JPH10279500A - 肥満症治療剤 - Google Patents
肥満症治療剤Info
- Publication number
- JPH10279500A JPH10279500A JP9102480A JP10248097A JPH10279500A JP H10279500 A JPH10279500 A JP H10279500A JP 9102480 A JP9102480 A JP 9102480A JP 10248097 A JP10248097 A JP 10248097A JP H10279500 A JPH10279500 A JP H10279500A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- obesity
- therapeutic agent
- neurotrophic factor
- bdnf
- syndrome
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】新規な肥満症治療剤を提供する。
【解決手段】BDNF(脳由来神経栄養因子)等、神経
栄養因子を有効成分として含有する肥満症治療剤。原発
性肥満や症候性要因による肥満症を治療あるいは予防し
うる。肥満症治療の主流である食事療法や運動療法、あ
るいは中枢興奮性薬剤と異なり、患者に負担をかけるこ
となく肥満やそれに由来する疾病を治療しうる。
栄養因子を有効成分として含有する肥満症治療剤。原発
性肥満や症候性要因による肥満症を治療あるいは予防し
うる。肥満症治療の主流である食事療法や運動療法、あ
るいは中枢興奮性薬剤と異なり、患者に負担をかけるこ
となく肥満やそれに由来する疾病を治療しうる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は肥満症治療剤、より
詳しくは、神経栄養因子を有効成分として含有する肥満
症治療剤に関する。
詳しくは、神経栄養因子を有効成分として含有する肥満
症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活水準の向上により、欧米型の
食生活への変化あるいは運動不足傾向の増加に伴って、
肥満症患者が増加している。
食生活への変化あるいは運動不足傾向の増加に伴って、
肥満症患者が増加している。
【0003】肥満は、「身体に於ける脂肪組織(体脂
肪)が過剰に蓄積した状態」であり、一般に(1)心血
管系への負担増、(2)糖尿病などの代謝系疾患の発
現、(3)肝・胆道系の異常、(4)呼吸機能の低下、
(5)骨・関節系への過剰負担、(6)活動性の低下、
など健康上のマイナス因子をもたらすとされている。肥
満の程度を示す尺度、体格指数(Body Mass
Index:BMI)、体脂肪率やウェスト/ヒップ比
(W/H比)と有病指数の間には、正の相関が認められ
ている。このことから、「体脂肪の過剰蓄積に起因する
健康障害が起こっている、あるいは予想されるために、
医学的に減量を必要とする状態」を特に肥満症というこ
とができる[日本臨床、第53巻、1995年特別号
「肥満症」221頁〜236頁、日本臨床社、1995
年6月22日発行]。
肪)が過剰に蓄積した状態」であり、一般に(1)心血
管系への負担増、(2)糖尿病などの代謝系疾患の発
現、(3)肝・胆道系の異常、(4)呼吸機能の低下、
(5)骨・関節系への過剰負担、(6)活動性の低下、
など健康上のマイナス因子をもたらすとされている。肥
満の程度を示す尺度、体格指数(Body Mass
Index:BMI)、体脂肪率やウェスト/ヒップ比
(W/H比)と有病指数の間には、正の相関が認められ
ている。このことから、「体脂肪の過剰蓄積に起因する
健康障害が起こっている、あるいは予想されるために、
医学的に減量を必要とする状態」を特に肥満症というこ
とができる[日本臨床、第53巻、1995年特別号
「肥満症」221頁〜236頁、日本臨床社、1995
年6月22日発行]。
【0004】肥満症は、原因不明の原発性(単純性)肥
満と、二次性(症候性)肥満に分類され、後者は原因疾
患の治療によって肥満症も治療しうるはずであるが、実
際は肥満原因の特定が難しいため、主に減食療法と運動
療法によって治療されている。高度の肥満症や運動不可
能な場合には、外科手術(胃縮小術)や薬物療法(アド
レナリン系、セロトニン系等の中枢刺激剤、消化吸収阻
害剤)も用いられるものの未だに試行の域を出ず、肥満
症に対する根本的な薬物療法は確立されていないと言っ
て良い[「肥満症」前出、481頁〜492頁]。
満と、二次性(症候性)肥満に分類され、後者は原因疾
患の治療によって肥満症も治療しうるはずであるが、実
際は肥満原因の特定が難しいため、主に減食療法と運動
療法によって治療されている。高度の肥満症や運動不可
能な場合には、外科手術(胃縮小術)や薬物療法(アド
レナリン系、セロトニン系等の中枢刺激剤、消化吸収阻
害剤)も用いられるものの未だに試行の域を出ず、肥満
症に対する根本的な薬物療法は確立されていないと言っ
て良い[「肥満症」前出、481頁〜492頁]。
【0005】一方、神経栄養因子は、生体内で標的細胞
あるいは神経およびグリア細胞・シュワン細胞から供給
され、神経細胞の生存維持、分化促進などの作用を示す
蛋白質の総称であり、作用する神経の種類や受容体によ
って、多くの種類に分類されている。中でも、ニューロ
トロフィンとして知られる蛋白群は互いに相同性が高
く、ファミリーを形成している。NGF(神経成長因
子)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、NT−3(ニ
ューロトロフィン3)、NT−4/5などが代表的なも
ので、P−75およびtrk遺伝子産物である受容体の
特異的リガンドとして作用することが知られている(野
々村健、畠中寛;実験医学 第13巻 376頁 (1
