JPH10237457A - 超臨界水を用いた石炭の転換方法 - Google Patents
超臨界水を用いた石炭の転換方法Info
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- JPH10237457A JPH10237457A JP4335397A JP4335397A JPH10237457A JP H10237457 A JPH10237457 A JP H10237457A JP 4335397 A JP4335397 A JP 4335397A JP 4335397 A JP4335397 A JP 4335397A JP H10237457 A JPH10237457 A JP H10237457A
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 安価な水を溶媒として用い、セルロース系バ
イオマスの分解により発生する活性水素を用いて石炭を
軽質化し液化する。従来法の乾燥前処理工程を不要とし
プロセスを簡素化し、かつ従来法と比べて反応時間が極
めて短く転換効率が高く、製造コストを低減する。 【解決手段】 前処理工程11で微粉化した石炭と水と
解砕又は粉砕したセルロース系バイオマスを混合して好
ましくは濃度が5〜60重量%の石炭のスラリーを調製
する。石炭液化工程12でスラリーを超臨界状態に維持
して、上記バイオマスの分解と、石炭の加水分解反応
と、石炭の熱分解反応と、上記バイオマスの分解により
生じる活性水素と未反応の石炭との反応とを併発して複
合的に起こさせることにより上記未反応石炭を軽質化し
て液化する。分留工程13で工程12で生じた油を含む
超臨界水を段階的に減圧及び冷却して生成油を分留す
る。
イオマスの分解により発生する活性水素を用いて石炭を
軽質化し液化する。従来法の乾燥前処理工程を不要とし
プロセスを簡素化し、かつ従来法と比べて反応時間が極
めて短く転換効率が高く、製造コストを低減する。 【解決手段】 前処理工程11で微粉化した石炭と水と
解砕又は粉砕したセルロース系バイオマスを混合して好
ましくは濃度が5〜60重量%の石炭のスラリーを調製
する。石炭液化工程12でスラリーを超臨界状態に維持
して、上記バイオマスの分解と、石炭の加水分解反応
と、石炭の熱分解反応と、上記バイオマスの分解により
生じる活性水素と未反応の石炭との反応とを併発して複
合的に起こさせることにより上記未反応石炭を軽質化し
て液化する。分留工程13で工程12で生じた油を含む
超臨界水を段階的に減圧及び冷却して生成油を分留す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超臨界状態にするこ
とにより石炭を油その他に転換する方法に関する。更に
詳しくは超臨界状態におけるセルロースを主成分とする
バイオマス(以下、セルロース系バイオマスという)の
分解により発生した活性水素を石炭に添加することによ
り石炭を軽質化し、燃料用油又は有用な化合物或いは混
合物に転換する方法に関するものである。
とにより石炭を油その他に転換する方法に関する。更に
詳しくは超臨界状態におけるセルロースを主成分とする
バイオマス(以下、セルロース系バイオマスという)の
分解により発生した活性水素を石炭に添加することによ
り石炭を軽質化し、燃料用油又は有用な化合物或いは混
合物に転換する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、石炭に水素を添加して液化する方
法としては、Ni,Co,Fe等の触媒の存在下で分子
状水素ガスを石炭に添加して軽質化し、石炭を液化する
方法が知られている。また別の方法として、水素供与性
溶剤の利用により石炭に水素を添加し、石炭を軽質化し
液化する方法が知られている。
法としては、Ni,Co,Fe等の触媒の存在下で分子
状水素ガスを石炭に添加して軽質化し、石炭を液化する
方法が知られている。また別の方法として、水素供与性
溶剤の利用により石炭に水素を添加し、石炭を軽質化し
液化する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの技術において
必要となる水素は、重量換算で石炭重量の約5〜約8%
に及んでいる。またこれらの技術では石炭のガス化やメ
