JP3862808B2 - 化学構造に耐酸化性炭素を持つ重合体、その製造方法 - Google Patents

化学構造に耐酸化性炭素を持つ重合体、その製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタセシス重合性環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中に第4炭素および/またはエーテル結合を有する第3炭素を持つことを特徴とする重合体、その製造方法および反応性溶液の組み合わせに関する。より詳しくは、メタセシス重合性環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中に耐酸化性炭素である第4炭素および/またはエーテル結合を有する第3炭素を挿入することで酸化劣化によって生じる二重結合の共役を切断し、重合体の変色を押さえることおよび機能低下を防ぐことを目的とした重合体とその製造方法および反応性溶液の組み合わせに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メタセシス重合触媒系(複分解触媒系ともいう)によるメタセシス重合性環状オレフィン重合体としてはメタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された架橋重合体組成物を得る方法(RIM)による、ジシクロペンタジエンを主成分とした架橋重合体組成物が知られている(帝人メトン社製、メトン)。また、溶液中でノルボルネンをメタセシス重合させる方法によりポリノルボルネンが得られている(日本ゼオン社製、ノーソレックス)。
【0003】
しかしながら、これらの重合体の構造中には二重結合のα位に第3水素を有しているために水素の引き抜きを伴う酸化反応が起こりやすく、最終的には二重結合の共役が起こり変色の原因となっている。このため、場合によっては得られたポリマーを水添する場合も見られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、これら酸化に伴う変色、機能低下を抑制する方法について鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、変色した重合体の構造について解析した結果、酸化反応に伴いポリエン構造が生じていることを見い出し、変色の原因はこの共役する二重結合数が増加することにより吸収波長が長波長にまで伸び着色したものと推定し、共役する二重結合を途中で切断できれば酸化反応による変色を押さえることが可能であると考え、その手段としてメタセシス重合体の分子鎖中に耐酸化性炭素である第4炭素および/またはエーテル結合を有する第3炭素を導入することを考え本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本願発明は、
1.メタセシス重合性環状オレフィンと他のメタセシス重合性環状オレフィンとが共重合されたメタセシス重合体の化学構造中に当該メタセシス重合性環状オレフィン誘導体として下記式(1)または式(2)の構造を0.05モル%以上含むことを特徴とするメタセシス重合体、
【0007】
【化3】
Figure 0003862808
【0008】
【化4】
Figure 0003862808
【0009】
2.他のメタセシス重合性環状オレフィンがジシクロペンタジエンである、上記1のメタセシス重合体、。
3.ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを他のメタセシス重合性環状オレフィンと共重合して得られるメタセシス重合体、
4.シクロ[2,2,1]ヘプテン骨格または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンが0.05モル%以上共重合された請求項3記載のメタセシス重合体、
5.他のメタセシス重合性環状オレフィンがジシクロペンタジエンである、上記4のメタセシス重合体、
6.0.05モル%以上のビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格または7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィン及び他のメタセシス重合性環状オレフィンをメタセシス重合に不活性な溶液中に溶解させ、メタセシス重合触媒系の存在下共重合することを特徴とするメタセシス重合体の製造方法、
である。
【0010】
なお、式(1)中R1、R2、R3、およびR4は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から独立に選択される。ただし、R1とR2は少なくともいずれか一方が炭素1〜8個のアルキル基である。X1とY1、もしくはX2とY2とが結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良い。
【0011】
また、式(2)中R1およびR2は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され(ただし、少なくともいずれか一方は炭素1〜8個のアルキル基)、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から独立に選択される。X1とY1、もしくはX2とY2が結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良い。
【0012】
メタセシス重合性環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中に第4炭素を与えるビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つオレフィンとは式(3)の構造を有する化合物である。
【0013】
【化5】
Figure 0003862808
【0014】
式(3)中R1、R2、R3、およびR4は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から独立に選択される。ただし、R1とR2は少なくともいずれか一方が炭素1〜8個のアルキル基である。X1とY1、もしくはX2とY2とが結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良い。
【0015】
