JPH10279587A - ビスホスファイト化合物及びそれを用いるヒドロホルミル化方法 - Google Patents

ビスホスファイト化合物及びそれを用いるヒドロホルミル化方法

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JPH10279587A
JPH10279587A JP9080521A JP8052197A JPH10279587A JP H10279587 A JPH10279587 A JP H10279587A JP 9080521 A JP9080521 A JP 9080521A JP 8052197 A JP8052197 A JP 8052197A JP H10279587 A JPH10279587 A JP H10279587A
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bisphosphite
bisphosphite compound
carbon atoms
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JP9080521A
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Yasukazu Ogino
康和 荻野
Hisao Urata
尚男 浦田
Hiroaki Itagaki
弘昭 板垣
Eitaro Takahashi
英太郎 高橋
Yasuhiro Wada
康裕 和田
Yoshiyuki Tanaka
善幸 田中
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒドロホルミル化反応において、高い反応速
度を保ちつつ、優れた目的生成物の選択性を与える新規
なビスホスファイト配位子を提供する。 【解決手段】 周期表の第8〜10族から選ばれる元
素の化合物の存在下に、オレフィン性化合物を一酸化炭
素及び水素と反応させて対応するアルデヒド類を製造す
るに当り、式:(Z1O)(Z2O)PO−Ar−Ar−
OP(OZ3)(OZ4)〔式中、Ar基において、オル
ト位の炭素原子の置換基が炭素数3〜20の(シクロ)
アルキル基であり、Z1〜Z4は複素芳香族基であって互
いに結合していない。また各Zにおいて、オルト位の炭
素原子の置換基が炭素原子0〜2個の基である。〕で示
される新規なビスホスファイト化合物を存在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なビスホスファ
イト化合物及びそれを用いるオレフィン性化合物のヒド
ロホルミル化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン性化合物を触媒の存在下に水
性ガスと反応させて、アルデヒド類またはその水素化物
であるアルコール類を製造する方法は、ヒドロホルミル
化方法として周知である。ヒドロホルミル化反応の触媒
としては通常、有機リン化合物を配位子とする周期表の
第8〜10族から選ばれる元素(以下「第VIII族金属」
という)の可溶性錯体が用いられている。一般に、触媒
の金属成分と共に用いられる配位子は触媒反応に重大な
影響を及ぼす。ヒドロホルミル化反応においても配位子
により反応の活性及び選択性が大きく変化することが広
く知られている。ヒドロホルミル化反応を工業的に有利
に実施するためには、反応活性及び選択性の向上が重要
な課題であり、そのための配位子の設計が盛んに行なわ
れている。
【0003】ヒドロホルミル化反応の配位子として利用
されるリン化合物の一群としては種々のホスファイト化
合物が知られており、これまでにもトリアルキルホスフ
ァイトやトリアリールホスファイトの様な単純なモノホ
スファイト類の他に、分子中に複数の配位性リン原子を
有するポリホスファイト類等の種々のホスファイト化合
物が提案されている。例えば、特開昭62−11658
7号公報には2つのホスファイト基のうちの1つが環状
構造を有するビスホスファイト化合物が、また、特開平
6−184036号公報には2つのホスファイト基が共
に環状構造を有するビスホスファイト化合物が開示され
ている。
【0004】他方、特開平5−178779号公報に
は、2つのホスファイト基が共に環化していないビスホ
スファイト化合物が開示されている。該ビスホスファイ
ト化合物において、架橋部分のビスアリーレン基の置換
基は特定されていない。また4つのエステル末端基とし
ては少なくともオルト位に炭化水素置換基を有するフェ
ニル基或いは少なくとも3位に炭化水素置換基を有する
β−ナフチル基が用いられている。該炭化水素置換基と
してはイソプロピル基、第3級ブチル基などの炭素数3
以上の嵩高い有機基が用いられている。
【0005】このように、ヒドロホルミル化反応に用い
る配位子として種々のホスファイト化合物が提案されて
いるが、これまでに報告されているビスホスファイト化
合物を用いたヒドロホルミル化反応では、高い反応速度
が得られる場合は目的生成物である直鎖アルデヒドの選
択性が不十分であり、逆に極めて高い直鎖選択性が得ら
れる場合は反応速度の点で不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、従来、ヒ
ドロホルミル化反応に用いる配位子として種々のホスフ
ァイト化合物が提案されているが、これらを用いたヒド
ロホルミル化反応では、高い反応速度と高い目的生成物
の選択性とが同時には満たされていないことから、商業
生産において経済性の低下をもたらすことが危惧され、
工業触媒としては用い難いという問題があった。従っ
て、高い反応速度を保ちつつ、優れた目的生成物の選択
性を与えるビスホスファイト配位子を開発することが強
く望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒドロホ
ルミル化反応において、反応活性及び目的生成物の選択
性を共に向上・維持するのに有効な配位子の検討を鋭意
進める過程で、特定の構造を有する新規なビスホスファ
