JPH10278783A - 鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置 - Google Patents

鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置

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JPH10278783A
JPH10278783A JP9383497A JP9383497A JPH10278783A JP H10278783 A JPH10278783 A JP H10278783A JP 9383497 A JP9383497 A JP 9383497A JP 9383497 A JP9383497 A JP 9383497A JP H10278783 A JPH10278783 A JP H10278783A
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rail
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gear
cylinder
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Yukio Minowa
輪 行 雄 箕
Noriaki Tokuda
田 憲 曉 徳
Nobuyuki Watanabe
辺 信 行 渡
Makoto Ishige
毛 真 石
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Railway Technical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新幹線の高速走行にも十分な耐久性を有する
とともに、軌間変更機構の機能性に優れ、かつ構造がコ
ンパクトで駆動モータを大型化することができる鉄道車
両用軌間可変台車の駆動装置を提供する。 【解決手段】 本発明の鉄道車両用軌間可変台車の駆動
装置100は、車軸1に対して軸線方向に変位可能かつ
回転自在とされた左右一対の車輪3L,3Rと、これら
の車輪を回転駆動する、台車枠に取り付けられた駆動モ
ータ6と、前記車輪の一方3Lと一体に軸線方向に変位
する、前記一方の車輪3Lに駆動力を減速して伝達する
減速歯車30と、前記駆動力を前記駆動モータ6から前
記減速歯車30に伝達する、軸線方向の長さを吸収可能
な摺動型等速継手22,23を用いた動力伝達軸20
と、前記減速歯車30と前記車輪の他方3Rとの間に介
装された、軸線方向の長さを吸収可能なボールスプライ
ン筒50とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば新幹線と在
来線のように軌間寸法が異なるレール上を連続して走行
するために、車輪間隔を変化させることができる鉄道車
両用軌間可変台車に関し、より詳しくは左右一対の車輪
を一体に回転駆動する鉄道車両用軌間可変台車の駆動装
置の改良に関する。
【0002】日本の鉄道においては、例えば新幹線等に
使用されている軌間寸法1435mmの標準軌と、在来
線等に使用されている軌間寸法1067mmの狭軌とが
用いられているが、これらの軌間の異なる軌道上を連続
して走行し得る鉄道車両を開発すれば、乗客の利便性
や、到達時間の短縮、鉄道建設費の低減等、そのメリッ
トは極めて大きい。そこで、従来、種々の形式の鉄道車
両用軌間可変台車が提案されている。
【0003】しかしながら、例えば特開平6−4033
5号公報に記載されているような、車軸に取り付けた左
右一対の駆動モータにより左右一対の車輪を独立して直
接回転駆動するDDM型の軌間可変台車は、駆動モータ
の重量がバネ下重量として付加されること、左右の車輪
の回転を同期させることが難しいこと、および車輪踏面
の傾斜に基づく自己操舵機能を持たないこと等、種々の
解決すべき問題点を有している。
【0004】そこで、本願の出願人は、駆動モータを台
車枠に取り付けてバネ下重量を低減するとともに、左右
一対の車輪を一体に回転させることによる自己操舵機能
を有した鉄道車両用軌間可変台車を先に出願している。
(特開平8−253147号公報参照)
【0005】この先願に係る鉄道車両用軌間可変台車を
図8を参照して概説すると、車軸1の左右両端部にそれ
ぞれ嵌装されて前記車軸1の軸線方向に変位可能とされ
た左右一対の車軸外筒2L,2Rには、左右一対の車輪
3L,3Rがそれぞれ軸受4L,4Rによって回転自在