また、本発明におけるメタセシス重合とはメタセシス重合触媒系により環状オレフィン化合物の二重結合を開環させて成る重合のことを意味し、メタセシス重合性とはそのような、メタセシス重合をすることのできる性質を有していることを意味し、メタセシス重合体とはメタセシス重合触媒系により環状オレフィン化合物の二重結合を開環させて得られる重合体を意味する。この重合体は主鎖に二重結合を有する。また、環状オレフィン化合物に二つ以上の二重結合や反応性の置換基が存在する場合には、もう一方のオレフィンでメタセシス重合反応、ラジカル反応、カチオン重合等の種々の反応が起こり得るため架橋重合体を与えることもあり、これら重合体も本発明の範疇に属する。
【0016】
ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つ化合物の具体的化合物としては、1−メチルジシクロペンタジエン、1−メチル−ノルボルネン、1−メチル−5−エチリデンノルボルネン、1−メチル−5−ビニルノルボルネン、ボルニレン、1,7−ジメチル−ノルボルネン、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンの2量体、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、1−メチルナディック酸、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリル酸メチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリル酸エチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとアクリル酸オクチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとメタクリル酸メチルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとメタクリル酸エチルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとメタクリル酸オクチルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンと1,2−ジシアノエチレンのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとマレイン酸ジエチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとマレイン酸ジオクチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1−エチルジシクロペンタジエン、1−エチル−ノルボルネン、1−エチル−5−エチリデンノルボルネン、1−エチル−5−ビニルノルボルネン、1,7−ジエチル−ノルボルネン、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンの2量体、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、1−エチルナディック酸、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリル酸メチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリル酸エチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとアクリル酸オクチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとメタクリル酸メチルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとメタクリル酸エチルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとメタクリル酸オクチルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンと1,2−ジシアノエチレンのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとマレイン酸ジエチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基を有するエチルシクロペンタジエンとマレイン酸ジオクチルエステルのディールス−アルダー反応付加物、1位にエチル基またはメチル基を有するメチルシクロペンタジエンとエチルシクロペンタジエンとのディールス−アルダー反応付加物、1,4−メチルシクロペンタジエン、1,4−ジ−メチル−ノルボルネン、1,4−ジメチル−5−エチリデンノルボルネン、1,4−ジメチル−5−ビニルノルボルネン、1,4,7−トリメチル−ノルボルネン、1,4−ジメチルナディック酸、1,4−ジメチル−5−シアノノルボルネン、1,4−ジメチル−5,6−ジシアノノルボルネン等を挙げることができる。
【0017】
メタセシス重合性環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中にエーテル結合を有する第3炭素を与える7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンとは式(4)の構造を有するメタセシス重合性環状オレフィンである。
【0018】
【化6】
Figure 0003862808
【0019】
式(4)中R1およびR2は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され(ただし、少なくともいずれか一方は炭素1〜8個のアルキル基)、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から独立に選択される。X1とY1、もしくはX2とY2が結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良い。
【0020】