イト化合物を見出し、これをヒドロホルミル化反応にお
ける触媒の一成分、即ち触媒の金属成分と共に用いられ
る配位子として用いると、反応が高い速度で進行し、か
つ、極めて優れた目的生成物の選択性が得られることを
見出して本発明に到達した。
【0008】即ち本発明の第1の要旨は、下記一般式
(A)で表されるビスホスファイト化合物、に存する。
【0009】
【化8】
【0010】〔式中、−Ar−Ar−基は、下記一般式
(A−I)〜(A−III)のいずれか1つで表されるビス
アリーレン基であり、Z1 〜Z4 は、それぞれ4〜20
個の炭素原子を有する複素芳香族基であって、置換基を
有していてもよく、基Z1 〜Z 4 中の酸素原子と結合す
る炭素原子に隣接する芳香環炭素原子の置換基は、それ
ぞれ炭素原子0〜2個の基からなる群から選ばれ、か
つ、Z1 とZ2 及びZ3 とZ4 のいずれもが互いに結合
していない。
【0011】
【化9】
【0012】(式中、R11は、それぞれ独立に3〜20
個の炭素原子を有するアルキル基及びシクロアルキル基
からなる群から選ばれるものを表し、R12〜R14は、そ
れぞれ独立に水素原子、1〜20個の炭素原子を有する
アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロ
アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アリ
ールオキシ基、アルキルアリール基、アルキルアリール
オキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ
基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子よりなる
群から選ばれるものを表す。)
【0013】
【化10】
【0014】(式中、R21はそれぞれ独立に一般式(A
−I)中のR11と同義であり、R22〜R26はそれぞれ独
立に一般式(A−I)中のR12〜R14と同義である。)
【0015】
【化11】
【0016】(式中、R31はそれぞれ独立に一般式(A
−I)中のR11と同義であり、R32〜R36はそれぞれ独
立に一般式(A−I)中のR12〜R14と同義であ
る。)〕 また本発明の第2の要旨は、周期表の第8〜10族から
選ばれる元素(以下「第VIII族金属」という)の化合物
の存在下に、オレフィン性化合物を一酸化炭素及び水素
と反応させて対応するアルデヒド類を製造するに当り、
上記一般式(A)で表されるビスホスファイト化合物を
存在させることを特徴とするヒドロホルミル化方法、に
存する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の新規なビスホスファイト化合物は、より具
体的には下記一般式(I)〜(III)で表される。
【0018】
【化12】
【0019】
【化13】
【0020】
【化14】
【0021】上記式(I)〜(III)において、R11、R
21及びR31は、例えばn−プロピル基、i−プロピル
基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネ
オペンチル基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基等の炭
素数3〜20の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を表
し、中でも炭素数4〜20のものが好ましく、炭素数4
〜10のものが特に好ましい。更に芳香環と結合する炭
素原子が第3級のものが好ましく、t−ブチル基、t−
ペンチル基、t−ヘキシル基等が例示される。またこの
ほかR11、R21及びR31は、シクロヘキシル基、シクロ
オクチル基、アダマンチル基等の炭素数6〜14、好ま
しくは6〜10のシクロアルキル基を表す。
【0022】式(I)のR12〜R14、式(II)のR22
26及び式(III)のR32〜R36は、水素原子の他、例え
ばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−
ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペ
ンチル基、t−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロ
オクチル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20の鎖状
或いは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の
アリール基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ
基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキ
ルアミノ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリール
オキシ基、ベンジル基等のアリールアルキル基、p−ト
リル基、o−トリル基等のアルキルアリール基、シクロ
ペンチルオキシ基等のシクロアルコキシ基、2,3−キ
シレノキシ等のアルキルアリールオキシ基、2−(2−
ナフチル)エトキシ基等のアリールアルコキシ基、シア
ノ基、ヒドロキシ基、さらにフルオロ基、クロロ基、ブ
ロモ基等のハロゲン原子等が挙げられ、それぞれ同一で
も異なっていてもよい。
【0023】式(I)〜(III)中のビスアリーレン基と
して好適なものとしては、3,3′−ジ−t−ブチル−
5,5′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′
−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル
−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,
3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメ
チル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、
3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−1,1′
−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,
5′−テトラ−t−ヘキシル−1,1′−ビフェニル−
2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,
5′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−
ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジエ
トキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、
3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジ−t−ブトキ
シ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,
3′,5,5′−テトラ(シクロオクチル)−1,1′
−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,6,
6′−テトラ−t−ブチル−1,1′−ビナフチル−
2,2′−ジイル基、1,1′,7,7′−テトラ−t
−ブチル−3,3′−ビナフチル−2,2′−ジイル基
等が挙げられる。
【0024】式(I)〜(III)中のZ1 〜Z4 は、それ
ぞれ置換基を有していてもよく単環及び/又は縮合環系
の4〜20個の炭素原子を有する複素芳香族基を表し、
互いに同一でも異なっていてもよく、かつ、Z1 とZ2
及びZ3 とZ4 のいずれもが互いに結合していないも
のである。また上記Z1 〜Z4 中のホスファイト酸素原
子と結合する炭素原子に隣接する複素芳香環炭素原子の
置換基は、それぞれメチル基、エチル基、トリフルオロ
メチル基、シアノ基、ニトロ基及び、クロロ基、フルオ
ロ基等のハロゲン原子等の炭素原子0〜2個の基からな
る群から選ばれる。
【0025】上記Z1 〜Z4 のその他の位置の置換基と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プ
ロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、t−ペンチル基等の炭素数1〜12、好ましくは1
〜8、の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、トリフルオ
ロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペルフルオロプ
ロピル基、ペルフルオロブチル基等の炭素数1〜12、
好ましくは1〜8の直鎖あるいは分岐鎖のペルフルオロ
アルキル基、、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜
12、好ましくは1〜8、のアルコキシ基、フェニル
基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基等の炭素数
6〜18、好ましくは6〜10のアリール基等が挙げら
れ、他に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロ
キシル基、アミノ基、アシル基、カルボニルオキシ基、
オキシカルボニル基、アミド基、スルホニル基、スルフ
ィニル基、シリル基、チオニル基等が挙げられる。これ
らの置換基はZ1〜Z4中の一つの基に対して1〜5個置
換していてもよい。
【0026】複素芳香族基Z1 〜Z4 として好適なもの
としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリ
ジル基、4−メチル−2−ピリジル基、6−メチル−2
−ピリジル基、3−ニトロ−2−ピリジル基、2−ピラ
ジル基、4−ピリミジル基、4−メチル−2−ピリミジ
ル基、4−ベンゾフリル基、5−ベンゾフリル基、5−
ベンゾチエニル基、2−キノリル基、4−キノリル基、
6−キノリル基、8−キノリル基、5−ニトロ−8−キ
ノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、
5−イソキノリル基、2−キノキサリル基、8−キナル
ジル基、4−キナゾリル基、1−メチル−2−ベンズイ
ミダゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、N−メチル−
2−カルバゾリル基、2−ベンゾフラニル基、N−メチ
ル−4−インドリル基、N−メチル−5−インドリル
基、4−メトキシ−9−アクリジニル基等が挙げられ
る。
【0027】上記した一般式(I)〜(III)で表される
ビスホスファイト化合物の例を次に示す。以下の各式に
おける符号の意味は次の通りである。
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
【化17】
【0031】
【化18】
【0032】
【化19】
【0033】
【化20】
【0034】
【化21】
【0035】
【化22】
【0036】
【化23】
【0037】
【化24】
【0038】
【化25】
【0039】
【化26】
【0040】
【化27】
【0041】
【化28】
【0042】
【化29】
【0043】
【化30】
【0044】
【化31】
【0045】
【化32】
【0046】
【化33】
【0047】
【化34】
【0048】
【化35】
【0049】
【化36】
【0050】
【化37】
【0051】
【化38】
【0052】
【化39】
【0053】
【化40】
【0054】前記一般式(I)〜(III)で表されるビス
ホスファイト化合物は、下記一般式(I−1)、(II−
1)及び(III −1)(一般式(I−1)、(II−1)
