JPH10239177A - 力学量検出素子およびその製造方法並びにトルクセンサ - Google Patents

力学量検出素子およびその製造方法並びにトルクセンサ

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JPH10239177A
JPH10239177A JP9041927A JP4192797A JPH10239177A JP H10239177 A JPH10239177 A JP H10239177A JP 9041927 A JP9041927 A JP 9041927A JP 4192797 A JP4192797 A JP 4192797A JP H10239177 A JPH10239177 A JP H10239177A
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JP
Japan
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plane
shaft
magnetic field
magnetic
metal piece
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JP9041927A
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English (en)
Inventor
Kiyoto Nakazawa
清人 中澤
Yoshimitsu Odajima
義光 小田島
Katsumitsu Kurihara
功光 栗原
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な装置かつ簡易な工法が適用できる構成
でありながら、0点の温度ドリフトの低減が可能な高性
能な力学量検出素子およびその製造方法並びにトルクセ
ンサを提供することを目的とする。 【解決手段】 強磁性体からなる金属片の平面2上に圧
縮歪と前記平面に垂直な方向の磁界が付与された磁歪を
有する感磁手段3を備えることにより、安価な装置かつ
簡易な工法が適用できる構成でありながら、0点の温度
ドリフトの低減が可能な高性能な力学量検出素子および
その製造方法並びにトルクセンサを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体の応力磁気
効果を応用した力学量検出素子およびその製造方法並び
にトルクセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】応力磁気効果を利用する力学量センサの
代表であるトルクセンサの従来技術として、磁歪を有す
る非晶質磁性合金薄帯を軸周に固定し、印加トルクによ
る透磁率変化を軸近傍に設置した励磁コイルと検出コイ
ルの組合せにより検出する方式のものが提案されてい
る。
【0003】この方式のトルクセンサとして、例えば、
電気学会全国大会講演予稿集(NO.1277、昭和5
7年)に開示されているように、あらかじめ円筒状に成
形して歪み取り焼鈍を行った2つの高磁歪非晶質磁性合
金薄帯を軸にひねりを加えた状態で接着することにより
互いに逆方向のバイアス歪みが高磁歪非晶質磁性合金薄
帯に付与されたものが知られている。
【0004】また、特公平8−1399号公報に開示さ
れているように、熱膨張係数差と温度差を利用して、中
実軸の周囲に高磁歪非晶質磁性合金薄帯を巻き付け高温
で接着することにより、高磁歪非晶質磁性合金薄帯に圧
縮歪が付与されたものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記した電気学会全国
大会講演予稿集(NO.1277、昭和57年)に開示
されたトルクセンサにおいては、高磁歪非晶質磁性合金
薄帯をあらかじめ円筒状に成形して歪み取り焼鈍を行わ
なければならないため、軸径に合わせた高精度治具を用
い、特殊雰囲気下で高温処理しなければならない。従っ
て、作業性が著しく低下するばかりか、高温処理時に発
生する結晶化のための脆化を防止するために温度、時間
管理を極めて厳しくするための特殊な装置が必要とな
