JPH10275726A - 内部組込み型誘導電動機を備える変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新たに冷却ファンを設置する必要のない、放
熱能力の高い乾式変圧器を提供する。 【解決手段】 乾式変圧器の鉄心１１を貫通する孔の中
に回転子１２を回転自在に取り付け、更にくま取りコイ
ル１３を設ける。回転子１２の軸には、冷却ファンが取
り付けられる。変圧器の運転中、回転子１２は、変圧器
の鉄心１１を固定子とするくま取りコイル型単相誘導電
動機の回転子として回転する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、変圧器、特に受電
設備に使用される乾式変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】乾式変圧器は、油入変圧器に比較し、コ
ンパクトであり火災の危険性もないので、主に小容量の
受電設備に広く使用されている。

【０００３】乾式変圧器は、空気の自然対流を利用した
自然空冷方式のものが多く、このような自然空冷方式の
場合、冷却能力は大きくないので変圧器のコイルのサイ
ズを小さくすることは困難である。また、空気の自然対
流による放熱効果を十分なものにするため、コイルを横
向きにすることもできない。これは、受電設備のサイズ
及び構造に大きな制約をもたらすことになる。

【０００４】このような問題に対処すべく、従来、受電
設備内に電動機で駆動される冷却ファンを取り付け、こ
れにより変圧器を強制冷却するようにしている。しかし
この場合、冷却ファン、電動機等の機材の購入費用の
他、現場での冷却ファンの取り付けのための設計及び工
事費用が余分に発生し、受電設備の設置コストが増大す
るという問題がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解消すべくなされたものであり、受電設備に新た
に冷却ファン及び駆動用電動機を設置することを不要に
し得る、放熱能力の高い変圧器を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明によれば、単相誘導電動機が内部に組み込まれた
変圧器であって、該単相誘導電動機は、前記変圧器の鉄
心に設けられた孔の中に回転自在に軸支された回転子
と、前記鉄心と前記回転子との間のギャップに形成され
ている、該鉄心の少なくとも１つの突起部分に巻き付け
られたくま取りコイルとから構成されることを特徴とす
る変圧器が提供される。

【０００７】上記課題を解決すべく、本発明によれば、
さらに、単相誘導電動機が内部に組み込まれた変圧器で
あって、該単相誘導電動機は、前記変圧器の鉄心の表面
に取り付けられた固定子を有するくま取りコイル形単相
誘導電動機であり、前記固定子と前記変圧器の鉄心とを
磁気結合するために該固定子と該変圧器の鉄心とにコイ
ルが巻回されていることを特徴とする変圧器が提供され
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。尚、各図において、同じ構成要素
には同じ参照符号を付している。

【０００９】図１において、１１は乾式変圧器の鉄心、
１２は鉄心１１を貫通する孔の内部に回転自在に軸支さ
れた磁性材料からなる回転子、１３はくま取りコイルで
ある。回転子１２の軸には、冷却ファンが取り付けられ
る。変圧器の運転中、回転子１２は、変圧器の鉄心１１
を固定子とする、くま取りコイル型単相誘導電動機の回
転子として回転する。以下にその動作を説明する。

【００１０】変圧器の運転中、鉄心１１には交番磁束が
流れる。この交番磁束は、主磁極１５及び補助磁極１４
を介し主磁束として回転子１２を通過する。主磁束が補
助磁極１４を通ると、くま取りコイルに短絡電流が流
れ、これにより磁束が発生するので、補助磁極１４から
回転子１２には、主磁束とくま取りコイルにより発生す
る磁束との合成磁束が流れることになる。この合成磁束
と主磁極１５から回転子１２に流れる主磁束とは位相が
ずれているので、回転子１２と鉄心１１との間のギャッ
プに回転磁界が発生し、回転子１２が回転する。

【００１１】図２ａ及び図２ｂに上記回転子１２の軸に
冷却ファン１７を取り付けた変圧器１０の正面図及び側
面図をそれぞれ示す。尚、冷却ファン１７から送られる
空気がコイル１６を効率的に冷却するように、不図示の
ダクトにより冷却ファン１７からの空気をコイル１６の
下部に導く。

【００１２】図２ａ及び図２ｂに示した例では、コイル
は縦向きに配置されているが、冷却ファン１７により十
分な冷却効果が得られるので、コイルを横向きに置くこ
とも可能である。

【００１３】更に、変圧器の温度上昇が抑えられるの
で、容量を減少させることなく変圧器を小型計量にする
ことも可能である。これと反対に、変圧器のサイズを変
えなければ容量を増加させることが可能である。

【００１４】図３に上記実施形態の変形例を示す。この
例では、くま取りコイル型単相誘導電動機の固定子１９
を変圧器の鉄心１１の表面に取り付け、コイル１８によ
り鉄心１１と固定子１９とを磁気的に結合している。即
ち、鉄心１１に交番磁束が流れるとコイル１８に短絡電
流が流れ、これにより固定子１９内に交番磁束が発生す
る。

【００１５】なお、上述の実施形態では、変圧器に組み
込まれる電動機に冷却用のファンを取り付けたが、 この
電動機を他の用途に使用することも可能である。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、変圧器の容量に応じた
冷却ファンを変圧器の製造段階から内部に組み込めるた
め、現場での冷却ファンの取り付けのための設計および
工事が不要になり、これにより受電設備の設置コストが
削減され、更に工事期間も短縮される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の変圧器の部分断面図である。

【図２a】本発明の変圧器の正面図である。

【図２ｂ】本発明の変圧器の側面図である。

【図３】本発明の他の変圧器の実施形態の部分断面図で
ある。

【符号の説明】

１１ 変圧器鉄心 １２ 回転子 １３ くま取りコイル １４ 補助磁極 １５ 主磁極 １８ コイル １９ 固定子

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】単相誘導電動機が内部に組み込まれた変圧
   器であって、該単相誘導電動機は、前記変圧器の鉄心に
   設けられた孔の中に回転自在に軸支された回転子と、前
   記鉄心と前記回転子との間のギャップに形成されてい
   る、該鉄心の少なくとも１つの突起部分に巻き付けられ
   たくま取りコイルとから構成されることを特徴とする変
   圧器。
2. 【請求項２】単相誘導電動機が内部に組み込まれた変圧
   器であって、該単相誘導電動機は、前記変圧器の鉄心の
   表面に取り付けられた固定子を有するくま取りコイル形
   単相誘導電動機であり、前記固定子と前記変圧器の鉄心
   とを磁気結合するために該固定子と該変圧器の鉄心とに
   コイルが巻回されていることを特徴とする変圧器。
3. 【請求項３】前記単相誘導電動機に前記変圧器を冷却す
   るためのファンが取り付けられている請求項１または２
   に記載の変圧器。