JP2000191548A - 肝疾患予防・治療剤 - Google Patents

肝疾患予防・治療剤

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JP2000191548A
JP2000191548A JP11300905A JP30090599A JP2000191548A JP 2000191548 A JP2000191548 A JP 2000191548A JP 11300905 A JP11300905 A JP 11300905A JP 30090599 A JP30090599 A JP 30090599A JP 2000191548 A JP2000191548 A JP 2000191548A
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JP
Japan
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liver
neurotrophin
bdnf
therapeutic agent
preventing
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JP11300905A
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Tsutomu Nakagawa
勉 中川
Michiko Kishino
道子 岸野
R Tonra James
ジェームズ・アール・トンラ
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Regeneron Pharmaceuticals Inc
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Regeneron Pharmaceuticals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な肝疾患予防・治療剤を提供する。 【解決手段】 BDNFなどのニューロトロフィンを有
効成分として含有する新規な肝疾患予防・治療剤を提供
する。該肝疾患予防・治療剤は急性、慢性肝炎(ウィル
ス性、薬剤性、自己免疫性など)、肝硬変などの肝疾患
の治療に有用で、かつ、脂肪肝を防ぐほか、肝細胞の保
護作用を有する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は肝疾患予防・治療
剤、より詳しくは、ニューロトロフィンを有効成分とし
て含有する肝疾患予防・治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓の疾患は肝炎ウイルスなどの感染や
低栄養状態あるいは逆に過剰栄養やアルコールの過剰摂
取など種々の原因により発症し、病変が進行すると肝硬
変という終末像に到達する。多くの肝疾患は肝実質細胞
の障害が発症の引き金となり、肝細胞壊死、脂肪肝など
の形態学的変化を生ずる。この中で脂肪肝は中性脂肪が
肝細胞内に過剰に蓄積した病態であり、特に脂質含量が
肝重量の5%を越えるものを言う。その発症の原因か
ら、アルコール性脂肪肝や、肥満・糖尿病性脂肪肝、飢
餓性脂肪肝、抗生物質や副腎皮質ホルモンなどの薬剤投
与による脂肪肝、またC型肝炎ウイルスの感染や遺伝性
の脂肪肝に分類される。脂肪肝の病態としては、脂肪変
性が広汎に生じ、血中トランスアミナーゼやコリンエス
テラーゼなど肝細胞障害を示す生化学的パラメーターが
高値を示すのが特徴である。脂肪肝には肝臓の線維化が
伴うことも多く、病態が長期に続けば肝硬変、肝ガンへ
の移行が高率に観察される。
【0003】現在、脂肪肝は、食事療法と運動療法ある
いは原因疾患の治療が基本となっており、薬物療法とし
ては、ビタミンE、コリン、カルニチンなどのビタミン
類などが補助的に用いられているに過ぎない。また、肝
炎では、インターフェロンや免疫抑制剤のような病因治
療剤以外に、グリシルリチン製剤、ウルソデオキシコー
ル酸製剤、グルタチオン製剤などの肝細胞保護剤が良く
用いられている。肝細胞破壊の程度を示す生化学的パラ
メーターはこれらの薬剤で低下するが、おおむね対症療
法に過ぎない。
【0004】ニューロトロフィンは、生体内で標的細胞
あるいは神経およびグリア細胞・シュワン細胞から供給
され、神経細胞の生存維持、分化促進などの作用を示す
神経栄養因子のうち、ファミリーを形成している一群の
タンパクをさし、アミノ酸配列の相同性が高いタンパク
質群である。具体的には、脳由来神経栄養因子(以下、
BDNFと略す)、ニューロトロフィン−3などが代表
的であり、trk受容体の特異的リガンドとして作用す
ることが知られている(野々村健、畠中寛;実験医学
第13巻 376頁(1995年))。ニューロトロフ
ィンは、ALSなど神経変性疾患に対する治療剤として
の医薬用途が臨床で検討されているほか、糖尿病や高脂
血症の治療剤として、知られている(Biochem.
