JPH10263966A - 気相合成された膜を備えた工作物支持具及びその製造方法 - Google Patents

気相合成された膜を備えた工作物支持具及びその製造方法

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JPH10263966A
JPH10263966A JP6976797A JP6976797A JPH10263966A JP H10263966 A JPH10263966 A JP H10263966A JP 6976797 A JP6976797 A JP 6976797A JP 6976797 A JP6976797 A JP 6976797A JP H10263966 A JPH10263966 A JP H10263966A
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JP6976797A
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Tomoyasu Imai
智康 今井
Ryohei Mukai
良平 向井
Shinji Soma
伸司 相馬
Hiroaki Suzuki
浩明 鈴木
Kiyoshi Uchida
清 内田
Kazuo Higuchi
和夫 樋口
Akio Ito
明生 伊藤
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Toyoda Koki KK
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyoda Koki KK
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転加工される工作物を支持するために工作
機械に装備される工作物支持具であって、煩雑な機械加
工処理を施すことなく低摩擦性および耐磨耗性を保持し
た工作物接触部分を有する工作物支持具を提供するこ
と。 【解決手段】 上記課題を解決する本発明の工作物支持
具を製造する方法は、平滑な表面を有する基板の当該表
面において、気相合成によって析出した硬質固体層の膜
22を、当該支持具における工作物に接触し得る部分1
2aに固着させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転加工される工
作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持
具及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】旋盤や研削盤等のような工作物(ワー
ク)を回転させつつ加工する工作機械には、当該回転加
工される工作物を支持するための種々の工作物支持具が
装備されている。例えば、図8に示すような工作物Wを
回転させつつ砥石車52で研削する一般的な回転研削盤
50においては、当該工作物Wを主軸台54と心押し台
56との間に回転可能に支持するための支持具として一
対のセンタ(回りセンタ58aおよび止まりセンタ58
b)が装備されている。さらに、図8および図9に示す
ように、この種の工作機械には、上記二つのセンタ58
a,58b間に支持された工作物Wに工具(図中におけ
る砥石車52)が押しつけられることによって当該工作
物Wが振れたり或いは撓んだりするのを防止するための
工作物支持具であるワークレスト60が装備されてい
る。
【0003】工作物Wを回転させつつ支持するための上
記センタ58a,58b(典型的には心押し台56に装
着されている止まりセンタ58b)やワークレスト60
のような工作物支持具では、当該支持具と工作物Wとの
間の摩擦を抑えつつ、加工時における工作物Wの滑らか
な回転動作を維持させることが必要である。このため、
例えば図9に示すワークレスト60の支持部60aの先
端に設けられたレストシュー62のような工作物Wに動
的に接触する部分(即ち、回転状態の工作物に接して自
らは摺動させられる部分。)を構成する部材には、無潤
滑かつ高面圧条件下での使用に適した低摩擦性および耐
磨耗性が要求されている。従って、図10に示すよう
に、従来、この種の工作物支持具の支持部60a先端に
おける工作物Wに接触する部分(上述のレストシュー6
2付着部分)には、耐磨耗性に優れたWC(炭化タング
ステン)、ダイヤモンド、CBN(Cubic Boron Nitrid
e )等からなる硬質焼結体Sが固着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
工作物支持具に用いられる硬質焼結体Sは、種々の工作
