JPH10273440A - ピリダジノン化合物類の経口製剤 - Google Patents

ピリダジノン化合物類の経口製剤

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JPH10273440A
JPH10273440A JP1131598A JP1131598A JPH10273440A JP H10273440 A JPH10273440 A JP H10273440A JP 1131598 A JP1131598 A JP 1131598A JP 1131598 A JP1131598 A JP 1131598A JP H10273440 A JPH10273440 A JP H10273440A
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徹 巖
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智予 関
Nobuo Kondo
伸夫 近藤
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泰生 上田
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立して、水素
原子又は低級アルキルを、Xはハロゲン原子、シアノ又
は水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフルオロメチル
又は水素原子を、Aは水酸基で置換されていてもよい炭
素数1〜8のアルキレンを示す。〕で表されるピリダジ
ノン化合物又はその薬理学的に許容される塩(ピリダジ
ノン化合物類)と、クエン酸等の有機酸とを含有する経
口製剤。 【効果】 ピリダジノン化合物類の溶出性及び吸収性が
改善された、熱、光、湿度等に対して安定な経口製剤を
提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記一般式(I)
で表されるピリダジノン化合物又はその薬理学的に許容
される塩(以下、総括して「ピリダジノン化合物類」と
もいう。)を有効成分として含有する経口製剤に関す
る。
【0002】一般式(I)
【0003】
【化2】
【0004】〔式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独
立して、水素原子又は低級アルキルを、Xはハロゲン原
子、シアノ又は水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフ
ルオロメチル又は水素原子を、Aは水酸基で置換されて
いてもよい炭素数1〜8のアルキレンを示す。〕
【0005】
【従来の技術】本発明におけるピリダジノン化合物類は
文献既知であり、優れた血小板凝集阻害作用、強心作
用、血管拡張作用、抗SRS−A(Slow Reacting Subs
tances of Anaphylaxis )作用、トロンボキサンA2
成酵素阻害作用等を有することが知られており、抗血小
板剤等として期待される薬物である(特公平7−107
055号公報、特開平7−285869号公報参照)。
【0006】本発明者らは、ピリダジノン化合物類の経
口製剤化につき種々検討を行ったところ、ピリダジノ
ン化合物類が熱、光、湿度等に対しては比較的安定であ
るものの、水に対する溶解性がpH4付近を境にして低
下し、中性付近では極めて難溶性であるために、経口投
与後の薬物の溶出性が低いこと、イヌにおける吸収性
が絶食時でバイオアベイラビリティ(Bioavailability
、以下、「BA」という。)が10%前後と低く、個
体間のばらつきも大きいとの知見を得た。従って、ピリ
ダジノン化合物類の経口製剤化においては、これら溶出
性や吸収性の問題点を解決する必要性があることが判明
した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術に鑑
み、本発明はピリダジノン化合物類の溶出性及び吸収性
が向上した経口製剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、一般的な製剤化手法では充分な効果が得
られなかったのに対して、製剤中に有機酸を含有せしめ
れば、ピリダジノン化合物類の溶出性及び吸収性の向上
を達成できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】即ち、本発明は、一般式(I)
【0010】
【化3】
【0011】〔式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独
立して、水素原子又は低級アルキルを、Xはハロゲン原
子、シアノ又は水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフ
ルオロメチル又は水素原子を、Aは水酸基で置換されて
いてもよい炭素数1〜8のアルキレンを示す。〕
【0012】で表されるピリダジノン化合物〔以下、
「ピリダジノン化合物(I)」ともいう。〕又はその薬
理学的に許容される塩と、有機酸とを含有する経口製剤
である。
【0013】本明細書中で用いられている各記号につい
て以下に説明する。R1 、R2 、R 3 における低級アル
キルとは、炭素数1〜6であって直鎖状でも分枝鎖状で
もよく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イ
ソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t
−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。好まし
いR1 及びR2 としてそれぞれ、水素原子、好ましいR
3 として、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基が挙
げられる。
【0014】R3 における炭素数1〜4のアルキル基と
は、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t−ブ
チル等が挙げられる。
【0015】X、Yにおけるハロゲン原子とは、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。好
ましいXとしてハロゲン原子、好ましいYとしてハロゲ
ン原子及び水素原子が挙げられる。
【0016】Aにおける水酸基で置換されていてもよい
炭素数1〜8のアルキレンとは、直鎖状でも分枝鎖状で
もよく、具体的にはメチレン、エチレン、プロピレン、
ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オク
チレン、2,2−ジメチルエチレン、2,2−ジエチル
