JPH1026379A - 吸水型加熱式加湿装置における吸水エレメント - Google Patents

吸水型加熱式加湿装置における吸水エレメント

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JPH1026379A
JPH1026379A JP19696596A JP19696596A JPH1026379A JP H1026379 A JPH1026379 A JP H1026379A JP 19696596 A JP19696596 A JP 19696596A JP 19696596 A JP19696596 A JP 19696596A JP H1026379 A JPH1026379 A JP H1026379A
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JP
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water
heat source
absorbing element
heat
absorbing
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Application number
JP19696596A
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English (en)
Inventor
Tadao Takahashi
忠夫 高橋
Tetsuya Sawara
哲也 佐原
Kiyotaka Nakanishi
清隆 中西
Takahiro Washimi
高弘 鷲見
Kayoko Kawato
香代子 川戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI
MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI KK
Unitika Ltd
Original Assignee
MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI
MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI KK
Unitika Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI, MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI KK, Unitika Ltd filed Critical MITSUBISHI JUKO REINETSU KIZAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 供給水中に含まれるカルシウムやマグネシウ
ム等の残サ硬度成分を熱源などに固着することなく全体
にわたって分散して析出することができ、使用後の交換
が容易であって、使用中の加湿量を長時間維持できる吸
水エレメントを提供する。 【解決手段】 下部外周に溜水槽部6が配装されている
裁頭円錐形状の熱源ブロック5を具備する吸水型加熱式
加湿装置4における前記熱源ブロック5に被嵌する吸水
エレメント1を、フェノ−ル樹脂100重量部に平均繊
維長1〜50mmの炭素繊維5〜500重量部が分散され
てなり、かつ気孔率が40〜90体積%で、前記熱源ブ
ロック5の円錐形状の上部外表面に密着する内周面を有
する熱伝導層2と、該熱伝導層2の外周面に密着する内
周面を有し、下部が前記溜水槽部6内に達する吸水性素
材製吸水層3とで形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水型加熱式加湿
装置の熱源ブロックに被嵌する吸水エレメントに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の吸水型加熱式加湿装置4′で使用
される吸水エレメント1′は、例えば、特開平7−24
8136号公報に記載されているものを図2に示した
が、これは、基台上に断熱材を介して装着された加熱源
としての円錐形状熱源ブロック5′の外表面への被嵌用
に供する金属製の裁頭円錐筒状をなす熱伝導層2′と、
この熱伝導層2′の外表面に外嵌密接し、溜水槽部6′
内から毛細管作用で水を吸い上げる吸水層3′とから構
成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