物支持具に応じた形状、厚さおよび面粗さに調整するた
めに機械加工を施す必要がある。しかしながら、このよ
うな焼結体Sは非常に硬質であるため、そのような機械
加工を施すことが困難である。例えば、低摩擦性および
耐磨耗性を向上させるために工作物Wとの接触面積を減
らすことを目的として従来のダイヤモンド焼結体からな
るレストシューに所望するレベルのクラウニング(crow
ning;表面が凸状になっていること。以下同じ。)を形
成する場合、多大なコストおよび手間のかかる精密な機
械加工処理(典型的には成型または研磨加工処理)を行
う必要があった。
【0005】本発明は、上記工作物支持具に関する従来
の問題点を解決するものであり、その目的とするところ
は、回転加工される工作物を支持するために工作機械に
装備される工作物支持具であって、煩雑な機械加工処理
を施すことなく優れた低摩擦性および耐磨耗性を実現し
た工作物に接触する部分を有する工作物支持具およびそ
の製造方法、ならびにそのような工作物支持具を備えた
工作機械を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明においては、回転加工される工作物を支持す
るために工作機械に装備される工作物支持具を製造する
方法であって、平滑な表面を有する基板の当該表面にお
いて、気相合成によって析出した硬質固体層の膜を、当
該支持具における工作物に接触する部分に固着させるこ
とを特徴とする工作物支持具の製造方法(以下「本発明
の第一の製造方法」という。)を提供する。なお、本明
細書において「工作物に接触する部分」とは、上記工作
物支持具の一部分であって工作物(ワーク)が回転加工
される際に当該工作物に直接接触し得る部分を指す総称
である。従って、回転する工作物に動的に接触する部分
に該当する上記センタの先端部(図9参照)やワークレ
ストにおけるレストシュー部分等は本明細書でいう「工
作物に接触する部分」に包含される典型例である。
【0007】本発明の第一の製造方法においては、気相
合成法(CVD(Chemical vapor deposition) 法ともい
う。)に基づいて基板の平滑な表面に析出した硬質固体
層より工作物支持具における上記「工作物に接触する部
分」(以下「工作物接触部分」と略称する。)に適用し
得る硬質の膜が形成される。このため、本発明の第一の
製造方法によれば、上記従来の硬質焼結体におけるよう
な煩雑でコスト高となる機械加工処理を行うことなく、
耐磨耗性に優れた工作物接触部分を有する工作物支持具
を製造することができる。
【0008】また、本発明は、上記本発明の第一の製造
方法において、上記膜の上記基板面側が外部に露出する
ようにして上記膜を上記支持具における工作物に接触す
る部分に固着させることを特徴とする製造方法(以下
「本発明の第二の製造方法」という。)を提供する。本
発明の第二の製造方法では、気相合成によって析出した
硬質固体層の膜を上記工作物接触部分に固着した際、上
記基板の平滑表面に対応した平滑な面側が外部に露出す
ることとなる。すなわち、本発明の第二の製造方法によ
って得られた工作物接触部分は平滑で硬質な外面を有し
ている。従って、本発明の第二の製造方法によれば、上
記従来の硬質焼結体におけるような煩雑でコスト高とな
る機械加工処理を行うことなく、耐磨耗性および低摩擦
性に優れた工作物接触部分を有する工作物支持具を製造
することができる。
【0009】さらに、本発明は、上記本発明の第一また
は第二の製造方法において、上記膜の上記支持具におけ
る工作物に接触する部分への固着は鑞付けによって行わ
れており、その鑞付けの際には、当該工作物に接触する
部分の温度変化に伴う体積変動割合を当該膜の温度変化
に伴う体積変動割合と異ならせることによって、当該工
作物に接触する部分に固着させた当該膜にクラウニング
を形成することを特徴とする製造方法(以下「本発明の
第三の製造方法」という。)を提供する。本発明の第三
の製造方法においては、上記気相合成によって形成され
た膜の上記工作物接触部分への固着を鑞付けによって行
うと共に、当該鑞付けの際に当該膜と当該工作物接触部
分(即ち支持具本体側)との間に温度変化に伴う体積変
動割合の差異(熱膨張差)を設けている。すなわち、当
該部分と当該膜との間で鑞付け工程時の温度変化に伴う
体積変動率が異なるために、上記膜が上記工作物接触部
分に鑞付けされて固着されていく過程において当該膜の
湾曲を促し、結果、当該膜からなるクラウニングを当該
工作物接触部分上に形成させることができる。従って、
本発明の第三の製造方法によれば、上記従来の硬質焼結
体におけるような煩雑でコスト高となる機械加工処理を