る。また、接着時に互いに逆方向のバイアス歪みを高磁
歪非晶質磁性合金薄帯に付与するために軸一本一本にひ
ねりを加えなければならず、そのための装置として極め
て大型の装置が必要となる。さらに、軸径に合わせて円
筒状に処理した非晶質磁性合金薄帯を円周面上で接着し
なければならないため、接着剤の塗布および接着自体に
特殊な工程を要するという課題を有していた。
【0006】また、特公平8−1399号公報に開示さ
れたトルクセンサにおいては、接着する際に熱膨張係数
差と温度差を利用し圧縮歪を付与するため、前述の様な
軸一本一本にひねりを加えるといった工法は不要にな
る。しかし、安定した圧縮歪付与のためには、相変わら
ず前述同様に円筒状に成形して歪み取り焼鈍を行い、円
周面上での接着を行わなければならない。従って、その
装置の特殊性及び特殊な工程を要するといった共通の課
題を有していた。
【0007】上述のような共通の課題を解決する手段と
して、軸方向と平行な平面を有し回転可能に支持された
軸の平面上に接着剤を介して平板状の非晶質磁性合金薄
帯を熱膨張係数差と温度差を利用し接着することにより
圧縮歪を付与する方法もある。この構成により、安価な
装置と簡易な工法が適用可能なトルクセンサを実現する
ことができる。しかし、接着する際に熱膨張係数差と温
度差を利用し圧縮歪を付与するものであるため、接着工
法時のバラツキが0点の温度ドリフトの拡大を生みやす
いという課題を有していた。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、極めて安価な装置かつ簡易な工法が適用できる構成
でありながら、0点の温度ドリフトの低減が可能な高性
能な力学量検出素子およびその製造方法並びにトルクセ
ンサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の力学量検出素子は、強磁性体からなる金属片の
平面上に圧縮歪と前記平面に垂直な方向の磁界が付与さ
れた磁歪を有する感磁手段を備えたことを特徴とするも
のである。
【0010】また、本発明の力学量検出素子の製造方法
は、強磁性体からなる金属片の平面上に接着剤を介し
て、前記金属片よりも熱膨張係数の小さな磁歪を有する
感磁手段を載置し、さらに前記平面に垂直な方向の磁界
を印加し、使用温度以上で接着硬化するかまたは接着硬
化後に脱磁処理することを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のトルクセンサは、軸方向と
平行な平面を有し回転可能に支持された強磁性体からな
る軸と、前記軸の平面上に設けられ前記軸の長手方向に
対し45°および−45°をなす方向に複数スリットが
形成され且つ圧縮歪と前記平面に磁歪を有する感磁手段
の保磁力の5倍以上1Oe以下の垂直な方向の磁界が付
与された前記感磁手段と、前記感磁手段の各々に対向す
る位置に前記感磁手段を励磁し検出する励磁兼検出コイ
ルと、前記励磁兼検出コイルの外側に設けた磁気ヨーク
と、前記軸に伝わるトルクにより軸表面に発生する歪み
の変化を前記感磁手段の透磁率変化を介して前記コイル
の自己インダクタンス変化として検出し、前記励磁兼検
出コイルの自己インダクタンス差からトルクの大きさを
検出する電気的手段とを有することを特徴とするもので
ある。
【0012】この構成により、強磁性体からなる金属片
の平面上に圧縮歪と前記平面に垂直な方向の磁界を磁歪
を有する感磁手段に付与することが可能なため、極めて
安価な装置かつ簡易な製造方法を適用するにも拘らず、
0点の温度ドリフトの低減が可能な高性能な力学量検出
素子およびトルクセンサを実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、強磁性体からなる金属片の平面上に圧縮歪と前記平
面に垂直な方向の磁界が付与された磁歪を有する感磁手
段を備えた力学量検出素子であり、平面上に平面状の磁
歪を有する感磁手段(例えば、高磁歪非晶質磁性合金薄
帯)を熱膨張係数差と温度差を利用し圧縮歪が付与され
ていると同時に前記平面に垂直な方向の磁界が付与され
ているため、普通ならば温度変化により圧縮歪が不均一
に変化(これに連動して、前記高磁歪非晶質磁性合金薄