995年))。NGF、BDNF等の神経栄養因子は従
来より、ALSなど神経変性疾患に対する治療剤として
の医薬用途が研究されているが、肥満症のような摂食異
常または脂肪代謝異常に対する作用は未だ報告されてい
ない。
あるいは神経およびグリア細胞・シュワン細胞から供給
され、神経細胞の生存維持、分化促進などの作用を示す
蛋白質の総称であり、作用する神経の種類や受容体によ
って、多くの種類に分類されている。中でも、ニューロ
トロフィンとして知られる蛋白群は互いに相同性が高
く、ファミリーを形成している。NGF(神経成長因
子)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、NT−3(ニ
ューロトロフィン3)、NT−4/5などが代表的なも
ので、P−75およびtrk遺伝子産物である受容体の
特異的リガンドとして作用することが知られている(野
々村健、畠中寛;実験医学 第13巻 376頁 (1
995年))。NGF、BDNF等の神経栄養因子は従
来より、ALSなど神経変性疾患に対する治療剤として
の医薬用途が研究されているが、肥満症のような摂食異
常または脂肪代謝異常に対する作用は未だ報告されてい
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、肥満
症患者の体重を安全にコントロールしうる、新規な肥満
症治療剤を提供することにある。
症患者の体重を安全にコントロールしうる、新規な肥満
症治療剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、神経栄養
因子の薬理作用を検討していたところ、II型の糖尿病
のモデル動物の一種で、血糖値の上昇と同時に肥満症を
発症するC57db/dbマウス(石田均ほか、最新医
学、第48巻、34頁(1993年))に、BDNFを
投与することにより、健康を損なうこと無く、体重を低
下させうることを知った。この知見に基づき、更なる検
討の結果、本発明を完成した。
因子の薬理作用を検討していたところ、II型の糖尿病
のモデル動物の一種で、血糖値の上昇と同時に肥満症を
発症するC57db/dbマウス(石田均ほか、最新医
学、第48巻、34頁(1993年))に、BDNFを
投与することにより、健康を損なうこと無く、体重を低
下させうることを知った。この知見に基づき、更なる検
討の結果、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、下記の医薬に関する
ものである。 (1)神経栄養因子を有効成分とする肥満症治療剤。 (2)神経栄養因子がニューロトロフィンファミリーか
ら選択される(1)の肥満症治療剤。 (3)神経栄養因子がtrkまたはp75受容体のリガ
ンドである(1)の肥満症治療剤。 (4)神経栄養因子がtrkBまたはtrkC受容体の
リガンドである(1)の肥満症治療剤。 (5)神経栄養因子が脳由来神経栄養因子(BDN
F)、NGF、NT−3、NT−4、GDNF、CNT
FまたはHGFである(1)の肥満症治療剤。 (6)糖尿病に伴う肥満症の治療に用いられる(1)な
いし(5)の肥満症治療剤。 (7)原発性肥満症の治療に用いられる(1)ないし
(5)の肥満症治療剤。 (8)エネルギーバランス調節作用を有することを特徴
とする(1)ないし(5)の肥満症治療剤。 (9)レプチンレセプター異常による症状を改善するこ
とを特徴とする(1)ないし(5)の肥満症治療剤。 (10)肥満症がシンドロームX、死の四重奏または内
臓脂肪症候群に伴うことを特徴とする(1)ないし
(5)の治療剤。 (11)神経栄養因子が誘導する液性生理活性物質を介
して薬効を発現することを特徴とする(1)ないし
(5)の治療剤。
ものである。 (1)神経栄養因子を有効成分とする肥満症治療剤。 (2)神経栄養因子がニューロトロフィンファミリーか
ら選択される(1)の肥満症治療剤。 (3)神経栄養因子がtrkまたはp75受容体のリガ
ンドである(1)の肥満症治療剤。 (4)神経栄養因子がtrkBまたはtrkC受容体の
リガンドである(1)の肥満症治療剤。 (5)神経栄養因子が脳由来神経栄養因子(BDN
F)、NGF、NT−3、NT−4、GDNF、CNT
FまたはHGFである(1)の肥満症治療剤。 (6)糖尿病に伴う肥満症の治療に用いられる(1)な
いし(5)の肥満症治療剤。 (7)原発性肥満症の治療に用いられる(1)ないし
(5)の肥満症治療剤。 (8)エネルギーバランス調節作用を有することを特徴
とする(1)ないし(5)の肥満症治療剤。 (9)レプチンレセプター異常による症状を改善するこ
とを特徴とする(1)ないし(5)の肥満症治療剤。 (10)肥満症がシンドロームX、死の四重奏または内
臓脂肪症候群に伴うことを特徴とする(1)ないし
(5)の治療剤。 (11)神経栄養因子が誘導する液性生理活性物質を介
して薬効を発現することを特徴とする(1)ないし
(5)の治療剤。
【0009】以下、詳細に本発明を説明する。本明細書
において、「神経栄養因子」とは、1950年に発見さ
れた神経成長因子(NGF)のように、神経細胞の生存
維持、神経分化促進などの生理作用を有するタンパク質
の総称である。具体的には、脳由来神経栄養因子(BD
NF)、NGF、ニューロトロフィン3(NT−3)、
ニューロトロフィン4/5(NT−4/5)、さらには
ニューロトロフィン6(NT−6)を含むニューロトロ
フィンファミリー(R.M. Lindsay et
al.: TINS、vol.17、p.182(19
94)および R.M.Lindsay:Phil.T
rans.R.Soc.Lond.B.vol.35
1、p.365−373(1996))、更に毛様体神
経栄養因子(CNTF)、グリア由来神経栄養因子(G
DNF)、グリア成長因子(GGF2)、中枢神経系成
長因子(AF−1)等を意味する。また、肝実質細胞増
殖因子(HGF)も神経栄養因子活性を有することが最
