JPH10287949A - 靱性と加工性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

靱性と加工性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板及びその製造方法

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JPH10287949A
JPH10287949A JP11179397A JP11179397A JPH10287949A JP H10287949 A JPH10287949 A JP H10287949A JP 11179397 A JP11179397 A JP 11179397A JP 11179397 A JP11179397 A JP 11179397A JP H10287949 A JPH10287949 A JP H10287949A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性、特に穴拡げ性に優れた400〜80
0N/mm2 級高強度鋼板を提供する。 【解決手段】 i)Mnを低減しii)Ti量、C量を
規定することによりα域を広げ、熱延終了から巻取まで
の冷却中のTiC析出を促進する。iv)Nbを微量添
加することによって熱延板を細粒化する。さらにv)R
OT冷却速度を制御し、TiCの析出量とベイナイト量
を変え、強度の作り分けを行う。これにより400〜8
00N/mm2級の強度範囲で加工性、特に穴拡げ性に
優れ、かつ靱性にも優れた熱延鋼板を製造することが可
能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、靱性と加工性に優
れた400〜800N/mm2級高強度鋼板及びその製
造方法に関わり、その用途は、自動車、家電、建材等で
ある。
【0002】
【従来の技術】近年自動車、建築等多くの産業分野で部
材の軽量化の要望が高まっておりそれに対応するため、
高強度鋼板が用いられる場合が増えている。そして、こ
れらの鋼板が用いられる用途においてはしばしば高い加
工性、特に穴拡げ性が要求される。また、高強度鋼板に
要求される別の特性としては靱性も挙げられる。加えて
一つの鋼種でこれらの特性を保ちつつ広い強度範囲を作
り分けることが鋼種集約によるコスト削減にも繋がるこ
とは明らかである。
【0003】従来、穴拡げ性に優れた高強度熱延鋼板と
しては、フェライト(F)+マルテンサイト(M)また
は、フェライト(F)+ベイナイト(B)の複合組織に
よる組織強化型の鋼板が多く使われている。しかし、F
+Mの複合組織では高い強度は得られるが穴拡げ性が劣
る。また、F+B鋼は、特開昭57−101649号公
報に示されているように、穴拡げ性には優れているが、
穴拡げ性を確保したまま700N/mm2以上を得るの
は難しい。組織の大部分をフェライトにし、かつTiC
析出強化を利用することで700N/mm2以上の強度
を出し、同時に穴拡げ性を確保したものとしては、特開
平6−200351号公報で開示された発明があるが、
0.5%以上のMnによる固溶強化が必須であり、ま
た、本発明のように広い強度範囲を作り分ける技術では
ない。特公昭56−9223号公報で開示された発明で
は低Mnでも高強度が得られるが、これはTimBnに
よる析出強化を活用するためB添加が必須であり、ま
た、本発明のように広い強度範囲を作り分ける技術でも
ない。600〜800N/mm2級の強度範囲において
穴拡げ性を確保する技術としては、特開平6−1729
24号公報の発明があるが、これはベイネティックフェ
ライトによる組織強化鋼であり、フェライト中のTiC
析出による強化が主である本発明鋼とはその強化機構が
全く異なる。また、低Mn化による効果を狙ったもので
もない。
【0004】靱性に優れた高強度熱延鋼板を製造する技
術としては、特開昭63−134628号公報や特開昭
63−235432号公報などがあるが、いずれも穴拡
げ性との両立を図る技術ではなく、また広い強度範囲を
作り分ける技術でもない。
【0005】穴拡げ性と靱性の両立を図る技術としては
特開平7−150294号公報や、特開平7−2525
91号公報があげられるが、F+Mの複合組織鋼板であ
り本発明で定めたMn量の上限を越えたMnの添加が必
須である。また、本発明のように広い強度範囲を作り分
ける技術でもない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、高
価な固溶強化元素を用いることなく靱性と加工性、特に
穴拡げ性に優れた高強度鋼板を広い強度範囲にわたって
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、オース
テナイトフォーマーであるMnを低減しα域を広げるこ
とによって、熱延終了から巻取前までの冷却中の炭化物
の析出が促進され、析出強化が図られ、かつ、セメンタ
イトの生成量が減少することから穴拡げ性が著しく向上
することを見出した。また、熱延終了から巻取前までの
冷却速度が大きくなるにつれて、炭化物の微細化が促進
され強化への寄与が極めて大きくなることを見出した。
さらに、粗圧延後に曲げ曲げ戻し加工をくわえることに
よって、材質の長手、幅方向の均質化が促進され、コイ
ル内の材質のばらつきが低減されることを見いだした。
そして、この析出強化を活用することによって、低コス
トでかつ靱性と加工性に優れた高強度鋼板を広い強度範
囲において容易に作り分ける技術を確立した。加えてN
bを微量添加する事によって熱延板の細粒化が図られ穴
拡げ性を確保したまま靱性が向上することも見出した。
【0008】すなわち本発明の要旨とするところは下記
の通りである。
【0009】(1) 重量%で、C :0.05〜0.
