JPH10298100A - インスリン抵抗性に起因する疾患の予防及び/又は治療剤 - Google Patents
インスリン抵抗性に起因する疾患の予防及び/又は治療剤Info
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Abstract
/又は治療剤を提供する。 【解決手段】 ボンベシン受容体サブタイプ3(BRS
−3)に親和性を有する物質、例えば、ボンベシン様ペ
プチド又はそれら誘導体を有効成分とする。
Description
に起因する疾患の予防及び/又は治療に関し、更に詳細
には、ボンベシン受容体サブタイプ3(BRS−3)に
親和性を有する物質を有効成分とする、糖尿病、肥満
症、高血圧症及び高脂血症等のインスリン抵抗性に起因
する疾患の予防及び/又は治療剤に関する。
と生活様式の欧米化に伴い、成人病の増加が重要な社会
問題となってきている。最近この成人病の中の、肥満、
糖尿病、高血圧、高脂血症が重積する臨床病態が注目さ
れ、Reaven、Keplanおよび松沢によりそれぞれSyndrome
X、Deadly Quartet(死の四重奏)及び内臓脂肪症候群
と命名されている。これらは、ほぼ同じ臨床的特徴を異
なる名称で表現したもので、動脈硬化症の危険因子とし
て、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症が重積を重視し、
重積する原因としてインスリン抵抗性に注目しているも
のである。(臨床化学 Vol.29, 421-429, 1993, 4月号
参照。)
血症の患者の基盤にインスリン抵抗性が存在しているこ
とは確立した見解となっているが、そのインスリン抵抗
性の成立機序に関しては種々の説が唱えられたものの、
広く受け入れられる明確な説明は存在しておらず、また
この病態の成立機序そのものに立脚した有効な治療法も
確立していない。
系や消化管に広く分布するニューロペプチドであり、ほ
乳類におけるボンベシン様ペプチドとしては、ガストリ
ン放出ペプチド(GRP)とニューロメジンB(NM
B)がある。現在までの薬理実験によると、その作用
は、平滑筋の収縮、内外分布、細胞増殖、体温、摂食行
動の調節であり、多彩である。また、ボンベシン様ペプ
チドの受容体としては、ガストリン放出ペプチド受容体
(GRP−R)、ニューロメジンB受容体(NMB−
R)、ボンベシン受容体サブタイプ−3(BRS−3)
が知られている。このなかで、BRS−3は、肺ガン細
胞に発現がみられていることから、癌細胞の増殖に関わ
っていることが示唆されているが、生理的リガンドも未
だ見いだされておらず、通常の生活活動におけるその存
在意義は不明である(J. Battery et al.,Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A., Vol.88, 395-399, 1991、Z. Fathi
et al.,J. Biol. Chem., Vol.268, 5979-5984, 199
3)。
ン様ペプチド受容体の生理機能を明らかにすることを目
的とし、ボンベシン様ペプチド受容体遺伝子機能欠損動
物、例えばBRS−3遺伝子機能欠損マウスを作成し、
その生理的表現系につき対照マウスとの比較を詳細に実
施してきた。その結果、BRS−3遺伝子機能欠損マウ
スは生後20週目以降より空腹時血中インスリン値の増
加、糖負荷試験における血中インスリン値の上昇と消失
遅延、インスリン耐性試験における糖処理能の低下、体
重増加、収縮期血圧の上昇等の明瞭なインスリン抵抗状
態を示すことが観察された。これらの結果は、BRS−
3の生理機能はインスリン抵抗性の発症と密接な関連が
あることを示すものであり、BRS−3に親和性を有し
BRS−3の生理機能に影響を及ぼす物質(以下これを
単に「BRS−3に親和性を有する物質」ということが
ある)は、インスリン抵抗性に起因する疾患の優れた予
防及び/又は治療剤になりうることが期待された。本発
明は、これらの知見を基に成し遂げられたものである。
ブタイプ3(BRS−3)に親和性を有する物質を有効
成分とするインスリン抵抗性に起因する疾患の予防及び
/又は治療剤である。
シン受容体サブタイプ3(BRS−3)に親和性を有す
る物質が、ボンベシン様ペプチド又はそれら誘導体であ
る請求項1に記載の予防及び/又は治療剤;インスリン
抵抗性に起因する疾患が、糖尿病、高インスリン血症、
肥満症、高血圧症又は高脂血症である請求項1に記載の
予防及び/又は治療剤が提供される。
る。本発明において、ボンベシン様ペプチド受容体遺伝
