JP2004121241A - ヒトslt遺伝子導入動物 - Google Patents

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春日 久男
Shigehisa Taketomi
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Abstract

 【課題】 肥満症などの疾患の病態モデル動物として利用することができ、これらの病態機序の解明および疾患の治療方法の検討、ならびに予防・治療剤のスクリーニングを行うことが可能な遺伝子導入非ヒト哺乳動物を提供する。
 【解決手段】 SLT遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物を作出する。
 【選択図】 なし

Description

 本発明はヒトSLT遺伝子導入非ヒト哺乳動物に関するものである。
 生体のホメオスタシスの維持、生殖、個体の発達、代謝、成長、神経系、循環器系、免疫系、消化器系、代謝系の調節、感覚受容などの重要な機能調節は、様々なホルモンや神経伝達物質のような内在性因子あるいは光や匂いなどの感覚刺激をこれらに対して生体が備えている細胞膜に存在する特異的な受容体を介して細胞が受容し、それに応じた反応をすることによって行われている。このような機能調節に与るホルモンや神経伝達物質の受容体の多くはguanine nucleotide-binding protein(以下、Gタンパク質と略称する場合がある)と共役しており、このGタンパク質の活性化によって細胞内にシグナルを伝達して様々な機能を発現させることを特徴とする。また、これらの受容体タンパク質は共通して7個の膜貫通領域を有する。これらのことからこうした受容体はGタンパク質共役型受容体あるいは7回膜貫通型受容体と総称される。このように生体機能の調節には様々なホルモンや神経伝達物質およびそれに対する受容体タンパク質が存在して相互作用し、重要な役割を果たしていることがわかっているが、未知の作用物質(ホルモンや神経伝達物質など)およびそれに対する受容体が存在するかどうかについてはいまだ不明なことが多い。
 近年、ヒトゲノムDNAあるいは各種ヒト組織由来のcDNAのランダムな配列決定による配列情報の蓄積および遺伝子解析技術の急速な進歩によってヒトの遺伝子が加速度的に解明されてきている。それにともない、機能未知のタンパク質をコードすると予想される多くの遺伝子の存在が明らかになっている。Gタンパク質共役型受容体は、7個の膜貫通領域を有するのみでなくその核酸あるいはアミノ酸に多くの共通配列が存在するためそのようなタンパク質の中から明確にGタンパク質共役型受容体として区分することができる。一方でこうした構造の類似性を利用したポリメラーゼ・チェーン・リアクション(Polymerase Chain Reaction:以下、PCRと略称する)法によってもこうしたGタンパク質共役型受容体遺伝子が得られている。このようにしてこれまでに得られたGタンパク質共役型受容体のうちには既知の受容体との構造の相同性が高いサブタイプであって容易にそのリガンドを予測することが可能な場合もあるが、ほとんどの場合その内在性リガンドは予測不能であり、これらの受容体は対応するリガンドが見いだされていない。このことからこれらの受容体はオーファン受容体と呼ばれている。このようなオーファン受容体の未同定の内因性リガンドは、リガンドが知られていなかったために十分な解析がなされていなかった生物現象に関与している可能性がある。そして、このようなリガンドが重要な生理作用や病態と関連している場合には、その受容体作動薬あるいは拮抗薬の開発が革新的な医薬品の創製に結びつくことが期待される(Stadel, J. et al.、TiPS、18巻、430-437頁、1997年、Marchese, A. et al.、TiPS、20巻、370-375頁、1999年、Civelli, O. et al.、Brain Res.、848巻、63-65頁、1999年)。しかし、これまで実際にオーファンGタンパク質共役型受容体のリガンドを同定した例はそれほど多くない。
 最近、幾つかのグループによってこうしたオーファン受容体のリガンド探索の試みがなされ、新たな生理活性ペプチドであるリガンドの単離・構造決定が報告されている。ReinsheidらおよびMeunierらは独立に、動物細胞にオーファンGタンパク質共役型受容体LC132あるいはORL1をコードするcDNAを導入して受容体を発現させ、その応答を指標としてorphanin FQあるいはnociceptinと名付けられた新規ペプチドをブタ脳あるいはラット脳の抽出物より単離し、配列を決定した(Reinsheid, R. K. et al.、Science、270巻、792-794頁、1995年、Meunier, J.-C. et al.、Nature、377巻、532-535頁、1995年)。このペプチドは痛覚に関与していることが報告されたが、さらに、受容体のノックアウトマウスの研究により記憶に関与していることが明らかにされた(Manabe, T. et al.、Nature、394巻、577-581頁、1998年)。
 その後これまでに上記と同様な方法によりPrRP(prolactin releasing peptide)、orexin、apelin、ghrelinおよびGALP(galanin-like peptide)などの新規ペプチドがオーファンGタンパク質共役型受容体のリガンドとして単離された(Hinuma, S. et al.、Nature、393巻、272-276頁、1998年、Sakurai, T. et al.、Cell、92巻、573-585頁、1998年、Tatemoto, K. et al.、Bichem. Biophys. Res. Commun.、251巻、471-476頁、1998年、Kojima, M. et al.、Nature、402巻、656-660頁、1999年、Ohtaki, T. et al.、J. Biol. Chem.、274巻、37041-37045頁、1999年)。
 一方、これまで明らかでなかった生理活性ペプチドの受容体が同様な方法によって解明される場合もある。腸管収縮に関与するmotilinの受容体がGPR38であることが明らかにされた(Feighner, S. D. et al.、Science、284巻、2184-2188頁、1999年)ほか、SLC−1がメラニン凝集ホルモン(MCH)の受容体として同定され(Chambers, J. et al.、Nature、400巻、261-265頁、1999年、Saito, Y. et al.、Nature、400巻、265-269頁、1999年、Shimomura, Y. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、261巻、622-626頁、1999年、Lembo, P. M. C. et al.、Nature Cell Biol.、1巻、267-271頁、1999年、Bachner, D. et al.、FEBS Lett.、457巻、522-524頁、1999年)、またGPR14(SENR)がurotensin IIの受容体であることが報告された(Ames, R. S. et al.、Nature、401巻、282-286頁、1999年、Mori, M. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、265巻、123-129頁、1999年、Nothacker, H.-P. et al.、Nature Cell Biol.、1巻、383-385頁、1999年、Liu, Q. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、266巻、174-178頁、1999年)。MCHはそのノックアウトマウスが羸痩のphenotypeを示すことから肥満に関与することが示されていたが(Shimada, M. et al.、Nature、396巻、670-674頁、1998年)、その受容体が明らかにされたことにより抗肥満薬としての可能性を有する受容体拮抗薬の探索が可能となった。また、urotensin IIはサルに静脈内投与することによって心虚血を惹起することから心循環系に強力な作用を示すことも報告されている(Ames, R. S. et al.、Nature、401巻、282-286頁、1999年)。
 このように、オーファン受容体およびそのリガンドは新たな生理作用に関与する場合が多く、その解明は新たな医薬品開発に結びつくことが期待される。しかし、オーファン受容体のリガンド探索においては多くの困難さが伴い、これまでに数多くのオーファン受容体の存在が明らかにされながらそのリガンドが明らかにされた受容体はごく一部に過ぎない。
 WO00/49046号公報(特許文献1)には、ヒト海馬由来の受容体であるSLT(hSLT-1 like receptor in TAKEDA)およびそれをコードするDNAが開示されている。WO02/03070号公報(特許文献2)には、SLTのリガンドがメラニン凝集ホルモン(MCH)であることが記載されている。
 また、SLC−1がMCHの受容体として同定されている(Chambers, J. et al.、Nature、400巻、261-265頁、1999年(非特許文献1)、Saito, Y. et al.、Nature、400巻、265-269頁、1999年(非特許文献2)、Shimomura, Y. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、261巻、622-626頁、1999年(非特許文献3)、Lembo, P. M. C. et al.、Nature Cell Biol.、1巻、267-271頁、1999年(非特許文献4)、Bachner, D. et al.、FEBS Lett.、457巻、522-524頁、1999年(非特許文献5)、WO00/40725号公報(特許文献3))。SLTとSLC−1のアミノ酸レベルでの相同性は約35%である。
 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.99, p3240-3245, March 5, 2002(非特許文献6)には、SLC−1と同一受容体であるMCH−1受容体の欠損マウスが記載されている。
WO00/49046号公報 WO02/03070号公報 WO00/40725号公報 Chambers, J. et al.、Nature、400巻、261-265頁、1999年 Saito, Y. et al.、Nature、400巻、265-269頁、1999年 Shimomura, Y. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、261巻、622-626頁、1999年 Lembo, P. M. C. et al.、Nature Cell Biol.、1巻、267-271頁、1999年 Bachner, D. et al.、FEBS Lett.、457巻、522-524頁、1999年 Proc. Natl. Acad. Sci. USA、99巻、3240-3245頁、2002年
 新たな遺伝子導入(トランスジェニック)動物は、いろいろな疾患の予防や治療に役立つ新たな医薬品の開発を可能にする。
 したがって、本発明の分野では、ヒトSLT遺伝子導入非ヒト動物(以下、トランスジェニック動物と称することもある)を見出し、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害などの疾患モデル動物を大量に生産する方法の開発が望まれていた。
 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、外来性のヒトSLTを発現させた新規なトランスジェニックマウスを作製したところ、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害などの表現型を示すことを見出した。
 本発明者は、これらの知見を基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、
(1) 外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部、
(2) 外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物に、他の肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の病態モデル動物を交配することによって得られる動物またはその生体の一部、
(3) 外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有し、かつ内因性SLC−1遺伝子を欠損させた非ヒト哺乳動物またはその生体の一部、
(4) 非ヒト哺乳動物がマウスである上記(1)〜(3)記載の動物またはその生体の一部、
(5) 外来性ヒトSLT遺伝子が配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するヒトSLTをコードする遺伝子である上記(1)〜(3)記載の動物またはその生体の一部、
