JPH10291887A - セラミックス薄膜の製造方法 - Google Patents

セラミックス薄膜の製造方法

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JPH10291887A
JPH10291887A JP9776797A JP9776797A JPH10291887A JP H10291887 A JPH10291887 A JP H10291887A JP 9776797 A JP9776797 A JP 9776797A JP 9776797 A JP9776797 A JP 9776797A JP H10291887 A JPH10291887 A JP H10291887A
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film
substrate
amorphous
heating
sample
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Hiroshi Aoyama
拓 青山
Tadaaki Kuno
忠昭 久野
Satoru Miyashita
悟 宮下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポストアニール方式により得られるセラミッ
クス薄膜は、非晶質膜から結晶膜への移行過程で結晶核
が膜中のいたるところ発生するため、ランダム配向の多
結晶膜となってしまい、該セラミックス薄膜の物性が低
下してしまうことが課題であった。 【解決手段】 基板上の非晶質膜を結晶化させる際、基
板側から結晶化温度に達する焼成方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性に由来する
物性(圧電性、焦電性、強誘電性等)を利用した薄膜デ
バイスの主たる構成要素である、セラミックス薄膜を製
造する方法に関し、得られたセラミックス薄膜は広く電
子デバイスに応用される。
【0002】
【従来の技術】セラミックス薄膜材料の物性やそれを電
子デバイスの構成要素として組み込んだ際のデバイス特
性等は、セラミックス薄膜の結晶性や配向性に大きく左
右される。結晶性薄膜の作成方法は二種類に大別され
る。一つは単結晶基板あるいは基板上に方位が揃った結
晶性膜を形成し、その上に所望のセラミックス薄膜をエ
ピタキシャル成長させるものである。もう一つの方法
は、基板上に所望の結晶膜の前駆体である、非晶質膜を
形成させておいてから、これを焼成もしくは光照射など
で外部からエネルギーを与えることによって結晶性薄膜
を得るものである。これはいわゆるポストアニール方式
に代表される成膜法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の二種類
の成膜方法にはいずれも課題がある。先ず、エピタキシ
ャル成長による成膜法であると、基板(あるいはその上
に形成した結晶膜)の結晶格子定数が所望のセラミック
ス薄膜の格子定数に近いものを選択しなければならず、
材料選択の自由度が小さい、あるいは、ふさわしい基板
が存在しない場合もあるといった課題を有する。また、
一般にエピタキシャル成長は成膜速度が遅く、比較的厚
さを要する膜には成膜時間がかかりすぎて量産に不向き
であることも問題点として挙げられる。
【0004】一方、ポストアニール方式の場合である
が、この方法だと、非晶質膜から結晶膜への移行過程に
おいて、結晶核が膜中のいたるところにランダムに発生
してしまうため、多結晶膜となってしまい、目的とする
結晶配向性の制御が極めて困難であるという課題を有す
る。
【0005】しかしながら、ポストアニール方式は、そ
の製造プロセスの簡便さから量産に適しているといった
利点もある。そこで本発明者らは、このポストアニール
方式に着目し、従来の欠点を克服すべく鋭意研究を進め
た結果、上述の課題を解決する方法を見いだすに至った
のである。即ち、あらゆる基板上に、制御された結晶配
向性を有するセラミックス薄膜を簡便かつ迅速に成膜す
る方法を提供することが本発明の目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミックス薄
膜の製造方法は、(1)基板上に非晶質状の前駆体膜を
形成する工程と、(2)これを加熱焼成し、結晶化させ
