JPH10292134A - 粉体塗料 - Google Patents

粉体塗料

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JPH10292134A
JPH10292134A JP9931097A JP9931097A JPH10292134A JP H10292134 A JPH10292134 A JP H10292134A JP 9931097 A JP9931097 A JP 9931097A JP 9931097 A JP9931097 A JP 9931097A JP H10292134 A JPH10292134 A JP H10292134A
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JP
Japan
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powder coating
powder
acid
charge control
control agent
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JP9931097A
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English (en)
Inventor
Takahiro Ishihara
隆博 石原
Norio Horigami
憲生 堀上
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電荷制御剤を含有しているために帯電量が高
く、かつその帯電量が環境条件の変化に左右されずに安
定しているとともに、帯電量分布がシャープで、低帯電
粉体や逆帯電粉体等を生じるおそれがなく、良好な塗膜
を形成しうる粉体塗料を提供する。 【解決手段】 結着樹脂の粉体中に、正電荷制御剤と負
電荷制御剤とを含有させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無公害塗料とし
て注目されている無溶剤の粉体塗料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料を用いた塗装法には、(i) 当
該粉体塗料を、加熱した被塗物と接触させて溶融、付着
させる流動浸漬法、(ii) 粉体塗料を帯電させて被塗物
に静電付着させた後、加熱溶融させて連続した塗膜を形
成する静電塗着法、および(iii) 上記流動浸漬法と静電
塗着法とを組みあわせた静電流動浸漬法などがある。
【0003】このうち静電塗着法においては、粉体塗料
を被塗物に吹き付けて静電付着させるために粉体スプレ
ーガンが用いられ、当該粉体スプレーガンは、粉体塗料
を帯電させる方式の違いによってコロナ帯電式(コロナ
帯電ガン)と摩擦帯電式(摩擦帯電ガン)に分類され
る。前者のコロナ帯電ガンは、粉体塗料を吐出させるノ
ズルの前方に設けたコロナ電極からのコロナ放電によっ
て粉体塗料を帯電させ、それを被塗物とコロナ電極との
間に生じる電界と、空気流とによって被塗物の表面まで
飛翔させて静電付着させるもので、粉体塗料の帯電量が
高く、かつその帯電量が、たとえば温度、湿度等の環境
条件の変化にほとんど左右されないという利点を有して
いる。
【0004】しかしコロナ帯電ガンは、 被塗物とコロナ電極との間の電界(電気力線)の分
布に基づく、いわゆるファラデーゲージ効果によって、
粉体塗料の付着量が被塗物の凹部で少なく、凸部で多く
なるために、塗膜の膜厚が不均一になったり、 被塗物上に堆積された粉体塗料の層中で、当該粉体
塗料や遊離コロナイオンの蓄積電荷が大きくなりすぎて
火花放電するいわゆる逆電離現象を生じて、塗膜にクレ
ーター状の欠陥を生じたり、あるいは 粉体塗料中に混入した塵やほこり等が、コロナ放電
によって粉体塗料と同程度に帯電して被塗物上に静電付
着して、そのまま塗膜中に取り込まれるために塗膜の膜
質が低下したりするといった問題を生じるおそれがあ
る。
【0005】一方、後者の摩擦帯電ガンは、ガンの内壁
面との摩擦によって粉体塗料を帯電させ、それを空気流
によって被塗物の表面まで飛翔させて静電付着させるも
ので、被塗物との間に電界が形成されないので、ファラ
デーゲージ効果による塗膜の膜厚の不均一化が生じた
り、あるいは逆電離現象によって塗膜にクレーター状の
欠陥を生じたりするおそれがないという利点がある。
【0006】また、粉体塗料中に混入した塵やほこり等
は、摩擦帯電ガンの内壁面との摩擦だけでは、粉体塗料
と同程度まで十分に帯電されないので、かかる塵やほこ
り等が被塗物に静電付着してそのまま塗膜中に取り込ま
れるといった現象が起こりにくいという利点もある。し
かし摩擦帯電ガンは、その帯電機構上、コロナ帯電ガン
に比べて本来的に粉体塗料の絶対的な帯電量が低い上、
たとえば粉体塗料の吐出速度を速くした場合には、ガン
の内壁面との摩擦が不十分となるために、また摩擦帯電
ガンを長時間にわたって使用した場合には、ガンの内壁
面に電荷が蓄積されるために、いずれの場合にも粉体塗
料の帯電量がさらに低下して、被塗物への塗着効率が低
下するという問題を生じるおそれがある。
【0007】さらに摩擦帯電ガンは、粉体塗料の帯電量
が、たとえば温度、湿度等の環境条件の変化に左右され
やすく、とくに高湿度の条件下では十分な帯電量がえら
れないために、やはり上記と同様の問題を生じるおそれ
がある。そこで近時、主に摩擦帯電ガンを用いた静電塗
着法に使用される粉体塗料の摩擦帯電特性を改善すべ
く、より詳しくは絶対的な帯電量を高く、かつその帯電
量が環境条件の変化に左右されずに安定するように、当
該粉体塗料の帯電極性にあわせた極性の電荷制御剤を、
粉体塗料中に含有させることが検討されている。
【0008】たとえばその内壁面に、粉体塗料を摩擦帯
電させる帯電部材としてふっ素樹脂を配置した摩擦帯電
ガンの場合、粉体塗料は、かかるふっ素樹脂との摩擦に
よって正に帯電するため、当該正帯電性の粉体塗料に含
有させる電荷制御剤としては、たとえば第4級アンモニ
ウム塩等の正電荷制御剤が用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に帯電極性にあわせた極性の電荷制御剤を含有させた粉
体塗料は、個々の帯電量のばらつきが大きく、つまり帯
電量分布がブロードになって、帯電量が不十分な低帯電
粉体や、あるいは逆の極性に帯電する逆帯電粉体等を生
じやすく、これら低帯電粉体や逆帯電粉体が原因となっ
て、かえって被塗物への塗着効率が低下するおそれのあ
ることが明らかとなった。
【0010】これは、通常の電荷制御剤が、その高い極
性ゆえに粉体塗料を構成する結着樹脂に対する相溶性、
分散性がいま一つ十分でなく、結着樹脂中での濃度分布
が不均一になりやすいことが原因であると考えられる。
つまり摩擦帯電ガン用の粉体塗料は一般に、電荷制御剤
を、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤とともに分
散、混合し、溶融、混練した後、粉砕、分級して製造さ
れるが、上記のうち溶融、混練工程後の結着樹脂中で、
前記のように電荷制御剤の濃度分布に不均一が生じる
と、これを粉砕、分級してえた粉体塗料は、電荷制御剤
の濃度の高いものや低いもの、あるいは電荷制御剤を全
く含まないもの等が生じ、それに応じて帯電量分布がブ
