JPH10238714A - 石炭燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラント効率を低下させることなく、バーナ
スロート部の周縁部におけるクリンカの付着・成長を確
実に抑制し得る石炭燃焼装置を提供する。 【解決手段】 バーナスロート部２と略同心状に配設さ
れ且つ取入口２５から燃焼用の二次空気４の一部が導入
される環状ヘッダ管２６と、該環状ヘッダ管２６の周方
向所要位置に基端が接続され且つ先端が耐火材１ｃを貫
通してバーナスロート部２の周縁部所要位置に開口する
複数の噴射ノズル２７とを備えてなるクリンカ付着防止
装置２４を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、石炭燃焼装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】ミルで粉砕した石炭の微粉を一次空気と
混合して微粉炭バーナへ供給し該微粉炭バーナから噴出
させて浮遊燃焼させる微粉炭燃焼は、従来から広く一般
に用いられている石炭の燃焼方式である。

【０００３】微粉炭燃焼方式のボイラの火炉に使用され
ている微粉炭バーナを備えた石炭燃焼装置の一例を図３
によって説明すると、火炉１の炉壁１ａにおける所定位
置には、炉壁１ａを構成する炉壁管１ｂを曲げて開口さ
せた部分に耐火材１ｃを設けてなるバーナスロート部２
が形成されており、該バーナスロート部２付近の火炉１
の外部にはウインドボックス３が配置されていて、図示
していない空気予熱器において燃焼排ガスにより加熱さ
れた燃焼用の二次空気４をウインドボックス３から火炉
１へ供給するようになっている。

【０００４】前記バーナスロート部２の中心部にはウイ
ンドボックス３を貫通する微粉炭バーナ５が設けられて
いて、該微粉炭バーナ５の中心部には、略円筒状で先端
開口部に先端に向かって直径が急減する絞り部を有する
バーナ内筒６が配置され、該バーナ内筒６の軸心位置に
はオイルバーナ７が挿入されている。

【０００５】前記バーナ内筒６の外側にはバーナ外筒８
がバーナ内筒６と同心状に配設されていて、該バーナ外
筒８は基端部分が略円筒状で、中間部分から先端に向か
って直径が漸減する中空円筒状になっている。

【０００６】前記バーナ外筒８の先端開口部には、先端
に向かって直径が急減するバーナノズル９が取り付けら
れている。

【０００７】前記バーナ外筒８の基端部には、その接線
方向へ延びる微粉炭流の導入口１９が突設され、該導入
口１９には微粉炭管１３が接続されていて、図示してい
ないミルから一次空気１１と共に供給される微粉炭１０
をバーナ外筒８内へ導くようになっており、バーナ外筒
８の内部を一次空気１１によって搬送されてくる微粉炭
１０が流動するようにしてある。

【０００８】前記バーナ内筒６の基端部外周とバーナ外
筒８の基端部内周には、微粉炭管１３から微粉炭流の導
入口１９を介して供給される微粉炭１０によるバーナ内
筒６の基端部外周とバーナ外筒８の基端部内周の摩耗を
防止するための耐摩耗材からなるライナ２０が取り付け
られている。

【０００９】前記バーナスロート部２とウインドボック
ス３との間に形成された空間には、二次空気４の旋回力
を調整するためのエアレジスタ１５を、バーナスロート
部２の周りを円形に囲うように配設すると共に、エアレ
ジスタ１５の内側の周方向には、二次空気４を内側と外
側とに分離するための複数のインナベーン１６を配設
し、更に、ウインドボックス３とバーナ内筒６の基端部
とを、三次空気管１８によって連通せしめ、三次空気１
７をバーナ内筒６へ導くようにしてある。

【００１０】図３に示される石炭燃焼装置においては、
図示していないミルから微粉炭管１３とバーナへの微粉
炭流の導入口１９を介してバーナ外筒８の内部へ一次空
気１１と共に供給される微粉炭１０は、バーナ外筒８の
後端部において旋回力を与えられ、バーナ内筒６とバー
ナ外筒８との間の空間内を周方向に旋回しながら先端側
へ流動し、バーナノズル９の先端からバーナスロート部
２へ噴出し、主としてウインドボックス３から供給され
る二次空気４と混合して燃焼するようになっている。