(6) 外来性ヒトSLT遺伝子が配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるヒトSLTをコードする遺伝子である上記(1)〜(3)記載の動物またはその生体の一部、
(7) 内因性SLC−1遺伝子が配列番号:3で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するSLC−1をコードする遺伝子である上記(3)記載の動物またはその生体の一部、
(8) 内因性SLC−1遺伝子が配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるマウスSLC−1をコードする遺伝子である上記(3)記載の動物またはその生体の一部、
(9) 肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害を発症している上記(1)〜(8)記載の動物またはその生体の一部、
(9a) 肥満が、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満または中心性肥満である上記(9)記載の動物またはその生体の一部、
(9b) 肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患、痛風、呼吸器疾患、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症または代謝性疾患を発症している上記(1)〜(8)記載の動物またはその生体の一部、
(10) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、SLTアンタゴニスト活性またはアゴニスト活性を検定することを特徴とするSLT拮抗薬または作動薬のスクリーニング方法、
(11) 上記(10)記載のスクリーニング方法により得られうるSLT拮抗薬または作動薬、
(12) 上記(10)記載のスクリーニング方法により得られうるSLT拮抗薬を含有してなる肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療剤、
(13) 上記(10)記載のスクリーニング方法により得られうるSLT作動薬を含有してなる食欲不振、食欲不振に伴う貧血または低蛋白症の予防・治療剤、
(14) 上記(9)記載の動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を検定することを特徴とする、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニング方法、
(14a) 上記(9b)記載の動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患、痛風、呼吸器疾患、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症または代謝性疾患の改善効果を検定することを特徴とする、上記疾患の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニング方法、
(15) 上記(14)記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質、
(15a) 上記(14a)記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患、痛風、呼吸器疾患、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症または代謝性疾患の改善効果を有すると判定される物質、
(16) 上記(14)記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質を含有してなる肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療用医薬、
(16a) 上記(14a)記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患、痛風、呼吸器疾患、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症または代謝性疾患の改善効果を有すると判定される物質を含有してなる上記疾患の予防・治療用医薬、
(17) 哺乳動物に対して、上記(14)記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質の有効量を投与することを特徴とする肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療法、
(18) 肥満症、摂食亢進症、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療剤を製造するための、上記(14)記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質の使用、
(19) 肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療のために用いられる物質をスクリーニングするための上記(9)記載の動物またはその生体の一部の使用、
(20) 飼育条件の変更により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害が進展している上記(1)〜(9)記載の動物またはその生体の一部、
(20a) 飼育条件が、食餌である上記(20)記載の動物またはその生体の一部、
(20b) 薬物投与、臓器破壊もしくは摘出、または自然発症モデル動物との交配により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害が進展している上記(1)〜(9)記載の動物またはその生体の一部、
(21) 外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を導入した非ヒト受精卵などを提供するものである。
 本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)などの疾患の予防・治療剤の探索・評価、SLT遺伝子異常患者の遺伝子治療用実験などに用いることができ、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物から採取した細胞などを培養し、SLT阻害薬の評価に用いることができる。
 本発明の遺伝子導入動物は、非ヒト哺乳動物の受精卵や、未受精卵、精子およびその前駆細胞(始原生殖細胞、卵原細胞、卵母細胞、卵細胞、精原細胞、精母細胞、精細胞等)などに、好ましくは受精卵の胚発生の初期段階(さらに好ましくは8細胞期以前)において、リン酸カルシウム共沈殿法、電気穿孔(エレクトロポレーション)法、リポフェクション法、凝集法、顕微注入(マイクロインジェクション)法、遺伝子銃(パーティクルガン)法、DEAE−デキストラン法などの遺伝子導入法によって、目的とする外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を目的とする細胞などに導入することにより作出される。また、該遺伝子導入法により、非ヒト哺乳動物の体細胞、組織、臓器などに目的とするDNAを導入し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、この細胞を上述の胚(もしくは生殖)細胞と公知の細胞融合法を用いて融合させることにより遺伝子導入動物を作出することもできる。あるいは、ノックアウト動物を作製する場合と同様に、非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞(ES細胞)に上記の遺伝子導入法を用いて目的とするDNAを導入し、予め該DNAが安定に組み込まれたクローンを選択した後に、該ES細胞を胚盤胞に注入するかあるいはES細胞塊と8細胞期胚とを凝集させてキメラマウスを作製し、生殖系列に導入遺伝子が伝達されたものを選択することによっても遺伝子導入動物を得ることが可能である。
 また、このようにして作製された遺伝子導入動物の生体の一部(例えば、(i)外来性SLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する細胞、組織、臓器など、(ii)これらに由来する細胞または組織を培養し、必要に応じ、継代したものなど、(iii)該遺伝子導入動物から単離し得る各種タンパク質またはDNAなど)も、本発明の「外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物の生体の一部」として、本発明の「外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物」と同様の目的に用いることが出来る。
 遺伝子導入動物の生体の一部である組織としては、脂肪組織、脳組織(例、偏桃、大脳皮質、海馬、視床下部、延髄、小脳など)、下垂体、副腎、膵臓、脾臓、小腸、精巣、筋肉などが好ましい。
 遺伝子導入動物の生体の一部である細胞としては、脂肪細胞、神経細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、単球、T細胞、B細胞など)、上皮細胞、内皮細胞、表皮系細胞、筋細胞などが好ましい。
 本発明で対象とし得る「非ヒト哺乳動物」としては、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなどが挙げられる。好ましくは、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウスまたはラットであり、なかでも齧歯目(Rodentia)が好ましく、とりわけマウス(Wistar、SDなど)、特にWistar系統のマウスが疾患モデル動物として最も好ましい対象動物である。他に鳥類動物として、ニワトリなども本発明で対象とする「非ヒト哺乳動物」と同様の目的に用いることが出来る。
 外来性ヒトSLTとしては、例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質が用いられる。配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号:1で表されるアミノ酸配列において、1ないし30個、好ましくは1ないし10個、さらに好ましくは1ないし5個、より好ましくは1または2個のアミノ酸に置換、付加または欠損が生じているが、SLTの機能を失わないアミノ酸配列をいう。さらに、配列番号:23で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質も用いられる。
 外来性ヒトSLT遺伝子とは、遺伝子導入対象動物が有する内在性の遺伝子とは異なる遺伝子であり、具体的には前記の哺乳動物から単離・精製したSLT遺伝子または合成したSLT遺伝子などが用いられる。
 本発明の外来性ヒトSLT遺伝子の変異遺伝子としては、本発明のDNAに変異(例えば、突然変異、部位特異的突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じた遺伝子が挙げられる。より具体的には、該塩基の付加、欠損、他の塩基への置換の結果、SLTを構成するアミノ酸配列において、1ないし30個、好ましくは1ないし10個、さらに好ましくは1ないし5個、より好ましくは1または2個のアミノ酸に置換、付加または欠損が生じるように変異させることが好ましく、SLTの機能を失わない変異であれば何れの変異であってもよい。
 外来性ヒトSLT遺伝子としては、例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるヒトSLTをコードする、配列番号:2で表される塩基配列からなる遺伝子(WO00/49046号公報)などが用いられる。さらに、配列番号:22で表される塩基配列からなる遺伝子(Mol Pharmacol 60巻、632-639頁、2001年)なども用いられる。
 本発明における外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子(以下、単にSLT遺伝子と称することもある)は、導入または発現の対象とする非ヒト哺乳動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよいが、異種の哺乳動物由来のものであることが好ましい。該遺伝子を対象動物に導入させるにあたっては、当該遺伝子を対象となる動物の細胞で発現させうるプロモーターの下流に連結した遺伝子コンストラクト(例、ベクターなど)として用いるのが一般に有利である。具体的には、ヒトのSLT遺伝子を導入させる場合、ヒトSLT遺伝子と相同性が高いSLT遺伝子を有する各種哺乳動物(ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど(好ましくはマウスなど))に由来し、ヒトのSLT遺伝子を発現させうる各種プロモーターの下流に、該遺伝子を連結したベクターを、対象となる非ヒト哺乳動物の受精卵(例えばラット受精卵)へマイクロインジェクションすることによって、目的とするヒトSLT遺伝子を高発現する遺伝子導入非ヒト哺乳動物を作出できる。