子機能の欠損とは、該遺伝子が生来の構造とは異なって
いるために、正常なボンベシン様ペプチド受容体が産生
されないことをいう。ボンベシン様ペプチド受容体遺伝
子機能の欠損には、ボンベシン様ペプチド受容体タンパ
ク質自体が産生されないこと、及び一部を欠損するなど
して機能を発現し得ないボンベシン様ペプチド受容体タ
ンパク質を産生することが含まれる。
体遺伝子、例えばBRS−3遺伝子の機能を人為的に欠
損させた動物は、従来からトランスジェニック動物の作
成に用いられているそれ自体公知の方法で作成できる。
領域の少なくとも一部を欠失させたボンベシン様ペプチ
ド受容体遺伝子を動物細胞に導入し、この欠失型遺伝子
と染色体上のボンベシン様ペプチド受容体遺伝子との間
で相同組換えを起こさせ、染色体上のボンベシン様ペプ
チド受容体遺伝子を破壊する。この相同組換えを起こさ
せた動物細胞、例えば胚性幹細胞(ES細胞)を胚盤胞
又は8細胞期胚に注入して得られる宿主胚を動物に移植
して産仔を得、これを他の個体と交配し、F1ヘテロ変
異動物、さらにはF2ホモ又はヘミ変異動物を作成すれ
ばよい。
様ペプチド受容体遺伝子、例えばBRS−3遺伝子機能
欠損動物を作成できる。
伝子の相同組換え用DNA(ターゲティングベクター)
の作成 マウスの肝から抽出したゲノムDNAを、制限酵素で部
分消化してゲノムライブラリーを作製する。このゲノム
ライブラリーについて、ボンベシン様ペプチド受容体c
DNAの部分配列をプローブとして用いてハイプリダイ
ゼーションを行い、陽性クローンを得る。尚、マウスに
ついては、ボンベシン様ペプチド受容体遺伝子のcDN
A配列は知られている(Z. Fathi et al., J. Biol. Ch
em., Vol.268, 5979-5984, 1993、Ohki-Hamazaki et a
l., Mol. Brain Res., 印刷中、J.Battey et al., Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA (1991) Vol.88, 395-399)。
酵素で消化して、BRS−3については第1エキソンか
ら第3エキソンを含む全長約9.5kbのゲノムDNA
をサブクローニングする。次いで、ボンベシン様ペプチ
ド受容体遺伝子の構造を破壊するとともに、目的とする
相同組換え体を選別するために、ポジティブ/ネガティ
ブ選別を行う。かかる選別のために、例えば、Mansour
らの報告(Mansour, Thomas, Capacchi, Nature 336, 3
48-352 (1988))に従って、ネオマイシン耐性遺伝子及
びチミジンキナーゼ遺伝子を挿入する。
ン様ペプチド受容体遺伝子の欠損 相同組換え用DNAを、マウスES細胞(例えば、E1
4株)(Hooper, Hardy,Handside et al., Nature 326,
292-295 (1987))を含むエレクトロポレーション用緩衝
液に懸濁させ、ES細胞への遺伝子導入を行う。次い
で、G418及びガンシクロビルを選択剤として用いて
選択培養を行う。選別剤に耐性のコロニーについて、相
同組換え体の確認をサザンブロットによって行う。
スの作製 ボンベシン様ペプチド受容体遺伝子機能が欠損している
相同組換えES細胞を適切な系列のマウス、例えばC5
7BL/6J系マウスの胚盤胞又は8細胞期胚等の宿主
胚に注入した後、得られた宿主胚に偽妊娠マウスの子宮
角に移植して産仔を得る。宿主胚をどのような系統のマ
ウスから得るかの選択は、常法に従い毛色等の表現型に
よりES細胞由来の細胞と宿主胚由来の細胞とを区別す
ることができるように行う。
達の検定 移植によって得られたキメラマウスを、例えばC57B
L/6J系、129/J系又はICR系マウスと交配
し、ボンベシン様ペプチド受容体遺伝子機能が欠損した
ES細胞由来の産仔が得られるか否かを検定する。例え
ばE14株のES細胞とC57BL/J系の宿主胚を用
いて得られたキメラマウスをC57BL/6J系と交配
する場合は、娩出される産仔は、キメラマウスの生殖細
胞が、相同組換えES細胞に由来していれば該ES細胞
が由来するマウスと同じ野性色を呈し、宿主胚に由来し
ていれば該宿主胚が由来するマウスと同じ黒色を呈す
る。ボンベシン様ペプチド受容体遺伝子の欠損は、離乳
に至った後に尾からDNAを抽出後、サザンブロット又
はPCRを行って、確認することができる。
ック動物は、体細胞及び生殖細胞の染色体上のボンベシ
ン様ペプチド受容体遺伝子(BRS−3遺伝子)の機能
が欠損している。また、この欠損は遺伝的に安定であ
