JPH10297131A - 感光性平版印刷版及び平版印刷版用アルミニウム支持体 - Google Patents

感光性平版印刷版及び平版印刷版用アルミニウム支持体

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JPH10297131A
JPH10297131A JP6032498A JP6032498A JPH10297131A JP H10297131 A JPH10297131 A JP H10297131A JP 6032498 A JP6032498 A JP 6032498A JP 6032498 A JP6032498 A JP 6032498A JP H10297131 A JPH10297131 A JP H10297131A
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章二 坂本
Kazuhiko Naito
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Teruo Ezaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間多量の感光性平版印刷版を処理して
も、現像液中に不溶性の析出物が発生しずらく、また、
裏面のスベリ性を改善し、版同士のくっつきや感光膜の
剥がれを防止した感光性平版印刷版を提供する。さら
に、不感脂性や耐刷性に優れ、消去跡汚れや酸化汚れな
どが発生しない感光性平版印刷版を提供する。 【解決手段】 アルミニウム支持体の表面に感光層を有
し、且つ該感光層とは反対側の面に平均粒径5μm以下
の粒状の被覆層を設けたことを特徴とする感光性平版印
刷版を提供し、また、アルミニウム支持体の裏面または
表裏両面を金属フッ化物を含有する処理液で処理し、該
裏面または該表裏両面に粒状の被覆層を設け、上記金属
フッ化物を含有する処理液が、アルミニウム支持体をエ
ッチングしないことを特徴とする平版印刷版用アルミニ
ウム支持体及び感光性平版印刷版を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性平版印刷版
及び平版印刷版用アルミニウム支持体に関するものであ
り、特に現像液中に不溶性の析出物が発生しずらく、裏
面のスベリ性に優れた感光性平版印刷版及び平版印刷版
用アルミニウム支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、感光性平版印刷版の支持体として
はアルミニウム板が一般的に使用されている。このアル
ミニウム板の表面は、親水性、保水性あるいは感光層と
の密着性などを良くするために、各種の処理がされてい
る。例えば、ブラシ研磨やボール研磨のような機械的研
磨あるいは電気化学的研磨による表面の粗面化処理、次
いで陽極酸化処理や親水化処理などが施されている。一
方、このアルミニウム板の裏面は、現像処理時にアルカ
リ性水溶液によって侵されやすく、多量の現像処理を行
うと、アルミニウムが溶解し、溶出したアルミニウムに
よって現像液中に不溶性の析出物が発生し、現像機のノ
ズルを詰まらせたり、析出物が表面に付着してしまうと
いう問題があった。また、アルミニウムの溶出により、
現像液の活性度が落ち、疲労しやすくなり、多数枚の印
刷版の現像ができなくなったり、多量の補充液を補充し
なければならなくなってしまう。さらに、裏面に何ら処
理がされていない感光性平版印刷版を、合紙なしで重ね
合うと、版同士の剥離性が悪くなり、吸盤で持ち上げ搬
送するような場合に、2枚持ち上がりなどの事故が生
じ、またこの時に、余分の1枚が落下して、下の版の感
光層を傷つけるなどの問題があった。
【0003】これらの問題を解決するために、特開平第
6−35174号公報には、支持体裏面にゾルーゲル法
により得られた金属酸化物の被覆層を設ける技術が開示
されている。しかし、この技術では、現像液中へアルミ
ニウムの溶出が抑えられ、補充液の補充量を低減させる
ことはできるが、現像処理の際に、被覆層が自動現像装
置のブラシに掻き取られるなどして、現像液中に落下
し、不溶性の析出物が発生する。また、この技術では、
版同士の2枚持ち上げ現像を防ぐことも難しい。さら
に、特開平第8−106157号公報には、支持体裏面
に包接化合物を含む被覆層を設ける技術が開示されてい
る。しかし、この技術では、合紙なしの場合に枚葉剥離
性が悪くなり、版同士のくっつきや感光膜剥がれを引き
起こす恐れがあり、裏面にインキが回った場合に、イン
キが付着し汚れる欠点などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、長期間、多量の感光性平版印刷版を処理しても、現
像液中に不溶性の析出物が発生しずらく、また、裏面の
スベリ性を改善し、版同士のくっつきや感光膜の剥がれ
を防止した感光性平版印刷版を提供することである。さ
らに、他の目的は、不感脂性や耐刷性に優れ、消去跡汚
れや酸化汚れなどが発生しない感光性平版印刷版を提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、鋭意検討した結果、本発明をなすに至っ
