JPH10290691A - 遺伝子増幅方法および装置 - Google Patents

遺伝子増幅方法および装置

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JPH10290691A
JPH10290691A JP21169497A JP21169497A JPH10290691A JP H10290691 A JPH10290691 A JP H10290691A JP 21169497 A JP21169497 A JP 21169497A JP 21169497 A JP21169497 A JP 21169497A JP H10290691 A JPH10290691 A JP H10290691A
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JP
Japan
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gene
membrane
porous
gene amplification
porous membrane
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JP21169497A
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English (en)
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Satoru Kuhara
哲 久原
Kosuke Tashiro
康介 田代
Shigeru Muta
滋 牟田
Yoshikazu Nakagawa
美和 中川
Motohiro Oka
素裕 岡
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多種類の遺伝子を、同時に増幅、精製可能な
遺伝子増幅装置および遺伝子増幅方法、およびこれを利
用した遺伝子解析方法を提供する。 【解決手段】 細胞不透過性かつ核酸透過性の多孔質膜
内層2aおよび核酸吸着能を有し且つ核酸を固定し得る
多孔質膜外層2bの少なくとも2層からなり蓋材または
底材として働く多孔質積層膜(A)と複数のセルを形成
した基材(B)とにより形成される複数の反応槽を有す
る装置にして、遺伝子を産生する細胞を含む菌液を各反
応槽に接種し、細胞培養、遺伝子の精製および増幅を行
った後、菌液を多孔質積層膜(A)を介して分別濾過
し、遺伝子を上記多孔質膜2bに配列固定することによ
り、遺伝子の相補性解析または遺伝子増幅を行うに有用
な遺伝子増幅装置。遺伝子増幅方法および遺伝子解析方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多種類の遺伝子を
同時に増幅する装置および方法、およびこうして増幅さ
れた多種類の遺伝子を一度に解析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子工学の顕著な進展のもと、
ヒトをはじめ多くの生物のゲノムの塩基配列が明らかと
なりつつある。既に酵母ゲノムの全塩基配列の解読は完
了し、ヒトゲノムに関しても近い将来全塩基配列が解読
されることが期待されている。
【0003】しかしながら、塩基配列を解読したのみで
は生命情報を解読したとは言えず、解読された情報をも
とにここの遺伝子の解析を行うことが生命科学分野にお
いては非常に重要な課題となっている。
【0004】また臨床検査の分野では、クラジミア等の
微生物、HIV、HCV等のウイルス感染の有無を検出
する際にDNA検査が行われているが、将来的には、現
行の体液検査に代わって、ゲノム中の遺伝子を調べるこ
とにより発病前に遺伝病、ガンなどの病気の予測診断が
行われることが予測されている。
【0005】遺伝子解析においては、解析しようとする
未知の遺伝子、または機能・配列が既知の遺伝子を電気
泳動させ、ニトロセルロースやナイロン膜等の多孔質膜
に塩濃度勾配により転写固定するサザンブロッティング
及びノーザンブロッティング、あるいは遺伝子を含む溶
液を直接滴下するドットブロッティングにより遺伝子を
所定位置に固定している。
【0006】この膜に標的物で標識した既知の遺伝子、
もしくは機能未知の遺伝子、いわゆるプローブ遺伝子を
供与し、標的物を特定の検出手段を用いて膜に固定され
た遺伝子−プローブ遺伝子間の相補結合を検出すること
により、プローブ遺伝子との間の相関の有無を検出する
ことが行われている。あるいは、大腸菌や真核生物等の
細胞へ遺伝子を導入して発現させ、その機能を調べる等
の解析が行われる。
【0007】近年のゲノム解析の進展とともに一度に解
析に供される遺伝子数は非常に増加し、例えばラン藻の
場合は一度に2000個の遺伝子、酵母の場合には一度
に5000個の遺伝子を解析する必要性が高まってい
る。
【0008】解析に用いられる遺伝子は市販の試薬の形
態で供給される場合もあるが、多くの場合は大腸菌等を
ベースとした宿主−ベクター系やPCRにより増幅・精
製した後に用いられる。通常これらの増幅にはマイクロ
チューブ、マイクロタイタープレートを用いて行われて
いる。
【0009】しかしながら、通常使用される反応容器で
は、例えばマイクロプレート反応槽を用いる場合、一度
に処理できる数はせいぜい96サンプル前後と少なく、
ゲノム解析のごとく5000〜50000個ものサンプ
ル数を処理する必要がある場合に、一度に処理すること
ができないという問題がある。一度に処理できない場合