る。更に、上記のようにして得られるBRS−3遺伝子
機能欠損マウスは、空腹時血中インスリン値の増加、糖
負荷試験における血中インスリン値の上昇と消失遅延、
インスリン耐性試験における糖処理能の低下、体重増
加、収縮期血圧の上昇等のインスリン抵抗状態を示す。
生理機能はインスリン抵抗性の発症と密接な関連がある
ことを示すものであり、BRS−3に親和性を有しBR
S−3の生理機能に影響を及ぼす物質(BRS−3に親
和性を有する物質)は、インスリン抵抗性に起因する疾
患、例えば糖尿病、高インスリン血症、肥満症、高血圧
症、高脂血症等の予防及び/又は治療剤になりうると考
えれる。
いて述べる。本発明の予防及び/又は治療剤は、上記の
とおりBRS−3に親和性を有する物質を有効成分とす
るものである。本発明の予防及び/又は治療剤の有効成
分としては、BRS−3に親和性を有するものであれば
特に制限はなく、BRS−3のアゴニスト、アンタゴニ
スト又は部分アゴニストとして作用する天然又は合成の
如何なる物質も用いることができる。具体的には、ボン
ベシン(BN;配列番号1)、ニューロメジンB(NM
B;配列番号2)、ガストリン放出ペプチド(GRP;
配列番号3)、アリステシン(Alystesin;配列番号
4)、リトリン(Litorin;配列番号5)、ラナテンシ
ン(Ranatensin;配列番号6)等のボンベシン様ペプチ
ド及びそれらのアミノ酸配列において1個以上のアミノ
酸が欠失、置換、付加若しくは修飾されたアミノ酸配列
からなるボンベシン様ペプチド誘導体が挙げられる。
ては、例えば配列番号1に示されるボンベシン(BN)
の6〜13番目のアミノ酸配列に基づいて改変されたD
−Phe6−BN(6−13)propyl amid
e、D−Phe6−BN(6−13)ethyl am
ide、D−Phe6 −Leu7 −BN(6−13)p
ropyl amide、D−Phe6 −Phe13−B
N(6−13)proply amide、D−Phe
6 −Leu7 −Thr10−BN(6−13)propy
l amide、D−Phe6 −Thr10−BN(6−
13)propyl amide、D−Phe6 −Th
r10−Phe13−BN(6−13)propyl am
ide、D−Phe6 −Leu7 −Thr10−Phe13
−BN(6−13)proply amide;配列番
号2に示されるニューロメジンB(NMB)の2番目の
アスパラギン(Asn)がアラニン(Ala)に置換さ
れた[Ala2NMB](以上、Molecular Pharmacolog
y, 50: 1355-1363 (1996)参照);配列番号2に示され
るニューロメジンB(NMB)の3〜10番目のアミノ
酸配列を有するAc−NMB(3−10)(Molecular P
harmacology, 50: 1346-1354 (1996)参照) 等が挙げら
れる。これらのペプチドは、それ自体既知の通常用いら
れるペプトド合成法により容易に合成できる。
を必要とする患者に対して経口的、または非経口的、一
般的には皮下、筋肉若しくは静脈内注射、直腸内投与に
より、その所定量を単回、もしくは複数回に分けて投与
するか、または連続的に投与する。かかる投与量は、患
者の年齢、性別、症状、体重等により適宜調整される
が、通常、経口的に用いる場合は、成人に対し1回1〜
200mgを1日1〜3回投与するのが好ましく、静脈
注射の場合は、成人に対し1回0.01〜10mgを1
日1〜5回投与するか1日0.01〜50mgを持続注
入するのが好ましく、また、直腸内投与の場合は、1回
1〜100mgを1日1〜3回投与するのが好ましい。
たBRS−3に親和性を有する物質をそのまま、或いは
適当な希釈剤や他の添加剤と共に各種の製剤形態(剤
型)に調合され、使用される。剤型としては、例えば、
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、乳
剤、懸濁剤、シロップ剤、注射用アンプル剤等が使用さ
れる。各種剤型への調製は、この技術分野で慣用される
通常の手法を用いて行われる。製剤化に使用される製剤
担体としては、各種剤型への調製に慣用される希釈剤や
添加剤などが用いられる。それらの具体例としては、乳
糖、白陶土(カオリン)、ショ糖、結晶セルロース、コ
ーンスターチ、タルク、寒天、ペクチン、アカシア、ス
テアリン酸、ステアリン酸マグシネム、レシチン、塩化
ナトリウム等の固体担体;水、シロップ、グリセリン、
落花生油、ポリビニルピロリドン、オリーブ油、エタノ