に支持されている。一方、台車枠5に取り付けられた駆
動モータ6が発生する駆動力は、撓み継手7を介して減
速歯車8の小歯車9に入力し、この小歯車9と噛み合う
大歯車10を回転駆動する。また、軸受11により車軸
1に対して同軸かつ回転自在に支持された駆動筒12
は、前記大歯車10と一体に回転するようにされてい
る。
【0006】前記駆動筒12の左右両端部の内面には、
軸線方向に長く延びる雌スライディングギヤ13L,1
3Rが形成されている。さらに、左右一対の車輪3L,
3Rとそれぞれ一体に回転するトルク伝達筒14L,1
4Rの先端には、前記雌スライディングギヤ13L,1
3Rと噛み合う軸線方向長さの短い雄スライディングギ
ヤ15L,15Rがそれぞれ形成されている。したがっ
て、駆動モータ6によって駆動筒12を回転駆動するこ
とにより、左右一対のトルク伝達筒14L,14Rを介
して左右一対の車輪3R,3Lを同一の回転数で回転さ
せることができる。また、前記雌スライディングギヤ1
3L,13Rと前記雄スライディングギヤ15L,15
Rとの噛み合い位置の変化により、軌間の変化を吸収す
ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先願に係る軌間可変台車においては、駆動筒12と減
速歯車8の歯車ケース16との間に介装された歯車ケー
ス支持軸受17の半径方向内側に、雌スライディングギ
ヤ13L,13Rと雄スライディングギヤ15L,15
Rが位置している。これにより、前記歯車ケース支持軸
受17の直径が大きくなって軸受の周速度が大きくな
る。したがって、軸受が新幹線の高速走行に対しても十
分な耐久性を有するためには、歯車ケース支持軸受17
の直径を小さくする必要がある。
【0008】また、上述した先願に係る軌間可変台車に
おいては、軌間の変化を雌スライディングギヤ13L,
13Rと雄スライディングギヤ15L,15Rとの相対
スライドにより吸収しているが、軌間をスムーズに変化
させるためには、そのスライド抵抗を更に低下させ得る
構造であることが好ましい。
【0009】また、上述した先願に係る軌間可変台車に
おいては、駆動モータ6の駆動力を撓み継手7を用いて
減速歯車に伝達しているため、駆動モータ6の端部を減
速歯車8に対して接近させることができず、駆動モータ
6を大型化することができない。さらに、撓み継手7で
は、駆動モータ6と減速歯車8との間の大きな相対変位
を吸収することができない。
【0010】そこで、本発明の目的は、上述した従来技
術が有する問題点を解消し、新幹線の高速走行に対応す
る十分な耐久性を有するとともに、軌間変更機構の機能
性に優れ、かつ構造がコンパクトで駆動モータを大型化
することができる鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の鉄道車両用軌間可変台車は、車軸に対して
軸線方向に変位可能かつ回転自在とされた左右一対の車
輪と、これらの車輪を回転駆動する、台車枠に取り付け
られた駆動モータと、前記車輪の一方と一体に軸線方向
に変位する、前記一方の車輪に駆動力を減速して伝達す
る減速歯車と、前記駆動力を前記駆動モータから前記減
速歯車に伝達する、軸線方向の長さを吸収可能な摺動型
等速継手を用いた動力伝達軸と、前記減速歯車と前記車
輪の他方との間に介装された、軸線方向の長さを吸収可
能な駆動力伝達手段とを備える。好ましくは、動力伝達
軸の減速歯車側の摺動型等速継手を、減速歯車の駆動力
が入力する歯車の内側に設ける。また、動力伝達軸の駆
動モータ側の摺動型等速継手を、駆動モータの内部に設
ける。また、駆動力伝達手段を、減速歯車の歯車ケース
を支持する歯車ケース支持軸受に対して、車軸の長手方
向中央部側にずらして配置する。また、減速歯車の歯車
のうち駆動力を車輪に伝達する歯車を、歯車本体と、こ
の歯車本体から同軸に延設されてその先端が車輪に螺着
される筒状部分と、この筒状部分に着脱自在に内嵌され
るトルク伝達筒とから構成する。そしてトルク伝達筒に
は、減速歯車のケースを回転自在に支持する減速歯車ケ
ース支持軸受が外嵌するとともに、その先端に駆動力伝
達手段を着脱自在に接続する。また、車軸にスライド自
在に外嵌して車輪を車軸の軸線方向に変位可能かつ回転
自在に支持する車軸外筒と、トルク伝達筒の駆動力伝達
手段側の端部との間に、トルク伝達筒を車軸外筒に対し
て回転自在に支持するトルク伝達筒支持軸受を介装す
る。また、駆動力伝達手段をトルク伝達筒に接続する接
続環をさらに設ける。この接続環は、環状の厚板からな
