JPH10280132A - 光学薄膜形成方法及びその装置 - Google Patents
光学薄膜形成方法及びその装置Info
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- JPH10280132A JPH10280132A JP9098378A JP9837897A JPH10280132A JP H10280132 A JPH10280132 A JP H10280132A JP 9098378 A JP9098378 A JP 9098378A JP 9837897 A JP9837897 A JP 9837897A JP H10280132 A JPH10280132 A JP H10280132A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 曲率の大きな光学素子や大型の光学素子に対
しても、光学素子表面に斜入射成分の大きな蒸発粒子が
到達することを低減できる。 【解決手段】 成膜開始時には、蒸発源4をレンズ1の
自転軸2の下方に設置する。加熱により蒸発源4から放
射される蒸発粒子7のうち、ほぼ鉛直上方へと進む蒸発
粒子7は、容器6の上部に設けられた開口5を通過して
レンズ1へ到達する。このとき、蒸発源4の上方で自転
運動するレンズ1に対して、蒸発源4を容器6と共に自
転軸2の半径方向8に速度を変化させながら平行移動す
る。これにより、レンズ1の中心部から周辺部へと渦巻
き状に蒸発粒子7が走査されて、レンズ1表面に順次薄
膜が形成されてゆく。
しても、光学素子表面に斜入射成分の大きな蒸発粒子が
到達することを低減できる。 【解決手段】 成膜開始時には、蒸発源4をレンズ1の
自転軸2の下方に設置する。加熱により蒸発源4から放
射される蒸発粒子7のうち、ほぼ鉛直上方へと進む蒸発
粒子7は、容器6の上部に設けられた開口5を通過して
レンズ1へ到達する。このとき、蒸発源4の上方で自転
運動するレンズ1に対して、蒸発源4を容器6と共に自
転軸2の半径方向8に速度を変化させながら平行移動す
る。これにより、レンズ1の中心部から周辺部へと渦巻
き状に蒸発粒子7が走査されて、レンズ1表面に順次薄
膜が形成されてゆく。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ,ミラー等
の光学素子に対し真空蒸着法により光学薄膜を形成する
光学薄膜形成方法及びこれに用いる光学薄膜形成装置に
関する。
の光学素子に対し真空蒸着法により光学薄膜を形成する
光学薄膜形成方法及びこれに用いる光学薄膜形成装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】真空蒸着法による光学素子上への薄膜形
成では、成膜装置下方に固定された蒸発源に対し、複数
の光学素子を成膜装置上部で公転または自公転させなが
ら成膜し、光学素子表面に形成される薄膜の膜厚むらの
軽減を図っている。更に、曲面を有するレンズ等の光学
素子に蒸発物質が斜入射することによる膜厚むらなどを
低減するために、蒸発源と光学素子との間に、光学素子
の形状に対応した所定形状のマスクを数枚設置して、光
学素子各部へ到達する蒸発物質の一部を遮断したり、あ
るいは、光学素子に回転のみならず揺動を与えて、蒸発
源と光学素子各部のなす角度を変化させたりする方法が
知られている。
成では、成膜装置下方に固定された蒸発源に対し、複数
の光学素子を成膜装置上部で公転または自公転させなが
ら成膜し、光学素子表面に形成される薄膜の膜厚むらの
軽減を図っている。更に、曲面を有するレンズ等の光学
素子に蒸発物質が斜入射することによる膜厚むらなどを
低減するために、蒸発源と光学素子との間に、光学素子
の形状に対応した所定形状のマスクを数枚設置して、光
学素子各部へ到達する蒸発物質の一部を遮断したり、あ
るいは、光学素子に回転のみならず揺動を与えて、蒸発
源と光学素子各部のなす角度を変化させたりする方法が
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の薄膜形成方法では、曲率の大きな光学素子や大型の
光学素子に対して成膜する場合、入射角度の大きい蒸発
物質が光学素子表面に到達し、特に光学素子周辺部の薄