近の知見で報告されており、本発明における神経栄養因
子に含まれるものとする(A.Ebens et a
l.:Neuron vol.17、p.1157−1
172(1996)など)。さらに、遺伝子工学の常法
にてアミノ酸配列の部分的な置換、付加、欠失、除去を
行って、作成される上記神経栄養因子の改変体も、天然
型神経栄養因子の生理活性を有するかぎり、本発明の神
経栄養因子に含まれるものとする。「ニューロトロフィ
ン」とは、生体では、神経成長の標的となる細胞から分
泌され、または自己分泌や傍分泌により神経(ニューロ
ン)の成長、分化、生存を助けて、神経回路(シナプ
ス)を形成させる神経栄養因子を意味する。BDNF、
NGF、NT−3、NT−4/5、NT−6が現在知ら
れており、アミノ酸配列の相同性も高い類似構造のタン
パク質群である。ニューロトロフィンは今後新たに発見
される可能性もあるが、本件特許出願の実施例で開示し
たように公知の実験動物モデルで薬効を評価することが
でき、本発明において提供される「肥満症治療剤」の概
念に包含されるものである。これらニューロトロフィン
ファミリーのうち、trkA、trkB、trkC受容
体のリガンドはいずれも有用であるが、特にtrkB遺
伝子発現産物であるTrkB受容体を介して、生理活性
を発現するとされるBDNF、NT−3、NT−4/5
は肥満症治療剤として有用性が高い。
において、「神経栄養因子」とは、1950年に発見さ
れた神経成長因子(NGF)のように、神経細胞の生存
維持、神経分化促進などの生理作用を有するタンパク質
の総称である。具体的には、脳由来神経栄養因子(BD
NF)、NGF、ニューロトロフィン3(NT−3)、
ニューロトロフィン4/5(NT−4/5)、さらには
ニューロトロフィン6(NT−6)を含むニューロトロ
フィンファミリー(R.M. Lindsay et
al.: TINS、vol.17、p.182(19
94)および R.M.Lindsay:Phil.T
rans.R.Soc.Lond.B.vol.35
1、p.365−373(1996))、更に毛様体神
経栄養因子(CNTF)、グリア由来神経栄養因子(G
DNF)、グリア成長因子(GGF2)、中枢神経系成
長因子(AF−1)等を意味する。また、肝実質細胞増
殖因子(HGF)も神経栄養因子活性を有することが最
近の知見で報告されており、本発明における神経栄養因
子に含まれるものとする(A.Ebens et a
l.:Neuron vol.17、p.1157−1
172(1996)など)。さらに、遺伝子工学の常法
にてアミノ酸配列の部分的な置換、付加、欠失、除去を
行って、作成される上記神経栄養因子の改変体も、天然
型神経栄養因子の生理活性を有するかぎり、本発明の神
経栄養因子に含まれるものとする。「ニューロトロフィ
ン」とは、生体では、神経成長の標的となる細胞から分
泌され、または自己分泌や傍分泌により神経(ニューロ
ン)の成長、分化、生存を助けて、神経回路(シナプ
ス)を形成させる神経栄養因子を意味する。BDNF、
NGF、NT−3、NT−4/5、NT−6が現在知ら
れており、アミノ酸配列の相同性も高い類似構造のタン
パク質群である。ニューロトロフィンは今後新たに発見
される可能性もあるが、本件特許出願の実施例で開示し
たように公知の実験動物モデルで薬効を評価することが
でき、本発明において提供される「肥満症治療剤」の概
念に包含されるものである。これらニューロトロフィン
ファミリーのうち、trkA、trkB、trkC受容
体のリガンドはいずれも有用であるが、特にtrkB遺
伝子発現産物であるTrkB受容体を介して、生理活性
を発現するとされるBDNF、NT−3、NT−4/5
は肥満症治療剤として有用性が高い。
【0010】「肥満症治療剤」とは、肥満症患者に投与
して、体脂肪率を低下させ、あるいは体重を減少させる
医薬を意味する。「肥満症」には、原因不明の原発性肥
満と、症候性肥満に分類され、さらに後者はクッシング
症候群などの内分泌性肥満、中枢性肥満、遺伝病に由来
する肥満、ステロイドや女性ホルモン、精神病薬による
薬物性肥満などに分けられるが、本明細書における肥満
症は、これら全てを含む概念とする。特に、現在は運動
療法や食事療法で十分な効果が得られない、肥満度+7
0%、またはBMI(Body Mass Inde
x)35以上の肥満症が薬物治療の対象とされている
が、本発明の神経栄養因子はこのような高度の肥満症に
も適用しうるものである。 肥満度(%):(実体重−標準体重)/標準体重X10
0 BMI:体重(kg)/身長(m)2
して、体脂肪率を低下させ、あるいは体重を減少させる
医薬を意味する。「肥満症」には、原因不明の原発性肥
満と、症候性肥満に分類され、さらに後者はクッシング
症候群などの内分泌性肥満、中枢性肥満、遺伝病に由来
する肥満、ステロイドや女性ホルモン、精神病薬による
薬物性肥満などに分けられるが、本明細書における肥満
症は、これら全てを含む概念とする。特に、現在は運動
療法や食事療法で十分な効果が得られない、肥満度+7
0%、またはBMI(Body Mass Inde
x)35以上の肥満症が薬物治療の対象とされている
が、本発明の神経栄養因子はこのような高度の肥満症に
も適用しうるものである。 肥満度(%):(実体重−標準体重)/標準体重X10
0 BMI:体重(kg)/身長(m)2
【0011】「エネルギーバランス」とは摂食と体重の
バランスを意味する。例えば、制限食によっても、体重
が過度に減少することがない場合は、摂食によるエネル
ギー摂取効率がよく、それが体重に影響すると考えられ
る。
バランスを意味する。例えば、制限食によっても、体重
が過度に減少することがない場合は、摂食によるエネル
ギー摂取効率がよく、それが体重に影響すると考えられ
る。
【0012】「レプチンレセプターの異常」により、例
えば、db/dbマウスで報告されているように(H.