ロードになって、前記のような問題を生じるのである。
【0011】また、静電塗着法による通常の粉体塗装に
おいては、被塗物に静電付着しなかった粉体塗料は回収
して再利用されるが、上記のように帯電量分布がブロー
ドな粉体塗料の場合は、被塗物に静電付着しなかった粉
体塗料のかなりの部分が、前述した低帯電粉体や逆帯電
粉体であるため、これを再利用しても結局のところ被塗
物に静電付着されずに、再び回収される可能性が高い。
【0012】しかも、回収と再利用を繰り返すほど、上
述した低帯電粉体や逆帯電粉体の割合が増加することに
なるため、それにともなってさらに被塗物への塗着効率
が低下するおそれもある。そこで上記の問題を解決すべ
く、電荷制御剤の含有量を増加して、低帯電粉体や逆帯
電粉体の発生を抑制することが検討された。
【0013】しかし、電荷制御剤の含有量を増加させる
と、当該電荷制御剤の色味がでたり、あるいは無色の電
荷制御剤であっても、結着樹脂との相溶性、分散性が悪
いために白濁を生じたりして、粉体塗料の色味が大きく
変化するという問題を生じるおそれがある。かかる問題
はとくに、淡色の粉体塗料や、あるいは2種以上の混合
によって調色を行ったり、他の塗膜等の上に塗着して調
色を行ったりするための透光性の粉体塗料にとっては重
大な影響のある問題である。
【0014】また、電荷制御剤の結着樹脂に対する相溶
性、分散性を向上すべく、たとえば特開平8−1990
91号公報に開示されているように、結着樹脂との相溶
性にすぐれた高分子の側鎖に、電荷制御剤に相当する部
分を結合した化合物を電荷制御剤として使用することも
検討されている。しかし、このような高分子の電荷制御
剤を使用しても十分な帯電量をえることは難しく、逆に
十分な帯電量をえようとしてこれを多量に配合すると、
粉体塗料の溶融硬化時に、かかる電荷制御剤がその硬化
を阻害したり、あるいは硬化後の塗膜面に、いわゆるゆ
ず肌の不良を生じたりするという問題がある。
【0015】この発明の目的は、電荷制御剤を含有して
いるために帯電量が高く、かつその帯電量が環境条件の
変化に左右されずに安定しているとともに、帯電量分布
がシャープで、低帯電粉体や逆帯電粉体等を生じるおそ
れのない粉体塗料を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明の粉体塗料は、結着樹脂の粉体中に、正電
荷制御剤と負電荷制御剤とを含有させたことを特徴とす
るものである。上記構成からなる、この発明の粉体塗料
においては、結着樹脂の粉体中に含有させた正電荷制御
剤と負電荷制御剤との相互作用によって、個々の帯電量
のばらつきが小さく、帯電量分布がシャープになる。こ
の原因としては、たとえば正帯電型の粉体塗料の場合、
系中に負電荷制御剤を存在させることで、正電荷制御剤
の帯電能力が均一化すること等が考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。 (結着樹脂)結着樹脂としては、粉体塗料に用いられる
従来公知の樹脂、詳しくは、摩擦帯電ガンの内壁面との
摩擦によって所定の極性に帯電しうる摩擦帯電性を有
し、かつ被塗物への静電付着後に、加熱によって溶融し
て連続した塗膜を形成しうる種々の樹脂が、いずれも使
用可能である。
【0018】かかる結着樹脂としては、これに限定され
ないがたとえば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、
ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン
共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−
ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、
スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸
共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ス
チレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重
合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタ
クリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メ
チル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合
体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン
−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−
クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロ
ニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系
樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単独重合体
または共重合体)、アクリル酸、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル等の
アクリル系樹脂〔(メタ)アクリル酸およびそのエステ
ルを主体とする単独重合体または共重合体〕、ポリ塩化
ビニル、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレ
ン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリビニル
ブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変
性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹
脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリ
アミド樹脂等があげられ、これらが単独で、または2種
以上混合して用いられる。
【0019】また前述したように、2色以上の混合によ
って調色を行ったり、あるいは他の塗膜等の上に塗着し
て調色を行ったりするための透光性の粉体塗料の場合
は、結着樹脂が透明樹脂である必要がある。かかる透明
樹脂の具体例としては、上記例示の各種樹脂のうちスチ
レン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等があ
げられ、なかでもとくに(i) 一般式(1) :
【0020】
【化1】
【0021】〔式中、R1 およびR2 は同一または異な
る低級アルキレン基を示す。xおよびyは同一または異
なって0または1以上の整数を表し、かつx+yは1〜
7である。〕で表されるジオール成分と、(ii) ジカル
ボン酸、その酸無水物または低級アルキルエステルと、
(iii) 3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物もしく
は低級アルキルエステル、または3価以上の多価アルコ
ールとを共重縮合してなり、かつその酸価(AV)に対
する水酸基価(OHV)の割合OHV/AVの値が1.