タンの改質等により製造した水素を用いることが前提と
されている。そのため石炭の液化コストに占める水素製
造のためのコストが増大し、その結果石炭転換プロセス
としてこれらに代わるコストの安い転換プロセスが望ま
れている。またこれらのプロセスは水の混入は好ましく
ないので、水分除去のための乾燥前処理工程が必要であ
り、この前処理工程のコストも無視できないことが指摘
されている。更に従来の石炭の転換方法では、反応に約
1時間程度要するため、所定日数において転換量を増や
す場合には、反応器を多数設けるか、或いは大型化しな
ければならなかった。
必要となる水素は、重量換算で石炭重量の約5〜約8%
に及んでいる。またこれらの技術では石炭のガス化やメ
タンの改質等により製造した水素を用いることが前提と
されている。そのため石炭の液化コストに占める水素製
造のためのコストが増大し、その結果石炭転換プロセス
としてこれらに代わるコストの安い転換プロセスが望ま
れている。またこれらのプロセスは水の混入は好ましく
ないので、水分除去のための乾燥前処理工程が必要であ
り、この前処理工程のコストも無視できないことが指摘
されている。更に従来の石炭の転換方法では、反応に約
1時間程度要するため、所定日数において転換量を増や
す場合には、反応器を多数設けるか、或いは大型化しな
ければならなかった。
【0004】本発明の目的は、安価な水を溶媒として用
い、かつセルロース系バイオマスの分解により発生する
活性水素を用いて石炭を軽質化し液化する超臨界水によ
る石炭の転換方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、従来法の乾燥前処理工程を不要としプロセスを
簡素化し、かつ従来法と比べて反応時間が極めて短く転
換効率が高く、製造コストを低減し得る超臨界水による
石炭の転換方法を提供することにある。
い、かつセルロース系バイオマスの分解により発生する
活性水素を用いて石炭を軽質化し液化する超臨界水によ
る石炭の転換方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、従来法の乾燥前処理工程を不要としプロセスを
簡素化し、かつ従来法と比べて反応時間が極めて短く転
換効率が高く、製造コストを低減し得る超臨界水による
石炭の転換方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1に示すように、微粉化した石炭と水と解砕又は粉砕
したセルロース系バイオマスを混合して石炭のスラリー
を調製する前処理工程11と;このスラリーを超臨界状
態に維持して、セルロース系バイオマスの分解と、石炭
の加水分解反応と、石炭の熱分解反応と、上記セルロー
ス系バイオマスの分解により生じる活性水素と未反応の
石炭との反応とを併発して複合的に起こさせることによ
り上記未反応石炭を軽質化して液化する石炭液化工程1
2と、この液化工程12で生じた油を含む超臨界水を段
階的に減圧及び冷却して上記生成した油を分留する分留
工程13と含むことを特徴とする超臨界水による石炭の
転換方法である。
図1に示すように、微粉化した石炭と水と解砕又は粉砕
したセルロース系バイオマスを混合して石炭のスラリー
を調製する前処理工程11と;このスラリーを超臨界状
態に維持して、セルロース系バイオマスの分解と、石炭
の加水分解反応と、石炭の熱分解反応と、上記セルロー
ス系バイオマスの分解により生じる活性水素と未反応の
石炭との反応とを併発して複合的に起こさせることによ
り上記未反応石炭を軽質化して液化する石炭液化工程1
2と、この液化工程12で生じた油を含む超臨界水を段
階的に減圧及び冷却して上記生成した油を分留する分留
工程13と含むことを特徴とする超臨界水による石炭の
転換方法である。
【0006】この石炭液化工程12における反応形態に
ついて以下に述べる。先ず超臨界水中でセルロース系
バイオマスの分解が行われる。具体的にはバイオマス
(植物体)の細胞膜の主成分であるセルロース(C6H
10O5)nが超臨界水中でH2とCO2等に分解し、活性な
水素を発生して、石炭の軽質化(水素添加)反応が迅速
に行われる。セルロース系バイオマスとしては、廃木
材、廃植物等の通常焼却処分される廃材や、セルロース
の分解生成物であるグルコース、フルクコース、エリト
ロース、グリセルアルデヒド、オリゴ糖等が挙げられ