 SLT遺伝子の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられ、特に大腸菌由来のプラスミドが好ましい。
 外来性ヒトSLT遺伝子の遺伝子発現調節を行うプロモーターとしては、例えば、ウイルス(サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルスなど)に由来する遺伝子のプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および鳥類(ニワトリなど)に由来する遺伝子(例えば、アルブミン、エンドセリン、オステオカルシン、筋クレアチンキナーゼ、I型およびII型コラーゲン、サイクリックAMP依存蛋白キナーゼβIサブユニット、心房ナトリウム利尿性因子、ドーパミンβ−水酸化酵素、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、平滑筋αアクチン、ポリペプチド鎖伸長因子1α(EF1−α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン塩基性蛋白、血清アミロイドPコンポーネント、レニンなど)のプロモーターなどが挙げられ、なかでもニワトリアクチンプロモーターを含むCAGプロモーターなどを用いることができる。
 さらに好ましくは、目的とする疾患モデルに応じて、標的組織で外来性ヒトSLT遺伝子を特異的もしくは高発現させ得るプロモーター(例:肝臓で高発現可能な血清アミロイドPコンポーネント(SAP)、アルブミン、トランスフェリン、アンチトロンビンIII、α1−アンチトリプシンなどの遺伝子プロモーター;心臓で高発現可能なαおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2などの遺伝子プロモーター;腎臓で高発現可能なPTH/PTHrP受容体などの遺伝子プロモーター;副腎で高発現可能なACTH受容体などの遺伝子プロモーター;消化管で高発現可能な脂肪酸結合タンパク質などの遺伝子プロモーター;脳で高発現可能なミエリン塩基性蛋白、グリア線維性酸性蛋白などの遺伝子プロモーター等)を適宜選択することができる。例えば、本発明の遺伝子導入動物が腎疾患モデルである場合、腎臓で高発現可能なプロモーターを用いることが好ましい。
 上記ベクターは、遺伝子導入哺乳動物において、目的とするmRNAの転写を終結する配列(ポリA、一般にターミネーターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウイルス由来、各種哺乳動物および鳥類由来の各遺伝子の配列を用いて遺伝子発現を操作することが出来る。好ましくは、シミアンウイルスのSV40ターミネーターなどが用いられる。その他、目的の遺伝子をさらに高発現させる目的で、各遺伝子のスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核遺伝子のイントロンの一部を、プロモーター領域の5'上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3'下流に連結することも目的により可能である。
 また、上記のベクターは、導入遺伝子が安定に組み込まれたクローンを選択するための選択マーカー遺伝子(例:ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性などの薬剤耐性遺伝子)をさらに含むことが好ましい。さらに、相同組換えにより宿主染色体の特定の部位に導入遺伝子を組み込むこと(即ち、ノックイン動物の作製)を意図する場合には、上記のベクターは、ランダムな挿入を排除するために、標的部位と相同なDNA配列の外側に単純ヘルペスウイルス由来チミジンキナーゼ遺伝子やジフテリア毒素遺伝子をネガティブ選択マーカー遺伝子としてさらに含むことが好ましい。これらの実施態様については後で詳述する。
 SLTの翻訳領域は、ヒトや各種非ヒト哺乳動物(ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)の肝臓、腎臓、繊維芽細胞などに由来するDNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーに由来するゲノムDNAの全てあるいは一部を原料として用い、あるいはヒトや各種非ヒト哺乳動物の脳、肝臓、腎臓、繊維芽細胞などの臓器あるいは細胞に由来するRNAから公知の方法により調製された相補DNAを原料として用いて、取得することが出来る。また、上記の細胞あるいは組織などから得られたSLTの翻訳領域を用いて、点突然変異誘発法などにより変異した翻訳領域を作製することもできる。これらは何れも遺伝子導入動物に利用可能な材料である。
 以上の翻訳領域は、導入動物において発現しうる遺伝子コンストラクト(例、ベクターなど)として前記のプロモーターの下流(好ましくは、転写終結部位の上流)に連結させる通常の遺伝子工学的手法により、SLT遺伝子を組み込んだDNAを作製することができる。
 具体的には、ニワトリアクチンプロモーターを含むCAGプロモーター、ウサギグロビンポリA付加シグナルを含む領域、SV40複製開始領域、アンピシリン耐性遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドpCXN2に、SLT遺伝子を挿入したベクターなどが用いられる。
 好ましい一実施態様においては、上記のようにして得られる外来性ヒトSLTをコードするDNAを含む発現ベクターは、マイクロインジェクション法により対象となる非ヒト哺乳動物の初期胚に導入される。
 対象非ヒト哺乳動物の初期胚は、同種の非ヒト哺乳動物の雌雄を交配させて得られる体内受精卵を採取するか、あるいは同種の非ヒト哺乳動物の雌雄からそれぞれ採取した卵と精子を体外受精させることにより得ることができる。
 用いる非ヒト哺乳動物の齢や飼育条件等は動物種によってそれぞれ異なるが、例えばマウス(好ましくはC57BL/6J系統(B6)などの近交系マウス、B6と他の近交系とのF1など)を用いる場合は、雌が約4〜約6週齢、雄が約2〜約8月齢程度のものが好ましく、また、約12時間明期条件(例えば7:00−19:00)で約1週間飼育したものが好ましい。
 体内受精は自然交配によってもよいが、性周期の調節と1個体から多数の初期胚を得ることを目的として、雌非ヒト哺乳動物に性腺刺激ホルモンを投与して過剰排卵を誘起した後、雄非ヒト哺乳動物と交配させる方法が好ましい。雌非ヒト哺乳動物の排卵誘発法としては、例えば初めに卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性性腺刺激ホルモン、一般にPMSGと略する)、次いで黄体形成ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、一般にhCGと略する)を、例えば腹腔内注射などにより投与する方法が好ましいが、好ましいホルモンの投与量、投与間隔は非ヒト哺乳動物の種類によりそれぞれ異なる。例えば、非ヒト哺乳動物がマウス(好ましくはC57BL/6J系統(B6)などの近交系マウス、B6と他の近交系とのF1など)の場合は、通常、卵胞刺激ホルモン投与後、約48時間後に黄体形成ホルモンを投与し、直ちに雄マウスと交配させることにより受精卵を得る方法が好ましく、卵胞刺激ホルモンの投与量は約20〜約50IU/個体、好ましくは約30IU/個体、黄体形成ホルモンの投与量は約0〜約10IU/個体、好ましくは約5IU/個体である。
 一定時間経過後、膣栓の検査等により交配を確認した雌非ヒト哺乳動物の腹腔を開き、卵管から受精卵を取り出して培地(例:M16培地、修正Whitten培地、BWW培地、M2培地、WM−HEPES培地、BWW−HEPES培地等)中で洗って卵丘細胞を除き、微小滴培養法等により5%炭酸ガス/95%大気下でDNA顕微注入まで培養する。直ちに顕微注入を行い場合、採取した受精卵を緩慢法または超急速法等で凍結保存することも可能である。
 一方、体外受精の場合は、採卵用雌非ヒト哺乳動物(体内受精の場合と同様のものが好ましく用いられる)に上記と同様に卵胞刺激ホルモンおよび黄体形成ホルモンを投与して排卵を誘発させた後、卵子を採取して受精用培地(例:TYH培地中で体外受精時まで微小滴培養法等により5%炭酸ガス/95%大気下で培養する。他方、同種の雄非ヒト哺乳動物(体内受精の場合と同様のものが好ましく用いられる)から精巣上体尾部を取り出し、精子塊を採取して受精用培地中で前培養する。前培養終了後の精子を卵子を含む受精用培地に添加し、微小滴培養法等により5%炭酸ガス/95%大気下で培養した後、2個の前核を有する受精卵を顕微鏡下で選抜する。直ちにDNAの顕微注入を行い場合は、得られた受精卵を緩慢法または超急速法等で凍結保存することも可能である。
 受精卵へのDNAの顕微注入は、マイクロマニピュレーター等の公知の装置を用いて常法に従って実施することができる。簡潔に言えば、胚培養用培地の微小滴中に入れた受精卵をホールディングピペットで吸引して固定し、インジェクションピペットを用いてDNA溶液を雄性もしくは雌性前核、好ましくは雄性前核内に直接注入する。導入遺伝子はCsCl密度勾配超遠心等で高度に精製したものを用いることが好ましい。また、導入遺伝子は制限酵素を用いてベクター部分を切断し、直鎖状にしておくことが好ましい。
 DNA導入後の受精卵は胚培養用培地中で微小滴培養法等により5%炭酸ガス/95%大気下で1細胞期〜胚盤胞期まで培養した後、偽妊娠させた受胚用雌非ヒト哺乳動物の卵管または子宮内に移植される。受胚用雌非ヒト哺乳動物は移植される初期胚が由来する動物と同種のものであればよく、例えば、マウス初期胚を移植する場合は、ICR系の雌マウス(好ましくは約8〜約10週齢)などが好ましく用いられる。受胚用雌非ヒト哺乳動物を偽妊娠状態にする方法としては、例えば、同種の精管切除(結紮)雄非ヒト哺乳動物(例えば、マウスの場合、ICR系の雄マウス(好ましくは約2月齢以上))と交配させて、膣栓の存在が確認されたものを選択する方法が知られている。
 受胚用雌は自然排卵のものを用いてもよいし、あるいは精管切除(結紮)雄との交配に先立って、黄体形成ホルモン放出ホルモン(一般にLHRHと略する)もしくはその類縁体を投与し、受精能を誘起させたものを用いてもよい。LHRH類縁体としては、例えば、[3,5-DiI-Tyr5]-LH-RH、[Gln8]-LH-RH、[D-Ala6]-LH-RH、[des-Gly10]-LH-RH、[D-His(Bzl)6]-LH-RHおよびそれらのEthylamideなどが挙げられる。LHRHもしくはその類縁体の投与量、ならびにその投与後に雄非ヒト哺乳動物と交配させる時期は、非ヒト哺乳動物の種類によりそれぞれ異なる。例えば、非ヒト哺乳動物がマウス(好ましくはICR系のマウスなど)の場合には、通常、LHRHもしくはその類縁体を投与した後、約4日目に雄マウスと交配させることが好ましく、LHRHあるいはその類縁体の投与量は、通常、約10〜60μg/個体、好ましくは約40μg/個体である。
 通常、移植される初期胚が8細胞期胚以後の場合は受胚用雌の子宮に、それより前(例えば、1細胞期〜4細胞期胚)であれば卵管に胚移植される。受胚用雌は、移植胚の発生段階に応じて偽妊娠からある日数が経過したものが適宜使用される。例えばマウスの場合、2細胞期胚を移植するには偽妊娠後約0.5日の雌マウスが、胚盤胞期胚を移植するには偽妊娠後約2.5日の雌マウスが好ましい。受胚用雌を麻酔(好ましくはAvertin等が使用される)後、切開して卵巣を引き出し、胚培養用培地に懸濁した初期胚(約5〜約10個)を胚移植用ピペットを用いて、卵管腹腔口もしくは子宮角の卵管接合部付近に注入する。
 移植胚が首尾よく着床し受胚雌が妊娠すれば、自然分娩もしくは帝王切開により仔非ヒト哺乳動物が得られる。自然分娩した受胚雌にはそのまま哺乳を継続させればよく、帝王切開により出産した場合は、産仔は別途用意した哺乳用雌(例えばマウスの場合、通常に交配・分娩した雌マウス(好ましくはICR系統の雌マウス等))に哺乳させることができる。
 受精卵細胞段階における外来性ヒトSLTをコードする遺伝子の導入は、導入遺伝子が対象非ヒト哺乳動物の生殖系列細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。導入遺伝子が染色体DNAに組み込まれているか否かは、例えば、産仔の尾部より分離抽出した染色体DNAをサザンハイブリダイゼーションまたはPCR法によりスクリーニングすることにより検定することができる。上記のようにして得られる仔非ヒト哺乳動物(F0)の生殖系列細胞において外来性ヒトSLTをコードする遺伝子が存在することは、その後代(F1)の動物全てが、その生殖系列細胞および体細胞のすべてに外来性ヒトSLTをコードする遺伝子が存在することを意味する。
 通常、F0動物は相同染色体の一方にのみ導入遺伝子を有するヘテロ接合体として得られる。また、個々のF0個体は相同組換えによらない限り異なる染色体上にランダムに挿入される。相同染色体の両方に外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を有するホモ接合体を得るためには、F0動物と非トランスジェニック動物とを交雑してF1動物を作出し、相同染色体の一方にのみ導入遺伝子を有するヘテロ接合体の兄妹同士を交雑すればよい。1遺伝子座にのみ導入遺伝子が組み込まれていれば、得られるF2動物の1/4がホモ接合体となる。