には、一連の実験が長い時間をかけて行われるため、大
量の試薬が必要となるが、容器の開閉に伴う試薬のコン
タミネーションの問題もあり、必要に応じて定期的に試
薬を調製する必要がある。また、ドットハイブリダイゼ
ーションの解析に用いる場合には、再現性、計測時の利
便性のため、多種類の遺伝子を常に同一の2次元配列で
供給することが望ましいが、ピペットで1サンプルず
つ、あるいは多連ピペットで10前後のサンプルを同時
に吸い取って、別の反応槽に移すという作業が含まれる
が、例えば12連のピペットを用いたとしても96穴マ
イクロプレート反応槽の場合には8回のピペッティング
が必要であり、操作が非常に繁雑である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多種類の遺
伝子を、同時に増幅、精製可能であり、かつ同一配列の
複製を行うための簡便な装置および方法を提供する。ま
た本発明は、上記のように増幅・精製され、多孔質膜へ
固定された遺伝子を用いて、ハイブリダイゼーションを
同一反応場中で行うことにより、一度に多数の試料を処
理できる遺伝子解析方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、細胞不透過性
かつ核酸透過性の多孔質膜内層2aおよび核酸吸着能を
有し且つ核酸を固定し得る多孔質膜外層2bの少なくと
も2層からなり蓋材または底材として働く多孔質積層膜
(A)と複数のセルを形成した基材(B)とにより形成
される複数の反応槽を有する遺伝子増幅装置に関する。
【0012】本装置は、その各反応槽に、遺伝子を産生
する細胞を含む菌液を接種し、細胞培養、遺伝子の精製
および増幅を行った後、菌液を多孔質積層膜(A)を介
して分別濾過し、遺伝子を上記多孔質膜2bに配列固定
することにより、遺伝子の相補性解析または遺伝子増幅
を行うに有用である。
【0013】また本発明は、細胞不透過性かつ核酸透過
性の多孔質膜内層2aおよび核酸吸着能を有し且つ核酸
を固定し得る多孔質膜外層2bの少なくとも2層からな
る多孔質積層膜(A)およびそれに脱着可能に張り合わ
された防水膜とからなる蓋材と複数のセルを形成した基
材(B)とにより形成された複数の反応槽を有する遺伝
子増幅装置の各反応槽に、遺伝子を産生する細胞を含む
菌液を接種し、細胞培養、遺伝子の精製、増幅を行った
後、装置を上下反転し、防水膜を剥がした後、菌液を多
孔質積層膜(A)を介して分別濾過し、遺伝子を上記多
孔質膜2bに配列固定する遺伝子増幅方法に関する。
【0014】また本発明は、遺伝子増幅方法の別の態様
として、細胞不透過性かつ核酸透過性の多孔質膜内層2
aおよび核酸吸着能を有し且つ核酸を固定し得る多孔質
膜外層2bの少なくとも2層からなる多孔質積層膜およ
びそれに脱着可能に貼り合わされた防水膜とからなる底
材と隔壁とにより形成された複数の反応槽を有する遺伝
子増幅装置の各反応槽に、遺伝子を産生する細胞を含む
菌液を接種し、細胞培養、遺伝子の精製、増幅を行った
後、防水膜を剥がし、菌液を多孔質膜を介して分別濾
過、遺伝子を上記多孔質膜2bに配列固定する遺伝子増
幅方法を提供する。
【0015】更に本発明は、上記本発明の遺伝子増幅方
法により得られた遺伝子が配列固定された多孔質膜2b
上で相補性解析を用いることにより行われる遺伝子解析
方法に関する。
【0016】本発明はまた、それぞれの反応槽と対応す
るように位置決めされた棒状突起を有する植菌用治具に
を用いて、反応槽中の遺伝子産生細胞を付着して別の容
器に接種し、同じ型の遺伝子増幅装置の各反応槽に植菌
複製を行う上記の遺伝子増幅方法に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の装置を図面に基づいてさ
らに詳細に説明する。図1は、本発明の遺伝子増幅装置
の多孔質積層膜(A)が底材として働く場合の一例を示
したものである。底材1は材質の異なる少なくとも2層
の多孔質膜2a(多孔質膜内層)および2b(多孔質膜
外層)からなる多孔質積層膜(A)により形成される
(以下、本発明においては、多孔質積層膜が蓋材として
用いられる場合であれ底材として用いられる場合であ
れ、反応槽の内側として働く方の多孔質膜を多孔質膜内
層、多孔質内層と積層してその外側に接して用いられる
多孔質膜を多孔質膜外層と言う)。
【0018】本発明の遺伝子増幅装置においては、上記
多孔質積層膜(A)を基材(B)を組み合わせることに
よって多数の反応槽5が形成される。多孔質積層膜
(A)が底材として働く図1または図2の場合には、基
材(B)は底部のない隔壁4だけから形成されたものが
用いられる。反応槽は所望の形状および所望の数をもっ
て形成すればよい。具体的には反応槽は0.001×0.
001mm〜10×10mm(縦×横)、深さ0.00
1〜10mmの範囲内で形成されるが、好ましくは2×
2mm(縦×横)程度で深さ0.1〜10mmのもので
ある。反応槽5の容積は1pl程度から形成し得るが、
0.001ml〜2ml、より好ましくは0.1ml〜2
mlとする。
【0019】隔壁4は、各反応槽5を仕切り、隣接する
反応槽中の成分が相互に混合しないよう、多孔質積層膜
(A)の上部に設置される。隔壁の材質としてはDNA
やタンパク質を吸着せず、反応系を阻害しないものであ
って、PCR反応の高温度即ち、100℃に近い高温に
耐えるものであればよく、高分子材料、金属材料、シリ
コン等の無機材料が例示される。使用できる高分子材料
は、遺伝子と結合したり吸着したりせず、且つ水に膨潤