る本体部分と、この本体部分に円周方向に交互に貫設さ
れた、前記接続環を前記駆動力伝達手段に螺着するボル
トが挿通されるボルト孔および前記接続環を前記トルク
伝達筒に螺着するボルトが挿通されるボルト孔から構成
する。また、駆動力伝達手段を車軸と同軸に配置したボ
ールスプライン筒とする。また、減速歯車を台車枠に対
して吊り下げ支持する減速歯車支持手段を、台車枠に支
持されて車軸と平行な方向に延びるスライド軸と、この
スライド軸に対してボールスプライン筒を介してスライ
ド嵌合するスライドハンガーと、このスライドハンガー
と減速歯車との間に介装された吊りロッドとから構成す
る。
【0012】すなわち、本発明の鉄道車両用軌間可変台
車の駆動装置においては、駆動モータが台車枠に取り付
けられるので、軌間可変台車のバネ下重量を低減するこ
とができる。また、摺動型等速継手を用いた駆動力伝達
軸を介して駆動モータが発生する駆動力を減速歯車に伝
達するので、軌間変更に伴う駆動モータと減速歯車との
間の間隔寸法の変化を駆動力伝達軸で吸収することがで
きる。そして、摺動型等速継手を用いた駆動力伝達軸
は、駆動モータに対する減速歯車の大きな相対移動をも
吸収することができるから、駆動モータの端部を減速歯
車に接近させることができる。これにより、駆動モータ
を軸線方向に延長して大型化し、その出力を向上させる
ことができる。また、駆動力伝達軸の駆動モータ側の摺
動型等速継手を駆動モータ内に、減速歯車側の摺動型等
速継手を減速歯車の内部に設けることにより、駆動モー
タの端部を減速歯車に接近させることができる。さら
に、一対の摺動型等速継手間の間隔を広げて摺動型等速
継手の屈曲角度を減少させることができるから、摺動型
等速継手の屈曲角度を減少させて、新幹線等における走
行速度の高速化に対しても十分に対応することができ
る。また、左右一対の車輪を駆動力伝達手段を介して一
体に回転させるので、車輪の踏面の傾斜に基づく自己操
舵機能を保持することができる。また、駆動力伝達手段
を歯車ケース支持軸受に対して車軸の長手方向中央部側
にずらして配置することにより、歯車ケース支持軸受の
直径を小さくすることができる。また、駆動力を前記車
輪に伝達する歯車を、歯車本体と、この歯車本体から同
軸に延設されてその先端が車輪に螺着される筒状部分
と、この筒状部分に着脱自在に内嵌されるトルク伝達筒
とに分割することにより、歯車と車輪、トルク伝達筒お
よび歯車ケース支持軸受の組み立ておよび分解を容易に
行うことができるばかりでなく、歯車ケース支持軸受の
直径を小さくすることができる。また、車軸外筒とトル
ク伝達筒のとの間に軸受を介装することによりトルク伝
達筒の振れをなくし、駆動力伝達系の振動を防止するこ
とができる。また、駆動力伝達手段とトルク伝達筒との
間に接続環を介装することにより、車輪のわずかな傾斜
等に起因するトルク伝達筒と駆動力伝達手段との間のこ
じりを吸収することができる。これにより、駆動力伝達
手段による軸線方向の長さの吸収が滑らかに行われるの
で、軌間変更をスムーズに行うことができる。また、駆
動力伝達手段をボールスプライン筒とすることにより、
左右一対の車輪の軌間変更をスムーズに行うことができ
る。また、歯車ケースを吊り下げ支持する吊りロッド
を、ボールスプライン筒を用いて車軸と平行な方向に滑
らかに変位させることができるから、軌間変更に伴う減
速歯車の変位に吊りロッドを追従させて、減速歯車を確
実に吊り下げ支持することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明による鉄道車両用軌
間可変台車の駆動装置の1実施形態を、図1乃至図7を
参照して詳細に説明する。ここで、図1は本発明に係る
1実施形態の鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置を狭軌
対応状態で示す水平断面図、図2は図1の要部を拡大し
て示した断面図、図3は図1中に示した撓み板の構造を
示す分解斜視図、図4は図1に示した駆動装置を標準軌
対応状態で示す水平断面図、図5は図2中に示したA−
A矢視線に沿った断面図、図6は歯車ケース吊りの上部
構造を示す斜視図、図7は可撓歯車式継手の縦断面図で
ある。なお、図8に示した従来の軌間可変台車と同一の
部分には同一の符号を使用する。
【0014】図1に示したように、本実施形態における
鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置100の車軸1は、
図示されない軸箱および軸バネを介して台車枠に支持さ