 別の好ましい一実施態様においては、外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を含む発現ベクターは、エレクトロポレーション法等の公知の遺伝子導入法により対象となる非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞(ES細胞)に導入される。
 ES細胞は胚盤胞期胚の内部細胞塊(ICM)に由来し、インビトロで未分化状態を保ったまま培養維持できる細胞をいう。ICMの細胞は胚節を経て将来、胚体を形成する細胞であり、生殖細胞を含むすべての組織の基になる幹細胞である。ES細胞としては、既に樹立された細胞株ものを用いてもよく、また、EvansとKaufmanの方法(ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年)に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスES細胞の場合、現在、一般的には129系マウス由来のES細胞が使用されているが、従来から機能解析によく用いられている純系で遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で、例えば、C57BL/6系統マウスやC57BL/6系統とDBA/2系統と交雑したBDF1系統マウス(C57BL/6系統とDBA/2系統とのF1)から樹立されるES細胞なども良好に用いることができる。BDF1系統マウスは、採卵数が多く、かつ卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6系統マウスを背景に持つので、これ由来のES細胞は疾患モデルマウスを作出したとき、C57BL/6系統マウスと戻し交雑することでその遺伝的背景をC57BL/6系統マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
 ES細胞の調製は、例えば以下のようにして行うことができる。交配後の雌非ヒト哺乳動物[例えばマウス(好ましくはC57BL/6J系統(B6)などの近交系マウス、B6と他の近交系とのF1など)を用いる場合は、約2ヶ月齢以上の雄マウスと交配させた約8〜約10週齢程度の雌マウス(妊娠約3.5日)が好ましく用いられる]の子宮から胚盤胞期胚を採取して(あるいは8細胞期以前の初期胚を卵管から採取した後、胚培養用培地中で上記と同様にして胚盤胞期まで培養してもよい)、適当なフィーダー細胞(例えばマウスの場合、マウス胎仔から調製される初代繊維芽細胞が望ましい)層上で培養すると、胚盤胞の一部の細胞が集合して将来胚に分化するICMを形成する。この内部細胞塊をトリプシン処理して単細胞を解離させ、適切な細胞密度を保ち、培地交換を行いながら、解離と継代を繰り返すことによりES細胞が得られる。
 ES細胞は雌雄いずれを用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行うことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行うことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
 また、第二次セレクションとして、例えば、G−バンディング法による核型分析等により行うことができる。得られるES細胞の核型は100%正常であることが望ましいが、細胞株樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞への遺伝子導入の後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが可能である。
 このようにして得られるES細胞株は、未分化幹細胞の性質を維持するために注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上で、分化抑制因子として知られるLIF(1〜10,000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス/95%空気または5%酸素/5%炭酸ガス/90%空気)で、約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001〜0.5%トリプシン/0.1〜5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎に行うが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
 ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明の外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入されたES細胞を分化させて得られる外来性ヒトSLT発現非ヒト哺乳動物細胞は、インビトロにおける外来性ヒトSLTの細胞生物学的検討において有用である。
 ES細胞への遺伝子導入には、リン酸カルシウム共沈殿法、電気穿孔(エレクトロポレーション)法、リポフェクション法、レトロウイルス感染法、凝集法、顕微注入(マイクロインジェクション)法、遺伝子銃(パーティクルガン)法、DEAE−デキストラン法などのいずれも用いることができるが、簡便に多数の細胞を処理できること等の点からエレクトロポレーション法が一般的に選択されている。エレクトロポレーションには通常の動物細胞への遺伝子導入に使用されている条件をそのまま用いればよく、例えば、対数増殖期にあるES細胞をトリプシン処理して単一細胞に分散させた後、106〜108細胞/mlとなるように培地に懸濁してキュベットに移し、外来性ヒトSLTをコードするDNAを含むベクターを10〜100μg添加し、200〜600V/cmの電気パルスを印加することにより行うことができる。
 導入遺伝子が組み込まれたES細胞は、単一細胞をフィーダー細胞上で培養して得られるコロニーから分離抽出した染色体DNAをサザンハイブリダイゼーションまたはPCR法によりスクリーニングすることによっても検定することができるが、ES細胞を用いるトランスジェニック系の最大の長所は、薬剤耐性遺伝子やレポーター遺伝子の発現を指標として細胞段階で形質転換体を選択できることである。したがって、ここで使用される導入ベクターは、外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を含む発現カセットに加えて、薬剤耐性遺伝子(例:ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)遺伝子、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hpt)遺伝子など)やレポーター遺伝子(例:β−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子など)等の選択マーカー遺伝子をさらに含むことが望ましい。例えば、選択マーカー遺伝子としてnptII遺伝子を含むベクターを用いた場合、遺伝子導入処理後のES細胞をG418などのネオマイシン系抗生物質を含有する培地中で培養し、出現した耐性コロニーをそれぞれ培養プレートに移してトリプシン処理、培地交換を繰り返した後、一部を培養用として残し、残りをPCRもしくはサザンハイブリダイゼーションにかけて導入遺伝子の存在を確認する。
 導入遺伝子の組込みが確認されたES細胞を同種の非ヒト哺乳動物由来の胚内に戻すと、宿主胚のICMに組み込まれてキメラ胚が形成される。これを仮親(受胚用雌)に移植してさらに発生を続けさせることにより、キメラトランスジェニック動物が得られる。キメラ動物の中でES細胞が将来卵や精子に分化する始原生殖細胞の形成に寄与した場合には、生殖系列キメラが得られることとなり、これを交配することにより導入遺伝子が遺伝的に固定された遺伝子導入非ヒト哺乳動物を作出することができる。
 キメラ胚の作製方法としては、桑実胚期までの初期胚同士を接着させて集合させる方法(集合キメラ法)と、胚盤胞の割腔内に細胞を顕微注入する方法(注入キメラ法)とがあるが、ES細胞によるキメラ胚の作製においては従来から後者が広く行なわれているが、最近では、8細胞期胚の透明帯内へのES細胞の注入により集合キメラを作る方法や、マイクロマニピュレーターが不要で操作が容易な方法として、ES細胞塊と透明帯を除去した8細胞期胚とを共培養して凝集させることによって集合キメラを作製する方法も行われている。
 いずれの場合も、宿主胚は受精卵への遺伝子導入における採卵用雌として使用され得る非ヒト哺乳動物から同様にして採取することができるが、例えばマウスの場合、キメラマウス形成へのES細胞の寄与率を毛色(コートカラー)で判定し得るように、ES細胞の由来する系統とは毛色の異なる系統のマウスから宿主胚を採取することが好ましい。例えば、ES細胞が129系統マウス(毛色:アグーチ)由来であれば、採卵用雌としてC57BL/6系統マウス(毛色:ブラック)やICR系統マウス(毛色:アルビノ)を用い、ES細胞がC57BL/6系統もしくはDBF1系統マウス(毛色:ブラック)由来やTT2細胞(C57BL/6系統とCBA系統とのF1(毛色:アグーチ)由来)であれば、採卵用雌としてICR系統マウスやBALB/c系統マウス(毛色:アルビノ)を用いることができる。
 また、生殖系列キメラ形成能はES細胞と宿主胚との組み合わせに大きく依存するので、生殖系列キメラ形成能の高い組み合わせを選択することがより好ましい。例えばマウスの場合、129系統由来のES細胞に対してはC57BL/6系統由来の宿主胚等を用いることが好ましく、C57BL/6系統由来のES細胞に対してはBALB/c系統由来の宿主胚等が好ましい。
 採卵用雌マウスは約4〜6週齢程度が好ましく、交配用の雄マウスとしては約2〜約8カ月齢程度の同系統のものが好ましい。交配は自然交配によってもよいが、好ましくは性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン、次いで黄体形成ホルモン)を投与して過剰排卵を誘起した後に行なわれる。
 胚盤注入法による場合は、胚盤胞期胚(例えばマウスの場合、交配後約3.5日)を採卵用雌の子宮から採取し(あるいは4細胞期以前の初期胚を卵管から採取した後、上述の胚培養用培地中で胚盤胞期まで培養してもよい)、マイクロマニピュレーターを用いて胚盤胞の割腔内に外来性ヒトSLTをコードするDNAが導入されたES細胞(約10〜約15個)を注入した後、偽妊娠させた受胚用雌非ヒト哺乳動物の子宮内に移植する。受胚用雌非ヒト哺乳動物は受精卵への遺伝子導入における受胚用雌として使用され得る非ヒト哺乳動物を同様に用いることができる。
 共培養法による場合は、例えば8細胞期胚(および桑実胚)(例えばマウスの場合、交配後約2.5日)を採卵用雌の卵管および子宮から採取して(あるいは4細胞期以前の初期胚を卵管から採取した後、上述の胚培養用培地中で8細胞期または桑実胚期まで培養してもよい)酸性タイロード液中で透明帯を溶解した後、ミネラルオイルを重層した胚培養用培地の微小滴中に外来性ヒトSLTをコードするDNAが導入されたES細胞塊(細胞数約10〜約15個)を入れ、さらに上記8細胞期胚(または桑実胚)(好ましくは2個または3個)を入れて一晩共培養する。得られた桑実胚または胚盤胞を上記と同様にして受胚用雌非ヒト哺乳動物の子宮内に移植する。
 移植胚が首尾よく着床し受胚雌が妊娠すれば、自然分娩もしくは帝王切開によりキメラ非ヒト哺乳動物が得られる。自然分娩した受胚雌にはそのまま哺乳を継続させればよく、帝王切開により出産した場合は、産仔は別途用意した哺乳用雌(通常に交配・分娩した雌非ヒト哺乳動物)に哺乳させることができる。
 生殖系列キメラの選択は、まずES細胞の雌雄が予め判別されている場合はES細胞と同じ性別のキメラマウスを選択し(通常は雄性ES細胞が使用されるので、雄キメラマウスが選択される)、次いで毛色等の表現型からES細胞の寄与率が高いキメラマウス(例えば、50%以上)を選択する。例えば、129系マウス由来の雄性ES細胞であるD3細胞とC57BL/6系統マウス由来の宿主胚とのキメラ胚から得られるキメラマウスの場合、アグーチの毛色の占める割合の高い雄マウスを選択するのが好ましい。選択されたキメラ非ヒト哺乳動物が生殖系列キメラであるか否かの確認は、適当な系統の同種動物との交雑により得られるF1動物の表現型に基づいて行うことができる。例えば、上記キメラマウスの場合、アグーチはブラックに対して優性であるので、雌C57BL/6系統マウスと交雑すると、選択された雄マウスが生殖系列キメラであれば得られるF1の毛色はアグーチとなる。