及び(III −1)中の、R11〜R14、R21〜R26、及び
31〜R36は、それぞれ一般式(I)、(II)及び(II
I)中のR11〜R14、R21〜R26、及びR31〜R36と同義
である。)で表される、それぞれ置換基を有する1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジオール、1,1′−ビ
ナフチル−2,2′−ジオール又は3,3′−ビナフチ
ル−2,2′−ジオールのアルカリ金属塩又はアルカリ
土類金属塩と、下記一般式(IV)及び/又は(V)(式
中、Z1〜Z4 は一般式(A)のZ1 〜Z4 とそれぞれ
同義である。)で表されるリン化合物とを、接触させる
ことにより調製することができる。
【0055】
【化41】
【0056】
【化42】
【0057】上記一般式(I−1)〜(III −1)で表
されるビスアリーレンジオール塩は下記一般式(I−
2)、(II−2)及び(III −2)(一般式(I−
2)、(II−2)及び(III −2)中の、R11〜R14
21〜R26、及びR31〜R36は、それぞれ一般式
(I)、(II)及び(III)中のR11〜R14、R21
26、及びR31〜R36と同義である。)で表される、そ
れぞれ置換基を有する1,1′−ビフェニル−2,2′
−ジオール、1,1′−ビナフチル−2,2′−ジオー
ル、3,3′−ビナフチル−2,2′−ジオールと、n
−BuLi、Na、NaH、KH等のアルカリ金属化合
物又は臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウ
ム等のアルカリ土類金属化合物とを、溶媒中、好ましく
は窒素等の不活性ガス雰囲気下で反応させることにより
合成することができる。
【0058】
【化43】
【0059】上記金属化合物の使用量は、一般式(I−
2)〜(III −2)で表されるビスアリーレンジオール
1モルに対して通常2モルあれば充分であるが、所望に
よりそれ以上用いても良い。溶媒としてはテトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、
トルエン等の炭化水素類、ピリジン、トリエチルアミ
ン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミ
ン等の含窒素化合物及びこれらの混合物が好適に用いら
れる。反応温度は、−70℃〜溶媒沸点、好ましくは−
70〜20℃の範囲で適宜選択することができるが、反
応の開始時は低目の、例えば−30〜10℃の間で行
い、その後徐々に溶媒の沸点まで上げるといった方法を
採用することもできる。反応操作の点からは、金属化合
物としてn−BuLi又はNaHを用い、溶媒としては
テトラヒドロフランを用いて、反応を行なうことが好ま
しい。反応時間は通常1分〜48時間の範囲を選択する
ことができるが、10分〜4時間程度が好ましい。
【0060】一般式(I−1)〜(III −1)で示され
る化合物は、次の行程では特に精製することなく反応液
をそのまま用いてもかまわないが、予め貧溶媒による洗
浄や再結晶操作による単離等の処理を行っても良い。一
般式(IV)、(V)で示されるリン化合物は、通常、三
塩化リン(PCl3)とZ1−OH、Z2−OH、Z3−O
H又はZ4−OH(式中、Z1 〜Z4 は一般式(A)の
1 〜Z4 と同義である。)で表されるヒドロキシ複素
芳香族化合物とを、塩基の存在下又は不在下、好ましく
は窒素等の不活性ガス雰囲気下、溶媒中又は無溶媒で、
反応させることにより合成することができる。Z1 とZ
2 またはZ3 とZ4 が同一であるリン化合物は容易に合
成できるので好ましい。従ってZ1 とZ2 、Z3 とZ4
の双方がそれぞれに同一である場合がより好ましく、特
に、Z1 、Z2 、Z3 及びZ4 が同一である場合がさら
に好ましい。
【0061】上記塩基としては、ピリジン、トリエチル
アミン、ジエチルアミン等の含窒素塩基、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等の無機塩基が例示される。反応操作
の容易さから含窒素塩基が好んで用いられる。塩基の使
用量は、PCl3 1モルに対して2モル用いるのが普通
である。塩基の量が多すぎたり少なすぎたりすると不必
要なP(OZ12(OZ2)、P(OZ1)(OZ2
2 、P(OZ13 、P(OZ23 等のホスファイト
やCl2 P(OZ1 )等のジクロロ化合物の副生量が増
えるため好ましくない。
【0062】反応温度は任意の温度を選択することがで
きるが、例えば塩基として含窒素塩基を用いる場合では
0〜5℃の温度で行うことが好ましい。反応時間は1分
〜48時間の範囲を選択することができるが、5分〜1
0時間程度の反応時間が好ましい。塩基の存在下で反応
を行った際、反応の進行に伴い副生する塩化水素と塩基
との塩は、通常固体として反応溶液中に存在するが、こ
れは、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下で、濾過
する等の方法で反応系から除去することができる。塩基
の不在下で反応を行う場合は、窒素ガスやアルゴンガス
のような不活性ガスを反応系中にバブルすることによ
り、副生する塩化水素を反応系から除去する方法等が例
示される。
【0063】一般式(IV)及び(V)で示されるクロロ
ビス(ヘテロアリールオキシ)ホスフィンは、上記の不
必要なホスファイト類、及びジクロロ化合物との混合物
として得られる場合があるが、これらと特に分離するこ
となく次の工程に進んでもかまわない。一般式(IV)又
は(V)のリン化合物をこれらの副生物から分離する方
法としては、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶
媒を用いた再結晶化による方法及び蒸留等が挙げられ
る。
【0064】一般式(I)〜(III)のビスホスファイト
化合物は、一般式(I−1)、(II−1)又は(III −
1)の化合物と、一般式(IV)及び/又は(V)の化合
物とを溶媒中又は無溶媒下、20℃以下の温度で1分以