2以上であるポリエステル樹脂が、好適な透明樹脂とし
てあげられる。
【0022】なお上記のポリエステル樹脂において、一
般式(1) 中のR1 およびR2 に相当する低級アルキレン
基としては、たとえばメチレン、エチレン、トリメチレ
ン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペ
ンタメチレン、ヘキサメチレン等の炭素数1〜6のアル
キレン基があげられる。一般式(1) 中のx+yは、前記
のように1〜7であり、好ましくは3〜5である。x+
yが7を超えた場合には、ジオール成分の分子量が大き
くなりすぎて、塗膜の透光性が低下するといった問題を
生じる。
【0023】一般式(1) で表されるジオール成分として
は、たとえばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキ
シプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ポリオキシプロピレン(2)−ポリオキシエチレン
(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ポリオキシプロピレン(6.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等があげられる。
【0024】ジカルボン酸としては、たとえばシュウ
酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、グルタコン酸、
アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メ
サコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸
等があげられる。これらのジカルボン酸は、酸無水物や
低級アルキルとのエステルであってもよい。低級アルキ
ルとしては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等の炭素
数1〜6のアルキル基があげられる。
【0025】3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物
もしくは低級アルキルエステル、および3価以上の多価
アルコールは、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価
を調整することと、ポリエステル樹脂を分岐状にするこ
とを目的として配合される。3価以上の多価カルボン
酸、その酸無水物もしくは低級アルキルエステルとして
は、たとえばトリメリト酸、2,5,7−ナフタレント
リカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3−ジカ
ルボキシル−2−メチル−2−メトキシカルボニルプロ
パン、テトラ(メトキシカルボニル)メタン、1,2,
7,8−オクタンテトラカルボン酸等があげられる。
【0026】3価以上の多価アルコールとしては、たと
えばグリセリン、2−メチル−1,2,3−プロパント
リオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル
−1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタ
トリオール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリ
トール、トリペンタエリトリトール、ヘキシトール、ソ
ルビトール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ベンゼ
ントリオール等があげられる。
【0027】ポリエステル樹脂は、上記の各成分を、た
とえば不活性ガス雰囲気下、180〜250℃の温度で
共重縮合して合成される。ポリエステル樹脂の酸価(A
V)に対する水酸基価(OHV)の割合OHV/AVの
値は1.2以上であり、好ましくは1.2〜50、より
好ましくは2〜40ある。OHV/AVの値が1.2未
満では、樹脂の透光性が低下したり、樹脂の最低溶融温
度が高くなって、加熱溶融により連続した塗膜を形成す
るのが容易でなくなったり、あるいは粉体塗料の流動性
が低下したりするといった問題を生じる。
【0028】なお酸価(AV)は、たとえばポリエステ
ル樹脂をベンゼン−エタノール混合溶媒に溶かし、水酸
化カリウムで滴定してその中和量から算出される。また
水酸基価(OHV)は、たとえばピリジン−無水酢酸混
合溶媒(3.1:1)を用いてポリエステル樹脂中の遊
離酸をアセチル化した後、樹脂に結合した酢酸を水酸化
カリウムで滴定して滴定してその中和量から算出され
る。
【0029】上記のポリエステル樹脂は単独で使用でき
る他、前述した従来公知の種々の樹脂をブレンドしても
よい。他の樹脂をブレンドする場合、その配合量は、上
記ポリエステル樹脂に対して1〜30重量%程度が好ま
しい。 (電荷制御剤)この発明においては、前述したように正
電荷制御剤と負電荷制御剤とが併用される。
【0030】上記のうち正電荷制御剤としては、たとえ
ばニグロシン系の電子供与性染料、ナフテン酸または高
級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アン
モニウム塩、側鎖に第4級アンモニウム塩を有する高分
子、アルキルアミド、キレート、顔料、ふっ素処理活性
剤等があげられる。また負電荷制御用の電荷制御剤とし
ては、たとえば電子受容性の有機錯体、塩素化パラフィ
ン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、銅
フタロシアニンのスルホニルアミン、芳香族オキシカル
ボン酸またはその塩、芳香族ダイカルボン酸またはその
塩等があげられる。
【0031】また前述した透光性の粉体塗料の場合は、
その色味にできるだけ影響を及ぼさないために、(a) そ