Biophysic.Res.Commu.vol.2
38,p.633(1997))。しかし、脂肪肝の治
療剤あるいは肝細胞保護作用については、報告されてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、肝臓
への脂肪の蓄積(脂肪肝)や肝細胞の破壊を防ぐ新規な
肝疾患予防・治療剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、BDNF
の薬理作用を検討していたところ、肥満糖尿病モデル動
物であるdb/dbマウス(石田均ほか、最新医学、第
48巻、34頁(1993年))に、BDNFを投与す
ると、肝臓への脂肪蓄積を抑制し、肝細胞が保護される
という作用を見いだし、更なる検討を加え、本発明を完
成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、下記の医薬に関する
ものである。 (1)ニューロトロフィンを有効成分として含有する肝
疾患予防・治療剤。 (2)ニューロトロフィンが脳由来神経栄養因子である
(1)の肝疾患予防・治療剤。 (3)ニューロトロフィンを有効成分として含有する脂
肪肝予防・治療剤。 (4)trkA、trkBおよび/またはtrkC受容
体のアゴニストを有効成分として含有する肝疾患予防・
治療剤。
【0008】以下、詳細に本発明を説明する。「ニュー
ロトロフィン」とは、生体で、神経成長の標的となる細
胞から分泌され、または自己分泌や傍分泌により神経
(ニューロン)の成長、分化、生存を助けて、神経回路
(シナプス)を形成させる神経栄養因子を意味する。具
体的には、BDNF、神経成長因子(以下、NGFと略
す)、ニューロトロフィン−3(以下、NT−3と略
す)、ニューロトロフィン−4(以下、NT−4と略
す)、ニューロトロフィン−5(以下、NT−5と略
す)、ニューロトロフィン−6(以下、NT−6と略
す)等が挙げられる。好ましいものとしては、BDN
F、NT−3、NT−4、NT−5、NT−6等が挙げ
られる。特に好ましいものとしては、trkBまたはt
rkC受容体を介して、生理活性を発現するBDNF、
NT−3、NT−4が挙げられる。
【0009】「trkA、trkBおよび/またはtr
kC受容体アゴニスト」とは、「ニューロトロフィン」
の受容体として知られるtrk遺伝子発現産物のうち、
trkA、trkBまたはtrkCに結合してこれらの
受容体を活性化させ、作用を発現させる物質の総称であ
る。具体的には既知のニューロトロフィンとしてtrk
Aに結合するNGF、trkBに結合するBDNF、N
T−4、trkCに結合するNT−3等が挙げられる。
この概念には、それぞれの「ニューロトロフィン」の改
変体(アミノ酸置換、欠失、付加改変体、糖鎖改変)の
みならず、より低分子のペプチド、有機化合物もtrk
A、trkBまたはtrkC受容体に対する結合能およ
び活性化能、例えばチロシン残基のリン酸化などを有す
る限り、「trkA、trkBおよび/またはtrkC
受容体アゴニスト」の概念に含まれる。
【0010】本明細書において、「肝疾患予防・治療
剤」とは、肝臓への脂肪蓄積の防止あるいは肝実質細胞
の生存維持作用を有し、肝疾患患者に投与することによ
り、肝臓への脂肪の蓄積を防ぎ、肝機能を改善する薬剤
を意味する。肝疾患の代表例としては、脂肪肝、慢性肝
炎(ウィルス性、薬剤性、自己免疫性など)、肝硬変な
どが挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】(製造方法とアッセイ方法)本発
明の肝疾患予防・治療剤に用いるニューロトロフィン
(NGF、BDNF、NT−3、NT−4など)は、そ
れぞれ固有の生理活性を示すものであれば、天然抽出
品、遺伝子組換え品を問わず、精製して本発明に使用す
ることができる。例えば、BDNFの場合、Bard
e,Y.E(The EMBO J.,vol.5、p.
549−553(1982))らによって、最初ブタ脳
から単離され、その後、119個のアミノ酸から成る一
次構造が解析されたものであるが(Leiblock,
J.et al.:Nature,vol.341 p.
