JP3695842B2 - ウエハの研磨装置及びウエハの研磨方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエハなどのウエハ(板状物)の研磨装置および研磨方法に関し、特に半導体素子の製造工程で用いられるウエハの研磨に好適な研磨装置および研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の製造工程におけるウエハの研磨は、試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリー(砥粒液)を供給し、試料台と研磨パッドのいずれか一方、または両方を回転させることにより行われている。
【0003】
この研磨時の回転運動によりウエハの外縁には大きな力が加わることと、ウエハと研磨パッドの間から滲みでたスラリーがウエハの外縁付近に滞留することから、ウエハの周縁部分が過剰に研磨され、面ダレを起こすことが多い。この対策としてウエハの周囲に所定厚みのリテーナを設けてウエハを研磨する構成の研磨装置が提案されている。
【0004】
図1は、ウエハの研磨装置を示す模式的縦断面図である。研磨パッド21が被着された研磨定盤22が、研磨定盤回転軸A−A’を中心としてこのまわりを回転(公転)する。ウエハ載置部11が設けられた試料台10が、試料台回転軸B−B’を中心としてこのまわりを回転(公転)する。研磨定盤回転軸A−A’と試料台回転軸B−B’は一致させる場合もあれば、異ならせる場合もある。リテーナ15を有するウエハ載置部11はウエハ載置部回転軸C−C’を中心としてこのまわりを回転する。
【0005】
図2は、ウエハの研磨装置の試料台を示す模式的平面図である。試料台10には、ウエハ載置部11が5つ設けられている。図2では、それぞれのウエハ載置部11、試料台10、および研磨定盤(図示せず)は、すべて同じ方向に回転している。
【0006】
図3は、ウエハの研磨装置のウエハ載置部を示す模式的縦断面図である。
【0007】
ウエハ載置部11はアクリル樹脂等で形成され、ウエハ載置面12にはウエハが載置される部分よりも小さい範囲で同心円状および放射状にウエハ保持用溝13が形成されている。ウエハ保持用溝13には排気用貫通孔14が数箇所接続形成されており、この排気用貫通孔14は真空排気装置(図示せず)に通じている。排気貫通孔14を介してウエハ保持用溝13を真空に排気することにより、ウエハSがウエハ載置面12に真空吸着される。
【0008】
ウエハ載置面12の周囲には、前述したリテーナ15が配設されている。このリテーナ15の上面は平坦な面に作製され、リテーナ15の上面の高さは、ウエハSをウエハ載置面12に載置したとき、ウエハSの上面とほぼ同一の高さになるよう調整されている。これによりウエハSを研磨する際の研磨パッド21が安定した平面で回転し、ウエハS周縁部の面ダレの発生が防止される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような研磨パッドを用いた研磨装置には、研磨処理の時間が経過するにつれて、研磨パッドの目詰まりが進行し、ウエハの研磨速度が低下する。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、研磨パッドの目詰まりの進行を抑え、長期間にわたってウエハの研磨速度を安定させることができる研磨装置および研磨方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨装置は、試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなり、前記面上の電着層に一部を埋設された複数の凸部が設けられ、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められていることを特徴としている。
また本発明の研磨装置は、試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなる複数の凸部が前記面の溝加工によりパターン形成されており、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められていることを特徴としている。
【0012】
本発明の研磨装置によれば、ウエハ(板状物)の研磨工程中に、リテーナの上面に設けられた高硬度の凸部が研磨パッドに接触し、研磨パッドの表面が削られて、研磨パッドのシーズニングを行うことができる。その結果、研磨パッドの目詰まりの進行が抑えられる。
【0013】
一方、高硬度の凸部が設けられたリテーナでシーズニングする場合、研磨パッドのシーズニング効果が激しく、研磨パッドの摩耗が激しくなる場合がある。
【0014】
本発明の研磨装置のリテーナでは、高硬度の凸部と凸部の間の凹部に、その凸部に比べて低硬度の材料が適度な位置まで埋めこまれている。これにより、高硬度の凸部の研磨パッドへの食い込みが抑えられ、研磨パッドの過度のシーズニングが防止され、適度なシーズニング効果を安定して得ることができる。その結果、長期間にわたってウエハの研磨速度を安定させることができる。
【0015】
また、本発明の研磨装置によれば、リテーナの研磨パッドと対向する面に高硬度の凸部が存在するので、リテーナの消耗速度を低減することもできる。
【0016】
なお、この高硬度の凸部は、ダイヤモンド粒などをステンレス板等に電着することにより、またSiC、SiNなどのセラミックス板に溝加工を加えることにより形成することができる。
【0017】
高硬度の凸部と凸部の間の凹部に埋め込まれる材料としては、テフロンやアクリルなどの樹脂を用いることができる。
