JPH10289649A - 電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置

Info

Publication number
JPH10289649A
JPH10289649A JP11176497A JP11176497A JPH10289649A JP H10289649 A JPH10289649 A JP H10289649A JP 11176497 A JP11176497 A JP 11176497A JP 11176497 A JP11176497 A JP 11176497A JP H10289649 A JPH10289649 A JP H10289649A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
emitting device
conductive film
voltage
emitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11176497A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Kamishiro
和浩 神代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP11176497A priority Critical patent/JPH10289649A/ja
Publication of JPH10289649A publication Critical patent/JPH10289649A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出素子の導電性膜と基板または段差形
成部との間に、より強力な結合力を付与させることによ
り、素子製造工程中の加熱工程での温度分布による電子
放出特性の不均一性を緩和すること。 【解決手段】 基板上の対向する電極間に導電性膜を具
備し、この導電性膜内に電子放出部を具備する電子放出
素子であって、前記導電性膜が、金属元素と、B、S
i、P、As、SeおよびTeからなる群から選ばれる
少なくとも1種類の非金属元素を含んでいることを特徴
とする電子放出素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面伝導型電子放
出素子並びにその製造方法、該素子を具備する電子源、
表示パネルおよび画像形成装置に関する。さらに詳しく
は、特定の金属および非金属元素を含む導電性膜を具備
する表面伝導型電子放出素子並びにその製造方法、該素
子を具備する電子源、表示パネルおよび画像形成装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金
属型(以下、「MIM型」という。)や、表面伝導型電
子放出素子等がある。
【0003】FE型の例としてはW.P.Dyke&
W.W.Dolan、“Fieldemissio
n”、Advance in Electron Ph
ysics、8、89(1956)あるいはC.A.S
pindt、“PHYSICALProperties
of thin−film field emiss
ion cathodes with molybde
nium cones”、J.Appl.Phys.,
47,5248(1976)等に開示されたものが知ら
れている。MIM型の例としてはC.A.Mead、”
Operation of Tunnel−Emiss
ion Devices”、J.Apply.Phy
s.、32、646(1961)等に開示されたものが
知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson、RadioEng.Elec
tron Phys.、10、1290(1965)等
に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solid Fi
lms”、9、317(1972)]、In23 /S
nO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:”IEEE Trans.
ED Conf.”、519(1975)]、カーボン
薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、M.ハートウェルの素子構成を図14に模
式的に示す。同図において1は基板である。4は導電性
膜で、この膜はH型形状のパターンにスパッタで形成さ
れた金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成され
る。尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、
W’は、0.1mmで設定されている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フ
ォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を
形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミング
とは前記導電性膜4両端に直流電圧あるいは非常にゆっ
くりとした昇電圧、例えば1V/分程度、を印加通電
し、導電性膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を形成す
ることである。尚、電子放出部5とは、導電性膜4の一
部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行われる
部分である。前記通電フォーミング処理をした表面伝導
型電子放出素子は、上述導電性膜4に電圧を印加し、素
子に電流を流すことにより、上述の電子放出部5より電
子を放出せしめるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】電子放出素子について
は、電子放出素子を適用した画像形成装置が明るい表示
画像を安定して提供できるよう更に安定な電子放出特性
及び電子放出の効率向上が要望されている。ここでの効
率は、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極に電圧
を印加した際に、両電極間を流れる電流(以下、「素子
電流」という。)と真空中に放出される電流(以下、
「電子放出電流という。)との比で評価されるものであ
り、素子電流が小さく、放出電流が大きい電子放出素子
が望まれている。安定的に制御し得る電子放出特性と効
率の向上がなされれば、例えば蛍光体を画像形成部材と
する画像形成装置においては、低電流で明るい高品位な
画像形成装置、例えばフラットテレビが実現できる。ま
た、低電流化にともない、画像形成装置を構成する駆動
回路等のローコスト化も図れる。
【0009】しかしながら、上述のM.ハートウエルの
電子放出素子にあっては、安定な電子放出特性及び電子
放出効率について、必ずしも満足のゆくものが得られて
おらず、これを用いて高輝度で動作安定性に優れた画像
形成装置を提供するのは極めて難しいというのが実状で
ある。
【0010】従来、電子放出素子の導電性膜を構成する
金属元素としては、Pd、Pt、Rh、Ru、Ag、A
u、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、T
a、W、Pb等を用いてきたが、このような金属元素の
みからなる導電性膜では、基板や段差形成部(垂直型表
面伝導型電子放出素子の場合)との間の結合力が小さい
ために、電子放出部の寿命に係わる耐久性や製造工程中
の加熱工程での温度分布によって生じる電子放出特性の
不均一性の改善が望まれていた。
【0011】本発明は、電子放出素子の導電性膜と、基
板または段差形成部との間に、より強力な結合力を付与
させることにより、例えば素子製造工程中の加熱工程で
の温度分布による電子放出特性の不均一性を緩和するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】上記課題は、本
発明により解決することができる。すなわち本発明は、
基板上の対向する電極間に導電性膜を具備し、この導電
性膜内に電子放出部を具備する電子放出素子であって、
前記導電性膜が、金属元素と、B、Si、P、As、S
eおよびTeからなる群から選ばれる少なくとも1種類
の非金属元素を含んでいることを特徴とする電子放出素
子に関する。また本発明は、電子放出素子の製造方法、
電子源、表示パネルおよび画像形成装置をも含むもので
ある。
【0013】すなわち本発明の電子放出素子の製造方法
は、基板上の対向する電極間に導電性膜形成用溶液の液
滴を付与する工程と、この液滴を加熱焼成して導電性膜
を形成する工程と、この導電性膜内に電子放出部を形成
する工程とを含む電子放出素子の製造方法であって、前
記導電性膜形成用溶液として、金属元素と、B、Si、
P、As、SeおよびTeからなる群から選ばれる少な
くとも1種類の非金属元素を含んでいる溶液を使用する
ことを特徴とする。
【0014】本発明の電子源は、電子放出素子と、この
素子への電圧印加手段とを具備する電子源であって、前
記素子が本発明の素子であることを特徴とする。また、
本発明の表示パネルは、電子放出素子およびこの素子へ
の電圧印加手段とを具備する電子源と、前記素子から放
出される電子を受けて発光する蛍光膜とを具備する表示
パネルであって、前記素子が本発明の素子であることを
特徴とする。
【0015】さらに本発明の画像形成装置は、電子放出
素子およびこの素子への電圧印加手段とを具備する電子
源と、前記素子から放出される電子を受けて発光する蛍
光膜と、外部信号を用いて前記素子へ印加する電圧を制
御する駆動回路とを具備する画像形成装置であって、前
記素子が本発明の素子であることを特徴とする。
【0016】導電性膜と基板等との間に従来よりも強力
な結合力が生じるのは、添加された非金属元素の酸化物
が、導電性膜と基板または段差形成部との間の結着剤的
な機能を果たしているためだと推定されている。しかし
ながら出願人は、本発明がこの機能に拘束されることを
意図するものではない。
【0017】導電性膜に含まれる金属元素としては、P
d、Pt、Rh、Ru、Ag、Au、Ti、In、C
u、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pbが挙げら
れる。これらの金属元素をそれぞれ単独または2種類以
上導電性膜に含ませることができ、これらを合金の状態
で導電性膜に含ませることもできる。さらに、導電性膜
に含まれる非金属元素としては、B、Si、P、As、
Se、Teが挙げられる。これらの非金属元素をそれぞ
れ単独または2種類以上導電性膜に含ませることができ
る。
【0018】導電性膜を形成する溶液中(導電性膜形成
用溶液)に含まれる金属化合物としては、焼成可能な錯
体または塩であれば特に制約されないが、水溶液中で安
定なアミン錯体などを用いることができる。また、同じ
く溶液中に含まれる非金属化合物としては、金属化合物
と同様に特に制約はないが、焼成後の導電性膜中に取り
込まれるためには金属化合物中の配位子となるような化
合物を用いることができる。上記溶液は、水を主な溶媒
とすることができる。
【0019】加熱焼成によって得られる導電性膜中の非
金属元素含有量は、全金属含有量を100mol%とし