たものである。本発明は、アルミニウム支持体の表面に
感光層を有し、且つ該感光層とは反対側の裏面に平均粒
径5μm以下の粒状の被覆層を設けたことを特徴とする
感光性平版印刷版を提供するものであり、また、アルミ
ニウム支持体の裏面あるいは表裏両面を金属フッ化物を
含有する処理液で処理し、該アルミニウム支持体の裏面
または表裏両面に粒状の被覆層を設け、上記金属フッ化
物を含有する処理液が、アルミニウム支持体をエッチン
グしないことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支
持体及び感光性平版印刷版を提供するものである。
【0006】本発明における処理方法は、裏面のみ実施
する場合もあるが、表裏両面同時あるいは別々に処理す
ることも可能である。表裏両面処理した場合には、表裏
両方に粒状の生成物が被覆される。裏面に被覆された粒
状の生成物は、裏面のアルミニウムが、現像液中に溶出
するのを防ぐのと同時に裏面が粒状であるがためか、版
同士のくっつきを防止し、スベリ性を良くする。また、
この粒状物は不感脂性に富んだ性質を有しており、印刷
中、インキが裏面に廻った場合など、インキが裏面に付
着しずらく、裏面汚れの少ない印刷版になる。このよう
な効果は、裏面の一部に処理しても良く、例えば表面の
処理液が裏面に廻り込み、板の両端が処理されるような
場合でも、裏面のスベリ性について効果が表れる。この
ように、裏面のスベリ性は、裏面の粒状物の被覆率によ
ってコントロールすることもできる。
【0007】一方、表面に粒状物を生成したアルミニウ
ム支持体に、感光層を塗設した感光性平版印刷版は、こ
の粒状物が感光層中に食い込むためか、耐刷性が良くな
り、現像時には、この粒子間に現像液がよく浸透し、現
像がスムースに行われ、感光層がきれいに現像されるの
で、現像残りによる地汚れもなく、消去液で非画像部を
こすっても、残渣が浮き上がらず、消去跡汚れが発生す
るようなことの無い印刷版となる。
【0008】また、印刷時における、この粒子物の効果
は、表面積が増加すると共に、粒子間に湿し水が浸透し
て、保水性が良くなり、少量の湿し水で印刷できるの
で、高品質の印刷物が得られる。
【0009】さらに別の効果として、粒子物で表面が覆
われているので、表面のスベリ性が良く、校正刷り等で
用いられる水を含んだスポンジで表面をこすった場合
に、スポンジカスが付きずらく、また、粒子があるため
に、表面の反射率が下がり、ハレーション防止効果があ
るので、点減りすることなく、網点再現性に優れたもの
となる。
【0010】本発明の粒状の生成物は、高倍率の光学顕
微鏡あるいは電子顕微鏡により観察することができ、5
000倍以下のような低倍率で観察すると、円形状およ
び/またはウロコ状の粒子に見えるが、一万倍以上のよ
うな高倍率で観察すると、円形状にみえるものもある
が、角張った粒状に見えるものもあり、またその表面に
ひびが入っているものもある。これらの粒子が裏面にラ
ンダム状にあるいは均一に被覆・付着する。表面の粒状
物の状態は、砂目の凹凸の起伏状に、あるいは電気化学
的な研磨により生成した凹凸の小さなピットの底から表
面までランダム状にあるいは全面的に均一に突起状に被
覆・付着する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
順に追って詳しく説明する。本発明において用いられる
アルミニウム支持体は、アルミニウムを主成分とする純
アルミニウムや微量の異原子を含むアルミニウム合金等
の板状体である。このような異原子には、珪素、鉄、
銅、マンガン、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、チタン
などがある。本発明に適用されるアルミニウム板は、そ
の組成が特定されるものでなく、従来公知、公用の素材
のものを適宜利用することができる。本発明に用いられ
るアルミニウム板の厚さは、およそ0.1 mm〜0.5 mm
程度が好適である。
【0012】次に、アルミニウム支持体は、主として表
面を粗面化するが、裏面も同時に粗面化する場合もあ
る。一般的に、粗面化の前に、圧延時の油分を除去する
ため、例えば、界面活性剤またはアルカリ水溶液により
脱脂処理が行われる。
【0013】粗面化する方法としては、機械的に表面を
粗面化する方法、電気化学的に表面を粗面化する方法、
およびこの両者を組み合わせた方法などがある。機械的
に表面を粗面化する方法としては、ブラシ研磨法、ボー
ル研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等と称される公
知の方法を用いることができる。また、電気化学的に表
面を粗面化する方法としては、塩酸または硝酸電解液中
で交流または直流により行う方法がある。
【0014】このような粗面化されたアルミニウム板
は、アルカリエッチングされることが望ましい。アルカ
リエッチングに使用するアルカリ剤は、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、第三燐酸ナトリウム、第三燐酸カ