れ、台車枠に対して揺動変位はするもののそれ自体は回
転しないようにされる。また、前記車軸1の両端部に
は、左右一対の車軸外筒2L,2Rが、標準軌に対応す
る位置と狭軌に対応する位置との間で軸線方向にスライ
ド可能に嵌装されている。一方、前記車軸外筒2L,2
Rには左右一対の車輪3L,3Rが、それぞれ軸受4
L,4Rを介して回転自在に支持されている。これによ
り前記車輪3L,3Rを標準軌に対応する位置と狭軌に
対応する位置との間で変位させることができるが、車輪
3L,3Rを変位させて固定する手順については、上述
した先願に詳述されているので、ここでは説明を省略す
る。
【0015】また、前記車輪3L,3Rを回転駆動する
駆動モータ6は、左右一対の車輪3L,3Rの間で、そ
の出力軸21が車軸1と平行となるように図示されない
台車枠に取り付けられる。これにより、本実施形態にお
ける鉄道車両用軌間可変台車のバネ下重量を低減するこ
とができる。
【0016】前記駆動モータ6が発生する駆動力は、駆
動力伝達軸20および減速歯車30を介して図示左側の
車輪3Lに伝達される。前記駆動力伝達軸20は、駆動
モータ6の出力軸21に組み付けられた第1の摺動型等
速継手22と、前記減速歯車30を構成する小歯車31
に組み付けられた第2の摺動型等速継手23と、これら
第1および第2の摺動型等速継手22,23の間で駆動
力を伝達する駆動軸24とを備えている。前記第1およ
び第2の摺動型等速継手22,23はダブルオフセット
形等速継手とされ、軌間変更に伴う駆動モータ6と減速
歯車30との間の相対間隔の変化、および台車枠に対す
る減速歯車30の揺動に伴う駆動モータ6と減速歯車3
0との間の相対角度変化を吸収できるようにされてい
る。
【0017】前記駆動軸24の両端部にそれぞれ組み付
けられたインナレースとケージおよびボールの組立体2
2a,23aは、図1に示したように車輪3L,3Rが
狭軌に対応した位置にある時には、それぞれアウターレ
ース22b,23bの奥深くに位置している。これに対
して、図4に示したように車輪3L,3Rが標準軌に対
応した位置にある時は、前記組立体22a,23aは前
記アウターレース22b,23bの開口端に位置する
が、前記アウターレース22b,23bの開口端には図
示されないサークリップが取り付けられており、アウタ
ーレース22b,23b内から脱落することはない。な
お、前記アウターレース22b,23bの開口端にはそ
れぞれ図示されないブーツが取り付けられ、第1および
第2の摺動型等速継手22,23の内部は外界から密封
される。
【0018】前記駆動力伝達軸20について特筆すべき
ことは、前記第1の摺動型等速継手22が駆動モータ6
の内部に組み付けられるとともに、前記第2の摺動型等
速継手23が減速歯車30の小歯車31の内部に組み付
けられていることである。これにより、駆動モータ6の
端部を減速歯車30に十分に接近させることができるか
ら、駆動モータ6の軸線方向寸法を大きく設定し、駆動
モータ6を大型化して駆動力を向上させることができ
る。また、第1および第2の摺動型等速継手22,23
の屈曲角度を小さくすることができるので、新幹線の高
速走行に伴う高速回転にも十分に耐えることができる。
なお、前記第1の摺動型等速継手22を、前記出力軸2
1の減速歯車30とは反対側の端部に設けることもでき
る。
【0019】前記減速歯車30は、互いに噛み合う小歯
車31と大歯車32とを歯車ケース33内に収納したも
のである。前記小歯車31は、小歯車支持軸受34によ
って歯車ケース33に対して回転自在に支持されてい
る。一方、図2に示したように、前記大歯車32のウェ
ブ32aの基端からは前記車輪3L側に延びる筒状部分
35が連設されている。そして、この筒状部分35は、
その先端に立設されたフランジ36を介して車輪3Lに
対して同軸に螺着される。これにより、車輪3Lは減速
歯車30で減速された駆動力により回転駆動される。
【0020】また、図2に示したように、前記筒状部分
35にはトルク伝達筒40が内嵌されている。両者の間
にはキー41が介装され、このトルク伝達筒40は前記
筒状部分35、すなわち大歯車32と一体に回転する。
さらに、前記トルク伝達筒40と歯車ケース33のフラ
ンジ38との間には、歯車ケース33を支持する歯車ケ
ース支持軸受42が嵌装されている。そして、筒状部分
35の内周面に立設されたフランジ37にトルク伝達筒
40の図示左端部43をボルト44を用いて螺着する
と、前記歯車ケース支持軸受42は前記大歯車32と同