ール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール等の
液状担体が挙げられる。
明する。しかしながら、以下の実施例は、本発明につい
て具体的な認識を得るための一助としてみなすべきもの
であり、本発明は以下の実施例によって何ら限定される
ものではない。
スの作製 1)マウスBRS−3遺伝子DNAの相同組換え用DN
A(ターゲティングベクター)の作製 129SVマウスの肝から抽出したゲノムDNA(野性
型マウスBRS−3遺伝子)を、制限酵素Sau3AI
で部分消化し、ラムダFIXIIに連結して組換えファ
ージを得、これをXLI−Blueに感染させた。こう
して得られたマウスゲノムライブラリーについて、ヒト
BRS−3遺伝子のcDNA(Fathi et a
l.,J.Biol.Chem.,268,5979−
5984(1993))をプローブとしてハイブリダイ
ゼーションを行い、1×106 個のプラークについて検
索した結果、5個の陽性クローンを得た。これを用いて
BRS−3遺伝子のエキソン1から3までを含む全長約
9.5kbのゲノムDNA1をサブクローニングした。
るために、第2エキソンを含むEcoRIとEcoRV
認識部位に挟まれた約1.5kbを欠損させ、そこにネ
オマイシン耐性遺伝子を挿入し、さらに5’側上流には
チミジンキナーゼ遺伝子を挿入した。ゲノムDNAとの
相同部分は、ネオマイシン耐性遺伝子とチミジンキナー
ゼ遺伝子との間が2.5kb、ネオマイシン耐性遺伝子
とチミジンキナーゼ遺伝子との間が2.5kb、ネオマ
イシン耐性遺伝子の下流が5kbとなるように構築し
た。この相同組換え用コンストラクトを、pBlues
criptSK-に挿入し、ES細胞への導入の際に制
限酵素Sa1Iで切断して線状化し、ターゲティングベ
クター2を得た。(以上、図1参照)
細胞のBRS−3遺伝子の欠損 相同組換え用DNA75μgをマウスES細胞(E14
株)3×107 個を含むエレクトロポレーション用緩衝
液(137mM NaCl、2.7mM KCl、10
mM Na2HPO4 、1.8mM KH2PO4 )に懸
濁させ、電界強度(Field Strength)2
10V/cm、静電容量(Capacitance)5
00μFの条件で、遺伝子導入を行った。導入後24時
間から250μg/mlのG418(Genetisi
n,GIBCO BRL)濃度で選択培養を行った。
92時間後から、マイクロピペットを用いて60μlの
Tris−EDTA溶液(10mM Tris−HCl
pH8.0と1mM EDTA pH8.0とからな
る溶液)を含む96穴のマイクロプレート(FALCO
N 3077)に移し換え、数分間処理した後、ピペッ
ティングすることによって単一細胞にし、これらを24
穴のマイクロプレート(FALCON 3047)に移
し換え、培養を継続した。採取したコロニーは、その長
径がマイクロチップの内径の1/2以上に達したもの
で、この時の細胞数は、1×104 〜105 個であっ
た。
4日の培養でコンフルエントに達した段階で、細胞を
0.25%トリプシンで、37℃で5分間処理後、順
次、35mm(FALCON 3001)又は60mm
(FALCON 3002)の組織培養用シャーレ内で
培養し、細胞の増殖を図った。なお、ES細胞の培養
は、すべてフィーダー細胞上で行った。相同組換え体の
確認をサザンブロットによって以下の通りに行った。
耐性細胞からゲノムDNAを抽出し、制限酵素EcoR
Iで消化後、エキソン1より約1.5kb上流のSpa
I部位までの断片約0.5kbをプローブとして用いて
行った。破壊された対立遺伝子を含む相同組換え体(図
1の符号3)及び非相同組換え体の確認は、それぞれ、
5.5kb及び4kbのバンドの検出によって行った
(図1参照)。相同組換え体コロニー数は、G418耐
性コロニー347個中1個であった。
E14株を用いた。ES細胞の培養には、ダルベッコ変
法イーグル培養液(DMEM、11960−010 G
IBCO)に15%牛胎児血清(FCS)、0.1mM
の2−メルカプトエタノール、ピルビン酸ナトリウム、
非必須アミノ酸溶液及び103 unit/mlのLIF
(白血病阻害因子、AMRAD)を添加したSCM培養
液(Robers on, Teratocarcinomas and embryonicstem
cells a practical approach 1987)を用いた。
いるマウス胎児繊維芽細胞の培養には、DMEMに10
%FCSを添加したものを用いた。マウス胎児繊維芽細
胞の調製及び培養は、以下の通りに行った。胎齢13〜