 上記のようにして得られる外来性ヒトSLTをコードする遺伝子が導入された生殖系列キメラ非ヒト哺乳動物(ファウンダー)は、通常、相同染色体の一方にのみ導入遺伝子を有するヘテロ接合体として得られる。また、個々のファウンダーは相同組換えによらない限り異なる染色体上にランダムに挿入される。相同染色体の両方に外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を有するホモ接合体を得るためには、上記のようにして得られるF1動物のうち相同染色体の一方にのみ導入遺伝子を有するヘテロ接合体の兄妹同士を交雑すればよい。ヘテロ接合体の選択は、例えばF1動物の尾部より分離抽出した染色体DNAをサザンハイブリダイゼーションまたはPCR法によりスクリーニングすることにより検定することができる。1遺伝子座にのみ導入遺伝子が組み込まれていれば、得られるF2動物の1/4がホモ接合体となる。
 本発明の遺伝子導入動物は、外来性ヒトSLTに対する被験物質の作用を定量的に測定可能な程度に外来性ヒトSLTの発現量が確保される限り、内因性SLTの発現については特に制限はない。しかしながら、本発明の遺伝子導入動物を外来性ヒトSLTだけでなく内因性SLTにも作用し得る薬剤の評価にも使用する場合は、内因性SLTの発現を不活性化することが望ましい。内因性SLTの発現が不活性化された本発明の遺伝子導入動物は、公知の方法(例えば、Lee S.S.ら、モレキュラー・アンド・セルーラー・バイオロジー(Mol. Cell. Biol.)、第15巻、第3012頁、1995年を参照)により選択されるSLT遺伝子がノックアウトされたES細胞、あるいは該ES細胞から上記の方法に従って作出されるSLTノックアウト動物由来の初期胚もしくはES細胞に、上記の方法に従って外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入することによって得ることができる。SLT遺伝子をノックアウトする具体的な手段としては、対象非ヒト哺乳動物由来のSLT遺伝子を常法に従って単離し、例えば、そのエクソン部分に他のDNA断片(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子、lacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)等のレポーター遺伝子等)を挿入することによりエクソンの機能を破壊するか(この場合、前述のように導入遺伝子の組込みは薬剤耐性やレポーター遺伝子の発現を指標として選択され得る)、Cre−loxP系やFlp−frt系を用いてSLT遺伝子の全部または一部を切り出して該遺伝子を欠失させるか、タンパク質コード領域内へ終止コドンを挿入して完全なタンパク質の翻訳を不能にするか、あるいは転写領域内部へ遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、ポリA付加シグナルなど)を挿入して、完全なmRNAの合成を不能にすることによって、結果的に遺伝子を不活性化するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、相同組換えにより対象非ヒト哺乳動物のSLT遺伝子座に組み込ませる方法が好ましく挙げられる。
 通常、哺乳動物における遺伝子組換えは大部分が非相同的であり、導入されたDNAは染色体の任意の位置にランダムに挿入される。したがって、薬剤耐性やレポーター遺伝子の発現を検出するなどの選択によっては相同組換えにより標的となる内因性SLT遺伝子にターゲッティングされたクローンのみを効率よく選択することができず、選択されたすべてのクローンについてサザン法もしくはPCR法による組み込み部位の確認が必要となる。そこで、ターゲッティングベクターの標的配列に相同な領域の外側に、例えば、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルス由来チミジンキナーゼ(HSV−tk)遺伝子を連結しておけば、該ベクターがランダムに挿入された細胞はHSV−tk遺伝子を有するため、ガンシクロビル含有培地では生育できないが、相同組換えにより内因性SLT遺伝子座にターゲッティングされた細胞はHSV−tk遺伝子を有しないので、ガンシクロビル耐性となり選択される。あるいは、HSV−tk遺伝子の代わりに、例えばジフテリア毒素遺伝子を連結すれば、該ベクターがランダムに挿入された細胞は自身の産生する該毒素によって死滅するので、薬剤非存在下で相同組換え体を選択することもできる。
 あるいは、内因性SLTの発現が不活性化された本発明の遺伝子導入動物は、相同組換えを用いた遺伝子ターゲッティングにより外来性ヒトSLT遺伝子をコードするDNAで内因性SLT遺伝子を置換したノックイン動物であってもよい。
 ノックイン動物はノックアウト動物と基本的に同様の手法に従って作製することができる。SLTのORFは第1エクソンから第5エクソンに存在するので、例えば、対象非ヒト哺乳動物由来のSLT遺伝子のこれらの領域を適当な制限酵素を用いて切除し、代わりに外来性ヒトSLT遺伝子の対応する領域を挿入することにより得られるDNAを含むターゲティングベクターを、上記の方法に従って対象非ヒト哺乳動物由来のES細胞に導入し、相同組換えにより該動物の内因性SLT遺伝子座に外来性ヒトSLTをコードする遺伝子が組み込まれたES細胞クローンを選択すればよい。クローン選択はPCR法やサザン法を用いて行うこともできるが、例えば、ターゲッティングベクターのSLT遺伝子の3'非翻訳領域などにネオマイシン耐性遺伝子等のポジティブ選択用マーカー遺伝子を挿入し、さらに標的配列と相同な領域の外側にHSV−tk遺伝子やジフテリア毒素遺伝子等のネガティブ選択用マーカー遺伝子を挿入すれば、薬剤耐性を指標にして相同組換え体を選択することができる。
 また、ポジティブ選択用マーカー遺伝子が導入された外来性ヒトSLTの発現を妨げる場合があるので、ポジティブ選択用マーカー遺伝子の両端にloxP配列もしくはfrt配列を配したターゲッティングベクターを用い、相同組換え体選択後の適当な時期にCreもしくはFlpリコンビナーゼまたは該リコンビナーゼ発現ベクター(例:アデノウイルスベクターなど)を作用させることにより、ポジティブ選択用マーカー遺伝子を切り出すことが好ましい。あるいは、Cre−loxP系やFlp−frt系を用いる代わりに、ポジティブ選択用マーカー遺伝子の両端に標的配列と相同な配列を同方向に繰り返して配置し、該配列間での遺伝子内組換えを利用してポジティブ選択用マーカー遺伝子を切り出してもよい。
 また、本発明の遺伝子導入動物は、外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有し、かつSLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を有する疾患モデルであってもよい。
 「SLTの活性調節が関与する疾患」とは、SLT活性の異常に起因するかもしくは結果的にSLT活性の異常を生じる疾患だけでなく、SLT活性を調節することにより予防および/または治療効果が得られ得る疾患をも含めた概念として把握されるべきである。例えば、SLTを活性化することにより予防・治療可能な疾患としては、例えば、食欲不振(例、神経性食欲不振症など)、食欲不振に伴う貧血、低タンパク症、うつ病などが挙げられる。SLTの機能、活性を阻害することにより予防・治療可能な疾患としては、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)などが挙げられる。
 「他の遺伝子改変」とは、外来性ヒトSLTをコードする遺伝子が導入される以外の遺伝子改変を意味し、自然突然変異により内因性遺伝子が改変された自然発症疾患モデル動物、他の遺伝子をさらに導入されたトランスジェニック動物、内因性遺伝子を不活化されたノックアウト動物(挿入突然変異等による遺伝子破壊のほか、アンチセンスDNAや中和抗体をコードするDNAの導入により遺伝子発現が検出不可能もしくは無視し得る程度にまで低下したトランスジェニック動物を含む)、変異内因性遺伝子が導入されたドミナントネガティブ変異体などが含まれる。したがって、内因性SLT遺伝子の改変もまた、本発明における「他の遺伝子改変」に該当する。
 「SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を有する疾患モデル」としては、例えば、高脂血症または動脈硬化症モデルとしてWHHLウサギ(低比重リポタンパクレセプター(LDLR)に変異を有する;Watanabe Y.、Atherosclerosis、第36巻、第261頁、1980年)、SHLM(apoE欠損変異を有する自然発症マウス;Matsushima Y.ら、Mamm. Genome、第10巻、第352頁、1999年)、LDLRノックアウトマウス(Ishibashi S.ら、J. Clin. Invest.、第92巻、第883頁、1993年)、apoEノックアウトマウス(Piedrahita J.A.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、第4471頁、1992年)、ヒトapoB導入マウス(Callow M.J.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第91巻、第2130頁、1994年)等が、虚血性心疾患モデルとしてCD55 CD59ダブルトランスジェニックマウス(Cowan P.J.ら、 Xenotransplantation、第5巻、第184-90頁、1998年)等が、皮膚炎モデルとしてinterleukin 1トランスジェニックマウス(Groves R.W. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第92巻、11874頁、1995年)等が、免疫不全モデルとしてCD19ノックアウトマウス(Spielman J.ら、Immunity、第3巻、39頁、1995年)等が、低血糖モデルとしてSPC2ノックアウトマウス(Furuta M. ら、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第94巻、6646頁、1997年)等が、脂肪肝モデルとしてob/obマウス(Herberg L.及びColeman D.L.、Metabolism、第26巻、第59頁、1977年)、KKマウス(Nakamura M.及びYamada K.、Diabetologia、第3巻、第212頁、1967頁)、FLSマウス(Soga M.ら、Lab. Anim. Sci.、第49巻、第269頁、1999年)、糖尿病モデルとしてNODマウス(Makino S.ら、Exp. Anim.、第29巻、第1頁、1980年)、BBラット(Crisa L.ら、Diabetes Metab. Rev.、第8巻、第4頁、1992年)、ob/obマウス、db/dbマウス(Hummel L.ら、Science、第153巻、第1127頁、1966年)、KKマウス、GKラット(Goto Y.ら、Tohoku J. Exp. Med.、第119巻、第85頁、1976年)、Zucker fattyラット(Zucker L.M.ら、Ann. NY Acad. Sci.、第131巻、第447頁、1965年)、OLETFラット(Kawano K.ら、Diabetes、第41巻、第1422頁、1992年)等が、肥満モデルとしてob/obマウス、db/dbマウス、KKマウス、Zucker fattyラット、OLETFラット等が、アルツハイマー病モデルとして変異アミロイド前駆体タンパク質遺伝子導入マウス等が、貧血性低酸素症モデルとしてbeta SAD(beta S-Antilles-D Punjab)トランスジェニックマウス(Trudel M.ら、 EMBO J.、第10巻、3157頁、1991年)等が、性腺障害モデルとしてSteroidogenic factor 1ノックアウトマウス(Zhao L.ら、Development、第128巻、147頁、2001年)等が、肝臓癌モデルとしてp53ノックアウトマウス(Kemp C.J. Molecular Carcinogenesis, 第12巻、132頁、1995年)等が、乳癌モデルとしてc−neuトランスジェニックマウス(Rao G.N.ら、Breast Cancer Res. Treat., 第48巻、265頁、1998年)等が、子宮内膜炎モデルとしてperforin, Fas-ligandダブルノックアウトマウス(Spielman J.ら、J. Immunol. , 第161巻、7063頁、1998年)等が挙げられる。
 これらの「他の遺伝子改変を有する」疾患モデル非ヒト哺乳動物は、例えば、米国のJackson研究所などから購入可能であるか、あるいは周知の遺伝子改変技術を用いて容易に作出することができる。
 本発明の非ヒト哺乳動物は、「SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変」に加えて、同一もしくは他の疾患モデルを作製し得る非遺伝的処理を施されていてもよい。「非遺伝的処理」とは対象非ヒト哺乳動物における遺伝子改変を生じさせない処理を意味する。このような処理としては、例えば、高脂肪食負荷処理、糖負荷処理、飢餓処理、血管結紮/再灌流等が挙げられる。