た場合、1〜50mol%の範囲が適当である。
【0020】添加された非金属元素の酸化物を、導電性
薄膜と基板または段差形成部との間の結着剤とする単純
なモデルを想定すると、少なくとも基板との間の結着剤
として作用するためにはlmol%以上(導電性薄膜の
膜厚から算出)非金属元素が必要となる。また、非金属
元素の添加量が多いほど基板または段差形成部との間の
結合力は大きくなるが、好ましい添加量としては50m
ol%以下である。
【0021】前記溶液中の金属濃度範囲は、用いる金属
元素の種類や金属塩の種類によって最適な範囲が多少異
なるが、重量で0.01%以上、5%以下の範囲が適当
である。
【0022】金属濃度が低すぎる場合、電極間に所望の
量の金属を付与するために多量の前記溶液の液滴の付与
が必要になり、その結果液滴付与に要する時間が長くな
るのみならず、電極間に無用に大きな液溜りを生じてし
まい所望の位置のみに金属を付与する目的が達成できな
くなる。
【0023】逆に前記溶液の金属濃度が高すぎると、電
極間に付与された液滴が後の工程で乾燥あるいは焼成さ
れる際に著しく不均一化する場合があり、その結果とし
て導電性膜が不均一になり電子放出素子の特性を悪化さ
せる。
【0024】前記溶液に水溶性ポリマーを添加すること
によって、電極間に付与された液滴の凝集を防ぐことが
できる。その水溶性ポリマーとして、例えば、ポリビニ
ルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル
アミド、ポリビニルピロリドンなどが用いられる。これ
らを2種類以上添加することもできる。その水溶性ポリ
マーの添加量は、0.01〜0.5重量%の範囲が適当
である。
【0025】さらに、前記溶液にアルコールを添加する
ことによって、水溶性ポリマーの添加によって高くなっ
た溶液粘度を低下させることができ、取扱いが容易にな
る。そのアルコールとして、例えば、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブ
タノールなどが用いられる。これらを2種類以上添加す
ることもできる。その低級アルコールの添加量は、5〜
35重量%とすることができる。
【0026】35重量%以上では電極間に付与された液
滴が後の工程で乾燥あるいは焼成される際に不均一化
し、その結果として導電性膜が不均一になり電子放出素
子の特性を悪化させる。また、5重量%以下では低級ア
ルコール添加の効果は見られない。
【0027】上記溶液を電極間に付与する手段は、液滴
を形成し付与することが可能ならば任意の方法でよい
が、特に微小な液滴を効率良く適度な精度で発生付与で
き、制御性も良好なインクジェット方式が便利である。
インクジェット方式にはピエゾ素子等のメカニカルな衝
撃、すなわち圧電体に電圧を印加した時の変形力、によ
り液滴を発生付与する方式(以下、ピエゾジェット方式
と記載する)や、微小ヒータ等で液を加熱し発生させた
バブルにより液滴を発生付与するバブルジェット方式
(以下BJ方式と記載する)があるが、いずれの方式で
も十ナノグラム程度から数十マイクログラム程度までの
微小液滴を再現性良く発生し電極間に付与することがで
きる。この方式で使用されるインクジェットのヘッドの
例を図2および図3に示す。図2、3において、21は
ヘッド本体、22はヒーターまたはピエゾ素子、23は
インク流路、24はノズル、25はインク供給管、26
はインク溜めをそれぞれ示す。図2は単発ヘッド、図3
は単発ヘッドを並列に配置し、導電性膜形成用溶液の吐
出および基板等への溶液の付着に要する時間を短縮しよ
うとするものであり、ノズル数は特に限定されるもので
はない。上記手段で電極間に付与された上記溶液は、乾
燥、焼成工程を経て導電性膜となることにより、電極間
に電子放出のための薄膜が形成される。
【0028】乾燥工程は通常用いられる自然乾燥、送風
乾燥、熱乾燥等を用いればよい。焼成工程は通常用いら
れる加熱手段を用いれば良い。乾燥工程と焼成工程とは
必ずしも区別された別工程として行う必要はなく、連続
して同時に行ってもかまわない。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明を適用しうる好ましい態様
は表面伝導型電子放出素子であり、この表面伝導型電子
放出素子の基本的な構成には大別して、平面型及び垂直
型の2つの構成が上げられる。平面型表面伝導型電子放
出素子について説明する。図1は本発明の表面伝導型電
子放出素子の構成を示す模式図であり、図1(a)は平
面図、図1(b)は断面図である。図1において、1は
基板、2、3は素子電極、4は導電性膜、5は電子放出
部をそれぞれ示す。基板1としては、石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板
ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2 を積層し
たガラス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基
板等を用いることができる。
【0030】対向する素子電極2、3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、C
u、Pd等の金属或はこれらの合金、およびPd、A
g、Au、RuO2 、Pd−Ag等の金属、合金或は金
属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In2
3−SnO2 等の透明導電体およびポリシリコン等の半
導体材料等より適宜選択することができる。
【0031】素子電極間隔L、素子電極長さW、電極の
厚さd、導電性膜4の形状等は、応用される形態等を考
慮して設計される。素子電極間隔Lは、好ましくは、数
千Åから数百μmの範囲とすることができ、より好まし
くは、素子電極間に印加する電圧等を考慮して数μmか
ら数十μmの範囲とすることができる。
【0032】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とするこ
とができる。素子電極2、3の膜厚dは、数百Åから数
μmの範囲とすることができる。尚、図1に示した構成
だけでなく、基板1上に、導電性膜4、対向する素子電
極2、3の順に積層した構成とすることもできる。
【0033】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましく、その膜厚は、素子電極2、3へのステップカバ
レージ、素子電極2、3間の抵抗値及び後述する通電フ
ォーミング条件等を考慮して、適宜設定されるが、通常
は数Åから数千Åの範囲とすることが好ましく、より好
ましくは10〜500Åの範囲とするのが良い。その抵
抗値は、RS が102から107 Ωの値である。なおRS
は、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の長さ方向に
測定した抵抗Rを、R=RS (l/w)とおいたときに
現れる量であり、抵抗率をρとするとRs=(ρ/t)
となる。
【0034】本明細書において、フォーミング処理につ
いては、通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミン
グ処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生じ
させて高抵抗状態を形成する処理を包含するものであ
る。
【0035】導電性膜4は、PdO、SnO2 、In2
3 、PbO、Sb23 等の金属酸化物、HfB2
ZrB2 、LaB6 、CeB6 、YB4 、GdB4 等の
金属硼素化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、Si
C、WC等の金属炭化物、TiN、ZrN、HfN等の
金属窒化物を含むこともできる。
【0036】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子がここに
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、数Åから数千Åの範囲、好ましく
は10〜200Åの範囲である。なお、本明細書では頻
繁に「微粒子」という言葉を用いるので、その意味につ
いて説明する。
【0037】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく原子の数が数百個程度以下のものを「ク
ラスター」と呼ぶことは広く行われている。しかしなが
ら、それぞれの境は厳密なものではなく、どの様な性質
に注目して分類するかにより変化する。また「微粒子」
と「超微粒子」を一括して「微粒子」と呼ぶ場合もあ
り、本明細書中での記述はこれに沿ったものである。
【0038】「実験物理学講座14 表面・微粒子」
(木下是雄 編、共立出版 1986年9月1日発行)
では次のように記述されている。「本稿で微粒子と言う
ときにはその直径がだいたい2〜3μm程度から10n
m程度までとし、特に超微粒子と言うときは粒径が10
nm程度から2〜3nm程度までを意味することにす
る。両者を一括して単に微粒子と書くこともあってけっ
して厳密なものではなく、だいたいの目安である。粒子
を構成する原子の数が2個から数十〜数百個程度の場合
はクラスターと呼ぶ」(195ページ22〜26行目)
付言すると、新技術開発事業団の“林・超微粒子プロジ
ェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさら
に小さく、次のようなものであった。「創造科学技術推
進制度の“超微粒子プロジェクト”(1981〜198
6)では、粒子の大きさ(径)がおよそ1〜100nm
の範囲のものを“超微粒子”(ultra fine
particle)と呼ぶことにした。すると1個の超
微粒子はおよそ100〜108 個くらいの原子の集合体
という事になる。原子の尺度でみれば超微粒子は大〜巨
大粒子である。」(「超微粒子−創造科学技術−」林主
税、上田良二、田崎明 編;三田出版 1988年 2
ページ1〜4行目)「超微粒子よりさらに小さいもの、
すなわち原子が数個〜数百個で構成される1個の粒子
は、ふつうクラスターと呼ばれる」(同書2ページ12
〜13行目)上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数Å〜10Å程度、上限は数ミク
ロン程度のものを指すこととする。
【0039】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜4の膜
厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法
等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、数
Åから数百Åの範囲の粒径の導電性微粒子が依存する場
合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する
材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するもの
となる。電子放出部5及びその近傍の導電性膜4には、
炭素及び炭素化合物を有することもできる。
【0040】以下、図1及び図4を参照しながら製造方
