JPH10281291A - リング状シール材及びその製造方法 - Google Patents

リング状シール材及びその製造方法

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JPH10281291A
JPH10281291A JP8301797A JP8301797A JPH10281291A JP H10281291 A JPH10281291 A JP H10281291A JP 8301797 A JP8301797 A JP 8301797A JP 8301797 A JP8301797 A JP 8301797A JP H10281291 A JPH10281291 A JP H10281291A
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JP
Japan
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sealing material
tube
ring
thickness
shaped sealing
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JP8301797A
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Inventor
Hiroichi Kuno
博一 久野
Masayuki Miura
昌之 三浦
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Japan Gore Tex Inc
Original Assignee
Japan Gore Tex Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄くてもそりがなく、厚みの大小に拘らず締
付け部材と優れた密着性を有し、締付け力を高くできな
い場合であっても、シール性能を満足できるリング状シ
ール材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ンで形成されるリング状のシール材であって、該一軸延
伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンのフィブリルの配
向方向が該シール材の厚さ方向である。一軸延伸多孔質
ポリテトラフルオロエチレン製チューブを、該チューブ
の長手方向に交叉する方向に所定長さ毎に切断する。あ
るいは一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製の
ロッドを、該ロッドの長手方向に交叉する方向に所定長
さ毎に切断してシート状物を得、該シート状物に貫通穴
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管のフランジ部
や軸又はピンの潤滑部等をシールするリング状シール材
及びその製造方法に関し、特にハードディスクドライブ
等のように発塵の防止を必要とする精密電子機器のシー
ルに用いられるリング状シール材及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクドライブの如き精密電子
機器等においては、機器内部を超清浄空間に保つことが
必要であることから、発塵性の少ない素材で作られたシ
ール材が用いられている。発塵性が少なく、耐薬品性に
優れた材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)がある。
【0003】一方、これらの精密機器においては、シー
ル材と締付け部材との接触界面におけるシールが高度に
要求されるが、そのためには締付け面のミクロな凹凸に
シール材が密着する必要がある。しかしながら、構造的
に十分な締付け圧を与えることができない場合が多く、
通常のPTFE、すなわち焼結法により製造された延伸
していない多孔質でないPTFEの切削等により得られ
たPTFE製のシール材では十分な密着性が得られない
ために、高度なシール性を満足できなかった。
【0004】通常のPTFE製に代わるシール材とし
て、特開平2−300568号公報、実開平3−891
33号公報に、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン
(以下「ePTFE」と略記する)フィルムで作成した
シール材が開示されている。ePTFEフィルムは、通
常2軸延伸により、図11に示すような繊維質構造とな
っている。すなわち、延伸前には、PTFEの直鎖状分
子がその長軸方向に平行に整然と並びながら幾重にも折
りたたまれた結晶(折り畳み結晶)のリボンが緩くまる
まった状態にあり、延伸により折りたたみが解けて引き
出された直鎖状の分子の束であるフィブリル1となる。
