JPH10234369A - ヒト肝癌細胞由来増殖因子を核に導入する核移行シグナルおよびマウス肝癌細胞由来増殖因子を核に導入する核移行シグナル - Google Patents

ヒト肝癌細胞由来増殖因子を核に導入する核移行シグナルおよびマウス肝癌細胞由来増殖因子を核に導入する核移行シグナル

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JPH10234369A
JPH10234369A JP9040824A JP4082497A JPH10234369A JP H10234369 A JPH10234369 A JP H10234369A JP 9040824 A JP9040824 A JP 9040824A JP 4082497 A JP4082497 A JP 4082497A JP H10234369 A JPH10234369 A JP H10234369A
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JP
Japan
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hhdgf
mhdgf
nuclear
signal peptide
dna
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Application number
JP9040824A
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English (en)
Inventor
Yoshitaka Izumoto
義隆 伊豆本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDGF およびmH
DGF )が核に移行することを明らかにし、さらにそのア
ミノ酸配列中に存在する該タンパクを核に移行させる能
力を持ったアミノ酸配列(核移行シグナル)を同定す
る。 【解決手段】 本発明の第1のものは、hHDGF 上の核移
行シグナルの同定、該移行シグナルを欠失したhHDGF の
作成、および、該移行シグナルを用いて、通常核には決
して存在しないタンパクを核に導入することであり、こ
うして得られた産物である。本発明の第2のものは、mH
DGF 上の核移行シグナルの同定、該移行シグナルを欠失
したmHDGF の作成、および、該移行シグナルを用いて、
通常核には決して存在しないタンパクを核に導入するこ
とであり、こうして得られた産物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト肝癌細胞由来
増殖因子(本明細書全体を通して「hHDGF 」と略記す
る)を核に導入するアミノ酸配列(本明細書全体を通し
て「核移行シグナル」と略記する)に関する。
【0002】本発明は、また、マウス肝癌細胞由来増殖
因子(本明細書全体を通して「mHDGF 」と略記する)を
核に導入するアミノ酸配列(核移行シグナル)に関す
る。
【0003】核移行シグナルをコードするDNA 配列を破
壊したhHDGF (またはmHDGF )は、それを導入した細胞
を分析することにより、本来のhHDGF (またはmHDGF )
の生理的役割を解析するための試薬となる。 また、こ
れは、該核移行シグナルを用いて生理的には核以外の場
所で発現して機能するタンパクあるいは真核生物の生理
的機能には本来関係しない微生物のタンパクなどを核に
導入して細胞の変化を解析するための試薬になる。
【0004】本発明は、このような試薬を提供すること
を企図したものである。
【0005】
【従来の技術】ヒトHDGFは、ヒト肝癌由来培養細胞HuH-
7{Nakabayashi, H. et al (1982) Cancer Res. 42 3858
-3863.} の培養上清よりSwiss3T3細胞に対する増殖活性
を持つ分画として粗精製された{Nakamura, H. et al (1
989) Clinica Chimica Acta 183 273-284}。 この粗精
製の分画より分子量約25K のタンパク質がhHDGF として
抽出され, その遺伝子がクローニングされた{Nakamura,
H. et al (1994) J. Biol. Chem. 269 25143-25149}。
さらにヒトHDGFをプローブとしてマウスの各種臓器の
ノーザンハイブリダイゼーションを行ったところ睾丸組
織においてmHDGFが多量に発現していることが見い出さ
れた。
【0006】そこでhHDGFのマウスホモログ(即ちmHDG
F)を取得するために、マウス睾丸組織より抽出したメ
ッセンジャーRNA より作製したcDNAライブラリーをhHDG
FのDNA(茨城県つくば市高野台3−1−1「理化学研究
所ジーンバンク」寄託、寄託番号: RDB No.14
93)をプローブとしてスクリーニングした。その結果
mHDGFを得た(特開平6-220094)だけでなくmHDGFのN 末
端約100 アミノ酸において高いホモロジーを持つ類縁の
2種類のたんぱく質(これらを本明細書では「HET-A 」
および「 HET-B」という)をエンコードしている遺伝子
が見いだされた(特願平8-131788)。
【0007】hHDGF のアミノ酸配列をデータベースに対
してホモロジー検索したところ核移行シグナルと考えら
れるアミノ酸配列が見つかった。hHDGF が核に移行して
核内で働いている知見はこれまでに無く、もしhHDGF が
核に移行することが明らかになればその核における新し
い機能を解析する必要が出てくるだろう。 そのための
手段として核移行シグナルを欠失したhHDGF を試薬とし
て提供することは意義のあることである。
【0008】mHDGF についても上記と同じである。すな
わち、mHDGF のアミノ酸配列をデータベースに対してホ
モロジー検索したところ核移行シグナルと考えられるア
ミノ酸配列が見つかった。mHDGF が核に移行して核内で
働いている知見はこれまでに無く、もしmHDGF が核に移
行することが明らかになればその核における新しい機能
を解析する必要が出てくるだろう。 そのための手段と
して核移行シグナルを欠失したmHDGF を試薬として提供
することは意義のあることである。
【0009】現在、核移行シグナルと考えられるものに
は3 種類が知られている。 これらはいずれもモチーフ
と呼ばれる共通の配列をもつとされている。
【0010】(1)リジンやアルギニンなどの塩基性の
アミノ酸をほとんどもたないタイプ。このモチーフの例
は非常に少ない。例えばインフルエンザウイルスのnucl
eoprotein の核移行シグナル(AAFEDLRVLS)がある{Dav
y, J. et al (1985) Cell40 667-675} 。
【0011】(2)塩基性のアミノ酸を多く含むタイ
プ。このモチーフの例は非常に多い。例えばSV40 large
T 抗原の核移行シグナル(PPKKKRKV)がある{Kaldero
n, D.et al (1984)Nature 311 33-38} 。
【0012】(3)塩基性のアミノ酸が約10アミノ酸を
隔ててcluster を作っているタイプ。Bipartite タイプ
の核移行シグナルと呼ぶ。このモチーフの例も非常に多
い。例えば Xenopus laevis の nucleoplasmin の核移
行シグナル(KRPAATKKAGQAKKKK)がある{Robbins, J. e
t al(1991) Cell 64 615-623} 。
【0013】しかしこれらのモチーフを持つアミノ酸配
列があれば必ず核に移行するわけではなく、個々の配列
についてその核移行能を証明する必要がある。
【0014】このため核移行シグナルに関しては一つで
も多くは事例を研究し、核移行のメカニズムを解明し、
ひいてはその生物学的機能の解明、疾病との関係を明ら
かにすることが切望されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、hHDGF が核に移行することを明らかにし、さらにそ
のアミノ酸配列中に存在する該タンパクを核に移行させ
る能力を持ったアミノ酸配列(核移行シグナル)を同定
することにある。 こうして同定された核移行シグナル
を欠失したhHDGF を作成し、細胞に導入して細胞の生理
的変化を解析することにより、該タンパクの新しい機能
を発見するための試薬を提供することができる。 ま
た、該核移行シグナルを用いて種々の生理活性を持つタ
ンパクを核に導入することにより細胞の生理的変化を解
析することが可能となる。
【0016】本発明の第2の目的は、mHDGF が核に移行
することを明らかにし、さらにそのアミノ酸配列中に存
在する該タンパクを核に移行させる能力を持ったアミノ
酸配列(核移行シグナル)を同定することにある。 こ
うして同定された核移行シグナルを欠失したmHDGF を作
成し、細胞に導入して細胞の生理的変化を解析すること
により、該タンパクの新しい機能を発見するための試薬
を提供することができる。 また、該核移行シグナルを
用いて種々の生理活性を持つタンパクを核に導入するこ
とにより細胞の生理的変化を解析することが可能とな
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、hHDGF と通常
核には決して存在しないタンパク、例えば大腸菌のβ−
ガラクトシダーゼとの複合遺伝子産物の発現プラスミド
の構築に成功し、これを有核細胞に保有させることによ
ってhHDGF が核に局在することを見い出してなされたも
のである。
【0018】よって本発明は、(1a)hHDGF 上の核移
行シグナルの同定、(2a)該移行シグナルを欠失した
hHDGF の作成、(3a)該移行シグナルを用いて、通常
核には決して存在しないタンパクを核に導入する方法に
関する。
【0019】請求項1記載の発明は、図1Aで示されるア
ミノ酸配列を有する、ヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDG
F)の核移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS1)である。
【0020】請求項2記載の発明は、図1Bに示されるア
ミノ酸配列を有する、ヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDG
F)の核移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS2)である。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1記載の核
移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS1)をコードするDNA
配列である。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項2記載の核
移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS2)をコードするDNA
配列である。
【0023】請求項5記載の発明は、請求項3または4
記載のDNA 塩基配列を大腸菌の宿主・ベクター系で用い
られるベクターに組み込んだ組み換えDNA 分子である。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項1記載の核
移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS1)および請求項2記
載の核移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS2)を欠失させ
機能しないようにした、配列表の配列番号1に示される
アミノ酸配列を持つヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDG
F) の変異体である。
【0025】請求項7記載の発明は、請求項1記載の核
移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS1)および請求項2記
載の核移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS2)を欠失させ
機能しないようにした、配列表の配列番号1に示される
DNA 配列を持つヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDGF) の
変異体である。
【0026】請求項8記載の発明は、請求項1記載の核
移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS1)および請求項2記
載の核移行シグナルペプチド(hHDGF-NLS2)を欠失させ
機能しないようにした、配列表の配列番号1に示される
DNA 塩基配列を大腸菌の宿主・ベクター系で用いられる
ベクターに組み込んだ組み換えDNA 分子である。
【0027】請求項9記載の発明は、請求項5または8
記載の組み替えDNA 分子で形質転換された大腸菌であ
る。
【0028】請求項10記載の発明は、請求項5または
8記載の組み替えDNA 分子で形質転換された動物細胞で
ある。
【0029】本発明はまた、mHDGF と通常核には決して
存在しないタンパク、例えば大腸菌のβ−ガラクトシダ
ーゼとの複合遺伝子産物の発現プラスミドの構築に成功
し、これを有核細胞に保有させることによってmHDGF が
核に局在することを見い出してなされたものである。
【0030】よって本発明は、(1b)mHDGF 上の核移
行シグナルの同定、(2b)該移行シグナルを欠失した
mHDGF の作成、(3b)該移行シグナルを用いて、通常
核には決して存在しないタンパクを核に導入する方法に
関する。
【0031】請求項11記載の発明は、図6Aで示される
アミノ酸配列を有する、マウス肝癌細胞由来増殖因子
(mHDGF)の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS1)で
ある。
【0032】請求項12記載の発明は、図6Bに示される
アミノ酸配列を有する、マウス肝癌細胞由来増殖因子
(mHDGF)の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS2)で
ある。
【0033】請求項13記載の発明は、請求項11記載
の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS1)をコードする
DNA 配列である。
【0034】請求項14記載の発明は、請求項12記載
の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS2)をコードする
DNA 配列である。
【0035】請求項15記載の発明は、請求項13また
は14記載のDNA 塩基配列を大腸菌の宿主・ベクター系
で用いられるベクターに組み込んだ組み換えDNA 分子で
ある。
【0036】請求項16記載の発明は、請求項11記載
の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS1)および請求項