法の一例について説明する。図4においても、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。
【0041】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等
を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー
技術を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する〔図
4(a)〕。
【0042】2)素子電極2、3を設けた基板1に、イ
ンクジェット方式により導電性膜形成用溶液の液滴を付
与して〔図4(b)〕、この液滴を乾燥・焼成して導電
性膜4を形成する〔図4(c)〕。本発明では上述のよ
うに、金属・非金属元素を含んだ導電性膜形成用溶液を
使用する。ここでは、金属・非金属元素を含んだ導電性
膜形成用溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性膜4
の形成法はこれに限られるものではなく、真空蒸着法、
スパッタ法、化学的気相堆積法、ディッピング法、スピ
ンナー法等を用いることもできる。
【0043】3)つづいて、フォーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極2、3間に不図示の電源を
用いて、通電を行うと、導電性膜4の部位に、構造の変
化した電子放出部5が形成される〔図4(d)〕。通電
フォーミングによれば導電性膜4を局所的に破壊、変形
もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。該
部位が電子放出部5を構成する。通電フォーミングの電
圧波形の例を図5に示す。
【0044】電圧波形は、パルス波形が好ましい。これ
にはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加
する図5(a)に示した手法とパルス波高値を増加させ
ながら電圧パルスを印加する図5(b)に示した手法が
ある。
【0045】図5(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1μ秒〜
10m秒、T2は、10μ秒〜100m秒の範囲で設定
される。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク
電圧)は、表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜
選択される。このような条件のもと、例えば、数秒から
数十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定さ
れるものではなく、矩形波など所望の波形を採用するこ
とができる。
【0046】図5(b)におけるT1及びT2は、図5
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度ずつ、増加させることができる。
【0047】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電
流を測定し、抵抗値を求めて、1Mオーム以上の抵抗を
示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0048】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、
著しく変化する工程である。
【0049】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲
気は例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用い
て真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機
ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプ
などにより一旦十分に排気した真空中に、適当な有機物
質のガスを導入することによっても得られる。このとき
の好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真
空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるた
め、場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質として
は、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、
ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン
酸等の有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メ
タン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和
炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成
式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メ
タノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミ
ン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオ
ン酸等が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在
する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に
堆積し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化す
るようになる。
【0050】活性化工程の終了判定は素子電流Ifと放
出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なお、パルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0051】炭素及び炭素化合物とは、グラファイト
(いわゆる高配向性熱分解炭素HOPG、熱分解炭素P
G、無定形炭素GCを包含する、HOPGはほぼ完全な
グラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が200Å程度
で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が20Å程
度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指
す)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、ア
モルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合
物を指す)であり、その膜厚は500Å以下の範囲とす
るのが好ましく、300Å以下の範囲とするのがより好
ましい。
【0052】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことが出来る。
【0053】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成
分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有
機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新た
に堆積しない分圧で1×10-8Torr以下が好まし
く、さらには1×10-10 Torr以下が特に好まし
い。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。この
ときの加熱条件は80〜250℃、好ましくは150℃
以上で、できるだけ長時間行うのが望ましいが、特にこ
の条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、
電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条
件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが
必要で、1〜3×10-7Torr以下が好ましく、さら
に1×10-8Torr以下が特に好ましい。
【0054】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を
採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の
堆積を抑制でき、結果として素子電流If、放出電流I
eが、安定する。
【0055】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図6、図7を参
照しながら説明する。図6は、真空処理装置の一例を示
す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置とし
ての機能をも兼ね備えている。図6においても、図1に
示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符
号を付している。図6において、65は真空容器であ
り、66は排気ポンプである。真空容器65内には電子
放出素子が配されている。即ち、1は電子放出素子を構
成する基体であり、2及び3は素子電極、4は導電性
膜、5は電子放出部である。61は、電子放出素子に素
子電圧Vfを印加するための電源、60は素子電極2・
3間の導電性膜4を流れる素子電流Ifを測定するため
の電流計、64は素子の電子放出部より放出される放出
電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。63は
アノード電極64に電圧を印加するための高圧電源、6
2は素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを
測定するための電流計である。一例として、アノード電
極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極
と電子放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲とし
て測定を行うことができる。
【0056】真空容器65内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気中での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ66は、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ
等からなる超高真空装置系とにより構成されている。こ
こに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、
不図示のヒーターにより加熱できる。従って、この真空
処理装置を用いると、前述の通電フォーミング以降の工
程も行うことができる。
【0057】図7は図6に示した真空処理装置を用いて
