JPH10255683A - 陰極線管用電子銃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内蔵分割抵抗板を搭載した電子銃において、
陰極線管の動作時にネック管内壁のチャージ電位が上が
ってもネック管内壁と内蔵分割抵抗板の端子及びこの上
に接続されたリード線との間の放電又はリーク電流の抑
制を図る。 【解決手段】 内蔵分割抵抗板２３を搭載した電子銃２
１であって、電子銃２１に接続される内蔵分割抵抗板２
３の端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃ及びこの端子ｔａ，ｔｂ，ｔ
ｃ上の接続導体２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃを絶縁体２６に
よって被覆した構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内蔵分割抵抗板を
搭載した陰極線管用電子銃に関する。

【０００２】

【従来の技術】陰極線管用の電子銃として、図４Ａ，Ｂ
に示すように、内蔵分割抵抗板２を搭載した複ビーム単
電子銃１が知られる。この電子銃１は、同図示するよう
に、赤（Ｒ），緑（Ｇ）及び青（Ｂ）に対応た３つのカ
ソードＫｒ，Ｋｇ及びＫｂに対し、共通の第１グリッド
Ｇ₁ ，第２グリッドＧ₂ ，第３グリッドＧ₃ ，第４グリ
ッドＧ₄ 及び第５グリッドＧ₅ が同軸上に配列され、さ
らに第５グリッドＧ₅ の先端に４枚の偏向電極板、即ち
内側のコンバージェンスシールドプレート４ａ，４ｂと
外側のコンバージェンスプレート４ｃ，４ｄからなる静
電コンバージェンス手段４が設けられて成る。之等第１
グリッドＧ₁ 〜第５グリッドＧ₅ 、及び静電コンバージ
ェンス手段４は、１対のビードガラス５によって固定さ
れる。

【０００３】第３グリッドＧ₃ 及び第５グリッドＧ₅ に
は高圧、即ちアノード電圧が印加され、第４グリッドＧ
₄ にはフォーカス電圧が印加されて、之等第３グリッド
Ｇ₃，第４グリッドＧ₄ 及び第５グリッドＧ₅ によって
ユニポテンシャル型の主電子レンズが構成される。静電
コンバージェンス手段４においては、その内側のコンバ
ージェンスシールドプレート４ａ，４ｂにアノード電圧
ＨＶが印加され、外側のコンバージェンスプレート４
ｃ，４ｄにはアノード電圧ＨＶより４〜８％程度低いコ
ンバージェンス電圧ＣＶが印加される。

【０００４】この電子銃１では、３つのカソードＫｒ，
Ｋｇ，Ｋｂから出射された各電子ビームが主電子レンズ
の中心で交叉し、之より中心の電子ビームが両コンバー
ジェンスシールドプレート４ａ及び４ｂ間を直進し、両
側の電子ビームが夫々一方のコンバージェンスプレート
４ａとコンバージェンスプレート４ｃとの間、及び他方
のコンバージェンスシールドプレート４ｂとコンバージ
ェンスプレート４ｄとの間に進入し、夫々偏向されて、
３つの電子ビームが蛍光面上でコンバージェンスされる
ようになされる。

【０００５】そして、この場合、コンバージェンスプレ
ート４ｃ，４ｄへのコンバージェンス電圧ＣＶの供給
は、内蔵分割抵抗板２によって行われる。内蔵分割抵抗
板２は、図５Ａ，Ｂに示すように、セラミック等の絶縁
基板６の一面上に例えば酸化ルテニウムを主成分とする
抵抗材にガラスを混合した抵抗体７を形成し、抵抗体７
の両端に夫々接地端子ｔａ及びアノード電圧供給端子ｔ
ｂが形成され、且つ抵抗体７の中間部にコンバージェン
ス電圧供給端子ｔｃが形成され、各端子ｔａ，ｔｂ，ｔ
ｃを除いて他部全面に、即ち抵抗体７を被覆するように
例えばガラス等の絶縁体８が被着形成される。

【０００６】そして、図４及び図６に示すように、各端
子ｔａ，ｔｂ，ｔｃには、内蔵分割抵抗板２を電子銃本
体１に機械的に保持し、且つ電子銃本体１と内蔵分割抵
抗板２との導通を行うことを目的とした接続導体、例え
ば金属リボン等のリード線１０〔１０Ａ，１０Ｂ，１０
Ｃ〕が接続されている。