膜で密着性の低下や屈折率の変化が生じる可能性があ
る。また、複数の光学素子を公転あるいは自公転させて
成膜する場合、蒸発物質の入射角度を小さくする必要性
から、光学素子と蒸発源との距離を長くとるため、真空
槽が大型化となる。
来の薄膜形成方法では、曲率の大きな光学素子や大型の
光学素子に対して成膜する場合、入射角度の大きい蒸発
物質が光学素子表面に到達し、特に光学素子周辺部の薄
膜で密着性の低下や屈折率の変化が生じる可能性があ
る。また、複数の光学素子を公転あるいは自公転させて
成膜する場合、蒸発物質の入射角度を小さくする必要性
から、光学素子と蒸発源との距離を長くとるため、真空
槽が大型化となる。
【0004】本発明の目的は、曲率の大きな光学素子や
大型の光学素子に対しても、光学素子表面に斜入射成分
の大きな蒸発粒子が到達することを低減できる光学薄膜
形成方法及びその装置を提供することにある。
大型の光学素子に対しても、光学素子表面に斜入射成分
の大きな蒸発粒子が到達することを低減できる光学薄膜
形成方法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の光学薄膜形成方法は、真空蒸着法により光
学素子に薄膜を形成する方法であって、光学素子に対し
て蒸発源を相対的に移動することにより、前記蒸発源か
らの蒸発粒子が前記光学素子の中心部と周辺部との間を
渦巻き状に走査されて薄膜形成が行われるようにしたも
のである(請求項1)。
に、本発明の光学薄膜形成方法は、真空蒸着法により光
学素子に薄膜を形成する方法であって、光学素子に対し
て蒸発源を相対的に移動することにより、前記蒸発源か
らの蒸発粒子が前記光学素子の中心部と周辺部との間を
渦巻き状に走査されて薄膜形成が行われるようにしたも
のである(請求項1)。
【0006】光学素子に対して蒸発源からの蒸発粒子を
渦巻き状に走査するには、光学素子を自転させつつ、光
学素子の自転軸の半径方向に蒸発源を相対的に移動した
り(請求項4)、光学素子を自転させつつ、蒸発源から
鉛直上方に向かう蒸発粒子が前記光学素子の表面にほぼ
垂直に入射されるように、前記光学素子の自転軸を傾動
させたり(請求項7)、あるいは、光学素子に対して蒸
発源を相対的に渦巻き状に移動させたりすればよい。
渦巻き状に走査するには、光学素子を自転させつつ、光
学素子の自転軸の半径方向に蒸発源を相対的に移動した
り(請求項4)、光学素子を自転させつつ、蒸発源から
鉛直上方に向かう蒸発粒子が前記光学素子の表面にほぼ
垂直に入射されるように、前記光学素子の自転軸を傾動
させたり(請求項7)、あるいは、光学素子に対して蒸
発源を相対的に渦巻き状に移動させたりすればよい。
【0007】この発明では、従来のように光学素子全面
に対して同時に成膜が進行するのではなく、光学素子の
中心部から周辺部へ(あるいは周辺部から中心部へ)
と、蒸発粒子の渦巻き状の走査軌跡に沿って光学素子の
各部分に対して順次成膜が行われる。このように、光学
素子の成膜部位へと蒸発源が相対移動するので、曲率の
大きな光学素子などにも、膜厚一定で均質な薄膜を形成
しやすくなる。また、一つの光学素子に対して一つの蒸
発源を相対移動させて薄膜を形成する方式なので、大型
の光学素子であっても、光学素子と蒸発源との距離を長
くしなくても、光学素子への蒸発粒子の斜入射の程度や
割合を低減することができる。
に対して同時に成膜が進行するのではなく、光学素子の
中心部から周辺部へ(あるいは周辺部から中心部へ)
と、蒸発粒子の渦巻き状の走査軌跡に沿って光学素子の
各部分に対して順次成膜が行われる。このように、光学
素子の成膜部位へと蒸発源が相対移動するので、曲率の
大きな光学素子などにも、膜厚一定で均質な薄膜を形成
しやすくなる。また、一つの光学素子に対して一つの蒸
発源を相対移動させて薄膜を形成する方式なので、大型
の光学素子であっても、光学素子と蒸発源との距離を長
くしなくても、光学素子への蒸発粒子の斜入射の程度や
割合を低減することができる。
【0008】上記光学薄膜形成方法において、蒸発源か
ら主に鉛直上方に向かう蒸発粒子を選択して光学素子に
入射させると共に、蒸発粒子の走査速度を制御するよう
にするのが好ましい(請求項2)。蒸発源から主に鉛直