る。分解を容易にするため、セルロース系バイオマスは
予め解砕又は粉砕される。この石炭の軽質化反応とし
て、石炭の加水分解反応、石炭の熱分解反応及び
水素添加反応が考えられる。高温水中では、石炭中の水
素結合等の非共有性の結合が解離し、石炭が膨張する。
これにより石炭の分解液化反応がより有効に進行する。
石炭の加水分解反応では、石炭のベンゼン環をつない
でいるヘテロ元素部分にH2OのOH-及びH+が付加さ
れ、石炭が低分子化される。石炭の熱分解反応では、
石炭が単純に熱分解し低分子化する。更に水素添加反
応では、上記の反応中に生成したラジカルに上記セル
ロース系バイオマスの分解により発生した活性なHが付
加し、これにより熱分解種が安定する。また熱分解しな
い安定な分子と水素との反応も生じる。ここで加水分解
により生成した水酸基、カルボン酸基にも水素添加反応
が起こり得るが、上記ラジカルへの水素反応の方が優位
に起こる。上記〜の反応は個別的に行われず、互い
に併発して複合的に行われ、石炭の軽質化が進行する。
バイオマス等の高含酸素化合物を混入することにより、
フェノール、カルボニル化合物の生成が促進され、付加
価値の高い液化物が得られる。
ついて以下に述べる。先ず超臨界水中でセルロース系
バイオマスの分解が行われる。具体的にはバイオマス
(植物体)の細胞膜の主成分であるセルロース(C6H
10O5)nが超臨界水中でH2とCO2等に分解し、活性な
水素を発生して、石炭の軽質化(水素添加)反応が迅速
に行われる。セルロース系バイオマスとしては、廃木
材、廃植物等の通常焼却処分される廃材や、セルロース
の分解生成物であるグルコース、フルクコース、エリト
ロース、グリセルアルデヒド、オリゴ糖等が挙げられ
る。分解を容易にするため、セルロース系バイオマスは
予め解砕又は粉砕される。この石炭の軽質化反応とし
て、石炭の加水分解反応、石炭の熱分解反応及び
水素添加反応が考えられる。高温水中では、石炭中の水
素結合等の非共有性の結合が解離し、石炭が膨張する。
これにより石炭の分解液化反応がより有効に進行する。
石炭の加水分解反応では、石炭のベンゼン環をつない
でいるヘテロ元素部分にH2OのOH-及びH+が付加さ
れ、石炭が低分子化される。石炭の熱分解反応では、
石炭が単純に熱分解し低分子化する。更に水素添加反
応では、上記の反応中に生成したラジカルに上記セル
ロース系バイオマスの分解により発生した活性なHが付
加し、これにより熱分解種が安定する。また熱分解しな
い安定な分子と水素との反応も生じる。ここで加水分解
により生成した水酸基、カルボン酸基にも水素添加反応
が起こり得るが、上記ラジカルへの水素反応の方が優位
に起こる。上記〜の反応は個別的に行われず、互い
に併発して複合的に行われ、石炭の軽質化が進行する。
バイオマス等の高含酸素化合物を混入することにより、
フェノール、カルボニル化合物の生成が促進され、付加
価値の高い液化物が得られる。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、セルロース系バイオマスを石炭に対して5
〜20重量%混合し、かつ石炭のスラリー濃度が5〜6
0重量%である石炭の転換方法である。セルロース系バ
イオマスの添加量が5重量%未満では、石炭の軽質化反
応が迅速にならず、また20重量%を越えると、反応が
急速に起こり運転制御が困難となる。また石炭のスラリ
ー濃度が5重量%未満では液化効率に劣り、60重量%
を越えるとスラリーが流動性に欠け取扱いにくくなる。
セルロース系バイオマスの石炭に対する混合量は10〜
15重量%がより好ましく、石炭のスラリー濃度は40
〜55重量%がより好ましい。
明であって、セルロース系バイオマスを石炭に対して5
〜20重量%混合し、かつ石炭のスラリー濃度が5〜6
0重量%である石炭の転換方法である。セルロース系バ
イオマスの添加量が5重量%未満では、石炭の軽質化反
応が迅速にならず、また20重量%を越えると、反応が
急速に起こり運転制御が困難となる。また石炭のスラリ
ー濃度が5重量%未満では液化効率に劣り、60重量%
を越えるとスラリーが流動性に欠け取扱いにくくなる。
セルロース系バイオマスの石炭に対する混合量は10〜
15重量%がより好ましく、石炭のスラリー濃度は40
〜55重量%がより好ましい。