よって、2軸延伸されてなるフィルムは、図11に示す
ように、フィブリル1が放射状に広がり、フィブリル1
を繋ぐノード2が島状に点在して、フィブリル1とノー
ド2で画された空間3が多数存在するクモの巣状の繊維
質構造となっている。この繊維質構造ゆえに、締付け部
材のミクロな凹凸になじむことが可能となり、シール性
を発揮できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ePTFEフィルムは
一般に、厚みが3〜300ミクロンであることから、厚
みが0.3mm以上のシール材を製造する場合には、何
枚ものフィルムを積層一体化することにより所定厚みの
シートとした後、リング状に打ち抜いている(実開平3
−89133号公報参照)。ここで、フィルムの積層一
体化は、一般に熱圧着により行っている。
【0006】しかし、多軸方向に延伸されることにより
クモの巣状の構造を有するePTFEフィルムを多数重
ねて圧着すると、本来の空孔率が低下し、高度なシール
性が要求される場合には密着性が不十分となる。特に締
付け部材がガラスやセラミックなどのように、締付け力
をあまり上げることができない場合、締付け面との密着
性、シール性が十分満足できるものではなかった。
【0007】一方、薄いシール材の場合には、薄いフィ
ルムを打ち抜いて製造することから、リング状シール材
には反りが生じ易い。反りがあるリング状シール材で
は、ハンドリング性の悪さや位置決めの不良によるシー
ル性の低下が問題になる。
【0008】また、フィルムを打ち抜いて製造する方法
では、図12に示すように、フィルム20からリング状
物21を打ち抜いた後の部分は用途がないため、捨てる
しかなく、経済的でない。
【0009】本発明はこのような事情にかんがみてなさ
れたものであり、その目的とするところは、薄くてもそ
りがなく、厚みの大小に拘らず締付け部材と優れた密着
性を有し、締付け力を高くできない場合であっても、シ
ール性能を満足できるリング状シール材及びその製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るリング状の
シール材は、一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ンで形成されるリング状のシール材であって、該一軸延
伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンのフィブリルの配
向方向が該シール材の厚さ方向であることを特徴とす
る。ここでいうリング状とは、中央に貫通穴が形成され
ている環状をいい、円環状には限定されない。円環状の
リング状のシール材は、長手方向に延伸された多孔質ポ
リテトラフルオロエチレンチューブを、長手方向に対し
て交叉する方向に切断されてなるものが好ましい。
【0011】本発明のリング状シール材の製造方法は、
一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製チューブ
に芯材を挿入した状態で、該一軸延伸多孔質ポリテトラ
フルオロエチレン製チューブを、該チューブの長手方向
に対して交叉する方向に所定長さ毎に切断することを特
徴とする。
【0012】本発明の他の製造方法は、一軸延伸多孔質
ポリテトラフルオロエチレン製チューブに芯材を挿入し
た状態で、該一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ン製チューブとともに芯材を、該チューブの長手方向に
対して交叉する方向に所定長さ毎に切断して芯入りリン
グ状物を得、当該芯入りリング状物から芯を除去するこ
とを特徴とする。
【0013】本発明の他の製造方法は、一軸延伸多孔質
ポリテトラフルオロエチレン製チューブの剛性を高めた
後、該チューブの長手方向に対して交叉する方向に所定
長さ毎に切断することを特徴とする。
【0014】さらに他の製造方法は、一軸延伸多孔質ポ
リテトラフルオロエチレン製のロッドを、該ロッドの長
手方向に対して交叉する方向に所定長さ毎に切断してシ
ート状物を得、該シート状物に貫通穴を形成することを
特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のリング状シール材は、一
軸延伸多孔性ポリテトラフルオロエチレン(以下、「一
軸ePTFE」という)で形成されるシール材であり、
ePTFEのフィブリルの配向方向がシール材の厚み方
向である。
【0016】ここで、ePTFEとは、PTFEのファ
インパウダーを成形助剤と混合することにより得られる
ペーストの成形体から、成形助剤を除去した後、高温高
速度で延伸することにより得られるもので、一軸ePT
FEチューブの場合、円筒形に押し出したペースト成形
体を長手方向に一軸延伸することにより得られる。一軸
延伸の場合、図1に示すように、フィブリル1が1方向