上接触させることにより合成することができる。接触は
窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましく、一般
式(I−1)、(II−1)又は(III −1)の化合物
と、(IV)及び/又は(V)の化合物とを、好ましくは
0℃以下、更に好ましくは−30℃以下、最も好ましく
は−50℃以下の温度で混合し、1分以上、好ましくは
3〜60分間その温度を維持した後、徐々に温度を上げ
て行く方法により目的のビスホスファイト化合物を合成
することができる。温度の上昇速度としては、0.1〜
20℃/分の間で適宜選択することができるが、0.5
〜10℃/分の速度が好ましい。反応溶媒としては、テ
トラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等の
エーテル類、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類、ピリ
ジン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラ
メチルエチレンジアミン等の含窒素化合物類、及びこれ
らの混合物を使用することができる。溶媒の量は生成す
る目的物の溶解に必要な最少量を用いるのが望ましい
が、それ以上の量を用いても差し支えない。
【0065】一般式(I)〜(III)のビスホスファイ
ト化合物の精製方法としては、カラム展開(クロマトグ
ラフィー)による方法、懸洗による方法、及び再結晶化
による方法等が挙げられる。カラム展開による精製方法
としては充填剤としてシリカゲル、アルミナ等を用いる
方法が挙げられる。またカラムの展開液としてはテトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、
ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエス
テル類が挙げられ、これらの展開液は目的物の精製に適
するよう、単一溶媒、或いは2種類以上の溶媒を混合し
て用いられる。
【0066】また、懸洗による精製方法としては、ビス
ホスファイト合成反応の終了後、濾別、或いは水等の極
性溶媒により副生した金属塩化物(MCl)を反応溶液
から除去した後、溶液を蒸発乾涸し、残留物をアセトニ
トリル、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ア
セトン、ジエチルケトン等のケトン類、メタノール、エ
タノール等のアルコール類等の溶媒中で攪拌することに
より、目的物をこれらの溶媒に溶解させることなく、不
要物を溶媒に溶解させる方法により目的物を精製するこ
とができる。
【0067】再結晶化による精製方法としては、ビスホ
スファイト合成反応の終了後、濾別、或いは水等の極性
溶媒により副生した金属塩化物を反応溶液から除去した
後、溶液を蒸発乾涸し、残留物を溶解し得る最少量の溶
媒に溶解させた後、冷却することによる方法、及び、残
留物を溶解し得る溶媒に溶解した後、目的物のビスホス
ファイト化合物が不溶もしくは難溶の溶媒を添加し、所
望により冷却することによる方法等により固体を析出さ
せ、固体を濾過等の方法により分離し、さらに固体が不
溶の溶媒で洗浄する方法等が挙げられる。ビスホスファ
イト化合物が可溶の溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられ、難溶の溶媒
としては、アセトニトリルの他、ヘキサン、ヘプタン等
の脂肪族炭化水素類、アセトン、ジエチルケトン等のケ
トン類、メタノール、エタノール等のアルコール類が例
示される。
【0068】本発明においては、前述した新規なビスホ
スファイト化合物の存在下にヒドロホルミル化反応を行
う。これにより、高い反応速度と優れた目的生成物の選
択性を同時に満たすことが可能となる。本発明のヒドロ
ホルミル化方法において、反応原料として使用されるオ
レフィン性化合物としては、分子内にオレフィン性二重
結合を少なくとも1つ有する有機化合物であれば特に制
限はない。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテ
ン、ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、ヘキサジエン、
オクテン、オクタジエン、デセン、ヘキサデセン、オク
タデセン、イコセン、ドコセン、スチレン、α−メチル
スチレン、シクロヘキセン、および、プロピレン〜ブテ
ン混合物、1−ブテン〜2−ブテン〜イソブチレン混合
物、1−ブテン〜2−ブテン〜イソブチレン〜ブタジエ
ン混合物等の低級オレフィン混合物、プロピレン、n−
ブテン、イソブチレン等の低級オレフィンの二量体〜四
量体のようなオレフィンオリゴマー異性体混合物等のオ
レフィン類、アクリロニトリル、アリルアルコール、1
−ヒドロキシ−2,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ
−1,7−オクタジエン、オレイルアルコール、1−メ
トキシ−2,7−オクタジエン、アクリル酸メチル、メ
タクリル酸メチル、オレイン酸メチル等の極性基置換オ
レフィン類等が挙げられる。
【0069】ヒドロホルミル化反応の触媒又はその前駆
体として用いる第VIII族金属化合物としては、第VIII族
金属の水素化物、ハロゲン化物、有機酸塩、無機酸塩、
酸化物、カルボニル化合物、アミン化合物、オレフィン
配位化合物、ホスフィン配位化合物またはホスファイト
配位化合物等が使用可能で、例えば、三塩化ルテニウ
ム、テトラアンミンヒドロキソクロロルテニウムクロリ
ド、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウム等のルテニウム化合物、酢酸パラジウム、塩化パラ
ジウム等のパラジウム化合物、三塩化オスミウム等のオ
スミウム化合物、三塩化イリジウム、イリジウムカルボ
ニル等のイリジウム化合物、白金酸、ヘキサクロロ白金
酸ナトリウム、第二白金酸カリウム等の白金化合物、ジ
コバルトオクタカルボニル、ステアリン酸コバルト等の