Chen et al.,Cell,vol.84、p.4
91−495(1996))、肥満、高血糖等の症状を
呈する。
えば、db/dbマウスで報告されているように(H.
Chen et al.,Cell,vol.84、p.4
91−495(1996))、肥満、高血糖等の症状を
呈する。
【0013】1988年G.M.Ravenは、インス
リン抵抗性、耐糖能低下、高インスリン血症、高VLD
Lトリグリセライド血症、低HDLコレステロール血
症、高血圧を併せ持ち動脈硬化を発症しやすい症候群と
して、シンドロームX(Syndrome X)なる概
念を提唱した(G.M.Raven :Diabete
s、vol.37、p.1595−1607(198
8))。1994年第15回国際糖尿病学会におけるシ
ンポジウムでは、インスリン抵抗性を基盤とした高イン
スリン血症の発症に続き、耐糖能低下、高VLDLトリ
グリセライド血症、低HDLコレステロール血症、高血
圧が引き起こされ、心血管系障害に到るという「インス
リン抵抗性症候群」という概念での議論も展開されてい
る。また、N.M.Kaplanは、1989年に上半
身肥満、耐糖能低下、高トリグリセライド血症、高血圧
を死の四重奏(deadly quartet)と称
し、これらを合併する人は虚血性心疾患の発症率が高い
ことを報告した(N.M.Kaplan、Arch.I
ntern.Med.149巻、1514−1520頁
(1989))。さらに、松沢らは、肥満の病態研究か
ら脂肪分布と合併症との関係に着目し、腹腔内の内臓脂
肪(腸間膜脂肪や大網脂肪)の蓄積した内臓脂肪型肥満
は、皮下脂肪肥満に比べ耐糖能低下、インスリン抵抗
性、高脂血症、心血管障害を高率に伴うことを明らかに
した。松沢らは、内臓脂肪蓄積を基盤として耐糖能異
常、高脂血症、高血圧など複数の危険因子が同時に存在
し、動脈硬化症を引き起こしやすい病態として、内臓脂
肪症候群(visceral fat syndrom
e)を提唱している(中村 正ほか:第12回日本肥満
学会記録、p.161−162(1992)、藤岡滋
典、松沢佑次:分子糖尿病学の進歩、p.145−15
1(1994)などを参照)。上記のいくつかの概念
は、相互に関連した概念であるが、上記の名称に加え
て、欧米化した食生活などを原因とすることをもじっ
て、コカコーラ症候群(coca−colanizat
ion)、Acculturation(文化変容)、
Modernization、Westernizat
ionなどとも称され、「New Word Syndr
ome」とも言われている。本発明、本明細書の実施例
に示される様に、神経栄養因子は、まさに上記概念の症
候群、疾患、病態などの予防、治療にも有効である。
リン抵抗性、耐糖能低下、高インスリン血症、高VLD
Lトリグリセライド血症、低HDLコレステロール血
症、高血圧を併せ持ち動脈硬化を発症しやすい症候群と
して、シンドロームX(Syndrome X)なる概
念を提唱した(G.M.Raven :Diabete
s、vol.37、p.1595−1607(198
8))。1994年第15回国際糖尿病学会におけるシ
ンポジウムでは、インスリン抵抗性を基盤とした高イン
スリン血症の発症に続き、耐糖能低下、高VLDLトリ
グリセライド血症、低HDLコレステロール血症、高血
圧が引き起こされ、心血管系障害に到るという「インス
リン抵抗性症候群」という概念での議論も展開されてい
る。また、N.M.Kaplanは、1989年に上半
身肥満、耐糖能低下、高トリグリセライド血症、高血圧
を死の四重奏(deadly quartet)と称
し、これらを合併する人は虚血性心疾患の発症率が高い
ことを報告した(N.M.Kaplan、Arch.I
ntern.Med.149巻、1514−1520頁
(1989))。さらに、松沢らは、肥満の病態研究か
ら脂肪分布と合併症との関係に着目し、腹腔内の内臓脂
肪(腸間膜脂肪や大網脂肪)の蓄積した内臓脂肪型肥満
は、皮下脂肪肥満に比べ耐糖能低下、インスリン抵抗
性、高脂血症、心血管障害を高率に伴うことを明らかに
した。松沢らは、内臓脂肪蓄積を基盤として耐糖能異
常、高脂血症、高血圧など複数の危険因子が同時に存在
し、動脈硬化症を引き起こしやすい病態として、内臓脂
肪症候群(visceral fat syndrom
e)を提唱している(中村 正ほか:第12回日本肥満
学会記録、p.161−162(1992)、藤岡滋
典、松沢佑次:分子糖尿病学の進歩、p.145−15
1(1994)などを参照)。上記のいくつかの概念
は、相互に関連した概念であるが、上記の名称に加え
て、欧米化した食生活などを原因とすることをもじっ
て、コカコーラ症候群(coca−colanizat
ion)、Acculturation(文化変容)、
Modernization、Westernizat
ionなどとも称され、「New Word Syndr
ome」とも言われている。本発明、本明細書の実施例
に示される様に、神経栄養因子は、まさに上記概念の症
候群、疾患、病態などの予防、治療にも有効である。
【0014】「シンドロームX」とは、インスリン抵抗
性、耐糖能低下、高インスリン血症、高VLDLトリグ
リセライド血症、低HDLコレステロール血症、高血圧