上方に向かう蒸発粒子を選択するには、蒸発源と光学素
子との間に蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒子を制限
するための絞りを設けたり(請求項5、請求項8)、あ
るいは、上部に開口を有する容器内に蒸発源を設置した
りすればよい。このように、蒸発粒子の進行方向を選択
をすることにより、斜入射成分の大きな蒸発粒子が光学
素子に入射するのを阻止することができる。また、光学
素子の成膜部位の曲面形状や蒸発源から光学素子までの
距離などに応じて、蒸発粒子の走査速度を制御すれば、
光学素子全面の膜厚をより一様に形成できる。
ら主に鉛直上方に向かう蒸発粒子を選択して光学素子に
入射させると共に、蒸発粒子の走査速度を制御するよう
にするのが好ましい(請求項2)。蒸発源から主に鉛直
上方に向かう蒸発粒子を選択するには、蒸発源と光学素
子との間に蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒子を制限
するための絞りを設けたり(請求項5、請求項8)、あ
るいは、上部に開口を有する容器内に蒸発源を設置した
りすればよい。このように、蒸発粒子の進行方向を選択
をすることにより、斜入射成分の大きな蒸発粒子が光学
素子に入射するのを阻止することができる。また、光学
素子の成膜部位の曲面形状や蒸発源から光学素子までの
距離などに応じて、蒸発粒子の走査速度を制御すれば、
光学素子全面の膜厚をより一様に形成できる。
【0009】また、上記光学薄膜形成方法において、蒸
発源に対して光学素子を相対的に傾動させて、蒸発源か
ら鉛直上方に向かう蒸発粒子が光学素子の表面にほぼ垂
直に入射されるようにすると(請求項3)、曲率の大き
な光学素子にも、蒸発粒子が垂直入射するようになる。
発源に対して光学素子を相対的に傾動させて、蒸発源か
ら鉛直上方に向かう蒸発粒子が光学素子の表面にほぼ垂
直に入射されるようにすると(請求項3)、曲率の大き
な光学素子にも、蒸発粒子が垂直入射するようになる。
【0010】また、上記本発明方法を実施するための本
発明の第1の光学薄膜形成装置は、真空蒸着法により光
学素子に薄膜を形成する装置であって、光学素子を自転
させつつ、光学素子の自転軸の半径方向に蒸発源を相対
的に移動する機構を備えたものである(請求項4)。こ
の装置の機構は、光学素子の回転と蒸発源の直線的な相
対移動との組み合わせなので、簡単な構成で実現でき
る。
発明の第1の光学薄膜形成装置は、真空蒸着法により光
学素子に薄膜を形成する装置であって、光学素子を自転
させつつ、光学素子の自転軸の半径方向に蒸発源を相対
的に移動する機構を備えたものである(請求項4)。こ
の装置の機構は、光学素子の回転と蒸発源の直線的な相
対移動との組み合わせなので、簡単な構成で実現でき
る。
【0011】上記装置において、蒸発源と光学素子との
間に蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒子を制限するた
めの絞りを設けると共に、前記機構が蒸発源の半径方向
の相対的な移動速度及び/又は光学素子の自転速度を制
御する機能を有していると(請求項5)、絞りを通過し
たほぼ同一方向の蒸発粒子が光学素子に、より垂直に入
射するようになり、また蒸発源の移動速度等を制御する
ことにより、光学素子表面に形成される薄膜の膜厚を一
定にできる。なお、蒸発源を移動するときには、絞りも
蒸発源と共に一体的に移動させる。
間に蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒子を制限するた
めの絞りを設けると共に、前記機構が蒸発源の半径方向
の相対的な移動速度及び/又は光学素子の自転速度を制
御する機能を有していると(請求項5)、絞りを通過し
たほぼ同一方向の蒸発粒子が光学素子に、より垂直に入
射するようになり、また蒸発源の移動速度等を制御する
ことにより、光学素子表面に形成される薄膜の膜厚を一
定にできる。なお、蒸発源を移動するときには、絞りも
蒸発源と共に一体的に移動させる。
【0012】また、上記装置において、蒸発源から鉛直
上方に向かう蒸発粒子が光学素子の表面にほぼ垂直に入
射されるように、前記機構が、前記光学素子の自転軸を