149(1989))、N末端にメチオニン残基を有す
るMet−BDNF、現在公知の手法にて上記の天然配
列の一部を置換、欠失あるいは付加して作成した組換B
DNF改変体も、BDNF活性を有する医薬製剤である
限り、本発明に含まれる。
【0012】BDNF活性とは、後根神経節、迷走神経
下神経節、運動ニューロン、網膜神経節、黒質ドーパミ
ン作動性ニューロン、前脳基底野コリン作動性ニューロ
ン等の生存維持・分化促進作用などを意味する。この生
体での作用は、in vitroまたはin vivoで
確認する事ができる(特開平5−328974、US
5,180,820)。
【0013】BDNFの製造方法は種々報告されてお
り、何れの製法によるBDNFも本発明の製剤に用いる
ことができる。動物組織からの抽出品の場合、医薬とし
て使用できる程度に精製されたものであれば良い(Th
e EMBO J.,vol.5,p.549(198
2))。また、BDNFを産生する初代培養細胞や株化
細胞を培養し、培養物(培養上清、培養細胞)から分離
精製してBDNFを得ることもできる。さらに、遺伝子
工学的手法によりBDNFをコードする遺伝子を適切な
ベクターに組み込み、これを適切な宿主に挿入して形質
転換し、この形質転換体の培養上清から目的とする組換
えBDNFを得ることができる(例えば、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,vol.88,
p.961(1991)、Biochem.Bioph
ys.Res.Commun.vol.186,p.1
553(1992))。遺伝子工学的手法は均質かつ大
量のBDNFの製造に好適である。上記宿主細胞は特に
限定されず、従来から遺伝子工学的手法で用いられてい
る各種の宿主細胞、例えば大腸菌、枯草菌、酵母、植物
又は動物細胞を用いることができる。他のニューロトロ
フィンのNGF、NT−3、NT−4等についても、遺
伝子組換え品の製造が報告されている。NGFはBDN
Fと同様に、種々の宿主細胞で発現させ、製造すること
ができる(CHO細胞:Schmelzer C.
H.,J.Neurochemistory,vol.
59,p.1675(1992)大腸菌:日本特許26
37392号)。NT−3はBDNFと同様に、種々の
宿主細胞で発現させ、生産することができる。Neur
on,vol.4,p.767(1990)、あるいは
特開平5−161493(WO91/3659)にその
製法、アッセイ法が開示されている。NT−4はBDN
Fと同様に、種々の宿主細胞で発現させ、製造すること
ができる。Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA,vol.89,p.3060(1992)、特表
平7−509600(WO93/25684)、あるい
は特表平6−501617(WO925254)に組換
えNT−4の発現方法およびアッセイ方法が記載されて
いる。
【0014】(再生または精製)組換え技術により生産
されたニューロトロフィンは、生化学の分野で公知の方
法にて、再生または精製が可能である。変性剤と還元剤
による処理、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾
過、逆相HPLC、硫安沈澱、限外濾過などが適宜組み
合わせて用いられる。ニューロトロフィンに対する抗体
は、ポリクローナル、モノクローナル共に、自体公知の
方法で作製し得る。特異的抗体は抗体カラムやELIS
A等の免疫化学的定量法に使用できる。ニューロトロフ
ィンの再生や精製に関する報告は下記の通りである。
【0015】(1)J.of Chromatogra
phy,vol.632,p.29(1993) (2)Biochemistry,vol.32,p.
10812(1993) (3)Biochemistry,vol.33,p.