リウム、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタ
ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、グルコン
酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの単独液あるいは
二種以上の混合液を用いることができる。アルカリエッ
チング液の濃度は、1〜60重量%が好ましく、30〜
100℃の液温において、2〜60秒間処理し、0.2
〜13g/m2エッチングする。エッチングを行う方法と
しては、アルミニウム板をエッチング液に浸漬する方
法、スプレーやノズルでエッチング液をかける方法など
がある。
【0015】上記アルカリエッチングを施したのち、必
要に応じて、硝酸、燐酸、硫酸またはこれらの二種以上
の酸を含む混酸でデスマットするか、あるいは単なる水
洗、場合によっては高圧水洗を行ってスマット除去を行
う。
【0016】次いで、アルミニウム板は主として表面が
陽極酸化処理されるが、陽極酸化処理されず、本発明の
処理を引き続いて行うことも可能である。また、裏面は
意図的に陽極酸化皮膜を設けないのが一般的だが、表面
を陽極酸化処理する時に、電流が裏面に廻って、僅かな
陽極酸化皮膜が生成する場合もあるし、意図的に陽極酸
化をする場合もある。陽極酸化処理に使用される電解質
としては、一般に、燐酸、硫酸、シュウ酸、クロム酸あ
るいはそれらの混酸が用いられる。陽極酸化の処理条件
は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得
ないが、一般的には電解質の濃度が1〜50重量%、液
温は5〜45℃、電流密度が1〜40A/dm2、電圧5
〜50Vおよび処理時間5秒〜10分の範囲ならば好適
である。陽極酸化皮膜の量は0.5g/m2以上が好適で
あるが、より好ましくは1.0〜4.0g/m2の範囲で
ある。陽極酸化皮膜が0.5g/m2以下の場合には、表
面が傷つき易くなり、印刷時に、傷の部分にインキが付
着して、汚れになり易くなる。また、逆に、陽極酸化被
膜が4.0g/m2以上の場合には、現像速度が遅くな
り、感度の低下が生じるので好ましくない。
【0017】本発明の裏面あるいは表裏両面への処理
は、上記陽極酸化処理し、水洗の後、陽極酸化皮膜を軽
度のエッチングや種々の方法により封孔処理を行った
後、あるいは、リン酸またはリン酸塩処理やケイ酸処理
等の親水性処理を行った後などに実施されるのが望まし
いが、上記各処理工程の途中、いずれの個所で処理され
ても問題はないし、1回以上、複数回処理することも可
能である。
【0018】本発明では、金属フッ化物を含有する処理
液が、裏面のアルミニウムをエッチング(腐食)せず、
表面においては、陽極酸化皮膜をエッチングしない濃度
および組成であることが望ましい。本発明を実施する場
合、裏面が単なる化学処理や、幾分かの粗面化された場
合あるいは陽極酸化処理されている場合、陽極酸化処理
されていない場合でも、ほぼ平面的に均一に粒状の生成
物が被覆される。また、表面に本発明を実施した場合に
は、陽極酸化皮膜をエッチングせずに、陽極酸化皮膜の
セル形状も変えずに、粗面化された砂目の凹凸の起伏状
に、粒状の生成物が被覆される。上記粒状の生成物は、
大部分が、円形状および/またはウロコ状の形状を有
し、中には円形がくずれて角張った結晶状に見える場合
もある。
【0019】生成物は、処理条件によっても異なるが、
裏面の場合には、少なくとも裏面表面積の10%以上被
覆状に設けられるのが好ましく、より好ましい範囲とし
ては、20〜100%の範囲である。また、表面の場合
には、少なくとも表面積の30%以上被覆状に設けられ
るのが好ましく、より好ましい範囲としては、40〜1
00%の範囲である。生成物の被覆率が10%未満ある
いは30%未満の場合には、裏面あるいは表面におい
て、本発明の効果が得られないので好ましくない。
【0020】生成される粒状物の平均粒子径は5μm以
下が好ましく、より好ましくは0.01〜2μmであ
る。0.01μm未満であると、裏面においては、スベ
リ性や版同士の剥離性が悪くなり、表面では、印刷版と
しての保水性や耐刷性や表面のスベリ性が悪くなる。ま
た、逆に、5μmをこえると、裏面ではスベリやすくな
り過ぎて版揃えが悪くなり、表面では、保水性が悪くな
り、印刷中、インキがこの粒子間に染み込んで汚れにな
るので好ましくない。
【0021】生成物の被覆量を重量的に見ると、およそ
0.001〜2.0g/m2の範囲で設けられるのが好適
であり、より好ましくは、0.005〜1.5g/m2
ある。生成物が0.001g/m2未満の場合には、やは
り裏面のスベリ性や版同士の剥離性が悪くなったり、現
像液中へのアルミニウムの溶解が多くなる。表面では、
印刷版としての耐刷性や地汚れや消去跡の汚れの改善に
ならず、逆に、2.0g/m2をこえると、過剰の生成物
が現像液中に混入して、現像液の能力を低下させるので
好ましくない。生成物の被覆量(付着量)は、アルミニ
