JPH10256673A - 光半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

光半導体素子及びその製造方法

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JPH10256673A
JPH10256673A JP6897897A JP6897897A JPH10256673A JP H10256673 A JPH10256673 A JP H10256673A JP 6897897 A JP6897897 A JP 6897897A JP 6897897 A JP6897897 A JP 6897897A JP H10256673 A JPH10256673 A JP H10256673A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ZnOの温室における紫外光のレーザー発振
現象に基づく光半導体素子を提供する。 【解決手段】 原子レベルで制御された酸化物エピタキ
シャル薄膜成長に有効なレーザー分子線エピタキシ−法
を用いて、サファイヤc面基板上に作製されたZnO薄
膜は、X線ロッキングカーブの半値幅は0.1°と非常
に高い結晶性を有している。その薄膜はn型でキャリア
密度は4×1017/cm3 である。薄膜作製時の酸素圧
力を10-6Torrに固定した条件で作製した薄膜は、
原子間力顕微鏡像像に見られるように、ウルツ鉱型の晶
癖を反映し、六角柱状のサイズの揃ったナノ結晶が緻密
に充填した構造をもつ。一つ一つのナノ結晶上には、一
ユニットセル高さ(0.5nm)のステップによるスパ
イラル構造が見られることから、熱力学的平衡に近い条
件で成長していることが示唆される。成長条件の制御に
より、ナノ結晶の横方向のサイズは50nm〜250n
m程度の間で制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光半導体素子に係
り、特に、発光素子、レーザー素子、カラー表示素子及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、青色・紫外領域の発光素子で実用
されているもの、もしくは実用が期待されている材料
は、主にIII 族−窒化物、II族−セレン化物・硫化物の
化合物半導体のみである。以下、その各種の発光素子に
ついて説明する。
【0003】(1)〔III 族−窒化物〕としての(Al
−Ga−In)N混晶系の場合は、 (a)欠陥密度が非常に多いにもかかわらず発光する。
その発光波長は、390〜430nmである。 (b)発光波長450nmの青色発光ダイオードはすで
に実用化されている。 (c)発光波長408nmの青色レーザーダイオードの
室温連続発振が報告されている。 といった特徴を持っている。
【0004】(2)〔II族−セレン化物・硫黄物〕とし
ての(Zn−Cd−Mg)(Se−S)混晶系の場合
は、 (a)GaAs基板との格子整合がよく、成長も低温で
行うことができる。 (b)発光波長430〜500nmである。 といった特徴を持っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、III 族
−窒化物、II族−セレン化物・硫化物の化合物半導体で
は、酸素の混入は大きな問題となる。また、個別的に
は、 (1)(Al−Ga−In)N混晶系の場合は、 (a)作製に高温(〜1200℃)を要する。
【0006】(b)サファイヤ基板と劈開性が相違し、
共振器端面の形成が困難である。 (c)格子整合する適当な基板がない。 (d)活性層がIn添加GaNであり、発光波長が長く
なる。 (e)レーザー発振閾値が大きい。 (2)(Zn−Cd−Mg)(Se−S)混晶系の場合
は、 (a)発光寿命が短い。
【0007】(b)非常に長い研究期間(1980年
〜)での進歩を考えると、実用化は困難である。 といった問題点を持っていた。本発明は、上記問題点を
除去し、酸化亜鉛(ZnO)の温室における紫外光のレ
ーザー発振現象に基づく光半導体素子を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕光半導体素子において、ZnOを添加した薄膜を
発光層とするようにしたものである。 〔2〕上記〔1〕記載の光半導体素子において、前記薄
膜に存在する粒界を共振器として利用するとともに、室
温での励起子によるレーザー発振を可能にするようにし
たものである。
【0009】〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の光半導
体素子において、前記薄膜は、レーザー分子線エピタキ
シー法によるZnO六角柱ナノクリスタル薄膜である。 〔4〕上記〔1〕記載の光半導体素子において、前記発
光層から発生した紫外光または青色光を励起光とし、蛍
光層を発光せしめるカラー表示を可能とするようにした
ものである。