7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つオレフィンの具体的化合物としては、1−メチル−1,4−エポキシ−2,3,4−トリヒドロベンゼン、2−メチルフランと1−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−3−エチル−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランと2−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,2,3−トリメチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン)、2−メチルフランと1,3−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−3−ビニル−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランと1−オクテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−3−ヘキシル−1,4−エポキシ−2,3,4−トリヒドロベンゼン)、1−メチル−1,4−エポキシ−4,4a,7a−トリヒドロインデン、2−メチルフランとヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、2−メチルフランとメチルシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、2−メチルフランとエチルシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、1−メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−2−シアノ−1,4−エポキシ−3,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランとアクリル酸メチルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−2−カルボン酸メチルエステル−1,4−エポキシ−3,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランとアクリル酸エチルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−2−カルボン酸エチルエステル−1,4−エポキシ−3,4−ジヒドロベンゼン)、2−メチルフランとアクリル酸オクチルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1−メチル−2−カルボン酸オクチルエステル−1,4−エポキシ−3,4−ジヒドロベンゼン)、1−メチル−2,3−ジシアノ−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン、1−メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン酸メチルエステル、1−メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン酸エチルエステル、1−メチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン酸オクチルエステル、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−2,3−ジヒドロベンゼン、2,5−ジメチルフランと1−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−3−エチル−1,4−エポキシ−2−ヒドロベンゼン)、2,5−ジメチルフランと2−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,2,3,4−テトラメチル−1,4−エポキシ−ベンゼン)、2,5−ジメチルフランと1,3−ブテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−3−ビニル−1,4−エポキシ−2−ヒドロベンゼン)、2,5−ジメチルフランと1−オクテンのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−3−ヘキシル−1,4−エポキシ−2,3−ジヒドロベンゼン)、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−4a,7a−ジヒドロインデン、2,5−ジメチルフランとヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、2,5−ジメチルフランとメチルシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、2,5−ジメチルフランとエチルシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応付加物、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−ベンゼン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,5−ジメチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−2−シアノ−1,4−エポキシ−3−ジヒドロベンゼン)、2,5−ジメチルフランとアクリル酸メチルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−2−カルボン酸メチルエステル−1,4−エポキシ−3−ジヒドロベンゼン)、2,5−ジメチルフランとアクリル酸エチルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−2−カルボン酸エチルエステル−1,4−エポキシ−3−ヒドロベンゼン)、2,5−ジメチルフランとアクリル酸オクチルエステルのディールス−アルダー反応付加物(例えば1,4−ジメチル−2−カルボン酸オクチルエステル−1,4−エポキシ−3−ヒドロベンゼン)、1,4−ジメチル−2,3−ジシアノ−1,4−エポキシ−ベンゼン、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン酸メチルエステル、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−ベンゼン−2,3−ジカルボン酸エチルエステル、1,4−ジメチル−1,4−エポキシ−4−ヒドロベンゼン−2,3−ジカルボン酸オクチルエステル等を挙げることができる。
【0021】