12記載の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS2)を欠
失させ機能しないようにした、配列表の配列番号2に示
されるアミノ酸配列を持つヒト肝癌細胞由来増殖因子
(mHDGF) の変異体である。
【0037】請求項17記載の発明は、請求項11記載
の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS1)および請求項
12記載の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS2)を欠
失させ機能しないようにした、配列表の配列番号2に示
されるDNA 配列を持つヒト肝癌細胞由来増殖因子(mHDG
F) の変異体である。
【0038】請求項18記載の発明は、請求項11記載
の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS1)および請求項
12記載の核移行シグナルペプチド(mHDGF-NLS2)を欠
失させ機能しないようにした、配列表の配列番号2に示
されるDNA 塩基配列を大腸菌の宿主・ベクター系で用い
られるベクターに組み込んだ組み換えDNA 分子である。
【0039】請求項19記載の発明は、請求項15また
は18記載の組み替えDNA 分子で形質転換された大腸菌
である。
【0040】請求項20記載の発明は、請求項15また
は18記載の組み替えDNA 分子で形質転換された動物細
胞である。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細を述べる。
【0042】まず、hHDGF の場合について説明をする。
【0043】(1a)hHDGF が核移行することの証明 hHDGF が核に移行するかどうかを検証するには該タンパ
クをコードする遺伝子を適当なプロモーターの下流に結
合させたプラスミドを作成し、これを有核細胞に保有さ
せ、抗体を用いた免疫抗体法、酵素抗体法等既存の方法
により核移行の確認を行うことができる。
【0044】あるいはもうひとつの方法として、該タン
パクをコードする遺伝子を通常核には決して存在しない
任意のタンパクとの複合遺伝子を構築し、適当なプロモ
ーターの下流に結合させたプラスミドを作成し、これを
有核細胞に保有させ、その任意のタンパクの活性を指標
として、あるいはその抗体を用いた免疫抗体法、酵素抗
体法等既存の方法により核移行の確認を行うことができ
る。
【0045】後者の考えに基づけば、通常核には決して
存在しないタンパク、例えばβ−ガラクトシダーゼなど
の任意の遺伝子を改変し、hHDGF を融合することが容易
にできるプラスミドpRcβG-1 を作成できる。プラスミ
ドを合成する手段としては、たとえばまずSV40等の任意
のプロモーター部分の下流に、コザックの配列、メチオ
ニンのコドン、制限酵素(例えばSpeI)の配列、そして
さらに下流に例えばβ−ガラクトシダーゼの遺伝子を接
続することによってプラスミドを構築することができ
る。図2 にその構造を示す。
【0046】プラスミドpRcβG-1 のSpeIに翻訳フレー
ムが合うように適当に改変したhHDGFを、PCR 法などの
定法に従って作成し、SpeIに挿入することにより融合タ
ンパクを発現することができる。このようにして作成し
たプラスミドを培養細胞内にトランスフェクトすれば、
融合タンパクが核に局在することが明らかになる(図4
A)。このことはすなわちhHDGF が核に移行することを意
味している。
【0047】(2a)hHDGF 上に存在する核移行シグナ
ルの同定 次に核移行シグナルを同定するために、hHDGF の遺伝子
の一部を欠失させて様々な欠失アミノ酸を持つhHDGF の
変異体を作成することができる。これらと通常核には決
して存在しないタンパク、例えばβ−ガラクトシダーゼ
との複合遺伝子産物の発現プラスミドを構築し、これを
有核細胞に保有させることにより核移行シグナルがhHDG
F 上のどこにあるかを同定できる。 即ち核移行シグナ
ルが欠失した変異体は核に移行せず細胞質にとどまるの
である。
【0048】hHDGF では、例えば図3hB で示すような前
半のアミノ酸配列をコードするコドンを、PCR 法などの
定法に従って合成し、プラスミドpRcβG-1 のSpeIに翻
訳フレームが合うように挿入することにより融合タンパ
クを発現することができる。このようにして作成したプ
ラスミドを培養細胞内にトランスフェクトすれば、融合
タンパクが核に局在することが明らかになる(図4B)。こ
のことは少なくとも前半のアミノ酸配列にひとつの核移
行シグナルが存在することを意味している。
【0049】また、例えば図3hC で示すような後半のア
ミノ酸配列をコードするコドンを、PCR 法などの定法に
従って合成し、プラスミドpRcβG-1 のSpeIに翻訳フレ
ームが合うように挿入することにより融合タンパクを発
現することができる。このようにして作成したプラスミ
ドを培養細胞内にトランスフェクトすれば、融合タンパ
クが核に局在することが明らかになる(図4C)。このこと
は少なくとも後半のアミノ酸配列にひとつの核移行シグ
ナルが存在することを意味している。
【0050】そこでhHDGF のアミノ酸配列をデータベー
ス、例えばEMBL,Genbankなど、に対してホモロジー検索
をしてみると、ふたつの核移行シグナル、hHDGF-NLS1を
前半のアミノ酸配列中に、およびhHDGF-NLS2を後半のア
ミノ酸配列中に発見することができる。hHDGF-NLS1は塩
基性のアミノ酸を多く含むタイプ゜ のモチーフの特徴
を、hHDGF-NLS2はbipartite タイプの特徴をもっている
がそれらの配列は新規である(図1)。
【0051】前半のアミノ酸配列中のhHDGF-NLS1が前半
唯一の核移行シグナルであることを確かめる必要があ
る。そのためには、例えば図3hD で示すようなhHDGF-NL
S1を欠失した前半のアミノ酸配列をコードするコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1 のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼとの融合タンパクを発現す
ることができる。このようにして作成したプラスミドを
培養細胞内にトランスフェクトすれば、核移行シグナル
hHDGF-NLS1が欠失した前半のアミノ酸配列変異体は核に
移行せず細胞質にとどまることが明らかになる(図4D)。
hHDGF-NLS1が前半唯一の核移行シグナルであるというこ
とができる。
【0052】後半のアミノ酸配列中のhHDGF-NLS2が後半
唯一の核移行シグナルであることを確かめる必要があ
る。そのためには、例えば図3hE で示すようなhHDGF-NL
S2を欠失した前半のアミノ酸配列をコードするコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1 のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼと融合タンパクを発現する
ことができる。このようにして作成したプラスミドを培
養細胞内にトランスフェクトすれば、核移行シグナルhH
DGF-NLS2が欠失した後半のアミノ酸配列変異体は核に移
行せず細胞質にとどまることが明らかになる(図4E)。hH
DGF-NLS2が前半唯一の核移行シグナルであるということ
ができる。
【0053】さらに両核移行シグナルhHDGF-NLS1および
hHDGF-NLS2が全体で唯一の核移行シグナルであることを
確かめるには、図3hF で示すようなhHDGF-NLS1およびhH
DGF-NLS2を欠失したアミノ酸配列をコードするコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1 のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼと融合タンパクを発現する
ことができる。このようにして作成したプラスミドを培
養細胞内にトランスフェクトすれば、核移行シグナルhH
DGF-NLS1およびhHDGF-NLS2が欠失したアミノ酸配列変異
体は核に移行せず細胞質にとどまることが明らかになる
(図4F)。hHDGF-NLS1およびhHDGF-NLS2が唯一の核移行シ
グナルであるということができる。
【0054】両核移行シグナルを欠失したアミノ酸配列
を持つhHDGF 変異体を発現している細胞の変化を分析す
ればhHDGF の新しい機能の発見が期待できる。またこの
hHDGF 変異体のタンパクを定法のDNA 技術により大腸菌
で作成し、さまざまな分析、例えばDNA 結合実験、リン
酸化実験などを行うことによりhHDGF の新しい機能の発
見が期待できる。
【0055】(3a)核移行シグナルを用いて、通常核
には決して存在しないタンパクを核に導入する方法 同定した核移行シグナルhHDGF-NLS2のコドン、任意の転
写プロモーター部分、および通常核には決して存在しな
いタンパクの任意の遺伝子部分を有するプラスミドを作
成し培養細胞内にトランスフェクトすることにより、本
来核に存在しない遺伝子産物を核に局在するようにさせ
ることができる。
【0056】プラスミドを合成する手段としては、図1B
で示すような核移行シグナル(hHDGF-NLS2)のコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼとの融合タンパクを発現す
ることができる。このようにして作成したプラスミドを
培養細胞内にトランスフェクトすれば、本来核に存在し
ない例えばβ−ガラクトシダーゼなどの任意の遺伝子産
物を核に局在するようさせることができる(図4 hHDGF-N
LS2)。
【0057】発現プラスミドを微生物に保存させる方法
は一般のプラスミドあるいはベクターを微生物にもたせ
る方法と同じでよい。使用する微生物は、大腸菌、緑膿
菌等プラスミドを保持することができるものであればい
かなる微生物であってもよい。 発現プラスミドを保有
する微生物の培養も一般の培養法と同様であってよい。
プラスミドが菌体内で最大になったところで培養を打ち
切る。 得られた菌体からプラスミドDNA を抽出し、こ
のDNA を培養真核細胞にトランスフェクトすることがで
きる。
【0058】トランスフェクトの方法はりん酸カルシウ
ム法、電気せん孔法、リポソーム法等の既成の方法でよ
い。トランスフェクトされる細胞もヒトを含む脊椎動物
など、真核生物で核の存在するものであればよい。技法
によりことなるが数時間ないし数十時間で目的とするた
んぱくが核に局在することが確認できる。
【0059】核移行の確認方法としては、目的とするた
んぱくの活性を用いた方法、あるいは抗体を用いた免疫
抗体法、酵素抗体法等既存の方法により行うことができ
る。例えばβ−ガラクトシダーゼの場合には、その酵素
活性を、サーネスの方法{Sanes, J.R. et al. (1986) E
MBO J. 5 3133}により、X-gal を発色剤として使用する
ことにより検出することができる。
【0060】つぎに、mHDGF の場合について説明する。
【0061】(1b)mHDGF が核移行することの証明 mHDGF が核に移行するかどうかを検証するには該タンパ
クをコードする遺伝子をを適当なプロモーターの下流に
結合させたプラスミドを作成し、これを有核細胞に保有
させ、抗体を用いた免疫抗体法、酵素抗体法等既存の方
法により核移行の確認を行うことができる。
【0062】あるいはもうひとつの方法として、該タン
パクをコードする遺伝子を通常核には決して存在しない
任意のタンパクとの複合遺伝子を構築し、適当なプロモ
ーターの下流に結合させたプラスミドを作成し、これを
有核細胞に保有させ、その任意のタンパクの活性を指標
として、あるいはその抗体を用いた免疫抗体法、酵素抗
体法等既存の方法により核移行の確認を行うことができ
る。
【0063】後者の考えに基づけば、通常核には決して
存在しないタンパク、例えばβ−ガラクトシダーゼなど
の任意の遺伝子を改変し、mHDGF を融合することが容易
にできるプラスミドpRcβG-1 を作成できる。プラスミ
ドを合成する手段としては、たとえばまずSV40等の任意
のプロモーター部分の下流に、コザックの配列、メチオ
ニンのコドン、制限酵素(例えばSpeI)の配列、そして
さらに下流に例えばβ−ガラクトシダーゼの遺伝子を接
続することによってプラスミドを構築することができ
る。図2 にその構造を示す。
【0064】プラスミドpRcβG-1 のSpeIに翻訳フレー
ムが合うように適当に改変したmHDGFを、PCR 法などの
定法に従って作成し、SpeIに挿入することにより融合タ
ンパクを発現することができる。このようにして作成し
たプラスミドを培養細胞内にトランスフェクトすれば、
融合タンパクが核に局在することが明らかになる(図7
A)。このことはすなわちmHDGF が核に移行することを意
味している。
【0065】(2b)mHDGF 上に存在する核移行シグナ
ルの同定 次に核移行シグナルを同定するために、mHDGF の遺伝子
の一部を欠失させて様々な欠失アミノ酸を持つmHDGF の
変異体を作成することができる。これらと通常核には決
して存在しないタンパク、例えばβ−ガラクトシダーゼ
との複合遺伝子産物の発現プラスミドを構築し、これを
有核細胞に保有させることにより核移行シグナルがmHDG
F 上のどこにあるかを同定できる。 即ち核移行シグナ
ルが欠失した変異体は核に移行せず細胞質にとどまるの
である。
【0066】mHDGF では、例えば図6mB で示すような前
半のアミノ酸配列をコードするコドンを、PCR 法などの
定法に従って合成し、プラスミドpRcβG-1 のSpeIに翻
訳フレームが合うように挿入することにより融合タンパ
クを発現することができる。このようにして作成したプ
ラスミドを培養細胞内にトランスフェクトすれば、融合
タンパクが核に局在することが明らかになる(図7B)。こ
のことは少なくとも前半のアミノ酸配列にひとつの核移
行シグナルが存在することを意味している。
【0067】また、例えば図6mC で示すような後半のア
ミノ酸配列をコードするコドンを、PCR 法などの定法に
従って合成し、プラスミドpRcβG-1 のSpeIに翻訳フレ
ームが合うように挿入することにより融合タンパクを発
現することができる。このようにして作成したプラスミ
ドを培養細胞内にトランスフェクトすれば、融合タンパ
クが核に局在することが明らかになる(図7C)。このこと
は少なくとも後半のアミノ酸配列にひとつの核移行シグ
ナルが存在することを意味している。
【0068】そこでmHDGF のアミノ酸配列をデータベー
ス、例えばEMBL,Genbankなど、に対してホモロジー検索
をしてみると、ふたつの核移行シグナル、mHDGF-NLS1を
前半のアミノ酸配列中に、およびmHDGF-NLS2を後半のア
ミノ酸配列中に発見することができる。mHDGF-NLS1は塩
基性のアミノ酸を多く含むタイプ゜ のモチーフの特徴
を、mHDGF-NLS2はbipartite タイプの特徴をもっている
がそれらの配列は新規である(図5)。
【0069】前半のアミノ酸配列中のmHDGF-NLS1が前半
唯一の核移行シグナルであることを確かめる必要があ
る。そのためには、例えば図6mD で示すようなmHDGF-NL