14日のICR系マウスの胎児を無菌的に採取し、カル
シウム及びマグネシウムを含まないリン酸緩衝生理食塩
水(PBS)で洗浄後、ピンセットを用いて心臓、肝臓
及び腸管を除き、眼科用のハサミを用いて細切した。次
いで、得られた細切片を0.25%トリプシン及び0.
04%EDTAを含むPBS(以下TE溶液という)
で、室温で20分間処理して細胞浮遊液を得た。
心後、上清を除去し、10%FCS加DMEMに懸濁さ
せて2分間静置した。そして、下部に沈んだ組織片を除
いた細胞浮遊液を100×20mmの組織培養用シャー
レ(Falcon 3003)に移し、37℃、5%C
O2 、95%空気の条件で培養に供した。翌日、細胞浮
遊液をPBS- で1回洗浄し、培養を継続した。継代
は、3〜4日間隔で行い、継代が三代目までの細胞をフ
ィーダーとして使用するためにマイトマイシン処理を施
した。
胎児繊維芽細胞を2mg/mlのマイトマイシンC75
μlで3〜4時間処理し、PBS-で3回洗浄後、TE
溶液で室温で3分間処理して細胞を剥離した。次いで、
遠心後、細胞数を5×105/mlに調整し、60×1
0mmのゼラチンコートディッシュ(FALCON30
02)に3mlずつ分注した。以上のように作成したフ
ィーダー細胞は、1週間以内に使用した。
で処理後、ピペッティングによってES細胞を単一細胞
に分散させ、4×105 個の細胞をフィーダー細胞層上
に播種することによって行った。培養液は、24時間間
隔で交換し、継代間隔は、56〜64時間とした。ま
た、凍結保存する際には、1×106 個の細胞をSCM
に懸濁して凍結用チューブ(2ml、FALCON 4
818)に移し、0.5mlの凍結用培地(20%DM
SO加DMEM)を滴下した後、−80℃一晩放置し、
液体窒素中で保存した。
キメラマウスの作製 a)BRS−3遺伝子欠損ES細胞の胚盤胞への注入 ES細胞を、C57BL/6Jマウスの胚盤胞に注入し
た後、得られた宿主胚を偽妊娠マウスの子宮角に移植し
て産仔を得た。宿主胚の採取は、自然交配4日目に、H
epes−buffered−Whitten’s培地
で、子宮を灌流することによって行った。注入に用いた
ES細胞は、継代2日目又は3日目にTE溶液で処理を
行った後、ゼラチンコートディッシュに30分間静置す
ることによって、フィーダー細胞を除去し、顕微操作に
供するまで、氷上に静置した。
の微小ガラス管(NARISHIGE)を微小電極作製
器(NARISHIGE,PN−3)を用いて細かく引
き延ばし、研磨器(NARISHIGE)で、内径が約
20μmとなるように先端を研磨し、さらにマイクロフ
ォージ(De Fonburun)で先端を鋭利に加工
した。胚保定用ピペットは、上述の方法で引き延ばした
ガラス管をマイクロフォージを用いて、外径50〜10
0μmの部分で切断した後、さらに口径を10〜20μ
mに加工して用いた。
から約5mmの部分を約30度曲げて、マイクロピュレ
ーター(LEITZ)に接続した。顕微操作に用いたチ
ャンバーは、穴あきスライドグラスにカバーグラスを蜜
蝋で接着させたものを用い、その上に約20μlの5%
FCS加Hepes−buffered−Whitte
n’s培地のドロップを2個置き、その上面をミネラル
オイル(M841i0、Sigma)で覆った。一方の
ドロップには、約100個のES細胞を入れ、他方に
は、拡張胚盤胞を10〜15個入れ、胚1個あたり10
〜15個のES細胞を注入した。なお、上記において、
顕微操作はすべて、倒立顕微鏡下で行った。
日目のICR系受容雌の子宮角に移植した。分娩予定日
に至っても産仔を娩出しなかった受容雌については、帝
王切開を施し、里親に哺育させた。自然交配4日目に、
子宮を灌流することによって採取したC57BL/6J
系マウスの胚盤胞177個にES細胞IF5を注入した
結果、171個が生存し、成功率は97%であった。1
71個を偽妊娠2日目のICR系受容雌の子宮に移植し
た結果、30匹の産仔が得られた。離乳に至った産仔の
うち、毛色でキメラマウスと判定できたのは16匹で、
このうち14匹が、外見的に雄を示していた。これらの
キメラマウスにおけるES細胞の寄与率は10〜95%
の幅であった。
J系マウスと交配し、娩出される産仔(F1ヘテロ型マ
ウス)がBRS−3遺伝子欠損ES細胞由来であるか否
かを検定した。キメラマウスの生殖細胞がES細胞に由
来していれば、娩出される産仔の毛色は野生色を呈し、
C57BL/6J系マウスの胚盤胞に由来していれば黒
色を呈する。
例(No.1,2,3,4,6,8,9,11,12)
のキメラマウスのうち、6例(No.1,3,4,6,