ウム板を処理する前と後でアルミニウム板の重量を計
り、その差から求めることができる。
【0022】これらの裏面もしくは表面の様相は、高倍
率の光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡により観察すること
ができる。図1は、本発明の処理を施す前のアルミニウ
ム支持体裏面であり、図2は、本発明の処理を施し、粒
状の被覆層を設けたアルミニウム支持体裏面である。ま
た、図3は本発明の処理を施す前のアルミニウム支持体
表面であり、図4は、本発明の処理を施し、粒状の被覆
層を設けたアルミニウム支持体表面である。
【0023】本発明において、好ましく使用される金属
フッ化物の具体例としては、フッ化ナトリウム、フッ化
カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ
化クロム、フッ化リチウム、フッ化マンガンなどが挙げ
られ、これらの単独あるいは二種以上を混合して用い
る。これらの中でフッ化ナトリウム、フッ化カリウムが
特に好ましい。上記金属フッ化物の濃度は0.5〜40
重量%の範囲が適当であり、好ましくは1.0〜30重
量%である。0.5重量%未満では、粒子が生成しずら
くなり、本発明の目的効果が得られず、40重量%をこ
えると、粒子径が小さくなりすぎたり、アルミニウム板
をエッチングし易くなるので好ましくない。
【0024】上記金属フッ化物を含有する処理液に、粒
子の生成を妨げず、アルミニウム板をエッチングさせな
い他の化合物を含ますこともできる。例えば、硫酸、硝
酸、塩酸、リン酸、酢酸およびこれらのアルミニウム
塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カル
シウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、リチウム塩などが
挙げられる。さらに、シュウ酸、タンニン酸、ミョウバ
ン、クロムミョウバン、ホウ酸、無水クロム酸あるいは
クロム酸塩類等が挙げられる。これらを単独に、あるい
は二種以上混合して加えても良い。また、ケイ酸金属
塩、界面活性剤、スケール防止剤、水溶性樹脂、エマル
ジョン化された水不溶性物質、ハレーション防止用染料
または顔料、有機溶剤なども加えることもできる。さら
に、従来より平版印刷版用のエッチ液あるいはカウンタ
ーエッチ液として知られている組成物を加えても良い。
【0025】上記化合物を加える場合の濃度としては、
硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、酢酸のような強酸の場合に
は、1.0重量%未満が適当であり、1.0重量%をこ
えると、裏面のアルミニウム板あるいは表面の陽極酸化
皮膜をエッチングするので好ましくない。それ以外の上
記化合物の場合には、50重量%未満が適当であり、5
0重量%をこえると、溶解しなくなったり、粒子の生成
を妨げたり、裏面のアルミニウム板あるいは表面の陽極
酸化皮膜をエッチングするようになるので好ましくな
い。
【0026】処理方法としては、浸漬方法、噴霧方法、
スプレー方法、塗布方法などが適当である。処理温度は
10〜80℃、処理時間は1〜60秒間の範囲が適当で
あり、pHは1.0〜6.5であることが望ましい。こ
のような処理をしている時に、直流あるいは交流の電流
を流し、陽極酸化と同様な方法でアルミニウム板を処理
することもでき、この場合には処理時間を短縮させるこ
ともできる。また、処理濃度を高くしたり、処理時間を
長くすると、円形状あるいはウロコ状の生成物が、びっ
しり平面状に形状が変化していく場合もあるが、ある程
度、円形状あるいはウロコ状の形態で生成物が付着して
いた方が、本発明の効果をより一層発揮できる。
【0027】このように本発明により処理されたアルミ
ニウム支持体は、通常、水洗を行うが、この時に高圧水
洗あるいはブラッシング等により被覆物を除去させるよ
うなことは望ましくない。このように水洗されたアルミ
ニウム支持体は、このまま平版印刷版用支持体として使
用することができるが、必要により表面をさらに処理す
ることもできる。
【0028】好適な表面処理として、硫酸、硝酸、リン
酸、ホウ酸、クロム酸、ケイ酸およびこれらのアンモニ
ウム塩あるいはアルカリ金属塩の水溶液による処理、さ
らに、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルピロリドン、カ
ルボキシメチルセルロース、デキストリン、澱粉等の水
溶性化合物からなる下塗り層を設ける処理、ハレーショ
ン防止用の染料または顔料を下塗りする処理などが挙げ
られるが、やはりこの場合にも、裏あるいは表裏に付着
した粒状の生成物を溶解あるいは除去させるような処理
条件、処理方法は適当ではない。
【0029】本発明における裏面だけの処理の場合に
は、上記陽極酸化処理後だけに留まらず、前述の表面処
理後あるいは後述の感光層を設けた後からでも処理する
ことは可能である。
【0030】また、50℃以上の熱湯および/または熱
風処理や水蒸気処理により、上記粒状生成物をより強固
