JPH10280527A - 耐力壁の構造 - Google Patents

耐力壁の構造

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JPH10280527A
JPH10280527A JP8072297A JP8072297A JPH10280527A JP H10280527 A JPH10280527 A JP H10280527A JP 8072297 A JP8072297 A JP 8072297A JP 8072297 A JP8072297 A JP 8072297A JP H10280527 A JPH10280527 A JP H10280527A
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Kazuya Kondo
和也 近藤
Yoshiyuki Soraoka
義幸 空岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震等の水平力が作用した際に、縦材に軸力
が殆ど作用しないようにできて曲げ応力のみによって塑
性変形して、耐力壁全体の靱性を向上させることができ
る。 【解決手段】 耐力壁Aは矩形枠1を持ったトラスの構
造である。この耐力壁Aは上下の梁2間又は梁2と土台
3間に配設されて水平荷重は支持するが鉛直荷重は支持
しない状態で取付けられている。矩形枠1内の左右対称
軸上に上下の斜材4間又は斜材4と矩形枠1の上下の横
枠5間を繋ぐ縦材6を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の耐力壁の
構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から矩形枠1内に図4のように斜材
4を配設して斜材4の両端を矩形枠1に固定したトラス
構造の耐力壁Aが知られている。このものは直接斜材4
を矩形枠1に溶接してあるが、上下斜材4a、4bは矩
形枠1の縦枠材8の同一位置において直接調整して連結
してある。このため、耐力壁Aに一定以上の外力が作用
した場合、斜材4から矩形枠1に作用する力が矩形枠1
の上下斜材4a、4bとの接合部付近に集中して作用し
て、矩形枠1に割れや座屈変形が生じやすいという問題
がある。
【0003】そこで、本発明者は本発明に到る過程で、
図5に示すようなトラス構造の耐力壁Aを考えた。この
図5に示す耐力壁Aは、矩形枠1の縦枠材8と上斜材4
aとの連結点と、矩形枠1の縦枠材8と下斜材4bとの
連結点とを上下に離す構成となっており、これにより地
震などにより耐力壁Aに過大な荷重が加わった場合に上
記矩形枠1の縦枠材8と上斜材4aとの連結点と矩形枠
1の縦枠材8と下斜材4bとの連結点との間の部分が曲
げ応力によって塑性変形して、耐力壁A全体の変形能力
(ねばり)を向上させ、地震エネルギーを吸収しやすい
靱性のある構造にしようとするものである。
【0004】ところが、図5の従来例にあっては、耐力
壁Aに水平力が加わった場合でも矩形枠1の縦枠材8に
軸力が働いて座屈するおそれがあり、上記ねばりが有効
に発揮できず、また、軸力による座屈に対応するために
は耐力壁Aを柱際に配置する必要があって、耐力壁Aの
配置位置が制約されるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
例の問題点に鑑みて発明したものであって、地震等の水
平力が作用した際に、縦材に軸力が殆ど作用しないよう
にできて曲げ応力のみによって塑性変形して、耐力壁全
体の靱性を向上させることができ、また、配置位置が柱
際に限定されることなく配置位置に制約を受けない耐力
壁の構造を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の耐力壁の構造は、矩形枠1を持ったトラスの
構造であって、上下の梁2間又は梁2と土台3間に配設
されて水平荷重は支持するが鉛直荷重は支持しない状態
で取付けられ、矩形枠1内の左右対称軸上に上下の斜材
4間又は斜材4と矩形枠1の上下の横枠5間を繋ぐ縦材
6を有して成ることを特徴とするものである。このよう
な構成とすることで、地震等の水平力が作用した際に、
矩形枠1内の左右対称軸上に位置する縦材6に軸力が殆
ど作用しないようにできて曲げ応力のみによって該縦材
6を塑性変形させて、耐力壁A全体の靱性を向上させる
ことができるものである。
【0007】また、矩形枠1の上下の横枠5間に左右対
称軸上に位置する縦中材7を設け、矩形枠1の四隅にそ
れぞれ一端を連結した4本の斜材4をそれぞれ矩形枠1
の略中央方向に向けて傾斜させると共に4本の斜材4の
他端を縦中材7に連結し、4本の斜材4のうち両側の上
隅部から延びた2本の上斜材4aは縦中材7の同一点で