8,12)について、ES細胞の生殖系列への伝達が確
認された。No.4とC57BL/6J系雌マウスとの
交配では、5回の分娩で合計29匹の産仔が得られ、こ
のうち12匹が野生色の毛色を示していた。No.12
とC57BL/6J系雌マウスとの交配で得られた16
匹の産仔のうち、16匹が野生色の毛色を示していた。
これらの野生色のマウスのうち合計10匹が雌であり、
理論的に雌はすべてヘテロ型であると考えられたので、
2例についてPCRによる確認を行った結果、2例とも
にBRS−3遺伝子の欠損を確認した。
L/6J系雌マウスとを交配し、101匹の産仔が得ら
れた。このうち101例についてPCRによる解析を行
った結果、雄54例のうち29例についてBRS−3遺
伝子欠損についてF2ヘミ型のマウスを得た。さらに、
F2ヘミ型雄マウスとヘテロ型雌マウスとを交配し、1
8匹の産仔が得られた。このうち18例についてPCR
による解析を行った結果、雄7例のうち3例についてB
RS−3遺伝子欠損についてF3ヘミ型、また雌11例
のうち6例についてF3ホモ型マウスを得た。
ン1とエキソン2の間約1kbが、相同組み換え体では
エキソン1とネオマイシン耐性遺伝子の間約1.2kb
が増幅されるようにプライマーを設計した。すなわち、
エキソン1の3′端より124bp上流の位置から下流
に向かう配列(図1中「a」、配列番号7)、およびエ
キソン2の5′端より61bp下流の位置から上流に向
かう配列(図1中「b」、配列番号8)、およびネオマ
イシン耐性遺伝子の開始コドンより739bp上流の位
置から下流に向かう配列(図1中「c」、配列番号9)
のそれぞれの塩基配列を持つオリゴヌクレオチドを合成
し、94℃、5分間の処理後、DNAの変性94℃、1
分、プライマーのアニーリング61℃、2分、プライマ
ーの伸長72℃、3分、で30サイクルの増幅後、72
℃、7分間DNA伸長反応を行い、アガロース電気泳動
により、1kbと1.2kbのバンドを検出した。尚、
上記の記載において、ネオマイシン耐性遺伝子に相当す
るプライマーcの向きは、ネオマイシン耐性遺伝子の転
写の向きに合わせてある。
型雄性マウス(以下これを「変異マウス」と略称するこ
とがある)を通常の条件で飼育し、その体重変化を追跡
した。その結果、図2に示したとおり、変異マウスの体
重は対照マウスに比し、有意に高い値を示した。C58
BL/6Jマウスとのバッククロスによって得られた、
全ての世代のマウスにつき、同様の体重増加が観察され
た。
組織重量を測定した。その結果、表1に示したとおり、
27〜34週齢の変異マウスでは、体重の増加と共に、
各種の脂肪組織重量の増加が観察された。
後に尾静脈より採血して血漿生化学検査を行った。血漿
インスリン値はELISA法(森永)、血糖値はグルコ
ースオキシダーゼ法(Merck)、総コレステロール
及び中性脂肪は比色法(Boehringer)にて測
定した。
以上の変異マウスでは、空腹時インスリン値の上昇と血
糖値・総コレステロール値・中性脂肪値の上昇傾向が観
察された。
収縮期血圧測定器(室町機械MK−1030)を用い測
定した。その結果、表3に示したとおり、40週齢の変
異マウスでは収縮期血圧の上昇が観察された。
討するため、経口糖負荷試験を実施した。その結果、図
3に示したとおり、9〜10週齢及び26週齢の変異マ
ウスで対照マウスに比し、糖負荷後の血糖値の上昇と、
インスリン値の上昇及び消失遅延が観察された。同様に
変異マウスのインスリン抵抗性を検討するため、インス
リン耐性試験を実施した。その結果、図4に示したとお
り、38週齢の変異マウスで、インスリンの作用減弱が
明瞭に認められた。
を示す模式図である。各記号が示す制限部位に関与する
制限酵素は以下の通りである。RI:EcoRI,B:
BamHI,Sp:SpeI,RV:EcoRV,S:
SaII。また、exはエキソンを、TKはチミジンキ
ナーゼ遺伝子を、Neoはネオマイシン耐性遺伝子を、
各々表す。TK及びNeoの向きは、転写の方向を示
す。a,b,c及び矢印は、プライマーの位置と方向を
示す。なお、図1における符号1、2及び3は、それぞ
れ1.野生型マウスBRS−3遺伝子、2.破壊された
BRS−3遺伝子を含むターゲティングベクター、3.
破壊された対立遺伝子を含む相同組換え体を示す。
ス)の体重変化を示す図である。図中、+/Yは対照マ
ウスを示し、−/Yは変異マウスを示す。
す図である。図中、+/Yは対照マウスを示し、−/Y
は変異マウスを示す。
を示す図である。図中、+/Yは対照マウスを示し、−