エチレン、2,2−ジ−n−プロピルエチレン、ヒドロ
キシメチレン、1−ヒドロキシエチレン、2−ヒドロキ
シエチレン、3−ヒドロキシプロピレン等が挙げられ
る。好ましいAとして、水酸基で置換されていてもよい
炭素数1〜5のアルキレンが挙げられる。
【0017】一般式(I)において、メチレン基とピリ
ジン環の結合位置は特に限定されないが、好ましくはピ
リジン環の窒素原子に対して3位である。また、Yはベ
ンゼン環上のいずれの位置に結合してもよいが、好まし
くは4位である。
【0018】一般式(I)において、R1 が水素原子で
あるピリダジノン化合物(I)が好ましい。特に一般式
(I)において、R1 及びR2 が水素原子、R3 が水素
原子又は炭素数1〜4のアルキル、Xがハロゲン原子、
Yがハロゲン原子又は水素原子、Aが水酸基で置換され
ていてもよい炭素数1〜5のアルキレンであるピリダジ
ノン化合物(I)が好ましい。
【0019】さらに、より好ましいピリダジノン化合物
(I)として、4−ブロモ−6−(3−フェニルプロポ
キシ)−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2
H)−ピリダジノン、4−クロロ−6−(3−フェニル
プロポキシ)−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3
(2H)−ピリダジノン、4−クロロ−6−〔3−(4
−クロロフェニル)プロポキシ〕−5−(3−ピリジル
メチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、4−ブロ
モ−6−〔3−(4−クロロフェニル)プロポキシ〕−
5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリ
ダジノン、4−ブロモ−6−(2,2−ジメチル−3−
フェニルプロポキシ)−5−(3−ピリジルメチルアミ
ノ)−3(2H)−ピリダジノン、4−クロロ−6−
(2,2−ジメチル−3−フェニルプロポキシ)−5−
(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジ
ノン、4−ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)
−2,2−ジメチルプロポキシ〕−5−(3−ピリジル
メチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、4−クロ
ロ−6−〔3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジメ
チルプロポキシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)
−3(2H)−ピリダジノン、4−ブロモ−6−〔3−
(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロポキシ〕
−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピ
リダジノン、4−クロロ−6−〔3−(4−クロロフェ
ニル)−3−ヒドロキシプロポキシ〕−5−(3−ピリ
ジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、4−
ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)−2−ヒド
ロキシプロポキシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミ
ノ)−3(2H)−ピリダジノン及び4−クロロ−6−
〔3−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシプロポ
キシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2
H)−ピリダジノンが挙げられる。
【0020】本発明におけるピリダジノン化合物(I)
には、立体及び光学異性体も包含される。
【0021】尚、ピリダジノン化合物(I)は、例え
ば、特公平7−107055号公報に開示の方法等によ
り製造することができる。
【0022】ピリダジノン化合物(I)の薬理学的に許
容される塩としては、例えば無機酸との塩(塩酸塩、臭
化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等)、有機酸との塩(酢
酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、リン
ゴ酸塩、酒石酸塩等)等が挙げられる。また、ピリダジ
ノン化合物(I)は、公知の手段により上記の塩とする
ことができる。
【0023】本発明に用いられる有機酸としては、クエ
ン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、
酒石酸等が挙げられるが、特にクエン酸が好ましい。有
機酸の配合量は、ピリダジノン化合物類1重量部に対し
て、0.05〜20重量部が好ましい。
【0024】有機酸の配合時期については特に限定され
るものではなく、造粒前、あるいは造粒後の打錠前でも
よいが、ピリダジノン化合物類の吸収性の観点から、造
粒前に配合するのが好ましい。
【0025】ピリダジノン化合物類に有機酸を配合する
ことにより、ピリダジノン化合物類の溶出性及び吸収性
が改善され、熱、光、湿度等に対して安定な経口製剤を
得ることができる。
【0026】本発明の経口製剤の調製に際しては、ピリ
ダジノン化合物類は、粉砕されていることが好ましい。
ピリダジノン化合物類は、原末の状態では平均粒子径が
約20μmであるが、通常の手法で粉砕することによ
り、平均粒子径を約7〜10μmにすることができる。
ピリダジノン化合物類の微粉化は、溶出性や吸収性の向
上に寄与する。
【0027】本発明の経口製剤は、慣用手段によって、
賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等を使用して、錠
剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤等に製剤化された
ものである。使用される賦形剤等は特に限定されるもの
ではない。賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスター
チ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、結
晶セルロース、二酸化ケイ素等が挙げられる。結合剤と
しては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエー
テル、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビア
ゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリ
ドン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば澱粉、寒
天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭
酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリ
ン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース・カルシウ
ム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカ
ルメロースナトリウム、部分α化デンプン等が挙げられ
る。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウ
ム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植
物油等が挙げられる。賦形剤として乳糖を用いた場合
や、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用い
た場合には、予想外にも製剤の着色の問題が懸念された
ので、他の賦形剤、結合剤を使用するのが好ましい。好
ましい賦形剤として具体的には、結晶セルロース、コー
ンスターチ、マンニトール等が挙げられ、好ましい結合
剤として具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース等が挙げられる。
【0028】賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤の各配合
量は、ピリダジノン化合物類1重量部に対して、それぞ
れ10〜150重量部、0.5〜10重量部、1〜20
重量部、0.1〜1.5重量部が好ましい。
【0029】本発明の組成物の剤型は限定されるもので
はないが、錠剤が好ましい。錠剤を調製する場合、各成
分の混和物に約5〜35%(w/w)の水を添加し、ハ
イスピードミキサー等を用いて攪拌造粒法により造粒し
た後に打錠する湿式造粒打錠法や、各成分を均等に混合
した後に圧縮成型する直接打錠法等を採用することがで
きる。尚、錠剤には防湿性を高めるために、市販のHA
「三共」(三共社製)等のコーティング基剤を用いてコ
ーティングを施すことが好ましい。
【0030】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するため実施例及
び実験例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定
されるものではない。
【0031】以下の実施例及び実験例においては、ピリ
ダジノン化合物類として、常法に従って製造された4−
ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)プロポキ
シ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)
−ピリダジノン塩酸塩(以下、単に「ピリダジノン塩酸
塩」という。)を用いた。
【0032】実施例1 主薬としてピリダジノン塩酸塩を10.0mg、有機酸
としてクエン酸(昭和化工社製)を5.0mg、賦形剤
として乳糖を123.0mg、結合剤としてヒドロキシ
プロピルセルロース(HPC−SL、日本曹達社製)を
4.0mg、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウ
ム(アクチゾル、旭化成社製)を7.0mg、滑沢剤と
してステアリン酸マグネシウム(太平化学社製)を1.
0mg含有する錠剤を調製した。
【0033】錠剤の調製は湿式造粒打錠法で行い、主
薬、有機酸、賦形剤、結合剤及び崩壊剤を混合し、約1
2%(w/w)の水を添加し、攪拌造粒法により造粒し
た。その後、乾燥(80℃、約30分間)し、32me
shで篩過して、打錠用粉末を得た。得られた打錠用粉
末に滑沢剤及び崩壊剤を混合した後、7.5mmφ、普
通R面の臼、杵を用いて打錠し、錠剤とした。
【0034】主薬のピリダジノン塩酸塩は、原末をター
ボミル粉砕機(TJ−60、ターボ工業社製)を用いて
乾式粉砕した物を用いた(空気圧7.5〜8.5kg/
cm 2 、フィード・コントロール8.0〜8.5)。原
末の平均粒子径は約20μmであったが、得られたター
ボミル粉砕品は、平均粒子径が約7μmであった。平均
粒子径は、粒子径測定装置(CIS−1、GALAI社
製)を用いて三回測定し、その平均値を求めた(以下、
同様)。
【0035】実施例2 クエン酸の配合量を15.0mgに、乳糖の配合量を1
13.0mgに変更した以外は、実施例1と同様にし
て、錠剤を得た。
【0036】実施例3 クエン酸の配合量を50.0mgに、乳糖の配合量を7
8.0mgに変更した以外は、実施例1と同様にして、
錠剤を得た。
【0037】実施例4 クエン酸の配合量を7.5mgに、乳糖の配合量を12
0.5mgに変更した以外は、実施例1と同様にして、
錠剤を得た。
【0038】実施例5 主薬としてピリダジノン塩酸塩を10.0mg、有機酸
としてクエン酸(昭和化工社製)を15.0mg、賦形
剤として結晶セルロース(アビセルPH101、旭化成
社製)を113.0mg、結合剤としてヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース(TC−5R、信越化学社製)を
4.0mg、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピル
セルロース(L−HPC、信越化学社製)を7.0m
g、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを1.0m
g含有する錠剤を、実施例1と同様にして調製した。
【0039】主薬のピリダジノン塩酸塩は、原末をピン
ミル粉砕機(微粉砕機コロプレックス160Z、パウレ
ックス社製)を用いた(ピン回転数9000rpm、供
給スリット幅約1cm、仕込み量500g)。ピンミル
粉砕品の平均粒子径は、約10μmであった。
【0040】実施例6 低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合せずに、
結晶セルロースの配合量を90.0mgに変更し、崩壊
剤として部分α化デンプン(PCS、旭化成社製)を3
0.0mg配合した以外は、実施例5と同様にして、錠
剤を得た。
【0041】実施例7 結晶セルロースの配合量を56.5mgに変更し、賦形
剤としてコーンスターチ(松谷化学工業社製)を56.