を併せ持ち動脈硬化を発症しやすい症候群を意味する。
性、耐糖能低下、高インスリン血症、高VLDLトリグ
リセライド血症、低HDLコレステロール血症、高血圧
を併せ持ち動脈硬化を発症しやすい症候群を意味する。
【0015】「死の四重奏(deadly quart
et)」とは、上半身肥満、耐糖能低下、高トリグリセ
ライド血症、高血圧を死の四重奏を合併する疾患を意味
する。
et)」とは、上半身肥満、耐糖能低下、高トリグリセ
ライド血症、高血圧を死の四重奏を合併する疾患を意味
する。
【0016】「内臓脂肪症候群visceral fa
t syndrome)」とは、腹腔内の内臓脂肪(腸
間膜脂肪や大網脂肪)の蓄積した、内臓脂肪蓄積を基盤
として耐糖能異常、高脂血症、高血圧など複数の危険因
子が同時に存在し、動脈硬化症を引き起こしやすい病態
を意味する。
t syndrome)」とは、腹腔内の内臓脂肪(腸
間膜脂肪や大網脂肪)の蓄積した、内臓脂肪蓄積を基盤
として耐糖能異常、高脂血症、高血圧など複数の危険因
子が同時に存在し、動脈硬化症を引き起こしやすい病態
を意味する。
【0017】「神経栄養因子が誘導する液性生理活性物
質」とは、神経栄養因子を投与された動物が生体内で誘
導し、末梢血中に放出する、血糖調節作用、血中脂質調
節作用、体脂肪蓄積調節作用またはインスリン抵抗性の
改善作用を有する生理活性物質の総称である。
質」とは、神経栄養因子を投与された動物が生体内で誘
導し、末梢血中に放出する、血糖調節作用、血中脂質調
節作用、体脂肪蓄積調節作用またはインスリン抵抗性の
改善作用を有する生理活性物質の総称である。
【0018】(製造方法)本発明の肥満症治療剤に用い
る神経栄養因子は、それぞれの固有の生理活性を示すも
ので有れば、天然抽出品、遺伝子組み替え品を問わず、
精製して本発明に使用することができる。そして神経栄
養因子の天然配列の一部を置換、欠失あるいは付加して
作成した組換神経栄養因子の改変体も本発明の治療剤に
用いうる。例えば、BDNFの場合、Barde,Y.
E(The EMBOJ.,vol.5、p.549−
553(1982)) らによって、ブタ脳から単離さ
れ、その後クローニングで、119個のアミノ酸から成
る一次構造が解析されたものである(Leibroc
k,J et. al.:Nature,vol.vo
l.341,p.149(1989))が、N末端にメ
チオニン残基を有するMet−BDNF、現在公知の手
法にて上記の天然配列の一部を置換、欠失あるいは付加
して作成した組換BDNF改変体も、BDNF活性を有
する医薬製剤である限り、本発明の技術範囲内である。
る神経栄養因子は、それぞれの固有の生理活性を示すも
ので有れば、天然抽出品、遺伝子組み替え品を問わず、
精製して本発明に使用することができる。そして神経栄
養因子の天然配列の一部を置換、欠失あるいは付加して
作成した組換神経栄養因子の改変体も本発明の治療剤に
用いうる。例えば、BDNFの場合、Barde,Y.
E(The EMBOJ.,vol.5、p.549−
553(1982)) らによって、ブタ脳から単離さ
れ、その後クローニングで、119個のアミノ酸から成
る一次構造が解析されたものである(Leibroc
k,J et. al.:Nature,vol.vo
l.341,p.149(1989))が、N末端にメ
チオニン残基を有するMet−BDNF、現在公知の手
法にて上記の天然配列の一部を置換、欠失あるいは付加
して作成した組換BDNF改変体も、BDNF活性を有
する医薬製剤である限り、本発明の技術範囲内である。
【0019】なお、BDNF活性とは、本明細書におい
ては、後根神経節、迷走神経下神経節、運動ニューロ
ン、網膜神経節、黒質ドーパミン作動性ニューロン、前
脳基底野コリン作動性ニューロン等の生存維持・分化促
進作用などを意味する。この生体での作用は、in v
itroまたはin vivoで確認する事ができる
(特開平5−328974、US5,180,82
0)。
ては、後根神経節、迷走神経下神経節、運動ニューロ
ン、網膜神経節、黒質ドーパミン作動性ニューロン、前
脳基底野コリン作動性ニューロン等の生存維持・分化促
進作用などを意味する。この生体での作用は、in v
itroまたはin vivoで確認する事ができる
(特開平5−328974、US5,180,82
0)。
【0020】BDNFの生産方法は種々報告されてお
り、何れの製法によるBDNFも本発明の製剤に用いる
ことができる。動物組織からの抽出品の場合、医薬とし
て使用できる程度に精製されたものであれば良い(Th
e EMBO J.,vol.5、p.549−553
(1982))。また、BDNFを産生する初代培養細
胞や株化細胞を培養し、培養物(培養上清、培養細胞)
から分離精製してBDNFを得ることもできる。さら
に、遺伝子工学的手法によりBDNFをコードする遺伝
子を適切なベクターに組み込み、これを適切な宿主に挿
入して形質転換し、この形質転換体の培養上清から目的
とする組み換えBDNFを得ることができ(例えば、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,vo
l.88,p.961(1991)、Biochem.