 外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入された非ヒト哺乳動物に、SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を導入する方法は特に制限はなく、例えば、外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入された非ヒト哺乳動物と、SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を有する同種の疾患モデル非ヒト哺乳動物とを交雑する方法;SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を有する疾患モデル非ヒト哺乳動物の初期胚やES細胞に、上述の方法により外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入してトランスジェニック動物を得る方法;外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入された非ヒト哺乳動物の初期胚やES細胞に、上述の方法により、あるいはノックアウト技術により、SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を導入する方法等が挙げられる。また、SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変が外来遺伝子やドミナント変異遺伝子の導入による場合、野生型非ヒト哺乳動物の初期胚やES細胞に、該外来遺伝子等と外来性ヒトSLTをコードする遺伝子とを同時にもしくは順次導入してトランスジェニック動物を得てもよい。さらに、SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変が内因性遺伝子の破壊による場合は、外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を破壊すべき内因性遺伝子にターゲッティングされ得るようにデザインして野生型非ヒト哺乳動物のES細胞に導入してもよい。この場合、ターゲッティングベクターは、内因性SLT遺伝子を破壊されるべき内因性遺伝子に置換る以外は、上記のノックイン動物の作製に関して例示したものが好ましく使用され得る。
 外来性ヒトSLTをコードする遺伝子を導入された非ヒト哺乳動物と、SLTの活性調節が関与する疾患と同一もしくは類似の病態を生じさせる1以上の他の遺伝子改変を有する同種の疾患モデル非ヒト哺乳動物とを交雑する場合、ホモ接合体同士を交雑することが望ましい。例えば、外来性SLTをコードする遺伝子が1遺伝子座に組み込まれたホモ接合体と、apoEホモ欠損高脂血症(動脈硬化)モデルとを交雑して得られるF1は両遺伝子についてヘテロである。このF1同士を兄妹交配して得られるF2個体の1/16は外来性SLTホモ導入・apoEホモ欠損となる。
 さらに、本発明は、前記した外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物に、他の病態モデル動物、例えば肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の病態モデル動物を交配することによって得られる動物またはその生体の一部を提供する。
 他の病態モデル動物、例えば肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の病態モデル動物を交配することによって得られる動物は、例えば、米国のJackson研究所などから購入可能であるか、あるいは周知の技術を用いて容易に作出することができる。
 さらに、本発明は、外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有し、かつ内因性SLC−1遺伝子を欠損させた非ヒト哺乳動物またはその生体の一部を提供する。
 SLTとSLC−1はアミノ酸レベルで約35%の相同性を有していることから、SLTに特異的に作用する医薬をスクリーニングするには、使用する非ヒト動物の内因性SLC−1遺伝子を欠損させておくのが好ましい。
 外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを非ヒト哺乳動物に導入する方法は前記のとおりである。
 また、内因性SLC−1を欠損させる方法は、前記した内因性SLTの発現が不活性化された遺伝子導入動物の作製方法と同様である。
 内因性SLC−1としては、例えば、配列番号:3で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質が用いられる。配列番号:3で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号:3で表されるアミノ酸配列において、1ないし30個、好ましくは1ないし10個、さらに好ましくは1ないし5個、より好ましくは1または2個のアミノ酸に置換、付加または欠損が生じているが、SLC−1の機能を失わないアミノ酸配列をいう。内因性SLC−1としては、具体的には、配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるマウスSLC−1、配列番号:6で表されるアミノ酸配列からなるラットSLC−1などが挙げられる。
 内因性SLC−1遺伝子としては、上記のアミノ酸配列からなるSLC−1をコードする遺伝子が用いられ、具体的には、
(1)配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるマウスSLC−1をコードする、配列番号:4で表される塩基配列を含有する遺伝子、
(2)配列番号:5で表されるアミノ酸配列からなるラットSLC−1をコードする、配列番号:6で表される塩基配列(WO00/49046号公報)を含有する遺伝子などが用いられる。
 上記のようにして得られる本発明の非ヒト哺乳動物は、内因性SLTに加えて(あるいはそれに代えて)外来性ヒトSLTを発現するので、外来性ヒトSLTに対してアゴニストまたはアンタゴニスト活性を有するが、内因性SLTに対しては活性を有しない外来性ヒトSLT特異的作動薬または拮抗薬について、その薬効をインビボで評価することを可能にする。
 本発明のヒトSLT遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物(以下、本発明の非ヒト哺乳動物と略記する場合がある)は、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)などの疾患を発症している。
 本発明の非ヒト哺乳動物は、上記のような極めてユニークな特徴を有しているので、以下に示す有用な用途を有している。
(1)本発明の非ヒト哺乳動物は、外来性ヒトSLT遺伝子が高発現させられているので、SLT拮抗薬またはSLT作動薬、主にSLT拮抗薬の評価のために用いることができる。
 すなわち、本発明は、
i)本発明の非ヒト哺乳動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、SLTアンタゴニスト活性またはSLTアゴニスト活性を検定することを特徴とするSLT作動薬のスクリーニング方法、
ii)本発明の非ヒト哺乳動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)などの疾患の改善効果を検定することを特徴とする、上記疾患の予防・治療のために用いられるSLT拮抗薬のスクリーニング方法、
iii)本発明の非ヒト哺乳動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、食欲不振(例、神経性食欲不振症など)、食欲不振に伴う貧血、低タンパク症、うつ病などの疾患の改善効果を検定することを特徴とする、上記疾患の予防・治療のために用いられるSLT作動薬のスクリーニング方法を提供する。
 SLT拮抗薬またはSLT作動薬の候補化合物は、SLTとの結合実験により選定することができる。
 具体的には、本発明のスクリーニング方法では、本発明の非ヒト哺乳動物に被検物質を投与する。被験物質としては、公知の合成化合物、ペプチド、タンパク質、DNAライブラリーなどの他に、例えば哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。
 SLTアンタゴニスト活性としては、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)など、好ましくは肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、心疾患、情動障害、記憶障害、性機能障害または代謝性疾患などの疾患の改善作用が挙げられる。
 SLTアゴニスト活性としては、食欲不振(例、神経性食欲不振症など)、食欲不振に伴う貧血、低タンパク症またはうつ病などの疾患の改善作用が挙げられる。
 本発明の非ヒト哺乳動物が本来的に有するSLTによる上記作用の変動は無視してよい。
 このようにして選択されたSLT拮抗薬(SLTアンタゴニスト)は、安全で低毒性な、例えば肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)など、好ましくは肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、心疾患、情動障害、記憶障害、性機能障害または代謝性疾患などの予防・治療剤として使用することができる。
 一方、選択されたSLT作動薬(SLTアゴニスト)は、安全で低毒性な食欲不振(例、神経性食欲不振症など)、食欲不振に伴う貧血、低タンパク症またはうつ病などの予防・治療剤として使用することができる。
 選択されたSLT拮抗薬またはSLT作動薬は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、予防・治療用医薬として選択された物質を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
 錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
 注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
 また、選択された物質がDNAである場合、当該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。当該DNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
 このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは非ヒト温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)に対して投与することができる。
 選択された物質の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、肥満症の治療目的で経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につきSLT拮抗薬(SLTアンタゴニスト活性を有する物質)を約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、当該物質の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、肥満症の治療目的で注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき当該物質を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgを患部に注射することにより投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(2)また、本発明の非ヒト哺乳動物は、外来性ヒトSLT遺伝子が高発現している場合、上記した肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害などを発症している。また、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)などを発症している場合もある。
 したがって、本発明の非ヒト哺乳動物は、上記疾患の予防剤または治療剤の評価のために用いることができる。
 すなわち、本発明は、本発明の非ヒト哺乳動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、上記疾患の改善効果を検定することを特徴とする、上記疾患の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニング方法を提供する。
 具体的には、本発明のスクリーニング方法では、本発明の非ヒト哺乳動物に被検物質を投与する。被験物質としては、公知の合成化合物、ペプチド、タンパク質、DNAライブラリーなどの他に、例えば哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。