他端が連結されると共に両側の下隅部から延びた2本の
下斜材4bは各々縦中材7の同一点で他端が連結され、
上記2本の上斜材4aの他端の縦中材7との連結点と2
本の下斜材4bの他端の縦中材7との連結点とが上下に
間隔を隔てていることが好ましい。このような構成とす
ることで、矩形枠1の上下の横枠5間に左右対称軸上に
位置する縦中材7の上下の斜材4a、4bの連結点間の
部位により過大荷重を吸収するための縦材6を構成で
き、耐力壁Aの構造を合理的な構造とできるものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を添付図面に示す実施
形態に基づいて説明する。図1には本発明の耐力壁Aの
一実施形態が示してある。耐力壁Aは、トラス構造を持
った矩形枠1により主体を構成している。つまり、断面
ロ字状をした鋼管よりなる左右の縦枠8の上下両端部と
断面ロ字状をした鋼管よりなる上下の横枠5の左右両端
部とをコーナ連結材9を介して一体に固着して矩形枠1
を構成し、該矩形枠1内に斜材4と、矩形枠1内の左右
対称軸上に上下の斜材4間又は斜材4と矩形枠1の上下
の横枠5間を繋ぐ過大荷重を吸収するための縦材6を設
けて耐力壁Aが構成してある。
【0009】図1に示す実施形態においては、矩形枠1
の上下の横枠5間に左右対称軸上に位置するように断面
ロ字状をした鋼管よりなる縦中材7を配置して該縦中材
7の上下両端部を連結材10を介して上下の横枠5に一
体に固着してある。そして、矩形枠1の四隅にはそれぞ
れ断面ロ字状をした鋼管よりなる斜材4の一端部がコー
ナ連結材9を介して固着してあり、このように一端部を
それぞれ矩形枠1の四隅に連結した4本の斜材4の他端
はいずれも縦中材7に補強板11を介して連結してあ
る。
【0010】ここで、4本の斜材4のうち両側の上隅部
から延びた2本の上斜材4aは縦中材7の同一点で他端
が連結されると共に両側の下隅部から延びた2本の下斜
材4bは各々縦中材7の同一点で他端が連結されてお
り、上記2本の上斜材4aの他端の縦中材7との連結点
と2本の下斜材4bの他端の縦中材7との連結点とが上
下に間隔を隔てており、この部分が上記過大荷重を吸収
するための縦材6を構成するものである。
【0011】すなわち、左右の上斜材4aと縦中材7と
の連結点と、左右の下斜材4bと縦中材7との連結点と
が図1において長さXを隔てており、縦中材7のこの左
右の上斜材4aと縦中材7との連結点と、左右の下斜材
4bと縦中材7との連結点との間の部位が過大荷重を吸
収するための縦材6となっているものである。また、本
実施形態においては、矩形枠1に斜材4、縦材6を設け
て上記のようにトラス構造としてあるが、ここで、該ト
ラス構造は矩形枠1上の左右対称軸上にある縦材6を中
心に左右対称又は略左右対称なトラス構造となってい
る。
【0012】ここで、補強板11は斜材4の端部の先方
部分が補強板11の他の部分に比べて小断面となってい
て小断面部12を形成してある。上記のような構成の耐
力壁Aは図2に示すように梁2と土台3間又は上下の梁
2間に配設されて水平荷重は支持するが鉛直荷重は支持
しない状態で取付けられるものである。ここで、耐力壁
Aを梁2と土台3間又は上下の梁2間に配設されて水平
荷重は支持するが鉛直荷重は支持しない状態で取付ける
に当たっては、例えば、図3に示すように、耐力壁Aの
上端部両側に上方に向けて軸体14を突設し、耐力壁A
の矩形枠1の下端部の両側をボルト等の連結具13によ
り土台3や下の梁に連結すると共に、耐力壁Aの矩形枠
1の下端部の両側に突出した軸体14を梁2の下面部に
取付けた連結金具15の挿通孔16に上下移動自在で且
つ水平方向には移動しないように挿通することで、梁2
からの水平力は耐力壁Aで支持するが鉛直力は耐力壁A
で支持しないような構造とできるものである。図2中1
9は柱を示している。
【0013】そして、このようにして建て込んだ耐力壁
Aは地震等の水平力が作用した際に、矩形枠1内の左右
対称軸上に位置する縦材6に軸力が殆ど作用しないよう
にできて曲げ応力のみによって、縦中材7の左右の上斜
材4aと縦中材7との連結点と、左右の下斜材4bと縦
中材7との連結点との間の部位である縦材6部分が塑性
変形することになって、過大荷重を吸収し、耐力壁A全
体の変形能力(ねばり)を向上させ、地震エネルギーを
吸収しやすい靱性のある構造とすることができるもので
ある。この場合、縦材6には上記のように殆ど軸力が作
用しないので、縦材6が座屈により破損することがな
く、曲げ力のみで塑性変形するものである。
【0014】そして、添付図面に示す実施形態において
は、更に、上記のように地震等により外力が作用した際
に、斜材4から縦材6部分に力が作用する際、斜材4か
ら縦材6に作用する力が補強板11の小断面部12の変