帯内のスピンを平面に対して垂直な方向に拘束する力も
不均一に変化)し、バランスが崩れることによる0点の
温度ドリフトの悪化が極めて簡易な構成で抑制可能とな
る。
【0014】請求項2に記載の発明は、垂直な方向の磁
界は、6Oe以上15Oe以下である請求項1記載の力
学量検出素子であり、熱膨張係数差と温度差を利用し圧
縮歪を付与しただけの構成では高温側に向かうに従って
圧縮歪が減少することにより高磁歪非晶質磁性合金薄帯
内のスピンを平面に対して垂直な方向に拘束する力が弱
くなると同時にバラツキも増加しやすくなるが、平面に
対して垂直な方向の磁界が、6Oe以上15Oe以下加
えられていると、高温側においても前記スピンの拘束力
が強いため、0点の温度ドリフトの悪化が極めて少な
い。
【0015】請求項3に記載の発明は、垂直な方向の磁
界は、前記感磁手段の保磁力の5倍以上1Oe以下であ
る請求項1記載の力学量検出素子であり、平面に対して
垂直な方向の磁界により前述同様に高温側における前記
スピンの拘束力も適度に確保しながら、前記素子内の強
磁性体からなる金属片への各種磁気的外乱による内部磁
気抵抗の変化から起こる平面に対して垂直な方向の磁界
の変化に起因するバランスの崩れから誘発される0点の
ドリフトも低減し、総合的特性が向上可能である。
【0016】請求項4に記載の発明は、強磁性体からな
る金属片の平面上に接着剤を介して、前記金属片よりも
熱膨張係数の小さな磁歪を有する感磁手段を載置し、さ
らに前記平面に垂直な方向の磁界を印加し、使用温度以
上で接着硬化する力学量検出素子の製造方法であり、接
着硬化個所の場所毎のバラツキが発生し、圧縮歪(熱膨
張係数差と温度差から決まる)にバラツキが生じ、結果
として前記スピンの拘束力も異なることから最終硬化時
の前記スピンの方向にも場所毎のバラツキが発生し、0
点の温度ドリフトの悪化が起こるのが普通であるが、前
記平面に垂直な方向の磁界を印加しているため、接着硬
化個所の場所毎の圧縮歪(熱膨張係数差と温度差から決
まる)に多少のバラツキがあっても前記スピンの方向に
バラツキが発生し難く、0点の温度ドリフトも極めて小
さくすることが可能である。また、強磁性体からなる金
属片と垂直な方向の磁界印加手段との間には吸引力も働
くため接着過程での前記金属片と前記高磁歪非晶質磁性
合金薄帯とのクランプにも利用でき、新たに特別のクラ
ンプ手段を設ける必要もなくなる。接着硬化終了後に、
垂直な方向の磁界印加手段を除去しても、前記金属片は
強磁性体であるため残留磁化が残り、前記平面から前記
高磁歪非晶質磁性合金薄帯に対して垂直な方向の磁界を
印加し続ける効果がある。
【0017】請求項5に記載の発明は、強磁性体からな
る金属片の平面上に接着剤を介して、前記金属片よりも
熱膨張係数の小さな磁歪を有する感磁手段を載置し、さ
らに前記平面に垂直な方向の磁界を印加し、使用温度以
上で接着硬化し、最後に脱磁処理する力学量検出素子の
製造方法であり、接着硬化終了後に、垂直な方向の磁界
印加手段を除去するまでの過程及び作用効果は請求項4
に記載の発明と同様であるが、最後に脱磁処理を施すこ
とにより前記金属片の平面から前記高磁歪非晶質磁性合
金薄帯に対して垂直な方向の磁界のレベルを下げると同
時に、前記金属片内全体の残留磁化のレベルも低減する
効果がある。これにより、請求項3に記載の発明で説明
したと同様に、前記素子内の強磁性体からなる金属片へ
の各種磁気的外乱による内部磁気抵抗の変化から起こる
平面に対して垂直な方向の磁界の変化に起因するバラン
スの崩れから誘発される0点のドリフトも低減し、総合
的特性が向上可能である。
【0018】請求項6に記載の発明は、軸方向と平行な
平面を有し回転可能に支持された強磁性体からなる軸
と、前記軸の平面上に設けられ前記軸の長手方向に対し
45°および−45°をなす方向に複数スリットが形成
され且つ圧縮歪と前記平面に磁歪を有する感磁手段の保
磁力の5倍以上1Oe以下の垂直な方向の磁界が付与さ
れた前記感磁手段と、前記感磁手段の各々に対向する位
置に前記感磁手段を励磁し検出する励磁兼検出コイル
と、前記励磁兼検出コイルの外側に設けた磁気ヨーク
と、前記軸に伝わるトルクにより軸表面に発生する歪み
の変化を前記感磁手段の透磁率変化を介して前記コイル