行うことなく、耐磨耗性および低摩擦性に優れ、所望の
形状のクラウニングが形成された工作物接触部分を有す
る工作物支持具を製造することができる。
【0010】さらに、上記問題点を解決するための本発
明の他の態様は、回転加工される工作物を支持するため
に工作機械に装備される工作物支持具であって、その支
持具における上記工作物に接触する部分には、平滑な表
面を有する基板の当該表面に気相合成に基づいて析出し
た硬質固体層の膜が固着されていることを特徴とする工
作物支持具(以下「本発明の第一の支持具」という。)
を提供することである。
【0011】本発明の第一の支持具では、上記工作物接
触部分に上記気相合成によって形成された硬質の膜が固
着されており、この膜によって当該工作物接触部分の耐
磨耗性が確保されている。従って、本発明の第一の支持
具によれば、上述の硬質焼結体から構成される従来の工
作物接触部分におけるような煩雑でコストのかかる機械
加工処理を行うことなく、回転する工作物を支持する際
の当該工作物との摩擦に起因する当該工作物接触部分の
磨耗を抑えることができる。
【0012】また、本発明は、上記第一の支持具におい
て、上記膜は、上記基板面側が外部に露出するようにし
て上記工作物に接触する部分に固着されていることを特
徴とする工作物支持具(以下「本発明の第二の支持具」
という。)を提供する。本発明の第二の支持具では、上
記基板の平滑表面に対応する平滑な面側を外部に露出し
つつ上記形成された膜が工作物接触部分に固着されてい
る。このため、上記本発明の第一の支持具同様に工作物
接触部分の耐磨耗性が確保されることに加え、当該工作
物接触部分に低摩擦性の円滑な表面を付与することがで
きる。従って、本発明の第二の支持具によれば、上述の
硬質焼結体から構成される従来の工作物接触部分におけ
るような煩雑でコストのかかる機械加工処理を行うこと
なく、回転する工作物を支持する際の当該工作物との摩
擦に因る当該工作物接触部分の磨耗をさらに抑えること
ができると共に、当該工作物の滑らかな回転動作を維持
することができる。
【0013】さらにまた、本発明は、上記第一または第
二の支持具において、上記工作物に接触する部分に固着
されている膜がクラウニングを形成していることを特徴
とする工作物支持具(以下「本発明の第三の支持具」と
いう。)を提供する。本発明の第三の支持具では、上記
工作物接触部分に固着されている上記膜にクラウニング
が形成されているため、当該工作物接触部分と工作物と
の接触面積を小さくすることができる。従って、本発明
の第三の支持具によれば、上述の硬質焼結体から構成さ
れる従来の工作物接触部分におけるような煩雑でコスト
のかかる機械加工処理を行うことなく、回転する工作物
を支持する際の当該工作物との摩擦に因る当該工作物接
触部分の磨耗をさらに低く抑えることができると共に、
当該工作物の滑らかな回転動作を維持することができ
る。
【0014】さらに、上記問題点を解決するための本発
明の他の態様は、上記本発明の第一、第二および第三の
支持具のいずれかを装備したことを特徴とする工作機械
を提供することである。本発明の工作機械によれば、上
記本発明の第一、第二または第三の支持具を装備する結
果、上記従来の工作物支持具を備えた工作機械における
ような上記工作物接触部分についての煩雑でコストのか
かる機械加工処理を行う必要がない。また、本発明の工
作機械では、装備される工作物支持具のメンテナンスお
よび交換に係る労力およびコストを低減させることがで
きる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面を参照しつつ説明する。
【0016】先ず、本発明に係る好適な第一の実施形態
として、研削盤等に装備される一般的なワークレストに
適用した本発明の工作物支持具(上記本発明の第一、第
二および第三の支持具を包含する。)および本発明の製
造方法(上記本発明の第一、第二および第三の製造方法
を包含する。)の一例を図面を参照しつつ説明する。な
お、図1は、本実施形態に係るワークレスト10を備え
た工作機械の側面図である。
【0017】図1に示すように、本実施形態に係る本発
明のワークレスト10は、工作機械(研削盤)のテーブ
ル2上に固定具3およびナット4によって固定されて使
用されるものである。本ワークレスト10には、回転加
工される工作物(ワーク)Wを2点支持するための一対
の支持部材12が設けられている。そして、それら支持
部材12の先端部12aに相当する工作物Wに動的に接
触する部分には、後述する方法によって形成されたダイ
ヤモンド薄膜を固着して成るレストシューが設けられて