2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜
0.5%未満、P :0.05%以下、S :0.01
%以下、Al:0.005〜0.1%、N :0.00
7%以下、Ti:0.05〜0.3%、Nb:0.00
5〜0.02%を含有し、残部は鉄および不可避的不純
物よりなり、さらに全C量のうちセメンタイトとして析
出するCの割合M=(C% as セメンタイト)/
(全C%)がM≦0.03であることを特徴とする靱性
と加工性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱
延鋼板。
【0010】(2) 重量%で、C :0.05〜0.
2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜
0.5%未満、P :0.05%以下、S :0.01
%以下、Al:0.005〜0.1%、N :0.00
7%以下、Ti:0.05〜0.3%、Nb:0.00
5〜0.02%を含有し、残部は鉄および不可避的不純
物よりなる鋼を、加熱温度=1200〜1350℃、仕
上げ温度≧(Ar 3−100)℃の熱間圧延を施し、引
き続き600〜750℃まで1〜60℃/sの範囲でか
つ所望の引張強さTS(N/mm2 )に応じて式か
ら求まる冷却速度CR(℃/s)に対して±5℃/sの
範囲内の冷却速度で冷却し、室温〜750℃で巻き取る
ことを特徴とする靱性と加工性に優れた400〜800
N/mm2級高強度熱延鋼板の製造方法。
【0011】 CR=−200(0.5C%+2.5Ti%+Nb%)+TS/3−90 ・・・・・ (3) 前記熱間圧延に際し、粗圧延後の粗バーをコイ
ル状に巻き取り、巻き戻し、その後、仕上圧延に供する
ことを特徴とする上記(2)に記載の靱性と加工性に優
れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板の製造
方法。
【0012】(4) 巻き戻された前記粗バーの先端
を、先行材の後端に接合して、仕上圧延に供することを
特徴とする上記(3)に記載の靱性と加工性に優れた4
00〜800N/mm2級高強度熱延鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における鋼板およびその製
造方法は、C、Ti量、熱延条件を限定すること、Nb
を微量添加することによって、Mnなどの高価な固溶強
化元素を添加することなく、靱性と加工性に極めて優
れ、かつ靱性にも優れた高強度鋼板を広い強度範囲にお
いて提供するものである。以下にその限定理由を述べ
る。
【0014】まず化学成分について、その限定理由を述
べる。
【0015】Cは本発明において最も重要な元素のひと
つである。その量が0.05%以上の範囲ではC量が増
加するのに伴いTiC析出量が増加し強度が高くなる。
しかし、その量が0.2%を超えるとその効果は飽和
し、成形性も低下する。したがって、C添加量の範囲と
しては、0.05〜0.2%とする。この観点から好ま
しくは0.1〜0.15%とする。
【0016】Siは、脱酸のために0.01%以上含有
する。しかし、その含有量が0.5%を越えると溶接性
が劣化する。したがって、Si添加量は0.01〜0.
5%とする。この観点から更に好ましくは0.1〜0.
3%とする。
【0017】Mnは、MnSを生成し固溶Sによる熱間
割れを防止するため0.01%以上添加する。しかし、
0.5%以上添加するとα域が狭くなりTiCの析出が
抑制される。また、粗大なMnSによって穴拡げ性は低
下する。したがって、Mn添加量の範囲としては0.0
1〜0.5%未満とする。この観点から好ましくは0.
01〜0.3%とする。
【0018】Pは、安価な固溶強化元素であるが、0.