(図中、矢印方向)に配向したすだれ状となり、フィブ
リル1を繋ぐノード2は延伸方向に直角に細い島状とな
っている。そして、フィブリル1間、又はフィブリル1
とノード2で画される空間が空孔3となった繊維質構造
となっている。
【0017】本発明にかかるリング状シール材は、図2
(a)に示すように、長手方向(図中、矢印方向)に延
伸されたePTFEチューブ又はロッドを、長手方向に
対して交叉する方向に切断(図中、切断部を一点鎖線で
示す)して作製(ロッドの場合には切断後、貫通穴を形
成して作製)されることから、得られたリング状シール
材は、図2(b)に示すように、延伸方向がシール材の
厚み方向(図中の矢印方向)となる。従って、一軸eP
TFEのフィブリル1の配向方向が厚み方向となる。厚
み方向に配向したフィブリルは小さな締付け力によって
も容易に折れ曲がる。すなわち、シール材が締付け部材
表面の微小な凹凸になじむように圧縮する。したがっ
て、小さな締付け力であっても、優れたシール性を発揮
できる。一方、従来のフィルムの打ち抜きによって得ら
れたリング状シール材では、フィルムが面方向に一軸又
は二軸で延伸されている結果、そのフィブリルの配向方
向が主として厚み方向とは直交する方向となるため、本
発明のリング状シール材と比べて圧縮率が小さくなり、
シール特性が劣る傾向にある。
【0018】さらに、本発明のリング状シール材におけ
る厚みtは、チューブ又はロッドの切断距離t(図2
(a)参照)を調節することにより、適宜製造すること
ができる。このことは、0.3mm以上のぶ厚いシール
材を製造する場合であっても、フィルムのように積層す
る必要はなく、製造したままの一軸ePTFEチューブ
又はロッドの空孔率を保持できることを意味し、締付け
面が比較的粗い締付け部材に対しても、なじみがよく優
れたシール性を発揮できるようになる。
【0019】さらにまた、フィルムを打ち抜いて製造す
る方法では、リング状物を打ち抜いた後の部分(図12
参照)は捨てるしかなかったが、チューブの切断では捨
てる部分は全くないといえるので、材料を有効に利用す
ることができて経済的である。
【0020】またさらに、フィルムはテンターで引っ張
ることにより延伸されていることから、力がフィルム全
体に均一にかかっているとはいえず、製造上、1枚のフ
ィルムにおける厚みのばらつきが±15%程度は存在す
る。一方、チューブの場合、ダイから1方向に押し出
し、その後延伸することにより製造することから、チュ
ーブの厚みのばらつきは±5%程度で、フィルムに比べ
て小さい。フィルム、チューブの各厚みのばらつきは、
製品としてのシール材の厚み及びリング幅のばらつきと
なる。
【0021】本発明のリング状シール材のサイズは、特
に限定しないが、一軸ePTFEチューブの切断により
製造する場合には、すなわち円環状のリング状シール材
の場合には、内径(d)は0.5〜50mmが好まし
く、特に5.0mm〜30mmが好ましい。外径(D)
は、0.7〜90mmが好ましい。幅(w=(D−d)
÷2)は、0.1〜20mmが好ましく、特に0.5〜
5.0mmが好ましい。内径が大きくなりすぎると、又
は幅が大きくなりすぎると、押し出し成形の引き落とし
率が大きく取れないので十分な粒子配向が得られず、結
局十分な繊維配向が得られないからである。ここで、押
し出し成形の引き落とし率とは、押し出し成形におい
て、ダイの出口部の面積に対する入り口部の面積の比を
いう。すなわち、円筒状押し出し物の成形は、図3に示
すように、外径を決めるアウターダイ4と内径を決める
マンドレル5との間にペースト樹脂を押し出すことによ
り行う。引き落とし率とは、ダイの出口部の開口面積
(A矢視図のチェック部分So)に対するダイの入り口
部の開口面積(B矢視図のチェック部分Si)との比率
(Si/So)であらわされる。延伸後に繊維配向が十分
な繊維質構造を得るためには、押し出し成形段階で、引
き落とし率(Si/So)30以上として、押し出し時の
せん断による十分な粒子配向を確保しておく必要があ
る。粒子配向とは、延伸前のPTFE直鎖状分子の折り
畳み結晶の配向をいい、繊維配向とは、延伸後のフィブ
リルの配向状態をいう。したがって、シール材の幅
(w)が大きくなるということは、マンドレル5の出口
部の径を小さく(Soが大きく)することとなるので、
引き落とし率の低下につながる。一方、幅(w)を一定
にしてシール材の内径(d)を大きくしようとすると、
アウターダイ4の外径をこれに対応して大きくする必要
があることから、結局引き落とし率を大きくできなくな
る。
【0022】本発明のシール材の厚み(t)は特に限定
しないが、0.1〜6.0mmの範囲が好ましく、特に
0.5〜1.5mmの範囲で選択することが好ましい。
0.1mm未満では、圧縮量が小さいのでなじみ性が悪
く、またハンドリング性も悪いからである。一方、6.