いる。すなわち、本ワークレスト10は、既存の工程に
よって調製された支持部材12の先端部12aに、気相
合成法に基づいて形成された硬質膜を固着させることに
よって製造され得る本発明の工作物支持具である。以
下、詳細に説明する。
【0018】本ワークレスト10に適用される上記ダイ
ヤモンド薄膜は、平滑な表面を有する基板を調製し、公
知の気相合成法(熱フィラメントCVD法、平面火炎
法、RF熱プラズマ法等)によって当該表面上に析出し
た硬質ダイヤモンド層を当該基板から剥離すること、ま
たは当該基板に析出した状態のまま支持部材12の先端
部12aに固着し、この基板を研削又は溶解といった物
理的又は化学的手段により除去することによって形成さ
れたものである。すなわち、図2に示すような予め研磨
加工することによって鏡面状の平滑な表面20aが形成
されたモリブデン焼結体からなる円筒状基板20を図示
しない成膜装置に配置する。次いで、アセチレン(C2
2 )、酸素(O2 )、および水素(H2 )系の混合ガ
スの平面火炎をモリブデン製基板上に安定化し、上記モ
リブデン製基板20の表面温度を概ね700〜900℃
に保持することによって成膜装置内において気相合成反
応が開始される。このことによって、当該基板20の上
記平滑な表面20a上に結晶質ダイヤモンドからなる固
体層を析出させることができる。
【0019】次に、気相合成反応を終えた基板20を急
速冷却し、当該基板20自体と上記表面20a上に析出
したダイヤモンド固体層との間で温度変化(即ち冷却)
に伴う体積変動割合に差異を生じさせる。すなわち、ダ
イヤモンドからなる固体層の熱膨張率は相対的に小さ
く、他方、基板20を構成するモリブデンの熱膨張率は
相対的に大きい。このため、気相合成反応後の高温状態
におかれた上記基板20を上記ダイヤモンド固体層とと
もに急速冷却した場合には、基板20の体積収縮率がダ
イヤモンド固体層の体積収縮率を上回り、当該基板20
がダイヤモンド固体層よりも大きく収縮することとな
る。これによって上記ダイヤモンド固体層と基板20と
の接合面においてずれが生じ、結果、当該ダイヤモンド
固体層が基板20から剥離し、当該ダイヤモンドからな
る薄膜22が分離・形成される(図2参照)。なお、こ
のようにして得られた上記ダイヤモンド薄膜22の一方
の面(即ち、図2に表示されている面;以下「成長面2
2a」という。)は、ダイヤモンドが順次析出した結果
として若干の凹凸形状を有しており、他方の面(即ち、
基板20から剥離した側の面;以下「剥離面22b」と
いう。)は、上記基板20の平滑な表面20aに対応し
た平滑な表面粗さを保持している(図3参照)。従っ
て、このダイヤモンド薄膜22の剥離面22bについて
は既に工作物Wの回転を阻害することなく当該工作物W
を接触・支持し得るレベルの低摩擦性が保証されてお
り、従来の硬質焼結体Sから成るレストシュー(図10
参照)におけるような研磨加工処理を別途行う必要がな
い。
【0020】以上のとおり、本発明の工作物支持具(本
実施形態においてはワークレスト10)では、上記工作
物接触部分(本実施形態においては支持部材の12の先
端部12a)に固着させる硬質膜(本実施形態において
はダイヤモンド薄膜22)を気相合成法によって製造し
ているため、従来の硬質焼結体のような煩雑な加工処理
を必要とせず、また、メタンや水素の如き安価な原料ガ
スから調製され得るため、工作物支持具の製造コスト削
減に寄与し得る。
【0021】次に、上記得られたダイヤモンド薄膜22
を本ワークレスト10の支持部材12先端部12aに固
着する手順について説明する。なお、本実施形態に係る
上記支持部材12の先端部12aはWCから構成されて
いる。本実施形態においては、上記ダイヤモンド薄膜2
2の上記支持部材12先端部12aへの固着を鑞付けに
よって行っている。すなわち、図3に示すように、上記
支持部材12の先端部12a表面に高融点鑞材26を添
加し、その上に上記平滑な剥離面22bが外部に露出す
るようにしてダイヤモンド薄膜22を載置する。而し
て、これらを図示しない加熱炉中に配置し、概ね500
〜1000℃に加熱することによって当該鑞材26を溶
融させる。次いで、冷却することによって鑞材26を固
化させ、上記支持部材12の先端部12aへのダイヤモ
ンド薄膜22の固着が達成される。
【0022】さらに、本実施形態においては、上記鑞付
け工程の際の温度制御によって、上記支持部材12の先
端部12aに固着させたダイヤモンド薄膜22にクラウ
ニングを形成することができる。このことを以下に説明
する。上述のとおり、支持部材先端部12aを構成する
WCの熱膨張率はダイヤモンド薄膜22の熱膨張率より