軸に、かつ大歯車32に対して車輪3Lとは反対側の側
方に固定される。これにより、減速歯車30を車輪3L
に対して十分に接近させて配置することができる。さら
に、大歯車32を、前記筒状部分35とトルク伝達筒4
0とに分割したので、大歯車32と車輪3L、トルク伝
達筒40および歯車ケース支持軸受42の組み立ておよ
び分解を容易に行うことができるばかりでなく、歯車ケ
ース支持軸受42の直径を小さくすることができる。
【0021】さらに、このトルク伝達筒40の車輪3L
とは反対側の端部と前記車軸外筒2Lとの間にはトルク
伝達筒支持軸受45が介装され、このトルク伝達筒40
を車軸外筒2Lに対して同軸に回転支持している。これ
により、トルク伝達筒40の振れをなくして、駆動力伝
達系に振動が生じることを防止できる。
【0022】さらに、図1および図2に示したように、
駆動力を図示右側の車輪3Rに伝達する駆動力伝達手段
としてのボールスプライン筒50が、前記トルク伝達筒
40の車輪3Lとの反対側の端部に、車軸1に対して同
軸に取り付けられている。これにより、前記ボールスプ
ライン筒50が前記歯車ケース支持軸受42に対して車
軸1の軸線方向中央部側に位置をずらして配置されるの
で、歯車ケース支持軸受42の半径方向内側にはボール
スプライン筒50が位置せず、歯車ケース支持軸受42
の直径を減少させることができる。したがって、歯車ケ
ース支持軸受42のシール部の周速を低下させ、新幹線
の高速走行に対しても十分な耐久性を持たせることがで
きる。
【0023】前記ボールスプライン筒50は、互いに同
軸な外筒51と内筒52との間に多数のボール53を介
装したもので、前記外筒51と前記内筒52とは前記ボ
ール53の作用により、軸線方向に滑らかにスライドし
つつ駆動力を伝達することができる。これにより、この
ボールスプライン筒50は駆動力を図示右側の車輪3R
に伝達し、左右一対の車輪3L,3Rを一体に回転させ
ながら、軌間の変化を滑らかに吸収することができる。
なお、このボールスプライン筒50は、車軸1の外周面
に対してわずかな隙間を開けて同軸に延びるように配置
されているので、駆動モータ6を半径方向外側に拡大し
て大型化することができる。
【0024】一方、前記トルク伝達筒40と前記ボール
スプライン筒50との間には、撓み板60が介装されて
いる。この撓み板60はバネ鋼板製の環状厚板部材で、
図3に示したように、円周方向に4個乃至6個のボルト
挿通孔61が円周方向に等間隔に穿設されている。そし
て、前記ボルト挿通孔61の周囲には、相手側部材と密
着する密着座面62,63が、両側面に交互に凸設され
ている。この撓み板60は、まず前記ボールスプライン
筒50の外筒51のフランジ54に、ボルト64を用い
て螺着される。次いで、前記トルク伝達筒40のフラン
ジ46にボルト65を用いて螺着される。なお、前記フ
ランジ46には前記ボルト64の頭部を逃げる逃げ部4
7が凹設され、ボルト64とトルク伝達筒40とが干渉
しないようにされている。同様に、この撓み板60は、
車輪3Rに螺着された環状の取付部材70と前記内筒5
3のフランジ55との間にも装着される。これにより、
車軸1の撓みや車輪3L,3Rの微少な傾き、および芯
ずれ等に起因するこじりをこの撓み板60の撓みにより
吸収することができるので、ボールスプライン筒50は
滑らかにスライド変位することができる。
【0025】ところで、上述のように構成された本実施
形態の駆動装置100は、図8に示した従来の鉄道車両
用軌間可変台車の駆動装置とは異なり、軌間変更の際に
減速歯車30が車輪3Lと一体に変位する。したがっ
て、減速歯車30を台車枠に対して車軸1の軸線方向に
変位可能に支持する必要がある。そこで、本実施形態の
駆動装置100においては、図5および図6に示したよ
うな歯車ケース吊り80を用いている。
【0026】図5に示したように、前記歯車ケース吊り
80の吊りロッド81の下端部は、歯車ケース33の下
端部前方に設けられた支持フランジ39に、一対の防振
ゴム82を介して取り付けられている。また、前記吊り
ロッド81の上端部は、一対の防振ゴム83を介してハ
ンガー84に取り付けられている。一方、図6に示した
ように、前記ハンガー84の上端部85は、図示されな
い台車枠にブラケット86を介して水平に支持されたス
ライド軸87に対して、ボールスプライン筒を介してス
ライド嵌合している。これにより、前記吊りロッド81
は、前記スライド軸87により支持されて水平方向に滑
らかに移動することができるから、軌間変更時に生じる
減速歯車30の移動に追従しつつ、確実に減速歯車30