吸水エレメントには、さらに改良すべき課題があり、特
に長期間の使用により供給水中に含有されるカルシウム
やマグネシウム等の残サ硬度成分(スケ−ル)が、金属
製の熱伝導層2′とその外側の吸水層3′との接触界面
近くに堆積し、金属製の熱伝導層2′と吸水層3′とが
強固に固着するので、吸水層3′の交換が困難であり、
更に金属製の熱伝導層2′から吸水層3′への熱の伝導
が妨げられ、所要の加湿量の維持が難しくなるというこ
とがあった。
【0004】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたもので、その目的とするところは、従来の欠点を改
善して、供給水中に含まれるカルシウムやマグネシウム
等の残サ硬度成分を熱源ブロックにはほとんど析出させ
ることなく、吸水エレメントの全体にわたって分散して
析出させることができ、使用後における熱源ブロックか
らの離脱が容易で吸水エレメントの交換が容易であっ
て、所要の加湿量を長時間維持できる吸水エレメントを
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の吸水型加熱式加
湿装置における吸水エレメントは、下部外周に溜水槽部
が配装されている裁頭円錐形状の熱源ブロックを具備す
る吸水型加熱式加湿装置における前記熱源ブロックに被
嵌する吸水エレメントを、フェノ−ル樹脂100重量部
に平均繊維長1〜50mmの炭素繊維5〜500重量部が
分散されてなり、かつ気孔率が40〜90体積%で、前
記熱源ブロックの円錐形状の上部外表面に密着する内周
面を有する熱伝導層と、該熱伝導層の外周面に密着する
内周面を有し、下部が前記溜水槽部内に達する吸水性素
材製吸水層とで形成したことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】図1において、1は本発明の吸水エレメン
トにして、該吸水エレメント1は下部外周に溜水槽部6
が配装されている裁頭円錐形状の熱源ブロック5を具備
する吸水型加熱式加湿装置4における前記熱源ブロック
5に被嵌するものであって、後で詳述する熱伝導層2と
吸水層3とからなっている。なお、図1において、7は
断熱性パッキンである。
【0008】本発明の吸水エレメント1を構成する上記
熱伝導層2は、フェノ−ル樹脂中に平均繊維長1〜50
mmの炭素繊維が分散状態で結合されているが、この炭素
繊維としては、ピッチ系、PAN系の炭素繊維が単独又
は混合して使用される。
【0009】この炭素繊維の平均繊維長としては1〜5
0mmであることが必要であり、特に3〜25mmであるこ
とが好ましい。平均繊維長が1mmより短い場合には、多
孔体が得られ難く、充分な強度も得られない。また、平
均繊維長が50mmを超える場合にも多孔体が得られ難
く、また繊維と樹脂の充分な均一性が得られ難い。
【0010】一方、炭素繊維の平均繊維径としては、2
〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであ
ることがより好ましい。平均繊維径が2μm未満では多
孔質体が得られ難い傾向にあり、100μmを超えると
繊維と樹脂との充分な均一性が得られない傾向にある。
【0011】また、熱伝導層2の形成用に用いられるフ
ェノ−ル樹脂としては、各種のフェノ−ル樹脂を用いる
ことができ、フェノ−ル類とアルデヒド類との反応によ
り得られる熱硬化性フェノ−ル樹脂、フェノ−ル類とア
ルデヒド類との含窒素化合物との反応により得られる熱
硬化性含窒素フェノ−ル樹脂などが含まれる。
【0012】上記の如きフェノ−ル樹脂と炭素繊維の混
合比としては、フェノ−ル樹脂100重量部に対して炭
素繊維5〜500重量部であることが必要であり、好ま
しくは10〜300重量部、特に好ましくは20〜20
0重量部である。
【0013】炭素繊維の混合比が、フェノ−ル樹脂10
0重量部に対して5重量部未満の場合には連続気孔の確
保が難しく、また熱伝導性が劣るものとなり、また50
0重量部を超える場合には、成形することが難しい。
【0014】そのうえ、熱伝導層2の気孔率は40〜9
0体積%であり、60〜80体積%であることがより好
ましい。気孔率が40体積%未満の場合には、吸水量お
よび吸水速度が不足して、蒸発用の水に充分な熱を供給
することが難しくなる。また、気孔率が90体積%を超
えると、熱伝導層の強度が著しく損なわれる。
【0015】上記のように、熱伝導層2には連続気孔が
存在し、気孔率は40〜90体積%であるため、この気
孔率に近い量の水を吸水することが可能であるが、熱伝