も相対的に大きく、鑞付け工程時の上記冷却過程におい
て支持部材先端部12aの体積変動割合(即ち体積収縮
率)がダイヤモンド薄膜22の体積変動割合(体積収縮
率)を上回る。このため、鑞付け時の上記冷却過程にお
いて支持部材先端部12aがダイヤモンド薄膜22より
も大きく収縮することとなり、当該支持部材先端部12
aとダイヤモンド薄膜22との接合面において歪みが生
じる。このとき、鑞材26が流動性を無くした状態より
さらに温度が下がると、図4に示すように、上記ダイヤ
モンド薄膜22は上記支持部材先端部12a表面から剥
離することなく上記歪みのレベルに応じて側面からみて
半円アーチ状に湾曲し、その表面が凸状に隆起したクラ
ウニングを形成する。而して、上記クラウニングを形成
したダイヤモンド薄膜22を先端部12aに備えた支持
部材12が構築される。そして、この支持部材12を図
1に示すような一般的なワークレスト10本体部に装着
することによって本実施形態に係るワークレスト10が
作製される。
【0023】なお、本実施形態において、上記クラウニ
ングを好適に形成するための好ましい他の条件として
は、特に限定するものではないが、上記ダイヤモンド薄
膜22の厚さは30μm以上がよく、70μm以上のも
のが特に好ましい。また、鑞材26の添加量は、鑞材2
6の種類や品質に応じて適宜変更し得るが、典型的には
鑞付け後の鑞材26部分(図3参照)の厚さが50μm
以下であることがよく、20μm以下とすることが特に
好ましい。また、用いる基材(上記実施形態においては
支持部材12の先端部12a)の材質は、気相合成によ
って得られた膜の元素組成や形状等によって変更し得る
が、上記好適条件を満たすダイヤモンド薄膜22を適用
する場合においては、熱膨張率2〜20×10-6-1
ヤング率100GPa以上の条件を満たす性状のものが
好ましい。
【0024】次に、本発明に係る好適な第二の実施形態
として、円筒研削盤や旋盤等に一般的に使用されるセン
タ34(図7参照)に適用した本発明の第二の支持具お
よび本発明の第二の製造方法について図面を参照しつつ
説明する。
【0025】本実施形態に係るセンタは、その工作物接
触部分である円錐状先端部(図8参照)に上述の第一の
実施形態同様に例えばRF熱プラズマ法により成膜した
ダイヤモンド薄膜22を固着させたものである。すなわ
ち、図5に示すような円錐状に窪んだ表面(以下「円錐
面30a」という)を有する円筒形のモリブデン製基板
30を調製する。この円錐面30aの表面は、鏡面状に
平滑となるように予め研磨加工されている。而して、こ
の基板30を図示しないプラズマ発生装置(具体的には
高周波コイル)を備えた反応容器内に配置する。この基
板30を水冷しつつ、アルゴン(Ar)、メタン(CH
4)、水素(H2 )系熱プラズマ内で気相合成を行い、
当該円錐面30a上にダイヤモンド固体層を析出させ
る。次いで、当該基板30を冷却することによって、上
述の体積収縮率の違いに基づき当該ダイヤモンド固体層
を基板30の円錐面30aから剥離し、円錐状ダイヤモ
ンド薄膜32(図6)を形成する。このようにして得ら
れた円錐状ダイヤモンド薄膜32は、図6に示すよう
に、上記第一の実施形態におけるダイヤモンド薄膜22
と同様に上記基板30の平滑な円錐面30aに対応した
平滑な表面粗さを保持している剥離面32bと、ダイヤ
モンドが順次析出した結果として若干の凹凸形状を有す
る成長面32aとから構成されている。
【0026】而して、図7に示すように、上記剥離面3
2b側が外部に露出するようにして円錐状ダイヤモンド
薄膜32を上述の鑞付けによってセンタ34先端部分に
固着させることによって、本実施形態に係る工作物支持
具であるセンタ34が作製され得る。また、上記方法に
おいては、基板30から円錐状ダイヤモンド薄膜32を
剥離した後、センタ34に固着しているが、基板30に
析出した状態のままセンタ34に固着した後、基板30
を研削又は化学的に溶解するようにしてもよい。なお、
本センタ34においては、上記第一の実施形態に係るワ
ークレスト10と同様、その先端部(即ち工作物接触部
分)に固着させたダイヤモンド薄膜32が既にセンタ先
端部に適合し得る形状を備えており、また、支持するべ
き工作物Wを接触・支持し得るレベルの耐磨耗性および
低摩擦性が保証されている。従って、本実施形態に係る
センタ34によれば、従来の硬質焼結体から成るセンタ
におけるような成型および/または研磨加工処理を別途
行う必要がない。
【0027】以上、本発明に係る好適な二つの実施形態
を説明したが本発明をこれら実施形態に限定することを
意図したものではない。例えば、上記実施形態において