の自己インダクタンス変化として検出し、前記励磁兼検
出コイルの自己インダクタンス差からトルクの大きさを
検出する電気的手段とを有するトルクセンサであり、軸
(例えば、機械構造用炭素鋼)上の一部に設けられた軸
方向と平行な平面上に、軸の長手方向に対し45°およ
び−45°をなす方向に複数スリットが形成された平面
状の磁歪を有する感磁手段(例えば、高磁歪非晶質磁性
合金薄帯)の構成がとれるため、これまでのような円周
面上での接着のような特殊な接着剤塗布装置、特殊工
法、特殊高精度治具も不要となるため、極めて安価な装
置で製造可能となる。また、前記軸平面上に平面状の高
磁歪非晶質磁性合金薄帯を熱膨張係数差と温度差を利用
し圧縮歪が付与されると同時に前記平面に垂直な方向の
磁界が付与されているため、普通ならば温度変化により
圧縮歪が不均一に変化(これに連動して、前記高磁歪非
晶質磁性合金薄帯内のスピンを平面に対して垂直な方向
に拘束する力も不均一に変化)し、バランスが崩れるこ
とによる0点の温度ドリフトの悪化が極めて簡易な構成
で抑制可能となる。
【0019】以下、本発明の一実施形態について図面を
参照しながら説明する。図1は本発明のトルクセンサの
軸の斜視図である。図1において、1は機械構造用炭素
鋼からなる軸、2は軸1の一部にその断面形状がDカッ
ト形状となるように形成された平面であり、軸方向と平
行な平面となっている。3は平面2の上に接着剤を介し
て載置された磁歪を有する感磁手段としての非晶質磁性
合金薄帯である。
【0020】本実施形態において、軸1は直径19m
m、Dカット部の幅13.7mm×長さ16.1mm
で、熱膨張係数は12.7×10-6(1/℃)である。
非晶質磁性合金薄帯3は、軸の長手方向に対し45°
(以下、「左部」と記す。)および−45°(以下、
「右部」と記す。)をなす方向に複数スリットが形成さ
れたFe−Ni−Mo−B系(例えば、アライド社製#
2826MB)、長さ25mmの平板で、飽和磁歪定数
は12×10-6、熱膨張係数は11.7×10-6(1/
℃)である。ビスマレイミドトリアジン系のBT213
5(三菱瓦斯化学(株)製)の接着剤をディスペンサと
マスクを用いて平面2上の所望の個所に塗布し、平板状
の非晶質磁性合金薄帯3をこの上に載置する。
【0021】図2は、図1に示したトルクセンサの軸の
平面2に磁気クランプ手段4を載置した状態を説明する
図である。図2において、4は表面を離型処理した磁気
クランプ手段としてのバックヨーク付の希土類磁石であ
る。
【0022】本実施形態において、表面を離型処理した
バックヨーク付の希土類磁石4は事前に熱枯らしがさ
れ、長さ29mm×幅15mm×高さ10mm(着磁方
向は高さ方向)で、バックヨークは厚さ2mm、SS4
1からなり、希土類磁石の長さ29mm×幅15mmの
面が所望の間隙をおいて平面2に対向している。間隙の
種類としては(表1)内に記した、3mm、0.5mm
の2種類である。図1で記したように、4本の軸1の平
面2上の所望の個所に接着剤を塗布し、それぞれの平面
2上に所望の位置決めをして、平板状の非晶質磁性合金
薄帯3を載置した後、表面を離型処理したバックヨーク
付の希土類磁石4を3mm、0.5mmの間隙をあけて
平面2にそれぞれ2個ずつ対向させる。この様に組み付
けられた4セットを235℃(2時間)、大気中の条件
で接着硬化させる。接着硬化処理が終了し放冷した後、
それぞれの軸から表面を離型処理したバックヨーク付の
希土類磁石4を外し、3mm、0.5mmの間隙をあけ
て接着硬化処理済みのそれぞれ2本の軸1の中から各1
本については、さらに脱磁を実施した。これら4本の軸
1の平面2に垂直な方向の磁界をそれぞれ測定した結果
を合わせて(表1)に示す。
【0023】
【表1】
【0024】図3は本発明の一実施形態におけるトルク
センサの断面図である。
【0025】図3において、前述したそれぞれの軸1の
平面2の上に接着固定された非晶質磁性合金薄帯3に対
向する所望の位置に間隙を隔てて設けた樹脂製のボビン
5には各々140ターンの巻数を施した励磁兼検出コイ
ル6a,6bが配設されており、さらにその外側には非
晶質磁性合金薄帯(例えば、Co−Fe−Ni−Mo−
B−Si系、アライド社製#2705M)からなる磁気