【0018】
なお、高硬度の凸部と凸部の間の凹部への低硬度の材料の埋め込み量は、この材料の材質、研磨パッドの材質、リテーナ上面の凸部の材質およびリテーナの上面とウエハ上面の高さの位置関係から決めれば良い。
【0019】
また本発明の研磨方法は、試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなり、前記面上の電着層に一部を埋設された複数の凸部が設けられ、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められている研磨装置を用い、前記リテーナの内側に保持されたウエハを、該ウエハの上面よりも前記リテーナの上面が、0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなる条件下にて研磨することを特徴としている。
また本発明の研磨方法は、試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなる複数の凸部が前記面の溝加工によりパターン形成されており、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められている研磨装置を用い、前記リテーナの内側に保持されたウエハを、該ウエハの上面よりも前記リテーナの上面が、0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなる条件下にて研磨することを特徴としている。
【0020】
リテーナの上面をウエハ上面より高くすることにより、効果的に研磨パッドの表面を削り、研磨パッドのシーズニングを行うことができる。また、リテーナの上面をウエハ上面に比べてあまり高い条件でウエハを研磨すると、ウエハ周縁部の研磨速度が低下し、研磨速度のウエハ面内均一性が悪化する。リテーナの上面がウエハ上面から0.1mm以内の高さの範囲内でウエハを研磨することにより、ウエハ周縁部の研磨速度の低下を抑えて、ウエハを均一に研磨することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の研磨装置の例について説明する。本発明の研磨装置の例は、図1、図2および図3に示す研磨装置と同じ構成の装置であって、リテーナのみが異なるものである。したがって、リテーナ以外の部分の説明は省略する。
【0022】
図4は、本発明の研磨装置のリテーナの1例の模式的平面図である。リテーナの上面には、ダイヤモンド粒を電着することにより、凸部17が形成されている。ダイヤモンド粒の粒径は、0.1〜1.0mm程度が好ましい。
【0023】
図5は、このリテーナの一部分の模式的縦断面図である。ステンレス鋼製などのリテーナ15にダイヤモンド粒(凸部17)を電着し、例えばニッケルなどの高硬度金属でダイヤモンド粒17の間に電気メッキ処理を施し、電着層16を形成している。ダイヤモンド粒17の脱落を抑えるため、ダイヤモンド粒17の電着層16への埋設率は50%以上が好ましい。この電着層16の上に、テフロンやアクリルなどの樹脂のような低硬度の材料18をコーティングし、ダイヤモンド粒17の間を埋める。なお、ダイヤモンド粒17の電着層16および低硬度の材料18への最終的な埋設率は、研磨パッドのシーズニング効果から決めれば良いが、通常60〜99%が好ましい。低硬度の材料18の厚みは20〜500μmであることが好ましい。
【0024】
図6は、本発明の研磨装置のリテーナの他の例を示す模式的平面図である。凸部19のパターンが形成されているSiCやSiNなどの焼結されたセラミックス板の例である。この凸部の大きさ、形状および間隔を変えることにより研磨パッドのシーズニング効果を変化させることができる。
【0025】
図7は、このリテーナの一部分の模式的縦断面図である。セラミックスの凸部19と凸部19との間の凹部に、低硬度の材料18としてテフロンやアクリルなどの樹脂がコーティングにより、埋め込まれた構造となっている。
【0026】
本発明の研磨方法の例について、図3に基づき説明する。
【0027】
▲1▼ウエハSをウエハ載置面12に載置したとき、リテーナの表面がウエハSの表面とほぼ同一の高さで、しかも高硬度の凸部の先端がウエハSの表面より少し高くなるように、リテーナ15を取り付けておく。
【0028】
▲2▼ウエハ載置面12に、例えばシリコンウエハなどのウエハSを載置する。
【0029】
▲3▼排気貫通孔14を介してウエハ保持用溝13を真空に排気して、ウエハSをウエハ載置面12に真空吸着する。
【0030】
▲4▼研磨パッド21、ウエハ載置部11、およびウエハ載置部11が設けられている試料台を回転させつつ、研磨定盤の中央部の研磨スラリー供給孔(図示せず)から研磨スラリーを研磨パッド21に供給する。
【0031】
▲5▼研磨パッド21を降下させて、研磨パッド21をウエハSに所定の研磨負荷を与えてつつ圧接し、ウエハSの上面を研磨する。
【0032】
この研磨方法によれば、ウエハSを研磨する際、研磨パッド21が安定した平面で回転し、ウエハS周縁部の面ダレの発生が防止されるとともに、研磨パッド21のシーズニングが安定して行なわれる。その結果、研磨パッドの目詰まりの進行が抑えられ、長期間にわたってウエハの研磨速度を安定させることができる。また、この高硬度の凸部が存在するので、リテーナ自体の消耗速度を低減することもできる。
【0033】
なお、通常、リテーナの高硬度の凸部の先端が、ウエハ上面に対して0〜0.1mm程度高くなるようにリテーナを取り付けることにより、効果的に研磨パッドの表面を削り、研磨パッドの適度なシーズニングを行うことができ、また研磨速度のウエハ面内均一性を良好に保つことができる。
