JPH10261248A - 記録媒体、及び記録再生装置 - Google Patents
記録媒体、及び記録再生装置Info
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- JPH10261248A JPH10261248A JP8438197A JP8438197A JPH10261248A JP H10261248 A JPH10261248 A JP H10261248A JP 8438197 A JP8438197 A JP 8438197A JP 8438197 A JP8438197 A JP 8438197A JP H10261248 A JPH10261248 A JP H10261248A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、真空排気装置などの大掛かりな設備
を必要とせずに大気中からの吸着水の影響を低減し、安
定した記録再生を行うことができ、エラーレートを低減
した走査型プローブ顕微鏡の原理を応用した記録再生装
置等に用いる記録媒体、及び該記録媒体を備えた記録再
生装置を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、走査型プローブ顕微鏡の原理を
応用した記録再生装置等に用いる記録媒体であって、該
記録媒体は基板上に積層された記録部材からなり、該記
録部材が少なくとも金単結晶からなる電極層を有し、該
電極層が基板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形成
されていることを特徴とするものである。
を必要とせずに大気中からの吸着水の影響を低減し、安
定した記録再生を行うことができ、エラーレートを低減
した走査型プローブ顕微鏡の原理を応用した記録再生装
置等に用いる記録媒体、及び該記録媒体を備えた記録再
生装置を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、走査型プローブ顕微鏡の原理を
応用した記録再生装置等に用いる記録媒体であって、該
記録媒体は基板上に積層された記録部材からなり、該記
録部材が少なくとも金単結晶からなる電極層を有し、該
電極層が基板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形成
されていることを特徴とするものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡の原理を応用した記録再生装置等に用いる高密度の
記録再生に用いる記録媒体、及び記録再生装置に関す
る。
微鏡の原理を応用した記録再生装置等に用いる高密度の
記録再生に用いる記録媒体、及び記録再生装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、原子スケールの空間分解能を持つ
表面観察顕微鏡として、走査型トンネル顕微鏡(以下S
TMとする)あるいは原子間力顕微鏡(以下AFMとす
る)等の、走査型プローブ顕微鏡(以下SPMとする)
と総称される装置が実用化されている。さらにこれらS
PMは微小な探針が試料表面に原子レベルでアクセスで
きるため、微小領域に情報を書き込む記録再生装置への
応用が考えられている。このような記録再生装置におい
て、記録方法としては、探針と記録媒体の間に電圧を印
加して、局所的に記録媒体の導電性や表面形状を変化さ
せるなどの方法がある。SPMを応用した記録再生装置
によれば記録ビットが極めて微小にでき、高密度の情報
記録再生を実現できる。
表面観察顕微鏡として、走査型トンネル顕微鏡(以下S
TMとする)あるいは原子間力顕微鏡(以下AFMとす
る)等の、走査型プローブ顕微鏡(以下SPMとする)
と総称される装置が実用化されている。さらにこれらS
PMは微小な探針が試料表面に原子レベルでアクセスで
きるため、微小領域に情報を書き込む記録再生装置への
応用が考えられている。このような記録再生装置におい
て、記録方法としては、探針と記録媒体の間に電圧を印
加して、局所的に記録媒体の導電性や表面形状を変化さ
せるなどの方法がある。SPMを応用した記録再生装置
によれば記録ビットが極めて微小にでき、高密度の情報
記録再生を実現できる。
【0003】このようなSPMを応用して探針と記録媒
体との間に電圧を印加し高密度の記録を行う装置では、
記録ビットが極めて微小になるため、用いられる記録媒
体には非常に高い平滑性を持つ表面の安定な下地電極が
必要である。この電極として従来用いられていたものと
しては、マイカ上に真空蒸着法によって形成した金薄膜
(J.A.DeRose,T.Thundat,L.
A.Nagahara and S.M.Lindsa
y Surf.Sci.256,102−108(19
91))がある。この金薄膜は、マイカ上に金がエピタ
キシャル成長しやすい事を利用したもので、比較的平滑
な(111)結晶面を有する金薄膜が得られる。
体との間に電圧を印加し高密度の記録を行う装置では、
記録ビットが極めて微小になるため、用いられる記録媒
体には非常に高い平滑性を持つ表面の安定な下地電極が
必要である。この電極として従来用いられていたものと
しては、マイカ上に真空蒸着法によって形成した金薄膜
(J.A.DeRose,T.Thundat,L.