S1を欠失した前半のアミノ酸配列をコードするコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1 のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼとの融合タンパクを発現す
ることができる。このようにして作成したプラスミドを
培養細胞内にトランスフェクトすれば、核移行シグナル
mHDGF-NLS1が欠失した前半のアミノ酸配列変異体は核に
移行せず細胞質にとどまることが明らかになる(図7D)。
mHDGF-NLS1が前半唯一の核移行シグナルであるというこ
とができる。
【0070】後半のアミノ酸配列中のmHDGF-NLS2が後半
唯一の核移行シグナルであることを確かめる必要があ
る。そのためには、例えば図6mE で示すようなmHDGF-NL
S2を欠失した前半のアミノ酸配列をコードするコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1 のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼと融合タンパクを発現する
ことができる。このようにして作成したプラスミドを培
養細胞内にトランスフェクトすれば、核移行シグナルmH
DGF-NLS2が欠失した後半のアミノ酸配列変異体は核に移
行せず細胞質にとどまることが明らかになる(図7E)。mH
DGF-NLS2が前半唯一の核移行シグナルであるということ
ができる。
【0071】さらに両核移行シグナルmHDGF-NLS1および
mHDGF-NLS2が全体で唯一の核移行シグナルであることを
確かめるには、図6mF で示すようなmHDGF-NLS1およびmH
DGF-NLS2を欠失したアミノ酸配列をコードするコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1 のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼと融合タンパクを発現する
ことができる。このようにして作成したプラスミドを培
養細胞内にトランスフェクトすれば、核移行シグナルmH
DGF-NLS1およびmHDGF-NLS2が欠失したアミノ酸配列変異
体は核に移行せず細胞質にとどまることが明らかになる
(図7F)。mHDGF-NLS1およびmHDGF-NLS2が唯一の核移行シ
グナルであるということができる。
【0072】両核移行シグナルを欠失したアミノ酸配列
を持つmHDGF 変異体を発現している細胞の変化を分析す
ればmHDGF の新しい機能の発見が期待できる。またこの
mHDGF 変異体のタンパクを定法のDNA 技術により大腸菌
で作成し、さまざまな分析、例えばDNA 結合実験、リン
酸化実験などを行うことによりmHDGF の新しい機能の発
見が期待できる。
【0073】(3b)核移行シグナルを用いて、通常核
には決して存在しないタンパクを核に導入する方法 同定した核移行シグナルmHDGF-NLS2のコドン、任意の転
写プロモーター部分、および通常核には決して存在しな
いタンパクの任意の遺伝子部分を有するプラスミドを作
成し培養細胞内にトランスフェクトすることにより、本
来核に存在しない遺伝子産物を核に局在するようにさせ
ることができる。
【0074】プラスミドを合成する手段としては、図5B
で示すような核移行シグナル(mHDGF-NLS2)のコドン
を、PCR 法などの定法に従って合成し、プラスミドpRc
βG-1のSpeIに翻訳フレームが合うように挿入すること
によりβ−ガラクトシダーゼとの融合タンパクを発現す
ることができる。このようにして作成したプラスミドを
培養細胞内にトランスフェクトすれば、本来核に存在し
ない例えばβ−ガラクトシダーゼなどの任意の遺伝子産
物を核に局在するようさせることができる(図7 mHDGF-N
LS2)。
【0075】発現プラスミドを微生物に保存させる方法
は一般のプラスミドあるいはベクターを微生物にもたせ
る方法と同じでよい。使用する微生物は、大腸菌、緑膿
菌等プラスミドを保持することができるものであればい
かなる微生物であってもよい。 発現プラスミドを保有
する微生物の培養も一般の培養法と同様であってよい。
プラスミドが菌体内で最大になったところで培養を打ち
切る。 得られた菌体からプラスミドDNA を抽出し、こ
のDNA を培養真核細胞にトランスフェクトすることがで
きる。
【0076】トランスフェクトの方法はりん酸カルシウ
ム法、電気せん孔法、リポソーム法等の既成の方法でよ
い。トランスフェクトされる細胞もマウスを含む脊椎動
物など、真核生物で核の存在するものであればよい。技
法によりことなるが数時間ないし数十時間で目的とする
たんぱくが核に局在することが確認できる。
【0077】核移行の確認方法としては、目的とするた
んぱくの活性を用いた方法、あるいは抗体を用いた免疫
抗体法、酵素抗体法等既存の方法により行うことができ
る。例えばβ−ガラクトシダーゼの場合には、その酵素
活性を、 サーネスの方法{Sanes, J.R. et al. (1986)
EMBO J. 5 3133}により、X-gal を発色剤として使用す
ることにより検出することができる。
【0078】
【発明の効果】本発明により、hHDGF が核移行すること
が明らかになりその核移行シグナルが同定された。 よ
ってこの核移行シグナルを改変・欠失させたhHDGF を使
用すれば該タンパクの細胞での機能を解析することがで
きる。 またこの核移行シグナルを結合させることによ
り生理的には核以外の場所で発現して機能するタンパク
あるいは真核生物の生理的機能には本来関係しない微生
物のタンパクなどを核に導入して細胞の変化を解析する
ことができる。
【0079】また、本発明により、mHDGF が核移行する
ことが明らかになりその核移行シグナルが同定された。
よってこの核移行シグナルを改変・欠失させたmHDGF
を使用すれば該タンパクの細胞での機能を解析すること
ができる。 またこの核移行シグナルを結合させること
により生理的には核以外の場所で発現して機能するタン
パクあるいは真核生物の生理的機能には本来関係しない
微生物のタンパクなどを核に導入して細胞の変化を解析
することができる。
【0080】
【実施例】本発明を実施例により以下にさらに説明す
る。
【0081】(実施例1)hHDGF が核移行することの証
(A) β−ガラクトシダーゼとの融合タンパクを発現する
ためのプラスミドpRcβG-1 の作成 融合用ベクターを作成するために、図2 の方法によりプ
ラスミドpRcβG-1 を作成した。
【0082】(pβG-1の作成)制限酵素HindIII の配列
(AAGCTT)、発現のためのコザックの配列(AGCCCCGCC)、
メチオニンのコドン(ATG) 、融合する相手の遺伝子を導
入するための制限酵素SpeIの配列(ACTAGT)を、β−ガラ
クトシダーゼ遺伝子{Kalnins, A. et al (1983)EMBO
J. 2 (4)593-597}の9 番目以下のアミノ酸配列に結合
した遺伝子を作成することにした。 そのために上記の
塩基配列をβ−ガラクトシダーゼの9 番目から15番目に
相当するアミノ酸配列をコードするDNA 配列に結合した
センスプライマー(5′-CCGAAGCTTAGCCCCGCCATGACTAGTGT
CGTTTTACAAC-3′)をデザインした。 次にβ−ガラクト
シダーゼの150 番目の塩基あたりに存在する制限酵素Fs
pIサイトまでを増幅できるようにアンチセンスプライマ
ー(5′-ATCGTAACCGTGCATCTGCC-3′)をデザインした。こ
の両プライマーをDNA 自動合成機(モデル394、Appl
ied Biosystems社製) により合成し、β−ガラクトシダ
ーゼDNA(pMC1871)を鋳型としてPCR(Polymeraze chain r
eaction)反応を行って、簡単に融合タンパクが作成でき
るように改変されたβ−ガラクトシダーゼのN-末端断片
を作成した。
【0083】まずβ−ガラクトシダーゼを含むプラスミ
ドpMC1871{Malcolm J. et al Methods of Enzymology
(1983)21 293-308} を保持した大腸菌を"Molecular Cl
oning1.33-1.34,1.42-1.43"(Cold Spring Houbor Labor
atory Press 1989) の方法にしたがって大量に調製し
た。 得られたプラスミドpMC1871 DNA 1μg をTE緩衝
液50μlに溶解させた。 このcDNA溶液5μl に、さきに
合成したセンスプライマーおよびアンチセンスプラアイ
マーを各々100pmole添加し、さらに10μlの10倍濃度の
アンプリフィケーション溶液(500mM KCl, 100mM Tris-
HCl pH8.3, 15mMMgCl2 , 0.1% (W/V) ゼラチン)および
16μlのdNTPs mix (1.25mM dATP, 1.25mMdGTP,1.25mM d
CTP, 1.25mM dTTP) を添加し、水を加え、さらに0.5μl
のTaq DNA ポリメラーゼ(5units/μl, パーキンエル
マーシータス社製) を加え、反応液の容量を100μl と
した。 この反応液を94℃に3 分間置いてcDNAを変性さ
せた。 さらに94℃で1 分間放置して変性を行い、50℃
で1 分間放置してアニーリングを行い、ついで72℃で2
分間放置して伸張反応を行うという反応を15回行った。
その後に72℃で2 分間放置して伸張反応を完成させ
た。 このようなPCR反応を計10回行い、その反応液す
なわち1ml 分の反応生成物を微量脱塩チューブ"Suprec-
02" (宝酒造社)によって脱塩、濃縮した。
【0084】チューブのメンブレン上に残ったPCR 反応
産物を20μlのTE緩衝液で回収した。回収したPCR 産物
を500μl の制限酵素HindIII-FspI緩衝液(10mM Tris-H
Cl,10mM MgCl2, 50mM NaCl, 1mM DTT, pH7.9)中、各々
100unitsの制限酵素HindIII-FspIで37℃、2 時間処理し
た。 この反応生成物を0.5×TBE(0.5倍濃度のTBEの意
味、以下同じ)緩衝液中、2.0 %アガロース電気泳動に
より分離したところ目的とする約200bp のバンドが得ら
れた。 そこでこのβ−ガラクトシダーゼのN-末端を含
むHindIII-FspIバンドを切り取り、"Molecular Cloning
6.28-6.29"に記載の方法に従って、0.5×TBE 緩衝液
中、電気的溶出によりDNA を回収した。これにより約10
μgのDNA 断片を得、500μl のTE緩衝液に溶かした。
【0085】つぎにプラスミドpMC1871 DNA 50μgを500
μl の制限酵素FspI 緩衝液(20mMTris-acetate, 10mM
Mg-acetate, 50mM K-acetate, 1mM DTT, 100μg/ml BS
A, pH7.9)中、100unitsの制限酵素FspI で37℃、2 時
間処理した。 そののちこの反応液をフェノール法で抽
出し、エタノール沈殿法でDNAを沈殿させた。このD
NAを今度は500μlの制限酵素SalI 緩衝液(150mM
NaCl, 10mM Tris-HCl, 10mM MgCl2, 1mM DTT, 100μg/m
l BSA, pH7.9)中、100unitsの制限酵素SalIで37℃、2
時間処理した。 この反応生成物を0.5×TBE 緩衝液
中、0.7 %アガロース電気泳動により分離し、β−ガラ
クトシダーゼのC 末端を含むFspI-SalI バンドを切り取
り、"Molecular Cloning 6.28-6.29" に記載の方法に従
って電気的溶出によりDNA を回収した。これにより約20
μgのDNA 断片を得、200μl のTE緩衝液に溶かした。
【0086】これとは別に、5μg のプラスミドベクタ
ーpUC18 を、50μlの制限酵素HindIII緩衝液(10mM Tri
s-HCl, 10mM MgCl2, 50mM NaCl, 1mM DTT, pH7.9)中、
50units の制限酵素HindIIIで37℃、2 時間処理した。
この反応液をフェノール法で抽出し、エタノール沈殿
法でDNAを沈殿させた。このDNAを今度は50μl
の制限酵素SalI 緩衝液中、50unitsの制限酵素SalIで37
℃、2 時間処理した。この反応生成物を0.5×TBE 緩衝
液中、0.7 %アガロース電気泳動により分離し、HindII
I-SalI消化したプラスミドベクターpUC18 のバンドを切
り取り、"Molecular Cloning 6.28-6.29" に記載の方法
に従って電気的溶出によりDNA を回収した。これにより
約4μg のDNA 断片を得、40μlのTE緩衝液に溶かした。
【0087】この制限酵素HindIII-SalI消化プラスミド
ベクターpUC18 の2μl と、先のβ−ガラクトシダーゼ
のN-末端を含むHindIII-FspIバンドおよびC-末端を含む
FspI-SalI バンドの各2μl を20μlのT4ライゲース緩衝
液中で、10units のT4 DNAライゲースで15℃、15時間処
理することによってベクターとβ−ガラクトシダーゼの
N-末端を含むHindIII-FspIバンドおよびC-末端を含むFs
pI-SalI バンドを結合した。 得られた組み替えプラス
ミドをpβG-1 と命名した。
【0088】得られたプラスミドは、自動シーケンサー
(ABI 社 377 型)を用い、ジデオキシ法に基づいてそ
の二本鎖cDNAの塩基配列が決定された。 プライマーと
しては隣接のpUC18ベクター領域に特異的なプライマー
(RV-M または M13-47 宝酒造製)または予め判ってい
るhHDGF の配列に基づいて調製したプライマーを用い
た。 その結果β−ガラクトシダーゼ塩基配列に変異が
無く、また改変した部分の配列も正しいことが確認され
た。
【0089】(pRcβG-1 の作成)プラスミドpβG-1 を
保持した大腸菌を"Molecular Cloning 1.33-1.34,1.42-
1.43" の方法にしたがって大量に調製した。 このプラ
スミドpβG-1 の50μgを、500μl の制限酵素HindIII-X
baI緩衝液(10mM Tris-HCl, 10mM MgCl2, 50mM NaCl, 1
mM DTT, 100μg/ml BSA, pH7.9)中、各々50units の制
限酵素HindIII-XbaIで37℃、2 時間処理処理した。この
反応生成物を0.5×TBE 緩衝液中、0.7 %アガロース電
気泳動により分離し、β−ガラクトシダーゼを含むHind
III-XbaIバンドを切り取り、"Molecular Cloning 6.28-
6.29" に記載の方法に従って電気的溶出により改変した
β−ガラクトシダーゼを含むDNA を回収した。これによ
り約20μgのDNA 断片を得、200μl のTE緩衝液に溶かし
た。
【0090】これとは別に、プラスミドベクターpRc/RS
V{W.C. Lin et al (1991)BioTechniques 11 344} を保
持した大腸菌を"Molecular Cloning 1.33-1.34,1.42-1.