Biophys.Res.Commun.vol.18
6,p.1553(1992))、均質かつ大量のBD
NFの生産に好適である。上記宿主細胞は特に限定され
ず、従来から遺伝子工学的手法で用いられている各種の
宿主細胞、例えば大腸菌、枯草菌、酵母、植物又は動物
細胞を用いることができる。
り、何れの製法によるBDNFも本発明の製剤に用いる
ことができる。動物組織からの抽出品の場合、医薬とし
て使用できる程度に精製されたものであれば良い(Th
e EMBO J.,vol.5、p.549−553
(1982))。また、BDNFを産生する初代培養細
胞や株化細胞を培養し、培養物(培養上清、培養細胞)
から分離精製してBDNFを得ることもできる。さら
に、遺伝子工学的手法によりBDNFをコードする遺伝
子を適切なベクターに組み込み、これを適切な宿主に挿
入して形質転換し、この形質転換体の培養上清から目的
とする組み換えBDNFを得ることができ(例えば、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,vo
l.88,p.961(1991)、Biochem.
Biophys.Res.Commun.vol.18
6,p.1553(1992))、均質かつ大量のBD
NFの生産に好適である。上記宿主細胞は特に限定され
ず、従来から遺伝子工学的手法で用いられている各種の
宿主細胞、例えば大腸菌、枯草菌、酵母、植物又は動物
細胞を用いることができる。
【0021】(製剤)製剤としては、注射剤、経口剤、
液剤、凍結乾燥品いずれも用いることが出来るが、特に
皮下投与用注射製剤が好ましい。これら非経口投与製剤
には、当該分野にて公知の安定化剤、担体を用いること
ができ、使用時に等張溶液として用いるのが好ましい。
医薬担体としては、例えば、アルブミン等の血漿由来蛋
白、グリシン等のアミノ酸、マンニトール等の糖を用い
ることができ、通常、皮下あるいは筋肉内投与用凍結乾
燥製剤に用いられる。また、水溶製剤、凍結乾燥製剤と
して使用する場合、凝集を防ぐためにTween80な
どの界面活性剤を添加するのが好ましい。長期の薬効を
要する場合は、公知のタンパク除放性製剤担体を用いて
製剤する事もできる。
液剤、凍結乾燥品いずれも用いることが出来るが、特に
皮下投与用注射製剤が好ましい。これら非経口投与製剤
には、当該分野にて公知の安定化剤、担体を用いること
ができ、使用時に等張溶液として用いるのが好ましい。
医薬担体としては、例えば、アルブミン等の血漿由来蛋
白、グリシン等のアミノ酸、マンニトール等の糖を用い
ることができ、通常、皮下あるいは筋肉内投与用凍結乾
燥製剤に用いられる。また、水溶製剤、凍結乾燥製剤と
して使用する場合、凝集を防ぐためにTween80な
どの界面活性剤を添加するのが好ましい。長期の薬効を
要する場合は、公知のタンパク除放性製剤担体を用いて
製剤する事もできる。
【0022】(使用方法)本発明の肥満症治療剤は、主
成分がBDNFの場合は、通常成人キログラムあたり
0.5μg〜40mgを静脈内、皮下、または筋肉内投
与する。投与回数は投与量、投与経路や患者の症状によ
り適宜増減されるものであるが、月一回から一日三回の
投与が可能であり、一般的には週1から5回、数週間の
投薬治療が行われる。この治療によって、適度な体重の
低下と安定が得られる。神経栄養因子による肥満症治療
作用は、従来の知見から説明できるものではないが、少
なくとも、従来の肥満症治療剤とは全く異なる、神経栄
養因子の受容体(trkB等)を介した新しい薬理機序
によるものであると考えられる。
成分がBDNFの場合は、通常成人キログラムあたり
0.5μg〜40mgを静脈内、皮下、または筋肉内投
与する。投与回数は投与量、投与経路や患者の症状によ
り適宜増減されるものであるが、月一回から一日三回の
投与が可能であり、一般的には週1から5回、数週間の
投薬治療が行われる。この治療によって、適度な体重の
低下と安定が得られる。神経栄養因子による肥満症治療
作用は、従来の知見から説明できるものではないが、少
なくとも、従来の肥満症治療剤とは全く異なる、神経栄
養因子の受容体(trkB等)を介した新しい薬理機序
によるものであると考えられる。
【0023】(毒性)ラットおよびカニクイザルで、そ
れぞれBDNFを100mg/kg、60mg/kgの
皮下投与を4週間実施したが、死亡例はなく、また、急
性毒性の点についても、ラットおよびカニクイザルで2
00mg/kg以上の投与量でも死亡の発現無く、安全
性は高い。また、BDNFをラットなどの正常動物に投
与した場合は、血糖の低下は認められず、低血糖を引き
起こす危険性はないと考えられる。一晩絶食させた正常
動物にBDNFを投与した場合も、血糖の低下は認めら
れなかった。
れぞれBDNFを100mg/kg、60mg/kgの
皮下投与を4週間実施したが、死亡例はなく、また、急
性毒性の点についても、ラットおよびカニクイザルで2
00mg/kg以上の投与量でも死亡の発現無く、安全
性は高い。また、BDNFをラットなどの正常動物に投
与した場合は、血糖の低下は認められず、低血糖を引き
起こす危険性はないと考えられる。一晩絶食させた正常
動物にBDNFを投与した場合も、血糖の低下は認めら
れなかった。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例にて説明する。 (製剤例)本発明の神経栄養因子製剤のうち、代表的な
ものであるBDNF皮下投与用水溶あるいは凍結乾燥製
剤は、以下のように製造することができる。 (1)精製組み換えBDNF1mgに対し、グリシン
0.34mg、マンニトール9mg、非イオン性界面活
性剤:ポリソルベート80、0.2mgを加え、燐酸緩
衝液1ml(pH7.4、5mM)に溶解させ、上記溶
液を凍結乾燥した。 (2)150mM塩化ナトリウム、0.01%Twee
n80を含有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
でBDNFを5mg/mlになるように調製し、BDN
F水溶液を得た。 (3)150mM塩化ナトリウム、0.01%Twee
n80を含有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
でBDNFを5mg/mlになるように調製した。続い
て、マンニトールを10mg/mlになるように添加
し、BDNF水溶液を得た。無菌的にバイアル充填後、
凍結乾燥して、BDNF凍結乾燥製剤を得た。バイアル
内に窒素を封入し、打栓した。
ものであるBDNF皮下投与用水溶あるいは凍結乾燥製
剤は、以下のように製造することができる。 (1)精製組み換えBDNF1mgに対し、グリシン
0.34mg、マンニトール9mg、非イオン性界面活
性剤:ポリソルベート80、0.2mgを加え、燐酸緩
衝液1ml(pH7.4、5mM)に溶解させ、上記溶
液を凍結乾燥した。 (2)150mM塩化ナトリウム、0.01%Twee
n80を含有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
でBDNFを5mg/mlになるように調製し、BDN
F水溶液を得た。 (3)150mM塩化ナトリウム、0.01%Twee