05%超では熱間あるいは冷間加工時の割れの原因とな
る。そこで、Pの含有量は0.05%以下とする。ま
た、この観点からより好ましくは0.03%以下とす
る。
【0019】S量は、0.01%超では、γ域でのTi
4 22の析出量が増加するためTiCの析出量が低下
する。また、固溶Sとして残存した場合は熱間割れの原
因となる。このためSは0.01%以下とする。特にT
4 22の生成抑制の観点からはSは0.005%以
下が望ましい。この観点からは0.003%以下が更に
望ましい。
【0020】Alは、脱酸剤として少なくとも0.00
5%を添加することが必要である。しかし、0.1%を
超えるとコストアップとなるばかりか介在物の増加を招
き、加工性を劣化させる。そこで、Al添加量の範囲と
しては0.005〜0.1%とする。
【0021】Nは、窒化物の増加にともない延性の劣化
を招くので少ないほど望ましい。したがって、0.00
7%以下とする。この観点から好ましくは0.003%
以下とする。
【0022】Tiは、本発明において最も重要な元素で
ある。その量が0.05%以上では、Tiの増加に伴い
TiCの析出量が増加し、かつROT冷却速度の上昇に
伴い析出するTiCが微細になり、強度が高くなる。そ
こで、強度レベルに応じて添加する。ただし、その量が
0.3%を越えるとこれらの効果は飽和する。したがっ
て、Ti添加量の範囲は0.05〜0.3%とする。
【0023】また、加工性、特に穴拡げ性を確保するた
めには、全C量のうちセメンタイトとして析出するC量
の割合M=(C% as セメンタイト)/(全C%)
がM≦0.03でなければならない。この観点から好ま
しくはM≦0.01とする。この(C% as セメン
タイト)は以下のようにして求められる。すなわち、非
水溶媒によって抽出した残差を化学分析に供し、Fe量
(=F(g)とする)を測定する。このときサンプル全
体の抽出量をZ(g)とすると、(C% asセメンタ
イト)=F/Z×12/168×100(%)となる。
【0024】Nbは、その量が0.005未満では熱延
板細粒化効果が得られないことから0.005%以上と
する。ただし、その量が0.02%を越えると(1)式
で示した強度と冷却速度の関係から外れてしまうことか
ら0.02%以下とする。
【0025】上記成分を得るための原料は特に限定しな
いが、鉄鉱石を原料として、高炉転炉により成分を調製
する方法以外にスクラップを原料としてもよいし、これ
を電炉で溶製してもよい。スクラップを原料の全部また
は一部として使用する際には、Cu、Cr、Ni、S
n、Sb、Zn、Pb、Mo等の元素を合計で1%未満
含有してもよい。
【0026】つぎに製造プロセスに関する限定理由を述
べる。
【0027】熱間圧延に供するスラブは、とくに限定す
るものではない。すなわち、連続鋳造スラブや薄スラブ
キャスターで製造したものなどであればよい。また、鋳
造後に直ちに熱間圧延を行う、連続鋳造−直接圧延(C
C−DR)のようなプロセスにも適合する。粗圧延の後
にコイルボックスでの巻取、巻戻し処理を行ったり、更
にその後粗圧延板同士を接合し仕上圧延を行う連続熱延
のようなプロセスを行うと材質が均一化し歩留まりも向
上する。
【0028】熱間圧延における加熱温度は、熱延前に生
成されているTiCを再固溶させ、過飽和Tiをできる
だけ多くするために1200℃以上とすることが必須で
ある。しかし、1350℃を超えるとその効果は飽和す
るだけでコストがかかるので、加熱温度は1350℃以
下とする。この観点で好ましくは1300℃未満とす
る。
【0029】仕上圧延における熱延終了温度は、プレス
成形性を確保するために(Ar 3−100)℃以上とす
る必要がある。
【0030】粗圧延終了後には粗バーを一旦コイル状に
巻取ってもよい。このとき、1000℃以下での加熱保
持を行っても良いし、コイルボックスのような物の中で
恒温保持しても良い。大気中での保持でも良い。表面性
状の観点から不活性ガス雰囲気での保持を行っても良
い。このコイルを巻戻した後に、そのまま(Ar 3−1
00)℃以上の仕上げ温度で仕上げ圧延を行っても良い
し、粗バーを接合して連続的に仕上げ熱延を行っても構
わない。このような工程によって材質が均一化し、端部
切り落としの必要が無くなり歩留まりが向上する。また
熱延板の板厚精度も著しく向上する。
【0031】仕上げ圧延後の冷却速度は、1〜60℃/
sの範囲でかつ、所望の引張強さに応じて引張強さと化
学成分とから(1)式で求まる平均冷却速度に対して±
5℃の範囲とする。冷却速度を1℃/s未満する事は設
備上困難でありかつ、格段の効果も得られないことか
ら、冷却速度は1℃/s以上とする。一方60℃/s超
の冷却速度を安定に確保することは難しく、強度のばら
つきの原因となることから冷却速度の上限は60℃/s
とする。
【0032】強度に寄与するTi、C量、引張強度と冷
却速度の関係は以下のようにして調べた。0.09%C
−0.35%Mn−0.002%N−0.009%Nb
鋼をベースにTi含有量を変化させた鋼片を、1250
℃に加熱後仕上げ温度908℃で板厚4mmに仕上げ、
その後種々の冷却速度で冷却した時の冷却速度と組成の
関係を図1に示す。同じ熱延条件で0.3%Mn−0.