43"の方法にしたがって大量に調製した。 このプラス
ミドベクターの5μg を、50μlの制限酵素HindIII-XbaI
緩衝液中、各々50units の制限酵素HindIII-XbaIで37
℃、2 時間処理処理した。 この反応生成物を0.5×TBE
緩衝液中、0.7 %アガロース電気泳動により分離し、H
indIII-XbaI消化したプラスミドベクターpRc/RSV のバ
ンドを切り取り、"Molecular Cloning 6.28-6.29" に記
載の方法に従って電気的溶出によりDNA を回収した。こ
れにより約4μg のDNA 断片を得、40μlのTE緩衝液に溶
かした。
【0091】この制限酵素HindIII-XbaI消化プラスミド
ベクターpRc/RSV の2μl と、先の改変したβ−ガラク
トシダーゼを含むHindIII-XbaIバンドの2μl を20μlの
T4ライゲース緩衝液(50mM Tris-HCl, 10mM MgCl2, 10m
M DTT, 1mM ATP, 25μg/ml BSA, pH7.5)中で、10units
のT4 DNA ライゲースで、15℃、15時間処理することに
よってベクターとβ−ガラクトシダーゼを含むHindIII-
SalIバンドを結合した。 得られた組み替えプラスミド
をpRcβG-1 と命名した。(図2)(B) hHDGF 遺伝子のpRcβG-1 への導入 hHDGF の遺伝子の全長を発現用プラスミドpRcβG-1 のS
peI部位に以下のように導入した。
【0092】(phA の作成)導入するhHDGF のアミノ酸
配列の3 番目のアルギニンから240 番目のロイシンに対
応する714 塩基対のDNA 配列の5′末端側に制限酵素Spe
Iの配列(ACTAGT)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を
結合した。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze cha
in reaction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-G
CACTAGTCGATCCAACCGGCAGAAGGA-3′)とアンチセンスプラ
イマー(5′-GCTCTAGACAGGCTCTCATGATCTCTGA-3′)をデザ
インした。
【0093】これら両プライマーをDNA 自動合成機(モ
デル394、Applied Biosystems社製) により合成し、
hHDGF cDNA( 特開平6-343470) を鋳型としてPCR 反応を
行った。 1μg のhHDGF cDNAを含むプラスミドをTE緩
衝液50μlに溶解させた。 このcDNA溶液5μl に、合成
したセンスプライマーおよびアンチセンスプラアイマー
を各々100pmole添加し、さらに10μlの10倍濃度のアン
プリフィケーション溶液(500mM KCl, 100mM Tris-HCl
pH8.3, 15mM MgCl2 , 0.1% (W/V) ゼラチン)および16
μlのdNTPs mix (1.25mM dATP, 1.25mM dGTP, 1.25mM d
CTP, 1.25mM dTTP) を添加し、水を加え、さらに0.5μl
のTaq DNA ポリメラーゼ(5units/μl,パーキンエルマ
ーシータス社製) を加え、反応液の容量を100μl とし
た。この反応液を94℃に3 分間置いてcDNAを変性させ
た。 さらに94℃で1 分間放置して変性を行い、50℃で
1 分間放置してアニーリングを行い、ついで72℃で2 分
間放置して伸張反応を行うという反応を15回行った。
その後に72℃で2 分間放置して伸張反応を完成させた。
このようなPCR 反応を計10回行い、その反応液すなわ
ち1ml 分の反応生成物を、微量脱塩チューブ"Suprec-0
2" (宝酒造社)によって脱塩、濃縮した。
【0094】チューブのメンブレン上に残った反応産物
を20μlのTE緩衝液で回収した。回収したPCR 産物を500
μl の制限酵素SpeI-XbaI 緩衝液(10mM Tris-HCl, 10m
M MgCl2, 50mM NaCl, 1mM DTT, 100μg/ml BSA, pH7.
9)中、各々100unitsの制限酵素SpeI-XbaI で37℃、2
時間処理した。この反応生成物を0.5×TBE 緩衝液中、
0.7 %アガロース電気泳動により分離したところ目的と
する約714bp のバンドが得られた。 そこでこのhHDGF
の全長を含むSpeI-XbaI バンドを切り取り、" Molecula
r Cloning 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電気的溶
出によりhHDGF DNA を回収した。これにより約10μgのD
NA 断片を得、100μl のTE緩衝液に溶かした。
【0095】これとは別に、5μg のプラスミドベクタ
ーpBluescriptII SK(+) (Clontech社)を、50μlの制
限酵素SpeI-XbaI 緩衝液中、各々50units の制限酵素Sp
eI-XbaI で37℃、2 時間処理処理した。この反応生成物
を0.5×TBE 緩衝液中、0.7 %アガロース電気泳動によ
り分離し、SpeI-XbaI 消化したプラスミドベクターpBlu
escriptII SK(+) のバンドを切り取り、" Molecular Cl
oning 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電気的溶出に
よりDNA を回収した。これにより約4μg のDNA断片を得
て、40μlのTE緩衝液に溶かした。
【0096】この制限酵素SpeI-XbaI 消化プラスミドベ
クターpBluescriptII SK(+) の2μlと、先のSpeI-XbaI
で消化したhHDGF の全長cDNA断片の各2μl を20μlのT4
DNA ライゲース緩衝液中で、10units のT4 DNA ライ
ゲースで、15℃、15時間処理することによってベクター
とhHDGF の全長DNA を結合した。 得られた組み替えプ
ラスミドをphA と命名した(図3hA) 。
【0097】得られたプラスミドは、自動シーケンサー
(ABI 社 377 型)を用い、ジデオキシ法に基づいてそ
の二本鎖cDNAの塩基配列が決定された。 プライマーと
しては隣接のpBluescript II SK(+) ベクター領域に特
異的なプライマー(SK または KS 東洋紡績社)または
予め判っているhHDGF の配列に基づいて調製したプライ
マーを用いた。 その結果hHDGF の塩基配列に変異が無
く、また改変した部分の配列も正しいことが確認され
た。
【0098】(pRcβG-hA の作成)組み替えプラスミドp
hA を保持した大腸菌を" Molecular Cloning 1.33-1.3
4,1.42-1.43 " の方法にしたがって大量に調製した。
このプラスミドphA の50μgを、500μl の制限酵素SpeI
-XbaII緩衝液中、各々50units の制限酵素SpeI-XbaIIで
37℃、2 時間処理処理した。この反応生成物を0.5×TBE
緩衝液中、0.7 %アガロース電気泳動により分離し、h
HDGF の全長を含むSpeI-XbaI バンドを切り取り、" Mol
ecular Cloning 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電
気的溶出によりhHDGF DNA を回収した。これにより約8
μg のDNA 断片を得、200μl のTE緩衝液に溶かした。
【0099】これとは別に、5μg の発現用プラスミド
ベクターpRcβG-1 を、50μlの制限酵素SpeI緩衝液(10
mM Tris-HCl, 10mM MgCl2, 50mM NaCl, 1mM DTT, 100μ
g/mlBSA, pH7.9)中、50units の制限酵素SpeIで37℃、
2 時間処理し、常法によりフェノール抽出、クロロホル
ム抽出、エタノール沈殿を行ってDNA を回収し、これを
40μlのTE緩衝液に溶かした。
【0100】この制限酵素SpeI消化した発現用プラスミ
ドベクターpRcβG-1 の2μl と、先のhHDGF の全長を含
むSpeI-XbaI バンドの2μl を20μlのT4 DNA ライゲー
ス緩衝液中で、10units のT4 DNA ライゲースで、15
℃、15時間処理することによってベクターとhHDGF の全
長を結合した。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG
-hAと命名した。 pRcβG-hAはRSV LTR と呼ばれる高い
発現効率を持つプロモーターを転写のドライブユニット
として持ち、下流に組み込まれたhHDGF cDNAをCOS-7 細
胞などを宿主として発現させることができる。
【0101】(C) COS-7 細胞への導入 チェン- オカヤマ(Chen-Okayama)の方法{Chen, C. and
Okayama, H. (1987) Mol. Cell. Biol. 7 2745-2752}に
従い、プラスミドpRcβG-hAを用いて、COS-7細胞の形質
転換体を、以下のようにして作成した。
【0102】対数増殖期のCOS-7 細胞を常法によりトリ
プシン処理し、10cm径のプレート中、10mlの10% 子牛血
清( フローラボラトリー社) 、60μg/ml のカナマイシ
ン(明治製菓社) を含むDME(Dulbecco′s modified Eagl
e′s)培地中、5×105 cellとなるようにまき、37℃、5
%炭酸ガスで一夜培養した。 28μgのプラスミドDNA
(15μl TE緩衝液中) を0.5ml の0.25M CaCl2 およ
び0.5ml の2×BBS{50mM BES (N,N-bis [2-hydroxye
thyl]-2-aminoethanesulfonic acid)/280mM NaCl/1.5mM
Na2 HPO 4 , pH6.95}と混ぜ、室温に20分間置いた。
この溶液を一滴ずつ培地に加え、プレートをよく拡散
させた後、5%の炭酸ガス濃度中、37℃で16時間培養し
た。 そののちに培地を除き、COS-7 細胞を10mlのPBS
緩衝液で2度洗い、10% 子牛血清、60μg/ml のカナマイ
シンを含むDME 培地中、5%の炭酸ガ ス濃度中、37℃の
条件でもう一晩培養した。 細胞を常法によりトリプシ
ン処理し、4 倍の倍率で希釈して、10% 子牛血清、60μ
g/ml のカナマイシンを含むDME 中、5%の炭酸ガス濃度
中、37℃の条件で48時間培養した。 このようにして得
た形質転換体をCOS(pRcβG-hA) と名付けた。
【0103】(D) β−ガラクトシダーゼ活性の測定と結
融合タンパクが細胞内のどこにあるかを調べるために、
サーネスの方法{Sanes, J. R. et al. (1986) EMBO J.