や溶解をしないものであれば特に限定されない。このよ
うな高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル類、ポリスチレン、ポリアミド類、ポ
リウレタン類、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン等が例示できる。特にポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレンが成形性の点から好ましい。
【0020】隔壁は、あらかじめ隔壁のみを形成し、熱
融着、接着、粘着または成型品の凹凸嵌合のいずれかの
手段で多孔質膜上に設置しても、あるいは多孔質膜に適
当な膜厚のパターンを塗布することによって形成しても
よい。隔壁の成型方法としては、射出成型、真空成型、
ブロー成型等、公知のいずれの方法を用いてもよい。ま
たは、めっきやシリコンウエハーのエッチングにより形
成したものを鋳型として用いて成型してもよい。パター
ン塗布する場合には、スクリーン印刷、ロールコーティ
ング、フォトリソグラフィーによる高分子材料による形
成、あるいはセラミック、無機材料のペースト、ゾル・
ゲル法による無機材料の隔壁形成方法などが例示され
る。
【0021】図2は多孔質積層膜(A)が底材として用
いられる場合の本発明の遺伝子増幅装置の側面図を示し
ている。
【0022】図11は多孔質積層膜(A)が蓋材1'と
して使用される場合の本発明の遺伝子増幅装置の1例を
示す。基材(B)は、図11(a)に図示するように、
隔壁だけでなく底を有するものが使用される。この底を
有する基材3上に、図11(b)に示すように多孔質積
層膜Aが蓋1'として覆せられて遺伝子増幅装置が構成
される。
【0023】底を有する基材3は、上記の隔壁5だけの
場合の基材の場合と同様、好ましくは高分子材料から成
形されるものが好ましい。また、微細なあるいは浅い反
応槽を形成する場合には、シリコンウェハーや高分子材
料の成形シートにエッチング、サンドブラスト、レーザ
ーアブレーション等の加工を施して作製してもよい。
【0024】底を有する基材3は、上記のように、底部
と隔壁とが一体に形成されていてもよいが、また底部を
構成する基材上に隔壁を別に形成してもよい。例えば、
成形加工によりまたはシートを断裁して作製した隔壁を
底部を構成する材に接着等の方法で取り付けてもよい
し、あるいは厚膜印刷等により底板上に隔壁を形成して
もよい。成形加工は射出成形、押出成形、圧縮成形、真
空成形、トランスファー成形、ブロー成形等を用いるこ
とができる。シートの断裁には旋盤による加工、金属製
の治具によるシートの打ち抜き、レーザーによる穴開け
等の方法が使用できる。
【0025】また厚膜印刷の手法としてはスクリーン印
刷、ロールコーティング、ディスペンサー塗布等が使用
できる。インキ材料としては、印刷可能で、遺伝子解析
中の反応を阻害せず、遺伝子と結合したり吸着したりし
ないものを選ぶ必要がある。例えば、紫外線硬化性樹
脂、電子線硬化性樹脂、発泡インキ、またはこれらに無
機・有機系フィラーを混合したインキ、無機系ペースト
等が用いられる。
【0026】多孔質積層膜Aは、これを蓋材1'として
使用する場合も底材1として使用する場合も同じものを
用いることができる多孔質積層膜を構成する多孔質膜内
層2aとしては、細胞フィルターとして機能するもの、
即ち細胞あるいは細胞の残渣を透過せず、遺伝子および
タンパク質を透過することができる孔径の膜であればよ
い。具体的な孔径としては0.2〜1.6μm、好ましく
は0.3〜0.8μmのものが例示される。膜の材質とし
てはDNAおよび蛋白質を吸着しないものであれば特に
限定されないが、セルロース濾紙、ガラスフィルター、
酢酸セルロースメンブレン、再生セルロースメンブレ
ン、ポリカーボネートメンブレン、必要に応じて表面修
飾されたナイロンメンブレン、ポリビニリデンフルオラ
イドメンブレンなどが例示される。
【0027】多孔質膜外層2bとしては、核酸吸着能を
有し、核酸を膜上に吸着、固定化するものであればよ
く、材質としては特に限定されないが、ガラスフィルタ
ー、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレ
ン、ジエチルアミノエタンセルロースメンブレン、プラ
スチャージ導入ナイロンメンブレン、ポリビニリデンフ
ルオライドメンブレン等が例示される。また、孔径とし
ては培養後核酸を吸着、固定化させる際に目詰まり等の
トラブルを生じさせない範囲であればよく、具体的には
0.1〜2.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmのもの
が例示される。
【0028】本発明に使用する多孔質膜内層2aは、D
NAが透過可能な膜であるため、各反応槽に菌液を加え
て培養を行う場合に、DNAが多孔質膜内層2aを介し
て隣り合う反応槽に漏れ入り、反応槽の内容物が汚染さ
れる問題が生じる。そのため、多孔質膜内層には、隔壁
と接する部分、即ち隔壁に相当する形に、その細孔を封
じて、隣り合う反応槽中の菌液またはその成分の一部が
混ざり合わないようにする必要がある。細孔を封じる方
法としては、熱または溶媒により膜を緻密化させたり、
固形分を含む液を含浸させたのち乾燥して細孔を閉塞す
る等の方法を用いることができる。細孔を封じる方法と
しては上記の方法を含め、どの方法を用いてもよいが、
多孔質膜内層がPVDF(ポリビニリデンフルオライ
ド)や酢酸セルロースのような熱可塑性の材料である場
合、熱溶融により膜を緻密化する方法が好ましい。この