る工程とからなるセラミックス薄膜の製造方法におい
て、前記(2)工程の加熱時に、前記非晶質状前駆体膜
の基板に接する面の温度が、膜表面の温度よりも高いこ
とを特徴とする。また、本発明のセラミックス薄膜の製
造方法は、(1)基板上に非晶質状の前駆体膜を形成す
る工程と、(2)これを加熱焼成し、結晶化させる工程
とからなるセラミックス薄膜の製造方法において、前記
(2)工程の加熱時に、前記非晶質状前駆体膜の基板に
接する面が、膜表面よりも先に前駆体膜の結晶化温度に
到達することを特徴とする。また、本発明のセラミック
ス薄膜の製造方法は、(1)基板上に非晶質状の前駆体
膜を形成する工程と、(2)これをホットプレート上
に、基板面がホットプレート面に接する配置で設置する
工程と、(3)該ホットプレートにより加熱焼成し、前
記非晶質状の前駆体膜を結晶化させる工程とからなるこ
とを特徴とする。また、本発明のセラミックス薄膜の製
造方法は、(1)基板上に非晶質状の前駆体膜を形成す
る工程と、(2)これを一対の赤外線ランプで挟持され
る配置に設置する工程と、(3)該赤外線ランプで前記
非晶質状前駆体膜を加熱焼成し、結晶化させる工程とか
らなるセラミックス薄膜の製造方法において、前記
(3)工程の加熱時に、基板側の赤外線ランプの加熱温
度が、膜側の赤外線ランプの加熱温度よりも高いことを
特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】上述に示した工程を経ることで、
基板上に形成された非晶質前駆体膜に対して基板垂直方
向(膜厚方向)に温度勾配が生じる。これにより基板側
(近傍)に高密度な結晶核が生成し、膜表面方向に向か
って一方向に結晶成長が進み結晶化が完結すると考えら
れる。そのため、得られた結晶性膜は多結晶膜になるこ
となく、結晶配向性に優れたセラミックス薄膜となる。
【0008】以上作用について簡単に述べたが、以下実
施例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【0009】(実施例1)シリコンウエハー(直径4イ
ンチ、厚み250μm)上にスパッタによりPtを厚み
0.2μm形成させたものを用意し、これを後に使用す
る基板とした。
【0010】次に、酢酸鉛及びチタニウムテトライソプ
ロポキシドを所定濃度含有するゾル溶液1と、酢酸鉛及
びジルコニウムアセチルアセトナートを所定濃度含有す
るゾル溶液2と、酢酸鉛、ジルコニウムアセチルアセト
ナート及びチタニウムテトライソプロポキシドを所定濃
度含有するゾル溶液3を調整した。先ずゾル溶液1を先
に用意した基板上にスピンコートし、180℃オーブン
で10分間乾燥後、350℃オーブンで30分間脱脂を
行うことにより、厚さ約0.2μmの非晶質膜が前記基
板上に得られた(試料1)。一方、ゾル溶液2を先に用
意した別の基板上にスピンコートし、180℃オーブン
で10分間乾燥後、350℃オーブンで30分間脱脂を
行うことにより、厚さ約0.2μmの非晶質膜が前記基
板上に得られた(試料2)。更に、ゾル溶液3について
も同様に試料を作成した(試料3)。試料1、試料2及
び試料3のそれぞれの結晶化温度を知るために、高温X
線回折装置を用いて試料を加熱しながら測定を行った。
その結果、試料1では、400℃でチタン酸鉛、PbT
iO3(以下PTと表記)結晶膜が得られ、結晶化温度
が400℃であることがわかった。試料2では、400
℃でジルコン酸鉛、PbZrO3(以下PZと表記)結
晶膜が得られ、結晶化温度が400℃であることがわか
った。そして試料3は450℃でチタン酸ジルコン酸
鉛、Pb(Zr0.5、Ti0.5)O3(以下PZTと表
記)結晶膜が得られ、結晶化温度が450℃であること
がわかった。
【0011】(実施例2)シリコンウエハー(直径4イ
ンチ、厚み250μm)上にスパッタによりPtを厚み
0.2μm形成させたものを用意し、これを後に使用す
る基板とした。
【0012】次に、酢酸鉛及びチタニウムテトライソプ
ロポキシドを所定濃度含有するゾル溶液1を調整した。
先ずゾル溶液1を先に用意した基板上にスピンコート
し、180℃オーブンで10分間乾燥後、350℃オー
ブンで30分間脱脂を行うことにより、厚さ約0.2μ
mの非晶質膜が前記基板上に得られた。更にこの上に、
ゾル液塗布、乾燥、脱脂を4回繰り返し、総膜厚約1.