にアルミニウム支持体に付着させる方法等も行われても
よい。
【0031】以上のように処理されたアルミニウム支持
体は、常法に従って感光層を表面に設けて感光性平版印
刷版(PS版)を得ることができる。ここで適用される
感光層の感光性組成物は特に限定されるものでなく、一
般的に周知のものが適用でき、例えば、o−キノンジア
ジド化合物を主成分とするポジ型のもの、ジアゾ樹脂を
主成分とするネガ型のもの、不飽和二重結合基含有モノ
マーを主成分とする光重合性化合物、桂皮酸やジメチル
マレイミド基を含む光架橋性化合物よりなるネガ型のも
の、あるいはヒートモード書き込み型化合物などを感光
物とするネガまたはポジ型のものが用いられる。また、
特開昭第55−161250号、特開平第4−1000
52号明細書に記載の電子写真感光体を用いた感光層や
物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を設けた銀拡散転写
法を利用した感光層も使用することができる。さらに、
上記PS版用以外の用途として、インキジェットや紫外
線硬化インキで直接アルミニウム板上に画像を設けるた
めの支持体としても使用できる。
【0032】上記感光物のうち不飽和二重結合基含有モ
ノマーを主成分とする光重合性化合物としては、例え
ば、米国特許第2,760,863号明細書および特開
平5−262811号公報に記載の末端エチレン基を有
する付加重合性不飽和化合物と光重合開始剤よりなる組
成物が使用できる。また、ジメチルマレイミド基を含む
光架橋性化合物を含むネガ型感光物としては、例えば、
特開昭第52−988号および特開昭第62−7854
4号公報に記載の感光性組成物を挙げることができる。
【0033】ポジ型の感光性組成物として用いられるo
−キノンジアジド化合物としては、米国特許第3,04
6,120号に記載されているナフトキノン−1,2−
ジアジド−5−スルホン酸とフェノール・ホルムアルデ
ヒド樹脂とのエステル化合物、特開昭第43−2840
3号に記載されているナフトキノン−1,2−ジアジド
−5−スルホン酸とピロガロール・アセトン樹脂とのエ
ステル化合物、あるいは2,3,4−トリヒドロキシベ
ンゾフェノンまたは分子量1000以下のポリヒドロキ
シ化合物とナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スル
ホン酸とのエステル化合物等を挙げることができる。
【0034】該o−キノンジアジド化合物は、単独でも
感光層を構成することができるが、アルカリ可溶性樹脂
をバインダー樹脂として併用することが好ましい。この
ようなバインダー樹脂としては、ノボラック型の樹脂が
あり、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、o
−、m−およびp−クレゾール・ホルムアルデヒド樹
脂、m/p−クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェ
ノール/クレゾール(m−,p−、またはm−/p−混
合のいずれでもよい)混合・ホルムアルデヒド樹脂、t
−ブチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げ
られる。また、ポリビニルフェノール樹脂、t−ブチル
置換ポリビニルフェノール樹脂、p−イソプロペニルフ
ェノールの単独重合体あるいは他のモノマーとの共重合
体、水酸基またはカルボキシル基を有するフェニルマレ
イミドの単独重合体あるいは他のモノマーとの共重合
体、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹
脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体等も用いること
ができる。
【0035】ポジ型の感光性組成物には、上記o−キノ
ンジアジド化合物とバインダー樹脂の他に、必要に応じ
て更に、染料、光酸発生剤、可塑剤、界面活性剤、環状
酸無水物、有機酸類、感脂化剤等の添加剤を加えること
ができる。
【0036】次に、ネガ型のPS版の感光性組成物とし
ては、ジアゾ樹脂を含む感光性組成物、光重合性組成
物、あるいは光架橋性組成物などがあるが、このうちジ
アゾ樹脂を含む感光性組成物について例を挙げて詳しく
説明する。該ジアゾ樹脂としては、例えばp−ジアゾジ
フェニルアミンとホルムアルデヒドまたはアセトアルデ
ヒドの縮合物と、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフル
オロホウ酸塩との有機溶媒可溶の反応生成物であるジア
ゾ樹脂無機塩、また前記縮合物とスルホン酸類、例え
ば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸またはその塩、ヒドロキシル基含有化合物、例え
ば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−メトキ
シ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン
酸またはその塩等の反応生成物である有機溶媒可溶性ジ
アゾ樹脂有機塩等が挙げられる。その他のジアゾ樹脂と
しては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸
基およびヒドロキシル基のうち少なくとも一つの有機基
を有する芳香族化合物と芳香族ジアゾニウム化合物とを
構造単位として含む共縮合物と、上記無機あるいは有機
化合物との塩類が挙げられる。
【0037】これらのジアゾ樹脂塩は、アルカリ可溶性
樹脂をバインダー樹脂として併用することが好ましい。
このようなバインダー樹脂としては、例えば、特開昭第
50−118802号あるいは特開昭第54−8840
3号に記載されているような脂肪族性水酸基を有する単
量体と他の単量体との共重合体、特開昭第54−986
14号に記載されているような芳香族性水酸基を有する
単量体と他の単量体との共重合体、p−イソペニルフェ
ノールと他の単量体との共重合体、N−(p−ヒドロキ
シフェニル)マレイミド共重合体、あるいはカルボキシ
ル基および/またはヒドロキシ基を有するポリウレタン
樹脂等を挙げることができる。
【0038】また、ジアゾ樹脂塩を含む感光性組成物に
は、上記の素材の他、必要に応じて更に、染料、光酸発
生剤、可塑剤、界面活性剤、環状酸無水物、有機酸類、
感脂化剤、保存安定剤、マット剤等の添加剤を加えるこ
とができる。
【0039】かくして得られたPS版は、透明原画を通
して、カーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドラン
プ、キセノンランプ、タングステンランプ、アルゴンレ
ーザー、半導体レーザー、赤外レーザーなどを光源とす
る活性光線により露光された後、現像処理される。かか
るPS版の現像液および補充液としては、従来より知ら
れているアルカリ水溶液が使用できる。アルカリ剤とし
て、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アル
カリ金属ケイ酸塩、オクタン酸ナトリウム、アルキルア
ミン類、アルカノールアミン類およびテトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイドなどが使用できる。
【0040】現像液および補充液には、現像性の促進や
抑制、現像カスの分散の目的で、必要に応じて種々の界
面活性剤や有機溶剤、さらに還元剤等を添加することが
できる。このように現像処理されたPS版は、水洗水、
界面活性剤、酸類などを含むリンス液、アラビアガムや
澱粉誘導体あるいはデキストリンを含む不感脂化液等で
後処理される。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれに限定するものではない。 実施例1〜3、比較例1 厚さ0.24mmのアルミニウム板の両面をよく脱脂し
た後、ナイロンブラシとパーミストンの水懸濁液を用い
てその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。15
重量%水酸化ナトリウムに70℃で10秒間浸漬してエ
ッチングした後、流水で水洗後、1N塩酸浴中で200
クーロン/dm2で電解粗面化処理を行った。ひきつづい
て水洗した後、15重量%水酸化ナトリウム水溶液で表
面を再度エッチングし、水洗を行った後、20重量%の
硫酸水溶液に浸漬して、デスマットした。次いで、15
重量%の硫酸水溶液中で表面に1.8g/m2の陽極酸化
皮膜を設ける処理を行い、裏表両面をよく水洗した後、
裏面に下記表1の処理液1〜3をシャワーノズルによっ
て供給し、50℃で15秒間処理した。水洗した後、乾
燥して基板1〜3(実施例1〜3)と、比較のために裏
面に何も処理していない基板4(比較例1)を作製し
た。なお、各基板の裏面の粒状物の付着量は下記表2に
示す通りである。
【0042】
【表1】
【0043】このように処理した各基板1〜4に下記組
成の感光液(A)を乾燥後の塗布重量が2.0g/m2
なるように塗布して感光層を設けた。 感光液(A) ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロライドと2,3,4− トリヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化物 2.5g m−クレゾール・ホルムアルデヒドノボラック樹脂 6.0g ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロライド 0.1g オイルブルー613 0.2g エチレングリコールモノメチルエーテル 50g プロピレングリコールモノメチルエーテル 50g このようにして得られた4種の感光性印刷版(PS版)
について、下記の評価方法により、枚葉剥離性、現像液
の疲労度、析出物の発生状況を評価した。
【0044】〔枚葉剥離性の評価〕上記4種のPS版を
各々1,030mm×800mmに断裁し、各500枚
づつ重ね、上下に鉄製の当て板を置き、ボルト締めをし
た大量輸送形態で5ヶ月放置した後、ボルトを外して、