コバルト化合物、三塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸
ロジウム、Rh(acac)(CO)2 、〔Rh(OA
c)(COD)〕2 、Rh4 (CO)12、Rh6(C
O)16、HRh(CO)(PPh33 、〔Rh(OA
c)(CO)22 、〔Rh(μ−S(t−Bu))
(CO)22、〔RhCl(COD)〕2(acacは
アセチルアセトナト基を、Ac はアセチル基を、COD
は1,5−シクロオクタジエンを、Phはフェニル基
を、t−Buは第3級ブチル基をそれぞれ表す)等のロ
ジウム化合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定さ
れるものではない。
【0070】本発明方法において、ビスホスファイト化
合物は予め上記の第VIII族金属化合物と錯体を形成させ
て用いることができる。ビスホスファイト化合物を含む
第VIII族金属錯体は、第VIII族金属の化合物と該ビスホ
スファイト化合物とから、公知の錯体形成方法により容
易に調製することができる。また、場合によっては、第
VIII族金属化合物と前記ビスホスファイト化合物とをヒ
ドロホルミル化反応帯域に供給してそこで錯体を形成さ
せて用いることもできる。
【0071】第VIII族金属化合物の使用量は、特に限定
されるものではなく、触媒活性及び経済性等から考慮さ
れる限界があるが、本発明においては、通常ヒドロホル
ミル化反応帯域における濃度が金属原子換算でオレフィ
ン性化合物または反応溶媒1リットルに対し0.05m
g〜5g、好ましくは0.5mg〜1gの範囲から選ば
れる。
【0072】本発明において、ビスホスファイト化合物
の使用量は特に制限されるものではなく、触媒の活性、
選択性に対して望ましい結果が得られるように適宜設定
される。通常は第VIII金属1モル当たり約0.001〜
500モル、好ましくは0.1〜100モルの範囲から
選ばれる。ヒドロホルミル化反応を行なうにあたって、
反応溶媒の使用は必須ではないが、必要ならばヒドロホ
ルミル化反応に不活性な溶媒を存在させることができ
る。好ましい溶媒の具体例としては、トルエン、キシレ
ン、トデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、
ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エ
チル、ジ−n−オクチルフタレート等のエステル類、ア
ルデヒド縮合体等のヒドロホルミル化反応時に副生する
高沸点成分又は、反応原料であるオレフィン性化合物等
が挙げられる。
【0073】本発明のヒドロホルミル化方法を行なうた
めの反応条件は、従来用いられたものと同様であり、反
応温度は、通常、15〜200℃、好ましくは50〜1
50℃の範囲から選ばれ、CO分圧及びH2 分圧は通
常、0.001〜200気圧、好ましくは0.1〜10
0気圧、特に好ましくは1〜50気圧の範囲から選ばれ
る。水素と一酸化炭素とのモル比(H2 /CO)は通
常、10/1〜1/10、好ましくは1/1〜6/1の
範囲から選択される。ヒドロホルミル化反応は、攪拌型
反応槽または気泡塔型反応槽等の反応槽中で連続方式ま
たは回分方式のいずれでも行なうことができる。
【0074】本発明の、一般式(I)〜(III)で示され
る新規なビスホスファイト化合物を用いたヒドロホルミ
ル化の反応系では、生成したアルデヒドを蒸留等の方法
により分離した後に、この第VIII族金属及びビスホスフ
ァイト化合物を含む回収液を用いて、再びオレフィン性
化合物のヒドロホルミル化反応を行うことができる。更
に、連続的にオレフィン性化合物をアルデヒドに転化す
る際に、生成するアルデヒドの一部または全部を分離し
た残りの反応液を、触媒液として連続的にヒドロホルミ
ル化反応槽に循環させることもできる。
【0075】
【実施例】次に本発明の具体的態様を、実施例により更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0076】(ビスホスファイト化合物の合成) 実施例−1 三塩化リン(2.086g、15.19ミリモル)のテ
トラヒドロフラン(約100ミリリットル)溶液に、6
−ヒドロキシキノリン(4.50g、30.38ミリモ
ル)及びトリエチルアミン(7.685g、75.95
ミリモル)のテトラヒドロフラン(約130ミリリット
ル)溶液を窒素雰囲気下、0℃にて約1.5時間かけて
攪拌しつつ滴下した。次いで、副生した固体のトリエチ
ルアミン塩酸塩を濾別した後、溶媒留去し、黄色のオイ
ルを得た。この残さにトルエン(20ミリリットル)を
加え、ClP(OC96N)2 を含むトルエン溶液を得
た。他方、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−
2,2′−ビフェニルジオール(2.078g、5.0
6ミリモル)のテトラヒドロフラン(約50ミリリット
ル)溶液にヘキサンに溶解したn−ブチルリチウム
(5.99ミリリットル、10.52ミリモル)を窒素
雰囲気下、0℃にて滴下し、次いで約1時間沸騰還流
し、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−2,
2′−ビフェニルジオールのジリチウム塩を得た。次
に、先に得られたClP(OC96N)2 を含むトルエ
ン溶液に、テトラヒドロフランに溶解した3,3′,
5,5′−テトラ−t−ブチル−2,2′−ビフェニル
ジオールのジリチウム塩を窒素雰囲気下、−70℃に
て、約90分かけて攪拌しつつ滴下した。滴下後、約
1.2℃/分の温度上昇速度で反応溶液を0℃まで戻し
た後、反応液の約半分を減圧濃縮し、残留物をトルエン
/水系により抽出洗浄した。トルエン相を無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した結果、約6gの
オイルを得た。これにアセトニトリルを加え、均一溶液
にし、−20℃にて一晩放置した結果、目的のビスホス
ファイト(2)をほぼ白色の粉末固体として1.25g