5mg配合し、さらにクエン酸の配合を乾燥、篩過後に
行った以外は、実施例5と同様にして、錠剤を得た。
【0042】実施例8 結晶セルロースの配合量を45.0mgに変更し、コー
ンスターチを45.0mg配合した以外は、実施例6と
同様にして、錠剤を得た。
【0043】実施例9 コーンスターチをD−マンニトール(東和化成社製)に
変更した以外は、実施例8と同様にして、錠剤を得た。
【0044】実施例10 主薬としてピリダジノン塩酸塩を10.0mg、有機酸
としてクエン酸を15.0mg、賦形剤として結晶セル
ロースを75.0mg、乳糖を15.0mg、結合剤と
してヒドロキシプロピルメチルセルロースを4.0m
g、崩壊剤として部分α化デンプンを30.0mg、滑
沢剤としてステアリン酸マグネシウムを1.0mg含有
する錠剤を調製した。
【0045】錠剤の調製は直接打錠法で行った。具体的
には、主薬と有機酸とを混合し、実施例5と同様にピン
ミル粉砕し、それぞれ篩過された賦形剤、結合剤及び崩
壊剤を混合した。さらに滑沢剤を配合し、打錠用粉末を
得、7.5mmφ、普通R面の臼、杵を用いて打錠し、
錠剤とした。
【0046】実施例11〜13 実施例1に記載の湿式造粒打錠法にて、表1に記載の組
成を有する素錠を調製し、コーティング剤〔コーティン
グ基剤(HA「三共」、三共社製)及びトリアセチン〕
を用いて、パンコーティング法によりフィルムコーティ
ング錠を調製した。
【0047】
【表1】
【0048】参考例1 クエン酸を配合せずに、乳糖の配合量を128.0mg
に変更した以外は、実施例1と同様にして、錠剤を得
た。
【0049】参考例2 クエン酸を配合せずに、乳糖の配合量を127.0mg
に変更し、さらに界面活性剤としてシュガーエステル
(DKエステルSS、第一工業製薬社製)を1.0mg
配合した以外は、実施例1と同様にして、錠剤を得た。
【0050】参考例3〜5 ピリダジノン塩酸塩の原末2gと、種々の水溶性高分子
10gとを混合し、メタノール又はメタノール/ジクロ
ロメタン(1/1)混液を添加して、50℃で加温下溶
解した。ロータリーエバポレータで50℃で蒸発乾固し
た後、60℃で一晩減圧乾燥した。乾燥物を小型粉砕器
で粉砕後、さらに60℃で一晩減圧乾燥して、非晶形製
剤とした。水溶性高分子として、ポリビニルピロリドン
ビニルアセテート(コリドンVA64、BASF社
製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロースフタレート(HP−55、
信越化学社製)を用い、順次参考例3,4,5とした。
【0051】実験例1(溶出試験) 実施例1〜3及び参考例1の錠剤について、リン酸緩衝
液(pH6.8)における溶出試験を行った。試験は第
十二改正日本薬局方の溶出試験法(パドル法)に従っ
て、回転数100rpm、試験液量900ml、サンプ
リング及び補充液量10mlにて行った。
【0052】試料を15,000rpm、10分間遠心
分離後、上清0.5mlに内標準溶液0.5mlを添加
し、HPLC法で測定した。HPLCの条件は以下の通
りである。
【0053】〔HPLC条件〕 標準溶液:ピリダジノン塩酸塩0.020gを精密に量
り、メタノールに溶かして正確に20mlとした。この
液1mlを正確にとり、リン酸緩衝液(pH6.8)を
加えて正確に100mlとした。この液0.5mlに内
標準溶液0.5mlを添加し、標準溶液とした。
【0054】内標準溶液:2−アセトナフトン(5μg
/ml)をメタノール・アセトニトリル混液(15:
9)に溶かして、内標準溶液とした。 検出器:紫外吸光光度計(測定波長:290nm) カラム:Nucleosil 100-5-C18(φ4.6×250m
m、GLサイエンス社製) カラム温度:40℃ 移動相:水・メタノール・アセトニトリル混液(6:
5:3) 流速:1.4ml/min 分析時間:20分 注入量:10μl
【0055】溶出率と溶出時間との関係を図1に示す。
図1に示されるように、クエン酸を配合した錠剤は、い
ずれもクエン酸を含まない錠剤よりも速やかな溶出パタ
ーンを示した。
【0056】実験例2(吸収性試験) 実施例2及び参考例1〜5の製剤について、ビーグル犬
を用いた吸収性試験を行った。吸収性試験は、製剤投与
前20時間絶食させたビーグル犬(体重約10〜12k
g、n=5又は10)に10mg/体重kgを投与し、
製剤投与後5時間絶食させ、製剤投与後の血漿中薬物濃
度を経時的に測定することにより行った。血漿中薬物濃