A.Nagahara and S.M.Lindsa
y Surf.Sci.256,102−108(19
91))がある。この金薄膜は、マイカ上に金がエピタ
キシャル成長しやすい事を利用したもので、比較的平滑
な(111)結晶面を有する金薄膜が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例の記録媒体、及び記録再生装置においては、次に述
べるような問題点があった。
来例の記録媒体、及び記録再生装置においては、次に述
べるような問題点があった。
【0005】SPMを応用した大気中での記録再生にお
いては、大気中から記録媒体表面に水分が吸着し、この
吸着水が表面張力によって近接した探針との間に集まる
という現象が見られる事が知られている。この吸着水の
量は、気温や湿度あるいはその変動等の条件によって変
化し、記録あるいは再生の安定性に大きな悪影響を与え
エラーレートを増大させる大きな原因となっていた。こ
のような吸着水を低減する方法としては、記録再生装置
全体を真空槽内に入れて真空中で記録再生を行うといっ
た方法がある。しかしながら、この方法では真空排気装
置などの大掛かりな設備が必要となってしまう。他の方
法としては、記録媒体を裏面から加熱して局所的に周囲
の大気よりも高い温度にすることが考えられる。しかし
ながら、この方法では電極層に従来例の真空蒸着法によ
って形成した金薄膜を用いた場合、基板として用いるマ
イカが絶縁物であるため熱伝導性が低く、さらに熱伝導
の向上を計るためにマイカの薄層化を計る場合も機械的
な劈開によるため限界があり、加熱効率が低かった。ま
たここで得られる金薄膜の平滑性は、1μm単位の面積
で見ると凹凸の高低差が数nmと大きく、より平滑な電
極層が求められていた。
いては、大気中から記録媒体表面に水分が吸着し、この
吸着水が表面張力によって近接した探針との間に集まる
という現象が見られる事が知られている。この吸着水の
量は、気温や湿度あるいはその変動等の条件によって変
化し、記録あるいは再生の安定性に大きな悪影響を与え
エラーレートを増大させる大きな原因となっていた。こ
のような吸着水を低減する方法としては、記録再生装置
全体を真空槽内に入れて真空中で記録再生を行うといっ
た方法がある。しかしながら、この方法では真空排気装
置などの大掛かりな設備が必要となってしまう。他の方
法としては、記録媒体を裏面から加熱して局所的に周囲
の大気よりも高い温度にすることが考えられる。しかし
ながら、この方法では電極層に従来例の真空蒸着法によ
って形成した金薄膜を用いた場合、基板として用いるマ
イカが絶縁物であるため熱伝導性が低く、さらに熱伝導
の向上を計るためにマイカの薄層化を計る場合も機械的
な劈開によるため限界があり、加熱効率が低かった。ま
たここで得られる金薄膜の平滑性は、1μm単位の面積
で見ると凹凸の高低差が数nmと大きく、より平滑な電
極層が求められていた。
【0006】そこで、本発明は上記従来のものにおける
課題を解決し、真空排気装置などの大掛かりな設備を必
要とせずに大気中からの吸着水の影響を低減し、安定し
た記録再生を行うことができ、エラーレートを低減した
走査型プローブ顕微鏡の原理を応用した記録再生装置等
に用いる記録媒体、及び該記録媒体を備えた記録再生装
置を提供することを目的とする。
課題を解決し、真空排気装置などの大掛かりな設備を必
要とせずに大気中からの吸着水の影響を低減し、安定し
た記録再生を行うことができ、エラーレートを低減した
走査型プローブ顕微鏡の原理を応用した記録再生装置等
に用いる記録媒体、及び該記録媒体を備えた記録再生装
置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の記録媒体は、走査型プローブ顕微鏡の原理
を応用した記録再生装置等に用いる記録媒体であって、
該記録媒体は基板上に積層された記録部材からなり、該
記録部材が少なくとも金単結晶からなる電極層を有し、
該電極層が基板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形
成されていることを特徴としている。また、本発明の記
録媒体は、その絶縁層が、0.1μmないし1μmの厚
さであることを特徴としている。また、本発明の記録媒
体は、その記録部材が、金単結晶からなる電極層上に記
録層を積層してなることを特徴としている。また、本発
明の記録媒体は、その金単結晶が、金のハロゲン化物を
溶解した成長溶液を過飽和状態に移行させて金のハロゲ
ン化物を分解処理し、絶縁層上に析出成長させたもので
あることを特徴としている。さらに、本発明の記録再生
装置は、上記した本発明のいずれかの記録媒体を備え、
該記録媒体の薄膜ヒーターに通電するためのヒーター電
源と、導電性の探針と、記録媒体と探針の相対的な変位
を検出する手段と、記録媒体と探針を相対的に走査する
手段と、記録媒体と探針の間に電圧を印加する手段と、
記録媒体と探針の間に流れるトンネル電流を検知する手
段とを有することを特徴としている。
め、本発明の記録媒体は、走査型プローブ顕微鏡の原理
を応用した記録再生装置等に用いる記録媒体であって、
該記録媒体は基板上に積層された記録部材からなり、該
記録部材が少なくとも金単結晶からなる電極層を有し、
該電極層が基板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形
成されていることを特徴としている。また、本発明の記
録媒体は、その絶縁層が、0.1μmないし1μmの厚
さであることを特徴としている。また、本発明の記録媒
体は、その記録部材が、金単結晶からなる電極層上に記
録層を積層してなることを特徴としている。また、本発
明の記録媒体は、その金単結晶が、金のハロゲン化物を
溶解した成長溶液を過飽和状態に移行させて金のハロゲ
ン化物を分解処理し、絶縁層上に析出成長させたもので
あることを特徴としている。さらに、本発明の記録再生
装置は、上記した本発明のいずれかの記録媒体を備え、
該記録媒体の薄膜ヒーターに通電するためのヒーター電