【0008】請求項3に係る発明は、請求項1又は2に
係る発明であって、超臨界状態が温度374〜800℃
で密度0.05〜0.9g/cm3である石炭の転換方
法である。上記温度範囲及び密度範囲の下限値未満では
反応が遅く転換効率が良くない。また上記温度範囲及び
密度範囲の上限値を越えると反応器に負荷がかかり過ぎ
これも効率的でない。この温度は400〜600℃がよ
り好ましく、密度は0.1〜0.6g/cm3がより好
ましい。
係る発明であって、超臨界状態が温度374〜800℃
で密度0.05〜0.9g/cm3である石炭の転換方
法である。上記温度範囲及び密度範囲の下限値未満では
反応が遅く転換効率が良くない。また上記温度範囲及び
密度範囲の上限値を越えると反応器に負荷がかかり過ぎ
これも効率的でない。この温度は400〜600℃がよ
り好ましく、密度は0.1〜0.6g/cm3がより好
ましい。
【0009】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
いずれかに係る発明であって、石炭が草炭、褐炭、亜歴
青炭又は歴青炭である石炭の転換方法である。石炭であ
れば、本発明は成立する。この石炭には無煙炭も含む。
特に上記に挙げた石炭が液化効率が良く好ましい。また
埋蔵量が比較的多い上記石炭種を有効利用でき、自然環
境に適合したプロセスとなる。
いずれかに係る発明であって、石炭が草炭、褐炭、亜歴
青炭又は歴青炭である石炭の転換方法である。石炭であ
れば、本発明は成立する。この石炭には無煙炭も含む。
特に上記に挙げた石炭が液化効率が良く好ましい。また
埋蔵量が比較的多い上記石炭種を有効利用でき、自然環
境に適合したプロセスとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図1に示すように、本発明の前処理
工程11では、石炭を数mm以下の粒径に微粉砕して、
これと水とセルロース系バイオマスを混合してスラリー
を調製する。好ましくは、ポンプの能力に応じて300
μm以下の粒径の石炭の微粉末を用いる。セルロース系
バイオマスを解砕又は粉砕した状態で、石炭に対して1
2重量%添加し、このセルロース系バイオマスの添加量
を考慮して、水はスラリーの石炭濃度が50重量%にな
るように添加する。後述するように、石炭の転換(液
化)を促進するために本発明で生成された重質油の一部
を一緒に混合してもよい。混合する場合は、スラリーの
5〜10重量%の範囲で混合する。ここでは重質油をス
ラリーの8重量%混合する。本発明の石炭としては、草
炭、褐炭、亜歴青炭、歴青炭等を挙げることができる。
前処理工程11で調製されたスラリーは高圧ポンプ11
aにより石炭液化工程12に圧送され、そこで更に昇圧
・昇温され超臨界状態になる。この石炭液化工程12で
は、平均温度410℃、平均密度0.4g/cm3の超
臨界状態にスラリーを維持して、前述した〜の反応
を互いに併発して複合的に生じさせる。セルロース系バ
イオマスの分解で発生した活性な水素は未反応の石炭と
効率良く反応し、石炭の軽質化反応を促進する。また超
臨界状態の水は、水素イオンと水酸基イオンへの解離が
通常の水よりも大きくまた高温であるので石炭の加水分
解反応は促進される。この加水分解は石炭のみならず一
次分解物の重質液化油等についても行われる。
基づいて説明する。図1に示すように、本発明の前処理
工程11では、石炭を数mm以下の粒径に微粉砕して、
これと水とセルロース系バイオマスを混合してスラリー
を調製する。好ましくは、ポンプの能力に応じて300
μm以下の粒径の石炭の微粉末を用いる。セルロース系
バイオマスを解砕又は粉砕した状態で、石炭に対して1
2重量%添加し、このセルロース系バイオマスの添加量
を考慮して、水はスラリーの石炭濃度が50重量%にな
るように添加する。後述するように、石炭の転換(液
化)を促進するために本発明で生成された重質油の一部
を一緒に混合してもよい。混合する場合は、スラリーの
5〜10重量%の範囲で混合する。ここでは重質油をス
ラリーの8重量%混合する。本発明の石炭としては、草
炭、褐炭、亜歴青炭、歴青炭等を挙げることができる。
前処理工程11で調製されたスラリーは高圧ポンプ11
aにより石炭液化工程12に圧送され、そこで更に昇圧
・昇温され超臨界状態になる。この石炭液化工程12で
は、平均温度410℃、平均密度0.4g/cm3の超