傾動させる機能を有していると(請求項6)、光学素子
への蒸発粒子の垂直入射がより促進される。
上方に向かう蒸発粒子が光学素子の表面にほぼ垂直に入
射されるように、前記機構が、前記光学素子の自転軸を
傾動させる機能を有していると(請求項6)、光学素子
への蒸発粒子の垂直入射がより促進される。
【0013】更に、上記本発明方法を実施するための本
発明の第2の光学薄膜形成装置は、真空蒸着法により光
学素子に薄膜を形成する装置であって、光学素子を自転
させつつ、前記蒸発源から鉛直上方に向かう蒸発粒子が
前記光学素子の表面にほぼ垂直に入射されるように、前
記光学素子の自転軸を傾動させる機構を備えたものであ
る(請求項7)。この装置では、光学素子の回転と傾動
により、蒸発粒子の渦巻き状の走査と光学素子への垂直
入射が実現できる。
発明の第2の光学薄膜形成装置は、真空蒸着法により光
学素子に薄膜を形成する装置であって、光学素子を自転
させつつ、前記蒸発源から鉛直上方に向かう蒸発粒子が
前記光学素子の表面にほぼ垂直に入射されるように、前
記光学素子の自転軸を傾動させる機構を備えたものであ
る(請求項7)。この装置では、光学素子の回転と傾動
により、蒸発粒子の渦巻き状の走査と光学素子への垂直
入射が実現できる。
【0014】上記本発明の第2の装置において、蒸発源
と光学素子との間に蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒
子を制限するための絞りを設けると共に、前記機構に光
学素子の自転軸の傾動速度及び/又は光学素子の自転速
度を制御する機能を持たせるのが望ましい(請求項
8)。
と光学素子との間に蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒
子を制限するための絞りを設けると共に、前記機構に光
学素子の自転軸の傾動速度及び/又は光学素子の自転速
度を制御する機能を持たせるのが望ましい(請求項
8)。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。図1は本発明に係る光学薄膜形
成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図面に従って説明する。図1は本発明に係る光学薄膜形
成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0016】図1において、1はその表面に光学薄膜が
形成される光学素子としてのレンズである。レンズ1の
中心軸(自転軸)2は鉛直方向に設けられ、レンズ1は
図示省略の回転機構により自転軸2の回りに回転駆動さ
れる。レンズ1の下方には、膜材料となる蒸発材料3を
収容する抵抗加熱方式の蒸発源4が設けられている。蒸
発源4は上部に開口5を有する容器6内に設置されてい
る。蒸発源4の加熱により、蒸発材料3から蒸発粒子7
が上方に放射されるが、そのうち、斜め上方に大きくそ
れた蒸発粒子7は容器6の上壁などに付着して遮断さ
れ、蒸発源4から鉛直上方及びその近傍に進む蒸発粒子
7が開口5を通過する。即ち、開口5を有する容器6
が、蒸発源4から斜め上方に向かう蒸発粒子7を制限
し、蒸発源4から主に鉛直上方に向かう蒸発粒子7を選
択して取り出すための絞りとなっている。蒸発源4は容
器6と共にレンズ1の自転軸2の半径方向8に移動機構
(図示せず)により移動自在に設けられている。この移
動機構は移動速度を任意に制御可能になっている。な
お、上述したレンズ1、蒸発源4、容器6などは、薄膜
形成時に真空状態に保つために真空槽(図示せず)内に
設けられている。
形成される光学素子としてのレンズである。レンズ1の
中心軸(自転軸)2は鉛直方向に設けられ、レンズ1は
図示省略の回転機構により自転軸2の回りに回転駆動さ
れる。レンズ1の下方には、膜材料となる蒸発材料3を
収容する抵抗加熱方式の蒸発源4が設けられている。蒸
発源4は上部に開口5を有する容器6内に設置されてい
る。蒸発源4の加熱により、蒸発材料3から蒸発粒子7
が上方に放射されるが、そのうち、斜め上方に大きくそ
れた蒸発粒子7は容器6の上壁などに付着して遮断さ
れ、蒸発源4から鉛直上方及びその近傍に進む蒸発粒子