源と、導電性の探針と、記録媒体と探針の相対的な変位
を検出する手段と、記録媒体と探針を相対的に走査する
手段と、記録媒体と探針の間に電圧を印加する手段と、
記録媒体と探針の間に流れるトンネル電流を検知する手
段とを有することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】上記した本発明の構成によれば、
真空排気装置などの大掛かりな設備を必要とせずに、大
気中からの吸着水の影響を低減し、安定した記録再生が
行えるとともに、エラーレートを低減した記録媒体、及
び記録再生装置を提供することができる。以下に、本発
明の実施の形態を、図に基づいて説明する。図1は、本
発明の記録媒体の断面図であり、1は基板、2は薄膜ヒ
ーター、3は絶縁層、4はシード、5は金単結晶、6は
記録層である。金単結晶5は電極層であり、記録層6と
ともに記録部材を構成する。基板1としては、薄膜ヒー
ター2よりも電気抵抗率が十分に高いものであれば用い
ることができる。例としては、石英ガラス等の絶縁体
や、シリコンなどの半導体に酸化皮膜を形成したものな
どを用いることができる。薄膜ヒーター2としては、通
常発熱抵抗体として用いられるものであればさまざまの
材料を用いることができる。例えば、W、Mo、Ta等
の高融点でかつ電気抵抗率の大きな金属、あるいはニク
ロム系等の合金、窒化タンタル等の化合物が好適であ
る。このような材料を、スパッタリングなどの方法で薄
膜化し、フォトリソグラフィーやリフトオフなどにより
適当な形状に加工する。薄膜ヒーター2の形状として
は、記録部材を均一に加熱できるものであれば特に限定
されず、正方形や長方形等とすることができるが、特に
図3に示したようなミアンダー型のパターンが、発熱の
均一性の面で好ましい。
真空排気装置などの大掛かりな設備を必要とせずに、大
気中からの吸着水の影響を低減し、安定した記録再生が
行えるとともに、エラーレートを低減した記録媒体、及
び記録再生装置を提供することができる。以下に、本発
明の実施の形態を、図に基づいて説明する。図1は、本
発明の記録媒体の断面図であり、1は基板、2は薄膜ヒ
ーター、3は絶縁層、4はシード、5は金単結晶、6は
記録層である。金単結晶5は電極層であり、記録層6と
ともに記録部材を構成する。基板1としては、薄膜ヒー
ター2よりも電気抵抗率が十分に高いものであれば用い
ることができる。例としては、石英ガラス等の絶縁体
や、シリコンなどの半導体に酸化皮膜を形成したものな
どを用いることができる。薄膜ヒーター2としては、通
常発熱抵抗体として用いられるものであればさまざまの
材料を用いることができる。例えば、W、Mo、Ta等
の高融点でかつ電気抵抗率の大きな金属、あるいはニク
ロム系等の合金、窒化タンタル等の化合物が好適であ
る。このような材料を、スパッタリングなどの方法で薄
膜化し、フォトリソグラフィーやリフトオフなどにより
適当な形状に加工する。薄膜ヒーター2の形状として
は、記録部材を均一に加熱できるものであれば特に限定
されず、正方形や長方形等とすることができるが、特に
図3に示したようなミアンダー型のパターンが、発熱の
均一性の面で好ましい。
【0009】さらに、薄膜ヒーター2上に積層する記録
部材との電気的な絶縁を保つために、絶縁層3を設け
る。絶縁層3の材料としては、薄膜ヒーター2よりも電
気抵抗率が十分に高いものであれば用いることができ
る。例としては、SiO2や窒化シリコン等が好まし
い。この絶縁層3は、薄膜ヒーター2で発生した熱を効
率よく金単結晶5及び記録層6に伝導させるために、電
気的な絶縁が保てる範囲で可能な限り薄いものとするこ
とが好ましい。好ましい厚さとしては、0.1μmない
し1μmとする。さらに、絶縁層3上に、金単結晶5を
以下のように形成する。特開平5−201793号公報
に、金のヨウ化物等のハロゲン化物の溶液から基材表面
に金単結晶を析出させる方法が開示されている。この方
法は、まず金のハロゲン化物溶液を加熱によるハロゲン
成分の揮発や還元材の添加等によって過飽和状態に移行
させる。これによって金のハロゲン化物が分解し、金が
基材上に核として析出し、核形成密度が低い状態のまま
核が自己整合的に成長する。核は基材表面に対して縦方
向:横方向が1:100ないし1:200程度のアスペ
クト比で成長し、平板状の結晶となる。こうして基材表
面方向への粒径が500μmないし4mm程度の平板状
の金単結晶を形成できる。このようにして形成した金単
結晶の表面はきわめて平滑であり、STMによる表面観
察によれば表面の凹凸が5μm□内で0.5nm以下の
ものを作製できる。またこの平板状の金単結晶は、電子
線回折等による分析によれば基材面に対して結晶の(1
11)面が平行で、ほぼ無欠陥のものを作製できる。ま
た、この方法によれば、多様な材料の基材上に金単結晶
を形成できる。たとえば、SiO2、窒化シリコン、S
iC、Al2O2等の絶縁体、Si等の半導体、Ti等の
導電体などを用いることができる。これらはスパッタリ
ング等の方法で薄層化が容易である。
部材との電気的な絶縁を保つために、絶縁層3を設け
る。絶縁層3の材料としては、薄膜ヒーター2よりも電
気抵抗率が十分に高いものであれば用いることができ
る。例としては、SiO2や窒化シリコン等が好まし
い。この絶縁層3は、薄膜ヒーター2で発生した熱を効
率よく金単結晶5及び記録層6に伝導させるために、電
気的な絶縁が保てる範囲で可能な限り薄いものとするこ
とが好ましい。好ましい厚さとしては、0.1μmない
し1μmとする。さらに、絶縁層3上に、金単結晶5を
以下のように形成する。特開平5−201793号公報
に、金のヨウ化物等のハロゲン化物の溶液から基材表面
に金単結晶を析出させる方法が開示されている。この方
法は、まず金のハロゲン化物溶液を加熱によるハロゲン
成分の揮発や還元材の添加等によって過飽和状態に移行
させる。これによって金のハロゲン化物が分解し、金が
基材上に核として析出し、核形成密度が低い状態のまま
核が自己整合的に成長する。核は基材表面に対して縦方