【0010】〔5〕光半導体素子の製造方法において、
レーザー分子線エピタキシー法により、サファイヤc面
基板上にZnOを添加した薄膜からなる発光層を形成す
るようにしたものである。 〔6〕光半導体素子の製造方法において、サファイヤc
面基板上にZnOを添加した薄膜を形成する際、ナノク
リスタルのサイズと密度を決定する核生成工程とこの核
を成長させる工程に分離して薄膜を形成するようにした
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。光機能性酸化物としては、固体レーザー結
晶やフォトリフラクティブ結晶といったいわゆる「光学
結晶」がその代表的なものである。その多くは、バンド
ギャップが4eV以上の絶縁体であり、強誘電性・圧電
性磁性を利用して電気・光・磁気・音により光を制御し
得る機能を有する。
【0012】ここで取り扱う光機能性酸化物は、半導体
としての光機能、すなわちキャリアの結合による光子の
生成という機能をもつものである。本発明は、ZnOの
温室における紫外光のレーザー発振現象を呈する光半導
体素子を得るようにしたものである。以下、本発明の実
施例について詳細に説明する。
【0013】ZnOは、紫外光領域に吸収端(Eg
3.2eV)をもつワイドギャップII−VI族半導体酸化
物である。光記録密度の向上を目指した青色・紫外領域
の化合物半導体レーザーの材料として研究されているII
I 族ナイトライド及びII族セレナイド・サイルファイド
と比較した物性パラメーターを表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】これらの材料と比較すると、例えば同じウ
ルツ鉱に属するGaNとはバンドギャップや格子定数な
どの点で類似であるが、注目すべき点は、ZnOの励起
子の結合エネルギー(Eb ex)が60meVと極めて大
きいことである。励起子とは結晶中に励起される素励起
単位であり、水素原子のように一対の電子とホールから
形成されている。励起子は、ボーズ粒子であるため、非
常に高効率のレーザーダイオードが実現されるとして期
待されている。低温では励起子の再結合による発光過程
が支配的であるが、室温では熱エネルギー(24me
V)により、弱い結合の励起子は存在できなくなる。
【0016】その結果、例えばGaAs/AlGaAs
系赤色半導体レーザーがそうであるように、レーザー発
光過程は、解離した電子とホールの高密度状態(エレク
トロン−ホール・プラズマ)により支配される。この観
点からZnOの非常に大きい励起子結合力は、デバイス
応用上だけでなく励起子系の物性研究という点からも魅
力的である。実際、低温におけるZnOの励起子発光及
びレーザー発振はかなり研究されてきているが、室温で
の励起子によるレーザー発振の報告例はなかった。
【0017】原子レベルで制御された酸化物エピタキシ
ャル薄膜成長に有効なレーザー分子線エピタキシ−法
(MBE)を用いて、サファイヤc面基板上に作製され
たZnO薄膜は、X線ロッキングカーブの半値幅は0.
1°と非常に高い結晶性を有している。薄膜はn型で、
キャリア密度は4×1017/cm3 であった。薄膜作製
時の酸素圧力を10-6Torrに固定した条件で作製し
た薄膜は、図1に示す原子間力顕微鏡像(AFM)像に
見られるように、ウルツ鉱型の晶癖を反映し、六角柱状
のサイズの揃ったナノ結晶が緻密に充填した構造をも
つ。一つ一つのナノ結晶上には、一ユニットセル高さ
(0.5nm)のステップによるスパイラル構造が見ら
れることから、熱力学的平衡に近い条件で成長している
ことが示唆される。成長条件の制御により、ナノ結晶の
横方向のサイズは70nm〜250nm程度の間で制御
できる。なお、図1においては、膜厚が200nmの薄
膜のZnOナノ結晶のAFM像(1μm×1μm)を示
している。ナノ結晶の平均サイズはおよそ250nmで
ある。図のエリアは、100nm×100nm、図の外
の矢印は結晶の方位を示している。結晶の方位は薄膜表
面の6角形の方位と正確に一致している。
【0018】図2にはナノ結晶のサイズの分布のヒスト
グラムを示している。薄膜の厚さが200nmの場合、
平均値として257nmのサイズで、その広がりが37
%と、非常にサイズの揃ったナノ結晶で構成されてい
る。つまり、AFM像から六角形ナノクリスタルのサイ
ズ分布を求めた。サイズのバラッキ具合をナノクリスタ
ルの平均サイズ(φaverage )で割った値Δφは、3
7.3%であり、他の手法(MBE、MOCVD)で作
られた他の物質(GaAs,GaN,InAs,et
c)のサイズのバラッキに関する一般的に報告されてい
る値に比して、固定度が、より小さい値になっている。
【0019】図3にはナノ結晶のサイズの膜厚依存性を
示す。膜厚が厚くなるにつれて、ナノ結晶のサイズが7
0nm程度から徐々に大きくなっている。このような薄
膜は、繰り返し使用したZnOターゲットを使用した場
合に形成できる。このZnOターゲットの表面は、Zn