測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係を模式的に示した図である。図7においては、放
出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、
任意単位で示している。尚、縦、横軸ともリニアスケー
ルである。
【0058】図7からも明らかなように、本発明を適用
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て対する三つの特徴的特性を有する。即ち、(i)本素
子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図7中のVth)
以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加
し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほ
とんど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明
確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。 (ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存す
るため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。 (iii)アノード電極64に捕捉される放出電荷は、
素子電圧Vfを印加する時間に依存する。すなわち、ア
ノード電極64に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを
印加する時間により制御できる。
【0059】以上の説明により理解されるように、本発
明を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に
応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。
この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成
した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能と
なる。
【0060】図7においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vf
に対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(不図示)。また、こ
れら特性は、前述の工程を制御することで制御できる。
本発明の電子放出素子の応用例について以下に述べる。
本発明の表面伝導型電子放出素子の複数個を基板上に配
列し、例えば電子源あるいは、画像形成装置が構成でき
る。
【0061】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直行する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これ
とは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に
複数配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極
の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配さ
れた複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線
に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは
所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配
置について以下に詳述する。
【0062】本発明の表面伝導型電子放出素子について
は、前述したとおり(i)ないし(iii)の特性があ
る。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、
しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加する
パルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一方、しきい
値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によれ
ば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、個
々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号
に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放出
量を制御できる。
【0063】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図8を用いて説明する。図8において、81は電子
源基板、82はX方向配線、83はY方向配線である。
84は表面伝導型電子放出素子、85は結線である。
尚、表面伝導型電子放出素子84は、平面型あるいは垂
直型のどちらであってもよい。
【0064】m本のX方向配線82はDX1、DX2、
・・・DXmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ
法等を用いて形成された導電性金属等で構成することが
できる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設定される。Y
方向配線83はDY1、DY2、・・・DYnのn本の
配線よりなり、X方向配線82と同様に形成される。こ
れらm本のX方向配線82とn本のY方向配線83との
間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を
電気的に分離している(m、nは、共に正の整数)。
【0065】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線82を形成した基板81の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線82とY方向配線83の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
82とY方向配線83は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0066】表面伝導型放出素子84を構成する一対の
電極(不図示)は、m本のX方向配線82とn本のY方
向配線83と、導電性金属等からなる結線85によって
電気的に接続されている。配線82と配線83を構成す
る材料、結線85を構成する材料、結線85を構成する
材料、及び一対の素子電極を構成する材料はその構成元
素の一部あるいは全部が同一であっても、またそれぞれ
異なってもよい。これら材料は、例えば前述の素子電極
の材料より適宜選択される。素子電極を構成する材料と
配線材料が同一である場合には、素子電極に接続した配
線は素子電極ということもできる。
【0067】X方向配線82には、X方向に配列した表
面伝導型放出素子84の行を選択するための走査信号を
印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一
方、Y方向配線83には、Y方向に配列した表面伝導型
放出素子84の各列を入力信号に応じて、変調するため
の不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出
素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走
査信号と変調信号の差電圧として供給される。上記構成
においては、単純なマトリクス配線を用いて、個別の素
子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。
【0068】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図9と図10及
び図11を用いて説明する。図9は、画像形成装置の表
示パネルの一例を示す模式図であり、図10は、図9の
画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図1
1はNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うため
の駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0069】図9において、81は電子放出素子を複数
配した電子源基板、91は電子源基板81を固定したリ
アプレート、96はガラス基板93の内面に蛍光膜94
とメタルバック95等が形成されたフェースプレートで
ある。92は支持枠であり該支持枠92には、リアプレ
ート91、フェースプレート96がフリットガラス等を
用いて接続されている。98は外囲器であり、例えば大
気中あるいは、窒素中で、400〜500度の温度範囲
で10分以上焼成することで、封着して構成される。
【0070】84は図1における電子放出部に相当す
る。82、83は表面伝導型電子放出素子の一対の素子
電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0071】外囲器98は上述の如く、フェースプレー
ト96、支持枠92、リアプレート91で構成される。
リアプレート91は主に基板81の強度を補強する目的
で設けられるため、基板81自体で十分な強度を持つ場
合は別体のリアプレート91は不要とすることができ
る。即ち、基板81に直接支持枠92を封着し、フェー
スプレート96、支持枠92及び基板81で外囲器98
を構成しても良い。一方、フェースプレート96、リア
プレート91間に、スペーサーとよばれる不図示の支持
体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を
もつ外囲器98の構成することもできる。
【0072】図10は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜94は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成
することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の
配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリ
クスなどと呼ばれる黒色導電材101と蛍光体102と
から構成することができる。ブラックストライプ、ブラ
ックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必
要となる三原色蛍光体の各蛍光体102間の塗り分け部
を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光
膜94における外光反射によるコントラストの低下を抑
制することにある。ブラックストライプの材料として