【００１１】しかしながら、前述の如き石炭燃焼装置の
場合、燃焼排ガス中に含まれる灰がバーナスロート部２
の周縁部に付着して溶融し、クリンカとして堆積しやす
く、このようにバーナスロート部２の周縁部にクリンカ
が堆積すると、火炉１の収熱を低下させる原因となると
共に、大きく成長したクリンカがバーナスロート部２の
周縁部から剥がれて落下した場合には火炉１が損傷を受
ける虞れもあった。

【００１２】このため、従来においては、例えば、図４
に示されるように、バーナスロート部２における耐火材
１ｃの内周面側に、図示していない空気予熱器をバイパ
スした冷空気が供給されるクーリングエアボックス２１
と、該クーリングエアボックス２１に供給された冷空気
の流路２２を形成するためのステンレス等の耐熱材から
なるカバー２３とを設け、前記冷空気をクーリングエア
ボックス２１から流路２２を介してバーナスロート部２
の周縁部に流すことにより、耐火材１ｃを冷却して灰の
溶融点（およそ１１００〜１３００℃程度）以下の温度
とし、灰の溶融を防いで、バーナスロート部２の周縁部
へのクリンカの付着を防止しようとするものがあった。

【００１３】又、耐火材１ｃは一旦熱を持つとなかなか
冷めず、灰の溶融点以上の温度のまま保持されやすく、
耐火材１ｃに付着した灰が溶融しクリンカとして堆積し
やすくなることから、これを防ぐために、バーナスロー
ト部２における耐火材１ｃの量を極力減少させ、内部に
水等が循環される炉壁管１ｂによって耐火材１ｃが効率
よく冷却されるようにし、該耐火材１ｃの温度がなるべ
く灰の溶融点以下となるようにすることも行われてい
た。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図４に
示される石炭燃焼装置のように、空気予熱器（図示せ
ず）をバイパスした冷空気をクーリングエアボックス２
１から流路２２を介してバーナスロート部２の周縁部に
流すのでは、空気予熱器における排熱回収が充分に行わ
れなくなり、プラント効率の低下につながる一方、前記
流路２２を形成するカバー２３が経年劣化しやすく、そ
の補修費が嵩むという欠点を有していた。

【００１５】又、前述の如く、バーナスロート部２にお
ける耐火材１ｃの量を極力減少させることは、クリンカ
の付着抑制にはある程度の効果はあるものの、万全であ
るとは言えなかった。

【００１６】本発明は、斯かる実情に鑑み、プラント効
率を低下させることなく、バーナスロート部の周縁部に
おけるクリンカの付着・成長を確実に抑制し得る石炭燃
焼装置を提供しようとするものである。

【００１７】

【課題を解決するための手段】本発明は、石炭の微粉を
微粉炭バーナから火炉のバーナスロート部へ噴出させて
燃焼させる石炭燃焼装置であって、燃焼用二次空気の一
部をクリンカ付着防止用空気としてバーナスロート部の
周縁部へ噴射するクリンカ付着防止装置を備えたことを
特徴とする石炭燃焼装置にかかるものである。

【００１８】前記石炭燃焼装置においては、バーナスロ
ート部と略同心状に配設され且つ取入口から燃焼用二次
空気の一部が導入される環状ヘッダ管と、該環状ヘッダ
管の周方向所要位置に基端が接続され且つ先端がバーナ
スロート部の周縁部所要位置に開口する複数の噴射ノズ
ルとからクリンカ付着防止装置を構成することができ
る。