5 3133} により、X-gal を発色剤として細胞を染色し
た。この方法では融合タンパクがある部分が濃い青色を
呈する。
【0104】シャーレまたはフラスコ上の形質転換体CO
S(pRcβG-hA) 細胞をリン酸緩衝液(PBS)で洗浄したの
ちに、固定液(2%(V/V) formaldehyde, 0.2%(V/V) glut
araldehyde, ただし PBSに溶かす)で5 分間室温で固定
した。 PBSで2 回洗浄したあとで染色液(5mM K ferric
yanide, 5mM ferrocyanide, 2mM MgCl2 , 1mg/ml X-gal
ただしPBS にとかす)で少なくとも2 時間反応させ
た。 PBS で洗浄したのち、10%ホルマリン液(10% fo
rmaldehyde ただしPBS でとかす)で10分間室温で反応
さ、PBS で洗浄したのち顕微鏡で観察した。サンプルは
4℃で保存した。
【0105】その結果、図4A で示すように融合タンパ
クは核に局在していることが明らかになった。すなわち
hHDGF が核移行することが証明された。
【0106】(実施例2)hHDGF 上に存在する核移行シ
グナルの同定(A) 2 分割したHDGF変異体遺伝子の作成 核移行シグナルを同定するために、hHDGF の遺伝子の一
部を欠失させて図3 に示す様々な欠失アミノ酸を持つhH
DGF の変異体を作成した。
【0107】まずhHDGF の全体を前半と後半に分けて見
た。即ち;図3hB ではhHDGF のアミノ酸配列の3 番目の
アルギニンから141 番目のイソロイシンに対応する417
塩基対のDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列(AC
TAGT)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合した。
そのためにこの領域をPCR(Polymeraze chain reactio
n)で増幅するためのセンスプライマー(5′-GCACTAGTCGA
TCCAACCGGCAGAAGGA-3′)とアンチセンスプライマー(5′
-GCTCTAGAAATGACCAGCTTCCCTTCCT-3′)をデザインした。
【0108】図3HCはhHDGF のアミノ酸配列の142 番目
のアスパラギン酸から240 番目のロイシンに対応する29
7 塩基対のDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列
(ACTAGT)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合し
た。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze chain rea
ction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-GCACTAG
TGATGAGCCAGCCAAGGAGAA-3′) とアンチセンスプライマ
ー(5′-GCTCTAGACAGGCTCTCATGATCTCTGA-3′)をデザイン
した。
【0109】上述の各組のプライマーをDNA 自動合成機
(モデル394、Applied Biosystems社製) により合成
し、hHDGF cDNAを鋳型として実施例1 の場合と同様にし
てPCR 反応を行った。 回収したPCR 産物を実施例1 の
場合と同様にしてプラスミドベクターpBluescript II S
K(+)のSpeIサイトに導入し、得られた組み替えプラスミ
ドを各々phB 、phC と命名した。 塩基配列に変異の無
いことを確認したのちに、これを実施例1 の場合と同様
にして発現用プラスミドベクターpRcβG-1 に導入し
た。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-hB, pRcβ
G-hCと命名した。(B) COS-7 細胞での発現と結果 pRcβG-hB, pRcβG-hCを実施例1 の場合と同様にしてを
COS-7 細胞を宿主として発現させた。その結果、図4B,C
で示すようにどちらの融合タンパクも核に局在している
ことが明らかになった。すなわちhHDGF の前半部分も後
半部分も少なくともひとつの核移行シグナルを持つこと
が証明された。 そこでhHDGF のアミノ酸配列をデータ
ベース、例えばEMBL,Genbankなど、に対してホモロジー
検索をしてみると、ふたつの核移行シグナル、hHDGF-NL
S1を前半のアミノ酸配列中に、およびhHDGF-NLS2を後半
のアミノ酸配列中に発見することができる(図1) 。hHDG
F-NLS1は塩基性のアミノ酸を多く含むタイプモチーフの
特徴を、hHDGF-NLS2はbipartite タイプ゜ の特徴をもっ
ているがそれらの配列は新規である。
【0110】(C) 核移行シグナルを欠失させたHDGF変異
体遺伝子の作成 図3 hD, hE, hFは核移行シグナルを欠失させた変異体で
あるが、これらを作成するにはすこし工夫が必要であ
る。
【0111】(phGの作成)hHDGF のアミノ酸配列の75番
目から80番目に存在する核移行シグナルhHDGF-NTS1を取
り除くために、アミノ酸配列の3 番目から73番目と82番
目から240 番目に対応するDNA 配列を別々にPCR 増幅
し、両配列をつなぐために制限酵素NarIの配列(GGCGCC)
を介在させた。 まずアミノ酸配列の3 番目から74番目
に対応するDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列
(ACTAGT)を、3′末端側にNarIの配列(GGCGCC)を結合し
た。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze chain rea
ction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-GCACTAG
TCGATCCAACCGGCAGAAGGA-3′)とアンチセンスプライマー
(5′-AATGGCGCCAAACTTCTCCTTGGATT-3′)をデザインし
た。次にアミノ酸配列の82番目から240 番目に対応する
DNA 配列の5′末端側に制限酵素NarIの配列(GGCGCC)
を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合した。
【0112】そのためにこの領域をPCR で増幅するため
のセンスプライマー(5′-AATGGCGCCTTCAGCGAGGGGCTGTGG
GA-3′) とアンチセンスプライマー(5′-GCTCTAGACAGGC
TCTCATGATCTCTGA-3′)をデザインした。
【0113】上述の各組のプライマーをDNA 自動合成機
(モデル394、Applied Biosystems社製) により合成
し、hHDGF cDNAを鋳型として実施例1 の場合と同様にし
てPCR 反応を行った。 回収した2種類のPCR 産物を実
施例1 のプラスミドpβG-1を作成した場合と同様にして
プラスミドベクターpBluescriptII SK(+) のSpeIサイト
に導入し、組み替えプラスミドをphG を得た。
【0114】(phHの作成)hHDGF のアミノ酸配列の155
番目から170 番目に存在する核移行シグナルhHDGF-NTS2
を取り除くために、アミノ酸配列の3 番目から153 番目
と172 番目から240 番目に対応するDNA 配列を別々にPC
R 増幅し、両配列をつなぐために制限酵素XhoI(CTCGAG)
の配列を介在させた。まずアミノ酸配列の2 番目から15
3 番目に対応するDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeI
の配列(ACTAGT)を、3′末端側にXhoIの配列(CTCGAG)を
結合した。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze cha
in reaction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-G
CACTAGTCGATCCAACCGGCAGAAGGA-3′) とアンチセンスプ
ライマー(5′-CCGCTCGAGCGCTCCTTTCTCGTTCTTCTCCTT-
3′)をデザインした。 次にアミノ酸配列の172 番目か
ら240 番目に対応するDNA配列の5′末端側に制限酵素Xh
oIの配列(CTCGAG)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)
を結合した。 そのためにこの領域をPCR で増幅するた
めのセンスプライマー(5′-CCTCTCGAGGCAGAAAACCCTGAAG
GAGAG-3′)とアンチセンスプライマー(5′-GCTCTAGACAG
GCTCTCATGATCTCTGA-3′)をデザインした。
【0115】上述の各組のプライマーをDNA 自動合成機
(モデル394、Applied Biosystems社製) により合成
し、hHDGF cDNAを鋳型として実施例1 の場合と同様にし
てPCR 反応を行った。 回収した2種類のPCR 産物を実
施例1 のプラスミドpβG-1を作成した場合と同様にして
プラスミドベクターpBluescriptII SK(+) のSpeIサイト
に導入し、組み替えプラスミドをphH を得た。
【0116】(phD および pRcβG-hD の作成)phD はp
hG のPst I 断片とphB のPst I 断片を入れ替えること
により作成した。
【0117】プラスミドphG を保持した大腸菌を" Mole
cular Cloning 1.33-1.34,1.42-1.43 " の方法にしたが
って大量に調製した。 得られたプラスミドphG の50μ
gを、500μl の制限酵素Pst I 緩衝液(50mM Tris-HCl,
10mM MgCl2, 100mM NaCl,1mM DTT, pH7.9)中、50unit
s の制限酵素PstIで37℃、2 時間処理処理した。この反
応生成物を0.5×TBE 緩衝液中、0.7 %アガロース電気
泳動により分離し、核移行シグナルを欠失したhHDGF 前
半部を含むPstIバンドを切り取り、" Molecular Clonin
g 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電気的溶出により
DNA を回収した。これにより約5μg のDNA 断片を得、1
00μl のTE緩衝液に溶かした。
【0118】これとは別に、5μg のプラスミドphB
を、50μlの制限酵素PstI緩衝液中、50units の制限酵
素Pst I で37℃、2 時間処理した。 この反応生成物を
0.5×TBE緩衝液中、0.7 %アガロース電気泳動により分
離し、ベクター部分を含むPstIバンドを切り取り、" Mo
lecular Cloning 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電
気的溶出によりDNA を回収した。これにより約3μg のD
NA 断片を得、30μlのTE緩衝液に溶かした。
【0119】この制限酵素Pst I 消化プラスミドベクタ
ーphB の2μl と、核移行シグナルを欠失した部分を含
むphG のPst I バンドの2μl を20μlのT4ライゲース緩
衝液中で、10units のT4ライゲースで、15℃、15時間処
理することによって両者を結合した。 得られた組み替
えプラスミドはphD と命名した。
【0120】phD にクローニングしたDNA 断片は塩基配
列に変異の無いことを確認したのちに、実施例1 の場合
と同様にして発現用プラスミドベクターpRcβG-1 に導
入した。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-hDと
命名した。 (phE および pRcβG-hE の作成)phE はphH を鋳型と
してPCR 法を用いて作成した。
【0121】phE の場合は適当な制限酵素サイトが無い
ためにphD のようには作成できない。 そこでphC を作
成するときに使用したプライマーでphH を鋳型としてPC
R を行うことによりphE を作成した。
【0122】phE にクローニングしたDNA 断片はNLS2が
欠失し、その他の塩基配列に変異の無いことを確認した
のちに、実施例1 の場合と同様にして発現用プラスミド
ベクターpRcβG-1 に導入した。 得られた組み替えプ
ラスミドはpRcβG-hEと命名した。
【0123】(phF および pRcβG-hF の作成)phF はp
hG のPst I 断片とphH のPst I 断片を入れ替えること
により作成した。
【0124】作成法はphD, phEの場合と同様である、す
なわちphG より抽出した核移行シグナルを欠失した部分
を含むPst I バンドの2μl と制限酵素Pst I で消化し
たプラスミドphH のベクター部を含むPstIバンドの2μl
とを20μlのT4 DNA ライゲース緩衝液中で、10units
のT4 DNA ライゲースで、15℃、15時間処理することに
よって両者を結合した。 得られた組み替えプラスミド
はphF と命名した。
【0125】phF にクローニングしたDNA 断片は塩基配
列に変異の無いことを確認したのちに、実施例1 の場合
と同様にして発現用プラスミドベクターpRcβG-1 に導
入した。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-hFと
命名した。
【0126】(D) COS-7 細胞での発現 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-hD, pRcβG-hE,
pRcβG-hFは、実施例1の場合と同様にしてCOS-7 細胞を
宿主として発現させた。 その結果、図4 D,E, Fで示す
ようにいずれの融合タンパクも細胞質に局在しているこ
とが明らかになった。
【0127】すなわち核移行シグナルhHDGF-NLS1が欠失
した前半のアミノ酸配列変異体が核に移行せず細胞質に
とどまるということは、hHDGF-NLS1が前半唯一の核移行
シグナルであるということができる。 同様にhHDGF-NL
S2を欠失した後半のアミノ酸配列変異体が核に移行せず
細胞質にとどまるということはhHDGF-NLS2が後半唯一の
核移行シグナルであるということができる。
【0128】さらに核移行シグナルhHDGF-NLS1およびhH
DGF-NLS2が欠失したアミノ酸配列変異体が核に移行せず
細胞質にとどまることということはhHDGF-NLS1およびhH
DGF-NLS2が唯一の核移行シグナルであるということがで
きる。
【0129】(実施例3)核移行シグナルhHDGF-NLS2を
用いて、通常核には決して存在しないタンパクを核に導
入する方法。
【0130】(A) hHDGF-NLS2とβ−ガラクトシダーゼを
融合した発現プラスミドphHDGF-NTS2/β-galの作成 hHDGF のアミノ酸配列の155 番目から170 番目に存在す
る核移行シグナルhHDGF-NTS2に対応する48塩基対のDNA
配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列(ACTAGT)を、3′
末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合した。 そのため、
この領域をPCR(Polymeraze chain reaction)で増幅する
ためにセンスプライマー(5′-GCACTAGTAAGAGGAGAGCAGGG
GACTT-3′)とアンチセンスプライマー(5′-GCTCTAGACTT
GGGACGTTTAGGAGAGT-3′)をデザインした。
【0131】上述のプライマーをDNA 自動合成機(モデ
ル394、Applied Biosystems社製) により合成し、hH
DGF cDNAを鋳型として実施例1 の場合と同様にしてPCR
反応を行った。 回収したPCR 産物を実施例1 の場合と
同様にしてプラスミドベクターpRcβG-1 のSpeIサイト
に導入し、得られた組み替えプラスミドを各々phHDGF-N
TS2 /β-galと命名した。
【0132】(B) COS-7 細胞での発現 実施例1 の場合と同様にしてphHDGF-NTS2 /β-galをCOS
-7 細胞を宿主として発現させた。その結果、図4 hHDGF
-NLS2で示すように融合タンパクが核に局在しているこ
とが明らかになった。これは核移行シグナルhHDGF-NTS2
が、本来核に存在しないβ−ガラクトシダーゼを核に局
在するようさせることができたことを示している。
【0133】(実施例4)mHDGF が核移行することの証
(A) β−ガラクトシダーゼとの融合タンパクを発現する
ためのプラスミドpRcβG-1 の作成 この工程は実施例1における対応する工程と同じであ
る。
【0134】(B) mHDGF 遺伝子のpRcβG-1 への導入 mHDGF の遺伝子の全長を発現用プラスミドpRcβG-1 のS
peI部位に以下のように導入した。
【0135】(pmA の作成)導入するmHDGF のアミノ酸
配列の3 番目のアルギニンから237 番目のロイシンに対
応する705 塩基対のDNA 配列の5′末端側に制限酵素Spe
Iの配列(ACTAGT)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を
結合した。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze cha
in reaction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-G
CACTAGTCGATCCAACCGGCAGAAAGA-3′)とアンチセンスプラ
イマー(5′-GCTCTAGACAGGCTCTCATGATCTCTGA-3′)をデザ
インした。
【0136】これら両プライマーをDNA 自動合成機(モ
デル394、Applied Biosystems社製) により合成し、
mHDGF cDNA( 特願平8−64001) を鋳型としてPCR
反応を行った。 1μg のmHDGF cDNAを含むプラスミド
をTE緩衝液50μlに溶解させた。 このcDNA溶液5μl
に、合成したセンスプライマーおよびアンチセンスプラ
アイマーを各々100pmole添加し、さらに10μlの10倍濃
度のアンプリフィケーション溶液(500mM KCl, 100mM T
ris-HCl pH8.3, 15mM MgCl2 , 0.1% (W/V) ゼラチン)
および16μlのdNTPs mix (1.25mM dATP, 1.25mM dGTP,
1.25mM dCTP, 1.25mM dTTP) を添加し、水を加え、さら
に0.5μl のTaq DNA ポリメラーゼ(5units/μl, パー
キンエルマーシータス社製) を加え、反応液の容量を10
0μl とした。 この反応液を94℃に3 分間置いてcDNA
を変性させた。 さらに94℃で1 分間放置して変性を行
い、50℃で1 分間放置してアニーリングを行い、ついで
72℃で2 分間放置して伸張反応を行うという反応を15回
行った。 その後に72℃で2分間放置して伸張反応を完
成させた。 このようなPCR 反応を計10回行い、その反
応液すなわち1ml 分の反応生成物を、微量脱塩チュー
ブ"Suprec-02" (宝酒造社)によって脱塩、濃縮した。
【0137】チューブのメンブレン上に残った反応産物
を20μlのTE緩衝液で回収した。回収したPCR 産物を500
μl の制限酵素SpeI-XbaI 緩衝液中、各々100unitsの制
限酵素SpeI-XbaI で37℃、2 時間処理した。この反応生
成物を0.5×TBE 緩衝液中、2.0 %アガロース電気泳動
により分離したところ目的とする約705bp のバンドが得
られた。 そこでこのmHDGF の全長を含むSpeI-XbaI バ
ンドを切り取り、"Molecular Cloning 6.28-6.29 " に
記載の方法に従って電気的溶出によりmHDGFDNA を回収
した。これにより約10μgのDNA 断片を得、100μl のTE
緩衝液に溶かした。
【0138】これとは別に、5μg のプラスミドベクタ
ーpBluescriptII SK(+) (Clontech社)を、50μlの制
限酵素SpeI-XbaI 緩衝液中、各々50units の制限酵素Sp
eI-XbaI で37℃、2 時間処理した。この反応生成物を0.