0μmの非晶質膜とした。これをホットプレート上に基
板面がホットプレート上面に接するように乗せ、大気雰
囲気中400℃にて20分間焼成を行い結晶化を行った
(試料1)。一方、比較のため従来法による試料も作成
した。すなわち、基板上に作成した厚さ約1.0μmの
非晶質膜を400℃オーブンにて大気雰囲気中20分間
焼成し結晶化膜を得た(比較例1)。
【0013】試料1、比較例1ともX線回折による結晶
解析の結果、基板上にペロブスカイト型PbTiO3
(PT)薄膜が得られていることがわかった。更に両者
の結晶配向性を調べるため、PT(111)面に対して
X線回折のロッキングカーブの測定を行った。試料面に
対するX線入射角をθとし、θからのずれをΔω(Δ
θ)と表記する。試料1では、Δω(Δθ)=±10°
の範囲内で(111)面からの回折強度を測定したとこ
ろ、Δω=0°を中心に半値幅約1°の非常に鋭いピー
クが観測された(図1)。これより、試料1では、非常
に配向性の強いPT膜が得られたことがわかる。一方比
較例1では、Δω(Δθ)=±10°の範囲内で(11
1)面からの回折強度はほぼ一定であり、このPT膜は
ランダム配向をもった多結晶膜であることがわかった
(図2)。試料1と比較例1ではこのように結晶構造面
で顕著な差異が認められた。
【0014】基板上の非晶質膜を結晶化させる際、本発
明に示したように基板側から加熱し結晶化温度に達する
と(本実施例ではホットプレート加熱を行うことによ
り、容易に達成できた)、基板側(近傍)に高密度な結
晶核が生成し、基板垂直方向(膜厚方向)の温度勾配に
よって膜表面方向に向かって一方向に結晶成長が進み結
晶化が完結すると考えられる。そのため、得られた結晶
性膜は従来のように多結晶膜になることなく、結晶配向
性に優れたセラミックス薄膜となる。尚、本実施例では
いわゆるゾルゲル法によるPT膜作製の例を示したが、
他の組成や非晶質前駆体成膜法(スパッタなど)に対し
ても本実施例と同様な効果が確認された。
【0015】(実施例3)シリコンウエハー(直径4イ
ンチ、厚み250μm)上にスパッタによりPtを厚み
0.5μm形成させたものを用意し、これを後に使用す
る基板とした。
【0016】次に、酢酸鉛、ジルコニウムアセチルアセ
トナート及びチタニウムテトライソプロポキシドを所定
濃度含有するゾル溶液1を調整した。先ずゾル溶液1を
先に用意した基板上にスピンコートし、180℃ホット
プレート上で5分間乾燥後、400℃ホットプレート上
で10分間脱脂を行うことにより、厚さ約0.2μmの
非晶質膜が前記基板上に得られた。更にこの上に、ゾル
液塗布、乾燥、脱脂を4回繰り返し、総膜厚約1.0μ
mの非晶質膜とした。これをホットプレート上に基板面
がホットプレート上面に接するように乗せ、大気雰囲気
中450℃にて30分間焼成を行い結晶化を行った(試