/Yは変異マウスを示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 ボンベシン受容体サブタイプ3(BRS
−3)に親和性を有する物質を有効成分とするインスリ
ン抵抗性に起因する疾患の予防及び/又は治療剤。 - 【請求項2】 ボンベシン受容体サブタイプ3(BRS
−3)に親和性を有する物質が、ボンベシン様ペプチド
又はそれら誘導体である請求項1に記載の予防及び/又
は治療剤。 - 【請求項3】 インスリン抵抗性に起因する疾患が、糖
尿病、高インスリン血症、肥満症、高血圧症又は高脂血
症である請求項1に記載の予防及び/又は治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9115522A JPH10298100A (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | インスリン抵抗性に起因する疾患の予防及び/又は治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9115522A JPH10298100A (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | インスリン抵抗性に起因する疾患の予防及び/又は治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10298100A true JPH10298100A (ja) | 1998-11-10 |
Family
ID=14664618
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9115522A Pending JPH10298100A (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | インスリン抵抗性に起因する疾患の予防及び/又は治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10298100A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7947669B2 (en) | 2005-09-30 | 2011-05-24 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Agent for improving insulin resistance |
WO2011149096A1 (ja) * | 2010-05-27 | 2011-12-01 | 国立大学法人 東京大学 | インスリン抵抗性改善薬 |
US8236769B2 (en) | 2005-09-30 | 2012-08-07 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Agent for improving insulin resistance |
-
1997
- 1997-05-06 JP JP9115522A patent/JPH10298100A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7947669B2 (en) | 2005-09-30 | 2011-05-24 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Agent for improving insulin resistance |
US8236769B2 (en) | 2005-09-30 | 2012-08-07 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Agent for improving insulin resistance |
WO2011149096A1 (ja) * | 2010-05-27 | 2011-12-01 | 国立大学法人 東京大学 | インスリン抵抗性改善薬 |
JP5286602B2 (ja) * | 2010-05-27 | 2013-09-11 | 国立大学法人 東京大学 | インスリン抵抗性改善薬 |
US8895011B2 (en) | 2010-05-27 | 2014-11-25 | The University Of Tokyo | Insulin-resistance-improving drug |
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