導層2には、吸水速度を向上させるために親水性処理が
なされていることが望ましい。また、熱伝導層2の吸水
速度は、その表面に0.5ミリリットルの水を滴下した
時にその水が10秒以内に吸収されることが望ましい。
【0016】ところで、上記の熱伝導層2は、例えば次
のような方法で製造することができる。
【0017】まず、フェノ−ル樹脂粉末100重量部に
対して炭素繊維5〜500重量部を水中で混合してシー
ト形成用スラリーを作製する。これにより、フェノ−ル
樹脂と炭素繊維とが充分に分散混合されて、フェノ−ル
樹脂中に炭素繊維が均一に分散した複合化の状態とな
る。
【0018】フェノ−ル樹脂としては粉末の形態で用い
ることが好ましく、その粉末の粒子径としては、JIS
標準で48メッシュ以下の粒子径であることが好まし
い。
【0019】水中に炭素繊維とフェノ−ル樹脂粉末とを
分散させて複合化する際には、例えば、結合剤を用いる
ことが好ましく、結合剤を固体成分で1〜10重量%添
加することが好ましく、特に3〜5重量%添加すること
が好ましい。そのような結合剤としては、例えば、結合
したスルホニウム基、イソチオウロニウム基、ピリジニ
ウム基、第四アンモニウム基、サルフェ−ト基、スルホ
ネ−ト基又カルボキシレ−ト基を含有するアクリルポリ
マ−又はスチレン/ブタジエンポリマ−のような結合し
た陰イオンもしくは陽イオン電荷を有する実質的に水に
不溶な有機ポリマ−からなるポリマ−ラテックスが挙げ
られる。
【0020】また、炭素繊維と樹脂粉末とを水中で複合
化する際、有機凝集剤を用いることも好ましく、そのよ
うな有機凝集剤としては、アルミニウム・ポリクロリド
(アルミニウム・ヒドロオキシクロリド)、一部加水分
解したポリアクリルアミド、変性陽イオンポリアクリル
アミド、ジアクリルジエチルアンモニウムクロリドなど
の種々の有機凝集剤が挙げられる。この凝集剤の添加量
としては、3重量%以下含有させることが好ましい。特
に1重量%以下含有させることが好ましい。
【0021】この他、水中で強化用繊維と樹脂粉末を分
散させたスラリ−の粘度を調整する目的でキサンタンガ
ム等の粘度調整剤を使用することもできる。
【0022】このようにして、水中で炭素繊維とフェノ
−ル樹脂とを複合化したスラリ−とした後、シ−トを形
成する。シ−トの形成には望ましくは抄紙機等を用いて
抄紙の要領で、水中の固形分がシ−ト状となるように固
液分離することが望ましい。得られた湿ったシ−トを乾
燥機で乾燥する。シ−トの単位面積当たりの量を調整す
ることで乾燥後の重量が100〜1000g/m2 程度の
範囲で所望の重量のシ−トを得ることができる。
【0023】さらに、乾燥したシ−トを1枚もしくは2
枚以上重ねて積層し、フェノ−ル樹脂を流動化させる一
方で熱硬化を抑制しつつ加熱プレスし、しかる後冷却プ
レスする。この時の加熱プレスする際の温度としては、
使用するフェノ−ル樹脂の種類によって異なるが、通常
は80〜250℃、好ましくは100〜150℃の範囲
であり、圧力としては3〜100kg/cm2、好ましくは3
〜30kg/cm2の範囲であり、加熱プレス時間としては、
0.5〜10分、好ましくは1〜5分の範囲で選択され
る。さらに、同圧力で、温度10〜50℃で、1〜5分
間冷却プレスを行うことにより、厚さが0.1〜1mm程
度で、密度が0.7〜1.4g/cm2程度の緻密化したシ
−トを得ることができる。
【0024】かくして得られた緻密化したシ−トは、フ
ェノ−ル樹脂が未硬化であるため、フェノ−ル樹脂の溶
融温度よりも高い温度で再加熱すると、フェノ−ル樹脂
の溶融に伴って、密な状態で曲げられた炭素繊維が、そ
の弾性回復力により伸長して複合体全体が膨張する。こ
のような熱膨張を有効に利用して、均一な多孔質の成形
体を得ることができる。
【0025】前記緻密化させたシ−トの加熱手段として
は、各種の手段を採用することができ、所望の形状にす
るために、金型に入れて加熱することも可能である。た
とえば、上記シートを半径の異なる円弧からなる扇形状
に裁断して、これを裁頭円錐筒状の空間を有する金型の
間に置き、120〜250℃に再加熱して熱膨張させ、
引き続き樹脂を硬化させると、炭素繊維の作用により熱
膨張が生じ、充分に硬化した多孔質の成形体を得ること
ができる。この際の加熱温度と加熱時間とは、使用する
フェノ−ル樹脂の種類やシ−トの厚みに応じて適当に選
択できるが、通常は120〜250℃で5〜120分
間、好ましくは130〜230℃で20〜80分間とす
ることが望ましい。
【0026】この方法においては、シ−トの重量、積層