7が開口5を通過する。即ち、開口5を有する容器6
が、蒸発源4から斜め上方に向かう蒸発粒子7を制限
し、蒸発源4から主に鉛直上方に向かう蒸発粒子7を選
択して取り出すための絞りとなっている。蒸発源4は容
器6と共にレンズ1の自転軸2の半径方向8に移動機構
(図示せず)により移動自在に設けられている。この移
動機構は移動速度を任意に制御可能になっている。な
お、上述したレンズ1、蒸発源4、容器6などは、薄膜
形成時に真空状態に保つために真空槽(図示せず)内に
設けられている。
【0017】成膜開始時には、蒸発源4をレンズ1の自
転軸2の下方に設置する。加熱により蒸発源4から放射
される蒸発粒子7のうち、ほぼ鉛直上方へと進む蒸発粒
子7は、容器6の上部に設けられた開口5を通過してレ
ンズ1へ到達する。このとき、蒸発源4の上方で自転運
動するレンズ1に対して、蒸発源4を容器6と共に自転
軸2の半径方向8に速度を変化させながら平行移動す
る。これにより、レンズ1の中心部から周辺部へと渦巻
き状に蒸発粒子7が走査されて、レンズ1表面に順次薄
膜が形成される。レンズ1の周辺部に向かうほどレンズ
1の一回転当たりの走査距離が成膜部位の半径に比例し
て長くなるので、レンズ1の回転速度を一定とすると、
膜厚を一定に形成するには、蒸発源4の半径方向8の移
動速度を、レンズ1の中心部から周辺部へ進むにつれて
遅くする必要がある。更に、膜厚を均一化するために、
成膜部位のレンズ1表面の水平面からの傾きや蒸発源4
から成膜部位までの距離の変化を考慮して、蒸発源4の
移動速度を調節する。レンズ1各部における膜厚は、蒸
発源4の移動速度によって制御されることから、マスク
等を交換することなく、異なる曲率半径を有するレン
ズ,ミラー等の光学素子に所望の膜厚を有する薄膜を形
成することができる。
転軸2の下方に設置する。加熱により蒸発源4から放射
される蒸発粒子7のうち、ほぼ鉛直上方へと進む蒸発粒
子7は、容器6の上部に設けられた開口5を通過してレ
ンズ1へ到達する。このとき、蒸発源4の上方で自転運
動するレンズ1に対して、蒸発源4を容器6と共に自転
軸2の半径方向8に速度を変化させながら平行移動す
る。これにより、レンズ1の中心部から周辺部へと渦巻
き状に蒸発粒子7が走査されて、レンズ1表面に順次薄
膜が形成される。レンズ1の周辺部に向かうほどレンズ
1の一回転当たりの走査距離が成膜部位の半径に比例し
て長くなるので、レンズ1の回転速度を一定とすると、
膜厚を一定に形成するには、蒸発源4の半径方向8の移
動速度を、レンズ1の中心部から周辺部へ進むにつれて
遅くする必要がある。更に、膜厚を均一化するために、
成膜部位のレンズ1表面の水平面からの傾きや蒸発源4
から成膜部位までの距離の変化を考慮して、蒸発源4の
移動速度を調節する。レンズ1各部における膜厚は、蒸
発源4の移動速度によって制御されることから、マスク
等を交換することなく、異なる曲率半径を有するレン
ズ,ミラー等の光学素子に所望の膜厚を有する薄膜を形
成することができる。
【0018】なお、上記実施形態では、蒸発源4をレン
ズ1の中心部から周辺部へと移動させて成膜したが、逆
にレンズ1の周辺部から中心部へと蒸発源4を移動させ
たり、あるいは、レンズ1の径方向に何回か蒸発源4を
往復させて成膜するようにしてもよい。また、蒸発源4
は固定したままで、レンズ1を自転させつつ自転軸2の
半径方向に移動させるようにしてもよい。
ズ1の中心部から周辺部へと移動させて成膜したが、逆
にレンズ1の周辺部から中心部へと蒸発源4を移動させ
たり、あるいは、レンズ1の径方向に何回か蒸発源4を
往復させて成膜するようにしてもよい。また、蒸発源4
は固定したままで、レンズ1を自転させつつ自転軸2の
半径方向に移動させるようにしてもよい。
【0019】図2は上記実施形態において、更にレンズ
1に傾動を与えるようにした例である。開口5によって
主に鉛直上方に向かう蒸発粒子7を選択しているが、レ
ンズ1を自転させているだけでは、レンズ1表面は球面
等の曲面であるため、蒸発源4がレンズ1の周辺部に移
動するにつれて、レンズ1表面に対して蒸発粒子7が斜
めに入射するようになる。そこで、レンズ1下面の成膜
部分に蒸発粒子7が垂直に入射するように、図示のよう
に、蒸発源4がレンズ1の周辺部側に移動するにしたが