0.14%Ti−0.002%N−0.011%Nb鋼
をベースにC含有量を変化させた鋼片について同様の調
査を行った結果を図2に示す。これより、Ti、C量の
増加に比例してTSは上昇することが分かる。また図3
には図1と図2に示した結果を冷却速度CRとTSの関
係にプロットし直した結果を示す。これよりROT冷却
速度に比例してTSは上昇していることが分かる。以上
の関係を式にまとめると下記の様になる。 CR=−200×(0.5×C%+2.5×Ti%)+TS/3−90 ・・・・・(1) 冷却停止温度は、600〜750℃とする。冷却停止温
度を600℃未満とすることは、特段の効果が期待でき
ない上に強度のばらつきの原因となることから、冷却停
止温度の下限は600℃とする。一方、冷却停止温度を
750℃超にすると、冷却中に析出するTiCの量が減
少し強度が低下するため、冷却停止温度の上限は750
℃とする。
【0033】巻取温度は、室温〜750℃の範囲とす
る。巻取温度を750℃超にすることは、強化に寄与し
ている微細炭化物の粗大化を促し強度の低下の原因とな
る。また、設備とコストの観点からも望ましくない。そ
こで、巻取温度の上限は750℃とする。この観点か
ら、巻取温度は、700℃以下にすることが好ましい。
この観点から更に好ましくは600℃以下とする。本発
明においては、強化に寄与している炭化物が粗大化し
て、強度が低下してしまう温度領域未満の温度であれば
基本的にはどの温度で巻き取っても良い。しかし、室温
未満で巻取る事は、過剰な設備が必要となるばかりでな
く特段の効果もない。したがって、巻取温度の下限は室
温とする。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0035】(実施例1)表1に示す化学成分を有する
低炭素鋼を転炉にて出鋼し、連続鋳造機にてスラブとし
た後、1230℃に加熱し、仕上げ温度912℃、板厚
2mmとなるような熱間圧延を行った。表2に示した様
な種々のROT冷却速度(ランアウトテーブル(run
out table)での平均冷却速度)で670℃
まで冷却した後、640℃でコイルに巻き取った。この
ようにして得られた熱延鋼板についてJIS5号による
圧延方向の引張試験、穴広げ試験を行った。穴広げ試験
は、径10mmの打ち抜き穴を60゜円錐ポンチにて押
し広げ、割れが鋼板を貫通した時点での穴径dを測定
し、穴広げ率λを次式にて計算した。
【0036】 λ={(d−10)/10}×100(%) 脆性遷移温度はシャルピー試験によって脆性破面率50
%となる温度とした。
【0037】結果を表2に示す。これから明らかなよう
にMn量が低くC、Ti量が適正な鋼は冷却速度と引張
強度の間にCR=−200×(0.5×C%+2.5×
Ti%)+TS/3−100なる関係を満足し、かつ、
セメンタイトの生成量も少ないため穴拡げ性にも優れて
いる事が分かる。また、本発明の範囲を満足する鋼はい
ずれも脆性遷移温度が−30℃以下と低いのに対して比
較例、特にNbを添加していない鋼L、P、Qでは脆性
遷移温度が高くなっていることがわかる。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】 (実施例2)表1に示した鋼種CとHについて連続鋳造
によって製造したスラブを表中に示した種々の温度で1
時間加熱し、仕上温度915℃、板厚6mmとなるよう
な熱間圧延を行った後、鋼Cは12±2℃/s(希望強
度450N/mm2)、鋼Hは45±3℃/s(希望強
度700N/mm2)のROT冷却速度で640℃まで
冷却した後に、600℃でコイルに巻き取った。このよ
うにして得られた熱延鋼板について、実施例1と同様に
JIS5号による圧延方向の引張試験、穴広げ試験を行
った結果を表3に示す。これより、加熱温度が1200
〜1350℃の範囲内では狙いの強度±20N/mm2
以内の強度が得られているが、加熱温度が1200℃未
満になると強度が狙いの強度に比べて著しく低下し、穴
拡げ性にも劣ることが分かる。
【0040】
【表3】 (実施例3)表4には表1に示した鋼種A、C、D、
J、Pについてスラブを1250℃で加熱し、粗圧延終
了後コイル状に巻き取り直ちに巻き戻した後に仕上げ温
度890℃、板厚4mmとなるような仕上げ圧延を行
い、表中に示したROT冷却速度で700℃まで冷却し
た後コイルに巻き取った場合と、1250度で加熱し、
仕上温度903℃、板厚4mmとなるような熱間圧延を
行った後、表中に示したROT冷却速度で620℃まで
冷却した後550℃でコイルに巻き取った場合につい
て、熱延板の長手方向先端部から10m、中央部、末端
部から10mの各位置から試験片を採取し、実施例1と
同じ試験を行った結果を示す(シャルピー試験は中央部
のみ)。これより、発明例では巻き取り巻き戻しの有無