れ自体が無色または淡色で、かつ(b) 粉体塗料を白濁さ
せないように結着樹脂との相溶性にすぐれるか、あるい
は結着樹脂と相溶はしないが分散性にすぐれた電荷制御
剤が好適に使用される。
【0032】かかる条件を満たす正電荷制御剤として
は、上記のうち第4級アンモニウム塩があげられ、負電
荷制御剤としては、芳香族オキシカルボン酸やその塩、
芳香族ダイカルボン酸やその塩等があげられる。正電荷
制御剤である第4級アンモニウム塩としては種々の化合
物があげられるが、とくに一般式(2) :
【0033】
【化2】
【0034】〔式中、Ra 、Rb 、Rc およびRd は、
同一または異なって低級アルキル基、長鎖アルキル基、
長鎖アルケニル基またはベンジル基を示し、A- はアニ
オンを示す。ただしRa 〜Rd は、少なくとも1個が長
鎖アルキル基または長鎖アルケニル基であり、2個が低
級アルキル基またはベンジル基である。〕で表される化
合物が好適に使用される。
【0035】上記一般式(2) においてRa 〜Rd に相当
する長鎖アルキル基としては、たとえば、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル
基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、オレ
イル基、リノリル基、ヘキサデセシル基等があげられ
る。また、長鎖アルケニル基としては、たとえば、上記
長鎖アルキル基の分子中に1または2以上の二重結合を
導入した基があげられる。
【0036】A- で表されるアニオンとしては、たとえ
ば、モリブデン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン
酸、クロム・モリブデン酸、ブロム・モリブデン酸、タ
ングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン
酸、クロム・タングステン酸、ブロム・タングステン
酸、リンタングステン・モリブデン酸、ケイタングステ
ン・モリブデン酸等のモリブデン原子やタングステン原
子を含有する無機酸から誘導されるアニオン、塩素イオ
ン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオ
ン、過塩素酸イオン、安息香酸イオン、テトラフェニル
ホウ素イオン、ヘキサフルオロリンイオン、ナフトール
スルホン酸イオンなどがあげられる。
【0037】上記一般式(2) で表される第4級アンモニ
ウム塩の具体例としては、たとえば(C16332 +
(CH3 2 ・1/4 Mo8 26 4- 、(C16332
+(CH3 2 ・1/6 Mo7 24 6- 、(C
16332 + (CH3 2 ・1/2WO4 2- などがあ
げられ、これらを1種または2種以上混合して使用する
ことができる。
【0038】一方、負電荷制御剤である芳香族オキシカ
ルボン酸またはその塩としては、たとえば一般式(3) :
【0039】
【化3】
【0040】〔式中、MはZn、AlまたはB、XはH
またはアルカリ金属元素、nはMの価数を示す。〕で表
される化合物が好適に使用される。また芳香族ダイカル
ボン酸またはその塩としては、たとえば一般式(4) :
【0041】
【化4】
【0042】〔式中、MはZn、AlまたはB、XはH
またはアルカリ金属元素、nはMの価数を示す。〕で表
される化合物が好適に使用される。電荷制御剤の配合量
はとくに限定されないが、上述した(i) 第4級アンモニ
ウム塩(正電荷制御剤)と、(ii)芳香族オキシカルボン
酸とその塩、ならびに芳香族ダイカルボン酸とその塩か
らなる群より選ばれた少なくとも一種(負電荷制御剤)
との組みあわせで、かつ前に述べた、帯電部材としてふ
っ素樹脂を配置した摩擦帯電ガンに使用される正帯電性
の粉体塗料の場合は、結着樹脂100重量部に対する両
電荷制御剤の合計の配合量が0.5〜10重量部で、か
つ正電荷制御剤と負電荷制御剤との配合割合が、重量比
で1:1〜10:1であるのが好ましい。
【0043】正負両電荷制御剤の合計の配合量が上記の
範囲未満では、電荷制御剤を配合したことによる、粉体
塗料の帯電量を高く、かつその帯電量を環境条件の変化
に左右されずに安定させる効果が不十分となるおそれが
ある。また合計の配合量が上記の範囲を超えた場合に
は、両電荷制御剤が、前記(a)(b)の条件を満たすもので
あるにも拘らず、電荷制御剤の色味がでたり、あるいは
白濁を生じたりして、粉体塗料の色味が変化するおそれ
がある。なお、両電荷制御剤の合計の配合量は、上記の
範囲内でもとくに1〜8重量部であるのが好ましく、1
〜5重量部であるのがさらに好ましい。
【0044】また、正電荷制御剤と負電荷制御剤との配
合割合が、前記の範囲よりも負電荷制御剤が多い側に外
れた場合には、粉体塗料全体の帯電量が低下して、塗着
効率が悪化するおそれがあり、逆に前記の範囲よりも負
電荷制御剤が少ない側に外れた場合には、帯電量分布が
ブロードになって、回収粉の烈火が大きくなるおそれが
ある。なお両電荷制御剤の配合割合は、前記の範囲内で
もとくに10:8〜10:1であるのが好ましく、1
0:5〜10:1であるのがさらに好ましい。
【0045】(着色剤)粉体塗料には、所定の色味をえ
るために着色剤が配合される。着色剤としては、粉体塗
料の色味にあわせた色味を有する従来公知の種々の顔
料、染料等が、いずれも使用可能である。たとえば前述
した、2種以上の混合によって調色を行ったり、あるい
は他の塗膜等の上に塗着して調色を行ったりするための
透光性の粉体塗料の場合は、シアン、マゼンタ、イエロ
ーの3色、またはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラッ
クの4色のうちの1色の粉体塗料を使用して、あるいは
2色以上の粉体塗料を併用して調色が行われるので、着
色剤としても、上記シアン、マゼンタ、イエローの3
色、またはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4