5×TBE 緩衝液中、0.7 % アガロース電気泳動により分
離し、SpeI-XbaI 消化したプラスミドベクターpBluescr
iptII SK(+) のバンドを切り取り、" Molecular Clonin
g 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電気的溶出により
DNA を回収した。これにより約4μg のDNA 断片を得
て、40μlのTE緩衝液に溶かした。
【0139】この制限酵素SpeI-XbaI 消化プラスミドベ
クターpBluescriptII SK(+) の2μlと、先のSpeI-XbaI
で消化したmHDGF の全長cDNA断片の各2μl を20μlのT4
DNA ライゲース緩衝液中で、10units のT4 DNA ライ
ゲースで、15℃、15時間処理することによってベクター
とmHDGF の全長DNA を結合した。 得られた組み替えプ
ラスミドをpmA と命名した(図6mA).得られたプラスミド
は、自動シーケンサー(ABI 社 377 型)を用い、ジデ
オキシ法に基づいてその二本鎖cDNAの塩基配列が決定さ
れた。 プライマーとしては隣接のpBluescript II SK
(+) ベクター領域に特異的なプライマー(SK または K
S 東洋紡績社)または予め判っているmHDGF の配列に基
づいて調製したプライマーを用いた。 その結果mHDGF
の塩基配列に変異が無く、また改変した部分の配列も正
しいことが確認された。
【0140】(pRcβG-mA の作成)組み替えプラスミドp
mA を保持した大腸菌を" Molecular Cloning 1.33-1.3
4,1.42-1.43 " の方法にしたがって大量に調製した。
このプラスミドpmA の50μgを、500μl の制限酵素SpeI
-XbaII緩衝液中、50units の制限酵素SpeI-XbaIIで37
℃、2 時間処理処理した。この反応生成物を0.5×TBE
緩衝液中、0.7 %アガロース電気泳動により分離し、mH
DGF の全長を含むSpeI-XbaI バンドを切り取り、" Mole
cular Cloning 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電気
的溶出によりmHDGF DNA を回収した。これにより約8μg
のDNA 断片を得、200μl のTE緩衝液に溶かした。
【0141】これとは別に、5μg の発現用プラスミド
ベクターpRcβG-1 を、50μlの制限酵素SpeI緩衝液中、
50units の制限酵素SpeIで37℃、2 時間処理し、常法に
よりフェノール抽出、クロロホルム抽出、エタノール沈
殿を行ってDNA を回収し、これを40μlのTE緩衝液に溶
かした。
【0142】この制限酵素SpeI消化した発現用プラスミ
ドベクターpRcβG-1 の2μl と、先のmHDGF の全長を含
むSpeI-XbaI バンドの2μl を20μlのT4 DNA ライゲー
ス緩衝液中で、10units のT4 DNA ライゲースで、15
℃、15時間処理することによってベクターとmHDGF の全
長を結合した。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG
-mAと命名した。 pRcβG-mAはRSV LTR と呼ばれる高い
発現効率を持つプロモーターを転写のドライブユニット
として持ち、下流に組み込まれたmHDGF cDNAをCOS-7
細胞などを宿主として発現させることができる。
【0143】(C) COS-7 細胞への導入 チェン- オカヤマ(Chen-Okayama)の方法{Chen, C. and
Okayama, H. (1987) Mol. Cell. Biol. 7 2745-2752}に
従い、プラスミドpRcβG-mAを用いて、COS-7細胞の形質
転換体を、以下のようにして作成した。
【0144】対数増殖期のCOS-7 細胞を常法によりトリ
プシン処理し、10cm径のプレート中、10mlの10% 子牛血
清( フローラボラトリー社) 、60μg/ml のカナマイシ
ン(明治製菓社) を含むDME(Dulbecco′s modified Eagl
e′s)培地中、5×105 cellとなるようにまき、37℃、5
%炭酸ガスで一夜培養した。 28μgのプラスミドDNA
(15μl TE緩衝液中) を0.5ml の0.25M CaCl2 および
0.5ml の2×BBS{50mMBES (N,N-bis [2-hydroxyethy
l]-2-aminoethanesulfonic acid)/280mM NaCl/1.5mM N
a2 HPO 4 , pH6.95}と混ぜ、室温に20分間置いた。 こ
の溶液を一滴ずつ培地に加え、プレートをよく拡散させ
た後、5%の炭酸ガス濃度中、37℃で16時間培養した。
そののちに培地を除き、COS-7 細胞を10mlのPBS 緩衝液
で2 度洗い、10% 子牛血清、60μg/ml のカナマイシン
を含むDME 培地中、5%の炭酸ガス 濃度中、37℃の条件
でもう一晩培養した。 細胞を常法によりトリプシン処
理し、4 倍の倍率で希釈して、10% 子牛血清、60μg/ml
のカナマイシンを含むDME 中、5%の炭酸ガス濃度中、
37℃の条件で48時間培養した。 このようにして得た形
質転換体をCOS(pRcβG-mA) と名付けた。
【0145】(D) β−ガラクトシダーゼ活性の測定と結
融合タンパクが細胞内のどこにあるかを調べるために、
サーネスの方法{Sanes, J. R. et al. (1986) EMBO J.
5 3133} により、X-gal を発色剤として細胞を染色し
た。この方法では融合タンパクがある部分が濃い青色を
呈する。
【0146】シャーレまたはフラスコ上の形質転換体CO
S(pRcβG-mA) 細胞をリン酸緩衝液(PBS)で洗浄したの
ちに、固定液(2%(V/V) formaldehyde, 0.2%(V/V) glut
araldehyde, ただし PBSに溶かす)で5 分間室温で固定
した。 PBSで2 回洗浄したあとで染色液(5mM K ferric
yanide, 5mM ferrocyanide, 2mM MgCl2 , 1mg/ml X-gal
ただしPBS にとかす)で少なくとも2 時間反応させ
た。 PBS で洗浄したのち、10%ホルマリン液(10% fo
rmaldehyde ただしPBS でとかす)で10分間室温で反応
さ、PBS で洗浄したのち顕微鏡で観察した。サンプルは
4℃で保存した。
【0147】その結果、図7A で示すように融合タンパ
クは核に局在していることが明らかになった。すなわち
mHDGF が核移行することが証明された。
【0148】(実施例5)mHDGF 上に存在する核移行シ
グナルの同定(A) 2 分割したHDGF変異体遺伝子の作成 核移行シグナルを同定するために、mHDGF の遺伝子の一
部を欠失させて図6 に示す様々な欠失アミノ酸を持つmH
DGF の変異体を作成した。
【0149】まずmHDGF の全体を前半と後半に分けて見
た。即ち;図6mB ではmHDGF のアミノ酸配列の3 番目の
アルギニンから141 番目のイソロイシンに対応する417
塩基対のDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列(AC
TAGT)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合した。
そのためにこの領域をPCR(Polymeraze chain reactio
n)で増幅するためのセンスプライマー(5′-GCACTAGTCGA
TCCAACCGGCAGAAAGA-3′)とアンチセンスプライマー(5′
-GCTCTAGAGATCACCAGTTTCCCTTCTT-3′)をデザインした。
【0150】図6mCはmHDGF のアミノ酸配列の142 番目
のアスパラギン酸から237 番目のロイシンに対応する28
8 塩基対のDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列
(ACTAGT)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合し
た。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze chain rea
ction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-GCACTAG
TGATGAACCAGCCAAGGAGAA-3′) とアンチセンスプライマ
ー(5′-GCTCTAGACAGGCTCTCATGATCTCTGA-3′)をデザイン
した。
【0151】上述の各組のプライマーをDNA 自動合成機
(モデル394、Applied Biosystems社製) により合成
し、mHDGF cDNAを鋳型として実施例4の場合と同様にし
てPCR 反応を行った。 回収したPCR 産物を実施例4の
場合と同様にしてプラスミドベクターpBluescript II S
K(+)のSpeIサイトに導入し、得られた組み替えプラスミ
ドを各々pmB 、pmC と命名した。 塩基配列に変異の無
いことを確認したのちに、これを実施例4の場合と同様
にして発現用プラスミドベクターpRcβG-1 に導入し
た。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-mB, pRcβ
G-mCと命名した。(B) COS-7 細胞での発現と結果 pRcβG-mB, pRcβG-mCを実施例4の場合と同様にしてを
COS-7 細胞を宿主として発現させた。その結果、図7B,C
で示すようにどちらの融合タンパクも核に局在している
ことが明らかになった。すなわちmHDGF の前半部分も後
半部分も少なくともひとつの核移行シグナルを持つこと
が証明された。 そこでmHDGF のアミノ酸配列をデータ
ベース、例えばEMBL,Genbankなど、に対してホモロジー
検索をしてみると、ふたつの核移行シグナル、mHDGF-NL
S1を前半のアミノ酸配列中に、およびmHDGF-NLS2を後半
のアミノ酸配列中に発見することができる(図5) 。mHDG
F-NLS1は塩基性のアミノ酸を多く含むタイプモチーフの
特徴を、mHDGF-NLS2はbipartite タイプ゜ の特徴をもっ
ているがそれらの配列は新規である。
【0152】(C) 核移行シグナルを欠失させたHDGF変異
体遺伝子の作成 図6 mD, mE, mFは核移行シグナルを欠失させた変異体で
あるが、これらを作成するにはすこし工夫が必要であ
る。
【0153】(pmGの作成)mHDGF のアミノ酸配列の75番
目から80番目に存在する核移行シグナルmHDGF-NTS1を取
り除くために、アミノ酸配列の3 番目から73番目と82番
目から237 番目に対応するDNA 配列を別々にPCR 増幅
し、両配列をつなぐために制限酵素NarIの配列(GGCGCC)
を介在させた。 まずアミノ酸配列の3 番目から74番目
に対応するDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列
(ACTAGT)を、3′末端側にNarIの配列(GGCGCC)を結合し
た。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze chain rea
ction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-GCACTAG
TCGATCCAACCGGCAGAAAGA-3′)とアンチセンスプライマー
(5′-AATGGCGCCAAACTTCTCCTTGGATT-3′)をデザインし
た。次にアミノ酸配列の82番目から237 番目に対応する
DNA 配列の5′末端側に制限酵素NarIの配列(GGCGCC)
を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合した。その
ためにこの領域をPCR で増幅するためのセンスプライマ
ー(5′-AATGGCGCCTTCAGCGAGGGGCTGTGGGA-3′) とアンチ
センスプライマー(5′-GCTCTAGACAGGCTCTCATGATCTCTGA-
3′)をデザインした。
【0154】上述の各組のプライマーをDNA 自動合成機
(モデル394、Applied Biosystems社製) により合成
し、mHDGF cDNAを鋳型として実施例4の場合と同様にし
てPCR 反応を行った。 回収した2種類のPCR 産物を実
施例4のプラスミドpβG-1を作成した場合と同様にして
プラスミドベクターpBluescriptII SK(+) のSpeIサイト
に導入し、組み替えプラスミドをphG を得た。
【0155】(pmHの作成)mHDGF のアミノ酸配列の155
番目から170 番目に存在する核移行シグナルmHDGF-NTS2
を取り除くために、アミノ酸配列の3 番目から153 番目
と172 番目から237 番目に対応するDNA 配列を別々にPC
R 増幅し、両配列をつなぐために制限酵素XhoI(CTCGAG)
の配列を介在させた。まずアミノ酸配列の2 番目から15
3 番目に対応するDNA 配列の5′末端側に制限酵素SpeI
の配列(ACTAGT)を、3′末端側にXhoIの配列(CTCGAG)を
結合した。 そのためにこの領域をPCR(Polymeraze cha
in reaction)で増幅するためのセンスプライマー(5′-G
CACTAGTCGATCCAACCGGCAGAAAGA-3′) とアンチセンスプ
ライマー(5′-CCGCTCGAGCGTGCCCTTTTCGTTCTTCTCCTT-