吸盤でPS版を吸い上げた時のPS版同士のくっつきの
有無と、それによる感光膜の剥がれを下記評価基準によ
り評価した。評価結果を表2に示す。 〈評価基準〉 ○…PS版同士のくっつきが無く、枚葉剥離性が良く、
感光膜の剥がれも無い。 △…PS版2枚持ち上がりが生じ、僅かに感光膜の剥が
れが有る。 ×…PS版同士のくっつきが生じ、2枚以上の持ち上が
りが出る。感光膜の剥がれも数ヶ所でる。
【0045】〔現像液の疲労度の評価〕次に、これらの
PS版に原稿フィルムおよびステップタブレットを真空
密着し、1mの距離から3kwのメタルハライドランプ
を用いて90秒間露光した。露光済みのPS版を、市販
されている現像液(シルバンポジ現像液No. 4、岡本化
学工業社製、主成分として水酸化カリウムとJIS3号
ケイ酸ナトリウムおよび水から成る現像液)の10倍希
釈液を15リットル仕込んだ自動現像機ODX−800
PB(岡本化学工業社製)で、別々に各100版つづけ
て現像した。現像液の疲労度は、現像開始時のステップ
タブレットのクリアー段数と100版終了時のステップ
タブレットのクリアー段数とを比較し、その変動値によ
って、評価した。変動値が大きいほど疲労度が進んでい
ることになる。変動値の結果を表2に示す。
【0046】〔析出物の発生状況〕また、上記自動現像
機にて、さらに各々のPS版を100版現像した後、自
動現像機の洗浄を行い、その際に槽内の析出物の発生状
況および送液パイプの途中に仕込んだフィルターの目づ
まり状況を下記評価基準により評価した。評価結果を表
2に示す。 〈評価基準〉 ○…槽内およびフィルターに析出物の発生がほとんどな
い。 △…槽内およびフィルターに析出物の発生が認められる
が、水洗で簡単に取れる。 ×…槽内およびフィルターに析出物が発生し、水洗で取
れにくい。
【0047】
【表2】
【0048】実施例4 実施例1と同様に、アルミニウム板をブラシ研磨、電解
粗面化処理を行い、水酸化ナトリウム水溶液でエッチン
グした後、硫酸陽極酸化処理を行った。水洗の後、上記
処理液3の中へ該アルミニウム板を浸漬し、60℃で3
0秒間、当該アルミニウム板の表裏両面を処理した。水
洗した後、乾燥して基板5(実施例4)を作製した。な
お、基板5の表面および裏面の粒状物の付着量を下記表
3に示す。
【0049】このように作製した基板5に上記感光液
(A)を実施例1と同様に塗布して、感光性印刷版を得
た。次いで、実施例1と同様に、枚葉剥離性、現像した
際の現像液の疲労度、析出物の発生状況、表面のスベリ
性、消去跡汚れ、酸化汚れ、耐刷性を比較例1と比較し
ながら評価した。評価結果は表3に示す通りである。な
お、枚葉剥離性、現像液の疲労度、析出物の発生状況の
評価基準は上記実施例1〜3と同じだが、表面のスベリ
性、消去跡汚れ、酸化汚れ、耐刷性の評価基準は以下の
通りである。
【0050】〈表面のスベリ性の評価基準〉校正機上に
現像後の各印刷版を置き、水を含んだスポンジで前後左
右数回擦る。 ○…表面のスベリ性が良く、スポンジカスが出ない。 △…スポンジカスは出ないが、表面のスベリ性が悪い。 ×…表面のスベリ性が悪く、スポンジカスが出る。
【0051】〈消去跡汚れの評価基準〉実施例1で使用
した現像液(シルバンポジ現像液No. 4)の20倍希釈
液で現像した各印刷版の画像部および非画像部に、市販
の消去ペン(ケシロン;パシフィック化学社製)でこす
り、水洗後、インキングして消去によるフリンジ汚れや
消去部の汚れ方を目視する。 ○…消去跡も見えず、汚れもない。 △…消去跡は確認できるが、インキは着肉しない。 ×…消去跡が確認でき、インキが着肉して汚れになる。
【0052】〈酸化汚れの評価基準〉各基板よりなる印
刷版を使用して、約5000部刷った後、いったん印刷
機を停止し、1時間放置した後、印刷を再開した時に、
ブランケットおよび印刷物の汚れぐあいを目視する。 ○…ブランケットおよび印刷物上に汚れが見られない。 △…ブランケットが多少汚れるが、印刷物には汚れが見
られない。 ×…ブランケットが黒ずみ、点々状の汚れが印刷物に見
られる。
【0053】〈耐刷性の評価〉各基板よりなる印刷版を
使用して印刷し、画像ベタ部がかすれてきて、インキ着
肉が悪くなり、印刷物上の濃度に異常が現れるまでの刷
り枚数を調べた。
【0054】
【表3】
【0055】実施例5、比較例2 実施例1と同様に、アルミニウム板をブラシ研磨、電解
粗面化処理を行い、水酸化ナトリウム水溶液でエッチン
グした後、硫酸陽極酸化処理を行った。水洗の後、処理
液4(5.0重量%フッ化カリウムと15重量%リン酸
二水素ナトリウムと0.1重量%ケイ酸カリウムの混合
液)の中へ該アルミニウム板を浸漬し、50℃で20秒
間、当該アルミニウム板の表裏両面を処理した。水洗し
た後、乾燥して基板6(実施例5)を作製した。なお、
比較するために、処理液4で処理せずに作製したものを
基板7(比較例2)とする。基板6の表面および裏面の
粒状物の付着量は、下記表4に示す通りである。次い
で、基板6、7の表面を5重量%ケイ酸ナトリウム溶液
を用いて、70℃、15秒間、かけ流し処理を行い、水
洗後、乾燥した。これらの基板6、7に下記組成のネガ