ヨーク7を取り付けてある。コイル6a,6bには、非
晶質磁性合金薄帯3の磁化ベクトルの回転磁化過程を利
用できる値を適宜選択した励磁磁界を駆動回路ブロック
から印加する。ここで、ボビン5、コイル6a,6b及
び磁気ヨーク7は、軸1に対して軸受9により支持され
た収納ケース8に配設され、非晶質磁性合金薄帯3に対
向されている。この構成により、軸1にトルクが加わる
と平面2の上に接着固定された非晶質磁性合金薄帯3に
も歪みが発生し、軸の長手方向に対し45°および−4
5°をなす方向に複数スリットが形成された非晶質磁性
合金薄帯3の左右部の透磁率がそれぞれ変化し、結果と
してコイル6a,6bの左右部の自己インダクタンスが
変化する。この左右部の自己インダクタンスの差からト
ルクの大きさおよび方向を検出できる。上記4セットお
よび従来のもの(1セット)に関して、“トルク−出力
電圧”の測定を行い比較した。特に、0点の温度ドリフ
トに関して、工法別と0点の温度ドリフト幅との関係を
まとめた結果を(表2)に示す。(表2)には、従来法
(ケース5)で作成したものの0点の温度ドリフト幅を
100とした時の、それぞれ(ケース1からケース4)
についての0点の温度ドリフト幅が記してある。
【0026】
【表2】
【0027】(表1)、(表2)の結果を対比し判明す
ることは、軸1の平面2から垂直な方向の磁界レベルが
大きい程、0点の温度ドリフト幅は小さい。これは、普
通ならば温度変化により圧縮歪が不均一に変化(これに
連動して、前記高磁歪非晶質磁性合金薄帯3内のスピン
を平面2に対して垂直な方向に拘束する力も不均一に変
化)し、バランスが崩れ0点の温度ドリフトを悪化させ
るが、平面2から垂直な方向の磁界が加えられ、その値
が大きい程前記高磁歪非晶質磁性合金薄帯3内のスピン
を平面2に対して垂直な方向に拘束する力が強いため、
温度変化により圧縮歪が不均一に変化してもスピンの乱
れは小さく、結果としてバランスの崩れも小さいため、
0点の温度ドリフトの悪化も少ないと思われる。
【0028】但し、軸1内の残留磁化が全体としても大
きなケース1、ケース3は、各種磁気的外乱による内部
磁気抵抗の変化から起こる平面2に対して垂直な方向の
磁界の変化に起因するバランスの崩れから誘発される0
点のドリフトが大きくなるため、各種磁気的外乱の大き
な環境で使用する場合は、ケース2、ケース4のよう
に、脱磁処理を施し軸1の平面2から垂直な方向の磁界
レベルを0.1(前記高磁歪非晶質磁性合金薄帯の保磁
力の5倍)〜1Oeに抑えることにより改善する。これ
により、製造プロセス中の効果および0点の温度ドリフ
トの悪化を抑制しながらも、各種磁気的外乱の大きな環
境で使用する場合の磁気抵抗の変化から起こる平面2に
対して垂直な方向の磁界の変化に起因するバランスの崩
れから誘発される0点のドリフトも低減し、総合的特性
が向上可能である。
【0029】また、実施形態においては軸として断面D
カット形状の平面を利用するようにしたが、他に断面小
判形状の平面をもつ軸、断面正方形状の平面をもつ軸を
使用してもよい。
【0030】また、本実施形態では軸に接着固定する感
磁手段は、鉄系の非晶質磁性合金薄帯としてアライド社
製#2826MBを使用したが、他に例えばアライド社
製#2605CO、#2605SC、#2605S2、
#2605S−3A、#2605SMを使用しても構わ
ない。
【0031】また、円形断面の軸に対して、Dカットに
より平面部を構成するため、要求仕様によってはさらに
高強度な非調質高強度鋼(例えば、MICA−75(住
友金属工業(株)製)等)を用いることも可能である。
これにより特別な焼入れ等の熱処理を施さなくても、軸
の強度も高く、均一性も良好且つ総合的な価格も低くで
きる利点がある。
【0032】なお、本発明の実施形態では、磁歪を有す
る感磁手段への圧縮歪付与に接着剤を利用する例のみ説
明したが、強磁性体からなる金属片よりも熱膨張係数の
小さな感磁手段を使用温度域以上の温度でスパッタ、メ
ッキ等の方法で形成しても構わない。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明は、強磁性体からな
る金属片の平面上に、前記金属片よりも熱膨張係数の小