臨界状態にスラリーを維持して、前述した〜の反応
を互いに併発して複合的に生じさせる。セルロース系バ
イオマスの分解で発生した活性な水素は未反応の石炭と
効率良く反応し、石炭の軽質化反応を促進する。また超
臨界状態の水は、水素イオンと水酸基イオンへの解離が
通常の水よりも大きくまた高温であるので石炭の加水分
解反応は促進される。この加水分解は石炭のみならず一
次分解物の重質液化油等についても行われる。
【0011】石炭の液化物は重質油、中・軽質油であ
り、液化し切れなかったスラリーは残渣となる。この石
炭液化工程12では、上述した複数の反応が相互に関連
して行われるため石炭の軽質化が促進される。また脱
硫、脱窒素の効果を持たせることも可能である。更に超
臨界状態の水は誘電率が小さいために石炭を膨張し、石
炭そのもの或いは重質油に対してある程度溶解力を持
ち、またガスとも均一に混合し得る。これらのことも軽
質化の促進に寄与する。熱分解した石炭の残渣は灰分と
して石炭液化工程12から排出される。この灰分は別途
処分される。
り、液化し切れなかったスラリーは残渣となる。この石
炭液化工程12では、上述した複数の反応が相互に関連
して行われるため石炭の軽質化が促進される。また脱
硫、脱窒素の効果を持たせることも可能である。更に超
臨界状態の水は誘電率が小さいために石炭を膨張し、石
炭そのもの或いは重質油に対してある程度溶解力を持
ち、またガスとも均一に混合し得る。これらのことも軽
質化の促進に寄与する。熱分解した石炭の残渣は灰分と
して石炭液化工程12から排出される。この灰分は別途
処分される。
【0012】分留工程13では、背圧弁13a,13
b,13cとガス冷却器13d,13e,13fと油分
離器13g,13hを有する。ガス冷却器13d,13
e,13fの各前段には背圧弁13a,13b,13c
が設けられ、ガス冷却器13d,13eの各後段には油
分離器13g,13hが設けられる。石炭液化工程12
から圧送される流体を背圧弁13aで所定圧力に減圧
し、ガス冷却器13dで所定の温度まで降温した後、初
めに重質油を油分離器13gより抽出する。重質油の大
部分は所期の目的のために貯蔵され、その一部分は前処
理工程11におけるスラリーに混合される。次いで油分
離器13gより圧送される流体を背圧弁13bで所定圧
力に減圧し、ガス冷却器13eで所定の温度まで降温し
た後、中・軽質油を油分離器13hより抽出する。更に
油分離器13hから排出された流体は背圧弁13cで大
気圧に降圧され、ガス冷却器13fで水とガス(C
O2)に分離される。CO2は大気に排出され、水は前処
理工程11で再利用するか、或いは廃水として処分され
る。このように、得られた油は超臨界水とともに反応器
より流出し、圧力及び温度を段階的に低下させるのみ
で、転換油の分留も可能となり、従来プロセスにおいて
必要であった蒸留工程が簡略化或は省略され、プロセス
が簡素化されるメリットも有する。
b,13cとガス冷却器13d,13e,13fと油分
離器13g,13hを有する。ガス冷却器13d,13
e,13fの各前段には背圧弁13a,13b,13c
が設けられ、ガス冷却器13d,13eの各後段には油
分離器13g,13hが設けられる。石炭液化工程12
から圧送される流体を背圧弁13aで所定圧力に減圧
し、ガス冷却器13dで所定の温度まで降温した後、初
めに重質油を油分離器13gより抽出する。重質油の大
部分は所期の目的のために貯蔵され、その一部分は前処
理工程11におけるスラリーに混合される。次いで油分
離器13gより圧送される流体を背圧弁13bで所定圧
力に減圧し、ガス冷却器13eで所定の温度まで降温し
た後、中・軽質油を油分離器13hより抽出する。更に
油分離器13hから排出された流体は背圧弁13cで大
気圧に降圧され、ガス冷却器13fで水とガス(C
O2)に分離される。CO2は大気に排出され、水は前処
理工程11で再利用するか、或いは廃水として処分され
る。このように、得られた油は超臨界水とともに反応器
より流出し、圧力及び温度を段階的に低下させるのみ
で、転換油の分留も可能となり、従来プロセスにおいて
必要であった蒸留工程が簡略化或は省略され、プロセス
が簡素化されるメリットも有する。
【0013】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は次の優れた