0mmを上回ると、浸透漏れが大きくなり、シール性が
低下するとともに、応力緩和が大きくなって初期のシー
ル性能を維持できなくなるからである。
【0023】ここで、シールの漏れには、界面漏れと浸
透漏れとがあり、両者の総合が漏れとなって現われる。
浸透漏れとは、シール材自体から生じる漏れをいい、密
着性には関係しない。一方、界面漏れとは、シール材と
締め付け部材との接触界面からの漏れをいい、締付け圧
を大きくし、密着性を上げることにより、減らすことが
できる。よって、低締付け領域では界面漏れが問題とな
り、高締付け領域ではシール漏れのうち、浸透漏れの比
率が大きくなるので、シール材が厚くなると、ePTF
Eの空孔を無視できなくなる。
【0024】本発明のリング状シール材を構成するeP
TFEの平均孔径は、一軸ePTFEチューブ又はロッ
ド製造時の延伸倍率により適宜設定できるが、0.5〜
5.0ミクロンが好ましく、特に0.5〜1.0ミクロ
ンが好ましい。空孔が大きすぎると、大きな締付け力に
より圧縮限界を超えてシール材が折れ曲がったり、また
浸透漏れが生じて却ってシール性が低下するからであ
る。一方、平均孔径が0.5ミクロン未満では、延伸が
不十分なために、図1に示すような安定した繊維配向が
得られない。
【0025】本発明のリング状シール材を構成するeP
TFEの空孔率も、一軸ePTFEチューブ、一軸eP
TFEロッド製造時の延伸倍率に応じて10〜90%の
範囲内で適宜設定できるが、30〜85%の範囲内で、
シール材の使用条件(締付け部材の表面粗さ、締付け力
など)に応じて選択することが好ましい。空孔率の増加
に従って圧縮率は大きくなり、粗い面に対しても、小さ
な締付け力でシール性を発揮できるが、浸透漏れも大き
くなるからである。前述のように、界面漏れは締付け圧
を大きくすることにより減らすことができることから、
高締付け領域では浸透漏れが大きくなるので、ePTF
Eの空孔率を無視できなくなるからである。
【0026】次に、本発明に係るリング状シール材の主
な製造方法について説明する。本発明のリング状シール
材は、以下の製造方法に限定されないが、本発明の製造
方法によれば、容易に製造することができる。
【0027】まず、第1の製造方法は、一軸ePTFE
チューブに芯材を挿入して、該チューブを長手方向に対
して交叉する方向に、所定長さ毎にカットする方法であ
る。
【0028】ここで、用いられる芯材としては、特に限
定されず、樹脂製又は金属製のロッド、チューブなどを
用いることができる。芯材の外径は、チューブ内径より
5〜20%、特に10〜15%程度大きいものが好まし
く用いられる。チューブに芯材を圧挿することにより、
チューブと芯材との密着性が高まり、後のスライス工程
作業が容易になるからである。
【0029】芯材挿入後、カッター、スライサー等でチ
ューブをカット又はスライスする。この場合、芯材をe
PTFEチューブとともにカットしてもよいし、ePT
FEチューブだけをカットしてもよい。
【0030】ePTFEチューブのみをカットする方法
としては、例えば、カッターをチューブに押し当てた状
態で、チューブを回転させる方法などがある。この際、
芯材をチャックして、チューブを回転させることができ
る。また、図4に示すように、芯材7が圧挿されたeP
TFEチューブ8にカッター9を当てて切り取られてな
るリング状シール材10を、直接フランジ11の取り付
け位置に収納させれば、予めリング状シール材を作製し
た後、これを取り付け位置に搬送し収納する方法と比べ
て生産性が向上する。
【0031】芯材とともにカットする方法では、芯材
は、カットされやすい素材のものを使用する必要があ
る。スライサーで、ePTFEチューブ及び芯材をスラ
イスし、その後、芯材を取り除けばよい。この場合、カ
ットされた状態においても、芯材が挿入されているの
で、シール材が薄い場合であっても、そり等の変形を抑
制した状態で、取り付け位置に搬送することができる。
【0032】また、芯材は、カット時にのみ芯材として
の役目を果たすものであってもよい。例えば、チューブ
内に水を充満させて、水を凍らせる方法がある。かかる
状態では、凍った水、すなわち、氷が芯材の役目を果た
すことになる。このような状態で、上記方法と同様にし
て、カットした後、氷を解凍すればよく、解凍乾燥を迅
速に行うことにより、カット後直接取り付け部材に収納
することもできる。
【0033】また、本発明の他の製造方法(第2の製造
方法)では、ePTFEチューブ自体の剛性を高めるこ
とにより、チューブに芯材を挿入しないでカットするこ
ともできる。
【0034】チューブの剛性を高める方法としては、例