【００１９】上記手段によれば、以下のような作用が得
られる。

【００２０】微粉炭バーナから石炭の微粉をバーナスロ
ート部へ噴出させ、燃焼用二次空気と混合させて燃焼さ
せる際には、燃焼用二次空気の一部がクリンカ付着防止
装置からクリンカ付着防止用空気としてバーナスロート
部の周縁部へ噴射され、微粉炭バーナから出る火炎の外
部における火炉内の炉内ガスの外部循環流が、バーナス
ロート部の周縁部に沿って流れることが抑制されると共
に、前記クリンカ付着防止装置から噴射されるクリンカ
付着防止用空気によりバーナスロート部の周縁部におけ
る温度上昇も抑制され、バーナスロート部の周縁部にク
リンカがほとんど付着しなくなる。

【００２１】又、前記微粉炭バーナの消火中において
も、前記クリンカ付着防止装置からクリンカ付着防止用
空気はバーナスロート部の周縁部へ噴射されるため、火
炉内の炉内ガスが、前述と同様、バーナスロート部の周
縁部に沿って流れることが抑制されると共に、前記クリ
ンカ付着防止装置から噴射されるクリンカ付着防止用空
気によりバーナスロート部の周縁部における温度上昇も
抑制され、バーナスロート部の周縁部にクリンカがほと
んど付着しなくなる。

【００２２】本発明においては、空気予熱器において燃
焼排ガスにより加熱された燃焼用二次空気の一部をクリ
ンカ付着防止用空気として用いているため、プラント効
率が低下する心配がない。

【００２３】更に、本発明においては、燃焼用二次空気
の一部をクリンカ付着防止用空気としてバーナスロート
部の周縁部、即ち石炭の微粉の燃焼域の外部へ噴射して
いるため、該燃焼域における酸素濃度が若干下がり、微
粉の燃焼が緩やかとなり、ＮＯxの低減にもつながるこ
ととなる。

【００２４】前記石炭燃焼装置において、バーナスロー
ト部と略同心状に配設され且つ取入口から燃焼用二次空
気の一部が導入される環状ヘッダ管と、該環状ヘッダ管
の周方向所要位置に基端が接続され且つ先端がバーナス
ロート部の周縁部所要位置に開口する複数の噴射ノズル
とからクリンカ付着防止装置を構成すると、燃焼用二次
空気の一部は、取入口から環状ヘッダ管内へ導入され、
該環状ヘッダ管内へ導入された燃焼用二次空気の一部
は、各噴射ノズルからクリンカ付着防止用空気としてバ
ーナスロート部の周縁部へ噴射される形となる。

【００２５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例と共に説明する。

【００２６】図１及び図２は本発明を実施する形態の一
例であって、図中、図３及び図４と同一の符号を付した
部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図３及び
図４に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴
とするところは、図１及び図２に示す如く、燃焼用の二
次空気４の一部をクリンカ付着防止用空気４’としてバ
ーナスロート部２の周縁部へ噴射するクリンカ付着防止
装置２４を具備した点にある。

【００２７】本図示例の場合、前記クリンカ付着防止装
置２４は、バーナスロート部２と略同心状に配設され且
つ取入口２５から燃焼用の二次空気４の一部が導入され
る環状ヘッダ管２６と、該環状ヘッダ管２６の周方向所
要位置に基端が接続され且つ先端が耐火材１ｃを貫通し
てバーナスロート部２の周縁部所要位置に開口する複数
（図の例では十二本）の噴射ノズル２７とを備えてなる
構成を有している。

【００２８】次に、上記図示例の作動を説明する。

【００２９】微粉炭バーナ５のバーナノズル９の先端か
ら石炭の微粉をバーナスロート部２へ噴出させ、ウイン
ドボックス３から供給される燃焼用の二次空気４と混合
させて燃焼させる際には、燃焼用の二次空気４の一部が
クリンカ付着防止装置２４の取入口２５から環状ヘッダ
管２６内へ導入され、該環状ヘッダ管２６内へ導入され
た燃焼用の二次空気４の一部は、各噴射ノズル２７から
クリンカ付着防止用空気４’としてバーナスロート部２
の周縁部へ噴射され、微粉炭バーナ５から出る火炎の外
部における火炉１内の炉内ガスの外部循環流２８が、バ
ーナスロート部２の周縁部における耐火材１ｃ表面に沿
って流れることが抑制されると共に、前記各噴射ノズル
２７から噴射されるクリンカ付着防止用空気４’により
バーナスロート部２の周縁部における温度上昇も抑制さ
れ、バーナスロート部２の周縁部にクリンカがほとんど
付着しなくなる。