4667(1994)
【0016】(製剤)製剤としては、注射剤、経口剤、
液剤、凍結乾燥品いずれも用いることが出来るが、特に
皮下または筋肉内投与用注射製剤が好ましい。これら非
経口投与製剤には、当該分野にて公知の安定化剤、緩衝
剤、担体を用いることができる。例えば、アルブミン等
の血漿由来蛋白、グリシン等のアミノ酸、マンニトール
等の糖を用いることができる。凝集を防ぐためにTwe
en80などの界面活性剤や長期保存のため殺菌剤を添
加しても良い。長期の薬効を要する場合は、公知のタン
パク徐放性製剤担体(ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重
合体、コラーゲン、シリコンなど)を用いて製剤する事
もできる。
【0017】(使用方法)本発明の肝疾患予防・治療剤
は、主成分がBDNFの場合、通常成人キログラムあた
り0.5μg〜50mgを静脈内、皮下、または筋肉内
投与する。投与回数は投与量、投与経路や患者の症状に
より適宜増減されるものであるが、月1回から1日3回
の投与が可能であり、一般的には週1から7回、数週間
の投薬治療が行われる。この治療により、肝細胞は保
護、再生あるいは賦活され、肝疾患が改善される。イン
ターフェロンや他の肝疾患治療剤と併用も可能である。
【0018】(毒性)ニューロトロフィン、特にBDN
Fの場合、毒性は低いことが知られている。ラットおよ
びカニクイザルで、それぞれを100mg/kg、60
mg/kgの皮下投与を4週間実施したが、死亡例はな
く、また、急性毒性の点についても、ラットおよびカニ
クイザルで200mg/kg以上の投与量でも死亡の発
現は無かった。他のニューロトロフィンについても、特
に重篤な副作用は報告されていない。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例にて説明する。 実施例1 肥満糖尿病モデル動物(db/dbマウス)の肝臓肥
大、脂肪肝に対するBDNFの作用 (1)実験材料と方法 試薬:BDNFはリジェネロン社より入手し、使用し
た。溶媒として市販のダルベッコ燐酸緩衝溶液(Dul
becco's Phosphate buffered
Saline:D−PBS、ギブコ社)を使用した。そ
の他の試薬は市販の特級試薬を用いた。 実験動物:雌性C57BL/KsJ−db/dbマウス
(SPF規格)を日本クレア(株)より購入した。予備
飼育の後、12週齢時より実験を開始した。マウスは飼
育環境として、温度23±2℃(設定値)、湿度55±
10%(設定値)、照明のサイクルは8:00〜20:
00に点灯、20:00〜8:00に消灯するように常
時設定されている部屋で飼育した。飼料は固形飼料(C
E−2、日本クレア)を用い、飲料水は滅菌水を給水瓶
にて自由に摂取させた。
【0020】(2)BDNF投与液の調製 BDNF投与液はD−PBSで3.5mg/mlに希釈
し、35mg/kg/回の用量を週2回投与した。溶媒
としてD−PBSを同量投与した。
【0021】(3)肝臓湿重量に対するBDNFの作用 予備飼育の完了したdb/dbマウスをその血糖値を指
標に溶媒投与群、BDNF投与群に群分けし、それぞれ
BDNFあるいは溶媒を週2回皮下投与した(各群8
匹)。3週間投与を行ったマウスより肝臓を摘出し、湿
重量を測定した結果を図1aに示した。また、肝臓湿重
量を体重で補正した結果を図1bに示した。その結果、
BDNF投与群の肝臓湿重量は溶媒投与群よりも有意に
低く、肥満糖尿病モデル動物で見られる肝臓の肥大がB
DNFの投与により改善されていることが分かった。ま
た、この肝臓の肥大の抑制効果は体重で補正しても統計
学的に有意であることから、体重変化の影響ではないこ
とが確認できた。
【0022】(4)肝臓組織中の脂質含量に対するBD
NFの作用 BDNFの肝臓組織中の脂質含量への作用について調べ
るため、摘出した肝臓中のトリグリセリド含量を酵素法
にて測定した(Clin.Chem.vol.36,
p.1605(1990))。肝臓を破砕し、クロロホ
ルム:メタノール(2:1)混液を用いて懸濁し、0.