形に伴って分散され、このように補強板11の縦材6側
の端部の小断面部12部分が変形して力が分散されるこ
とで、力が補強板11の斜材4の先方部分の端部近傍に
集中して縦材6や縦材6と補強板11との溶接部分に割
れが生じたりしないようになっている。このように、添
付図面に示す実施形態においては、補強板11の斜材4
の端部の固着部分の先方部分に小断面部12を設けるこ
とによって、一定以上の力が作用した場合における小断
面部12部分の変形と、縦材6における変形とで地震エ
ネルギーを吸収してよりいっそう靱性のある構造とする
ことができるものである。
【0015】また、本発明の耐力壁Aは前述のように、
水平荷重は支持するが鉛直荷重は支持しない状態で取付
けてあるので、軸力による座屈を考慮する必要がなく、
したがって、耐力壁Aを柱19際に配置する必要がな
く、耐力壁Aの配置位置が制約されないものである。
【0016】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の発明にあって
は、上述のように、矩形枠を持ったトラスの構造であっ
て、上下の梁間又は梁と土台間に配設されて水平荷重は
支持するが鉛直荷重は支持しない状態で取付けられ、矩
形枠内の左右対称軸上に上下の斜材間又は斜材と矩形枠
の上下の横枠間を繋ぐ縦材を有しているので、水平荷重
が作用した際に斜材相互間又は斜材と上下の横枠間を繋
ぐ縦材に軸力が殆ど発生せずに曲げ力の発生が大きく、
これにより水平荷重が作用した際に軸力による座屈の発
生がなくて曲げ力による塑性変形のみが作用するもので
あり、この結果、地震等により過度の衝撃が作用した際
に、縦枠の曲げ変形により一定以上の水平荷重の発生を
防止し、耐力壁全体としての靱性を向上させることがで
きるものであり、また、軸力による座屈を考慮する必要
がないので耐力壁を柱際に配置しなくてもよく、耐力壁
の配置位置が制約を受けないものである。
【0017】また、請求項2記載の発明にあっては、上
記請求項1記載の発明の効果に加えて、矩形枠の上下の
横枠間に左右対称軸上に位置する縦中材を設け、矩形枠
の四隅にそれぞれ一端を連結した4本の斜材をそれぞれ
矩形枠の略中央方向に向けて傾斜させると共に4本の斜
材の他端を縦中材に連結し、4本の斜材のうち両側の上
隅部から延びた2本の上斜材は縦中材の同一点で他端が
連結されると共に両側の下隅部から延びた2本の下斜材
は各々縦中材の同一点で他端が連結され、上記2本の上
斜材の他端の縦中材との連結点と2本の下斜材の他端の
縦中材との連結点とを上下に間隔を隔てて配置してある
ので、矩形枠の上下の横枠間に左右対称軸上に位置する
縦中材の上下の斜材の連結点間の部位により過大荷重を
吸収するための縦材を構成でき、耐力壁の構造を合理的
な構造とすることができて強度が安定するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐力壁の正面図である。
【図2】同上の施工状態を示す正面図である。
【図3】同上の図2のB部の拡大断面図である。
【図4】従来の耐力壁の正面図である。
【図5】他の従来の耐力壁の正面図である。
【符号の説明】
1 矩形枠 2 梁 3 土台 4 斜材 4a 上斜材 4b 下斜材 5 横枠 6 縦材 7 中縦材 A 耐力壁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 矩形枠を持ったトラスの構造であって、
    上下の梁間又は梁と土台間に配設されて水平荷重は支持
    するが鉛直荷重は支持しない状態で取付けられ、矩形枠
    内の左右対称軸上に上下の斜材間又は斜材と矩形枠の上
    下の横枠間を繋ぐ縦材を有して成ることを特徴とする耐
    力壁の構造。
  2. 【請求項2】 矩形枠の上下の横枠間に左右対称軸上に
    位置する縦中材を設け、矩形枠の四隅にそれぞれ一端を
    連結した4本の斜材をそれぞれ矩形枠の略中央方向に向
    けて傾斜させると共に4本の斜材の他端を縦中材に連結
    し、4本の斜材のうち両側の上隅部から延びた2本の上
    斜材は縦中材の同一点で他端が連結されると共に両側の
    下隅部から延びた2本の下斜材は各々縦中材の同一点で
    他端が連結され、上記2本の上斜材の他端の縦中材との
    連結点と2本の下斜材の他端の縦中材との連結点とを上
    下に間隔を隔てて配置していることを特徴とする請求項
    1記載の耐力壁の構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006154662A (ja) * 2004-12-01 2006-06-15 Canon Inc 画像形成装置
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