Oが一部還元されて、表面に亜鉛金属が析出している。
ZnOターゲットが未使用である場合には、図3の
(I)で示したように、更に小さい(50nm)ナノ結
晶を形成できる。この(I)に関しては、工夫された作
製方法で作製された複数の薄膜のサイズを示している。
(I)のエリアに入る膜だけが、後に述べる励起子−励
起子発光(P∞発光)を示す。点線は通常の方法で作ら
れた膜のナノクリスタルサイズの膜厚に対する変化を示
している。
【0020】この薄膜のAFT像(1μm×1μm)を
図4に、この粒子のサイズとヒストグラムを図5に示
す。この図5は図1及び図2と同様である。異なる点
は、膜厚が50nmであり、平均サイズが45nmで、
分布が33%とナノサイズ結晶のサイズを微小化できる
点である。この効果は、十分酸化された粒子が基板上に
供給された場合、表面での拡散距離が小さく高粒度な粒
子が形成されるのに対し、十分に酸化されていない金属
亜鉛原子が主に供給される場合、表面での拡散距離が長
くなり、粗な粒子形式が形成されると共に、薄膜の膜厚
を増していくうちに粒子が融合していることで説明でき
る。
【0021】微細な粒子薄膜を得る方法として、以下の
ような方法がある。 (1)表面が十分に酸化されているZnOターゲットを
使用する方法以外に、以下の方法も使用可能である。 (2)ターゲットの表面状態によらず、薄膜作製時の酸
素圧力を10-5〜1Torrの範囲で選択し、1nm程
度の薄膜を形成し、任意の密度で核生成を行い、後に残
りの薄膜を10-6〜10-3Torrで形成し、高品質ナ
ノ結晶を形成する。ナノ結晶の融合の速度は、二段階目
の酸素圧力で制御する。
【0022】図4に示した50nm程度のナノ粒子薄膜
の断面の形状(透過電子顕微鏡像)を図6に示す。この
図は、六角形の辺に平行な方向の断面を見ており、図中
の矢印は、粒界(grain boundaries)
のある位置を示している。粒界の位置は、図3のAFM
像で黒く見える部分に対応しており、図4及び図6から
ナノクリスタルの形は厚さ50nm、横方向のサイズが
50nmの六角柱のボックス状であることがわかる。
【0023】このように、個々のナノ結晶の境界に、基
板面と垂直に明瞭な粒界が形成されている。この粒界が
形成される原因を以下に述べる。ZnOとサファイアc
面の原子の配列は、図7のように、18%のミスマッチ
を有する。しかし、ZnOの11格子とサファイアの1
3格子、あるいはZnOの5格子とサファイアの6格子
を比べると、そのミスマッチは0.085%又は1.4
%と非常に小さくなる。
【0024】このような基板と薄膜のそれぞれの格子間
距離の公倍数の繰り返し周期を持つマッチングはハイヤ
ーオーダーエピタキシーと呼ばれ、Si基板上へのTi
N薄膜の形成等で報告されているが、酸化物と酸化物の
界面での報告例はない。ハイヤーオーダーエピタキシー
での粒界の発生機構を図8に示す。説明を簡単にするた
め、基板結晶の3格子に対して、膜結晶の4格子がマッ
チングした図で示す。基板上に、ハイヤーオーダーエピ
タキシー条件を満たした核がランダムに発生して、それ
らの核が横方向に成長する時、粒同士がぶつかる。この
時、核と核の公倍数のとり方の位相には相関がないの
で、公倍数の端数の隙間が生じる。この隙間は結晶格子
が乱れて粒界となる。それぞれの粒は方向関係が完全に
一致しているが、横方向の位置がずれている。この粒界
は、後述するように、エキシトンの閉じ込め障壁として
機能し、レーザー共振器のミラーを構成する。
【0025】この薄膜は、室温において、紫外光領域に
おいて明瞭な励起子発光を示した。図9にNd:YAG
1/3波長レーザー(355nm,30psec)によ
る光励起−発光スペクトルを示す。発光スペクトルは、
励起パワーの増大と共に、自由励起子発光(Eex)、つ
いで励起子−励起子(P2 )自然発光を示し、その後
に、閾値強度(Ith)、24kW/cm2 からポンピン
グ強度の8乗で強度が増大する強い発光(P∞)、そし
てIth=55kW/cm2 から5乗で強度が増大する発
光(N)によるスペクトルの飽和を示している。
【0026】P2 及びP∞発光線は、励起子と励起子の
衝突・散乱過程を伴う励起子の再結合による発光により
説明できる。n=1の状態にある二つの励起子が衝突
し、一つの励起子がn=2(P2 発光)もしくは、n=
∞(P∞発光)の状態にたたき上げられ、残ったもう一
つの励起子が再結合して発光する。N発光線は、励起強
度の増大と共にレッドシフトとブロードニングを示すこ
とより、前述のエレクトロン−ホール・プラズマ発光で
あると考えられる。
【0027】ナノ結晶のサイズが250nm程度と大き
い場合の発生スペクトルを図10に示す。レーザー発振
が起こるIthは62kW/cm2 と非常に大きい。ま
た、P2 やP∞発光が観測されず、いきなり、N発光が
起こっている。効率の良いP∞発光は、ナノ結晶のサイ
ズを40〜60nmに制御した時にのみ観測された。
【0028】また、レーザー発振の閾値が非常に小さい