えば、チューブの外表面に、低粘着テープ等を巻き付け
る方法、あるいは、チューブにエタノールを浸透させ
て、液体窒素で凍結させる方法などがある。かかる状態
では、チューブの剛性が高くなっているので、芯材がな
い状態であっても、スライサーでカットすることができ
る。カット後、粘着テープを剥がす、あるいは解凍して
エタノールを蒸発除去すると、リング状のシール材を得
ることができる。
【0035】さらに他の製造方法(第3の製造方法)
は、一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製のロ
ッドを、該ロッドの長手方向に対して交叉する方向に所
定長さ毎に切断してシート状物を得、該シート状物に貫
通穴を形成する。
【0036】ロッドの形状は、丸棒体に限定されず、断
面楕円状;断面四角状などの断面多角形;星形のように
凹部又は凸部を有する複雑な形状など種々の形状の棒状
体を用いることができる。押し出しダイの形状を適宜選
択することにより、種々の断面形状のロッドを用意する
ことができる。そして、用いられるロッドの断面形状に
応じて、図5(a)に示すような四角形のシート状物1
5や図5(b)に示すような五角形のシート状物15な
どが得られる。得られたシート状物において、ePTF
Eのフィブリルの配向方向は、厚み方向(図中、矢印方
向)となっている。
【0037】得られたシート状物の中央部分をプレス等
で打ち抜くことにより、あるいはレーザーカッター等に
より所定形状を切り抜くことにより、貫通穴を形成す
る。形成される貫通穴は、円形、楕円形、多角形など、
プレス等の形状に応じて種々の形状を選択できる。レー
ザーカッター等により切り抜く方法であれば、さらに複
雑な形状の貫通穴を形成することもできる。
【0038】従って、第3の製造方法によれば、、図6
(a)に示すようなシート状物15の外形と相似形の貫
通孔16が形成されたリング状シール材、図6(b)に
示すようなシート状物15の外形とは異なる形状の貫通
孔16′が形成されたリング状シール材など、円環状以
外の種々の形状のリング状シール材を製造することがで
きる。また、ePTFEチューブを用いる製造方法で
は、延伸による多孔質構造を形成するために押し出し成
形の引き落とし率の制約から、得られるリング状シール
材の幅wが一定範囲に限定されるが、第3の製造方法で
は、予め製造されたePTFE製のロッドに適宜方法に
より貫通孔を形成するので、リング状シール材の幅w
(シート状物15の縁部と貫通孔16、16′の縁との
間の距離)を自由に調節することができる。
【0039】以上のような製造方法により製造されたシ
ール材は、素材となる一軸ePTFEチューブ、一軸e
PTFEロッドのいずれも長手方向に延伸されていて、
長手方向に対して交叉する方向に切断することにより得
られるので、フィブリルの配向方向がシール材の厚み方
向となっている。
【0040】
【実施例】以下に、本発明を具体的な実施例に基づいて
説明する。
【0041】実施例1;95%以上の結晶度を有するポ
リテトラフルオロエチレン樹脂85重量部に、ソルベン
トナフサ15重量部を混合して、ペースト樹脂を調整
し、これを押し出し成形して、ペースト状の円筒体を作
成した。押し出し成形時の引き落とし率(Si/So)は
35とした。作成したペースト円筒体を、ソルベントナ
フサの沸点以上に加熱してソルベントナフサを蒸発除去
した後、ポリテトラフルオロエチレンの融点以下の温度
で円筒体の長手方向に、毎秒10%以上の速度で延伸し
た。次いで、延伸した円筒体を、ポリテトラフルオロエ
チレンの融点以上の温度で熱処理することにより結晶の
配向状態を固定して、収縮を防止した。このようにし
て、空孔率が50%で、内径21mm、外径25mmの
一軸ePTFEチューブを得た。
【0042】このようにして作成した一軸ePTFEチ
ューブの外周に、低粘着のクラフトテープを巻き付けて
剛性を高め、スライサーで1.5mm間隔でスライスし
た後、テープを取り外すと、内径×外径×厚みが21m
m×25mm×1.5mmのリング状シール材が得られ
た。
【0043】比較例1;実施例1で調製したペースト状
樹脂を用いて、空孔率が80%で厚み45〜55ミクロ
ンの2軸ePTFEフィルムを得た。このフィルムを5
0枚積層した後、327℃以上で焼成することにより一
体化して、空孔率50%、厚み1.5mmのePTFE
シートを得た。このシートを打ち抜くことにより、内径
×外径×厚みが21mm×25mm×1.5mmのリン
グ状シール材を得た。
【0044】比較例2;実施例1で調製したペースト状