 本発明のスクリーニング方法において、被検物質の投与により、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満食餌性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害、性機能障害、Prader-Willi症候群、糖尿病およびその合併症(例、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など)、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症、心疾患(例、心筋症、心筋梗塞など)、痛風、呼吸器疾患(例、Pickwick症候群、睡眠時無呼吸症候群など)、脂肪肝、不妊症、変形性骨関節症、代謝性疾患(例、視床下部機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症など)などの疾患の改善効果があると判定された場合、その被検物質はこれら疾患の予防・治療用医薬として選択することができる。
 選択された物質は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、予防・治療用医薬として選択された物質を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
 錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
 注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
 また、選択された物質がDNAである場合、当該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。当該DNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
 このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは非ヒト温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)に対して投与することができる。
 予防・治療用医薬として選択された物質の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、肥満症の治療目的で経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につきSLTアンタゴニスト活性を有する物質を約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、当該物質の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、肥満症の治療目的で注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき当該物質を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgを患部に注射することにより投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
 以上の本発明の遺伝子導入哺乳動物を、組織培養のための細胞源として使用することも可能である。また例えば、本発明の遺伝子導入マウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、あるいは遺伝子により発現されたタンパク組織を分析することにより、核内レセプターの複雑な作用の転写因子との関連性について解析することもできる。あるいは、遺伝子を有する組織の細胞を、標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、例えば脂肪組織を形成する細胞などの一般に培養が困難な組織に由来する細胞の機能を研究することもできる。さらに、その細胞を用いることにより、例えば細胞の機能を高めるような薬剤の選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこから、SLTを大量に単離精製すること、ならびにその抗体を作製することも可能である。
 本願明細書において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を次に挙げる。
 DNA     :デオキシリボ核酸
 cDNA    :相補的デオキシリボ核酸
  A      :アデニン
  T      :チミン
  G      :グアニン
  C      :シトシン
 RNA     :リボ核酸
 mRNA    :メッセンジャーリボ核酸
 dATP    :デオキシアデノシン三リン酸
 dTTP    :デオキシチミジン三リン酸
 dGTP    :デオキシグアノシン三リン酸
 dCTP    :デオキシシチジン三リン酸
 ATP     :アデノシン三リン酸
 EDTA    :エチレンジアミン四酢酸
 SDS     :ドデシル硫酸ナトリウム
 Gly :グリシン
 Ala :アラニン
 Val :バリン
 Leu :ロイシン
 Ile :イソロイシン
 Ser :セリン
 Thr  :スレオニン
 Cys :システイン
 Met :メチオニン
 Glu :グルタミン酸
 Asp :アスパラギン酸
 Lys :リジン
 Arg :アルギニン
 His :ヒスチジン
 Phe :フェニルアラニン
 Tyr :チロシン
 Trp :トリプトファン
 Pro :プロリン
 Asn :アスパラギン
 Gln :グルタミン
 pGlu    :ピログルタミン酸
 Me      :メチル基
 Et      :エチル基
 Bu      :ブチル基
 Ph      :フェニル基
 TC      :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
 また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
 Tos     :p−トルエンスルフォニル
 CHO     :ホルミル
 Bzl     :ベンジル
 Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル
 Bom     :ベンジルオキシメチル
 Z       :ベンジルオキシカルボニル
 Cl−Z    :2−クロロベンジルオキシカルボニル
 Br−Z    :2−ブロモベンジルオキシカルボニル
 Boc     :t−ブトキシカルボニル
 DNP     :ジニトロフェノール
 Trt     :トリチル
 Bum     :t−ブトキシメチル
 Fmoc    :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
 HOBt    :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
 HOOBt   :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン
 HONB    :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド
 DCC     :N、N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド
 本発明の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
 〔配列番号:1〕ヒト海馬由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLTのアミノ酸配列を示す。
 〔配列番号:2〕ヒト海馬由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLTをコードするcDNAの塩基配列を示す。
 〔配列番号:3〕マウス由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLC−1のアミノ酸配列を示す。
 〔配列番号:4〕マウス由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLC−1をコードするゲノムDNAの塩基配列を示す。
 〔配列番号:5〕ラット由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLC−1のアミノ酸配列を示す。
 〔配列番号:6〕ラット由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLC−1をコードするcDNAの塩基配列を示す。
 〔配列番号:7〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:8〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:9〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:10〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:11〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:12〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:13〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:14〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:15〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:16〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:17〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:18〕後述の実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:19〕後述の実施例2で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:20〕後述の実施例2で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:21〕後述の実施例2で行われたPCR法に用いられたプローブの塩基配列を示す。〔5'末端にリポーター色素としてFAM(6-carboxy-fluorescein)を、3'末端にはクエンチャーとしてTAMRA(6-carboxy-tetramethyl-rhodamine)を標識した〕
 〔配列番号:22〕ヒト脳由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質SLTをコードするcDNAの塩基配列を示す。(Mol Pharmacol 60巻、632-639頁、2001年)
 〔配列番号:23〕配列番号:22で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列を示す。
 以下に参考例および実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
参考例1 ヒトSLT遺伝子のクローニング
 ヒトSLT遺伝子のクローニングを行うためhuman male BACライブラリー(RPCI-11)のPCRスクリーニングを行い、陽性クローン5個を取得した。これらクローンのクローニング領域を特定するため、ベクターpBACe3.6上のカスタムプライマー(SP6、T7)とSLTコーディング領域のプライマー(LT1、LT10)を用いて、クローニング領域のシーケンスを確認した。BACクローン#107-F15、107-L15、107-M12、173-E1、173-F1シーケンスで確認した配列をそれぞれGenBankヒトゲノムデータ(Genomic Contig:#NT 019424)と照合した。その結果、クローン#107-L15、173-E1(株式会社インターバイオテクノから購入)にSLT遺伝子が含まれていることがわかった。これらのクローンのサイズは約180Kbpで、SLT上流が56Kbp、下流がそれぞれ88Kbpおよび80Kbpであり、ほぼ同じ領域をクローニングしていることが明らかとなった。その結果、2クローン(#107-L15、#173-E1)がSLT遺伝子を含んでおり、これら2クローンのクローニング領域はほぼ同じであることが判明した。
実施例1
 BACクローンを用いたトランスジェニックマウス作製
 クローン#RP11-107L15を制限酵素Sal I切断により直鎖上にした後、60℃、15分間加熱処理によりSal Iを失活させ、QIAGEN miniカラム(QIAGEN社製)で精製した断片を10倍希釈TEバッファーで1μg/mlに濃度調製した。常法に従って上記BACクローンをC57BL/6J系統マウス受精卵前核にマイクロインジェクションして産仔41匹が得られた。
 3週齢産仔の尾よりゲノムDNAを常法に抽出し、PCRキットを用いて導入遺伝子の検出を行った。プライマーLT7およびLT10の組み合わせによる一次選抜において個体番号#130,163,164においてSLT由来のPCR陽性バンドが検出された。この個体についてさらにLT17-LT18, LT19-LT20, LT25-LT26, LT33-LT34およびLT35-LT36のプライマー組合せによってPCRを行った。