【0034】
【実施例】
本発明の実施例について説明する。本実施例で用いた研磨装置は、図1、図2および図3に示した研磨装置であり、用いたリテーナは、図2および図3に示したダイヤモンド粒を電着したリテーナである。
【0035】
リテーナの作製は以下のようにして行った。ステンレス鋼製のリテーナ15本体上面にダイヤモンド粒17を電着し、ニッケルでダイヤモンド粒17の間に電気メッキ処理を施し、電着層16を形成した。そして、この電着層16の上に、テフロン(樹脂18)をコーティングして、先端のみ表面から見える程度にダイヤモンド粒17を埋め込んだ。ダイヤモンド粒の粒径は、0.5mm。ダイヤモンド粒17の電着層16への埋設率は60%。テフロン(低硬度の材料18)のコーティング量は、厚さ100μmとした。
【0036】
このリテーナを用いて、8インチシリコンウエハ上に形成された熱酸化膜の研磨を行った。研磨パッドは、発泡ポリウレタン製であり、研磨スラリーは、シリカをKOH水溶液に懸濁させたものである。
【0037】
本実施例のリテーナを用いた場合、ウエハ5000枚処理時においても、その研磨速度は約200nm/minであり、その研磨速度のばらつきは5%以下であった。これに対して、従来の石英製の平坦なリテーナを用いた場合、ウエハを200〜300枚程度処理すると、研磨速度が当初の約200nm/minから10%以上低下した。
【0038】
なお、本実施例のリテーナは、リテーナの高硬度の凸部の先端がウエハ上面に対して0.02mm程度高くなるように取り付けた。また、従来の石英製の平坦なリテーナは、その上面がウエハ上面と同じ高さになるように取り付けた。
【0039】
この結果から、本実施例のリテーナを用いた研磨装置の場合、ウエハの研磨速度を安定させることができることが確認された。また、ウエハの周縁部の面ダレの発生もなかった。
【0040】
また、従来ウエハを200枚程度処理するとリテーナの交換が必要であったのに対し、本実施例のリテーナを用いた場合、10000枚程度処理するまで交換が不要になった。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の研磨装置および研磨方法によれば、研磨パッドの目詰まりの進行を抑え、長期間にわたってウエハの研磨速度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエハの研磨装置を示す模式的縦断面図である。
【図2】ウエハの研磨装置の試料台を示す模式的平面図である。
【図3】ウエハの研磨装置のウエハ載置部を示す模式的縦断面図である。
【図4】本発明の研磨装置のリテーナの1例の模式的平面図である。
【図5】図4に示すリテーナの模式的縦断面図である。
【図6】本発明の研磨装置のリテーナの他の例の模式的平面図である。
【図7】図6に示すリテーナの模式的縦断面図である。
【符号の説明】
10 試料台
11 ウエハ載置部
12 ウエハ載置面
13 ウエハ保持用溝
14 排気用貫通孔
15 リテーナ
16 電着層
17 凸部(ダイヤモンド粒)
18 低硬度の材料
19 凸部
21 研磨パッド
22 研磨定盤
S ウエハ
Claims (4)
- 試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなり、前記面上の電着層に一部を埋設された複数の凸部が設けられ、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められていることを特徴とするウエハの研磨装置。
- 試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなる複数の凸部が前記面の溝加工によりパターン形成されており、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められていることを特徴とするウエハの研磨装置。
- 試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなり、前記面上の電着層に一部を埋設された複数の凸部が設けられ、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められている研磨装置を用い、前記リテーナの内側に保持されたウエハを、該ウエハの上面よりも前記リテーナの上面が、0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなる条件下にて研磨することを特徴とするウエハの研磨方法。
- 試料台に保持されたウエハに研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリーを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、試料台のウエハが載置される部分の外周部に、その上面が前記ウエハの上面よりも高くなるようにしたリテーナを備え、該リテーナの研磨パッドと対向する面には、研磨パッドの材料よりも高硬度の材料からなる複数の凸部が前記面の溝加工によりパターン形成されており、これら複数の凸部の間の凹部が、各凸部に比べて低硬度の材料で埋められている研磨装置を用い、前記リテーナの内側に保持されたウエハを、該ウエハの上面よりも前記リテーナの上面が、0mm以上0.1mm以下の範囲内で高くなる条件下にて研磨することを特徴とするウエハの研磨方法。
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