場合ヒーターは金属製の治具を切削等により任意に凹凸
を設けることにより形成したものを用いることができ
る。熱溶融を行う場合の温度は材料により異なるが、P
VDFの場合は荷重が0.2〜2kg/cm2で200〜
270℃の条件で1〜5秒、酢酸セルロースの場合は荷
重はPVDFと同様とし、温度280〜350℃の条件
で1〜5秒が好ましい。
【0029】多孔質膜内層と多孔質膜外層との間には、
遺伝子および菌液の透過を確保するために全面に接着剤
等を使用して一体化することはできない。また両多孔質
膜は相互に剥離可能に一体化される必要がある。そのた
めに剥離可能な融着、粘着または接着剤を用いて、好ま
しくは、次に述べる多孔質膜内層と隔壁との接着と同
様、隔壁に相当する部分だけで接合することである。多
孔質膜内層と多孔質膜外層との一体化の状態を図12
(c)に示す。
【0030】蓋材または底材としての多孔質積層膜Aと
基材Bの隔壁部分との一体化は、熱融着、粘着または接
着剤により行うことができる。一体化は図12(d)に
示すように、多孔質膜内層の隔壁と貼り合わせる部分に
熱融着剤、粘着剤または接着剤が取り付けられる。多孔
質積層膜を隔壁と接合するまでは、図12(c)に示す
ように接着剤等の表面には離型紙を取り付けておいても
よい。図12(d)には、このようにして多孔質積層膜
と基材の隔壁部とが一体化された状態を示す。
【0031】熱融着はそれぞれの熱融着材料の融点付近
もしくは融点以上の温度の加熱による圧着により接着す
る。熱融着を行う場合それぞれの熱融着材料の融点は接
近していることが望ましい。熱融着は多孔質積層膜を作
製してからそれを基材と接着してもよいし、多孔質膜内
層、多孔質膜外層および基材を3者同時に接着してもよ
い。
【0032】粘着剤または接着剤は反応阻害がなければ
特に制限されない。接着剤としては、アクリル系、ウレ
タン系、エポキシ系、アミノ鎖導入エポキシ系接着剤が
好ましい接着剤として例示できる。また粘着剤としては
アクリル系の水性エマルジョンタイプが例示できる。
【0033】粘着剤または接着剤を用いる場合、基材と
の密着性を向上させるため、基材にフレーム処理を施し
てもよい。また低融点のシーラントを塗布するか、熱融
着性シーラントメッシュを介して高分子材料が溶融しな
いような低融点で熱融着する方法を用いることもでき
る。この方法を用いれば、全面を加熱しても材料の物性
変化や変形が生じることもないので、パターン加熱、位
置合わせ等の工程を回避できる。
【0034】また多孔質膜外層は、遺伝子増幅装置内で
の遺伝子増幅の後、この膜に固定された遺伝子をさらに
増幅させるため、またはハイブリダイゼーション解析に
用いるため、一連の工程の最後に剥離する必要がある。
そのため比較的緩和な条件での熱融着、接着剤により擬
似接着、または粘着されていることが好ましい。
【0035】底材または蓋材としての多孔質積層膜は、
好ましくはその各層が独立して隔壁から着脱し得るよ
う、構成される。着脱可能とするためには、多孔質膜の
各層のいずれかに隔壁の部位にそって粘着剤をパターン
塗布する、あるいは凹凸嵌合を設置する等、いずれの方
法によってもよい。多孔質膜は各反応槽単位で独立して
剥離し得るようにしてもよい。
【0036】本発明の遺伝子増幅装置は、実験の都合に
より所望の形状の反応槽が所望の数含まれるよう、形成
すればよい。本発明の遺伝子増幅装置をシート状に成形
し、これを必要に応じて切り取って使用してもよい。
【0037】本発明の遺伝子増幅装置は多孔質積層膜の
更に外側に着脱可能に防水性膜14を設けてもよい。防
水性膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィンフィルム、PETフィルム、ポリ塩化ビニ
ルフィルム等の高分子フィルムが例示される。
【0038】本発明の遺伝子増幅装置が防水性膜14を
有する場合には、各反応槽5内へ培養液6を添加し、そ
れぞれの目的遺伝子を有する宿主細胞を接種してそのま
ま培養すればよい(図2)。
【0039】本発明の遺伝子増幅装置において、防水性
膜を設けない場合は、本発明の遺伝子増幅装置を図3に
示すごとく、バット中で水中へ浸けて培養に用いればよ
い。防水性膜は、操作環境が湿潤で、底部分からの乾燥
が防止できる場合、あるいは多孔質膜下層2bのDNA
固定容量が十分であり、吸着されなかったDNAが底部
分からリークしない場合には必要がない。
【0040】いずれの場合にも、本発明の遺伝子増幅装
置に宿主細胞を接種し、増殖させる際、反応槽内部は図
4に示すごとくなる。
【0041】本発明の遺伝子増幅装置を用いて得られる
遺伝子固定化膜を複製するため、本発明はさらに接種用
治具を提供する。接種用治具としては、図5に示すごと
き本発明の遺伝子増幅装置の反応槽の形状に位置決めさ
れた棒状突起を有する接種用治具10が例示される。か
かる接種用治具を用いることによって、容易に遺伝子固
定化膜の複製を得ることができる。
【0042】次いで、本発明の遺伝子増幅方法について
説明する。本発明の遺伝子増幅方法においては、本発明
の装置の反応槽内に目的遺伝子を有するベクターが導入
された細胞を接種し、この細胞を培養して、遺伝子の精
製、増殖を行う。本発明の方法により好適に増幅される
目的遺伝子としては、酵母ゲノム遺伝子、ラン藻ゲノム
遺伝子、ヒトゲノム遺伝子等が例示されるが、ベクター
に組み込み可能なサイズのものであれば、特に限定され
ない。
【0043】目的遺伝子をベクターに導入する際、後の
PCR反応を容易にするために、図6に示すごとく、目