料1)。一方、比較のため従来法による試料も作成し
た。すなわち、基板上に作成した厚さ約1.0μmの非
晶質膜を450℃オーブンにて大気雰囲気中30分間焼
成し結晶化膜を得た(比較例1)。
【0017】以上により得られた試料1と比較例1の結
晶化膜を各々X線回折により分析を行ったところペロブ
スカイト型Pb(Zr0.5、Ti0.5)O3(PZT)で
あることが判明した。
【0018】さて、PZTは圧電体であり、この圧電性
を利用した薄膜デバイスを構築するには当然その特性を
示す圧電定数(d31)が大きな値をとることが望まし
い。そこで、試料1と比較例1の圧電特性を評価するた
め、各々の上部に厚み0.1μmのAl電極を蒸着によ
り形成し、これと基板上のPt電極との間の起電力測定
から圧電定数(d31)を求めた。結果を表1に示す。
【0019】表1より明らかなように、試料1の圧電定
数は比較例1に比べ大きな値を示し、非常に優れた圧電
特性を有する薄膜PZTが得られたことがわかった。前
述の実施例2と同様に結晶配向性をX線ロッキングカー
ブ測定により調べたところ、試料1のPZT(111)
面の法線ベクトルが基板垂直方向に配向しているのに対
し、比較例1ではランダム配向であった。このような結
晶構造の違いが圧電特性の差となって現れるものと考え
られる。
【0020】基板上の非晶質膜を結晶化させる際、本発
明に示したように基板側から加熱し結晶化温度に達する
と(本実施例ではホットプレート加熱を行うことによ
り、容易に達成できた)、基板側(近傍)に高密度な結
晶核が生成し、基板垂直方向(膜厚方向)の温度勾配に
よって膜表面方向に向かって一方向に結晶成長が進み結
晶化が完結すると考えられる。そのため、得られた結晶
性膜は従来のように多結晶膜になることなく、結晶配向
性に優れたセラミックス薄膜となり、その結果得られた
膜の電気特性(圧電特性)が向上した。本実施例ではP
ZT膜の圧電特性に着目した例を示したが、他の組成や
非晶質前駆体成膜法(スパッタなど)に対しても実験を
行ったところ、本実施例と同様な効果が確認され、圧電
性をはじめ焦電性、強誘電性等の薄膜物性改善が可能で
あった。
【0021】
【表1】
【0022】(実施例4)シリコンウエハー(直径4イ
ンチ、厚み250μm)上にスパッタによりPtを厚み
0.2μm形成させたものを用意し、これを後に使用す
る基板とした。
【0023】次に、酢酸鉛及びチタニウムテトライソプ
ロポキシドを所定濃度含有するゾル溶液1を調整した。
先ずゾル溶液1を先に用意した基板上にスピンコート
し、180℃オーブンで10分間乾燥後、350℃オー
ブンで30分間脱脂を行うことにより、厚さ約0.2μ
mの非晶質膜が前記基板上に得られた。更にこの上に、
ゾル液塗布、乾燥、脱脂を4回繰り返し、総膜厚約1.