こととナノ結晶サイズが大きい時はP∞発光は見られな
いことより、ナノ結晶によるキャリア(励起子)の閉じ
込めによる振動子強度の増大が起きていると推測でき
る。P∞発光は、薄膜の横方向からスペクトルをとって
も明瞭に観測される。このときポンピングレーザーは物
理的な端面より内側の薄膜だけを励起しており、人工的
な共振ミラーは存在していない。
【0029】図11にTE(⊥c)及びTM(//c)
偏光で測定されたP∞発光スペクトルを示す。つまり、
P∞発光を横方向から見た時のスペクトルであり、Ith
=24kW/cm2 を示している。発光線は、TE偏光
への強い集中と細かくスプリットしたスペクトル構造を
示している。図12に示しているように、スプリット間
隔(ΔE)は、励起している領域の長さ(励起長:L)
に依存して変化する。これは、P∞発光が励起領域の両
端をミラーとする縦モードキャビティーからのレーザー
発振であることを示している。
【0030】図13にレーザー発振強度の角度依存性を
示す。円板状の基板にナノ結晶を形成し、試料を回転さ
せてレーザー光強度を測定した。励起領域が六角柱結晶
粒界を共振器ミラーとして利用できる場合は強い発光が
観測できるのに対し、30°ずれた場合は発光が弱くな
る。これは、粒界が共振器ミラーとして作用しているこ
とを示している。
【0031】励起領域の両端が共振器を構成するミラー
として作用する起源は、以下のように説明される。励起
されている領域は、キャリア密度が大きいため屈折率が
励起されていない部分よりも大きくなる。励起領域のエ
ッジでは、励起強度は連続的に変化しており、薄膜の屈
折率の同様な分布をしていると考えられる。ある屈折率
閾値を仮定すると、屈折率連続変化領域にあるナノ結晶
列とナノ結晶列の粒界面でのみ光の反射が起こり、両側
の端面間にファプリ・ペロー共振器が形成される。
【0032】断面TEM観察から粒界は、基板・薄膜界
面から表面までc軸に平衡に形成されていることから、
ナノ結晶の粒界面が高い平行度と反射率を持ったミラー
面として機能していると考えられる。この自己形成キャ
ビティーミラーは、劈開もしくはエッチングによるミラ
ー形成プロセスを必要としないだけでなく、ダイオード
に適当な形状の電極をつけることによって、任意に活性
領域を選べ、また、共振器を設置できるという利点を与
えることができる。
【0033】以上に示した励起子レーザー発振閾値の温
度依存性を図14に示す。膜厚50nmの薄膜につい
て、結晶温度に対する横方向P∞発光の閾値励起強度の
値をプロットしており、縦軸はLogスケールを示して
いる。この図から明らかなように、温度が室温(300
K)以上に上昇すると、閾値は徐々に増加するが、38
0K(100℃)程度までは、励起子発生のレーザー発
振が観測された。このグラフの傾きから、特性温度は、
157Kとなり、ZnSeの124Kより大きくレーザ
ー材料として優れていることがわかる。
【0034】図15にGaNとZnOにおけるレーザー
発振閾値の推移を示す。GaN系レーザーダイオードで
は、薄膜の品質向上、量子井戸やクラッド層といった構
造を採用して年々閾値は低減している。本発明による自
然形成されたZnOナノ結晶薄膜のレーザー発振閾値
は、その最良値よりも小さい。従って、ZnO薄膜は、
短波長レーザー材料として非常に有望であると言える。
【0035】ガリウム砒素ダブルヘテロレーザーダイオ
ードが現在、コンパクトディスクのピックアップレーザ
ー等に応用され、最もポピュラーなレーザーダイオード
である。実際に実用化することのできるレーザー閾値の
目安として挙げている。励起子発光を積極的に利用した
レーザーダイオードの発振閾値は、これを超えると予想
されている。今後ZnOのダイオードにダブルヘテロ構
造や光閉じ込め構造を併用することで、更に励起子発光
の効率を上げることができと思われる。
【0036】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、種々の変更や応用が考えられる。たとえ
ば、ZnOの添加に代えて、マグネシウムもしくはカド
ミウムを添加するようにしてもよい。更に、ZnO薄膜
から紫外光発光を利用すると、以下のようなカラーディ
スプレーが形成できる。
【0037】従来は、青、緑、赤の三基本色の発生ダイ
オードを組み合わせることで、カラーディスプレーが形
成されてきたために、非常に多数のダイオードを用いて
ディスプレーを組み立てる工程が必要であった。ZnO
からは紫外光の発光が得られるため、大面積のディスプ
レー用基板上に多数のZnO紫外光発光ダイオードを集
積して形成し、各素子に青、緑、赤の蛍光層を付加し、
ZnOダイオードからの紫外光励起により蛍光層を発光
せしめることで、カラーディスプレーが形成できる。Z
nOは600℃以下の低温でも結晶成長が可能であるた
め、ガラス基板等の安価で大面積の基板が使用可能とな
る利点もある。
【0038】なお、本発明は、青色から紫外光領域で発