を吊り下げ支持することができる。また、前記吊りロッ
ド81をスライド支持する機構が台車枠に設けられてい
るので、台車のバネ下重量を低減させることができる。
【0027】すなわち、本実施形態の鉄道車両用軌間可
変台車の駆動装置100においては、駆動モータ6が台
車枠に取り付けられるので、軌間可変台車のバネ下重量
を低減することができる。
【0028】また、摺動型等速継手22,23を用いた
駆動力伝達軸20を介して駆動モータ6が発生する駆動
力を減速歯車30に伝達するので、軌間変更に伴う駆動
モータ6と減速歯車30との間の間隔寸法の変化を、駆
動力伝達軸20で吸収することができる。そして、摺動
型等速継手を用いた駆動力伝達軸20は、駆動モータ6
に対する減速歯車30の大きな相対移動をも吸収するこ
とができるから、駆動モータ6の端部を減速歯車30に
接近させることができる。これにより、駆動モータ6を
軸線方向に延長して大型化し、その出力を向上させるこ
とができる。
【0029】また、駆動力伝達軸20の駆動モータ6側
の摺動型等速継手22を駆動モータ6内に、減速歯車3
0側の摺動型等速継手23を減速歯車30の内部に設け
ることにより、駆動モータ6の端部を減速歯車30に接
近させることができる。さらに、一対の摺動型等速継手
22,23間の間隔を広げて摺動型等速継手22,23
の屈曲角度を減少させることができるから、摺動型等速
継手22,23の屈曲角度を減少させて、新幹線等にお
ける走行速度の高速化に対しても十分に対応することが
できる。
【0030】また、左右一対の車輪3L,3Rをボール
スプライン筒50を介して一体に回転させるので、車輪
3L,3Rの踏面の傾斜に基づく自己操舵機能を保持す
ることができる。
【0031】また、ボールスプライン筒50を歯車ケー
ス支持軸受42に対して車軸1の長手方向中央部側にず
らして配置することにより、歯車ケース支持軸受42の
直径を小さくすることができる。
【0032】また、駆動力を車輪3L,3Rに伝達する
歯車32を、歯車本体と、この歯車本体から同軸に延設
されてその先端が車輪に螺着される筒状部分35と、こ
の筒状部分35に着脱自在に内嵌されるトルク伝達筒4
0とに分割することにより、歯車32と車輪3L、トル
ク伝達筒40および歯車ケース支持軸受42の組み立て
および分解を容易に行うことができるばかりでなく、歯
車ケース支持軸受42の直径を小さくすることができ
る。
【0033】また、車軸外筒2Lとトルク伝達筒40と
の間にトルク伝達筒支持軸受45を介装することにより
トルク伝達筒40の振れをなくし、駆動力伝達系の振動
を防止できる。
【0034】また、ボールスプライン筒50とトルク伝
達筒40との間に撓み板60を介装することにより、車
輪のわずかな傾斜等に起因するトルク伝達筒40とボー
ルスプライン50との間のこじりを吸収することができ
る。これにより、ボールスプライン50による軸線方向
の長さの吸収が滑らかに行われるので、一対の車輪3
L,3R間の軌間変更をスムーズに行うことができる。
【0035】また、歯車ケース33を吊り下げ支持する
吊りロッド81を、ボールスプラインを用いたスライド
軸87により車軸1と平行な方向に滑らかに変位させる
ことができるから、軌間変更に伴う減速歯車30の変位
に吊りロッド81を追従させて、減速歯車30を確実に
吊り下げ支持することができる。そして、吊りロッド8
1をスライド支持する機構を台車枠に設けたので、軌間
可変台車のバネ下重量を低減することができる。
【0036】以上、本発明に係る鉄道車両用軌間可変台
車の駆動装置の一実施形態ついて詳しく説明したが、本
発明は上述した実施形態によって限定されるものではな
く、種々の変更が可能であることは言うまでもない。例
えば、上述した実施形態においては、駆動力伝達軸20
に摺動型等速継手22,23を用いているが、これらの
等速継手に代えて、図7に示した可撓歯車式継手とする
こともできる。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置は、駆動モータを
台車枠に取り付けたものであるから、軌間可変台車のバ
ネ下重量を低減することができる。また、摺動型等速継
手を用いた駆動力伝達軸を介して駆動モータが発生する
駆動力を減速歯車に伝達するので、軌間変更に伴う駆動
モータと減速歯車との間の間隔寸法の変化を駆動力伝達
軸で吸収することができる。そして、摺動型等速継手を
用いた駆動力伝達軸は駆動モータに対する減速歯車の大
きな相対移動をも吸収することができるから、駆動モー