向:横方向が1:100ないし1:200程度のアスペ
クト比で成長し、平板状の結晶となる。こうして基材表
面方向への粒径が500μmないし4mm程度の平板状
の金単結晶を形成できる。このようにして形成した金単
結晶の表面はきわめて平滑であり、STMによる表面観
察によれば表面の凹凸が5μm□内で0.5nm以下の
ものを作製できる。またこの平板状の金単結晶は、電子
線回折等による分析によれば基材面に対して結晶の(1
11)面が平行で、ほぼ無欠陥のものを作製できる。ま
た、この方法によれば、多様な材料の基材上に金単結晶
を形成できる。たとえば、SiO2、窒化シリコン、S
iC、Al2O2等の絶縁体、Si等の半導体、Ti等の
導電体などを用いることができる。これらはスパッタリ
ング等の方法で薄層化が容易である。
【0010】以上述べてきたように、この方法によれ
ば、非常に薄い絶縁層上にも非常に高い平滑性を持つ表
面の安定な電極層を形成することができる。このような
金単結晶5を絶縁層3上に形成するが、その際、薄膜ヒ
ーター2の上にあたる位置にあらかじめシード4を形成
しておくことで、金単結晶5を薄膜ヒーター2の上に形
成できる。シード4には、絶緑層3に対して相対的に核
発生密度の高い材料を用いる。一例としては、Auが好
ましく用いられる。このような金単結晶5からなる電極
層上に、記録層6を設ける。記録層6は、探針からの電
圧印加等によって局所的に特性の変化を起こすことがで
きて、かつ高い平滑性、均一性を持つものであれば用い
ることができる。好ましいものの例を以下にあげる。第
1の例として、ラングミュアーブロジェット(LB)法
を用いて形成したポリイミドやSOAZ(ビス−n−オ
クチルスクアリリウムアズレン)等の有機薄膜があげら
れる。このような材料は、探針−記録層−下部電極の間
にしきい値以上の電圧(5V〜10V程度)を印加する
と記録層の導電性が変化し、再生用のバイアス電圧
(0.01V〜2V程度)を印加した際に流れる電流が
増大するものである。第2の例として、GeTe、Ga
Sb、SnTe等の非晶質薄膜材料があげられる。この
材料は、探針−記録層−下部電極の間に電圧を印加し、
流れる電流により発生する熱により、非晶質から結晶質
への相転移を起こさせるものである。これにより材料の
導電性が変化し、再生用のバイアス電圧を印加した際に
流れる電流が増大するものである。第3の例として、Z
nやW、Si、GaAs等の酸化性金属、半導体材料が
挙げられる。この材料は、探針−記録層−下部電極の間
に電圧を印加すると、流れる電流により発生する熱によ
り、大気中の酸素等と反応して表面に酸化膜が形成され
る。このため、材料表面の接触抵抗が変化し、再生用の
バイアス電圧を印加した際に流れる電流が増大するもの
である。また、金単結晶5に探針から直接電圧を印加し
て表面形状を変化させ記録を行うこともできる。この場
合は特別な記録層を設けなくてもかまわない。
ば、非常に薄い絶縁層上にも非常に高い平滑性を持つ表
面の安定な電極層を形成することができる。このような
金単結晶5を絶縁層3上に形成するが、その際、薄膜ヒ
ーター2の上にあたる位置にあらかじめシード4を形成
しておくことで、金単結晶5を薄膜ヒーター2の上に形
成できる。シード4には、絶緑層3に対して相対的に核
発生密度の高い材料を用いる。一例としては、Auが好
ましく用いられる。このような金単結晶5からなる電極
層上に、記録層6を設ける。記録層6は、探針からの電
圧印加等によって局所的に特性の変化を起こすことがで
きて、かつ高い平滑性、均一性を持つものであれば用い
ることができる。好ましいものの例を以下にあげる。第
1の例として、ラングミュアーブロジェット(LB)法
を用いて形成したポリイミドやSOAZ(ビス−n−オ
クチルスクアリリウムアズレン)等の有機薄膜があげら
れる。このような材料は、探針−記録層−下部電極の間
にしきい値以上の電圧(5V〜10V程度)を印加する
と記録層の導電性が変化し、再生用のバイアス電圧
(0.01V〜2V程度)を印加した際に流れる電流が
増大するものである。第2の例として、GeTe、Ga
Sb、SnTe等の非晶質薄膜材料があげられる。この
材料は、探針−記録層−下部電極の間に電圧を印加し、
流れる電流により発生する熱により、非晶質から結晶質
への相転移を起こさせるものである。これにより材料の
導電性が変化し、再生用のバイアス電圧を印加した際に
流れる電流が増大するものである。第3の例として、Z
nやW、Si、GaAs等の酸化性金属、半導体材料が
挙げられる。この材料は、探針−記録層−下部電極の間
に電圧を印加すると、流れる電流により発生する熱によ
り、大気中の酸素等と反応して表面に酸化膜が形成され
る。このため、材料表面の接触抵抗が変化し、再生用の
バイアス電圧を印加した際に流れる電流が増大するもの
である。また、金単結晶5に探針から直接電圧を印加し
て表面形状を変化させ記録を行うこともできる。この場
合は特別な記録層を設けなくてもかまわない。
【0011】図4に、本発明の記録再生装置の例を示
す。図4の例は、SPMとしてAFMを応用した例であ
る。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、4はシ
ード、5は金単結晶、6は記録層、7は探針、8はカン
チレバー、9はカンチレバー基板、10は記録媒体駆動
装置、11は半導体レーザー、12はレーザー光、13
は4分割フォトダイオード、14は変位検出回路、15
はトンネル電流検出回路、16は電圧印加回路、17は
駆動制御回路、18はヒーター電源、19は制御用コン
ピュータ、20は記録ビットである。探針7は記録媒体
との間に電圧を印加するために導電性を持つ必要があ
る。このため、Pt、Au、W等の金属で作製するか、
あるいはシリコンなどの半導体や窒化シリコンなどの絶
縁体で作製した後にこれら金属をコートして用いる。本
発明においては、記録再生時、あるいは記録再生を行う
直前にヒーター電源18より薄膜ヒーター2に通電する
ことによって、記録媒体表面を所望の温度に上昇させ、