度の測定は、常法に従ってHPLC法により行った。H
PLCの条件は以下の通りである。
【0057】〔HPLC条件〕 検出器:紫外吸光光度計(測定波長:286nm) カラム:Superspher RP-18e (φ4.0×250mm、
Merck 社製) ガードカラム:Lichrospher RP−18e(φ4.0×
4.0mm、5μm、Merck 社製) 移動相:CH3 CN/10mMCH3 COONa=42
/58 流速:1.0ml/min カラム温度:50℃ 分析時間:30分 注入量:30μl
【0058】表2に、製剤投与後の最高血漿中薬物濃度
(Cmax )を示す。
【0059】
【表2】
【0060】ビーグル犬における各製剤のBAを図2に
示す。実施例2の錠剤では、BAが約30%であり、ピ
リダジノン塩酸塩の原末の約3倍の吸収性を示した。一
方、参考例の製剤におけるBAは、最も良好な製剤で約
20%程度であった。また、個体間のばらつきについて
は、実施例2の錠剤は参考例の製剤に比べ、1/2以下
に改善された。
【0061】さらに実施例2の錠剤について、食後投与
による吸収性試験を行った。錠剤投与30分前に標準固
形飼料を約300g与える以外は、上記の絶食投与と同
様に行った。食後投与による吸収性の結果を絶食投与の
場合の結果とともに表3に記載する。
【0062】
【表3】
【0063】食後投与でも、平均BAは29%と、絶食
投与の場合と同様の値を示した。
【0064】
【発明の効果】ピリダジノン化合物類の溶出性及び吸収
性が改善された、熱、光、湿度等に対して安定な経口製
剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1の溶出試験の結果を示すグラフであ
る。
【図2】実験例2のビーグル犬におけるBAの結果を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/12 A61K 47/12 E // C07D 401/12 237 C07D 401/12 237 (72)発明者 近藤 伸夫 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 上田 泰生 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立して、水素
    原子又は低級アルキルを、Xはハロゲン原子、シアノ又
    は水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフルオロメチル
    又は水素原子を、Aは水酸基で置換されていてもよい炭
    素数1〜8のアルキレンを示す。〕で表されるピリダジ
    ノン化合物又はその薬理学的に許容される塩と、有機酸
    とを含有する経口製剤。
  2. 【請求項2】 一般式(I)におけるR1 が水素原子で
    ある請求項1記載の経口製剤。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表されるピリダジノン化
    合物が4−ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)
    プロポキシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3
    (2H)−ピリダジノンである請求項1記載の経口製
    剤。
  4. 【請求項4】 有機酸がクエン酸である請求項1〜3の
    いずれか記載の経口製剤。
  5. 【請求項5】 ピリダジノン化合物又はその薬理学的に
    許容される塩が粉砕されている請求項1〜4のいずれか
    記載の経口製剤。
  6. 【請求項6】 賦形剤として結晶セルロース、コーンス
    ターチ、マンニトールからなる群より選ばれる一種又は
    二種以上の混合物を使用した請求項1〜5のいずれか記
    載の経口製剤。
  7. 【請求項7】 結合剤としてヒドロキシプロピルメチル
    セルロースを使用した請求項1〜6のいずれか記載の経
    口製剤。
  8. 【請求項8】 剤型が錠剤である請求項1〜7のいずれ
    か記載の経口製剤。
  9. 【請求項9】 防湿性のコーティングが施された請求項
    8記載の経口製剤。
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