光する光半導体素子(LED、レーザーダイオード)、
光記憶ディスク(CD、MO、DVD)のビックアップ
用レーザー、発光ダイオードを用いたフラットパネルデ
ィスプレイ、発光ダイオードを用いた信号機等の表示
部、殺菌灯等の照明等に用いる光半導体素子として、広
汎な適用分野を有する。
【0039】また、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0040】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、 (1)レーザー発振のための共振器の作製が不要であ
り、構造が簡単な光半導体素子を得ることができる。 (2)ダイオードに電極をとるだけで、活性領域を任意
に形成することができる。
【0041】(3)室温で励起子−励起子散乱過程によ
りレーザー発振する。 (4)半導体レーザー素子のレーザー発振閾値を著しく
低減化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す膜厚200nmのZnO
ナノクリスタル薄膜の原子間力顕微鏡像を示す図であ
る。
【図2】本発明の実施例を示す膜厚200nmのZnO
薄膜におけるナノクリスタルサイズの分布状態を示す図
である。
【図3】本発明の実施例を示す膜厚とナノクリスタルサ
イズの関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示す膜厚50nmのZnOナ
ノクリスタル薄膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図5】本発明の実施例を示す膜厚50nmのZnO薄
膜におけるナノクリスタルサイズの分布を示す図であ
る。
【図6】本発明の実施例を示す膜厚50nmのZnO薄
膜の断面透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図7】本発明の実施例を示すZnO薄膜とサファイア
基板の界面模式図(ハイヤーオーダーエピタキシー)で
ある。
【図8】本発明の実施例を示すインコヒーレント粒界の
発生に関する説明図である。
【図9】本発明の実施例を示す膜厚50nmのZnOナ
ノクリスタル薄膜における発光スペクトルを示す図であ
る。
【図10】本発明の実施例を示す膜厚200nmのZn
Oナノクリスタル薄膜における発光スペクトルを示す図
である。
【図11】本発明の実施例を示すP∞発光の縦モード偏
光スペクトルを示す図である。
【図12】本発明の実施例を示すモード間隔と励起長の
関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例を示すP∞発振強度の角度依
存性を示す図である。
【図14】本発明の実施例を示す結晶温度とレーザー発
振閾値の関係を示す図である。
【図15】GaNとZnOにおけるレーザー発振閾値の
推移を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 33/00 H01L 33/00 D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光半導体素子において、酸化亜鉛を添加
    した薄膜を発光層とすることを特徴とする光半導体素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光半導体素子において、
    前記薄膜に存在する粒界を共振器となし、室温での励起
    子によるレーザー発振を可能にしたことを特徴とする光
    半導体素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の光半導体素子にお
    いて、前記薄膜は、レーザー分子線エピタキシー法によ
    る酸化亜鉛六角柱ナノクリスタル薄膜である光半導体素
    子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光半導体素子において、
    前記発光層から発生した紫外光または青色光を励起光と
    し、蛍光層を発光せしめるカラー表示が可能な光半導体
    素子。
  5. 【請求項5】 光半導体素子の製造方法において、レー
    ザー分子線エピタキシー法により、サファイヤc面基板
    上に酸化亜鉛を添加した薄膜からなる発光層を形成する
    ことを特徴とする光半導体素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 光半導体素子の製造方法において、サフ
    ァイヤc面基板上に酸化亜鉛を添加した薄膜を形成する
    際、ナノクリスタルのサイズと密度を決定する核生成工
    程と該核を成長させる工程に分離して薄膜を形成するこ
    とを特徴とする光半導体素子の製造方法。
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