周囲の気温より高くすることで大気中からの水分の吸着
を大幅に低減することができる。さらに本発明において
は、薄膜ヒーター2で発生した熱を、効率よく金単結晶
5及び記録層6よりなる記録部材に伝導させることがで
き、加熱効率を高くすることができる。
す。図4の例は、SPMとしてAFMを応用した例であ
る。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、4はシ
ード、5は金単結晶、6は記録層、7は探針、8はカン
チレバー、9はカンチレバー基板、10は記録媒体駆動
装置、11は半導体レーザー、12はレーザー光、13
は4分割フォトダイオード、14は変位検出回路、15
はトンネル電流検出回路、16は電圧印加回路、17は
駆動制御回路、18はヒーター電源、19は制御用コン
ピュータ、20は記録ビットである。探針7は記録媒体
との間に電圧を印加するために導電性を持つ必要があ
る。このため、Pt、Au、W等の金属で作製するか、
あるいはシリコンなどの半導体や窒化シリコンなどの絶
縁体で作製した後にこれら金属をコートして用いる。本
発明においては、記録再生時、あるいは記録再生を行う
直前にヒーター電源18より薄膜ヒーター2に通電する
ことによって、記録媒体表面を所望の温度に上昇させ、
周囲の気温より高くすることで大気中からの水分の吸着
を大幅に低減することができる。さらに本発明において
は、薄膜ヒーター2で発生した熱を、効率よく金単結晶
5及び記録層6よりなる記録部材に伝導させることがで
き、加熱効率を高くすることができる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明を実施例について説明する。 [実施例1]図1に実施例1の記録媒体の断面図を示
す。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、4はシ
ード、5は金単結晶、6は記録層である。続いて、図2
aからeに、本実施例の記録媒体の作製工程を示す。本
実施例の記録媒体は、以下のようにして作製した。ま
ず、第1の工程として、図2aに示したように、基板1
上に薄膜ヒーター2を形成した。基板1としては石英ガ
ラスを用いた。また、薄膜ヒーター2は、基板1上にW
をスパッタリング法により0.5μm堆積した後、フォ
トリソグラフィーにより200μm幅のミアンダー型に
パターニングして形成した。このようにして作製した薄
膜ヒーターの斜視図を図3に示す。
す。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、4はシ
ード、5は金単結晶、6は記録層である。続いて、図2
aからeに、本実施例の記録媒体の作製工程を示す。本
実施例の記録媒体は、以下のようにして作製した。ま
ず、第1の工程として、図2aに示したように、基板1
上に薄膜ヒーター2を形成した。基板1としては石英ガ
ラスを用いた。また、薄膜ヒーター2は、基板1上にW
をスパッタリング法により0.5μm堆積した後、フォ
トリソグラフィーにより200μm幅のミアンダー型に
パターニングして形成した。このようにして作製した薄
膜ヒーターの斜視図を図3に示す。
【0013】続いて第2の工程として、図2bに示した
ように、絶縁層3を形成した。絶縁層3は、SiO2を
スパッタリング法により1μm堆積して形成した。続い
て第3の工程として、図2cに示したように、次工程の
金単結晶析出のためのシード4を形成した。シード4
は、絶縁層3上にスパッタリング法によりCrを5n
m、Auを100nm順に堆積した後、フォトリソグラ
フィーにより10μm×10μmの大きさにパターニン
グして形成した。続いて第4の工程として、図2dに示
したように、金単結晶5を形成した。本実施例において
は、金のハロゲン化物を溶解した溶液を過飽和状態に移
行させて金のハロゲン化物を分解処理し基材上に金の結
晶を析出成長させた。まず蒸留水1リットルにヨウ化カ
リウム80gおよびヨウ素12gを投入して攪拌溶解さ
せ、さらに金3gを溶解し、金のヨウ化物を溶解した溶
液を作製した。これを分取し、成長容器に満たした。さ
らに溶液を80℃に昇温し、上記の薄膜ヒーター2、絶
縁層3、シード4を形成した基板を溶液に投入した。こ
のようにすることで、溶液中からのヨウ素成分の揮発を
促進して溶液を過飽和状態に移行させ、シード4上から
金の結晶を析出成長させることができた。約3日の間結
晶の成長を行ったところ、径が約4mmの平板状の金単
結晶が析出した。続いて第5の工程として、図2eに示
したように、記録層6を形成した。記録層6は、LB
(ラングミュア−ブロジェット)法を利用してポリイミ
ド膜を3nmの厚さに形成した。以上の工程で記録媒体
を作製した。
ように、絶縁層3を形成した。絶縁層3は、SiO2を
スパッタリング法により1μm堆積して形成した。続い
て第3の工程として、図2cに示したように、次工程の
金単結晶析出のためのシード4を形成した。シード4
は、絶縁層3上にスパッタリング法によりCrを5n
m、Auを100nm順に堆積した後、フォトリソグラ
フィーにより10μm×10μmの大きさにパターニン
グして形成した。続いて第4の工程として、図2dに示
したように、金単結晶5を形成した。本実施例において
は、金のハロゲン化物を溶解した溶液を過飽和状態に移
行させて金のハロゲン化物を分解処理し基材上に金の結
晶を析出成長させた。まず蒸留水1リットルにヨウ化カ
リウム80gおよびヨウ素12gを投入して攪拌溶解さ
せ、さらに金3gを溶解し、金のヨウ化物を溶解した溶
液を作製した。これを分取し、成長容器に満たした。さ
らに溶液を80℃に昇温し、上記の薄膜ヒーター2、絶
縁層3、シード4を形成した基板を溶液に投入した。こ
のようにすることで、溶液中からのヨウ素成分の揮発を
促進して溶液を過飽和状態に移行させ、シード4上から
金の結晶を析出成長させることができた。約3日の間結
晶の成長を行ったところ、径が約4mmの平板状の金単
結晶が析出した。続いて第5の工程として、図2eに示
したように、記録層6を形成した。記録層6は、LB
