しないか、あるいは、架橋構造があっても、その割合は
少ないことを意味するものと思われる。
【0032】メタセシス重合触媒系の触媒成分とメタセ
シス重合触媒系の活性化剤成分とを別々に含み、かつ、
2種以上のメタセシス重合性環状オレフィンを含むモノ
マー液の組み合わせであって、当該2種以上のメタセシ
ス重合性環状オレフィンを含むモノマー液をすべてあわ
せた組成中に含まれる全メタセシス重合性環状オレフィ
ン中に、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/
または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨
格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセ
シス重合性環状オレフィンを0.05モル%以上含む、
モノマー液の組み合わせを混合してなる混合液を金型内
に注入し、その金型内においてメタセシス重合および架
橋反応せしめるバルク重合方法に使用するモノマー液の
組み合わせは、メタセシス重合触媒系が触媒成分と活性
化剤成分の2成分系よりなることを利用する。2液で実
施の場合、メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有する
メタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A
(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含
有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマ
ー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注
入し、その金型内において重合および架橋反応せしめる
ことによって架橋重合体組成物を得る。使用される溶液
Aおよび溶液Bは、その両方あわせた組成中に含まれる
メタセシス重合性環状オレフィン中にビシクロ[2,
2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシ
クロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または
4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィ
ンを0.05モル%〜100モル%含むように組み合わ
される。さらに、顔料や酸化防止剤等の添加剤や高分子
改質剤等を添加する目的で第3液またはそれ以上の液の
組み合わせにより成形する場合には、第3液または他の
同時に添加される液にビシクロ[2,2,1]ヘプテン
骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,
1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル
基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを添加するこ
とも可能である。この場合には、2液以上のメタセシス
重合性環状オレフィンからなるモノマー液のすべてあわ
せた組成中に含まれるメタセシス重合性環状オレフィン
中にビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/また
は、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の
1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス
重合性環状オレフィンを0.05モル%〜100モル%
含む反応性溶液の組み合わせとなる。ビシクロ[2,
2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシ
クロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または
4位にアルキル基を有するメタセシス重合性環状オレフ
ィンの割合は目的とする耐酸化性や力学特性などから選
択されるものであり、溶液重合の場合と同様、0.05
モル%〜100モル%の範囲で任意に選択される。二重
結合の共役を切断し変色しにくくする目的からは、常温
で使用される場合には、0.05モル%〜5モル%の範
囲が好ましい。また、80℃以上の過酷な条件下で使用
される重合体であれば、2モル%〜30モル%の範囲が
好ましい。
【0033】このバルク重合体成形物は、高温下におけ
るメタセシス重合あるいはバルクのメタセシス重合に必
然的に伴うと思われるラジカル反応等によると考えられ
る架橋の形成を伴うため、重合と成形とを同時に行うこ
とによって製造される。かかる成形方法としてはメタセ
シス重合触媒系の触媒成分とメタセシス重合触媒系の活
性化剤成分とを別々に含み、かつ、2種以上のメタセシ
ス重合性環状オレフィンを含むモノマー液の組み合わせ
を使用し、その混合液を金型内に同時に注入し、その金
型内において重合および架橋反応せしめることによって
成形された架橋重合体組成物を得る方法において、溶液
Aおよび溶液Bまたはそれ以上の液を混合したプレミッ
クスを型の中に流入するレジンインジェクション方式、
溶液Aおよび溶液Bまたはそれ以上の液をミキシングヘ
ッド部分で混合しそのまま型に流し込むRIM方式をと
ることができる。いずれの場合も鋳型への注入圧力は比
較的低圧であり、従って安価な鋳型を使用することがで
きる。また、型内での重合反応が開始されると反応熱に
よって型内の温度が急激に上昇し、短時間で重合反応が
終了する。ポリウレタンRIMの場合と異なり、型から
の離脱は容易であり特別の離型剤を使用しない場合が多
い。
【0034】添加剤として充填剤、顔料、酸化防止剤、
光安定剤、エラストマー、高分子改質剤など添加される
場合には、成形された後に添加することは不可能である
ことから、添加する場合には予め前記した原料溶液に添