(収率23.6%)得た。
【0077】31P−NMR(CDCl3)δ130.9
(リン酸フェニル基準)1 H−NMR(CDCl3,TMS)δ1.2(18H,
s)、1.42(18H,s)、7.1−7.3(14
H,m)、7.5(2H,m)、7.66(2H,
m)、7.8−7.95(6H,m)、8.75(2
H,m)、8.80(2H,m)
【0078】実施例−2 三塩化リン(2.457g、17.89ミリモル)のテ
トラヒドロフラン(約100ミリリットル)溶液に、6
−ヒドロキシキノリン(4.676g、32.21ミリ
モル)及びトリエチルアミン(8.40g、83.0ミ
リモル)のテトラヒドロフラン(約130ミリリット
ル)溶液を窒素雰囲気下、0℃にて約1.5時間かけて
攪拌しつつ滴下した。その後、85℃の油浴で20時間
撹拌し、次いで、副生した固体のトリエチルアミン塩酸
塩を濾別した後、得られたClP(OC96N)2 を含
む溶液を約80mlまで濃縮した。他方、3,3′,
5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6’−ジメチル−
2,2′−ビフェニルジオール(3.532g、8.0
5ミリモル)のテトラヒドロフラン(約30ミリリット
ル)溶液にヘキサンに溶解したn−ブチルリチウム(1
0.6ミリリットル、16.5ミリモル)を窒素雰囲気
下、0℃にて滴下し、次いで約1時間沸騰還流し、3,
3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6’−ジメ
チル−2,2′−ビフェニルジオールのジリチウム塩を
得た。次に、先に得られたClP(OC96N)2 を含
むテトラヒドロフラン溶液に、テトラヒドロフランに溶
解した3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,
6’−ジメチル−2,2′−ビフェニルジオールのジリ
チウム塩を窒素雰囲気下、−70℃にて、約15分かけ
て攪拌しつつ滴下した。滴下後、約0.6℃/分の温度
上昇速度で反応溶液を室温まで戻した後、反応液の溶媒
を減圧留去し、残留物をトルエン/水系により抽出洗浄
した。トルエン相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、
溶媒を留去した結果、褐色のオイルを得た。これにアセ
トニトリルを加え、生じた白色沈殿物を濾別したのち、
濾液の溶媒を減圧留去した。その残さを少量のクロロホ
ルムに溶解し、ヘキサンを加えて−30℃程度に冷却し
ながら撹拌し、上澄み液を除去した。更に得られたガム
状物質を少量のアセトニトリルに溶解させ、不要物を濾
別し、濾液を減圧乾固することにより目的のビスホスフ
ァイト(21)を黄白色の粉末固体として0.676g
(収率7.8%)得た。
【0079】31P−NMR(CDCl3)δ125.7
5(リン酸フェニル基準)1 H−NMR(CDCl3,TMS)δ1.31(18
H,s)、1.46(18H,s)、2.13(6H,
s)、7.06(2H,s)、7.08−7.14(4
H,m)、7.16−7.20(4H,m)、7.28
−7.32(2H,m)、7.54(2H,d,J=
3.8Hz)、7.60(2H,s)、7.68(2
H,d,J=3.8Hz)、7.84−7.91(4
H,m)、8.67(2H,dd,J=1.7,0.7
Hz)、8.79(2H,dd,J=1.7,0.7H
z) 実施例−1及び2で得られたビスホスファイト化合物の
構造がそれぞれ下記(2)及び(21)であることは、
リン31−核磁気共鳴分光光度法、プロトン核磁気共鳴
分光光度法(バリアン社製ユニティー300型)、元素
分析法を用いて確認した。
【0080】
【化44】
【0081】(ヒドロホルミル化反応) 実施例−3 内容積200ミリリットルのステンレス鋼製上下攪拌型
オートクレーブに、55ミリリットルのトルエン(溶媒
として)、5ミリリットルのn−ヘプタン(内標とし
て)、19.8mgの〔Rh(OAc)(COD)〕
2 、及び307.0mgのビスホスファイト(2)(P
/Rh mol比:8.0)を窒素雰囲気下で仕込んだ
後、オートクレーブを密閉した。オートクレーブ内を窒
素ガス10kg/cm2 Gで3回置換した後で窒素ガス
0kg/cm2 Gに放圧し、次いでこれらにプロピレン
4.5gを圧入した。これを70℃まで昇温した後、直
ちにオートクレーブ内全圧がプロピレン自圧を含めて9
kg/cm2 Gとなるように水性ガス(H2 /CO=
1)を圧入して反応を開始した。反応の間に消費された
水性ガスは二次圧力調整器を介して蓄圧器より補給し、
反応器内全圧を絶えず9kg/cm2 Gに保ちつつ60
分間反応を継続した。反応終了後、反応器を室温まで冷
却し、オートクレーブ内の気相及び液相を捕集し、ガス
クロマトグラフィーを用いて成分分析を行なった。反応
速度定数(k)は3.21/hr、C4−アルデヒドの
収率は96.5%で、目的とするn−ブチルアルデヒド
とi−ブチルアルデヒドとの比(n/i)は49.0で
あった。
【0082】実施例−4 実施例−3において、307.0mgのビスホスファイ
ト(2)の代わりに313.8mgのビスホスファイト
(21)(P/Rh mol比:8.0)を窒素雰囲気
下で仕込み、反応時間を45分としたこと以外は同様の
操作でプロピレンのヒドロホルミル化反応を行った。反
応速度定数(k)は3.12/hr、C 4−アルデヒド
の収率は90.3%で、目的とするn−ブチルアルデヒ
ドとi−ブチルアルデヒドとの比(n/i)は15.0
であった。
【0083】
【発明の効果】本発明のビスホスファイト化合物は、水
素化、ヒドロホルミル化、ヒドロシアノ化、ヒドロカル
ボキシル化、ヒドロアミド化、ヒドロエステル化、縮合
等の種々の有機反応において、均一系金属触媒の構成要
素として使用することの可能な新規化合物である。本発
明方法において、特定の構造を有するビスホスファイト
化合物をヒドロホルミル化反応において触媒成分として
用いることにより、高い反応活性のみならず極めて高い
アルデヒド異性体選択率が得られるので、ヒドロホルミ