(ラングミュア−ブロジェット)法を利用してポリイミ
ド膜を3nmの厚さに形成した。以上の工程で記録媒体
を作製した。
【0014】続いて、図4に、本実施例の記録媒体を用
いた記録再生装置の概略図を示す。本実施例の記録再生
装置は、SPMの一種であるAFMの原理を応用したも
のである。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、
4はシード、5は金単結晶、6は記録層、7は探針、8
はカンチレバー、9はカンチレバー基板、10は記録媒
体駆動装置、11は半導体レーザー、12はレーザー
光、13は4分割フォトダイオード、14は変位検出回
路、15はトンネル電流検出回路、16は電圧印加回
路、17は駆動制御回路、18はヒーター電源、19は
制御用コンピュータ、20は記録ビットである。本実施
例の探針7、カンチレバー8、カンチレバー基板9より
なる記録再生用プローブには記録媒体への電圧印加が行
えるように導電性を持たせた。本実施例においては、探
針7及びカンチレバー8は窒化シリコンで形成し、さら
に表面にスパッタリング法によりTi5nm、Pt10
0nmを積層して導電性を持たせたものを用いた。
いた記録再生装置の概略図を示す。本実施例の記録再生
装置は、SPMの一種であるAFMの原理を応用したも
のである。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、
4はシード、5は金単結晶、6は記録層、7は探針、8
はカンチレバー、9はカンチレバー基板、10は記録媒
体駆動装置、11は半導体レーザー、12はレーザー
光、13は4分割フォトダイオード、14は変位検出回
路、15はトンネル電流検出回路、16は電圧印加回
路、17は駆動制御回路、18はヒーター電源、19は
制御用コンピュータ、20は記録ビットである。本実施
例の探針7、カンチレバー8、カンチレバー基板9より
なる記録再生用プローブには記録媒体への電圧印加が行
えるように導電性を持たせた。本実施例においては、探
針7及びカンチレバー8は窒化シリコンで形成し、さら
に表面にスパッタリング法によりTi5nm、Pt10
0nmを積層して導電性を持たせたものを用いた。
【0015】続いて、本実施例の記録再生装置を用いた
記録再生方法について述べる。まず、ヒーター電源18
より薄膜ヒーター2に通電し、不図示の微小熱電対によ
り記録媒体表面の温度をモニタし、80℃となるように
薄膜ヒーターに通電する電流を設定した。なお、記録再
生を行った環境は、気温30℃、湿度85%であった。
次に、駆動制御回路17によって記録媒体駆動装置10
を駆動し、記録媒体表面と探針7先端をごく近接させ
た。記録媒体表面と探針7との間隔制御は、両者を極め
て近接した時に距離に応じて発生する力によって生じる
カンチレバー8のたわみを、半導体レーザー11から照
射してカンチレバー裏面で反射されるレーザー光12の
反射角の変位を4分割フォトダイオード13、変位検出
回路14を用いて検出し、カンチレバー8のたわみが一
定になるように記録媒体駆動装置10を駆動して調節す
ることで行った。続いて、電圧印加回路16により探針
7の先端と記録媒体の表面との間に電圧を印加し、記録
ビットの形成を行った。本実施例においては、探針7の
先端と記録媒体の表面との間に8Vの電圧をパルス状に
印加した。このようにすることで、記録層6に用いたポ
リイミド膜の導電性を局所的に変化させ、記録ビット2
0を形成した。このようにして形成した記録ビット20
の再生は、電圧印加回路16により探針7の先端と記録
媒体の表面との間に再生用のバイアス電圧を印加しなが
ら探針と記録媒体を相対的に走査し、流れる電流の局所
的な変化をトンネル電流検出回路15によって検知して
行った。再生用のバイアス電圧は、本実施例では2Vと
した。以上のようにして記録・再生を行ったところ.約
10nmの大きさの導電性の変化した微小領域からなる
記録ビットを、約20nm間隔で形成できた。このよう
な記録ビット20を104個形成したが、ビットの欠損
は見られず、安定な記録・再生を行うことができた。
記録再生方法について述べる。まず、ヒーター電源18
より薄膜ヒーター2に通電し、不図示の微小熱電対によ
り記録媒体表面の温度をモニタし、80℃となるように
薄膜ヒーターに通電する電流を設定した。なお、記録再
生を行った環境は、気温30℃、湿度85%であった。
次に、駆動制御回路17によって記録媒体駆動装置10
を駆動し、記録媒体表面と探針7先端をごく近接させ
た。記録媒体表面と探針7との間隔制御は、両者を極め
て近接した時に距離に応じて発生する力によって生じる
カンチレバー8のたわみを、半導体レーザー11から照
射してカンチレバー裏面で反射されるレーザー光12の
反射角の変位を4分割フォトダイオード13、変位検出
回路14を用いて検出し、カンチレバー8のたわみが一
定になるように記録媒体駆動装置10を駆動して調節す
ることで行った。続いて、電圧印加回路16により探針
7の先端と記録媒体の表面との間に電圧を印加し、記録
ビットの形成を行った。本実施例においては、探針7の
先端と記録媒体の表面との間に8Vの電圧をパルス状に
印加した。このようにすることで、記録層6に用いたポ
リイミド膜の導電性を局所的に変化させ、記録ビット2
0を形成した。このようにして形成した記録ビット20
の再生は、電圧印加回路16により探針7の先端と記録
媒体の表面との間に再生用のバイアス電圧を印加しなが
ら探針と記録媒体を相対的に走査し、流れる電流の局所
的な変化をトンネル電流検出回路15によって検知して
行った。再生用のバイアス電圧は、本実施例では2Vと
した。以上のようにして記録・再生を行ったところ.約
10nmの大きさの導電性の変化した微小領域からなる
記録ビットを、約20nm間隔で形成できた。このよう
な記録ビット20を104個形成したが、ビットの欠損
は見られず、安定な記録・再生を行うことができた。
【0016】[実施例2]図5に実施例2の記録媒体の