n80を含有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
でBDNFを5mg/mlになるように調製した。続い
て、マンニトールを10mg/mlになるように添加
し、BDNF水溶液を得た。無菌的にバイアル充填後、
凍結乾燥して、BDNF凍結乾燥製剤を得た。バイアル
内に窒素を封入し、打栓した。
【0025】(実施例1) 薬理試験・高血糖および肥満症を自然発症するdb/d
b系マウス(雌性、7週齢、一群9〜10匹)を自由摂
食させ、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)またはBDN
F(20mg/kg)を一日一回、週7日二週間皮下投
与した。7日、14日、28日後のBDNF投与前に体
重を測定した。実験の結果を図1に示す。PBS投与群
では10gもの体重増加が見られたが(27g→37
g)、BDNF投与群では4週間で1g弱の体重増加に
とどまり、肥満は認められなかった(25g→26
g)。
b系マウス(雌性、7週齢、一群9〜10匹)を自由摂
食させ、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)またはBDN
F(20mg/kg)を一日一回、週7日二週間皮下投
与した。7日、14日、28日後のBDNF投与前に体
重を測定した。実験の結果を図1に示す。PBS投与群
では10gもの体重増加が見られたが(27g→37
g)、BDNF投与群では4週間で1g弱の体重増加に
とどまり、肥満は認められなかった(25g→26
g)。
【0026】(実施例2) 薬理試験・db/dbマウス(雌性、10週齢、一群1
0匹)を自由摂食させ、BDNF20mg/kgを一日
一回、週5日、計12週間投与した(皮下投与)。PB
S(リン酸緩衝生理食塩水)投与群をコントロール群と
した。また、BDNF群と同量の餌を与えたpair−
feeding群(PBS投与群)とも体重を比較し
た。BDNF投与群ではPBS投与群に比べ、体重増加
がなく、肥満は認められなかった。 また、BDNF投
与群ではpair−feeding群のように体重現象
は認められず、エネルギーバランスのいいことが示され
た。
0匹)を自由摂食させ、BDNF20mg/kgを一日
一回、週5日、計12週間投与した(皮下投与)。PB
S(リン酸緩衝生理食塩水)投与群をコントロール群と
した。また、BDNF群と同量の餌を与えたpair−
feeding群(PBS投与群)とも体重を比較し
た。BDNF投与群ではPBS投与群に比べ、体重増加
がなく、肥満は認められなかった。 また、BDNF投
与群ではpair−feeding群のように体重現象
は認められず、エネルギーバランスのいいことが示され
た。
【0027】
【発明の効果】前述のとおり、本発明は、新規なメカニ
ズムで血中脂質濃度を低下させうる安全な肥満症治療剤
を提供するものである。
ズムで血中脂質濃度を低下させうる安全な肥満症治療剤
を提供するものである。
【0028】
【図1】db/dbマウス体重に対するBDNF皮下投
与の効果 縦軸は体重(g)、横軸は投与日数を示す。PBSは緩
衝生理食塩水投与群(コントロール)、BDNFは20
mg/kgBDNF投与群を表す。
与の効果 縦軸は体重(g)、横軸は投与日数を示す。PBSは緩
衝生理食塩水投与群(コントロール)、BDNFは20
mg/kgBDNF投与群を表す。
【図2】db/dbマウス体重に対するBDNF皮下投
与の効果 縦軸は体重(g)、横軸は投与日数を示す。白丸は自由
摂食させたPBS投与群、黒丸はBDNF投与群に併せ
てペア・フィーディングしたPBS投与群、黒三角は、
BDNF投与群を表す。
与の効果 縦軸は体重(g)、横軸は投与日数を示す。白丸は自由
摂食させたPBS投与群、黒丸はBDNF投与群に併せ
てペア・フィーディングしたPBS投与群、黒三角は、
BDNF投与群を表す。
Claims (11)
- 【請求項1】神経栄養因子を有効成分とする肥満症治療
剤。 - 【請求項2】神経栄養因子がニューロトロフィンファミ
リーから選択される請求項1の肥満症治療剤。 - 【請求項3】神経栄養因子がtrkまたはp75受容体
のリガンドである請求項1の肥満症治療剤。 - 【請求項4】神経栄養因子がtrkBまたはtrkC受
容体のリガンドである請求項1の肥満症治療剤。 - 【請求項5】神経栄養因子が脳由来神経栄養因子(BD
NF)、NGF、NT−3、NT−4、GDNF、CN
TFまたはHGFである請求項1の肥満症治療剤。 - 【請求項6】糖尿病に伴う肥満症の治療に用いられる請
求項1ないし5の肥満症治療剤。 - 【請求項7】原発性肥満症の治療に用いられる請求項1
ないし5の肥満症治療剤。 - 【請求項8】エネルギーバランスを調節することを特徴
とする請求項1ないし5の肥満症治療剤。 - 【請求項9】レプチンレセプター異常による症状を改善
することを特徴とする請求項1ないし5の肥満症治療
剤。 - 【請求項10】肥満症がシンドロームX、死の四重奏ま
たは内臓脂肪症候群に伴うことを特徴とする請求項1な
いし5の肥満症治療剤。 - 【請求項11】神経栄養因子が誘導する液性生理活性物
質を介して薬効を発現することを特徴とする請求項1な
いし5の肥満症治療剤
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9102480A JPH10279500A (ja) | 1997-04-04 | 1997-04-04 | 肥満症治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9102480A JPH10279500A (ja) | 1997-04-04 | 1997-04-04 | 肥満症治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10279500A true JPH10279500A (ja) | 1998-10-20 |
Family
ID=14328628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9102480A Pending JPH10279500A (ja) | 1997-04-04 | 1997-04-04 | 肥満症治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10279500A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001066133A1 (fr) * | 2000-03-06 | 2001-09-13 | Sumitomo Pharmaceuticals Company, Limited | Agents d'amelioration de la resistance a la leptine |
WO2003013604A3 (en) * | 2001-08-09 | 2003-10-09 | Genset Sa | Migenix agonists and antagonists for use in the treatment of metabolic disorders |