に関わらずコイル全長で狙いの強度±20N/mm2
確保されているが、巻き取り巻き戻し加工を加えた場合
の方が、コイル材質の均一性により優れているのが分か
る。
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
C、Ti、Nb量、熱延条件を限定することによってM
nなどの高価な固溶強化元素を添加することなく靱性と
加工性に優れた高強度鋼板を広い強度範囲において容易
に提供することができるため、本発明は工業的に価値の
高い発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張強度TSとTi添加量、ROT冷却速度の
関係を示す図である。
【図2】引張強度TSとC添加量、ROT冷却速度の関
係を示す図である。
【図3】引張強度TSとROT冷却速度の関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸田 宏司 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C :0.05〜0.2%、
    Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%
    未満、P :0.05%以下、S :0.01%以下、
    Al:0.005〜0.1%、N :0.007%以
    下、Ti:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜
    0.02%を含有し、残部は鉄および不可避的不純物よ
    りなり、さらに全C量のうちセメンタイトとして析出す
    るCの割合M=(C% as セメンタイト)/(全C
    %)がM≦0.03であることを特徴とする靱性と加工
    性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼
    板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C :0.05〜0.2%、
    Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%
    未満、P :0.05%以下、S :0.01%以下、
    Al:0.005〜0.1%、N :0.007%以
    下、Ti:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜
    0.02%を含有し、残部は鉄および不可避的不純物よ
    りなる鋼を、加熱温度=1200〜1350℃、仕上げ
    温度≧(Ar 3−100)℃の熱間圧延を施し、引き続
    き600〜750℃まで1〜60℃/sの範囲でかつ所
    望の引張強さTS(N/mm2 )に応じて(1)式か
    ら求まる冷却速度CR(℃/s)に対して±5℃/sの
    範囲内の冷却速度で冷却し、室温〜750℃で巻き取る
    ことを特徴とする靱性と加工性に優れた400〜800
    N/mm2級高強度熱延鋼板の製造方法。 CR=−200(0.5C%+2.5Ti%+Nb%)+TS/3−90 ・・・・・(1)
  3. 【請求項3】 前記熱間圧延に際し、粗圧延後の粗バー
    をコイル状に巻き取り、巻き戻し、その後、仕上圧延に
    供することを特徴とする請求項2に記載の靱性と加工性
    に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 巻き戻された前記粗バーの先端を、先行
    材の後端に接合して、仕上圧延に供することを特徴とす
    る請求項3に記載の靱性と加工性に優れた400〜80
    0N/mm2級高強度熱延鋼板の製造方法。
JP11179397A 1997-04-15 1997-04-15 靱性と加工性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3426465B2 (ja)

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JP2009263774A (ja) * 2008-04-03 2009-11-12 Nippon Steel Corp 低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP2011012308A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Nippon Steel Corp バーリング性に優れた高降伏比型熱延鋼板及びその製造方法
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