的遺伝子の両端に共通のPCRプライマー結合部位を導
入しておくことが好ましい。かかる目的遺伝子をベクタ
ーへ挿入させる方法、およびベクターを用いて宿主細胞
を形質転換する方法は、当業者によく知られている。
【0044】本発明の遺伝子増幅方法において、用いる
宿主細胞−ベクター系は特に限定されず、遺伝子工学の
分野で用いられる大腸菌−M13ファージ、大腸菌−P
UCプラスミド、酵母−YACプラスミド等がいずれも
好適に用いられる。これらは目的遺伝子の種類および解
析目的に応じて適当なものを選択すればよい。特に増殖
に伴いベクターが菌体外へ放出されるような種類の宿主
−ベクター系を用いれば、目的遺伝子を含むベクターが
増殖に伴って菌体外に放出されるため、後の操作が容易
である。かかる宿主−ベクター系としてはベクターにM
13ファージを用い、宿主細胞に大腸菌を用いる方法が
例示される。M13ファージは、増殖に伴い一本鎖のベ
クターが菌体外に放出されるため、後の精製工程が容易
となる。
【0045】遺伝子産生細胞は、多連ディスペンサロボ
ットあるいは図5に示すごとき接種用治具10等で各反
応槽5内へ接種すればよい。また、一旦接種、増殖させ
た細胞を、図5に示すごとくさらに、反応槽に対応する
接種用治具10を用いて他の装置へ接種して複製を作成
してもよい。
【0046】細胞の培養条件としては、それぞれの細胞
に最適な条件を採用すればよく、特に限定されない。通
常、遺伝子操作に使用される細胞についての好適な培養
条件は当業者にはよく知られている。培養は、所望の細
胞の増殖が得られるまで行えばよい。
【0047】宿主細胞が所望の程度まで増殖した後、防
水性膜14を設けた場合はこれを剥離し、多孔質積層膜
Aが底材として使用された場合はそのまま、また多孔質
積層膜が蓋材として使用された場合は増幅装置を上下反
転した後、即ち、いずれの場合も多孔質積層膜Aが下面
にある状態にしてから、培養液を真空吸引や吸水性素材
を底部に接触させて水分の吸水による移動などによって
培養液全体を多孔質積層膜を介して外部へ放出させる
(図7)、あるいは、電極により電圧を印加し、細胞お
よび遺伝子成分を底部に移行させる(図8)などの方法
により、遺伝子を多孔質膜外層2b上へ吸着させる。こ
れらの操作により細胞成分は内部多孔質膜上に保持され
るが、遺伝子を含むベクターは底部の外部多孔質膜に吸
着される。所望により、熱処理により細胞やタンパク質
成分を凝固、沈殿してもよい。こうして、産生された遺
伝子は細胞と分離される。
【0048】あるいは、用いた系が培養後にもベクター
を放出しない宿主−ベクター系である場合には、超音波
破砕、界面活性剤添加後に振とうなどの方法により細胞
を破壊した後に、上記方法により細胞残渣と核酸を分離
すればよい。
【0049】次いで、遺伝子を吸着した多孔質膜外層2
bを剥離する。この膜は必要に応じて洗浄、ブロッキン
グ、熱処理を行った後、PCR法による遺伝子のさらな
る増幅へ供することもできるし、この遺伝子の解析を行
うための供試体としてハイブリダイゼーションシートを
作製して利用することもできる。洗浄は、膜上の細胞残
渣等の夾雑物の除去のために行われる。ブロッキングに
よりベクターDNAの膜以外への吸着が防止されると共
に、PCRにより産生されるDNAの吸着を防止し、回
収率を向上させることができる。ブロッキングは、通常
行われている方法を用いればよく、例えばカゼイン、B
SA等の不活性タンパク質、トリトンX−100、トゥ
イーン系界面活性剤によるメンブレン表面の吸着などの
方法が挙げられる。
【0050】ベクターが宿主外へ放出される、宿主−ベ
クター系の場合、遺伝子を吸着した多孔質膜外層2bを
剥離した後、細胞を保持している多孔質膜内層へ新たな
多孔質膜外層を設置し、細胞培養および遺伝子の分離、
吸着を繰り返してもよい。
【0051】また、反応槽内での細胞培養後、各反応槽
に対応するように位置決めされた棒状の突起が集合した
接種用治具に各反応槽中の細胞を付着させ、新たな装置
に移植してもよい(図5参照)。その後、上記と同様に
して遺伝子の増幅、精製を行い、多孔質膜外層に遺伝子
を吸着させればよい。この方法によれば、同じ遺伝子の
配列を有する遺伝子固定化膜の複製が容易に得られる。
【0052】遺伝子を吸着させた多孔質膜外層は、必要
に応じて洗浄、ブロッキング、熱処理した後、隔壁およ
び所望により防水性膜を再設置してPCR法に供すれば
よい。あるいは、多孔質膜外層を剥離することなく、反
応槽内を洗浄して細胞成分を除き、そのままPCR工程
に供してもよい。
【0053】PCR法は反応槽内へtaqポリメラーゼ
のごとき耐熱性のポリメラーゼ、増幅用プライマーおよ
びdATP,dTTP、dCTP、dGTP、マグネシ
ウム塩などの必要な成分を含む反応溶液を添加して行
う。増幅用プライマーとしては、増幅しようとする各遺
伝子の両端と相補的なオリゴヌクレオチドであり、上述
のごとく各ベクターへ共通するプライマー反応部位を挿
入しておけば、それぞれの反応槽内の遺伝子の増幅を同
時に行うことができる。PCR法は当業者によく知られ
ている方法であり、所定量の反応溶液を添加した後、公
知の熱サイクルを繰り返すことにより、反応槽5内でそ
れぞれの遺伝子が増幅される。
【0054】PCR反応時にはさらに、DNA合成の有
無を確認するため、エチジウムブロマイド等のインター
カレート性の蛍光試薬を添加してもよい。
【0055】本発明の方法により増幅された各遺伝子
は、ピペッティングなどによって回収しても、別の多孔
質膜に写し取った後固定化してハイブリダイゼーション
等の解析に供してもよい。