断面図を示す。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁
層、4はシード、5は金単結晶である。続いて、図2a
からdに、本実施例の記録媒体の作製工程を示す。本実
施例の記録媒体は、実施例1と同様にして基板1上に薄
膜ヒーター2、絶縁層3、金単結晶5を形成したもので
あり、特別な記録層を用いずに金単結晶よりなる電極層
5に探針から直接電圧を印加して表面形状を変化させ記
録を行うようにしたものである。
断面図を示す。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁
層、4はシード、5は金単結晶である。続いて、図2a
からdに、本実施例の記録媒体の作製工程を示す。本実
施例の記録媒体は、実施例1と同様にして基板1上に薄
膜ヒーター2、絶縁層3、金単結晶5を形成したもので
あり、特別な記録層を用いずに金単結晶よりなる電極層
5に探針から直接電圧を印加して表面形状を変化させ記
録を行うようにしたものである。
【0017】続いて、図6に、本実施例の記録媒体を用
いた記録再生装置の概略図を示す。本実施例の記録再生
装置は、SPMの一種であるAFMの原理を応用したも
のである。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、
4はシード、5は金単結晶、7は探針、8はカンチレバ
ー、9はカンチレバー基板、10は記録媒体駆動装置、
11は半導体レーザー、12はレーザー光、13は4分
割フォトダイオード、14は変位検出回路、15はトン
ネル電流検出回路、16は電圧印加回路、17は駆動制
御回路、18はヒーター電源、19は制御用コンピュー
タ、21は記録ビット(凸構造)、22は記録ビット
(凹構造)である。本実施例の探針7、カンチレバー
8、カンチレバー基板9よりなる記録再生用プローブに
は記録媒体への電圧印加が行えるように導電性を持たせ
た。本実施例においては、探針7及びカンチレバー8は
窒化シリコンで形成し、さらに表面にスパッタリング法
によりCr5nm、Au500nmを積層して導電性を
持たせたものを用いた。続いて、本実施例の記録再生装
置を用いた記録再生方法について述べる。まず、ヒータ
ー電源18より薄膜ヒーター2に通電し、不図示の微小
熱電対により記録媒体表面の温度をモニタし、150℃
となるように薄膜ヒーターに通電する電流を設定した。
なお、記録再生を行った環境は、気温30℃、湿度85
%であった。次に、駆動制御回路17によって記録媒体
駆動装置10を駆動し、記録媒体表面と探針7先端をご
く近接させた。記録媒体表面と探針7との間隔制御は、
実施例1と同様に行った。続いて、電圧印加回路16に
より探針7の先端と記録媒体の表面との間に電圧を印加
し、記録ビットの形成を行った。本実施例においては、
探針7の先端と記録媒体の表面との間に2Vの電圧をパ
ルス状に印加した。このようにすることで、探針7表面
のAuを電解蒸発させて金単結晶5表面に供給し、記録
ビット21である微小な凸構造を形成した。また、同様
の電圧を極性を変えて印加することで、金単結晶5表面
をエッチングし、記録ビット22である微小な凹構造を
形成した。このようにして、金単結晶5に探針から直接
電圧を印加して表面形状を局所的に変化させた。このよ
うにして形成した記録ビットの再生は、AFMの原理を
用いて記録媒体表面の形状を計測することで行った。以
上のようにして記録・再生を行ったところ、約10nm
の大きさで表面形状の変化した微小領域からなる記録ビ
ット21及び22を、約20nm間隔で形成できた。こ
のような記録ビットを104個形成したが、ビットの欠
損は見られず、安定な記録・再生を行うことができた。
いた記録再生装置の概略図を示す。本実施例の記録再生
装置は、SPMの一種であるAFMの原理を応用したも
のである。1は基板、2は薄膜ヒーター、3は絶縁層、
4はシード、5は金単結晶、7は探針、8はカンチレバ
ー、9はカンチレバー基板、10は記録媒体駆動装置、
11は半導体レーザー、12はレーザー光、13は4分
割フォトダイオード、14は変位検出回路、15はトン
ネル電流検出回路、16は電圧印加回路、17は駆動制
御回路、18はヒーター電源、19は制御用コンピュー
タ、21は記録ビット(凸構造)、22は記録ビット
(凹構造)である。本実施例の探針7、カンチレバー
8、カンチレバー基板9よりなる記録再生用プローブに
は記録媒体への電圧印加が行えるように導電性を持たせ
た。本実施例においては、探針7及びカンチレバー8は
窒化シリコンで形成し、さらに表面にスパッタリング法
によりCr5nm、Au500nmを積層して導電性を
持たせたものを用いた。続いて、本実施例の記録再生装
置を用いた記録再生方法について述べる。まず、ヒータ
ー電源18より薄膜ヒーター2に通電し、不図示の微小
熱電対により記録媒体表面の温度をモニタし、150℃
となるように薄膜ヒーターに通電する電流を設定した。
なお、記録再生を行った環境は、気温30℃、湿度85
%であった。次に、駆動制御回路17によって記録媒体
駆動装置10を駆動し、記録媒体表面と探針7先端をご
く近接させた。記録媒体表面と探針7との間隔制御は、
実施例1と同様に行った。続いて、電圧印加回路16に
より探針7の先端と記録媒体の表面との間に電圧を印加
し、記録ビットの形成を行った。本実施例においては、
探針7の先端と記録媒体の表面との間に2Vの電圧をパ
ルス状に印加した。このようにすることで、探針7表面
のAuを電解蒸発させて金単結晶5表面に供給し、記録
ビット21である微小な凸構造を形成した。また、同様
の電圧を極性を変えて印加することで、金単結晶5表面
をエッチングし、記録ビット22である微小な凹構造を
形成した。このようにして、金単結晶5に探針から直接
電圧を印加して表面形状を局所的に変化させた。このよ
うにして形成した記録ビットの再生は、AFMの原理を
用いて記録媒体表面の形状を計測することで行った。以
上のようにして記録・再生を行ったところ、約10nm
の大きさで表面形状の変化した微小領域からなる記録ビ
ット21及び22を、約20nm間隔で形成できた。こ