枚数、金型への投入量、成形時の厚さ等の一種以上を調
整することによって成形体のかさ密度を自由にコントロ
−ルすることが可能であり、これによって成形体の気孔
率は20〜90%の範囲で好みのものを容易に得ること
ができる。
【0027】得られた熱伝導層2には必要に応じてポス
トキュアを行った後、必要に応じて吸水性を向上させる
ために親水性処理をする。親水性処理をする方法として
は、コロイド状のシリカ系又はアルミナ系の微粒子を分
散させた処理液中に成形体を浸漬して処理液を吸収させ
た後、分散媒を除去する方法により該微粒子を成形体に
添着する方法が好ましい。
【0028】次に、本発明の吸水エレメント1を構成す
る吸水層3は、その形成用材料として、レーヨンや木綿
等の吸水性に富む繊維等の吸水性素材からなる織物、編
物、不織布などの形状のものであり、特にニ−ドルパン
チ不織布が好適で、後述の如くして吸水層3を形成する
が、この形成された吸水層3の厚さおよび密度は、充分
な吸水量及び加熱時の蒸発量を確保する観点から、比較
的厚手で高密度のものを用いることが好ましく、例え
ば、目付け300〜1500g/m2 、厚み2〜10mm程
度のものを1層もしくは複数層用いることが好ましい。
【0029】そして、この熱伝導層2と吸水層3とを密
着させて吸水エレメントとなすが、この密着する手段と
しては、各種の手段を採用することが可能であり、例え
ば吸水層3を熱伝導層2の外周に沿う形に裁断して巻き
重ね、その外側から糸、リング等で固定したりあるいは
巻き重ねた端部をつまむようにして留める手段、さらに
は密着性を向上させる目的でゴム製やバネ製のフックバ
ンドで端部を引っ張るようにして留める方法などの手段
を取ることができる。
【0030】この際の熱伝導層2と吸水層3との長さ
は、例えば、得られた吸水エレメント1を吸水加熱型加
湿装置の裁頭円錐形状の熱源ブロックにかぶせて装着し
た時、内側の熱伝導層2の下端は水面より上に、外側の
吸水層3の下部は溜水槽部6内の水面下に没するように
する。このようにすることにより、外側の吸水層3が毛
細管作用で溜水槽部6内の水を吸い上げ、その水を内側
の熱伝導層2にも供給することを可能ならしめる一方
で、熱伝導層2の下端が溜水槽部6内の水中に浸漬され
ていないので、この熱伝導層2に伝導された熱が無駄に
溜水槽部6内の水に奪われることを回避することができ
る。
【0031】また、本発明の吸水エレメント1は、熱伝
導層2と吸水層3の2層に限らず、他の層を加えて3層
以上とすることも可能であり、例えば吸水層3の更に外
側に、吸水層3の外表面からの水の蒸発を防げない薄手
のシ−ト状層を密接することも可能である。具体的に
は、例えば、ポリオレフィンやポリエステルの熱融着性
複合繊維からなる目付け10〜100g/m2 程度の熱融
着性不織布を吸水層3の外側に巻き、端部を少し重ねて
ホットナイフで熱融着させて固定することができる。
【0032】以上のようにして得られる本発明の吸水エ
レメント1は、例えば図1に示すようにして吸水型加熱
式加湿装置4が具備する裁頭円錐形状の熱源ブロック5
にかぶせて密着され、その吸水層3の下端が下部の溜水
槽部6内の水に浸漬されて使用され、毛細管作用によっ
て吸い上げられた水を熱伝導層2による加熱によって蒸
発せしめることができる。
【0033】要するに、本発明の吸水エレメント1は熱
伝導層2と吸水層3との2層からなっており、吸水型加
熱式加湿装置の熱源の表面に熱伝導層2側を接して使用
するが、熱伝導層2は熱伝導性の良い炭素繊維を含有す
る吸水性の多孔体となっており、熱伝導性の良い炭素繊
維により熱源ブロック5からの熱を良好に伝達して加熱
されるとともに、40〜90体積%に近い量の水を吸水
することが可能であるため、吸水した水が熱源ブロック
5により加熱された熱と樹脂層全体にわたる充分に広い
表面積で接触することが可能である。このため、吸水エ
レメント1を使用した蒸発運転を行う際に、熱源ブロッ
ク5の温度が140〜150℃程度に上昇するにもかか
わらず、吸水エレメント1の熱伝導層2の温度は熱源ブ
ロック5からの熱が直ちにその体積の大部を占める水に
良好に伝達され、蒸発熱として有効に使用されるため、
100℃程度以下に留まるのである。
【0034】その結果として、熱源ブロック5および吸
水エレメント1が図1のような形状の場合には、熱源ブ
ロック5と吸水エレメント1の熱伝導層2との熱膨張の
程度はほぼ同じであるにもかかわらず、上記の温度差に
起因する熱膨張差が生じるため、熱源ブロック5の熱膨
張が大きいのに対して熱伝導層2の熱膨張が小さく抑制