色のものが用いられる。
【0046】上記のうちシアン系の着色剤としては、た
とえば一般式(5) :
【0047】
【化5】
【0048】〔式中、X1 、X2 、X3 およびX4 は同
一または異なって水素原子、基(5a)または基(5b):
【0049】
【化6】
【0050】を示す。R3 およびR4 は炭素数1〜5の
アルキレン基である。〕で表される銅フタロシアニン系
顔料、たとえばカラーインデックスによる分類のうち
C.I.ピグメントブルー15(15:1〜15:
4)、C.I.ピグメントブルー15の部分塩素化物、
C.I.ピグメントブルー17等や、あるいは式(6) :
【0051】
【化7】
【0052】で表される無金属フタロシアニン系顔料
(C.I.ピグメントブルー16)等が好適に使用され
る。また、その他に使用可能なシアン系の着色剤として
は、たとえば紺青(プルシアンブルー)、コバルトブル
ー等の無機顔料、C.I.ピグメントブルー18、C.
I.ピグメントブルー16等の有機顔料、C.I.バッ
トブルー6、C.I.ソルベントブルー70等の染料な
どがあげられる。
【0053】マゼンタ系の着色剤としては、たとえば一
般式(7) :
【0054】
【化8】
【0055】〔式中、Q1 およびQ2 は同一または異な
って水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。
ただしQ1 、Q2 は同時に水素原子でない。〕で表され
るキナクリドン系顔料、たとえばC.I.ピグメントレ
ッド122等が好適に使用される。また、その他に使用
可能なマゼンタ系の着色剤としては、たとえばベンガ
ラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、マ
ンガン紫、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ等の無機顔
料、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメント
レッド38、C.I.ピグメントレッド48:2、C.
I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレ
ッド49:2、C.I.ピグメントレッド50、C.
I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド
60、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメ
ントレッド90、パーマネントレッドFNG、C.I.
ピグメンバイオレット3、C.I.ピグメンバイオレッ
ト25、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグ
メントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16
等の有機顔料、スピロンレッド、インダンスレンブリリ
アントオレンジRK、インダンスレンブリリアントオレ
ンジGK等の染料などがあげられる。
【0056】イエロー系の着色剤としては、たとえば一
般式(8) :
【0057】
【化9】
【0058】〔式中、R5 はアルキル基、アルコキシ基
またはニトロ基を示し、R6 はハロゲン原子、アルキル
基、アルコキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、芳香族で
置換されたスルファモイル基、またはCa、Ba、M
n、Sr等の金属で置換されたスルホ基を示す。R7
8 、R9 およびR10は同一または異なって水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示
す。〕で表されるアセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料、
たとえばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグ
メントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー65、
C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメント
イエロー74、C.I.ピグメントイエロー97、C.
I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエ
ロー130、C.I.ピグメントイエロー133、C.
I.ピグメントイエロー169等や、あるいは一般式
(9) :
【0059】
【化10】
【0060】〔式中、R11は水素原子、アルキル基また
はアルコキシ基を示し、R12は水素原子、ハロゲン原子
またはアルキル基を示し、R13は水素原子またはアルコ
キシ基を示す。〕で表されるアセト酢酸アリリド系ジス
アゾ顔料、たとえばC.I.ピグメントイエロー12、
C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメント
イエロー17、C.I.ピグメントイエロー55、C.
I.ピグメントイエロー83等が好適に使用される。
【0061】また、その他に使用可能なイエロー系の着
色剤としては、たとえば黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、亜鉛
黄、カドミウムイエロー、アンチモンイエロー等の無機
顔料、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグ
メントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー1
15等の有機顔料、C.I.ソルベントイエロー16、
C.I.ソルベントイエロー33、C.I.ソルベント
イエロー56、C.I.ソルベントイエロー60、C.
