JPH10238709A - 点検ニップル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体容器に設けられた点検ニップル内面で生
じるエロージョンを防止する。 【解決手段】 気水分離容器２及び管寄せ容器９からな
る流体容器に設けられた点検孔１４を流体容器外部から
包囲するように円筒部１６ａを介して流体容器に取付け
られる蓋板部１６ｂと、該蓋板部１６ｂ内に一体に取付
けられて前記点検孔１４に微小の隙間１７を有して嵌合
し且つ容器側先端１８を流体容器内周面１９と略一致さ
せたエロージョン防止プラグ１６ｃとからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、点検ニップルに関
し、詳しくは、エロージョン防止プラグを一体に設けて
エロージョンの防止を確実に行い得るようにした点検ニ
ップルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４はボイラに備えられる気水分離器１
の一例であり、該気水分離器１は、気水分離容器２（流
体容器）と、該気水分離容器２の外周に接続され気水
（水と蒸気の混合流体）を流入させる管３とからなり、
気水分離容器２には上側に蒸気を取出す蒸気出口４と、
下側に水を取出す水出口５とを有している。

【０００３】気水分離容器２は、図５に示すごとく水平
断面形状が円形で上下に長い筒状を有しており、管３が
前記気水分離容器２の外周の四方に接線方向から接続さ
れることにより、高圧の気水が管３から気水分離容器２
に流れ込む際に、気水に旋回Ｒが与えられ、旋回Ｒを与
えられた気水は、旋回Ｒによる遠心力によって水と蒸気
に分離され、蒸気は気水分離器１の上部の蒸気出口４か
ら噴出し、水は気水分離器１の下部の水出口５から流出
するようになっている。

【０００４】前記気水分離容器２は、該気水分離容器２
を組立てる際の溶接線６を有しており、この溶接線６は
定期的に気水分離容器２の内側から検査する必要があ
り、このために気水分離容器２の上部には点検ニップル
７が備えられている。

【０００５】図６はボイラに備えられる管寄せ８の一例
であり、該管寄せ８は、管寄せ容器９（流体容器）と、
該管寄せ容器９の外周に接続されて高圧の蒸気を集める
多数の蒸気管１１とからなり、管寄せ容器９には端部に
曲り部１０を有している。

【０００６】蒸気管１１は、管寄せ容器９の周面に沿っ
てクモの足状に複数本配設されており、蒸気管１１から
管寄せ容器９内に集められた蒸気は、曲り部１０を旋回
Ｒした後、蒸気集合流体として下流に導かれるようにな
っている。

【０００７】管寄せ８は、管寄せ容器９の曲り部１０を
組立てるための溶接線６を有しており、この溶接線６は
定期的に管寄せ容器９の内側から検査する必要があり、
このために前記管寄せ容器９の曲り部１０には、前記図
４の気水分離容器２と同様の点検ニップル７が備えられ
ている。

【０００８】図４の気水分離器１及び図６の管寄せ８に
備えられる点検ニップル７は、図７に示すごとく、前記
気水分離容器２及び管寄せ容器９からなる流体容器に設
けられた点検孔１４の外側を包囲するよう内部に空胴１
５を備えた円筒体７ａが、溶接部１２にて取付けられお
り、円筒体７ａの反容器側先端には蓋体７ｂが溶接部１
３で接続された形状を有している。

【０００９】前記気水分離容器２及び管寄せ容器９から
なる流体容器の点検時には、ボイラの運転を停止して、
気水分離器１及び管寄せ８の作動を停止した後、点検ニ
ップル７の円筒体７ａの先端部（蓋体７ｂとの溶接部１
３近傍）を切断して蓋体７ｂを除去することにより点検
孔１４を開孔し、該点検孔１４からファイバースコープ
等を気水分離容器２及び管寄せ容器９の内部に挿入し、
溶接線６を観察することによって点検を行うようにして
いる。なお、点検後は、蓋体７ｂを円筒体７ａに溶接部
１３で溶接して点検孔１４を塞ぐことにより、再度作動
可能な状態にする。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の点検ニ
ップル７においては、点検ニップル７内部が空胴１５に
なっているために、流体Ｆが気水分離容器２及び管寄せ
容器９からなる流体容器内を高速に流動する際に、図７
に示すごとく点検ニップル７内部の空胴１５に高速の渦
流Ｗが生じて点検ニップル７内面にエロージョンを生じ
させる。該エロージョンが進行すると、点検ニップル７
が破断して内部の高圧の流体Ｆ（蒸気）が噴出するとい
う問題を生じていた。