加しておくことが必要である。
【0035】なお、バルク重合方法で製造する場合には
2位または3位に置換基のあるメタセシス重合不活性な
化合物は重合体中に残留物となり機械強度を低下させる
ため、目的に応じて、分離精製して使用するのが好まし
い場合がある。以下、実施例を挙げて、本発明を説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
[実施例1] (触媒液Aの調製)六塩化タングステン20重量部を乾
燥トルエン70容量に部窒素気流中で添加し、次いでノ
ニルフェノール21重量部およびトルエン16容量部よ
りなる溶液を添加し六塩化タングステンとノニルフェノ
ールとの反応により生成された塩化水素を除去し、さら
にアセチルアセトン15重量部を添加し最終的に0.5
Mのタングステン含有触媒液を調製した。全ての操作は
窒素雰囲気下で行った。
【0037】(活性化剤液Bの調製)トリオクチルアル
ミニウム85、ジオクチルアルミニウムアイオダイド1
5、ジグライム100のモル割合で混合調製し、脱水ト
ルエンを加えることにより1Mのアルミニウム含有活性
化剤液を調製した。全ての操作は窒素雰囲気下で行っ
た。
【0038】(溶液重合)300ミリリットルのガラス
瓶に、1.0gの2−メチルフランとアクリロニトリル
のディールス−アルダー反応付加物である1−メチル−
3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベン
ゼン)および10gのジシクロペンタジエン(以下DC
PDと記述する)、さらに100ミリリットルの脱水ト
ルエンを入れ混合した溶液に、窒素を導くことにより系
内の酸素を除去した。ついで、上記の触媒液を1.2ミ
リリットル加え均一に撹袢した後、上記の活性化剤液を
2.3ミリリットル加え激しく撹袢した。液温度は20
℃に保った。30分後、液はゼリー状になった。ガラス
瓶を割りゼリー状物を取り出し、激しく撹袢しつつある
多量のメタノール中に少量づつ入れ重合体成分を析出さ
せ、ろ別することによって重合体を白色の固体として単
離した。単離した重合体は真空乾燥し、その赤外吸収ス
ペクトルを測定した。この赤外吸収スペクトルにはシア
ノ基に帰属される吸収がはっきり現れていることから2
−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アル
ダー反応付加物が重合体中に取り込まれていることが判
った。この重合体を屋内に1ヶ月置いたところ変色は見
られなかった。一方、同様の方法で得られたジシクロペ
ンタジエンのホモポリマーの場合には、当初の白色が僅
か2日で黄色く変色した。このことから2−メチルフラ
ンとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加
物はメタセシス重合により開環し、エーテル結合を有す
る第3炭素がメタセシス重合体の化学構造中に導入され
ることにより耐酸化性が向上しているものと判断され
た。
【0039】[実施例2]実施例1で使用したのと同じ
触媒液および活性化剤液を用いて、DCPDとボルニレ
ンによる溶液重合を実施した。溶液重合は、300ミリ
リットルのガラス瓶に、1.0gのボルニレン、および
10gのDCPD、さらに100ミリリットルの脱水ト
ルエンを入れ混合した溶液に、窒素を導くことにより系
内の酸素を除去した。ついで、触媒液を1.2ミリリッ
トル加え均一に撹袢した後、活性化剤液を2.3ミリリ
ットル加え激しく撹袢した。液温度は0℃に保った。1
20分後、1ミリリットルのメタノールを入れ反応を停
止させた。ガラス瓶からゼリー状物を取り出し、激しく
撹袢しつつある多量のメタノール中に少量づつ入れ重合
体成分を析出させ、ろ別することによって重合体を白色
の固体として単離した。この重合体を屋内に1ヶ月置い
たところ変色は見られなかった。
【0040】この重合体を重ベンゼンに溶解させNMR
を測定したところボルニレンのメチル基に帰属されるシ
ングレットのメチル基のピークが確認され、メタセシス
重合によりメタセシス重合性環状オレフィンが開環した
構造中にボルニレンが導入されていることを示した。
【0041】一方、同様の方法で得られたジシクロペン
タジエンのホモポリマーの場合には、当初の白色が僅か
2日で黄色く変色した。これらの事実からボルニレンは
メタセシス重合反応により開環した構造を与え、メタセ
シス重合体の化学構造中に第4炭素が挿入されることに
より耐酸化性が向上しているものと判断される。
【0042】[実施例3]実施例1で使用したのと同じ
触媒液および活性化剤液を用いて、6−エチリデン−
1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレンと1位にメチル
基を持つメチルシクロペンタジエン2量体による溶液重
合を実施した。1位にメチル基を持つメチルシクロペン
タジエン2量体は精製せず異性体を含む混合物のまま使
用した。当該混合物中に含まれる主な不純分は2位にメ
チル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体であり、
GCクロマトグラフによる分析では、1位にメチル基を
持つメチルシクロペンタジエン2量体の混合物中の割合
は8重量%であった。
【0043】溶液重合は、3000ミリリットルのフラ
スコに、10gの6−エチリデン−1,4,5,8−ジ
メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタ
ヒドロナフタレンと10gの上記メチルシクロペンタジ
エン2量体(精製せず上記異性体を含む混合物。1位に
メチル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体はkの
10g中に0.8g含まれる。)、さらに1000ミリ
リットルの脱水トルエンを入れ混合した溶液に、窒素を
導くことにより系内の酸素を除去した。ついで、触媒液
Aを12ミリリットル加え均一に撹袢した後、活性化剤
液Bを23ミリリットル加え激しく撹袢した。液温度は