 その結果、個体番号#130,163,164は今回設定したプライマーすべての組み合わせでPCR陽性バンドが認められたことより、#RP11-107L15全長が染色体に導入されていることが分かった。
LT7:5'-CAATCCCAGTGTACCAAAAC-3'   (配列番号:7)
LT10:5'-AAAGTGTGATTTCAGAGTGT-3'  (配列番号:8)
LT17:5'-CAGGATTGATTTCCACCCTTGG-3' (配列番号:9)
LT18:5'-GACTATTCCATTATATTGCCAG-3' (配列番号:10)
LT19:5'-ACTATGGTTCCAAGAACTGCCC-3' (配列番号:11)
LT20:5'-TCTCTCACTACACTGCAGATAC-3' (配列番号:12)
LT25:5'-CTCTGGAATTGAGGCTTCAG-3'  (配列番号:13)
LT26:5'-GACACTCCTCAATATCCCTG-3'  (配列番号:14)
LT33:5'-ATGCTGCCACCAGTGGTGGG-3'  (配列番号:15)
LT34:5'-GAAAGTCAAGTCTCAGAGTG-3'  (配列番号:16)
LT35:5'-TACCTGTTCACTCTCATGAC-3'  (配列番号:17)
LT36:5'-TGATCTATGACAAATCTGAC-3'  (配列番号:18)
 ヒトSLTトランスジェニックマウスであることが確認された雄マウス、個体番号#130は成熟齢に達したので、C57BL/6J系統雌マウスと交配を行った。個体番号#130由来の産仔17個体を得ることができた。それぞれの産仔について3週齢産仔の尾よりゲノムDNAを常法に抽出し、PCRキットおよび上記のプラーマー組合せを用いて導入遺伝子の検出を行った。その結果、17個体の産仔から雄1個体および雌4個体のヒトSLTトランスジェニックマウスを得た。
実施例2
 ヒトSLTトランスジェニックマウス(ヒトSLT Tgマウスと略す)の発現解析
 ヒトSLT Tgマウス各F1系統マウスを頚椎脱臼により屠殺し、脳を採取した。脳サンプルはIsogen(和光純薬製)中でホモジナイズしてtotal RNAを調製した。次にRNase-free DNaseセットとRNeasy Mini kit(キアゲン社製)を用いてDNAの除去およびtotal RNA精製を行った。各臓器のRNAレベルの遺伝子発現はリアルタイムPCR(TaqMan PCR)によって評価した。以上のtotal RNA はoligo dTプライマーおよびTaqMan Transcription Reagents(アプライドパーキンエルマー社製)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを作製した。次にcDNAを鋳型として、2種のプライマー(配列番号:19および配列番号:20)、プローブ(配列番号:21;(FAM)-tatcctggcattgcctgtctgggtcta-(TAMRA))、酵素としてAmplyTaq Gold DNA polymerase(アプライドバイオシステムズ社製)を使用し、所定の溶液を調製した。以上の溶液をPrism 7700 Sequence Detector (アプライドパーキンエルマー社製) によって50℃ 2分および95℃ 10 分間加熱後、95℃ 15 秒、60℃ 60 秒 のサイクルを40回反復してPCR反応を行った。PCR産物の定量はPrism 7700 Sequence Detectorのプロトコールに従って算出した。
 その結果、ヒトSLT Tgマウスの脳において、ヒトSLT遺伝子の発現がみられたが、Non Tgマウス〔ヒトSLT Tgマウス(ヘテロ接合体)同士の交配で得られた個体群のなかでヒトSLT遺伝子を持たないマウス〕においてヒトSLT遺伝子の発現はみられなかった。
実施例3
 ヒトSLT Tgマウスの体重変化および摂食量
 ヒトSLT Tgマウス(実施例1で得られたマウスの後代)およびNon Tg マウス雌雄それぞれ6週齢を高脂肪食(40.7 fat wt. Cal%)飼育を行って、体重および摂食量変化を調べた。
体重は6週齢より、Tgマウスは雌雄ともにNon Tgマウスに比べて有意に高くなった。摂食量は雌雄ともにNon Tgマウスに比べて高くなった。
実施例4
 ヒトSLT Tgマウスの血漿のレプチン値
高脂肪食飼育前(CE-2食飼育)および飼育後8週目(マウス14週齢時)に眼底採血を行い、血漿生化学パラメータを測定した。
 飼育前の血漿レプチン値はTgマウスとNon Tgマウス間に差異はなかった。飼育8週目において、Tgマウスの血漿レプチン値は雌雄ともにNon Tgマウスに比べて有意に高かった。
 本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物から採取した細胞などを培養し、SLT阻害薬の評価に用いることができる。
SLT遺伝子、PCRプライマーの位置、配列および判定系を示す。SLT遺伝子第5エクソンを検出するためにプライマーLT7およびLT10、SLT遺伝子の5' 56Kbp上流域を検出するためにプライマーLT19-LT20、SLT遺伝子の5' 8Kbp上流域を検出するためにプライマーLT33-LT34、SLT遺伝子の5' 5Kbp上流域を検出するためにプライマーLT35-LT36、SLT遺伝子の3' 9Kbp下流域を検出するためにプライマーLT25-LT26、およびSLT遺伝子の3' 88Kbp下流域を検出するためにプライマーLT18-LT17をそれぞれ用いたPCR反応によって遺伝子の挿入等を調べる。#RP11-107L15全長が染色体にインテグレイトされていると考えられた。以上のすべての反応において陽性の場合、#RP11-107L15のほぼ全長が染色体に挿入されていると判断する検出系である。
 〔配列番号:7〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:8〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:9〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:10〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:11〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:12〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:13〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:14〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:15〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:16〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:17〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:18〕実施例1で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:19〕実施例2で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:20〕実施例2で行われたPCR法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
 〔配列番号:21〕実施例2で行われたPCR法に用いられたプローブの塩基配列を示す。〔5'末端にリポーター色素としてFAM(6-carboxy-fluorescein)を、3'末端にはクエンチャーとしてTAMRA(6-carboxy-tetramethyl-rhodamine)を標識した〕

Claims (21)

  1.  外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部。
  2.  外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物に、他の肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の病態モデル動物を交配することによって得られる動物またはその生体の一部。
  3.  外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有し、かつ内因性SLC−1遺伝子を欠損させた非ヒト哺乳動物またはその生体の一部。
  4.  非ヒト哺乳動物がマウスである請求項1〜3記載の動物またはその生体の一部。
  5.  外来性ヒトSLT遺伝子が配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するヒトSLTをコードする遺伝子である請求項1〜3記載の動物またはその生体の一部。
  6.  外来性ヒトSLT遺伝子が配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるヒトSLTをコードする遺伝子である請求項1〜3記載の動物またはその生体の一部。
  7.  内因性SLC−1遺伝子が配列番号:3で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するSLC−1をコードする遺伝子である請求項3記載の動物またはその生体の一部。
  8.  内因性SLC−1遺伝子が配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるマウスSLC−1をコードする遺伝子である請求項3記載の動物またはその生体の一部。
  9.  肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害を発症している請求項1〜8記載の動物またはその生体の一部。
  10.  請求項1〜8のいずれかに記載の動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、SLTアンタゴニスト活性またはアゴニスト活性を検定することを特徴とするSLT拮抗薬または作動薬のスクリーニング方法。
  11.  請求項10記載のスクリーニング方法により得られうるSLT拮抗薬または作動薬。
  12.  請求項10記載のスクリーニング方法により得られうるSLT拮抗薬を含有してなる肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療剤。
  13.  請求項10記載のスクリーニング方法により得られうるSLT作動薬を含有してなる食欲不振、食欲不振に伴う貧血または低蛋白症の予防・治療剤。
  14.  請求項9記載の動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を検定することを特徴とする、肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニング方法。
  15.  請求項14記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質。
  16.  請求項14記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質を含有してなる肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療用医薬。
  17.  哺乳動物に対して、請求項14記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質の有効量を投与することを特徴とする肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療法。
  18.  肥満症、摂食亢進症、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療剤を製造するための、請求項14記載のスクリーニング方法により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の改善効果を有すると判定される物質の使用。
  19.  肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害の予防・治療のために用いられる物質をスクリーニングするための請求項9記載の動物またはその生体の一部の使用。
  20.  飼育条件の変更により肥満症、摂食亢進症、インスリン抵抗性、情動障害、記憶障害または性機能障害が進展している請求項1〜9記載の動物またはその生体の一部。
  21.  外来性ヒトSLT遺伝子またはその変異遺伝子を導入した非ヒト受精卵。

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