【０００７】この内蔵分割抵抗板２は、電子銃１に平行
して取付けられ、接地端子ｔａがリード線１０Ａを介し
てステムピン９に接続されてこの接地端子ｔａに接地電
位が与えられ、アノード電圧供給端子ｔｂがリード線１
０Ｂを介して第５グリッドＧ₅ に接続されてこのアノー
ド電圧供給端子ｔｂに第５グリッドＧ₅ を介してアノー
ド電圧ＨＶが印加され、コンバージェンス電圧供給端子
ｔｃがリード線１０ｃを介してコンバージェンスプレー
ト４ｃ（又は４ｄ）に接続されて、コンバージェンス電
圧供給端子ｔｃに得られる分圧されたコンバージェンス
電圧ＣＶがコンバージェンスプレート４ｃ，４ｄに供給
される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで内蔵分割抵抗
板２の端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃと各対応するリード線１０
Ａ，１０Ｂ，１０Ｃとを接続する方法としては、かしめ
型又は溶接型が既に実用化されているが、構造が複雑で
且つ突起部を有する構造となっている。また、図６に示
すように、内蔵分割抵抗板２の端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃに
かしめ、または溶接によって接続されたリード線１０
Ａ，１０Ｂ，１０Ｃは、端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃ上に、接
触による絶縁体８の傷又は熱膨張の違いによる割れ等を
回避するため、絶縁体８に接触しないように露出状態で
接続されている。

【０００９】一方、図７に示すように、陰極線管体のネ
ック管１１は断面円形の筒状をなしている。このため、
内蔵分割抵抗板２を搭載した電子銃１がネック管１１内
に封止込められた際、内蔵分割抵抗板２及びリード線、
特にステムピン９に接続されるアース側のリード線１０
Ａは、ネック管１１の内壁と近接状態で対向することに
なる。

【００１０】この状態において、陰極線管を動作させた
場合、第５グリッドＧ₅ 及び第３グリッドＧ₃ に印加さ
れた例えば３０ＫＶのアノード電圧の影響によりネック
管１１の内壁は、ある程度のチャージ電位に達し、内蔵
分割抵抗板２のアース側のリード線１０Ａとネック管１
１の内壁との間に電位差が生ずる。この電位差が大きく
なる状況が生じた場合、内蔵分割抵抗板２のリード線、
特にアース側のリード線１０Ａとネック管内壁間におい
て、放電またはリーク電流が発生する。

【００１１】本発明は、上述の点に鑑み、内蔵分割抵抗
板を搭載した電子銃において、放電またはリーク電流が
発生しない電子銃を提供するものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、電子銃に接続
される内蔵分割抵抗板の端子及びこの端子上の接続導体
を絶縁体によって被覆した構成とする。

【００１３】この構成によれば、内蔵分割抵抗板の端子
及びこの端子上の接続導体が絶縁体によって被覆されて
いるので、陰極線管の動作時において、ネック部内壁の
チャージ電位が上がってもネック管内壁と内蔵分割抵抗
板の端子及び接続導体との間における放電またはリーク
電流が抑制される。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明は、内蔵分割抵抗板を搭載
した電子銃であって、電子銃に接続される内蔵分割抵抗
板の端子及びこの端子上の接続導体が絶縁体によって被
覆された構成とする。

【００１５】以下、図面を参照して本発明の実施例を説
明する。

【００１６】図１は、本発明に係る内蔵分割抵抗板を搭
載した複ビーム単電子銃の一例を示す。本例の電子銃２
１においても、図１Ａ，Ｂに示すように、前述と同様
に、赤（Ｒ），緑（Ｇ）及び青（Ｂ）に対応した３つの
カソードＫｒ，Ｋｇ及びＫｂに対し、共通の第１グリッ
ドＧ₁ ，第２グリッドＧ₂ ，第３グリッドＧ₃ ，第４グ
リッドＧ₄ 及び第５グリッドＧ₅ が同軸上に配列され、
さらに、第５グリッドＧ₅の先端に４枚の偏向電極板、
即ち内側のコンバージェンスシールドプレート４ａ，４
ｂと外側のコンバージェンスプレート４ｃ，４ｄからな
る静電コンバージェンス手段４が設けられて成る。之
等、第１グリッドＧ₁ 〜第５グリッドＧ₅ 、及び静電コ
ンバージェンス手段４は、１対のビードガラス５によっ
て固定される。

【００１７】第３グリッドＧ₃ 及び第５グリッドＧ₅ に
は高圧、即ちアノード電圧が印加され、第４グリッドＧ
₄ にはフォーカス電圧が印加されて、之等第３グリッド
Ｇ₃、第４グリッドＧ₄ 及び第５グリッドＧ₅ によって
ユニポテンシャル型の電子レンズが構成される。静電コ
ンバージェンス手段４においては、その内側のコンバー
ジェンスシールドプレート４ａ，４ｂにアノード電圧Ｈ
Ｖが印加され、外側のコンバージェンスプレート４ｃ，
４ｄにはアノード電圧ＨＶより４〜８％程度低いコンバ
ージェンス電圧ＣＶが印加される。

【００１８】この電子銃２１では、前述と同様に、３つ
のカソードＫｒ，Ｋｇ，Ｋｂから出射された各電子ビー
ムが主電子レンズの中心で交叉し、之より中心の電子ビ
ームが両コンバージェンスシールドプレート４ａ及び４
ｂ間を直進し、両側の電子ビームが夫々一方のコンバー
ジェンスプレート４ａとコンバージェンスプレート４ｃ
との間、及び他方のコンバージェンスシールドプレート
４ｂとコンバージェンスプレート４ｄとの間に進入し、
夫々偏向されて、３つの電子ビームが蛍光面上でコンバ
ージェンスされるようになされる。