メタセシス重合性環状オレフィンの内、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の少なくとも1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンと共重合可能なメタセシス重合性環状オレフィンの具体例としては、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン3量体、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共2量体、5−エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a、5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)などを挙げることができこれらの混合物も使用することができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適に用いられる。
【0022】
なお、上記のいずれのオレフィンもその合成過程でオリゴマー等の各種の副生物を生じる場合があるが、それらの副生物は本願発明を実施するに当たって必ずしも事前に分離する必要はなく、そのまま重合体中に取り込まれあるいは、重合反応後に重合体から分離することができる。従って、本願発明において、「メタセシス重合性環状オレフィン」とは、そのような副生物をも含むオレフィンを意味する。
【0023】
本発明において、メタセシス重合触媒系におけるメタセシス重合触媒およびメタセシス重合触媒活性化剤は特に限定されるものではないが、メタセシス重合触媒成分としてはタングステン、モリブデン、ルテニウム、レニウム、タンタル等のハライドまたはアンモニウム塩が用いられる。かかる化合物としてはタングステンヘキサクロライド、タングステンオキシクロライド、ペンタクロロモリブデン、モリブデンオキシクロライド等にアルコール化合物またはフェノール化合物を添加し可溶化させ、さらにルイス塩基またはキレート化剤を添加した触媒およびタングステン酸アンモニウム塩、モリブデン酸アンモニウム塩等が好ましい。
【0024】
メタセシス重合触媒にはメタセシス重合性環状オレフィンと接触するとメタセシス重合反応を即開始するものと、メタセシス重合性環状オレフィンと接触しただけではメタセシス重合反応はおこらずメタセシス重合活性化剤を必要とするものとがある。溶液重合の場合には両者とも使用可能であるが、バルク重合の場合にはメタセシス重合触媒系が触媒成分と活性化成分と別々の方が好ましいことが多い。
【0025】
メタセシス重合触媒系が触媒成分と活性化成分と別々の場合のメタセシス重合触媒活性化剤成分は、周期律表第I〜第III族の金属アルキル化物を中心とする有機金属化合物、特にテトラアルキル錫、アルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物等が好ましい。
【0026】
また、反応調節剤としてルイス塩基類が用いられることもある。なかんずくエーテル類、エステル類、ニトリル類等が用いられる。これら化合物の種類、使用量は反応条件により適宜調節して用いることができる。
【0027】
メタセシス重合性環状オレフィンをメタセシス重合に不活性な溶液中に溶解させ、メタセシス重合触媒系の存在下重合する溶液重合方法は、0.05モル%以上のビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を有するメタセシス重合性環状オレフィンと(ゼロである場合を含む)残りがその他のメタセシス重合性環状オレフィンからなるメタセシス重合性環状オレフィンとをメタセシス重合不活性溶媒であるトルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、ペンタン、へキサン、ヘプタン等の溶媒中に溶解させ、系内の酸素や水分等のメタセシス重合の阻害成分を除去したのち、触媒成分および活性化成分を添加して重合させるのが一般的である。原料であるメタセシス重合性環状オレフィンの濃度は0.001〜3モル/リットルの範囲で適宜選択される。また、反応温度は、−50℃〜100℃の範囲で適宜選択される。重合反応停止にはアルコールなど添加される。また、重合体を単離するために重合体と極性を異にする溶媒等が使用される場合が多い。
【0028】
ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を有するメタセシス重合性環状オレフィンの割合は目的とする耐酸化性や力学特性などから選択されるものであり、0.05モル%〜100モル%の範囲で任意に選択され得ことが判明した。二重結合の共役を切断し変色しにくくする目的からは、常温で使用される場合には、0.05モル%〜5モル%の範囲が好ましく、また、80℃以上の過酷な条件下で高い衝撃強度を要求される用途に使用される重合体であれば、2モル%〜30モル%の範囲が好ましい。
【0029】
なお、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を有するメタセシス重合性環状オレフィンの割合が非常に少ない場合にも変色防止のために効果があるのは、変色に関係するポリエン構造を適当な長さで切断するのにはこの程度の共重合度で十分であることを意味するものと考えられている。この効果はビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を有するメタセシス重合性環状オレフィンの割合が0.05モル%以上であればより明確である。
【0030】
溶液重合方法で使用されるビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格を有するメタセシス重合性環状オレフィン中には、その合成方法などにより、2位または3位の二重結合についた置換基をもつ異性体化合物等が存在することがある。例えば、メチルシクロペンタジエンの2量体は、通常、1位にメチル基を有するものの割合は10モル%にも満たず、残りは2位にメチル基を有するものである。2位にメチル基のあるものはその立体構造により触媒の接近が阻害されるためと思われる理由によりメタセシス重合不活性であるため共重合しないが、溶液重合方法の場合には、メタセシス重合せず溶液中に存在することになり重合体を単離する場合に分離することが可能である。従って、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンは分離精製して使用する必要はない。
【0031】