タの端部を減速歯車に接近させることができる。これに
より、駆動モータを軸線方向に延長して大型化し、その
出力を向上させることができる。また、駆動力伝達軸の
駆動モータ側の摺動型等速継手を駆動モータ内に設ける
とともに、減速歯車側の摺動型等速継手を減速歯車の内
部に設けることにより、駆動モータの端部を減速歯車に
接近させることができる。さらに、一対の摺動型等速継
手間の間隔を広げて摺動型等速継手の屈曲角度を減少さ
せることができるから、摺動型等速継手の屈曲角度を減
少させて、新幹線等における走行速度の高速化に対して
も十分に対応することができる。また、左右一対の車輪
を駆動力伝達手段を介して一体に回転させるので、車輪
の踏面の傾斜に基づく自己操舵機能を保持することがで
きる。また、駆動力伝達手段を歯車ケース支持軸受に対
して車軸の長手方向中央部側にずらして配置することに
より、歯車ケース支持軸受の直径を小さくすることがで
きる。これにより、そのシール部の周速を低減させるこ
とができる。これにより、減速歯車ケース支持軸受のシ
ール部の耐久性を向上させ、新幹線の高速走行にも十分
に耐えうるものとすることができる。また、駆動力を前
記車輪に伝達する歯車を、歯車本体と、この歯車本体に
対して同軸に延設されてその先端が車輪に螺着される筒
状部分と、この筒状部分に対して着脱自在に内嵌される
トルク伝達筒とに分割したので、歯車と車輪、トルク伝
達筒および歯車ケース支持軸受の組み立ておよび分解を
容易に行うことができるばかりでなく、歯車ケース支持
軸受の直径をより小さくすることができる。また、車軸
外筒とトルク伝達筒との間に軸受を介装したので、トル
ク伝達筒の振れをなくして駆動力伝達系の振動を防止す
ることができる。また、駆動力伝達手段とトルク伝達筒
との間に接続環を介装したので、車輪のわずかな傾斜等
に起因するトルク伝達筒と駆動力伝達手段との間のこじ
りを吸収することができる。これにより、駆動力伝達手
段による軸線方向の長さの吸収が滑らかに行われるの
で、軌間変更をスムーズに行うことができる。また、駆
動力伝達手段をボールスプライン筒としたので、軌間変
更をより一層スムーズに行うことができる。また、歯車
ケースを吊り下げ支持する吊りロッドを、ボールスプラ
イン筒を用いて車軸と平行な方向に滑らかに変位させる
ことができるから、軌間変更に伴う減速歯車の変位に吊
りロッドを追従させて、減速歯車を確実に吊り下げ支持
することができる。したがって、本発明によれば、新幹
線の高速走行に対応する十分な耐久性を有するととも
に、軌間変更機構の機能性に優れ、かつ構造がコンパク
トで駆動モータを大型化することができる鉄道車両用軌
間可変台車の駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の鉄道車両用軌間可変
台車の駆動装置を狭軌対応状態で示す水平断面図。
【図2】図1の要部を拡大した断面図。
【図3】図1中に示した撓み板の構造を示す分解斜視
図。
【図4】図1に示した駆動装置を標準軌対応状態で示す
水平断面図。
【図5】図2中に示したA−A矢視線に沿った断面図。
【図6】歯車ケース吊りの上部構造を示す斜視図。
【図7】可撓歯車式継手の縦断面図。
【図8】先願に係る鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置
の縦断面図。
【符号の説明】
1 車軸 2 車軸外筒 3 車輪 4 軸受 5 台車枠 6 駆動モータ 7 たわみ継手 8 減速歯車 9 小歯車 10 大歯車 11 軸受 12 駆動筒 13 スライディングギヤ 14 トルク伝達筒 15 スライディングギヤ 16 歯車ケース 17 歯車ケース支持軸受 20 駆動力伝達軸 21 出力軸 22,23 摺動型等速継手 24 駆動軸 30 減速歯車 31 小歯車 32 大歯車 33 歯車ケース 34 小歯車支持軸受 35 筒状部分 36 フランジ 37 フランジ 38 取り付けフランジ 39 支持フランジ 40 トルク伝達筒 41 キー 42 歯車ケース支持軸受 43 左端部 44 ボルト 45 トルク伝達筒支持軸受 46 フランジ 47 逃げ部 50 ボールスプライン筒(駆動力伝達手段) 51 外筒 52 内筒 53 ボール 54 フランジ 55 フランジ 60 撓み板(接続環) 61 ボルト挿通孔 62,63 密着座面 64,65 ボルト 70 取付部材 80 歯車ケース吊り 81 吊りロッド 82,83 防振ゴム 84 ハンガー 85 上端部 86 ブラケット 87 スライド軸 100 本発明による鉄道車両用軌間可変台車の駆動装