【００３０】又、前記微粉炭バーナ５の消火中において
は、エアレジスタ１５は閉じられるが、前記各噴射ノズ
ル２７からクリンカ付着防止用空気４’はバーナスロー
ト部２の周縁部へ噴射されるため、火炉１内の炉内ガス
が、前述と同様、バーナスロート部２の周縁部における
耐火材１ｃ表面に沿って流れることが抑制されると共
に、前記各噴射ノズル２７から噴射されるクリンカ付着
防止用空気４’によりバーナスロート部２の周縁部にお
ける温度上昇も抑制され、バーナスロート部２の周縁部
にクリンカがほとんど付着しなくなる。

【００３１】本図示例においては、図４に示される従来
の石炭燃焼装置のように、空気予熱器（図示せず）をバ
イパスした冷空気をクーリングエアボックス２１から流
路２２を介してバーナスロート部２の周縁部に流すので
はなく、前記空気予熱器において燃焼排ガスにより加熱
された燃焼用の二次空気４の一部をクリンカ付着防止用
空気４’として用いているため、プラント効率が低下す
る心配がなく、又、噴射ノズル２７は耐火材１ｃの内部
を貫通させており、微粉炭バーナ５からの火炎の影響を
受けにくいため、噴射ノズル２７は経年劣化しにくく、
その補修費も節約できる。

【００３２】更に、本図示例においては、燃焼用の二次
空気４の一部をクリンカ付着防止用空気４’としてバー
ナスロート部２の周縁部、即ち石炭の微粉の燃焼域の外
部へ噴射しているため、該燃焼域における酸素濃度が若
干下がり、微粉の燃焼が緩やかとなり、ＮＯxの低減に
もつながることとなる。

【００３３】こうして、プラント効率を低下させること
なく、バーナスロート部２の周縁部におけるクリンカの
付着・成長を確実に抑制し得ると共に、ＮＯxの低減を
も図り得る。

【００３４】尚、本発明の石炭燃焼装置は、上述の図示
例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論で
ある。

【００３５】

【発明の効果】以上、説明したように本発明の石炭燃焼
装置によれば、プラント効率を低下させることなく、バ
ーナスロート部の周縁部におけるクリンカの付着・成長
を確実に抑制し得、且つＮＯxの低減をも図り得るとい
う優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施する形態の一例の側断面図であ
る。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ矢視図である。

【図３】従来の石炭燃焼装置の一例を表わす側断面図で
ある。

【図４】従来の石炭燃焼装置の他の例を表わす側断面図
である。

【符号の説明】

１ 火炉 ２ バーナスロート部 ４ （燃焼用）二次空気 ４’ クリンカ付着防止用空気 ５ 微粉炭バーナ ２４ クリンカ付着防止装置 ２５ 取入口 ２６ 環状ヘッダ管 ２７ 噴射ノズル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 石炭の微粉を微粉炭バーナから火炉のバ
   ーナスロート部へ噴出させて燃焼させる石炭燃焼装置で
   あって、燃焼用二次空気の一部をクリンカ付着防止用空
   気としてバーナスロート部の周縁部へ噴射するクリンカ
   付着防止装置を備えたことを特徴とする石炭燃焼装置。
2. 【請求項２】 バーナスロート部と略同心状に配設され
   且つ取入口から燃焼用二次空気の一部が導入される環状
   ヘッダ管と、該環状ヘッダ管の周方向所要位置に基端が
   接続され且つ先端がバーナスロート部の周縁部所要位置
   に開口する複数の噴射ノズルとからクリンカ付着防止装
   置を構成した請求項１記載の石炭燃焼装置。