って、レンズ1の下面中心Cを支点にしてレンズ1の自
転軸2を傾動させている。
1に傾動を与えるようにした例である。開口5によって
主に鉛直上方に向かう蒸発粒子7を選択しているが、レ
ンズ1を自転させているだけでは、レンズ1表面は球面
等の曲面であるため、蒸発源4がレンズ1の周辺部に移
動するにつれて、レンズ1表面に対して蒸発粒子7が斜
めに入射するようになる。そこで、レンズ1下面の成膜
部分に蒸発粒子7が垂直に入射するように、図示のよう
に、蒸発源4がレンズ1の周辺部側に移動するにしたが
って、レンズ1の下面中心Cを支点にしてレンズ1の自
転軸2を傾動させている。
【0020】なお、図示例のレンズ1は凸レンズなの
で、蒸発源4の移動方向と同一方向にレンズ1の自転軸
2を傾けたが、凹レンズ等の凹面の光学素子の場合に
は、蒸発源4の移動方向とは逆方向に自転軸を傾けるよ
うにする。また、上記実施形態では、レンズ1を傾動さ
せたが、例えば、蒸発源4を収容する容器6の半径方向
8の走行移動面をレンズ1に対応した傾斜曲面に形成
し、レンズ1は自転したままで、蒸発源4が半径方向8
に移動しながら次第に傾動するようにしてもよい。
で、蒸発源4の移動方向と同一方向にレンズ1の自転軸
2を傾けたが、凹レンズ等の凹面の光学素子の場合に
は、蒸発源4の移動方向とは逆方向に自転軸を傾けるよ
うにする。また、上記実施形態では、レンズ1を傾動さ
せたが、例えば、蒸発源4を収容する容器6の半径方向
8の走行移動面をレンズ1に対応した傾斜曲面に形成
し、レンズ1は自転したままで、蒸発源4が半径方向8
に移動しながら次第に傾動するようにしてもよい。
【0021】図3は本発明の光学薄膜形成装置の他の実
施形態を示す。この実施形態では、蒸発源4は固定した
ままとし、レンズ1を自転軸2の回りに回転させなが
ら、レンズ1下面の曲率中心Oを支点として自転軸2を
傾動ないし揺動させるようにしている。このようにする
と、蒸発源4から開口5を通過してきた蒸発粒子7がレ
ンズ1表面に対して渦巻き状に走査されると共に、レン
ズ1の成膜部位に蒸発粒子7がほぼ垂直に入射される。
まず、成膜の開始時には、破線で示すように、自転軸2
を鉛直方向にしてレンズ1中心部の成膜を行い、次第に
自転軸2を傾けてレンズ1周辺部へと成膜を進行させ
る。自転軸2の傾動速度は、同一面積の成膜面に同一数
の蒸発粒子7が堆積するように、レンズ1の周辺部側へ
と成膜部位が移行するにしたがって遅くする。(なお、
自転軸2の傾動速度ではなく、自転軸2の自転速度を遅
くするようにしてもよい。)この傾動速度の調整制御
は、連続的に変化させて行っても、あるいは段階的に変
化させて行ったり適宜に選択すればよい。この実施形態
では、開口5を有する遮蔽板9が、蒸発源4から主に鉛
直上方に向かう蒸発粒子7を選択する絞りとなってい
る。絞りの程度は、蒸発源4と開口5との距離及び開口
5の面積により変えられるので、例えば開口5の面積を
調整できるように構成してもよい。
施形態を示す。この実施形態では、蒸発源4は固定した
ままとし、レンズ1を自転軸2の回りに回転させなが
ら、レンズ1下面の曲率中心Oを支点として自転軸2を
傾動ないし揺動させるようにしている。このようにする
と、蒸発源4から開口5を通過してきた蒸発粒子7がレ
ンズ1表面に対して渦巻き状に走査されると共に、レン
ズ1の成膜部位に蒸発粒子7がほぼ垂直に入射される。
まず、成膜の開始時には、破線で示すように、自転軸2
を鉛直方向にしてレンズ1中心部の成膜を行い、次第に
自転軸2を傾けてレンズ1周辺部へと成膜を進行させ
る。自転軸2の傾動速度は、同一面積の成膜面に同一数
の蒸発粒子7が堆積するように、レンズ1の周辺部側へ
と成膜部位が移行するにしたがって遅くする。(なお、
自転軸2の傾動速度ではなく、自転軸2の自転速度を遅
くするようにしてもよい。)この傾動速度の調整制御
は、連続的に変化させて行っても、あるいは段階的に変
化させて行ったり適宜に選択すればよい。この実施形態
では、開口5を有する遮蔽板9が、蒸発源4から主に鉛
直上方に向かう蒸発粒子7を選択する絞りとなってい
る。絞りの程度は、蒸発源4と開口5との距離及び開口
5の面積により変えられるので、例えば開口5の面積を
調整できるように構成してもよい。