I.ソルベントイエロー61、C.I.ソルベントイエ
ロー162、C.I.アシッドイエロー1、C.I.ア
シッドイエロー23等の染料などがあげられる。
【0062】さらにブラック系の着色剤としてはカーボ
ンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等が好
適に使用され、このうちカーボンブラックとしては、た
とえばチャンネルブラック、ローラーブラック、ディス
クブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネ
スブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等
があげられる。
【0063】上記各色の着色剤は、粉体塗料に所定の色
味をだすために同系色内で、あるいは他系色間で、2種
以上を併用してもよい。なお上記カーボンブラックを使
用したブラックの透光性粉体塗料を、前述したようにシ
アン、マゼンタ、イエローの透光性粉体塗料とともに調
色に使用する場合には、導電性のカーボンブラックを使
用したブラックの透光性粉体塗料と、それ以外の色の透
光性粉体塗料との帯電特性を整合させるために、カーボ
ンブラックとして、揮発分4%以上、ストラクチャー指
数100以上で、かつ平均粒径20〜35nmのものを
使用するのが好ましい。
【0064】着色剤の配合量は、前に述べた透光性粉体
塗料の場合、ポリエステル樹脂等の透明樹脂(結着樹
脂)100重量部に対して1〜20重量部であるのが好
ましく、2〜10重量部であるのがさらに好ましい。着
色剤の配合量が上記の範囲未満では、色が薄くなって鮮
明な色味がえられなくなるおそれがあり、逆に上記の範
囲を超えた場合には、粉体塗料の透光性が低下するおそ
れがある。
【0065】(他の添加剤)この発明の粉体塗料には、
上記の各成分に加えてさらに、硬化剤、平滑剤(流展
剤)等の、従来公知の種々の添加剤を配合してもよい。
上記のうち硬化剤は、粉体塗料を加熱溶融させて塗膜を
形成した際に、当該塗膜中で結着樹脂を架橋することに
よって塗膜を硬化させるためのものであって、かかる硬
化剤としては、たとえばブロックイソシアネート、エポ
キシ樹脂、アミノ樹脂、アジリジン化合物、多価カルボ
ン酸等があげられる。
【0066】硬化剤は、硬化反応に寄与する官能基の当
量に応じて、好適な配合量の範囲が設定される。硬化剤
の配合量が好適な範囲より少ない場合は、その添加効果
が不十分になるおそれがあり、逆に好適な範囲を超えた
場合には、透光性が低下したり色味が変化したりするお
それがある。平滑剤は、粉体塗料を加熱溶融させた際の
流動性を向上して、塗膜をより平滑にするためのもの
で、かかる平滑剤としては、たとえばBASF社製の商
品名「アクロナール4F」、東芝シリコーン社製の商品
名「YF−3919」、モンサント社製の商品名「モダ
フロー2000」等があげられる。
【0067】平滑剤の配合量は、透光性粉体塗料の場
合、結着樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部で
あるのが好ましく、0.5〜1重量部であるのがさらに
好ましい。平滑剤の配合量が上記の範囲未満では、その
添加効果が不十分になるおそれがあり、逆に上記の範囲
を超えた場合には、透光性が低下したり色味が変化した
りするおそれがある。
【0068】また前述したように、シアン、マゼンタ、
イエローおよびブラックの4色の透光性粉体塗料により
調色を行う場合には、導電性のカーボンブラックを使用
したブラックの透光性粉体塗料と、それ以外の色の透光
性粉体塗料との帯電特性を整合させるために、他の色の
粉体塗料に透明導電性微粉末を含有させてもよい。かか
る透明導電性微粉末としては、そのアスペクト比(長軸
長/厚さ)が30以上で、かつ厚さが0.1μm以下程
度のものが好ましい。
【0069】透明導電性微粉末の配合量は、透光性粉体
塗料の帯電特性にあわせて適宜、設定すればよい。 (粉体塗料の製造方法)この発明の粉体塗料は、上記の
各成分を乾式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ボール
ミル等を用いて予備混合した混合物を、たとえばジェッ
トミル、バンバリーミキサー、ロール、1軸または2軸
の押出混練機等を用いて溶融混練したのち、えられた混
練物を冷却して粉砕し、さらに必要に応じて分級するこ
とにより製造される。
【0070】またこの他に、重合法、マイクロカプセル
重合法、スプレードライ法等を用いて製造することもで
きる。粉体塗料の粒径は従来と同程度でよいが、とくに
前述した透光性粉体塗料の場合には、2色以上を混合し
た際の色味の均一性を考慮すると、粒径が小さいほど好
ましく、とくにその平均粒径が30μm以下であるのが
好ましい。
【0071】また、粉体塗料の帯電性や塗膜の形成しや
すさ、凝集のしにくさ等を考慮すると、粉体塗料の平均
粒径は、上記範囲内でもとくに1μm以上であるのが好
ましい。さらに上記各特性のバランスを考慮すると、粉
体塗料の平均粒径は、上記範囲内でもとくに5〜20μ
mであるのがとくに好ましい。
【0072】粉体塗料には、その流動性や帯電特性等を
向上するために、各種の外添剤を添加してもよい。上記