のような記録ビットを104個形成したが、ビットの欠
損は見られず、安定な記録・再生を行うことができた。
【0018】
【発明の効果】本発明は、以上のように、その記録媒体
が基板上に積層された記録部材からなり、該記録部材が
少なくとも金単結晶からなる電極層を有し、該電極層が
基板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形成されてい
るため、真空排気装置などの大掛かりな設備を必要とせ
ずに、大気中からの吸着水の影響を低減し、安定した記
録再生が行えるとともに、エラーレートを低減した記録
媒体を実現することが可能となり、この記録媒体を用い
て安定な記録・再生の行える記録再生装置を構成するこ
とができる。
が基板上に積層された記録部材からなり、該記録部材が
少なくとも金単結晶からなる電極層を有し、該電極層が
基板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形成されてい
るため、真空排気装置などの大掛かりな設備を必要とせ
ずに、大気中からの吸着水の影響を低減し、安定した記
録再生が行えるとともに、エラーレートを低減した記録
媒体を実現することが可能となり、この記録媒体を用い
て安定な記録・再生の行える記録再生装置を構成するこ
とができる。
【図1】本発明の実施例1の記録媒体の断面図である。
【図2】本発明の記録媒体の作製方法を示す図である。
【図3】本発明の記録媒体に用いる薄膜ヒーターの斜視
図である。
図である。
【図4】本発明の実施例1の記録再生装置の概略図であ
る。
る。
【図5】本発明の実施例2の記録媒体の断面図である。
【図6】本発明の実施例2の記録再生装置の概略図であ
る。
る。
1:基板 2:薄膜ヒーター 3:絶縁層 4:シード 5:金単結晶 6:記録層 7:探針 8:カンチレバー 9:カンチレバー基板 10:記録媒体駆動装置 11:半導体レーザー 12:レーザー光 13:4分割フォトダイオード 14:変位検出回路 15:トンネル電流検出回路 16:電圧印加回路 17:駆動制御回路 18:ヒーター電源 19:制御用コンピュータ 20:記録ビット 21:記録ビット(凸構造) 22:記録ビット(凹構造)
Claims (5)
- 【請求項1】走査型プローブ顕微鏡の原理を応用した記
録再生装置等に用いる記録媒体であって、該記録媒体は
基板上に積層された記録部材からなり、該記録部材が少
なくとも金単結晶からなる電極層を有し、該電極層が基
板上の薄膜ヒーター上に絶縁層を介して形成されている
ことを特徴とする記録媒体。 - 【請求項2】前記絶縁層が、0.1μmないし1μmの
厚さであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒
体。 - 【請求項3】前記記録部材が、金単結晶からなる電極層
上に記録層を積層してなることを特徴とする請求項1ま
たは請求項2に記載の記録媒体。 - 【請求項4】前記金単結晶が、金のハロゲン化物を溶解
した成長溶液を過飽和状態に移行させて金のハロゲン化
物を分解処理し、絶縁層上に析出成長させたものである
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に
記載の記録媒体。 - 【請求項5】走査型プローブ顕微鏡の原理を応用した記
録再生装置であって、請求項1〜請求項4のいずれか1
項に記載の記録媒体を備え、該記録媒体の薄膜ヒーター
に通電するためのヒーター電源と、導電性の探針と、記
録媒体と探針の相対的な変位を検出する手段と、記録媒
体と探針を相対的に走査する手段と、記録媒体と探針の
間に電圧を印加する手段と、記録媒体と探針の間に流れ
るトンネル電流を検知する手段とを有することを特徴と
する記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8438197A JPH10261248A (ja) | 1997-03-18 | 1997-03-18 | 記録媒体、及び記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8438197A JPH10261248A (ja) | 1997-03-18 | 1997-03-18 | 記録媒体、及び記録再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10261248A true JPH10261248A (ja) | 1998-09-29 |
Family
ID=13828983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8438197A Pending JPH10261248A (ja) | 1997-03-18 | 1997-03-18 | 記録媒体、及び記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10261248A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7595960B2 (en) | 2005-07-20 | 2009-09-29 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head having heating element |
-
1997
- 1997-03-18 JP JP8438197A patent/JPH10261248A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7595960B2 (en) | 2005-07-20 | 2009-09-29 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head having heating element |
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