【００１１】本発明は、かかる従来の問題点を解決すべ
く、従来の点検ニップルが有する空胴をなくして、エロ
ージョンを防止できる点検ニップルを提供することを目
的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、流体容器に設
けられた点検孔を流体容器外部から包囲するように円筒
部を介して流体容器に取付けられる蓋板部と、該蓋板部
内に一体に取付けられて前記点検孔に微小の隙間を有し
て嵌合し且つ容器側先端を流体容器内周面と略一致させ
たエロージョン防止プラグとからなるものである。

【００１３】本発明では、エロージョン防止プラグの容
器側先端が流体容器内周面と略一致して点検孔を塞いで
いるため、流体容器内を高速の流体が流動する際に、点
検ニップル内に渦流が発生することがなく、よって点検
ニップル内面のエロージョンを防止することができるの
で、エロージョンによって点検ニップルが破断するよう
な問題の発生を防止することができる。またエロージョ
ン防止プラグと点検孔の間に微小の隙間を有しているの
で、エロージョン防止プラグが焼付くことがなく、流体
容器停止時に蓋板部を切断することにより点検孔からエ
ロージョン防止プラグを確実に引抜くことができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例と共に説明する。

【００１５】図１は本発明の実施の形態例であって、図
中、図４〜図７と同一の符号を付した部分は同一物を表
わしており、本図示例の構成で特徴とするところは、図
１に示すごとく、点検ニップル１６にエロージョン防止
プラグ１６ｃを備えている点である。

【００１６】点検ニップル１６は、図４及び図７に示す
気水分離容器２及び管寄せ容器９からなる流体容器に設
けられた点検孔１４の外側を包囲するよう溶接部１２に
よって取付けられた円筒部１６ａと、該円筒部１６ａの
反容器側先端に溶接部１３によって取付けられた蓋板部
１６ｂと、該蓋板部１６ｂの内側に一体に形成されたエ
ロージョン防止プラグ１６ｃとを備えている。

【００１７】前記点検ニップル１６のエロージョン防止
プラグ１６ｃは、点検孔１４と焼付かぬよう微小の隙間
１７を有して点検孔１４に嵌合されており且つ容器側先
端１８は流体容器内周面１９と略一致する長さとなるよ
うに形成されている。

【００１８】以下、上記図１に示した実施の形態例の作
用を説明する。

【００１９】図１に示すような点検ニップル１６を気水
分離容器２或いは管寄せ容器９からなる流体容器に備え
ると、ボイラの運転により高圧の気水からなる流体Ｆが
従来例と同様に気水分離容器２及び管寄せ容器９内を旋
回Ｒしながら流動する。

【００２０】このとき、気水分離容器２及び管寄せ容器
９からなる流体容器に形成された点検孔１４を、点検ニ
ップル１６のエロージョン防止プラグ１６ｃが塞いでい
るので、点検ニップル１６内に渦流が発生することがな
く、よって点検ニップル１６内面がエロージョンにより
損耗することを防止して点検ニップル１６が破断するよ
うな問題の発生を防止することができる。

【００２１】又、前記気水分離容器２及び管寄せ容器９
の溶接線６の点検時には、ボイラの運転を停止して、気
水分離器１及び管寄せ８の作動を停止した後、点検ニッ
プル１６の蓋板部１６ｂを溶接部１３で切断して蓋板部
１６ｂを除去することにより点検孔１４を開孔し、該点
検孔１４からファイバースコープ等を気水分離容器２及
び管寄せ容器９の内部に挿入し、溶接線６の観察するこ
とによって点検を行うようにしている。

【００２２】この時、エロージョン防止プラグ１６ｃと
点検孔１４の間には微小な隙間１７を有しているため、
エロージョン防止プラグ１６ｃが点検孔１４に焼付くこ
とがなく、従って点検時に溶接部１３の切断により蓋板
部１６ｂと一体化されたエロージョン防止プラグ１６ｃ
を点検孔１４から確実に引抜くことができる。