ル化反応を工業的に有利に実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07F 9/58 C07F 9/58 B 9/60 9/60 9/64 9/64 9/6506 9/6506 9/6512 9/6512 9/6541 9/6541 9/655 9/655 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 高橋 英太郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 和田 康裕 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 田中 善幸 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(A)で表されるビスホスフ
    ァイト化合物。 【化1】 〔式中、−Ar−Ar−基は、下記一般式(A−I)〜
    (A−III)のいずれか1つで表されるビスアリーレン基
    であり、Z1 〜Z4 はそれぞれ4〜20個の炭素原子を
    有する複素芳香族基であって置換基を有していてもよ
    く、基Z1 〜Z4 中の酸素原子と結合する炭素原子に隣
    接する芳香環炭素原子の置換基は、それぞれ炭素原子0
    〜2個の基からなる群から選ばれ、かつ、Z1 とZ2
    びZ3 とZ4のいずれもが互いに結合していない。 【化2】 (式中、R11は、それぞれ独立に3〜20個の炭素原子
    を有するアルキル基及びシクロアルキル基からなる群か
    ら選ばれるものを表し、R12〜R14は、それぞれ独立に
    水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、
    アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ
    基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ
    基、アルキルアリール基、アルキルアリールオキシ基、
    アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、シアノ
    基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ば
    れるものを表す。) 【化3】 (式中、R21はそれぞれ独立に一般式(A−I)中のR
    11と同義であり、R22〜R26はそれぞれ独立に一般式
    (A−I)中のR12〜R14と同義である。) 【化4】 (式中、R31はそれぞれ独立に一般式(A−I)中のR
    11と同義であり、R32〜R36はそれぞれ独立に一般式
    (A−I)中のR12〜R14と同義である。)〕
  2. 【請求項2】 下記一般式(I)で表される請求項1に
    記載のビスホスファイト化合物。 【化5】 〔式中、R11〜R14及びZ1 〜Z4 は一般式(A)にお
    けると同義である。〕
  3. 【請求項3】 下記一般式(II)で表される請求項1に
    記載のビスホスファイト化合物。 【化6】 〔式中、R21〜R26及びZ1 〜Z4 は一般式(A)にお
    けると同義である。〕
  4. 【請求項4】 下記一般式(III)で表される請求項1に
    記載のビスホスファイト化合物。 【化7】 〔式中、R31〜R36及びZ1 〜Z4 は一般式(A)にお
    けると同義である。〕
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、R11が4〜20
    個の炭素原子を有する第3級アルキル基である請求項2
    に記載のビスホスファイト化合物。
  6. 【請求項6】 一般式(II)において、R21が4〜20
    個の炭素原子を有する第3級アルキル基である請求項3
    に記載のビスホスファイト化合物。
  7. 【請求項7】 一般式(III)において、R31が4〜20
    個の炭素原子を有する第3級アルキル基である請求項4
    に記載のビスホスファイト化合物。
  8. 【請求項8】 周期表の第8〜10族から選ばれる元素
    (以下「第VIII族金属」という)の化合物の存在下に、
    オレフィン性化合物を一酸化炭素及び水素と反応させて
    対応するアルデヒド類を製造するに当り、請求項1に記
    載のビスホスファイト化合物を存在させることを特徴と
    するヒドロホルミル化方法。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載のビスホスファイト化合
    物を存在させる請求項8に記載のヒドロホルミル化方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項3に記載のビスホスファイト化
    合物を存在させる請求項8に記載のヒドロホルミル化方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項4に記載のビスホスファイト化
    合物を存在させる請求項8に記載のヒドロホルミル化方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項5に記載のビスホスファイト化
    合物を存在させる請求項8に記載のヒドロホルミル化方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項6に記載のビスホスファイト化
    合物を存在させる請求項8に記載のヒドロホルミル化方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項7に記載のビスホスファイト化
    合物を存在させる請求項8に記載のヒドロホルミル化方
    法。
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