樹脂を押し出し成形した後、成形助剤を乾燥除去後、焼
成して、内径21mm、外径25mmの未延伸PTFE
チューブを得た。このチューブをスライサーで幅1.5
mm間隔でスライスし、内径×外径×厚みが21mm×
25mm×1.5mmのリング状シール材を得た。
【0045】〔評価〕 締付け圧とリーク量との関係 図7(a)に示すように有底円筒体12の上面開口部
に、作成したリング状シール材11をセットし、上面開
口部を蓋体13で覆った。蓋をした状態(図7(b))
で、圧縮エアーを吹き込むことにより、容器12内の内
圧1atmとした。なお、シール材11と接触する円筒
体12及び蓋体13の締付け面の表面仕上は100Sで
ある。
【0046】締付け圧を徐々に上げていき、50kgf
/cm2、100kgf/cm2、150kgf/cm2
でのリーク量を測定した。ここで、締付け圧の調節は蓋
体13にかける荷重により行った。例えば、50kgf
/cm2の締付け圧は70kgfの荷重を負荷すること
により、150kgf/cm2の締付け圧は210kg
fの荷重を負荷することにより行った。リーク量は、コ
ックを閉じてからt秒後の容器12の内圧をゲージで読
み取り、内圧の減少分をP(単位;atm)として、P
×50/t(単位;atm・cc/sec)で求められ
る。ここで、式中の50は、エアーを封じ込めている部
分の容積(cc)である。
【0047】結果を表1及びグラフ(図8)に示す。図
8において、横軸は締付け圧(kgf/cm2)を示
し、縦軸はリーク量(atm・cc/sec)を示して
いる。また、グラフ中、○が実施例1に係るシール材で
あり、△が比較例1に係るシール材であり、□が比較例
2に係るシール材である。
【0048】
【表1】
【0049】表1及び図8からわかるように、いずれの
シール材においても、締付け圧が大きくなる程、リーク
量は少なくなる。しかし、締付け圧が100kgf/c
2以下では、ePTFE製のシール材(実施例1、比
較例1)が優れており、特に50kgf/cm2以下の
低締付け領域では、2軸ePTFEシートから作成した
シール材(比較例1)よりも1軸ePTFEチューブか
ら作成したシール材(実施例1)の方が優れていること
がわかる。
【0050】締付け圧と圧縮率との関係 図9に示すような装置において、シール材(面積1.4
cm2)11をセットし、圧縮板14を矢印方向に下降
(下降速度0.5mm/分)させることにより荷重14
0kgになるまでシール材11を圧縮した後、荷重0k
gになるまで圧縮板14を上昇させた。圧縮板14を昇
降させている間のシール材のひずみ率(%)を計測した
結果をグラフ(図10)に示す。
【0051】図10において、横軸はひずみ率(%)、
すなわち初期厚みに対する厚み変化の割合を示し、縦軸
は締付け圧(kgf/cm2)を示している。また、実
線は実施例1にかかるシール材を示しており、破線は比
較例1に係るシール材を示している。なお、一旦ひずん
だシール材は完全に初期の状態にまでは戻らず、締付け
圧を解除した後も幾分かひずんだ状態となっているた
め、図10において、ヒステリシスが現われている。
【0052】図10から、締付け圧が80kgf/cm
2未満では、実施例1のシール材の方が比較例1のシー
ル材よりも圧縮ひずみが大きいことがわかる。一方、8
0kgf/cm2以上の締付け圧では、逆に比較例1の
シール材の方が大きくなった。締付け圧が大きくなる
と、空孔がほとんど潰れて、変形しにくくなるためであ
る。
【0053】
【発明の効果】本発明のリング状シール材は、延伸によ
り多孔性で且つ1軸延伸方向がシール材の厚み方向であ
ることからフィブリルの配向方向が厚み方向なってい
る。よって、低締付け圧であっても締付け部材表面とよ
くなじむので、締付け面が粗面な締付け部材や強度が低
くて締付け圧を大きくできない締付け部材に対して用い
ても、優れたシール性を発揮することができる。また、
チューブ又はロッドを所定長さ毎にカットして得ること
ができるので、フィルムの打ち抜きよりも材料を有効利
用できて経済的である。さらに、一軸方向に延伸されて
いるチューブ又はロッドを用いることから、多軸延伸を
行ったシートに比べて厚みのばらつきが少なく、同一ロ
ットにおける製品のばらつきが小さい。さらに、ぶ厚い
シール材であってもePTFEチューブ又はロッド製造
時の空孔率を損なうことがないので、締付け部材の表面
粗さや締付け力に応じた所望の空孔率を有するePTF
E製のシール材を容易に得ることができる。
【0054】本発明の製造方法によれば、本発明にかか
るリング状シール部材を容易に製造することができる。