さな磁歪を有する感磁手段を設け、さらに前記平面に垂
直な方向の磁界を印加し、使用温度以上で接着硬化また
は最後に脱磁処理するといった安価な装置が適用できか
つ簡易な製造方法で0点の温度ドリフトの低減が可能な
力学量検出素子が提供できる。また、軸方向と平行な平
面を有し回転可能に支持された強磁性体からなる軸と、
前記軸の平面上に設けられ前記軸の長手方向に対し45
°および−45°をなす方向に複数スリットが形成され
且つ圧縮歪と前記平面に前記感磁手段の保磁力の5倍以
上1Oe以下の垂直な方向の磁界が付与された磁歪を有
する感磁手段と、前記感磁手段の各々に対向する位置に
前記感磁手段を励磁し検出する励磁兼検出コイルと、前
記励磁兼検出コイルの外側に設けた磁気ヨークと、前記
軸に伝わるトルクにより軸表面に発生する歪みの変化を
前記感磁手段の透磁率変化を介して前記コイルの自己イ
ンダクタンス変化として検出し、前記励磁兼検出コイル
の自己インダクタンス差からトルクの大きさを検出する
電気的手段とを備える簡易な構成で、0点の温度ドリフ
トの低減が可能なばかりか各種磁気的外乱の大きな環境
で使用する場合の磁気抵抗の変化から起こる平面に対し
て垂直な方向の磁界の変化に起因するバランスの崩れか
ら誘発される0点のドリフトも低減し、総合的特性が向
上可能なトルクセンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトルクセンサの軸の斜視図
【図2】図1に示したトルクセンサの軸の平面2に磁気
クランプ手段4を載置した状態を説明する図
【図3】本発明の一実施形態におけるトルクセンサの断
面図
【符号の説明】
1 軸 2 平面 3 非晶質磁性合金薄帯 4 表面を離型処理した磁気クランプ手段 5 ボビン 6a,6b 励磁兼検出コイル 7 磁気ヨーク

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性体からなる金属片の平面上に圧縮
    歪と前記平面に垂直な方向の磁界が付与された磁歪を有
    する感磁手段を備えた力学量検出素子。
  2. 【請求項2】 垂直な方向の磁界は、6Oe以上15O
    e以下である請求項1記載の力学量検出素子。
  3. 【請求項3】 垂直な方向の磁界は、前記感磁手段の保
    磁力の5倍以上1Oe以下である請求項1記載の力学量
    検出素子。
  4. 【請求項4】 強磁性体からなる金属片の平面上に接着
    剤を介して、前記金属片よりも熱膨張係数の小さな磁歪
    を有する感磁手段を載置し、さらに前記平面に垂直な方
    向の磁界を印加し、使用温度以上で接着硬化する力学量
    検出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 強磁性体からなる金属片の平面上に接着
    剤を介して、前記金属片よりも熱膨張係数の小さな磁歪
    を有する感磁手段を載置し、さらに前記平面に垂直な方
    向の磁界を印加し、使用温度以上で接着硬化し、最後に
    脱磁処理する力学量検出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 軸方向と平行な平面を有し回転可能に支
    持された強磁性体からなる軸と、前記軸の平面上に設け
    られ前記軸の長手方向に対し45°および−45°をな
    す方向に複数スリットが形成され且つ圧縮歪と前記平面
    に磁歪を有する感磁手段の保磁力の5倍以上1Oe以下
    の垂直な方向の磁界が付与された前記感磁手段と、前記
    感磁手段の各々に対向する位置に前記感磁手段を励磁し
    検出する励磁兼検出コイルと、前記励磁兼検出コイルの
    外側に設けた磁気ヨークと、前記軸に伝わるトルクによ
    り軸表面に発生する歪みの変化を前記感磁手段の透磁率
    変化を介して前記コイルの自己インダクタンス変化とし
    て検出し、前記励磁兼検出コイルの自己インダクタンス
    差からトルクの大きさを検出する電気的手段とを有する
    トルクセンサ。
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