【0056】本発明により得られる遺伝子を吸着させた
多孔質膜は、乾燥状態で冷暗所、より好ましくは不活性
ガス充填雰囲気下で保存することにより長期保存するこ
とが可能であり、必要な際にPCR法により増幅させて
もよい。
【0057】細胞の培養、遺伝子の増幅、精製等の各工
程における反応液の供給は一般には反応槽の開口部より
行う。しかし、防水性膜を有していない場合、あるいは
防水性膜を除いた後には底部分の多孔質膜を介して行っ
てもよい。また、吸水性素材を反応槽に充填することに
よって、反応液供給の効率を上げることもできる。
【0058】
【実施例】以下実施例により本願をさらに詳細に説明す
る。実施例は本願を限定するものではない。実施例 1:多孔質積層膜を底材として用いる例 防水性膜14を最下層とし、その上に孔径・材質の異な
る2層の多孔質膜(2a,2b)が積層して形成される
底材1と、多孔質膜の上部に設けられた隔壁4とにより
形成される複数の反応槽5よりなる遺伝子増幅装置を用
い、以下のごとく本発明を実施した。多孔質膜内層2a
および多孔質膜外層2bにはそれぞれ平均孔径0.8μ
mのPVDFメンブレン(商品名「デュラポアメンブレ
ン」;ミリポア社製)およびナイロンメンブレン(商品
名「ハイボンドN+」;アマシャム社製)を用いた。ま
た基材Bとしては127×83mm、深さ10mmのセ
ルを386個有するアクリル製の隔壁4を使用した。図
9および図10に遺伝子増幅方法の概略を示した:
【0059】a) 各反応槽に大腸菌培養用培地、大腸
菌(K12株)、各種遺伝子を組み込んだM13ファー
ジ(M13mp18)を加え、37℃にて一晩培養す
る。場培養中、菌液が蒸発しないように、シリコンゴム
製の蓋を嵌め込んで取り付けた。ここで遺伝子を組み込
んだM13ファージは図6に示すごとくプライマー認識
部位を組み込んだ遺伝子の両端に有するものである。
【0060】b) 最下層の防水性膜14を除いた後、
吸水性濾紙9を重層した上にこれをのせ、解放面から加
圧する。これより培養液は吸水性濾紙9に移行するが、
その際、大腸菌7'は多孔質膜内層2aに残り、M13
ファージ8'は多孔質膜外層2bに吸着、固定化され
る。
【0061】c) 多孔質膜外層2bを剥離してM13
ファージ8’を固定化した膜を得る。
【0062】d) M13ファージを固定化した膜上に
新たに隔壁4’を設置して、反応槽5’を形成する、
【0063】e) d)の遺伝子増幅装置を、taqポ
リメラーゼ、増幅用プライマー、dNTP、マグネシウ
ム塩、増幅確認用のエチジウムブロマイドを含むバッフ
ァーを加えたバッチ内へ浸漬する、
【0064】f) 95℃、50℃、60℃の熱サイク
ル反応に供してPCR反応を進行させ、PCR反応終了
後、各反応槽のエチジウムブロマイド蛍光強度を測定し
てDNAの増幅の有無を調べる。増幅したDNAを回収
する。
【0065】実施例 2:多孔質積層膜を蓋材として用
いる例 図11により、多孔質積層膜を蓋材として用いる遺伝子
増幅方法を説明する。隔壁と底部が一体化された、深さ
が10mm、直径3.5mmの反応槽を384個有する
基材3をABS樹脂を用いて射出成形法により形成し
た。それぞれ異なる酵母ゲノム遺伝子を連結したM13
ファージを感染した大腸菌を含む菌液をそれぞれの反応
槽に加え(図11a)、基材の上から蓋材を被せて反応
槽を密閉した(図11b)。蓋材は、ナイロンメンブレ
ン(商品名「ハイボンドN+」;アマシャム社製)であ
る多孔質膜外層2bおよび平均孔径4μmを有するPV
DFメンブレン(商品名「デュラポアメンブレン」;ミ
リポア社製)を多孔質膜内層2aとする多孔質積層膜A
を用いた。多孔質膜内層は、基材3の隔壁に相当する部
分を熱板で240℃で3秒間熱溶融して緻密化(図12
の15で表示)して菌液が反応槽間で混ざり合わないよ
うに処理を行った。多孔質積層膜の上には更に再剥離可
能な粘着剤を塗布したポリエステル製の防水フィルム1
4をその粘着剤により最外層に覆せた。多孔質積層膜の
上に遠心力を加えて、菌液を底部分に寄せた後、蓋部分
を上にした状態で37℃で2昼夜培養を行った。培養終
了後、防水膜を剥がし、増幅装置を上下反転した(図1
1c)。底となった多孔質積層膜の下側に実施例1と同
様に吸水性材料を当て、吸水性材料側から真空吸引し
て、菌液を多孔質積層膜を介して濾過した。大腸菌はP
VDF膜にトラップされ、M13ファージがナイロン膜
に吸着固定された。
【0066】M13ファージ吸着ナイロン膜を剥離し、
固定面の反対側から0.5N・NaOH、1.5N・Na
Cl溶液をしみこませ、ファージの殻蛋白質を変性さ
せ、DNAをメンブレンに固定させた。2×SSC、ト
リス-塩酸バッファー(pH7.4)で洗浄乾燥させ、ハ
イブリダイゼーションシートを得た。解析しようとする
酵母のmRNAより、32Pで放射性ラベルしたcDNA
を調製した。得られたハイブリダイゼーションシートで
サザンハイブリダイゼーションを行い、BAS1000
(富士フィルム社製)を用いて相補性の有無を検討し
た。
【0067】
【発明の効果】本発明の遺伝子増幅装置を用いる本発明
の遺伝子増幅方法によれば、多種類の遺伝子を、同時に
増幅、精製可能である。また、容易に同一配列の複製を
行うことができる。更に増幅した結果、多種類の遺伝子
を固定した膜を利用して効果的に遺伝子の解析を行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の遺伝子増幅装置の一例を示す。
【図2】 本発明の遺伝子増幅装置の一例を示す。
【図3】 本発明の遺伝子増幅装置の一例を示す。