外添剤としては、酸化アルミニウム、酸化けい素、酸化
チタニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粉末や、ある
いはふっ素樹脂微粒子等の、たとえば粒径1.0μm以
下程度の、従来公知の種々の外添剤を使用でき、とくに
疎水性または親水性のシリカ微粒子を含むシリカ系表面
処理剤、たとえば超微粒子状無水シリカやコロイダルシ
リカ等が好適に使用される。
【0073】外添剤の添加量はとくに限定されず、従来
と同程度でよい。具体的には、粉体塗料100重量部に
対して、外添剤を、総量で0.1〜3.0重量部程度、
添加するのが好ましいが、場合によっては、外添剤の添
加量は、この範囲を外れてもよい。かくしてえられるこ
の発明の粉体塗料は、前述したように摩擦帯電ガンを用
いた静電塗着法に好適に使用されるが、コロナ帯電ガン
を用いた静電塗着法や、あるいは静電流動浸漬法にも使
用でき、これらの場合にも、正電荷制御剤と負電荷制御
剤とを併用したことによる前述した作用効果に基づい
て、均一な塗膜を形成することができる。なお言うまで
もないが、この発明の粉体塗料は、流動浸漬法にも使用
できる。
【0074】
【実施例】以下に、この発明を実施例、比較例に基づい
て説明する。 (ポリエステル樹脂の作製) 参考例 ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン〔一般式(1) 中のR1
よびR2 がともにトリメチレンで、かつX、Yがともに
2であるジオール成分〕840g、ポリオキシエチレン
−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔一般式(1) 中のR1 およびR2 がともに
エチレンで、かつXが2、Yが0であるジオール成分〕
195g、テレフタル酸29g、ジ−n−ブチルスズオ
キシド(安定剤)2gおよびヒドロキノン1.5gを2
リットルのフラスコに入れて、200℃でかく拌しつつ
共重縮合させた。反応は、ASTM E 28−51T
に準じて、軟化点が122℃に達したときに終了させ
た。
【0075】えられたポリエステル樹脂は淡黄色の固体
であり、DSC(示差熱量計)によるガラス転移温度は
66℃、酸価(AV)は14KOHmg/g、水酸基価
(OHV)は36KOHmg/gで、かつOHV/AV
=2.57であった。 (透光性シアン粉体塗料の製造) 実施例1 下記の各成分を、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合
し、押出混練機を用いて溶融混練したのち、えられた混
練物を冷却して粉砕した。
【0076】 (成 分) (重量部) ・結着樹脂 上記参考例でえたポリエステル樹脂 85 ・正電荷制御剤 下記式で表される第4級アンモニウム塩 2 (C16332 + (CH3 2 ・1/4 Mo8 26 4- ・負電荷制御剤 一般式(4) 中のMがAl、XがH、nが3である 芳香族ダイカルボン酸 1 ・着色剤 C.I.ピグメントブルー16 4 ・硬化剤 イソシアネート 15 ・平滑剤 前出のアクロナール4F 1 ついで、上記の粉砕物を150メッシュのふるいを用い
て分級して、平均粒径12μmの正帯電性のシアン系透
光性粉体塗料を製造した。
【0077】比較例1 負電荷制御剤である芳香族ダイカルボン酸を配合しなか
ったこと以外は実施例1と同様にして、平均粒径12μ
mの正帯電性のシアン系透光性粉体塗料を製造した。 (透光性マゼンタ粉体塗料の製造) 実施例2 下記の各成分を、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合
し、押出混練機を用いて溶融混練したのち、えられた混
練物を冷却して粉砕した。
【0078】 (成 分) (重量部) ・結着樹脂 前記参考例でえたポリエステル樹脂 85 ・正電荷制御剤 下記式で表される第4級アンモニウム塩 2 (C16332 + (CH3 2 ・1/4 Mo8 26 4- ・負電荷制御剤 一般式(3) 中のMがAl、XがH、nが3である 芳香族オキシカルボン酸 1 ・着色剤 C.I.ピグメントレッド122 4 ・硬化剤 イソシアネート 15 ・平滑剤 前出のアクロナール4F 1 ついで、上記の粉砕物を150メッシュのふるいを用い
て分級して、平均粒径12μmの正帯電性のマゼンタ系
透光性粉体塗料を製造した。
【0079】比較例2 負電荷制御剤である芳香族オキシカルボン酸を配合しな
かったこと以外は実施例1と同様にして、平均粒径12
μmの正帯電性のマゼンタ系透光性粉体塗料を製造し
た。 (透光性イエロー粉体塗料の製造) 実施例3 下記の各成分を、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合
し、押出混練機を用いて溶融混練したのち、えられた混
練物を冷却して粉砕した。
【0080】 (成 分) (重量部) ・結着樹脂 前記参考例でえたポリエステル樹脂 85 ・正電荷制御剤 下記式で表される第4級アンモニウム塩 2 (C16332 + (CH3 2 ・1/4 Mo8 26 4- ・負電荷制御剤 一般式(3) 中のMがAl、XがH、nが3である 芳香族オキシカルボン酸 1 ・着色剤 C.I.ピグメントイエロー13 4 ・硬化剤 イソシアネート 15 ・平滑剤 前出のアクロナール4F 1 ついで、上記の粉砕物を150メッシュのふるいを用い