【００２３】なお、点検後は、再び図１に示すようにエ
ロージョン防止プラグ１６ｃが点検孔１４に嵌合するよ
うに蓋板部１６ｂを溶接部１３で円筒部１６ａに溶接す
る。

【００２４】図２は本発明の他の実施の形態例を示して
おり、図２の点検ニップル１６は、円筒部１６ａの反容
器側先端に溶接した蓋板部１６ｂとエロージョン防止プ
ラグ１６ｃとを図１と同様に一体化しており、蓋板部１
６ｂの反容器側先端外側からエロージョン防止プラグ１
６ｃ内部の中途部までくり抜いた穴２０を形成してい
る。

【００２５】又、図３は本発明の更に他の実施の形態例
を示しており、図３の点検ニップル１６は、蓋板部１６
ｂの内側中心に雄ネジ２１が固定されており、該雄ネジ
２１には、点検孔１４を塞ぐように嵌合するエロージョ
ン防止プラグ１６ｃが雌ネジ２２により螺合されてお
り、更に防止プラグ１６ｃは溶接２３により雄ネジ２１
に固着されている。従って、気水分離容器２及び管寄せ
容器９からなる流体容器の厚みが点検ニップル１６の取
付け部分において異なっていても、エロージョン防止プ
ラグ１６ｃを切断して長さを調節することなく、雄ネジ
２１に対する螺合を調節することにより、エロージョン
防止プラグ１６ｃの容器側先端１８を気水分離容器２及
び管寄せ容器９の内周面１９と略一致するように調節す
ることが可能である。

【００２６】上記図２及び図３に示した構成においても
図１の構成と同様に、点検孔１４に嵌合するように点検
ニップル１６に備えたエロージョン防止プラグ１６ｃに
より、気水分離容器２及び管寄せ容器９からなる流体容
器内を高速の流体が流動する際、点検ニップル１６内に
渦流が発生することがなく、よって点検ニップル１６内
面がエロージョンにより損耗することを防止して点検ニ
ップル１６が破断するような問題の発生を防止すること
ができる。

【００２７】又、エロージョン防止プラグ１６ｃと点検
孔１４の間に微小の隙間１７を有しているため、エロー
ジョン防止プラグ１６ｃが点検孔１４に焼付くことがな
く、点検時に溶接部１３の切断により点検孔１４からエ
ロージョン防止プラグ１６ｃを確実に引抜くことができ
る。

【００２８】なお、本発明は、上述の形態例に限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて種々変更を加え得ることは勿論である。

【００２９】

【発明の効果】本発明の点検ニップルによれば、点検ニ
ップル内面のエロージョンを防止することができるの
で、エロージョンによってニップルが破断するような問
題の発生を防止することができる。またエロージョン防
止プラグは焼付くことがないので、流体容器停止時に蓋
板部を切断することにより点検孔からエロージョン防止
プラグを確実に引抜くことができるという優れた効果を
奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の点検ニップルの実施の形態例を示す切
断側面図である。

【図２】本発明の点検ニップルの他の実施の形態例を示
す切断側面図である。

【図３】本発明の点検ニップルの更に他の実施の形態例
を示す切断側面図である。

【図４】気水分離器の側面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ方向の矢視図である

【図６】管寄せの側面図である。

【図７】従来の点検ニップルの一例を示す切断側面図で
ある。

【符号の説明】

２ 気水分離容器（流体容器） ９ 管寄せ容器（流体容器） １４ 点検孔 １６ 点検ニップル １６ａ 円筒部 １６ｂ 蓋板部 １６ｃ エロージョン防止プラグ １７ 隙間 １８ 容器側先端 １９ 流体容器内周面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流体容器に設けられた点検孔を流体容器
   外部から包囲するように円筒部を介して流体容器に取付
   けられる蓋板部と、該蓋板部内に一体に取付けられて前
   記点検孔に微小の隙間を有して嵌合し且つ容器側先端を
   流体容器内周面と略一致させたエロージョン防止プラグ
   とからなることを特徴とする点検ニップル。