添加剤としては、充填剤、顔料、酸化防止剤、光安定剤、エラストマー、高分子改質剤など添加されることがあるが、当該溶液重合で得られた重合体の場合には溶融状態で添加剤と混合し成形加工することが可能である。なお、このことは、当該溶液重合で得られた重合体が後述するバルク重合とは異なり、架橋構造を有しないか、あるいは、架橋構造があっても、その割合は少ないことを意味するものと思われる。
【0032】
メタセシス重合触媒系の触媒成分とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分とを別々に含み、かつ、2種以上のメタセシス重合性環状オレフィンを含むモノマー液の組み合わせであって、当該2種以上のメタセシス重合性環状オレフィンを含むモノマー液をすべてあわせた組成中に含まれる全メタセシス重合性環状オレフィン中に、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを0.05モル%以上含む、モノマー液の組み合わせを混合してなる混合液を金型内に注入し、その金型内においてメタセシス重合および架橋反応せしめるバルク重合方法に使用するモノマー液の組み合わせは、メタセシス重合触媒系が触媒成分と活性化剤成分の2成分系よりなることを利用する。2液で実施の場合、メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって架橋重合体組成物を得る。使用される溶液Aおよび溶液Bは、その両方あわせた組成中に含まれるメタセシス重合性環状オレフィン中にビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを0.05モル%〜100モル%含むように組み合わされる。さらに、顔料や酸化防止剤等の添加剤や高分子改質剤等を添加する目的で第3液またはそれ以上の液の組み合わせにより成形する場合には、第3液または他の同時に添加される液にビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを添加することも可能である。この場合には、2液以上のメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液のすべてあわせた組成中に含まれるメタセシス重合性環状オレフィン中にビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを0.05モル%〜100モル%含む反応性溶液の組み合わせとなる。ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格および/または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を有するメタセシス重合性環状オレフィンの割合は目的とする耐酸化性や力学特性などから選択されるものであり、溶液重合の場合と同様、0.05モル%〜100モル%の範囲で任意に選択される。二重結合の共役を切断し変色しにくくする目的からは、常温で使用される場合には、0.05モル%〜5モル%の範囲が好ましい。また、80℃以上の過酷な条件下で使用される重合体であれば、2モル%〜30モル%の範囲が好ましい。
【0033】
このバルク重合体成形物は、高温下におけるメタセシス重合あるいはバルクのメタセシス重合に必然的に伴うと思われるラジカル反応等によると考えられる架橋の形成を伴うため、重合と成形とを同時に行うことによって製造される。かかる成形方法としてはメタセシス重合触媒系の触媒成分とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分とを別々に含み、かつ、2種以上のメタセシス重合性環状オレフィンを含むモノマー液の組み合わせを使用し、その混合液を金型内に同時に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された架橋重合体組成物を得る方法において、溶液Aおよび溶液Bまたはそれ以上の液を混合したプレミックスを型の中に流入するレジンインジェクション方式、溶液Aおよび溶液Bまたはそれ以上の液をミキシングヘッド部分で混合しそのまま型に流し込むRIM方式をとることができる。いずれの場合も鋳型への注入圧力は比較的低圧であり、従って安価な鋳型を使用することができる。また、型内での重合反応が開始されると反応熱によって型内の温度が急激に上昇し、短時間で重合反応が終了する。ポリウレタンRIMの場合と異なり、型からの離脱は容易であり特別の離型剤を使用しない場合が多い。
【0034】
添加剤として充填剤、顔料、酸化防止剤、光安定剤、エラストマー、高分子改質剤など添加される場合には、成形された後に添加することは不可能であることから、添加する場合には予め前記した原料溶液に添加しておくことが必要である。
【0035】
なお、バルク重合方法で製造する場合には2位または3位に置換基のあるメタセシス重合不活性な化合物は重合体中に残留物となり機械強度を低下させるため、目的に応じて、分離精製して使用するのが好ましい場合がある。
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
[実施例1]
(触媒液Aの調製)
六塩化タングステン20重量部を乾燥トルエン70容量に部窒素気流中で添加し、次いでノニルフェノール21重量部およびトルエン16容量部よりなる溶液を添加し六塩化タングステンとノニルフェノールとの反応により生成された塩化水素を除去し、さらにアセチルアセトン15重量部を添加し最終的に0.5Mのタングステン含有触媒液を調製した。全ての操作は窒素雰囲気下で行った。
【0037】
(活性化剤液Bの調製)
トリオクチルアルミニウム85、ジオクチルアルミニウムアイオダイド15、ジグライム100のモル割合で混合調製し、脱水トルエンを加えることにより1Mのアルミニウム含有活性化剤液を調製した。全ての操作は窒素雰囲気下で行った。
【0038】
(溶液重合)