3′)をデザインした。 次にアミノ酸配列の172 番目か
ら237 番目に対応するDNA配列の5′末端側に制限酵素Xh
oIの配列(CTCGAG)を、3′末端側にXbaIの配列(TCTAGA)
を結合した。 そのためにこの領域をPCR で増幅するた
めのセンスプライマー(5′-CCTCTCGAGTCAGGAGACCATGAGG
AGGAG-3′)とアンチセンスプライマー(5′-GCTCTAGACAG
GCTCTCATGATCTCTGA-3′)をデザインした。
【0156】上述の各組のプライマーをDNA 自動合成機
(モデル394、Applied Biosystems社製) により合成
し、mHDGF cDNAを鋳型として実施例4の場合と同様にし
てPCR 反応を行った。 回収した2種類のPCR 産物を実
施例4のプラスミドpβG-1を作成した場合と同様にして
プラスミドベクターpBluescriptII SK(+) のSpeIサイト
に導入し、組み替えプラスミドをpmH を得た。
【0157】(pmD および pRcβG-mD の作成)pmD はp
hG のApaI断片とpmB のApaI断片を入れ替えることによ
り作成した。
【0158】プラスミドpmG を保持した大腸菌を" Mole
cular Cloning 1.33-1.34,1.42-1.43 " の方法にしたが
って大量に調製した。 得られたプラスミドpmG の50μ
gを、500μl の制限酵素ApaI緩衝液(20mM Tris-acetat
e, 10mM Mg-acetate, 50mMK-acetate, 1mM DTT, 100μg
/ml BSA, pH7.9)中、50units の制限酵素ApaIで25℃、
16 時間処理処理した。この反応生成物を0.5×TBE 緩衝
液中、0.7 %アガロース電気泳動により分離し、核移行
シグナルを欠失したmHDGF 前半部を含むApaIバンドを切
り取り、" Molecular Cloning 6.28-6.29 " に記載の方
法に従って電気的溶出によりDNA を回収した。これによ
り約5μg のDNA 断片を得、100μlのTE緩衝液に溶かし
た。
【0159】これとは別に、5μg のプラスミドpmB
を、50μlの制限酵素ApaI緩衝液中、50units の制限酵
素ApaIで25℃、16 時間処理した。 この反応生成物を
0.5×TBE緩衝液中、0.7 %アガロース電気泳動により分
離し、ベクター部分を含むApaIバンドを切り取り、" Mo
lecular Cloning 6.28-6.29 " に記載の方法に従って電
気的溶出によりDNA を回収した。これにより約3μg のD
NA 断片を得、30μlのTE緩衝液に溶かした。
【0160】この制限酵素ApaI消化プラスミドベクター
pmB の2μl と、核移行シグナルを欠失した部分を含むp
mG のApaIバンドの2μl を20μlのT4ライゲース緩衝液
中で、10units のT4ライゲースで、15℃、15時間処理す
ることによって両者を結合した。 得られた組み替えプ
ラスミドはpmD と命名した。
【0161】pmD にクローニングしたDNA 断片は塩基配
列に変異の無いことを確認したのちに、実施例4の場合
と同様にして発現用プラスミドベクターpRcβG-1 に導
入した。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-mDと
命名した。
【0162】(pmE および pRcβG-mE の作成)pmE はp
mH を鋳型としてPCR 法を用いて作成した。
【0163】pmE の場合は適当な制限酵素サイトが無い
ためにpmD のようには作成できない。 そこでpmC を作
成するときに使用したプライマーでphH を鋳型としてPC
R を行うことによりphE を作成した。
【0164】pmE にクローニングしたDNA 断片はNLS2が
欠失し、その他の塩基配列に変異の無いことを確認した
のちに、実施例4の場合と同様にして発現用プラスミド
ベクターpRcβG-1 に導入した。 得られた組み替えプ
ラスミドはpRcβG-mEと命名した。
【0165】(pmF および pRcβG-mF の作成)pmF はp
mG のApaI断片とpmH のApaI断片を入れ替えることによ
り作成した。
【0166】作成法はpmD, pmEの場合と同様である、す
なわちpmG より抽出した核移行シグナルを欠失した部分
を含むApaIバンドの2μl と制限酵素ApaIで消化したプ
ラスミドpmH のベクター部を含むApaIバンドの2μl と
を20μlのT4 DNA ライゲース緩衝液中で、10units のT
4 DNA ライゲースで、15℃、15時間処理することによ
って両者を結合した。 得られた組み替えプラスミドは
pmF と命名した。
【0167】pmF にクローニングしたDNA 断片は塩基配
列に変異の無いことを確認したのちに、実施例4の場合
と同様にして発現用プラスミドベクターpRcβG-1 に導
入した。 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-mFと
命名した。
【0168】(D) COS-7 細胞での発現 得られた組み替えプラスミドはpRcβG-mD, pRcβG-mE,
pRcβG-mFは、実施例4の場合と同様にしてCOS-7 細胞
を宿主として発現させた。 その結果、図7D,E,Fで示す
ようにいずれの融合タンパクも細胞質に局在しているこ
とが明らかになった。
【0169】すなわち核移行シグナルmHDGF-NLS1が欠失
した前半のアミノ酸配列変異体が核に移行せず細胞質に
とどまるということは、mHDGF-NLS1が前半唯一の核移行
シグナルであるということができる。 同様にmHDGF-NL
S2を欠失した後半のアミノ酸配列変異体が核に移行せず
細胞質にとどまるということはmHDGF-NLS2が後半唯一の
核移行シグナルであるということができる。
【0170】さらに核移行シグナルmHDGF-NLS1およびmH
DGF-NLS2が欠失したアミノ酸配列変異体が核に移行せず
細胞質にとどまることということはmHDGF-NLS1およびmH
DGF-NLS2が唯一の核移行シグナルであるということがで
きる。
【0171】(実施例6)核移行シグナルmHDGF-NLS2を
用いて、通常核には決して存在しないタンパクを核に導
入する方法。
【0172】(A) mHDGF-NLS2とβ−ガラクトシダーゼを
融合した発現プラスミドpmHDGF-NTS2/β-galの作成 mHDGF のアミノ酸配列の155 番目から170 番目に存在す
る核移行シグナルmHDGF-NTS2に対応する48塩基対のDNA
配列の5′末端側に制限酵素SpeIの配列(ACTAGT)を、3′
末端側にXbaIの配列(TCTAGA)を結合した。 そのため、
この領域をPCR(Polymeraze chain reaction)で増幅する
ためにセンスプライマー(5′-GCACTAGTAAGAGGAGAGCAGGG
GATGT-3′)とアンチセンスプライマー(5′-GCTCTAGACTT
GGGACGTTTAGGGGAGT-3′)をデザインした。
【0173】上述のプライマーをDNA 自動合成機(モデ
ル394、Applied Biosystems社製) により合成し、mH
DGF cDNAを鋳型として実施例4の場合と同様にしてPCR
反応を行った。 回収したPCR 産物を実施例4の場合と
同様にしてプラスミドベクターpRcβG-1 のSpeIサイト
に導入し、得られた組み替えプラスミドを各々pmHDGF-N
TS2 /β-galと命名した。
【0174】(B) COS-7 細胞での発現 実施例4の場合と同様にしてpmHDGF-NTS2 /β-galをCOS
-7 細胞を宿主として発現させた。その結果、図7 mHDGF
-NLS2 で示すように融合タンパクが核に局在し ている
ことが明らかになった。これは核移行シグナルmHDGF-NT
S2が、本来核に存在しないβ−ガラクトシダーゼを核に
局在するようさせることができたことを示している。
【0175】
【配列表】
配列番号(SEQ ID NO) :1 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH) :657 配列の型(SEQUENCE TYPE) :核酸(nucleic acid) 鎖の数(STRANDEDNESS):二本鎖(double) トポロジー(TOPOLOGY):直鎖状(linear) アンチセンス (ANTI-SENCE) :No 起源(ORIGINAL SOURCE) :ヒト 配列の特徴(FEATURE) (A)特徴を表す記号:CDS (B)存在位置:1〜657 配列(SEQUENCE DESCRIPTION) ATG TCG CGA TCC AAC CGG CAG AAG GAG TAC AAA TGC GGG GAC CTG Met Ser Arg Ser Asn Arg Gln Lys Glu Tyr Lys Cys Gly Asp Leu 5 10 15 GTG TTC GCC AAG ATG AAG GGC TAC CCA CAC TGG CCG GCC CGG ATT Val Phe Ala Lys Met Lys Gly Tyr Pro His Trp Pro Ala Arg Ile 20 25 30 GAC GAG ATG CCT GAG GCT GCC GTG AAA TCA ACA GCC AAC AAA TAC Thr Ala Asn Lys Tyr Gln Val Phe Phe Phe Gly Thr His Glu Thr 35 40 45 CAA GTC TTT TTT TTC GGG ACC CAC GAG ACG GCA TTC CTG GGC CCC Asp Glu Met Pro Glu Ala Ala Val Lys Ser Ala Phe Leu Gly Pro 50 55 60 NarI AAA GAC CTC TTC CCT TAC GAG GAA TCC AAG GAG AAG TTT GGC GCC Lys Asp Leu Phe Pro Tyr Glu Glu Ser Lys Glu Lys Phe Gly Ala 65 70 75 TTC AGC GAG GGG CTG TGG GAG ATC GAG AAC AAC CCT ACT GTC AAG Phe Ser Glu Gly Leu Trp Glu Ile Glu Asn Asn Pro Thr Val Lys 80 85 90 GCT TCC GGC TAT CAG TCC TCC CAG AAA AAG AGC TGT GTG GAA GAG Ala Ser Gly Tyr Gln Ser Ser Gln Lys Lys Ser Cys Val Glu Glu 95 100 105 CCT GAA CCA GAG CCC GAA GCT GCA GAG GGT GAC GGT GAT AAG AAG Pro Glu Pro Glu Pro Glu Ala Ala Glu Gly Asp Gly Asp Lys Lys 110 115 120 GGG AAT GCA GAG GGC AGC AGC GAC GAG GAA GGG AAG CTG GTC ATT Gly Asn Ala Glu Gly Ser Ser Asp Glu Glu Gly Lys Leu Val Ile 125 130 135 Xhol GAT GAG CCA GCC AAG GAG AAG AAC GAG AAA GGA GCG CTC GAG GCA Asp Glu Pro Ala Lys Glu Lys Asn Glu Lys Gly Ala Leu Glu Ala 140 145 150 GAA AAC CCT GAA GGA GAG GAG AAG GAG GCA GCC ACC TTG GAG GTT Glu Asn Pro Glu Gly Glu Glu Lys Glu Ala Ala Thr Leu Glu Val 155 160 165 GAG AGG CCC CTT CCT ATG GAG GTG GAA AAG AAT AGC ACC CCC TCT Glu Arg Pro Leu Pro Met Glu Val Glu Lys Asn Ser Thr Pro Ser 170 175 180 GAG CCC GGC TCT GGC CGG GGG CCT CCC CAA GAG GAA GAA GAA GAG Glu Pro Gly Ser Gly Arg Gly Pro Pro Gln Glu Glu Glu Glu Glu 185 190 195 GAG GAT GAA GAG GAA GAG GCT ACC AAG GAA GAT GCT GAG GCC CCA Glu Asp Glu Glu Glu Glu Ala Thr Lys Glu Asp Ala Glu Ala Pro 200 205 210 GGC ATC AGA GAT CAT GAG AGC CTG TAG Gly Ile Arg Asp His Glu Ser Leu *** 215 220 配列番号(SEQ ID NO) :2 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH) :648 配列の型(SEQUENCE TYPE) :核酸(nucleic acid) 鎖の数(STRANDEDNESS):二本鎖(double) トポロジー(TOPOLOGY):直鎖状(linear) アンチセンス (ANTI-SENCE) :No 起源(ORIGINAL SOURCE) :マウス BAL B/C 配列の特徴(FEATURE) (A)特徴を表す記号:CDS (B)存在位置: 1〜648 配列(SEQUENCE DESCRIPTION) ATG TCG CGA TCC AAC CGG