て分級して、平均粒径12μmの正帯電性のイエロー系
透光性粉体塗料を製造した。
【0081】比較例3 負電荷制御剤である芳香族オキシカルボン酸を配合しな
かったこと以外は実施例1と同様にして、平均粒径12
μmの正帯電性のイエロー系透光性粉体塗料を製造し
た。 帯電量測定 各実施例、比較例の粉体塗料5重量部を、平均粒径が1
00μmで、かつその表面が、摩擦帯電ガンの内壁面と
同じふっ素樹脂でコートされたフェライト粒子100重
量部とともに密閉容器中に入れ、当該密閉容器をボール
ミルで10回転させて帯電させた後、ブローオフ法によ
って、粉体塗料の帯電量μC/gを測定した。
【0082】帯電量分布の測定 図4に示す帯電量測定装置を用いて、各実施例、比較例
の粉体塗料の帯電量分布を、以下の手順で測定した。ま
ず前記と同様にして帯電させた、粉体塗料とフェライト
粒子との混合物を、装置のマグネット4に保持させた
後、この混合物にエアーニードル5の圧縮エアーを吹き
付けて、粉体塗料のみを、分離部2に飛散、分離させ
る。
【0083】つぎに、飛散された粉体塗料をロート6に
集めて計測部3に導入し、計測部3で吸引装置11によ
る気流に乗せてフィルタ10上に鉛直落下させる。この
とき粉体塗料は、電極棒9a,9b間を通過する際に、
当該両電極棒9a,9b間の水平方向の電界中で、帯電
量に応じた水平方向のクーロン力Hと、鉛直方向の重力
Vを受けながら落下して、フィルタ10上に、その質量
や電荷量に応じて分散分布される。
【0084】そこで、このフィルタ10上での粉体塗料
の分布状態を画像処理すると、帯電量分布が求められ
る。 塗着効率の測定 各実施例、比較例の粉体塗料を、その内壁面に、帯電部
材としてふっ素樹脂を配置した摩擦帯電ガンを用いた静
電塗着法によって、実際に鉄板の表面に塗着させた。
【0085】そして、摩擦帯電ガンからの粉体塗料の吐
出量Pa(g)と、鉄板に塗着された粉体塗料の量Pb
(g)とから、式:
【0086】
【数1】塗着効率(%)=(Pb/Pa)×100 により、粉体塗料の塗着効率(%)を求めた。 回収粉体塗料の特性評価 上記塗着効率の測定において鉄板に塗着されずに回収さ
れた粉体塗料を集めて、上記と同じ静電塗着法によって
再び鉄板の表面に塗着させた。そして塗着の状態を目視
にて観察して、下記の基準により、回収粉体塗料の特性
を評価した。
【0087】 ○…塗着状態に異常なし、粉体の特性良好。 ×…塗着悪い、粉体の特性不良。 かかる評価は、前述した低帯電粉体や逆帯電粉体の有無
を調べるためのもので、結果が○であれば、回収粉体塗
料中に低帯電粉体や逆帯電粉体は殆ど含まれていない
が、×の場合は多量に含まれていることがわかる。
【0088】以上の結果を表1に示す。また各実施例、
比較例における帯電量分布の測定結果を図1〜図3に示
す。なお各図中、実線の曲線は実施例、破線の曲線は比
較例を示している。
【0089】
【表1】
【0090】上記表および図から明らかなように、正電
荷制御剤と負電荷制御剤とを併用した実施例1〜3の粉
体塗料は、正電荷制御剤のみを使用した比較例1〜3の
ものに比べて帯電量分布がシャープで、低帯電粉体や逆
帯電粉体等を生じることがなく、良好な塗膜を形成でき
ることが判明した。
【0091】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、電荷制御剤を含有しているために帯電量が高く、か
つその帯電量が環境条件の変化に左右されずに安定して
いるとともに、帯電量分布がシャープで、低帯電粉体や
逆帯電粉体等を生じるおそれがなく、良好な塗膜を形成
しうる粉体塗料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1の粉体塗料の帯電量分布を
示すグラフである。
【図2】実施例2、比較例2の粉体塗料の帯電量分布を
示すグラフである。
【図3】実施例3、比較例3の粉体塗料の帯電量分布を
示すグラフである。
【図4】実施例、比較例の粉体塗料の帯電量分布を測定
するために用いた帯電量測定装置の断面図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結着樹脂の粉体中に、正電荷制御剤と負電
    荷制御剤とを含有させたことを特徴とする粉体塗料。
  2. 【請求項2】結着樹脂が透明樹脂であって、透光性を有
    している請求項1記載の粉体塗料。
  3. 【請求項3】正電荷制御剤が第4級アンモニウム塩であ
    る請求項2記載の粉体塗料。
  4. 【請求項4】負電荷制御剤が、芳香族オキシカルボン酸
    とその塩、ならびに芳香族ダイカルボン酸とその塩から
    なる群より選ばれた少なくとも一種である請求項2記載
    の粉体塗料。
  5. 【請求項5】平均粒径が30μm以下である請求項1記
    載の粉体塗料。
  6. 【請求項6】平均粒径が1μm以上である請求項5記載
    の粉体塗料。
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