0μmの非晶質膜とした。これを急速昇温ランプアニー
ル装置(RTA)に図3に示した配置で設置した。この
状態で赤外線ランプ311(図3)を試料位置で450
℃になる出力に設定し、赤外線ランプ312(図3)は
試料位置で350℃になる出力に設定して酸素雰囲気中
で1分間試料を焼成、結晶化を行った(試料1)。一
方、比較のため従来法による試料も作成した。すなわ
ち、基板上に作成した厚さ約1.0μmの非晶質膜をR
TAで焼成する際、赤外線ランプ311、312(図
3)共に試料位置で450℃になる出力に設定して酸素
雰囲気中で1分間の処理を行い結晶化膜を得た(比較例
1)。
【0024】試料1、比較例1ともX線回折による結晶
解析の結果、基板上にペロブスカイト型PbTiO3
(PT)薄膜が得られていることがわかった。更に両者
の結晶配向性を調べるため、PT(111)面に対して
X線回折のロッキングカーブの測定を行った。試料面に
対するX線入射角をθとし、θからのずれをΔω(Δ
θ)と表記する。試料1では、Δω(Δθ)=±10°
の範囲内で(111)面からの回折強度を測定したとこ
ろ、Δω=0°を中心に半値幅約1°の非常に鋭いピー
クが観測された(図4)。これより、試料1では、非常
に配向性の強いPT膜が得られたことがわかる。一方比
較例1では、Δω(Δθ)=±10°の範囲内で(11
1)面からの回折強度はほぼ一定であり、このPT膜は
ランダム配向をもった多結晶膜であることがわかった
(図5)。試料1と比較例1ではこのように結晶構造面
で顕著な差異が認められた。
【0025】このように、基板上の非晶質膜を結晶化さ
せる際、本発明に示したように基板側から結晶化温度に
達すると(本実施例では試料を挟持する一対の赤外線ラ
ンプの出力を制御することで容易に達成できた)、基板
側(近傍)に高密度な結晶核が生成し、基板垂直方向
(膜厚方向)の温度勾配によって膜表面方向に向かって
一方向に結晶成長が進み結晶化が完結すると考えられ
る。そのため、得られた結晶性膜は従来のように多結晶
膜になることなく、結晶配向性に優れたセラミックス薄
膜となる。尚、本実施例ではいわゆるゾルゲル法による
PT膜作製の例を示したが、他の組成や非晶質前駆体成
膜法(スパッタなど)に対しても本実施例と同様な効果
が確認された。
【0026】(実施例5)シリコンウエハー(直径4イ
ンチ、厚み250μm)上にスパッタによりPtを厚み
0.5μm形成させたものを用意し、これを後に使用す
る基板とした。
【0027】次に、酢酸鉛、ジルコニウムアセチルアセ
トナート及びチタニウムテトライソプロポキシドを所定
濃度含有するゾル溶液1を調整した。先ずゾル溶液1を
先に用意した基板上にスピンコートし、180℃ホット
プレート上で5分間乾燥後、400℃ホットプレート上
で10分間脱脂を行うことにより、厚さ約0.2μmの
非晶質膜が前記基板上に得られた。更にこの上に、ゾル
液塗布、乾燥、脱脂を4回繰り返し、総膜厚約1.0μ
mの非晶質膜とした。これを急速昇温ランプアニール装
置(RTA)に図3に示した配置で設置した。この状態
で赤外線ランプ311(図3)を試料位置で500℃に
なる出力に設定し、赤外線ランプ312(図3)は試料
位置で400℃になる出力に設定して酸素雰囲気中で1
分間試料を焼成、結晶化を行った(試料1)。一方、比
較のため従来法による試料も作成した。すなわち、基板
上に作成した厚さ約1.0μmの非晶質膜をRTAで焼
成する際、赤外線ランプ311、312(図3)共に試
料位置で500℃になる出力に設定して酸素雰囲気中で
1分間の処理を行い結晶化膜を得た(比較例1)。
【0028】以上により得られた試料1と比較例1の結
晶化膜を各々X線回折により分析を行ったところペロブ
スカイト型Pb(Zr0.5、Ti0.5)O3(PZT)で
あることが判明した。
【0029】さて、PZTは圧電体であり、この圧電性
を利用した薄膜デバイスを構築するには当然その特性を
示す圧電定数(d31)が大きな値をとることが望まし
い。そこで、試料1と比較例1の圧電特性を評価するた
め、各々の上部に厚み0.1μmのAl電極を蒸着によ
り形成し、これと基板上のPt電極との間の起電力測定
から圧電定数(d31)を求めた。結果を表2に示す。
【0030】表2より明らかなように、試料1の圧電定
数は比較例1に比べ大きな値を示し、非常に優れた圧電
特性を有する薄膜PZTが得られたことがわかった。前
述の実施例2と同様に結晶配向性をX線ロッキングカー
ブ測定により調べたところ、試料1のPZT(111)
面の法線ベクトルが基板垂直方向に配向しているのに対
し、比較例1ではランダム配向であった。このような結
晶構造の違いが圧電特性の差となって現れるものと考え
られる。
【0031】基板上の非晶質膜を結晶化させる際、本発
明に示したように基板側から結晶化温度に達すると(本