フロントページの続き (72)発明者 渡 辺 信 行 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 石 毛 真 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車軸に対して軸線方向に変位可能かつ回転
    自在とされた左右一対の車輪と、これらの車輪を回転駆
    動する、台車枠に取り付けられた駆動モータと、前記車
    輪の一方と一体に軸線方向に変位する、前記一方の車輪
    に駆動力を減速して伝達する減速歯車と、前記駆動力を
    前記駆動モータから前記減速歯車に伝達する、軸線方向
    の長さを吸収可能な摺動型等速継手を用いた動力伝達軸
    と、前記減速歯車と前記車輪の他方との間に介装され
    た、軸線方向の長さ変化を吸収可能な駆動力伝達手段と
    を備えることを特徴とする鉄道車両用軌間可変台車の駆
    動装置。
  2. 【請求項2】前記動力伝達軸の前記減速歯車側の前記摺
    動型等速継手を、前記減速歯車の歯車のうち駆動力が入
    力する歯車の内部に設けたことを特徴とする請求項1に
    記載の鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置。
  3. 【請求項3】前記動力伝達軸の前記駆動モータ側の前記
    摺動型等速継手を、前記駆動モータの内部に設けたこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の鉄道車両用軌間
    可変台車の駆動装置。
  4. 【請求項4】前記駆動力伝達手段を、前記減速歯車の歯
    車ケースを支持する歯車ケース支持軸受に対して、前記
    車軸の長手方向中央部側にずらして配置したことを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄道車両用軌
    間可変台車の駆動装置。
  5. 【請求項5】前記減速歯車の歯車のうち駆動力を前記車
    輪に伝達する歯車が、歯車本体と、この歯車本体から同
    軸に延設されてその先端が車輪に螺着される筒状部分
    と、この筒状部分に着脱自在に内嵌されるトルク伝達筒
    とを備え、前記トルク伝達筒には、前記歯車ケース支持
    軸受が外嵌されるとともに、その自由端に前記駆動力伝
    達手段が着脱自在に接続されることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載の鉄道車両用軌間可変台車の
    駆動装置。
  6. 【請求項6】前記車軸にスライド自在に外嵌して前記車
    輪を前記車軸の軸線方向に変位可能かつ回転自在に支持
    する車軸外筒と、前記トルク伝達筒との間に、前記トル
    ク伝達筒を前記車軸外筒に対して回転自在に支持するト
    ルク伝達筒支持軸受を介装したことを特徴とする請求項
    5に記載の鉄道車両用軌間可変台車駆動装置
  7. 【請求項7】前記駆動力伝達手段を前記トルク伝達筒に
    接続する接続環をさらに備え、前記接続環は、環状の厚
    板からなる本体部分と、この本体部分に円周方向に交互
    に貫設された、前記本体部分を前記駆動力伝達手段に螺
    着するボルトが挿通されるボルト孔および前記本体部分
    を前記トルク伝達筒に螺着するボルトが挿通されるボル
    ト孔とを有することを特徴とする請求項5または6に記
    載の鉄道車両用軌間可変台車の駆動装置。
  8. 【請求項8】前記駆動力伝達手段を前記車軸と同軸に配
    置したボールスプライン筒とすることを特徴とする請求
    項1乃至7のいずれかに記載の鉄道車両用軌間可変台車
    の駆動装置。
  9. 【請求項9】前記減速歯車を前記台車枠に対して吊り下
    げ支持する減速歯車支持手段が、前記台車枠に支持され
    て前記車軸と平行な方向に延びるスライド軸と、このス
    ライド軸に対してボールスプライン筒を介してスライド
    嵌合するスライドハンガーと、このスライドハンガーと
    前記減速歯車との間に介装された吊りロッドとを備える
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の鉄
    道車両用軌間可変台車の駆動装置。
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