CAG AAA GAG TAC AAG TGC GGA GAC CTG Met Ser Arg Ser Asn Arg Gln Lys Glu Tyr Lys Cys Gly Asp Leu 5 10 15 GTG TTT GCG AAG ATG AAA GGA TAC CCA CAC TGG CCG GCC CGG ATT Val Phe Ala Lys Met Lys Gly Tyr Pro His Trp Pro Ala Arg Ile 20 25 30 GAT GAG ATG CCT GAG GCT GCA GTG AAG TCA ACA GCC AAC AAA TAC Asp Glu Met Pro Glu Ala Ala Val Lys Ser Thr Ala Asn Lys Tyr 35 40 45 CAA GTC TTT TTT TTT GGG ACC CAT GAG ACG GCA TTC CTG GGC CCC Gln Val Phe Phe Phe Gly Thr His Glu Thr Ala Phe Leu Gly Pro 50 55 60 NarI AAA GAC CTC TTC CCT TAT GAG GAA TCC AAG GAG AAG TTT GGC GCC Lys Asp Leu Phe Pro Tyr Glu Glu Ser Lys Glu Lys Phe Gly Ala 65 70 75 TTC AGC GAG GGG CTG TGG GAG ATC GAG AAC AAC CCT ACA GTC AAG Trp Glu Ile Glu Asn Asn Pro Thr Val Lys Ala Ser Gly Tyr Gln 80 85 90 GCC TCT GGC TAC CAG TCC TCC CAG AAA AAG AGT TGT GCG GCA GAG Phe Ser Glu Gly Leu Ser Ser Gln Lys Lys Ser Cys Ala Ala Glu 95 100 105 CCC GAG GTG GAG CCC GAA GCC CAT GAG GGT GAC GGT GAT AAG AAG Pro Glu Val Glu Pro Glu Ala His Glu Gly Asp Gly Asp Lys Lys 110 115 120 GGC AGT GCA GAG GGC AGC AGC GAC GAA GAA GGG AAA CTG GTG ATC Gly Ser Ala Glu Gly Ser Ser Asp Glu Glu Gly Lys Leu Val Ile 125 130 135 XhoI GAT GAA CCA GCC AAG GAG AAG AAC GAA AAG GGC ACG CTC GAG TCA Asp Glu Pro Ala Lys Glu Lys Asn Glu Lys Gly Thr Leu Glu Ser 140 145 150 GGA GAC CAT GAG GAG GAG GAC AAG GAG ATA GCT GCC TTG GAG GGT Gly Asp His Glu Glu Glu Asp Lys Glu Ile Ala Ala Leu Glu Gly 155 160 165 GAG AGG CAC CTG CCT GTA GAG GTG GAG AAG AAC AGC ACC CCC TCT Glu Arg His Leu Pro Val Glu Val Glu Lys Asn Ser Thr Pro Ser 170 175 180 GAG CCA GAC TCT GGC CAG GGA CCT CCT GCA GAG GAA GAA GAG GGA Glu Pro Asp Ser Gly Gln Gly Pro Pro Ala Glu Glu Glu Glu Gly 185 190 195 GAG GAA GAG GCT GCC AAG GAA GAG GCT GAA GCC CCA GGC GTC AGA Glu Glu Glu Ala Ala Lys Glu Glu Ala Glu Ala Pro Gly Val Arg 200 205 210 GAT CAT GAG AGC CTG TAG Asp His Glu Ser Leu *** 215
【図面の簡単な説明】
【図1】 hHDGF に存在する核移行シグナルのアミノ酸
配列とそれをコードするDNA 配列、すなわち、(A) 核移
行シグナルhHDGF-NLS1、および(B) 核移行シグナルhHDG
F-NLS2を示す。
【図2】 β−ガラクトシダーゼの遺伝子を改変し、hH
DGF などの遺伝子を融合することが容易にできるプラス
ミドpβG-1 を示す図表である。
【図3】 核移行シグナルを同定するために、hHDGF の
遺伝子の一部を欠失させて作成した、様々なhHDGF の変
異体を示す図表である。NT(Nuclear transfer)は、○の
場合には核に移行することを示し、×の場合には移行し
ないことを示す。
【図4】 細胞の顕微鏡写真である。 A: hHDGFとβ−ガラクトシダーゼの遺伝子を融合させ
た発現プラスミドpRcβG-hAをCOS-7 細胞にトランスフ
ェクションさせたのち、β−ガラクトシダーゼの酵素活
性を、サーネスの方法により、X-gal を発色剤として使
用することにより検出したものである。 B、C、D、E、F: hHDGFの様々な変異体とβ−ガラ
クトシダーゼの遺伝子を融合させた発現プラスミドpRc
βG-hB 〜 pRcβG-hF をCOS-7 細胞にトランスフェク
ションさせたのち、β−ガラクトシダーゼの酵素活性
を、サーネスの方法により、X-gal を発色剤として使用
することにより検出したものである。 hHDGF−NLS2:核移行シグナルhHDGF-NLS2とβ
−ガラクトシダーゼの遺伝子を融合させた発現プラスミ
ドphHDGF-NTS2/β-gal をCOS-7 細胞にトランスフェク
ションさせたのち、β−ガラクトシダーゼの酵素活性
を、サーネスの方法により、X-gal を発色剤として使用
することにより検出したものである。
【図5】 mHDGF に存在する核移行シグナルのアミノ酸
配列とそれをコードするDNA 配列、すなわち、(A) 核移
行シグナルmHDGF-NLS1、および(B) 核移行シグナルmHDG
F-NLS2を示す。
【図6】 核移行シグナルを同定するために、mHDGF の
遺伝子の一部を欠失させて作成した、様々なmHDGF の変
異体を示す図表である。NT(Nuclear transfer)は、○の
場合には核に移行することを示し、×の場合には移行し
ないことを示す。
【図7】 細胞の顕微鏡写真である。 A: mHDGFとβ−ガラクトシダーゼの遺伝子を融合させ
た発現プラスミドpRcβG-mAをCOS-7 細胞にトランスフ
ェクションさせたのち、β−ガラクトシダーゼの酵素活
性を、サーネスの方法により、X-gal を発色剤として使
用することにより検出したものである。 B、C、D、E、F: mHDGFの様々な変異体とβ−ガラ
クトシダーゼの遺伝子を融合させた発現プラスミドpRc
βG-mB 〜 pRcβG-mF をCOS-7 細胞にトランスフェク
ションさせたのち、β−ガラクトシダーゼの酵素活性
を、サーネスの方法により、X-gal を発色剤として使用
することにより検出したものである。 mHDGF−NLS2:核移行シグナルmHDGF-NLS2とβ
−ガラクトシダーゼの遺伝子を融合させた発現プラスミ
ドpmHDGF-NTS2/β-gal をCOS-7 細胞にトランスフェク
ションさせたのち、β−ガラクトシダーゼの酵素活性
を、サーネスの方法により、X-gal を発色剤として使用
することにより検出したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/02 C07K 14/475 // C07K 14/475 14/82 14/82 C12N 5/00 B (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 図1Aで示されるアミノ酸配列を有する、
    ヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDGF)の核移行シグナル
    ペプチド(hHDGF-NLS1)。
  2. 【請求項2】 図1Bに示されるアミノ酸配列を有する、
    ヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDGF)の核移行シグナル
    ペプチド(hHDGF-NLS2)。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の核移行シグナルペプチド
    (hHDGF-NLS1)をコードするDNA 配列。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の核移行シグナルペプチド
    (hHDGF-NLS2)をコードするDNA 配列。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載のDNA 塩基配列を
    大腸菌の宿主・ベクター系で用いられるベクターに組み
    込んだ組み換えDNA 分子。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の核移行シグナルペプチド
    (hHDGF-NLS1)および請求項2記載の核移行シグナルペ
    プチド(hHDGF-NLS2)を欠失させ機能しないようにし
    た、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を持つ
    ヒト肝癌細胞由来増殖因子(hHDGF) の変異体。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の核移行シグナルペプチド
    (hHDGF-NLS1)および請求項2記載の核移行シグナルペ
    プチド(hHDGF-NLS2)を欠失させ機能しないようにし
    た、配列表の配列番号1に示されるDNA 配列を持つヒト
    肝癌細胞由来増殖因子(hHDGF) の変異体。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の核移行シグナルペプチド
    (hHDGF-NLS1)および請求項2記載の核移行シグナルペ
    プチド(hHDGF-NLS2)を欠失させ機能しないようにし
    た、配列表の配列番号1に示されるDNA 塩基配列を大腸
    菌の宿主・ベクター系で用いられるベクターに組み込ん
    だ組み換えDNA 分子。
  9. 【請求項9】 請求項5または8記載の組み替えDNA 分
    子で形質転換された大腸菌。
  10. 【請求項10】 請求項5または8記載の組み替えDNA
    分子で形質転換された動物細胞。
  11. 【請求項11】 図6Aで示されるアミノ酸配列を有す
    る、マウス肝癌細胞由来増殖因子(mHDGF)の核移行シ
    グナルペプチド(mHDGF-NLS1)。
  12. 【請求項12】 図6Bに示されるアミノ酸配列を有す
    る、マウス肝癌細胞由来増殖因子(mHDGF)の核移行シ
    グナルペプチド(mHDGF-NLS2)。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の核移行シグナルペプ
    チド(mHDGF-NLS1)をコードするDNA 配列。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の核移行シグナルペプ
    チド(mHDGF-NLS2)をコードするDNA 配列。
  15. 【請求項15】 請求項13または14記載のDNA 塩基
    配列を大腸菌の宿主・ベクター系で用いられるベクター
    に組み込んだ組み換えDNA 分子。
  16. 【請求項16】 請求項11記載の核移行シグナルペプ
    チド(mHDGF-NLS1)および請求項12記載の核移行シグ
    ナルペプチド(mHDGF-NLS2)を欠失させ機能しないよう
    にした、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列を
    持つマウス肝癌細胞由来増殖因子(mHDGF) の変異体。
  17. 【請求項17】 請求項11記載の核移行シグナルペプ
    チド(mHDGF-NLS1)および請求項12記載の核移行シグ
    ナルペプチド(mHDGF-NLS2)を欠失させ機能しないよう
    にした、配列表の配列番号2に示されるDNA 配列を持つ
    マウス肝癌細胞由来増殖因子(mHDGF) の変異体。
  18. 【請求項18】 請求項11記載の核移行シグナルペプ
    チド(mHDGF-NLS1)および請求項12記載の核移行シグ
    ナルペプチド(mHDGF-NLS2)を欠失させ機能しないよう
    にした、配列表の配列番号2に示されるDNA 塩基配列を
    大腸菌の宿主・ベクター系で用いられるベクターに組み
    込んだ組み換えDNA 分子。
  19. 【請求項19】 請求項15または18記載の組み替え
    DNA 分子で形質転換された大腸菌。
  20. 【請求項20】 請求項15または18記載の組み替え
    DNA 分子で形質転換された動物細胞。
JP9040824A 1997-02-25 1997-02-25 ヒト肝癌細胞由来増殖因子を核に導入する核移行シグナルおよびマウス肝癌細胞由来増殖因子を核に導入する核移行シグナル Pending JPH10234369A (ja)

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