されるので、締め嵌めの状態となって吸水エレメント1
が熱源ブロック5に緊密に密着し、熱伝導が極めて効率
的に行われる。このようにして熱伝導層2全体のみなら
ずその外側の吸水材内に含まれた水を含む多量の水が加
熱され、主として吸水層の外表面から加湿蒸気が発生す
ることとなる。
【0035】また、本発明の吸水エレメント1の熱伝導
層2は熱伝導性の良い炭素繊維により熱源ブロック5か
らの熱を良好に伝達して加熱されるとともに、40〜9
0体積%に近い量の水を吸水することが可能であるた
め、吸水した水が熱源ブロック5により加熱された熱と
樹脂層全体にわたる充分に広い表面積で接触することが
可能であるため、供給水中の残サ硬度成分(スケ−ル)
の堆積は熱伝導層2全体にわたって広い範囲に分散して
生ずる一方、熱伝導層2は40〜90体積%の空隙を有
するため、残サ硬度成分(スケ−ル)の堆積は加湿蒸気
の発生にほとんど悪影響を及ぼすことがないのである。
【0036】このため、本発明の吸水エレメント1は、
長時間にわたって使用することができ、また長期使用後
に吸水エレメント1と熱源ブロック5の間が堆積したス
ケ−ルで固着してしまうようなことはなく、降温時には
前記の熱膨張差による締め嵌めは開放されており、容易
に吸水エレメント1を熱源ブロック5から取り外すこと
ができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0038】なお、気孔率は理論密度をD(g/cm3)、
嵩密度をd(g/cm3)として下式より算出した。 気孔率(%)=〔(D−d)/D〕×100
【0039】実施例 水350リットル中に攪拌しながらキサンタンガム5g
を加えた後、平均繊維長が3mmのピッチ系炭素繊維
((株)ドナック製、ドナカ−ボS−231、繊維径1
3μm)1050gをこの水に加え、攪拌してよく分散
させた。
【0040】次いで、この分散物にフェノ−ル樹脂とし
て粒子径30〜50μmの粉末(ユニチカ〔株〕製)2
450gと、固体アクリルポリマ−ラテックス120g
を加えた後、0.5重量%の陽イオン凝集剤(Betz Lab
oratories 社製、商品名:Betz 1260 )1260gを徐
々に加えることによって凝集させてスラリ−を得た。
【0041】このスラリ−から抄紙機を用いて湿ったシ
−トを得、次いで得られたシ−トを軽く圧縮し、110
℃で乾燥することにより210g/m2 の基底重量を有す
る炭素繊維強化フェノ−ル樹脂シ−トAを得た。このと
きフェノ−ル樹脂100重量部に対して炭素繊維は43
重量部であった。
【0042】シ−トAを10kg/cm2の加圧下で140℃
で2分間加圧加熱した後、30℃で2分間加圧冷却し
て、厚みが0.22mm、密度0.95g/cm3の緻密化し
たシ−トをBを得た。シ−トBを外径404.2mm、内
径328.8mm、中心角度77度の扇形状に切断したも
の7.8gを巻き回して金型内に投入し、200℃で4
0分間保持して金型内でシ−トを膨張及び硬化させて裁
頭円錐筒状に成形した後、金型から取り出し、150℃
で8時間ポストキュアし、更に熱水で洗浄した後、乾燥
させた多孔質成形体Cを得た。多孔質成形体Cの形状は
上端部の外径70.3mm、下端部の外径86.1mm、肉
厚1.4mm、側長75mmであり、密度は0.29g/c
m3、気孔率は78%と算出された。
【0043】2−プロパノ−ル中にコロイド状のシリカ
粒子を5wt%分散させた処理液中に成形体Cを10分間
浸漬後、乾燥させて親水性処理を施して吸水性の熱伝導
体層C′とした。
【0044】レ−ヨン繊維70wt%とポリエステル繊維
30wt%からなるニ−ドルパンチ不織布(目付け700
g/m2 、厚さ4mm)を、熱伝導体層C′の外周面に沿う
ような高さ115mmの裁頭円錐筒を展開した形状に切断
し、上端の位置を合わせつつ熱伝導体層C′の外側に巻
き付けてから綿糸で軽く縛って固定し、これを吸水エレ
メントとした。
【0045】比較例 実施例で用いたシ−トAを30kg/cm2加圧下で、140
℃で2分間加圧加熱後、30℃で2分間加圧冷却して、
厚みが0.18mm、密度1.17g/cm3の緻密化したシ
−トEを得た。シ−トEを外径404.2mm、内径32
8.8mm、中心角度228度の扇形状に切断したもの2
3gを巻き回して金型内に投入し、200℃で40分間
保持して金型内でシ−トを膨張及び硬化させて裁頭円錐
筒状に成形した後、金型から取り出し、150℃で8時
間ポストキュアし、更に熱水で洗浄した後、乾燥させた
多孔質成形体Fを得た。多孔質成形体Fの形状は実施例