効果を有する。 (1) 水素添加反応に必要な水素は、セルロース系バイオ
マスの分解により発生する活性水素によりまかなわれる
ので、外部からの高価な水素の供給は必要ない。 (2) このバイオマスの分解により発生する活性水素を用
いると、5分以下で水素添加反応が行われ、従来法と比
べ約12分の1の反応時間で済むため、反応器を多数設
けることなく、また大型化することなく、所定日数にお
ける転換量を増やすことができる。 (3) 超臨界状態では、水、ガス、転換油等が均一相で作
用するため、石炭軽質化を効率よく行える。特に水その
ものが生成物の重合反応を抑止する効果もある。 (4) 石炭を液化する際に超臨界水中での燃焼を利用する
のでプロセス全体の熱効率が極めて高い。 (5) 水分除去の前処理工程が不要となり、また液化油の
分留も減圧操作のみで可能であるため液化油の蒸留分離
工程等が簡素化する。従って、従来の転換プロセスに比
べてプロセスが簡素化する。 (6) 燃焼温度が低く、また硫黄分は水中に捕集され、N
Oxの発生もないので従来法に見られる大型な脱硫、脱
窒素工程を必要としない。
効果を有する。 (1) 水素添加反応に必要な水素は、セルロース系バイオ
マスの分解により発生する活性水素によりまかなわれる
ので、外部からの高価な水素の供給は必要ない。 (2) このバイオマスの分解により発生する活性水素を用
いると、5分以下で水素添加反応が行われ、従来法と比
べ約12分の1の反応時間で済むため、反応器を多数設
けることなく、また大型化することなく、所定日数にお
ける転換量を増やすことができる。 (3) 超臨界状態では、水、ガス、転換油等が均一相で作
用するため、石炭軽質化を効率よく行える。特に水その
ものが生成物の重合反応を抑止する効果もある。 (4) 石炭を液化する際に超臨界水中での燃焼を利用する
のでプロセス全体の熱効率が極めて高い。 (5) 水分除去の前処理工程が不要となり、また液化油の
分留も減圧操作のみで可能であるため液化油の蒸留分離
工程等が簡素化する。従って、従来の転換プロセスに比
べてプロセスが簡素化する。 (6) 燃焼温度が低く、また硫黄分は水中に捕集され、N
Oxの発生もないので従来法に見られる大型な脱硫、脱
窒素工程を必要としない。
【図1】本発明の超臨界水を用いた石炭の転換方法を示
す工程図。
す工程図。
11 前処理工程 12 石炭液化工程 13 分留工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 伸一 東京都文京区小石川1丁目3番25号 三菱 マテリアル株式会社システム事業センター 内 (72)発明者 西村 建二 茨城県那珂郡那珂町大字向山字六人頭1002 番地の14 三菱マテリアル株式会社那珂エ ネルギー研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 微粉化した石炭と水と解砕又は粉砕した
セルロース系バイオマスを混合して石炭のスラリーを調
製する前処理工程(11)と;前記スラリーを超臨界状態に
維持して、セルロース系バイオマスの分解と、石炭の加
水分解反応と、石炭の熱分解反応と、前記セルロース系
バイオマスの分解により生じる活性水素と未反応の石炭
との反応とを併発して複合的に起こさせることにより前
記未反応石炭を軽質化して液化する石炭液化工程(12)
と;前記液化工程(12)で生じた油を含む超臨界水を段階
的に減圧及び冷却して前記生成した油を分留する分留工
程(13)と含むことを特徴とする超臨界水による石炭の転
換方法。 - 【請求項2】 セルロース系バイオマスを石炭に対して
5〜20重量%混合し、かつ前記石炭のスラリー濃度が
5〜60重量%である請求項1記載の石炭の転換方法。 - 【請求項3】 超臨界状態が温度374〜800℃で密
度0.05〜0.9g/cm3である請求項1又は2記
載の石炭の転換方法。 - 【請求項4】 石炭が草炭、褐炭、亜歴青炭又は歴青炭
である請求項1ないし3いずれか記載の石炭の転換方
法。
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---|---|---|---|---|
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