6%NaClを加えて攪拌後、遠心分離により有機層と
水層を分離した。有機層から溶媒を気化させることによ
り得られた沈殿を、1% Triton X−100を含
むリン酸緩衝液で溶解し、N−トリグラーゼ「ニッスイ」
(日水製薬)を用いてトリグリセリド含量を測定した
(図2)。その結果、溶媒投与群と比較して、BDNF
投与群の肝臓組織中トリグリセリド含量が有意に減少し
ており、脂肪肝が改善されていることが明らかとなっ
た。
【0023】(5)肝漏出酵素に対するBDNFの作用 脂肪肝の患者では血清中のアラニンアミノトランスフェ
ラーゼ(ALT)が上昇していることが知られている
(Enzyme vol.36、p.266(198
6))。そこで、BDNFあるいは溶媒を3週間投与し
たdb/dbマウスより血液を採取し、血清中のALT
を測定した(図3)。その結果、溶媒投与群と比較し
て、BDNF投与群ではALTが有意に低いことが分か
り、肝臓からの漏出酵素を指標にしても、BDNFが脂
肪肝を改善していることが確認できた。
【0024】(6)肝臓組織像に対するBDNFの作用 実践病理組織細胞染色法カラー図鑑p.96(HBJ出
版局)に記載の方法により、肝臓組織の凍結切片に対し
てオイルレッドO染色を施し、肝臓組織中の脂肪含量を
観察した。溶媒投与群の肝臓組織像を図4a、BDNF
投与群の肝臓組織像を図4bに示した。図中、オイルレ
ッドOで染色される脂肪滴は黒い点として表される。図
4aおよび図4bを比較すれば明らかなように、溶媒投
与群の肝臓では脂肪滴が大きくかつ多数観察されるのに
対して、BDNF投与群では脂肪滴が非常に小さく、脂
肪含量が著しく少なくなっていることが認められた。
【0025】(製剤例1)本発明の肝疾患予防・治療剤
のうち、代表的なものであるBDNF含有皮下投与用水
溶製剤は、以下のように製造することができる。 (1)精製組換えBDNF(リジェネロン社より入手)
20mgに対し、マンニトール10mg、非イオン性界
面活性剤:ポリソルベート80、0.1mgを加え、燐
酸緩衝液1ml(pH7.0、10mM)に溶解させ
る。
【0026】
【発明の効果】本発明の肝疾患予防・治療剤は、脂肪肝
の防止および肝実質細胞の保護作用により、種々の肝臓
障害を改善しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 db/dbマウスの肝臓肥大に対するBDN
Fの作用。白色のカラムは溶媒投与群、黒色のカラムは
BDNF投与群を示す。縦軸は肝臓の湿重量(図1
a)、肝湿重量を体重で補正した割合(%)(図1b)
を示す。溶媒投与群で見られる肝臓の肥大がBDNF投
与群では顕著に改善されていることが分かった。データ
は各群(8匹)の平均値+SDで示した。##はStu
dentのt検定においてP<0.01で溶媒投与群に
対して有意であることを示している。
【図2】 db/dbマウスの肝臓組織中の脂肪含量に
対するBDNFの作用。縦軸は溶媒投与群の肝臓組織中
のトリグリセリド含量を100%とした相対値を示す。
白色のカラムは溶媒投与群、黒色のカラムはBDNF投
与群を示す。データは各群(8匹)の平均値+SDで示
した。##はStudentのt検定において溶媒投与
群に対してP<0.01の有意差があることを示してい
る。
【図3】 db/dbマウスの肝漏出酵素(ALT)に
対するBDNFの作用。縦軸はALT値を示す。白色の
カラムは溶媒投与群、黒色のカラムはBDNF投与群を
示す。データは各群(8匹)の平均値+SDで示した。
##はStudentのt検定において溶媒投与群に対
してP<0.01の有意差があることを示している。
【図4】 db/dbマウスの肝臓組織像(溶媒投与
群:図4a、BDNF投与群:図4b)。オイルレッド
Oで染色される脂肪滴は黒い点として表される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 勉 大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1番98 号 住友製薬株式会社内 (72)発明者 岸野 道子 大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1番98 号 住友製薬株式会社内 (72)発明者 ジェームズ・アール・トンラ アメリカ合衆国01845マサチューセッツ州 ノース・アンドーバー、ロイヤル・クレス ト・ドライブ30番、アパートメント2

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニューロトロフィンを有効成分として含
    有する肝疾患予防・治療剤。
  2. 【請求項2】 ニューロトロフィンが脳由来神経栄養因
    子である請求項1の肝疾患予防・治療剤。
  3. 【請求項3】 ニューロトロフィンを有効成分として含
    有する脂肪肝予防・治療剤。
  4. 【請求項4】 trkA、trkBまたはtrkC受容
    体のリガンドを有効成分として含有する肝疾患予防・治
    療剤。
  5. 【請求項5】 ニューロトロフィンの肝疾患予防・治療
    用製剤の調製における使用。
  6. 【請求項6】 ニューロトロフィンが脳由来神経栄養因
    子である請求項5の使用。
  7. 【請求項7】 肝疾患患者にニューロトロフィンの有効
    量を投与することを特徴とする肝疾患の予防・治療法。
  8. 【請求項8】 ニューロトロフィンを静脈内、皮下また
    は筋肉内注射によって投与する請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 ニューロトロフィンが脳由来神経栄養因
    子である請求項7または8の方法。
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