【００１９】しかして、本例においては、この電子銃２
１に図２及び図３に示すような内蔵分割抵抗板２３が平
行に搭載され、この内蔵分割抵抗板２３によってコンバ
ージェンスプレート４ｃ，４ｄへのコンバージェンス電
圧ＣＶの供給が行われる。

【００２０】この内蔵分割抵抗板２３は、セラミック等
の絶縁基板６の一面上に例えば酸化ルテニウムを主成分
とする抵抗材にガラスを混合した抵抗体７が形成され、
抵抗体７の両端に夫々接地端子ｔａ及びアノード電圧供
給端子ｔｂが形成され、且つ抵抗体７の中間部にコンバ
ージェンス電圧供給端子ｔｃが形成され、各端子ｔａ，
ｔｂ，ｔｃの部分を除く全面に抵抗体７を被覆するよう
に例えばガラス等の絶縁体８が被着形成される。

【００２１】更に、本例では、各端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃ
に接続するリード線２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃを絶縁基板
６、絶縁体８及び抵抗体７と同程度の熱膨張係数を有す
る例えばコバール等の金属材料で形成する。このリード
線２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃを夫々対応する端子ｔａ，ｔ
ｂ，ｔｃ上に接続した後、端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃ及びリ
ード線２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃの端子上の部分を被覆す
るように、絶縁体２６を被着形成する（図２，図３参
照）。

【００２２】絶縁体２６は、酸化雰囲気において焼成形
成される絶縁体８および抵抗体７の焼成温度よりも低
く、且つリード線２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃの酸化を防止
する還元雰囲気下での低温焼成可能な例えばガラス等の
絶縁物で構成される。

【００２３】ここで、絶縁体２６の被覆は、特に放電、
リーク電流が生じ易いアース部での端子ｔａ及びこれの
上のリード線２５Ｃのみとすることもできる。

【００２４】かかる実施例の電子銃２１によれば、搭載
された内蔵抵抗分割板２３の端子ｔａ，ｔｂ，ｔｃ及び
これらの上に接続されたリード線２５Ａ，２５Ｂ，２５
Ｃを被覆するように絶縁体２６を被着形成することによ
り、陰極線管の動作時にネック管内壁のチャージ電位が
上がっても、ネック管内壁と端子、特にアース側の端子
ｔａ及びリード線２５Ａとの間における放電またはリー
ク電流の発生を抑制することができる。

【００２５】また、リード線２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃ
は、コバール等による金属材料で形成されるため、高熱
伝導により抵抗体７のシュール熱を伝達する働きを有す
る。これにより内蔵分割抵抗板２３の放熱効果が大きく
なり、熱による抵抗値変化も防止できる。

【００２６】従って、本実施例の電子銃を備えることに
より、信頼性の高い陰極線管を得ることができる。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、内蔵分割抵抗板のリー
ド線が接続された端子、特にアース側での端子がリード
線と共に絶縁被覆されているので、絶縁効果が十分得ら
れ、陰極線管の動作時において、ネック管内壁のチャー
ジ電位が上がってもネック管内壁との間での放電または
リーク電流の発生が回避される。従って、内蔵分割抵抗
板を搭載した電子銃を備えた陰極線管の信頼性を向上す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】Ａ 本発明による内蔵分割抵抗板を搭載した電
子銃の正面図である。 Ｂ 本発明による内蔵分割抵抗板を搭載した電子銃の正
面図である。

【図２】Ａ 本発明に係る内蔵分割抵抗板の正面図であ
る。 Ｂ 本発明に係る内蔵分割抵抗板の断面図である。

【図３】本発明に係る内蔵分割抵抗板の要部の斜視図で
ある。

【図４】Ａ 従来例に係る内蔵分割抵抗板を搭載した電
子銃の正面図である。 Ｂ 従来例に係る内蔵分割抵抗板を搭載した電子銃の側
面図である。

【図５】Ａ 従来例に係る内蔵分割抵抗板の正面図であ
る。 Ｂ 従来例に係る内蔵分割抵抗板の断面図である。

【図６】従来例の内蔵分割抵抗板の要部の斜視図であ
る。

【図７】問題点の説明に供する説明図である。

【符号の説明】

１，２１ 電子銃、２，２３ 内蔵分割抵抗板、Ｋｒ，
Ｋｇ，Ｋｂ カソード、Ｇ₁ 〜Ｇ₅ グリッド、４〔４
ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ〕 静電コンバージェンス手段、
６ 絶縁基板、７ 抵抗体、８ 絶縁体、ｔａ，ｔｂ，
ｔｃ 端子、２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃ リード線、２６
絶縁体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内蔵分割抵抗板を搭載した電子銃であっ
   て、 前記電子銃に接続される前記内蔵分割抵抗板の端子及び
   該端子上の接続導体が、絶縁体によって被覆されて成る
   ことを特徴とする陰極線管用電子銃。