特に、チューブに芯材を挿入した状態でカットする方法
では、芯材をチャックするなど、カット作業が便利であ
る。また、芯材が挿入されたチューブのみをカットする
方法では、カットするとともに取り付け部材への収納が
可能であることから、生産性が向上する。一方、芯材と
ともに、製造する方法では、厚みが薄いリング状シール
材であっても、シール材の形状を保持したまま、次工程
への搬送が可能となる。また、チューブ自体の剛性を高
める方法では、芯材が不要であることから、カッターの
選択幅が広がり、カット後直接取り付け部材に収納する
ことも可能であるし、形状を保持したまま、次工程へ搬
送することも可能である。さらに、ePTFEロッドを
切断した後、貫通穴を形成する方法では、ロッドの断面
形状、貫通穴の形状を適宜選択することにより、円環状
以外の種々の形状のリング状シール材を製造することが
できる他、リングの幅についても広範囲で設定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一軸ePTFEチューブの微細構造の模式図
である。
【図2】 本発明にかかるリング状シール材を説明する
ための図である。
【図3】 引き落とし率を説明するための図である。
【図4】 本発明の第1の製造方法の一実施例を説明す
るための図である。
【図5】 シート状物を表した図である。
【図6】 本発明の第3の製造方法により製造されるリ
ング状シール材の実施例を示す図である。
【図7】 締付け圧とリーク量との関係の測定方法を説
明するための図である。
【図8】 締付け圧とリーク量との関係を示すグラフで
ある。
【図9】 締付け圧とひずみ率との関係の測定する装置
の概略図である。
【図10】 締付け圧とひずみ率との関係を示す示すグ
ラフである。
【図11】 ePTFEフィルムの微細構造の模式図で
ある。
【図12】 従来のリング状シール材の問題点を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 フィブリル 2 ノード 3 空孔 7 芯材 8 チューブ 9 カッター 10 リング状シール材 15 シート状物 16、16′ 貫通穴

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
    レンで形成されるリング状のシール材であって、該一軸
    延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンのフィブリルの
    配向方向が該シール材の厚さ方向であることを特徴とす
    るリング状シール材。
  2. 【請求項2】 長手方向に延伸された多孔質ポリテトラ
    フルオロエチレンチューブを、長手方向に対して交叉す
    る方向に切断されてなるリング状シール材。
  3. 【請求項3】 一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
    レン製チューブに芯材を挿入した状態で、該一軸延伸多
    孔質ポリテトラフルオロエチレン製チューブを、該チュ
    ーブの長手方向に対して交叉する方向に所定長さ毎に切
    断することを特徴とするリング状シール材の製造方法。
  4. 【請求項4】 一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
    レン製チューブに芯材を挿入した状態で、該一軸延伸多
    孔質ポリテトラフルオロエチレン製チューブとともに芯
    材を、該チューブの長手方向に対して交叉する方向に所
    定長さ毎に切断して芯入りリング状物を得、当該芯入り
    リング状物から芯を除去することを特徴とするリング状
    シール材の製造方法。
  5. 【請求項5】 一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
    レン製チューブの剛性を高めた後、該チューブの長手方
    向に対して交叉する方向に所定長さ毎に切断することを
    特徴とするリング状シール材の製造方法。
  6. 【請求項6】 一軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
    レン製のロッドを、該ロッドの長手方向に対して交叉す
    る方向に所定長さ毎に切断してシート状物を得、該シー
    ト状物に貫通穴を形成することを特徴とするリング状シ
    ール材の製造方法。
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