は、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、
導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用いる
ことができる。
【0073】ガラス基板103に蛍光体を塗布する方法
はモノクローム、カラーによらず、沈殿法、印刷法等が
採用できる。蛍光膜94の内面側には通常メタルバック
95が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光
体の発光のうち内面側への光をフェースプレート96側
へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子
ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させる
こと、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメー
ジから蛍光体を保護すること等である。メタルバック
は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる)を行い、その後
A1を真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0074】フェースプレート96には、更に蛍光膜9
4の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。前述の封着を行う際に
は、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応
させる必要があり、十分な位置合わせが不可欠となる。
図9に示した画像形成装置は、例えば以下のようにして
製造される。
【0075】外囲器98は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の
排気管を通じて排気し、10-7Torr程度の真空度の
有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成され
る。外囲器98の封止後の真空度を維持するために、ゲ
ッター処理をおこなうこともできる。これは、外囲器9
8の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるい
は高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器98内の所
定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸
着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主
成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×
10-5ないしは1×10-7Torrの真空度を維持する
ものである。ここで、表面伝導型電子放出素子のフォー
ミング処理以降の工程は、適宜設定できる。
【0076】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図11を用いて説明する。図11において、
111は画像表示パネル、112は走査回路、113は
制御回路、114はシフトレジスタである。115はラ
インメモリ、116は同期信号分離回路、117は変調
信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0077】表示パネル111は、端子Dox1ないし
Doxm、端子Doy1ないしDoyn、及び高圧端子
Hvを介して外部の電気回路と接続している。端子Do
x1ないしDoxmには、表示パネル内に設けられてい
る電子源、即ち、M行N列の行列状にマトリクス配線さ
れた表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順
次駆動する為の走査信号が印加される。
【0078】端子Dy1ないしDynには、前記走査信
号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各
素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加さ
れる。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば
10K[V]の直流電圧が供給されるが、これは表面伝
導型電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を
励起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧
である。
【0079】走査回路112について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各ス
イッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル111の端子Dx1ないしDxmと電気的に
接続される。S1ないしSmの各スイッチング素子は、
制御回路103が出力する制御信号Tscanに基づい
て動作するものであり、例えばFETのようなスイッチ
ング素子を組み合わせる事により構成する事ができる。
【0080】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電
子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力す
るよう設定されている。制御回路113は、外部より入
力する画像信号に基づいて適切な表示が行われるように
各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路113
は、同期信号分離回路116より送られる同期信号Ts
yncに基づいて、各部に対してTscanおよびTs
ftおよびTmryの各制御信号を発生する。
【0081】同期信号分離回路116は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路116により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜
上、Tsync信号として図示した。前記テレビ信号か
ら分離された画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号
と表した。該DATA信号はシフトレジスタ114に入
力される。
【0082】シフトレジスタ114は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路113より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジ
スタ114のシフトクロックであると言うこともでき
る)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータ
は、Id1ないしIdnのN個の並列信号として前記シ
フトレジスタ114より出力される。
【0083】ラインメモリ115は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路113より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶さ
れた内容は、Id’1ないしId’nとして出力され、
変調信号発生器117に入力される。
【0084】変調信号発生器117は、前記画像データ
Id’1ないしId’nの各々に応じて、表面電動型電
子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であ
り、その出力信号は、端子Doy1ないしDoynを通
じて表示パネル111内の表面伝導型電子放出素子に印
加される。
【0085】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vth
があり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出
が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素
子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。こ
のことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、
例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても電子放
出は生じないが、電子放出しきい値の電圧を印加する場
合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高
値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強度を
制御する事が可能である。また、パルスの幅Pwを変化
させる事により出力される電子ビームの電荷の総量を制
御する事が可能である。
【0086】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器117として、一定長さの電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波
高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いること
ができる。
【0087】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器117として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。シフトレジスタ114やラインメモリ1
15は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のも
のでも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換
や記憶が所定の速度で行われれば良いからである。
【0088】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路116の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これは116の出力部にA/D変換
器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ115
の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変
調信号発生器117に用いられる回路が若干異なったも
のとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の
場合、変調信号発生器117には、例えばD/A変換回
路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パル
ス幅変調方式の場合、変調信号発生器117には、例え
ば、高速の発振器および発振器の出力する波数を計数す
る計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリ
の出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せ
た回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパル
ス幅変調された変調信号を表面電動型電子放出素子の駆
動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加すること
もできる。
【0089】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器117には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を
採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動
電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもで
きる。
【0090】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1ないしDoxm、Doy1ないしDoy
nを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ず
る。高圧端子Hvを介して、メタルバック95、あるい
は透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加
速する。加速された電子は、蛍光膜94に衝突し、発光
が生じて画像が形成される。
【0091】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式をあげたが、入力信号はこれに
限られるものではなく、PAL、SECAM方式などの
他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例え
ば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも
採用できる。
【0092】次に、はしご型配置の電子源及び画像形成
装置について図12、図13を用いて説明する。図12
は、はしご型配置の電子源の一例を示す模式図である。
図12において、120は電子源基板、121は電子放
出素子である。122、Dx1〜Dx10は、電子放出
素子121を接続するための共通配線である。電子放出
素子121は、基板120上に、X方向に並列に複数個
配されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複
数個配されて、電子源を構成している。各素子行の共通
配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に
駆動させることができる。即ち、電子ビームを放出させ
たい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子
ビームを放出しない素子行には、電子放出しきい値以下
の電圧を印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx
9は、例えばDx2、Dx3を同一配線とすることもで
きる。
【0093】図13は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。130はグリッド電極、131は電子が通過する
ための空孔、132はDox1、Dox2...Dox
mよりなる容器外端子である。133はグリッド電極1
30と接続されたG1、G2...Gnからなる容器外
端子、134は各素子行間の共通配線を同一配線とした
電子源基板である。図13においては、図9、12に示
した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一
の符号を付している。ここに示した画像形成装置と図9
に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな
違いは、電子源基板120とフェースプレート96の間
にグリッド電極130を備えているか否かである。
【0094】図13においては、基板120とフェース
プレート96の間には、グリッド電極130が設けられ
ている。グリッド電極130は、表面伝導型放出素子か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ
状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応
して1個ずつ円形の開口131が設けられている。グリ
ッドの形状や設置位置は図13に示したものに限定され
るものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数
の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型放
出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0095】容器外端子132およびグリッド容器外端
子133は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。本例の画像形成装置では、素子行を1列ずつ順次駆
動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画像
1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、
各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ライ
ンずつ表示することができる。
【0096】発明の画像形成装置は、テレビジョン放送
の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の
表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プ
リンターとしての画像形成装置等としても用いることも
できる。
【0097】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】実施例1〜4および比較例1 石英ガラス基板上に、表1のように調製した溶液(金属
重量濃度3%)の液滴をスピンコート(800rpm、
30秒、1H−DS、MIKASA社製)により付与
し、この液滴を80℃で2分間熱風乾燥させ、さらに3
50℃で15分間加熱焼成することによって導電性膜を
形成した。なお、導電性膜は焼成後2%H2 /98%N
2 大気圧ガス中で還元処理を施した。
【0099】ESCA750、島津製作所社製を用い
て、X線励起光電子分光法(XPSスペクトル)によ
り、得られた導電性膜と基板との化学的な結合の有無を
評価した。代表的な例として、Pdを含む溶液にSi化
合物を添加した溶液から得られた導電性膜(Si/P
d)のXPSスペクトルを図15に示した。この図よ
り、Si添加によってPdの金属状態を示すピークが高
結合エネルギー側にブロードニングを起こしており、金
属Pd中に酸化状態となっている成分が存在しているこ
とがわかる。これに伴いSiのピーク位置も通常のSi
2 の状態より低結合エネルギー側にあり還元状態にあ
ることがわかった(不図示)。つまり、金属Pdと、基
板に用いられている石英の主成分と同じ構成分子である
SiO2 との間に電子の授受が起こっていることを示し
ており、化学的な結合の存在を示唆している。上記(S
i/Pd)以外の非金属化合物および金属化合物の組み
合わせの導電性膜についても同様なスペクトルが観測さ
れた。
【0100】
【表1】
【0101】実施例5 電子放出素子として図1に示すタイプの電子放出素子を
作成した。図1(a)は本素子の平面図を、図1(b)
は断面図を示している。また、図1(a)、(b)中の
記号1は基板、2および3は素子に電圧を印加するため
の一対の素子電極、4は導電性膜、5は電子放出部を示
す。なお、図中のLは素子電極2と素子電極3の素子電
極間隔、Wは素子電極長さを示している。
【0102】図4(a)〜(d)を用いて、本実施例の
電子放出素子の作成方法を述べる。基板1として石英ガ
ラス基板を用い、これを有機溶剤により充分に洗浄後、
基板面上にNiを真空蒸着法により堆積後、フォトリソ
グラフィー技術を用いて素子電極2、3を形成した〔図
4(a)〕。素子電極間隔Lは3μmとし、素子電極長
さwを500μm、その厚さdを1000Åとした。
【0103】ポリビニルアルコールを重量濃度0.05
%、2−プロパノールを重量濃度18%溶解した水溶液
に、テトラモノエタノールアミンーパラジウム酢酸〔P
d(NH2 CH2 CH2 OH)4 (CH3 COO)2
を、パラジウム重量濃度約0.375%となるように溶
解した。次にこの溶液全体を100重量%としてこの溶
液に、酢酸パラジウム(Pd(CH3 COO)2 )に4
倍当量の3−アミノプロピルトリエトキシシラン〔NH
2 (CH23 Si(OCH2 CH33 〕を添加した
2−プロパノール溶液(パラジウム重量濃度1.75%
溶液)を、約7重量%添加して導電性膜形成用溶液を得
た。
【0104】この溶液の液滴をBJ方式のインクジェッ
ト装置(BC−01、キヤノン社製の部品を使用)によ
って電極2、3を形成した石英ガラス基板の上に電極
2、3にまたがるように付与し〔図4(b)〕、80℃
で2分間熱風乾燥させた。次に350℃で12分間加熱
焼成して導電性膜4を形成した〔図4(c)〕。
【0105】次に、真空容器中で素子電極2および3の
間に電圧を印加し、導電性膜4を通電処理(フォーミン
グ処理)することにより、電子放出部5を作成した(図
4(d))。フォーミング処理の電圧波形を図5に示
す。
【0106】本実施例では電圧波形のパルス幅T1を1
m秒、パルス間隔T2を10m秒とし、三角波の波高値
(フォーミング時のピーク電圧)は5Vとし、フォーミ
ング処理は約1×10-6Torrの真空雰囲気下で60
秒間行った。このように作成された電子放出部5は、パ
ラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状
態となり、その微粒子の平均粒径は50Åであった。
【0107】以上のようにして作成された素子につい
て、その電子放出特性を図5の構成の測定評価装置によ
り測定した。本電子放出素子及びアノード電極54は真
空装置内に設置されており、その真空装置には不図示の
排気ポンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備
されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行える
ようになっている。なお本実施例では、アノード電極と
電子放出素子間の距離を4mm、アノード電極の電位を
1kV)電子放出特性測定時の真空装置内の真空度を1
×10-6Torrとした。
【0108】以上のような測定評価装置を用いて、本電
子放出素子の電極2及び3の間に素子電圧を印加し、そ
の時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定した
ところ、図6に示したような電流−電圧特性が得られ
た。本素子では、素子電圧7V程度から急激に放出電流
Ieが増加し、素子電圧12Vでは素子電流Ifが0.