は、気相合成法によってアセチレン、酸素、水素の混合
ガスからダイヤモンド膜を形成しているがダイヤモンド
に限るものではなく、工作物支持具の用途や要求される
性能に応じ、気相合成法によって得られ得るSiC(炭
化ケイ素)、窒化ホウ素、WC等の種々の硬質材料から
なる膜を形成することができる。
【0028】なお、本発明の実施にあたっては、種々の
態様の気相合成法を適用することができ、特定の手法、
反応装置に限定されない。例えば、熱フィラメントCV
D法、マイクロ波プラズマCVD法、RFプラズマCV
D法、DCプラズマCVD法、RF熱プラズマCVD
法、DCプラズマジェット法、燃焼火炎法のような一般
的に知られている気相合成方法が本発明の実施に好適に
適用し得る。これら気相合成(CVD)法の原理および
手法は、例えば、犬塚直夫・澤邊厚仁著「ダイヤモンド
薄膜」(産業図書株式会社刊、1987年)において詳
細に解説されている。
【0029】また、上述のクラウニングを形成させる場
合、硬質膜の温度変化に伴う体積変動割合と当該膜を固
着する工作物支持具の工作物接触部分の温度変化に伴う
体積変動割合とが異なるように当該工作物支持具の工作
物接触部分の材質および/または温度条件を設定すれば
よく、上記実施形態で示した手法に限定されるものでは
ない。例えば、上述のようにダイヤモンド薄膜を固着さ
せる場合、当該工作物支持具の工作物接触部分の材質を
上記モリブデンに代えてSiCで構成してもよい。これ
らは作製した硬質膜の熱膨張特性に応じて適宜選択され
得ることであり、本発明の特許請求の範囲から逸脱する
ものではない。
【0030】さらにまた、上記実施形態においては、プ
レーン状または円錐状の薄膜を形成したがこれに限ら
ず、種々の形状に成型した平滑表面を有する基材を提供
することによって、当該表面形状に対応した所望する形
状の硬質膜を形成することができる。例えば、上述の第
一の実施形態においてはプレーン状のダイヤモンド薄膜
22に上述する鑞付け手段によってクラウニングを形成
させているが、これに代えて、上記第二の実施形態と同
様に、予め調製した平滑な凹面を有する基板の当該凹面
上に気相合成に基づいて硬質固体層を形成することによ
って、その剥離面側を当該凹面と面対称となるクラウニ
ング状態とした硬質膜を形成することができる。而し
て、同様のクラウニング形状(即ち、当該硬質膜の成長
面側に適合する形状)を有する工作物支持具の工作物接
触部分に当該硬質膜を当該剥離面が外部に露出するよう
にして固着させることによって、上記鑞付けの際におけ
るような温度制御を行うことなく当該工作物接触部分に
硬質膜からなるクラウニング形状を付与することができ
る。また、上記第二の実施形態と同様に、当該硬質膜を
基板から剥離することなく、基板に析出した状態のまま
当該硬質膜の成長面を工作物接触部分に向けて固着し、
その後、基板を物理的に研削又は切削により除去あるい
は化学的に溶解して除去してもよい。この基板の除去
は、従来のダイヤモンドやCBN等の硬質焼結体Sに比
べて軟質であるため、非常に容易に行うことができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ダイヤモンドやCBN
等の非常に硬質な焼結体の成型加工や研磨加工のような
煩雑な機械加工処理を施すことなく低摩擦性および耐磨
耗性を実現した工作物接触部分を有する工作物支持具お
よびそのような工作物支持具を備えた工作機械を提供す
ることができる。すなわち、本発明の製造方法によれ
ば、従来の硬質焼結体におけるような煩雑でコスト高と
なる機械加工処理を行うことなく、耐磨耗性に優れた工
作物接触部分を有する工作物支持具を製造することがで
きる。
【0032】また、本発明の製造方法によって製造され
た本発明の工作物支持具によれば、従来の工作物支持具
の硬質焼結体から構成される工作物接触部分におけるよ
うな煩雑でコストのかかる機械加工処理を行うことな
く、回転する工作物を支持する際の当該工作物との摩擦
に起因する当該工作物接触部分の磨耗を抑えることがで
きる。このため、本発明の工作物支持具を装備した工作
機械では、当該工作物支持具に係るメンテナンスコスト
や労力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工作物支持具の一形態を示す側面図で
ある。
【図2】本発明の一実施形態において形成された硬質膜
を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態における膜と工作物支持具
の鑞付け状態を一部拡大して模式的に示す断面図であ
る。
【図4】本発明の一実施形態において形成されたクラウ