【図4】 本発明の遺伝子増幅装置の反応槽内の状態を
示す。
【図5】 本発明に有用な植菌用治具および複製方法を
示す。
【図6】 本発明において好適に用いられるベクターを
示す。
【図7】 遺伝子を多孔質膜外層2bに吸着させる手段
の一例を示す。
【図8】 遺伝子を多孔質膜内層2bに吸着させる手段
の一例を示す。
【図9】 本発明の実施例1の手順を示す。
【図10】 図9に続き本発明の実施例1の手順を示
す。
【図11】 本発明の実施例2の手順を示す。
【図12】 底材1または蓋材1'としての多孔質積層
膜の1例。
【符号の説明】 1:底材、1':蓋材、2a:多孔質膜内層、2b:多
孔質外層、3:底を有する基材、4、4’:隔壁、5、
5’:反応槽、6:培養液、7:宿主細胞、7’:大腸
菌、8:ベクター、8’:M13ファージ、9:吸水性
濾紙、10:接種用治具、11:プライマー、dNT
P、Taqポリメラーゼ、マグネシウム塩、エチジウム
ブロマイドを含むバッファー、12:加熱ブロック、1
3:増幅された遺伝子、14:防水性膜、15:多孔質
膜内層に形成された緻密部、16、16':接着剤、粘着
剤または熱融着剤、17:離形紙、A:多孔質積層膜、
B:基材。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:19) (72)発明者 中川 美和 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 岡 素裕 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞不透過性かつ核酸透過性の多孔質膜
    内層2aおよび核酸吸着能を有し且つ核酸を固定し得る
    多孔質膜外層2bの少なくとも2層からなり蓋材または
    底材として働く多孔質積層膜(A)と複数のセルを形成
    した基材(B)とにより形成される複数の反応槽を有す
    る遺伝子増幅装置。
  2. 【請求項2】 多孔質積層膜(A)が蓋材として働き、
    複数のセルを形成する基材(B)が隔壁および底板とし
    て働く請求項1記載の遺伝子増幅装置。
  3. 【請求項3】 多孔質積層膜(A)が底材として働き、
    複数のセルを形成する基材(B)が隔壁のみからなる請
    求項1記載の遺伝子増幅装置。
  4. 【請求項4】 多孔質積層膜(A)を構成する少なくと
    も2層の多孔質膜2aおよび2bが互いに着脱可能であ
    る請求項1記載の遺伝子増幅装置。
  5. 【請求項5】 多孔質積層膜(A)のさらに外側に、着
    脱可能な防水膜が設けられている請求項1記載の遺伝子
    増幅装置。
  6. 【請求項6】 多孔質膜内層2aの基材隔壁に接する部
    分が、熱溶融、有機溶剤による溶着または細孔への樹脂
    等の固形物による充填により隔壁に相当する形状に非多
    孔質化された請求項1記載の遺伝子増幅装置。
  7. 【請求項7】 複数のセルを形成した基材(B)が高分
    子材料である請求項1記載の遺伝子増幅装置。
  8. 【請求項8】 複数のセルを形成した基材(B)が射出
    成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、トランスファー
    成形またはブロー成形により形成される請求項7記載の
    遺伝子増幅装置。
  9. 【請求項9】 基材(B)の隔壁が基材を構成する底板
    上にスクリーン印刷、ロールコーティングまたはディス
    ペンサーにより厚膜塗布を行うことにより形成される請
    求項2記載の遺伝子増幅装置。
  10. 【請求項10】 基材(B)の隔壁が基材を構成する底
    板上に発泡性のインキをスクリーン印刷、ロールコーテ
    ィングまたはディスペンサーにより塗布した後熱処理等
    により発泡させることにより形成される請求項2記載の
    遺伝子増幅装置。
  11. 【請求項11】 高分子樹脂板、シートまたはシリコン
    ウエハにレジスト塗布後、マスクを設置し、露光、現像
    後エッチングを行い隔壁を有する基材(B)を形成する
    請求項2に記載の遺伝子増幅装置。
  12. 【請求項12】 高分子樹脂板、シートまたはシリコン
    ウエハをサンドブラスト法またはレーザーアブレーショ
    ン法により処理することにより隔壁を有する基材(B)
    を形成する請求項2記載の遺伝子増幅装置。
  13. 【請求項13】 多孔質膜2aがセルロース濾紙、ガラ
    スフィルター、酢酸セルロースメンブレン、再生セルロ
    ースメンブレン、ポリカーボネートメンブレン、必要に
    応じて表面修飾されたナイロンメンブレンまたはポリビ
    ニリデンフルオライドメンブレンから選ばれ、多孔質膜
    2bがガラスフィルター、ニトロセルロースメンブレ
    ン、ナイロンメンブレン、ジエチルアミノエタンセルロ
    ースメンブレン、プラスチャージ導入ナイロンメンブレ
    ンまたはポリビニリデンフルオライドメンブレンから選
    ばれる請求項1記載の遺伝子増幅装置。
  14. 【請求項14】 蓋材および/または底材を構成する多
    孔質膜同士または多孔質膜と防水膜のそれぞれが接着
    剤、粘着剤または熱融着を用いた擬似接着により積層さ
    れており操作の過程で脱着可能である請求項1記載の遺
    伝子増幅装置。
  15. 【請求項15】 蓋材および/または底材を構成するそ