300ミリリットルのガラス瓶に、1.0gの2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物である1−メチル−3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼン)および10gのジシクロペンタジエン(以下DCPDと記述する)、さらに100ミリリットルの脱水トルエンを入れ混合した溶液に、窒素を導くことにより系内の酸素を除去した。ついで、上記の触媒液を1.2ミリリットル加え均一に撹袢した後、上記の活性化剤液を2.3ミリリットル加え激しく撹袢した。液温度は20℃に保った。30分後、液はゼリー状になった。ガラス瓶を割りゼリー状物を取り出し、激しく撹袢しつつある多量のメタノール中に少量づつ入れ重合体成分を析出させ、ろ別することによって重合体を白色の固体として単離した。単離した重合体は真空乾燥し、その赤外吸収スペクトルを測定した。この赤外吸収スペクトルにはシアノ基に帰属される吸収がはっきり現れていることから2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物が重合体中に取り込まれていることが判った。この重合体を屋内に1ヶ月置いたところ変色は見られなかった。一方、同様の方法で得られたジシクロペンタジエンのホモポリマーの場合には、当初の白色が僅か2日で黄色く変色した。このことから2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物はメタセシス重合により開環し、エーテル結合を有する第3炭素がメタセシス重合体の化学構造中に導入されることにより耐酸化性が向上しているものと判断された。
【0039】
[実施例2]
実施例1で使用したのと同じ触媒液および活性化剤液を用いて、DCPDとボルニレンによる溶液重合を実施した。溶液重合は、300ミリリットルのガラス瓶に、1.0gのボルニレン、および10gのDCPD、さらに100ミリリットルの脱水トルエンを入れ混合した溶液に、窒素を導くことにより系内の酸素を除去した。ついで、触媒液を1.2ミリリットル加え均一に撹袢した後、活性化剤液を2.3ミリリットル加え激しく撹袢した。液温度は0℃に保った。120分後、1ミリリットルのメタノールを入れ反応を停止させた。ガラス瓶からゼリー状物を取り出し、激しく撹袢しつつある多量のメタノール中に少量づつ入れ重合体成分を析出させ、ろ別することによって重合体を白色の固体として単離した。この重合体を屋内に1ヶ月置いたところ変色は見られなかった。
【0040】
この重合体を重ベンゼンに溶解させNMRを測定したところボルニレンのメチル基に帰属されるシングレットのメチル基のピークが確認され、メタセシス重合によりメタセシス重合性環状オレフィンが開環した構造中にボルニレンが導入されていることを示した。
【0041】
一方、同様の方法で得られたジシクロペンタジエンのホモポリマーの場合には、当初の白色が僅か2日で黄色く変色した。これらの事実からボルニレンはメタセシス重合反応により開環した構造を与え、メタセシス重合体の化学構造中に第4炭素が挿入されることにより耐酸化性が向上しているものと判断される。
【0042】
[実施例3]
実施例1で使用したのと同じ触媒液および活性化剤液を用いて、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンと1位にメチル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体による溶液重合を実施した。1位にメチル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体は精製せず異性体を含む混合物のまま使用した。当該混合物中に含まれる主な不純分は2位にメチル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体であり、GCクロマトグラフによる分析では、1位にメチル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体の混合物中の割合は8重量%であった。
【0043】
溶液重合は、3000ミリリットルのフラスコに、10gの6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンと10gの上記メチルシクロペンタジエン2量体(精製せず上記異性体を含む混合物。1位にメチル基を持つメチルシクロペンタジエン2量体はkの10g中に0.8g含まれる。)、さらに1000ミリリットルの脱水トルエンを入れ混合した溶液に、窒素を導くことにより系内の酸素を除去した。ついで、触媒液Aを12ミリリットル加え均一に撹袢した後、活性化剤液Bを23ミリリットル加え激しく撹袢した。液温度は0℃に保った。5時間後、この溶液を、激しく撹袢された多量のメタノール中に少量づつ加え、重合体成分を析出させろ別することによって単離した。
【0044】
このメタノール中に含まれる未反応モノマーをガスクロマトグラフにて調べたところ、メチルシクロペンタジエン2量体混合物中の1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエン2量体の割合が他の成分よりも減少していることから1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエン2量体が開環し重合体の一部として取り込まれているものと判断された。
【0045】
この重合体を屋内に1ヶ月置いたところ当初の白色からの変色は見られなかった。一方、同様の方法で得られた6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンのホモポリマーの場合には、当初の白色が僅か2日で黄色く変色した。このことから1位にメチル基を有するメチルシクロペンタジエン2量体はメタセシス重合反応により開環した構造を有しメタセシス重合体の化学構造中に第4炭素が挿入されることにより耐酸化性が向上しているものと判断される。
【0046】
[実施例4]
Robert H.Grubbsらにより報告された、J.Am.Chem.Soc.1988,110巻,960ページ記載の触媒((CCF32(CH3)CO)2W(CH−t−Bu)(C63−2,6(CH(CH32)N)の3.17g(4.8ミリモル)を10ミリリットルのトルエンに分散させて触媒とした。一方、2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物である1−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼン16.2gをトルエン10ミリリットル溶媒中に分散させた。上記触媒液を20℃に保った当該1−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼンとトルエンの混合液にゆっくりと加えた後に24時間撹袢した。その後、メタノール10ミリリットルを添加して重合反応を停止させ、内容物を大型のガラス容器に移し、これに500ミリリットルのペンタンを注ぎ重合体を析出させた。得られた重合体を塩化メチレンに溶解させ、再度500ミリリットルのペンタンを注ぎ、重合体を析出させることによって触媒成分を重合体から除去した。
【0047】