【0022】なお、上記実施形態では、レンズ1の中心
部から周辺部へと成膜を進めたが、自転軸2を傾けた状
態から鉛直方向へと傾斜角を小さくし、レンズ1周辺部
から中心部へと成膜を行うようにしてもよい。また、蒸
発源4は、抵抗加熱のものに限らず、電子ビーム加熱や
誘導加熱方式のものを使用しても勿論よい。
部から周辺部へと成膜を進めたが、自転軸2を傾けた状
態から鉛直方向へと傾斜角を小さくし、レンズ1周辺部
から中心部へと成膜を行うようにしてもよい。また、蒸
発源4は、抵抗加熱のものに限らず、電子ビーム加熱や
誘導加熱方式のものを使用しても勿論よい。
【0023】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、蒸発源からの蒸発粒子が光学素子の中心部と
周辺部との間を渦巻き状に走査されて薄膜形成がなされ
るため、曲率の大きな光学素子や大型の光学素子にも、
光学素子への蒸発粒子の斜入射の程度や割合を減少で
き、また、光学素子全面に均質な薄膜を形成できる。従
って、光学素子周辺部などにおける薄膜の密着性・強度
を改善できると共に、薄膜の光学特性(屈折率等)を向
上できる。また、一つの光学素子に対して一つの蒸発源
を相対移動させて薄膜を形成する方式なので、大型の光
学素子などにも、光学素子と蒸発源との距離を長くとら
なくても、大きな斜入射成分の蒸発粒子が光学素子に到
達するのを低減できる。このため、薄膜形成がなされる
真空槽(光学薄膜形成装置)の小型化を実現できる。更
に、光学素子の成膜部位の曲面形状などに応じて、蒸発
粒子の走査速度を制御すれば、光学素子全面の膜厚をよ
り一様に形成できると共に、曲率形状等の異なる種々の
光学素子に対しても、マスク等の内部治具を交換するこ
となく、薄膜形成が可能となる。
によれば、蒸発源からの蒸発粒子が光学素子の中心部と
周辺部との間を渦巻き状に走査されて薄膜形成がなされ
るため、曲率の大きな光学素子や大型の光学素子にも、
光学素子への蒸発粒子の斜入射の程度や割合を減少で
き、また、光学素子全面に均質な薄膜を形成できる。従
って、光学素子周辺部などにおける薄膜の密着性・強度
を改善できると共に、薄膜の光学特性(屈折率等)を向
上できる。また、一つの光学素子に対して一つの蒸発源
を相対移動させて薄膜を形成する方式なので、大型の光
学素子などにも、光学素子と蒸発源との距離を長くとら
なくても、大きな斜入射成分の蒸発粒子が光学素子に到
達するのを低減できる。このため、薄膜形成がなされる
真空槽(光学薄膜形成装置)の小型化を実現できる。更
に、光学素子の成膜部位の曲面形状などに応じて、蒸発
粒子の走査速度を制御すれば、光学素子全面の膜厚をよ
り一様に形成できると共に、曲率形状等の異なる種々の
光学素子に対しても、マスク等の内部治具を交換するこ
となく、薄膜形成が可能となる。
【図1】本発明に係る光学薄膜形成装置の一実施形態を
示す概略構成図である。
示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る光学薄膜形成装置の他の実施形態
を示す概略構成図である。
を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る光学薄膜形成装置の他の実施形態
を示す概略構成図である。
を示す概略構成図である。
1 レンズ(光学素子) 2 自転軸 3 蒸発材料 4 蒸発源 5 開口 6 容器 7 蒸発粒子 8 半径方向 9 遮蔽板
Claims (8)
- 【請求項1】 真空蒸着法により光学素子に薄膜を形成
する方法において、光学素子に対して蒸発源を相対的に
移動することにより、前記蒸発源からの蒸発粒子が前記
光学素子の中心部と周辺部との間を渦巻き状に走査され
て薄膜形成が行われるようにしたことを特徴とする光学
薄膜形成方法。 - 【請求項2】 前記蒸発源から主に鉛直上方に向かう前
記蒸発粒子を選択して前記光学素子に入射させると共
に、前記蒸発粒子の走査速度を制御するようにしたこと
を特徴とする請求項1記載の光学薄膜形成方法。 - 【請求項3】 前記蒸発源に対して前記光学素子を相対
的に傾動させて、前記蒸発源から鉛直上方に向かう蒸発
粒子が前記光学素子の表面にほぼ垂直に入射されるよう
にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の光学薄膜
形成方法。 - 【請求項4】 真空蒸着法により光学素子に薄膜を形成
する装置において、光学素子を自転させつつ、前記光学
素子の自転軸の半径方向に蒸発源を相対的に移動する機
構を備えたことを特徴とする光学薄膜形成装置。 - 【請求項5】 前記蒸発源と前記光学素子との間に前記
蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒子を制限するための
絞りを設けると共に、前記機構が前記蒸発源の半径方向
の相対的な移動速度及び/又は前記光学素子の自転速度
を制御する機能を有していることを特徴とする請求項4
記載の光学薄膜形成装置。 - 【請求項6】 前記蒸発源から鉛直上方に向かう蒸発粒
子が前記光学素子の表面にほぼ垂直に入射されるよう
に、前記機構が、前記光学素子の自転軸を傾動させる機
能を有していることを特徴とする請求項4又は5記載の
光学薄膜形成装置。 - 【請求項7】 真空蒸着法により光学素子に薄膜を形成
する装置において、光学素子を自転させつつ、前記蒸発
源から鉛直上方に向かう蒸発粒子が前記光学素子の表面
にほぼ垂直に入射されるように、前記光学素子の自転軸
を傾動させる機構を備えたことを特徴とする光学薄膜形
成装置。 - 【請求項8】 前記蒸発源と前記光学素子との間に前記
蒸発源から斜め上方に向かう蒸発粒子を制限するための
絞りを設けると共に、前記機構が前記光学素子の自転軸
の傾動速度及び/又は前記光学素子の自転速度を制御す
る機能を有していることを特徴とする請求項7記載の光
学薄膜形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9098378A JPH10280132A (ja) | 1997-04-01 | 1997-04-01 | 光学薄膜形成方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9098378A JPH10280132A (ja) | 1997-04-01 | 1997-04-01 | 光学薄膜形成方法及びその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10280132A true JPH10280132A (ja) | 1998-10-20 |
Family
ID=14218221
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9098378A Pending JPH10280132A (ja) | 1997-04-01 | 1997-04-01 | 光学薄膜形成方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10280132A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0959147A2 (de) * | 1998-05-16 | 1999-11-24 | Balzers und Leybold Deutschland Holding Aktiengesellschaft | Vorrichtung zum Halten von Linsen |
-
1997
- 1997-04-01 JP JP9098378A patent/JPH10280132A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0959147A2 (de) * | 1998-05-16 | 1999-11-24 | Balzers und Leybold Deutschland Holding Aktiengesellschaft | Vorrichtung zum Halten von Linsen |
EP0959147A3 (de) * | 1998-05-16 | 2003-08-27 | Leybold Optics GmbH | Vorrichtung zum Halten von Linsen |
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