の成形体Cと同様であり、密度は0.87g/cm3、気孔
率は34%と算出された。
【0046】2−プロパノ−ル中にコロイド状のシリカ
粒子を5wt%分散させた処理液中に成形体Cを10分間
浸漬後、乾燥させて親水性処理を施して吸水性の熱伝導
体層F′とした。
【0047】実施例の吸水エレメントのうちの吸水性の
熱伝導体層C′の代わりに、上記の熱伝導体層F′を用
い、それ以外は実施例と同様にしてエレメントを構成し
た。
【0048】上記の実施例及び比較例で得た吸水エレメ
ントを吸水型加熱式加湿装置(三菱重工冷熱機材(株)
製、ビ−バ−スチ−ムファン式加湿器SHE403R−
H型)の熱源ブロックにかぶせて装着し、20〜25℃
の室内で1日8時間の連続加湿運転を行った。なお、給
水には水道水を用いた。
【0049】実施例の吸水エレメントを使用した場合に
は60日間にわたって順調に加湿運転が行われ、加湿量
(蒸発量)は1日8時間当たり2700〜3000gの
範囲で安定していた。また、60日使用して降温後、エ
レメントは熱源ブロックに固着することなく簡単に取り
外せた。
【0050】比較例の吸水エレメントを用いた場合に
は、はじめ少量の加湿蒸気の発生が見られたが、約5分
後に装置の運転が停止した。これは熱源ブロック表面に
充分な水が供給されなかったために熱源ブロックの湿度
が異常に上昇して、過熱防止機構が作動したためであっ
た。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の吸水エレメントは、熱伝導性の良い炭素繊維により熱
源ブロックからの熱を良好に伝達して加熱されるととも
に、40〜90体積%に近い量の水を吸水することが可
能であるため、吸水した水が熱源ブロックにより加熱さ
れた熱と樹脂層全体にわたる充分に広い表面積で接触す
ることが可能であり、供給水中に含まれるカルシウムや
マグネシウム等の残サ硬度成分を熱源などに固着するこ
となく全体にわたって分散して析出することができ、使
用後の交換が容易であって、使用中の加湿量を長時間維
持できる吸水エレメントを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸水エレメントの構成要部説明用の部
分断面図である。
【図2】従来の吸水エレメントの構成要部説明用の部分
断面図である。
【符号の説明】 1 吸水エレメント 2 熱伝導層 3 吸水層 4 吸水型加熱式加湿装置 5 熱源ブロック 6 溜水槽部 7 断熱性パッキング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐原 哲也 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番3 号 ユニチカ株式会社大阪本社内 (72)発明者 中西 清隆 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 鷲見 高弘 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 川戸 香代子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部外周に溜水槽部が配装されている裁
    頭円錐形状の熱源ブロックを具備する吸水型加熱式加湿
    装置における前記熱源ブロックに被嵌する吸水エレメン
    トを、フェノ−ル樹脂100重量部に平均繊維長1〜5
    0mmの炭素繊維5〜500重量部が分散されてなり、か
    つ気孔率が40〜90体積%で、前記熱源ブロックの円
    錐形状の上部外表面に密着する内周面を有する熱伝導層
    と、該熱伝導層の外周面に密着する内周面を有し、下部
    が前記溜水槽部内に達する吸水性素材製吸水層とで形成
    したことを特徴とする吸水型加熱式加湿装置における吸
    水エレメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012101877A1 (ja) * 2011-01-24 2012-08-02 パナソニック株式会社 加湿器
JP2016180587A (ja) * 2016-06-17 2016-10-13 東芝ホームテクノ株式会社 加湿装置
CN112413769A (zh) * 2020-11-10 2021-02-26 刘国四 一种可根据环境湿度自动启停的加湿器

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