この重合体を、ろ別、乾燥することによって重合体を白色の固体としてホモポリマーを得た。この重合体を屋内に1ヶ月置いたところ変色は見られなかった。さらに、90℃で7日間熱処理してもまったく変色せず優れた耐候性を持つポリマーであることが判った。
【0048】
[実施例5〜8およ比較例]
(触媒成分溶液の調製)
表1に示した2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物である1−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼンと表1に示したDCPDまたはDCPDとエチリデンノルボルネン(ENBともいう)との混合物からなる組成の液100重量部に対し、エチレン含量55wt%のエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム(三井石油化学社製、EPT4070)3重量部を溶解させた溶液に実施例1の触媒液をタングステン含量が0.001Mになるように加えてモノマー液Aを調製した。全ての操作は窒素雰囲気下でおこなった。
【0049】
(活性化剤成分溶液の調製)
表1に示した2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物である1−メチル3−シアノ−1,4−エポキシ−2,4−ジヒドロベンゼンに表1に示したDCPDまたはDCPDとENBとの混合物からなる液100重量部に対し、エチレン含量55wt%のエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム(三井石油化学社製、EPT4070)3重量部を溶解させた溶液に実施例1の活性化剤液をアルミニウム含量が0.003Mになるように加えてモノマー液Bを調製した。全ての操作は窒素雰囲気下でおこなった。
【0050】
(成形)
上記の如く調製したモノマー液Aおよびモノマー液Bを用いて小型反応射出成形機によって縦200mm、横200mm、厚さ約3mmの架橋したメタセシス重合体からなる板状成形物を作成した。射出時の液温度は30℃、金型は鉄製であり、金型温度は、下型90℃、上型60℃にて実施した。
【0051】
得られた板状の成形物の色は淡い黄色であり、2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物の量が多いほど黄色が更に淡くなった。
【0052】
これは、比較として、メタセシス重合性環状オレフィンとしてDCPDのみを使用する以外は実施例5と同様の方法で実施した場合の板状の成形物の、褐色がかった濃い黄色とはまったく異なるものであった。これら板状成形物を90℃の乾燥器に入れ3日間処理したところ、表1に記載のように2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物を添加したものの変色は大幅に改善され、また、衝撃値の低下も少ないことが判った。この結果は、2−メチルフランとアクリロニトリルのディールス−アルダー反応付加物がメタセシス重合により開環し、エーテル結合を有する第3炭素がメタセシス重合体の化学構造中に導入されたためと推定された。
【0053】
【表1】
Figure 0003862808
【0054】
【表2】
Figure 0003862808
【0055】
【発明の効果】
本発明の結果、メタセシス重合性環状オレフィンのメタセシス重合体の化学構造中に第4炭素および/またはエーテル結合を有する第3炭素を挿入することで酸化劣化によって生じる二重結合の共役を切断することによると思われる効果により、重合体の酸化に伴う変色、機能低下を抑制することが可能になった。特に原着した場合に鮮明な色を長期間に渡り保持することが可能となる。
かくして得られた成形物は、自動車等の各種運搬機器の部剤、電気、電子機器のハウジング、光学材料など広範な用途に使用できる。

Claims (6)

  1. メタセシス重合性環状オレフィンと他のメタセシス重合性環状オレフィンとが共重合されたメタセシス重合体の化学構造中に当該メタセシス重合性環状オレフィン誘導体として下記式(1)または式(2)の構造を0.05モル%以上含むことを特徴とするメタセシス重合体(式(1)中R1、R2、R3、およびR4は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から独立に選択される。ただし、R1とR2は少なくともいずれか一方が炭素1〜8個のアルキル基である。X1とY1、もしくはX2とY2とが結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良い。また、式(2)中R1およびR2は個々に水素、炭素1〜8個のアルキル基から選択され(ただし、少なくともいずれか一方は炭素1〜8個のアルキル基)、X1、X2、Y1、Y2は水素、炭素1〜20個のアルキル基、アルキリデン基、アリール基および、エステル基、シアノ基から独立に選択される。X1とY1、もしくはX2とY2が結合して、シクロアルキル、シクロオレフィン基、酸無水物を形成していても良い。)。
    Figure 0003862808
    Figure 0003862808
  2. 他のメタセシス重合性環状オレフィンがジシクロペンタジエンである、請求項1記載のメタセシス重合体。
  3. ビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンを他のメタセシス重合性環状オレフィンと共重合して得られるメタセシス重合体。
  4. シクロ[2,2,1]ヘプテン骨格または、7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィンが0.05モル%以上共重合された請求項3記載のメタセシス重合体。
  5. 他のメタセシス重合性環状オレフィンがジシクロペンタジエンである、請求項4記載のメタセシス重合体。
  6. 0.05モル%以上のビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格または7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプテン骨格の1位および/または4位にアルキル基を持つメタセシス重合性環状オレフィン及び他のメタセシス重合性環状オレフィンをメタセシス重合に不活性な溶液中に溶解させ、メタセシス重合触媒系の存在下共重合することを特徴とするメタセシス重合体の製造方法。
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