WO2004080484A1 (ja) * | 2003-03-12 | 2004-09-23 | Bml, Inc. | 脂肪細胞の分化抑制剤 |
EP1779861A1 (de) * | 2005-10-26 | 2007-05-02 | Staidson (Beijing) Pharmaceutical Co., LTD | Verwendung des Nervenwachstumsfaktors (NGF) zur Herstellung eines Medikaments zur Förderung der Gewichtsabnahme |
US7935342B2 (en) | 2006-02-02 | 2011-05-03 | Rinat Neuroscience Corp. | Methods for treating obesity by administering a trkB antagonist |
-
1997
- 1997-04-04 JP JP9102480A patent/JPH10279500A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001066133A1 (fr) * | 2000-03-06 | 2001-09-13 | Sumitomo Pharmaceuticals Company, Limited | Agents d'amelioration de la resistance a la leptine |
WO2003013604A3 (en) * | 2001-08-09 | 2003-10-09 | Genset Sa | Migenix agonists and antagonists for use in the treatment of metabolic disorders |
WO2004080484A1 (ja) * | 2003-03-12 | 2004-09-23 | Bml, Inc. | 脂肪細胞の分化抑制剤 |
EP1779861A1 (de) * | 2005-10-26 | 2007-05-02 | Staidson (Beijing) Pharmaceutical Co., LTD | Verwendung des Nervenwachstumsfaktors (NGF) zur Herstellung eines Medikaments zur Förderung der Gewichtsabnahme |
US7935342B2 (en) | 2006-02-02 | 2011-05-03 | Rinat Neuroscience Corp. | Methods for treating obesity by administering a trkB antagonist |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU718500B2 (en) | Remedies for diabetes | |
DE60132343T2 (de) | Fgf-2 zur behandlung von erkrankungen der peripheralen arterien | |
ITRM960790A1 (it) | Uso di sostanze che attivano il recettore del cntf ( fattore neurotro fico ciliare) per la preparazione di farmaci per la terapia della | |
US6239105B1 (en) | Homeopathic preparations of purified growth hormone | |
EP2075004B1 (en) | Use of epidermal growth factor for the morphofunctional restoration of peripheral nerves in diabetic neuropathy | |
KR20080031394A (ko) | Tgf-베타 수퍼패밀리 구성원을 포함하는 약학 조성물 | |
CA2032859C (en) | Method of reducing or preventing adverse effect of steroid therapy and compositions therefor | |
CA2142455A1 (en) | Method for systemic treatment of catabolic conditions and systemic tissue injury | |
JPH10279500A (ja) | 肥満症治療剤 | |
US6143714A (en) | Methods of using hepatocyte growth factor to promote survival, growth and differentiation of motor neurons | |
US20030036512A1 (en) | Leptin-resistance amerliorating agents | |
AU659723B2 (en) | Remedy for airway diseases | |
JP2000501085A (ja) | 多発性硬化症を治療するためのペントキシフィリンと▲i▼型インターフェロン類の併用 | |
US20030022840A1 (en) | Drugs for ameliorating impaired glucose tolerance | |
CA2226580A1 (en) | Method of treating epilepsy with brain derived neurotrophic factor | |
WO2000009147A1 (fr) | Agent de regulation du taux de glycemie | |
PT98764B (pt) | Processo para a preparacao de composicoes contendo factor de desenvolvimento de insulina 1 completo para o tratamento terapeutico ou profilactico de estado catabolicos | |
WO1993000921A1 (fr) | Remede a l'osteoporose | |
JP2000302691A (ja) | 精製成長ホルモンのホメオパシー調製剤 | |
JP2003534237A (ja) | 食欲の抑制又は満腹の惹起のための成長ホルモン又は成長ホルモン分泌促進物質の使用 | |
JP2000191548A (ja) | 肝疾患予防・治療剤 | |
JP2688733B2 (ja) | 消化管粘膜障害の予防及び治療剤 | |
JP2003526675A (ja) | 低用量での成長ホルモンの使用 | |
JP2000169389A (ja) | 触覚異常治療剤 | |
JPH06128174A (ja) | 肝臓障害治療剤 |