    れぞれの多孔質膜および防水膜のそれぞれおよび多孔質
    積層膜(A)の基材隔壁と接する側に、隔壁部分に相当
    する形状に、粘着剤をパターン塗布し、もしくは打ち抜
    き加工を施した粘着シートを貼り合わせて蓋材または底
    材が基材の隔壁に接着された請求項1記載の遺伝子増幅
    装置。
  16. 【請求項16】 基材(B)と蓋材または底材としての
    多孔質積層膜(A)が相互に嵌合可能な成形品として形
    成され、相互間が密封および脱着可能な請求項1記載の
    遺伝子増幅装置。
  17. 【請求項17】 細胞不透過性かつ核酸透過性の多孔質
    膜内層2aおよび核酸吸着能を有し且つ核酸を固定し得
    る多孔質膜外層2bの少なくとも2層からなる多孔質積
    層膜(A)およびそれに脱着可能に貼り合わされた防水
    膜とからなる蓋材と複数のセルを形成した基材(B)と
    により形成された複数の反応槽を有する遺伝子増幅装置
    の各反応槽に、遺伝子を産生する細胞を含む菌液を接種
    し、細胞培養、遺伝子の精製、増幅を行った後、装置を
    上下反転し、防水膜を剥がした後、菌液を多孔質積層膜
    (A)を介して分別濾過し、遺伝子を上記多孔質膜2b
    に配列固定する遺伝子増幅方法。
  18. 【請求項18】 細胞不透過性かつ核酸透過性の多孔質
    膜内層2aおよび核酸吸着能を有し且つ核酸を固定し得
    る多孔質膜外層2bの少なくとも2層からなる多孔質積
    層膜およびそれに脱着可能に貼り合わされた防水膜とか
    らなる底材と隔壁とにより形成された複数の反応槽を有
    する遺伝子増幅装置の各反応槽に、遺伝子を産生する細
    胞を含む菌液を接種し、細胞培養、遺伝子の精製、増幅
    を行った後、防水膜を剥がし、菌液を多孔質膜を介して
    分別濾過、遺伝子を上記多孔質膜2bに配列固定する遺
    伝子増幅方法。
  19. 【請求項19】 遺伝子増幅装置の各反応槽に、遺伝子
    を産生する細胞を接種した後、遠心力を加えて細胞を含
    む菌液を反応槽の底部に密着させる請求項17または1
    8記載の遺伝子増幅方法。
  20. 【請求項20】 細胞培養、遺伝子の精製、増幅を行っ
    た後、防水膜を剥がし、遺伝子増幅装置を上下反転する
    かまたはしないで、多孔質積層膜(A)が下側にある状
    態でこれに吸水性材料を接触させるか、または多孔質積
    層膜(A)側から真空吸引することにより、細胞を多孔
    質膜2aにトラップし、細胞外に産生放出された遺伝子
    を多孔質膜2bに配列し固定する請求項17または18
    に記載の遺伝子増幅方法。
  21. 【請求項21】 多孔質積層膜(A)に吸水性材料を接
    触させた後、基材の上表面に50〜100℃に加熱した
    板状ヒーターを接触させ、反応槽内に含まれる空気の熱
    膨張を利用して反応槽内の菌液を押し出し、細胞を多孔
    質膜2aにトラップし、細胞外に産生放出された遺伝子
    を多孔質膜2bに配列し固定する請求項20に記載の遺
    伝子増幅方法。
  22. 【請求項22】 遺伝子産生細胞が、目的遺伝子を含む
    ベクターにて形質転換された宿主細胞である請求項17
    から21のいずれかに記載の遺伝子増幅方法。
  23. 【請求項23】 宿主細胞が大腸菌であり、目的遺伝子
    を含むベクターがM13ファージであり、培養を37℃
    で行う請求項22記載の遺伝子増幅方法。
  24. 【請求項24】 請求項17〜23のいずれかに記載の
    遺伝子増幅方法により得られた遺伝子が配列固定された
    多孔質膜2b上で遺伝子の増幅に必要な試薬を加えるこ
    とを特徴とする遺伝子増幅方法。
  25. 【請求項25】 遺伝子を多孔質膜2bへ固定化した
    後、該膜を剥離し、その上に新たに隔壁を設置して各目
    的遺伝子を増幅させる請求項17〜23のいずれかに記
    載の遺伝子増幅方法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜16のいずれかに記載の遺
    伝子増幅装置を用いて多種類の遺伝子を増幅するにおい
    て、それぞれの反応槽と対応するように位置決めされた
    棒状突起を有する植菌用治具を用いて、反応槽中の遺伝
    子産生細胞を付着して別の容器に接種し、同じ型の遺伝
    子増幅装置の各反応槽に植菌複製を行う請求項17〜2
    5のいずれかに記載の遺伝子増幅方法。
  27. 【請求項27】 植菌用治具が射出成形、押出成形、圧
    縮成形、真空成形、トランスファー成形、ブロー成形に
    より形成される請求項26記載の遺伝子増幅方法。
  28. 【請求項28】 請求項17〜23のいずれかに記載の
    遺伝子増幅方法により得られた遺伝子が配列固定された
    多孔質膜2b上で相補性解析を用いることにより行う遺
    伝子解析方法。
  29. 【請求項29】 目的遺伝子を含むベクターにおいて、
    目的遺伝子の両末端にPCR反応のプライマーに認識さ
    れ得る共通の配列を有する請求項29記載の遺伝子解析
    方法。
  30. 【請求項30】 請求項17〜23の遺伝子増幅方法に
    より作製されたサザンハイブリダイゼーションまたはノ
    ーザンハイブリダイゼーション用基板。
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