実施例では試料を挟持する一対の赤外線ランプの出力を
制御することで容易に達成できた)、基板側(近傍)に
高密度な結晶核が生成し、基板垂直方向(膜厚方向)の
温度勾配によって膜表面方向に向かって一方向に結晶成
長が進み結晶化が完結すると考えられる。そのため、得
られた結晶性膜は従来のように多結晶膜になることな
く、結晶配向性に優れたセラミックス薄膜となり、その
結果得られた膜の電気特性(圧電特性)が向上した。本
実施例ではPZT膜の圧電特性に着目した例を示した
が、他の組成や非晶質前駆体成膜法(スパッタなど)に
対しても実験を行ったところ、本実施例と同様な効果が
確認され、圧電性をはじめ焦電性、強誘電性等の薄膜物
性改善が可能であった。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】 以上示したように、基板側から結晶化
温度に達する焼成方法とすることにより、得られた膜の
結晶配向性が著しく向上する。これに伴い、電気特性
(圧電特性)が向上する。従って、本発明の製造方法で
得られたセラミックス薄膜はその物性を利用したデバイ
スの構成要素として組み込まれたときに優れた特性を発
揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の試料1のPZT(111)面のロッ
キングングカーブ図。
【図2】 従来例のPZT(111)面のロッキングン
グカーブ図。
【図3】 急速昇温ランプアニール装置(RTA)の断
面図。
【図4】 本発明の試料1のPZT(111)面のロッ
キングングカーブ図。
【図5】 従来例のPZT(111)面のロッキングン
グカーブ図。
【符号の説明】
301・・・セラミックス薄膜 302・・・Pt 303・・・シリコンウエハー(基板) 311・・・赤外線ランプ 312・・・赤外線ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 41/24 H01L 41/22 A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)基板上に非晶質状の前駆体膜を形
    成する工程と、(2)これを加熱焼成し、結晶化させる
    工程とからなるセラミックス薄膜の製造方法において、
    前記(2)工程の加熱時に、前記非晶質状前駆体膜の基
    板に接する面の温度が、膜表面の温度よりも高いことを
    特徴とするセラミックス薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)基板上に非晶質状の前駆体膜を形
    成する工程と、(2)これを加熱焼成し、結晶化させる
    工程とからなるセラミックス薄膜の製造方法において、
    前記(2)工程の加熱時に、前記非晶質状前駆体膜の基
    板に接する面が、膜表面よりも先に前駆体膜の結晶化温
    度に到達することを特徴とするセラミックス薄膜の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 (1)基板上に非晶質状の前駆体膜を形
    成する工程と、(2)これをホットプレート上に、基板
    面がホットプレート面に接する配置で設置する工程と、
    (3)該ホットプレートにより加熱焼成し、前記非晶質
    状の前駆体膜を結晶化させる工程とからなることを特徴
    とするセラミックス薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 (1)基板上に非晶質状の前駆体膜を形
    成する工程と、(2)これを一対の赤外線ランプで挟持
    される配置に設置する工程と、(3)該赤外線ランプで
    前記非晶質状前駆体膜を加熱焼成し、結晶化させる工程
    とからなるセラミックス薄膜の製造方法において、前記
    (3)工程の加熱時に、基板側の赤外線ランプの加熱温
    度が、膜側の赤外線ランプの加熱温度よりも高いことを
    特徴とするセラミックス薄膜の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007306014A (ja) * 2007-06-18 2007-11-22 Seiko Epson Corp 圧電体素子およびインクジェット式記録ヘッドの製造方法
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JP2008294345A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Seiko Epson Corp 強誘電体メモリ装置の製造方法及び強誘電体メモリ装置

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