ニングを模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態において使用される硬質膜
形成用基板の模式図である。
【図6】本発明の一実施形態において形成された硬質膜
を示す模式図である。
【図7】本発明の工作物支持具の一形態を示す側面図で
ある。
【図8】従来の工作物支持具を備えた研削盤を模式的に
示す平面図である。
【図9】研削盤に装備された従来の工作物支持具の一態
様を示す説明図である。
【図10】従来のレストシュー部分の一態様を示す模式
図である。
【符号の説明】
10 ワークレスト 12 支持部材 12a 先端部 20,30 基板 20a,30a 平滑表面 22,32 ダイヤモンド薄膜 22a,32a 成長面 22b,32b 剥離面 26 鑞材 34,58a,58b センタ 50 研削盤 60 ワークレスト 62 レストシュー W 工作物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 良平 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 相馬 伸司 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 鈴木 浩明 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 内田 清 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 樋口 和夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊藤 明生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転加工される工作物を支持するために
    工作機械に装備される工作物支持具を製造する方法であ
    って、 平滑な表面を有する基板の該表面において、気相合成に
    よって析出した硬質固体層の膜を、該支持具における工
    作物に接触する部分に固着させることを特徴とする、工
    作物支持具の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の工作物支持具の製造方
    法において、 前記膜の前記基板面側が外部に露出するようにして前記
    膜を前記支持具における工作物に接触する部分に固着さ
    せることを特徴とする工作物支持具の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の工作物支持具
    の製造方法において、 前記膜の前記支持具における工作物に接触する部分への
    固着は鑞付けによって行われており、 その鑞付けの際には、該工作物に接触する部分の温度変
    化に伴う体積変動割合を該膜の温度変化に伴う体積変動
    割合と異ならせることによって、該工作物に接触し得る
    部分に固着させた該膜にクラウニングを形成することを
    特徴とする工作物支持具の製造方法。
  4. 【請求項4】 回転加工される工作物を支持するために
    工作機械に装備される工作物支持具であって、 その支持具における工作物に接触する部分には、平滑な
    表面を有する基板の該表面に気相合成に基づいて析出し
    た硬質固体層の膜が固着されていることを特徴とする工
    作物支持具。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の工作物支持具におい
    て、 前記膜は、前記基板面側が外部に露出するようにして前
    記工作物に接触する部分に固着されていることを特徴と
    する工作物支持具。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の工作物支持具
    において、 前記工作物に接触する部分に固着されている膜がクラウ
    ニングを形成していることを特徴とする工作物支持具。
  7. 【請求項7】 請求項4乃至6のいずれかに記載の工作
    物支持具を装備したことを特徴とする工作機械。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016185991A1 (ja) * 2015-05-15 2016-11-24 イーグル工業株式会社 しゅう動膜及びその製造方法並びにしゅう動部材及びその製造方法

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