0℃に保った。5時間後、この溶液を、激しく撹袢され
た多量のメタノール中に少量づつ加え、重合体成分を析
出させろ別することによって単離した。
【0044】このメタノール中に含まれる未反応モノマ
ーをガスクロマトグラフにて調べたところ、メチルシク
ロペンタジエン2量体混合物中の1位にメチル基を有す
るメチルシクロペンタジエン2量体の割合が他の成分よ
りも減少していることから1位にメチル基を有するメチ
ルシクロペンタジエン2量体が開環し重合体の一部とし
て取り込まれているものと判断された。
【0045】この重合体を屋内に1ヶ月置いたところ当
初の白色からの変色は見られなかった。一方、同様の方
法で得られた6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタ
ノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒド
ロナフタレンのホモポリマーの場合には、当初の白色が
僅か2日で黄色く変色した。このことから1位にメチル
基を有するメチルシクロペンタジエン2量体はメタセシ
ス重合反応により開環した構造を有しメタセシス重合体
の化学構造中に第4炭素が挿入されることにより耐酸化
性が向上しているものと判断される。
【0046】[実施例4]Robert H.Grub
bsらにより報告された、J.Am.Chem.So
c.1988,110巻,960ページ記載の触媒
((CCF32(CH3)CO)2W(CH−t−Bu)
(C63−2,6(CH(CH32)N)の3.17g
(4.8ミリモル)を10ミリリットルのトルエンに分
散させて触媒とした。一方、2−メチルフランとアクリ
ロニトリルのディールス−アルダー反応付加物である1
−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒ
ドロベンゼン16.2gをトルエン10ミリリットル溶
媒中に分散させた。上記触媒液を20℃に保った当該1
−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒ
ドロベンゼンとトルエンの混合液にゆっくりと加えた後
に24時間撹袢した。その後、メタノール10ミリリッ
トルを添加して重合反応を停止させ、内容物を大型のガ
ラス容器に移し、これに500ミリリットルのペンタン
を注ぎ重合体を析出させた。得られた重合体を塩化メチ
レンに溶解させ、再度500ミリリットルのペンタンを
注ぎ、重合体を析出させることによって触媒成分を重合
体から除去した。
【0047】この重合体を、ろ別、乾燥することによっ
て重合体を白色の固体としてホモポリマーを得た。この
重合体を屋内に1ヶ月置いたところ変色は見られなかっ
た。さらに、90℃で7日間熱処理してもまったく変色
せず優れた耐候性を持つポリマーであることが判った。
【0048】[実施例5〜8およ比較例] (触媒成分溶液の調製)表1に示した2−メチルフラン
とアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物
である1−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,
4−ジヒドロベンゼンと表1に示したDCPDまたはD
CPDとエチリデンノルボルネン(ENBともいう)と
の混合物からなる組成の液100重量部に対し、エチレ
ン含量55wt%のエチレン・プロピレン・エチリデン
ノルボルネン共重合ゴム(三井石油化学社製、EPT4
070)3重量部を溶解させた溶液に実施例1の触媒液
をタングステン含量が0.001Mになるように加えて
モノマー液Aを調製した。全ての操作は窒素雰囲気下で
おこなった。
【0049】(活性化剤成分溶液の調製)表1に示した
2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−ア
ルダー反応付加物である1−メチル3−シアノ−1,4
−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼンに表1に示した
DCPDまたはDCPDとENBとの混合物からなる液
100重量部に対し、エチレン含量55wt%のエチレ
ン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム
(三井石油化学社製、EPT4070)3重量部を溶解
させた溶液に実施例1の活性化剤液をアルミニウム含量
が0.003Mになるように加えてモノマー液Bを調製
した。全ての操作は窒素雰囲気下でおこなった。
【0050】(成形)上記の如く調製したモノマー液A
およびモノマー液Bを用いて小型反応射出成形機によっ
て縦200mm、横200mm、厚さ約3mmの架橋し
たメタセシス重合体からなる板状成形物を作成した。射
出時の液温度は30℃、金型は鉄製であり、金型温度
は、下型90℃、上型60℃にて実施した。
【0051】得られた板状の成形物の色は淡い黄色であ
り、2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス
−アルダー反応付加物の量が多いほど黄色が更に淡くな
った。
【0052】これは、比較として、メタセシス重合性環
状オレフィンとしてDCPDのみを使用する以外は実施
例5と同様の方法で実施した場合の板状の成形物の、褐
色がかった濃い黄色とはまったく異なるものであった。
これら板状成形物を90℃の乾燥器に入れ3日間処理し
たところ、表1に記載のように2−メチルフランとアク
リロニトリルのディールス−アルダー反応付加物を添加
したものの変色は大幅に改善され、また、衝撃値の低下
も少ないことが判った。この結果は、2−メチルフラン
とアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物
がメタセシス重合により開環し、エーテル結合を有する
第3炭素がメタセシス重合体の化学構造中に導入された
ためと推定された。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明の結果、メタセシス重合性環状オ