8mA、放出電流Ieが0.4μAとなった。電子放出
効率Ie/Ifは0.05%となった。
【0109】以上説明した実施例中、電子放出部を形成
する際に、素子の電極間に三角波パルスを印加してフォ
ーミング処理を行っているが、素子の電極間に印加する
波形は三角波に限定することはなく、矩形波など所望の
波形を用いても良く、その波高値及びパルス幅・パルス
間隔等についても上述の値に限ることなく、電子放出部
が良好に形成されれば所望の値を選択することが出来
る。
【0110】実施例6 実施例5と同様の方法で得られたNiからなる素子電極
が形成された石英ガラス基板上に、実施例5と同様の方
法で得られた金属・非金属化合物混合溶液の液滴をBJ
方式のインクジェット装置により、電極2、3にまたが
るように付与し、80℃で2分間熱風乾燥させ、350
℃で15分間加熱焼成することによって導電性膜を形成
した。さらに、実施例5と同様なフォーミング処理によ
って電子放出部となる亀裂を形成した。その後、実施例
5と同様な処理を行うことによって電子放出が見られる
ことを確認した。
【0111】アノード電極64の替わりに、前述した蛍
光膜とメタルバックを有するフェースプレートを真空装
置内に配置した。こうして電子放出部からの電子放出を
試みたところ、蛍光膜の一部が発光し、素子電流Ifに
応じて発光の強さが変化した。こうして本素子が発光表
示素子(パネル)として機能することがわかった。
【0112】実施例7 多数の素子電極とマトリクス状配線とを形成した基板
(図8参照)の各対向電極に対してそれぞれ実施例5と
同様にして金属・非金属化合物混合溶液をBJ方式のイ
ンクジェット装置により付与し、焼成したのち、フォー
ミング処理を行って電子放出部を形成し、電子源基板と
した。
【0113】この電子源基板にリアプレート91、支持
枠92、フェースプレート96を接続し真空封止して図
9の概念図に従う画像形成装置を作成した。端子Dox
lないしDox16と端子DoylないしDoy16を
通じて各素子に時分割で所定電圧を印加し、端子Hvを
通じてメタルバックに高電圧をに印加することによっ
て、任意のマトリクス画像パターンを表示することがで
きた。Siを添加せずに上記の工程と全く同一の工程で
形成した画像形成装置に比べて、画像パターンの輝度の
均一性が向上していることを目視で確認した。
【0114】比較例2 ポリビニルアルコールを重量濃度0.05%、2−プロ
パノールを重量濃度25%溶解した水溶液に、テトラモ
ノエタノールアミン−パラジウム酢酸をパラジウム重量
濃度0.5%となるように溶解し、導電性膜形成用溶液
を得た。この溶液の液滴を用いた以外は実施例5と同様
に電子放出特性を評価した。その結果、素子電圧12V
では素子電流Ifが0.8mA、放出電流Ieが0.4
μAとなり、電子放出効率が0.05%であった。これ
は実施例5の電子放出効率と同様な値であった。さら
に、上記素子を用いて画像形成装置を作製したところ、
画像パターンに輝度むらが生ずることが確認された。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、導電性膜が金属お
よび非金属元素を含むことによって、導電性膜と基板ま
たは段差形成部との間に化学的な結合が生じるため、素
子製造工程中の加熱工程での温度分布などによる電子放
出特性の不均一性が緩和されて電子放出効率が向上す
る。また、このような導電性膜を具備した素子を用いた
画像形成装置の画像パターンの輝度むら(不均一性)を
抑制することができる。また、本発明に用いる導電性膜
形成用溶液は水溶液であるため、電子放出素子の製造時
に万一の火災等の事故が起こりがたく、安全である。
【0116】さらに、本発明の電子放出素子の製造方法
では、前記溶液の液滴をインクジェット方式で付与する
ため、所定の位置に必要なだけ液滴を付与でき、付与さ
れた液滴がにじむことがないため、材料コストと作業コ
ストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の適用可能な表面伝導型電子放出素子
の構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【図2】 本発明に適用可能な導電性膜形成用溶液吐出
ヘッドの構成の一例を示す模式図である。
【図3】 本発明に適用可能な並列型導電性膜形成用溶
液吐出ヘッドの構成の一例を示す模式図である。
【図4】 本発明の表面伝導型電子放出素子の製造方法
の一例を示す模式図である。
【図5】 本発明の表面伝導型電子放出素子の製造に際
して採用できる通電フォーミングの処理における電圧波
形の一例を示す模式図である。
【図6】 測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を
示す模式図である。
【図7】 本発明の表面伝導型電子放出素子についての
放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の一
例を示すグラフである。
【図8】 単純マトリクス配置した本発明の電子源の一
例を示す模式図である。
【図9】 単純マトリクス配置した本発明の画像形成装
置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図10】 蛍光膜の一例を示す模式図である。
【図11】 画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号
に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブロッ
ク図である。
【図12】 梯子配置した本発明の電子源の一例を示す
模式図である。
【図13】 梯子配置した本発明の画像形成装置の表示
パネルの一例を示す模式図である。
【図14】 ハートウェルの表面伝導型電子放出素子の
一例を示す模式図である。
【図15】 石英ガラス基板上のSi添加Pd微粒子膜
のXPSスペクトル図である。
【符号の説明】
1:基板、2、3:素子電極、4:導電性膜、5:電子
放出部、21:ノズル本体、22:ヒーターまたはピエ
ゾ素子、23:インク流路、25:インク供給管、2
6:インク溜め、60:素子電極2、3間の導電性膜4
を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、61:
電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、6
2:電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定す
るための電流計、63:アノード電極64に電圧を印加
するための高圧電源、64:素子の電子放出部より放出
される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、6
5:真空装置、66:排気ポンプ、81:電子源基板、
82:X方向配線、83:Y方向配線、84:表面伝導
型電子放出素子、85:結線、91:リアプレート、9
2:支持枠、93:ガラス基板、94:蛍光膜、95:
メタルバック、96:フェースプレート、97:高圧端
子、98:外囲器、101:黒色導電材、102:蛍光
体、103:ガラス基板、111:表示パネル、11
2:走査回路、113:制御回路、114:シフトレジ
スタ、115:ラインメモリ、116:同期信号分離回
路、117:変調信号発生器、VxおよびVa:直流電
圧源、120:電子源基板、121:電子放出素子、1
22:Dx1〜Dx10は、前記電子放出素子を配線す
るための共通配線、130:グリッド電極、131:電
子が通過するための空孔、132:Dox1、Dox
2...Doxmよりなる容器外端子、133:グリッ
ド電極130と接続されたG1、G2。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の対向する電極間に導電性膜を具
    備し、この導電性膜内に電子放出部を具備する電子放出
    素子であって、前記導電性膜が、金属元素と、B、S
    i、P、As、SeおよびTeからなる群から選ばれる
    少なくとも1種類の非金属元素を含んでいることを特徴
    とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記金属元素が、Pd、Pt、Rh、R
    u、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Z
    n、Sn、Ta、WおよびPbからなる群から選ばれる
    少なくとも1種類の金属元素であることを特徴とする請
    求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記導電性膜中の非金属元素含有量が、
    前記金属の含有量100mol%に対して、1〜50m
    ol%であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    つに記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 基板上の対向する電極間に導電性膜形成
    用溶液の液滴を付与する工程と、この液滴を加熱焼成し
    て導電性膜を形成する工程と、この導電性膜内に電子放
    出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法で
    あって、前記導電性膜形成用溶液として、金属元素と、
    B、Si、P、As、SeおよびTeからなる群から選
    ばれる少なくとも1種類の非金属元素を含んでいる溶液
    を使用することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金属を0.01〜5重量%含む水溶
    液を使用して前記導電性膜を形成することを特徴とする
    請求項5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記水溶液がさらに水溶性ポリマーを含
    んでいることを特徴とする請求項6に記載の電子放出素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアル
    コール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミ
    ド、ポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少な
    くとも1種類のポリマーであることを特徴とする請求項
    7に記載の電子放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記水溶液中の前記水溶性ポリマーの濃
    度が、0.01〜0.5重量%であることを特徴とする
    請求項7または8に記載の電子放出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記水溶液がさらに1価のアルコール
    を含んでいることを特徴とする請求項6〜9のいずれか
    1つに記載の電子放出素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記1価のアルコールが、メタノー
    ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
    ル、2−ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも
    1種類のアルコールであることを特徴とする請求項10
    に記載の電子放出素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記水溶液中の前記1価のアルコール
    の濃度が、5〜35重量%であることを特徴とする請求
    項10または11に記載の電子放出素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記液滴の付与手段がインクジェット
    方式であることを特徴とする請求項5〜12のいずれか
    1つに記載の電子放出素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記インクジェット方式がバブルジェ
    ット方式であることを特徴とする請求項13に記載の電
    子放出素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記インクジェット方式がピエゾジェ
    ット方式であることを特徴とする請求項13に記載の電
    子放出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項5〜15のいずれ
    か1つに記載の電子放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 電子放出素子と、この素子への電圧印
    加手段とを具備する電子源であって、前記素子が請求項
    5〜16のいずれか1つに記載の製造方法に従い製造さ
    れたことを特徴とする電子源。
  18. 【請求項18】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項17に記載の電子
    源。
  19. 【請求項19】 電子放出素子およびこの素子への電圧
    印加手段とを具備する電子源と、前記素子から放出され
    る電子を受けて発光する蛍光膜とを具備する表示パネル
    であって、前記素子が請求項5〜16のいずれか1つに
    記載の製造方法に従い製造されたことを特徴とする表示
    パネル。
  20. 【請求項20】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項19に記載の表示
    パネル。
  21. 【請求項21】 電子放出素子およびこの素子への電圧
    印加手段とを具備する電子源と、前記素子から放出され
    る電子を受けて発光する蛍光膜と、外部信号を用いて前
    記素子へ印加する電圧を制御する駆動回路とを具備する
    画像形成装置であって、前記素子が請求項5〜16のい
    ずれか1つに記載の製造方法に従い製造されたことを特
    徴とする画像形成装置。
  22. 【請求項22】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項21に記載の画像
    形成装置。
JP11176497A 1997-04-15 1997-04-15 電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置 Withdrawn JPH10289649A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11176497A JPH10289649A (ja) 1997-04-15 1997-04-15 電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11176497A JPH10289649A (ja) 1997-04-15 1997-04-15 電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10289649A true JPH10289649A (ja) 1998-10-27

Family

ID=14569599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11176497A Withdrawn JPH10289649A (ja) 1997-04-15 1997-04-15 電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10289649A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002313224A (ja) * 2001-04-17 2002-10-25 Canon Inc 電子放出素子製造用金属組成物、それを用いた電子放出素子の製造方法および画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002313224A (ja) * 2001-04-17 2002-10-25 Canon Inc 電子放出素子製造用金属組成物、それを用いた電子放出素子の製造方法および画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3559689B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP2000195415A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP3217950B2 (ja) 電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製造方法
JP3296549B2 (ja) インクジェット噴射装置及びそれに用いるインクジェットインク
JPH10289649A (ja) 電子放出素子並びにその製造方法、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置
JPH1125852A (ja) 電子源の製造方法、電子源、画像形成装置の製造方法、画像形成装置及び電子源基板の製造装置
JP3596844B2 (ja) 電子放出素子およびその製造方法、並びに電子源および画像形成装置
JP3582761B2 (ja) 電子放出部形成用有機金属化合物、並びに電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3294487B2 (ja) 電子放出素子の製造方法、並びにそれを用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置の製造方法
JP3215322B2 (ja) 電子放出素子製造用の金属含有水溶液、それを用いた電子放出素子、電子源、表示素子および画像形成装置の製造方法
JP3402891B2 (ja) 電子源および表示パネル
JP3428806B2 (ja) 電子放出素子、電子源基板、および画像形成装置の製造方法
JP3548431B2 (ja) 電子源、該電子源を用いた画像形成装置
JP3294486B2 (ja) 電子放出素子の製造方法
JP3587335B2 (ja) 電子放出素子形成用有機金属化合物、並びに電子放出素子および画像形成装置の製造方法
JP3592032B2 (ja) 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JPH11250804A (ja) 画像形成装置の製造方法
JP3217946B2 (ja) 電子放出部形成用材料並びに該材料を用いた電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製造方法
JP2000195417A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JPH11329221A (ja) ペースト状物質の塗布方法及び前記塗布方法を用いた画像表示装置
JPH1012136A (ja) 電子放出素子の製造方法、電子放出素子、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置
JPH09223458A (ja) 電子放出素子、電子源、および画像形成装置の製造方法
JPH1140044A (ja) 電子放出素子及び電子源及び画像表示装置およびそれらの製造方法
JP2000164118A (ja) 表面伝導型電子放出素子、電子源、画像形成装置の製造方法及びその製造に用いる液滴付与装置
JPH103851A (ja) 電子放出素子、電子源、表示パネルおよび画像形成装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040630

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20040830