型感光液(B)を乾燥後の塗布重量が1.8g/m2にな
るように塗布して感光層を設けた。
【0056】 感光液(B) 2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート/2−ヒドロキシエ チルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート/アクリロニトリ ル=30/20/5/20/25重量比の共重合体: 30g p−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドの縮合物の2−メトキシ−4 −ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸塩: 3g ビクトリアピュアーブルーBOH 1g シュウ酸 0.3g エチレングリコールモノメチルエーテル 100g N,N−ジメチルホルムアミド 10g
【0057】このようにして得られた2種のネガ型PS
版(実施例5、比較例2)について、実施例1と同様に
枚葉剥離性を評価した。評価結果を下記表4に示す。な
お、ネガ型PS版は、現像液の疲労によるステップタブ
レットのクリアー段数あるいはベタ段数の変動値が少な
く、また現像液中の析出物の発生も少ないので、現像液
の疲労度の評価および析出物の発生状況の評価は行わな
かった。
【0058】次に、上記2種のネガ型PS版を、ネガフ
ィルム下で3KWのメタルハライドランプを用いて距離
1mより40秒露光し、市販されている現像液(シルバ
ンネガ現像液、岡本化学工業社製、主成分としてケイ酸
カリウムとフェニルセロソルブと陰イオン界面活性剤お
よび水からなる現像液)の2倍希釈溶液で25℃で30
秒間浸漬現像した。得られた平版印刷版を用いて、校正
刷り並びに印刷機により印刷を行い、表面のスベリ性、
酸化汚れの発生状況および耐刷性について調べた。その
評価結果を下記表4に示す。なお、各評価の評価基準は
実施例1および4の場合と同様である。
【0059】
【表4】
【0060】実施例6〜7、比較例3 厚さ0.24mmのアルミニウム板をよく脱脂した後、
ナイロンブラシとパーミストンの水懸濁液を用いてその
表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。次いで、2
0重量%の硫酸水溶液に浸漬処理し、水洗の後、裏面に
上記実施例5で用いた処理液4をシャワーノズルによっ
て供給し、50℃で20秒間処理して基板8(実施例
6)を作製した。また、表裏両面を上記処理液4で同様
に処理して基板9(実施例7)を作成した。比較のため
に、表裏両面を、上記処理液4で処理していない基板1
0(比較例3)を作製した。なお、基板8、9の裏面お
よび表面の粒状物の付着量は下記表5に示す通りであ
る。次いで、各基板8〜10に上記感光液(A)を実施
例1と同様に塗布して各PS版を得た。これらの各PS
版を実施例1と同様に枚葉剥離性、現像液の疲労度、析
出物の発生状況、表面のスベリ性、消去跡汚れ、酸化汚
れの評価を行った。その評価結果を下記表5に示す。な
お、その際の評価基準は実施例1および4の場合と同じ
である。
【0061】
【表5】
【0062】
【発明の効果】本発明の感光性平版印刷版及び平版印刷
版用アルミニウム支持体は、多量に処理しても、現像液
中に不溶性の析出物が発生しずらく、また、裏面のスベ
リ性が改善され、版同士のくっつきや、感光膜の剥がれ
がなく、さらに、印刷の上では、不感脂性や耐刷性に優
れ、消去跡汚れや酸化汚れなどが発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理を施す前のアルミニウム支持体裏
面である。
【図2】本発明の処理を施し、粒状の被覆層を設けたア
ルミニウム支持体裏面である。
【図3】本発明の処理を施す前のアルミニウム支持体表
面である。
【図4】本発明の処理を施し、粒状の被覆層を設けたア
ルミニウム支持体表面である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム支持体の表面に感光層を有
    し、且つ該アルミニウム支持体の裏面に平均粒径5μm
    以下の粒状の被覆層を設けたことを特徴とする感光性平
    版印刷版。
  2. 【請求項2】 アルミニウム支持体の裏面または表裏両
    面を金属フッ化物を含有する処理液で処理し、該裏面ま
    たは該表裏両面に粒状の被覆層を設けたことを特徴とす
    る平版印刷版用アルミニウム支持体。
  3. 【請求項3】 上記金属フッ化物を含有する処理液が、
    上記アルミニウム支持体をエッチングせずに、粒状の被
    覆層を設けることを特徴とする請求項2に記載の平版印
    刷版用アルミニウム支持体。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の平版印
    刷版用アルミニウム支持体に感光層を塗設した感光性平
    版印刷版。
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