レフィンのメタセシス重合体の化学構造中に第4炭素お
よび/またはエーテル結合を有する第3炭素を挿入する
ことで酸化劣化によって生じる二重結合の共役を切断す
ることによると思われる効果により、重合体の酸化に伴
う変色、機能低下を抑制することが可能になった。特に
原着した場合に鮮明な色を長期間に渡り保持することが
可能となる。かくして得られた成形物は、自動車等の各
種運搬機器の部剤、電気、電子機器のハウジング、光学
材料など広範な用途に使用できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その化学構造中に下記式(1)または式
    (2)の構造を含むことを特徴とするメタセシス重合体
    (式(1)中R1、R2、R3、およびR4は個々に水素、
    炭素1〜8個のアルキル基から選択され、X1、X2、Y
    1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリ
    デン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から
    独立に選択される。ただし、R1とR2は少なくともいず
    れか一方が炭素1〜8個のアルキル基である。X1
    1、もしくはX2とY2とが結合して、シクロアルキ
    ル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良
    い。また、式(2)中R1およびR2は個々に水素、炭素
    1〜8個のアルキル基から選択され(ただし、少なくと
    もいずれか一方は炭素1〜8個のアルキル基)、X1
    2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、
    アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シア
    ノ基から独立に選択される。X1とY1、もしくはX2
    2が結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン
    基、酸無水物を形成していても良い。)。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格お
    よび/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプ
    テン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つ
    メタセシス重合性環状オレフィンを単独で重合しあるい
    は他のメタセシス重合性環状オレフィンと共重合して得
    られるメタセシス重合体。
  3. 【請求項3】 その0.05モル以上がビシクロ[2,
    2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシ
    クロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または
    4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィ
    ンである、メタセシス重合性環状オレフィンをメタセシ
    ス重合してなるメタセシス重合体。
  4. 【請求項4】 メタセシス重合性環状オレフィンをメタ
    セシス重合に不活性な溶液中に溶解させ、メタセシス重
    合触媒系の存在下重合することを特徴とする請求項1〜
    3記載の重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 メタセシス重合触媒系が触媒成分とメタ
    セシス重合触媒系の活性化剤成分からなる触媒系にあっ
    て、そのメタセシス重合触媒系の触媒成分とメタセシス
    重合触媒系の活性化剤成分とを別々に含み、かつ、2種
    以上のメタセシス重合性環状オレフィンを含むモノマー
    液の組み合わせであって、当該2種以上のメタセシス重
    合性環状オレフィンを含むモノマー液をすべてあわせた
    組成中に含まれる全メタセシス重合性環状オレフィン中
    に、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/また
    は、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の
    1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス
    重合性環状オレフィンを0.05モル%以上含む、モノ
    マー液の組み合わせ。
  6. 【請求項6】 請求項5の複数のモノマー液を混合して
    なる混合液を金型内に注入し、その金型内においてメタ
    セシス重合および架橋反応せしめることによって成形す
    る架橋重合体組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000053657A1 (en) * 1999-03-12 2000-09-14 The B.F. Goodrich Company Processes for making polymers containing pendant cyclic anhydride groups

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WO2000053657A1 (en) * 1999-03-12 2000-09-14 The B.F. Goodrich Company Processes for making polymers containing pendant cyclic anhydride groups
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