JPH10234294A - 食品用処理組成物 - Google Patents

食品用処理組成物

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JPH10234294A
JPH10234294A JP5694897A JP5694897A JPH10234294A JP H10234294 A JPH10234294 A JP H10234294A JP 5694897 A JP5694897 A JP 5694897A JP 5694897 A JP5694897 A JP 5694897A JP H10234294 A JPH10234294 A JP H10234294A
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JP
Japan
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salt
fatty acid
acid ester
residue
present
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Application number
JP5694897A
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English (en)
Inventor
Kenji Isobe
賢治 磯部
Toru Ogawa
徹 小川
Terutaka Mori
輝高 毛利
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般生菌、耐熱性芽胞菌の除去に優れ、しか
も保存時の固化がなく作業性の良い、粉体特性の優れた
食品用処理組成物を提供する。 【解決手段】 (A)モノグリセリド多価カルボン酸エ
ステル又はその塩、脂肪酸残基の炭素数が8〜18のポ
リグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド10〜3
0モル付加物から選ばれる少なくとも1種、(B)加水
分解酵素、(C)澱粉分解物、或いは更に(D)ポリリ
ン酸および/またはその塩、を含有することを特徴とす
る食品用処理組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な食品用処理組
成物、さらに詳しくは大豆、小豆、菜豆、エン豆、緑豆
などの豆類およびキュウリ、ナス、ショウガ等の塩蔵野
菜に付着した微生物の除去に優れ、保存時固化すること
なく作業性の良い食品用処理組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】食品の品質保持における最大の課題は微
生物制御であり、微生物による食品の腐敗や変質を極力
抑えて安定的に流通させることが当該製造業者に求めら
れている。また、近年、食品の多様化と健康志向が顕著
になり、低甘味・低塩味の加工食品が大量かつ広範に生
産されている。しかしこうした加工食品の低塩・低糖化
傾向は防腐性確保の面からは好ましくなく、必然的に日
持ち期間が短くなってきている。
【0003】たとえば日本の伝統食品の代表的な原料で
ある小豆、大豆等の豆類は各種加工食品の製造に大量に
消費され、様々な形の食品として豊かな食生活を支えて
いる。農産物である豆には、耐熱性芽胞菌が付着してい
るため加工段階の加熱では死滅せずに餡や煮豆などの加
工食品に残存し、微生物トラブルにつながることがあ
る。また、キュウリ、ナス、ショウガなどの塩蔵野菜は
漬け物の原料として大量に消費されている。塩蔵野菜は
加工段階で水に浸漬して塩抜きを行なうが、塩抜きが進
行するにつれて耐塩性の低い微生物が増殖するため加熱
殺菌の負荷が大きくなったり、市場流通段階で微生物ト
ラブルを起こすことがある。
【0004】従来、食品の防腐・防黴を目的に食品添加
物たる保存料や日持ち向上剤が使用されてきたが、環境
汚染問題などを契機として化学物質に対する消費者の不
安感や安全意識の高まりの中で消費者は食品添加物を敬
遠する傾向にあるため食品メーカーは保存料などの食品
添加物に依存しない微生物制御技術を求めている。
【0005】こうした事情から、本発明者らは、先に、
微生物除去力が優れた製剤を開発するために研究を重
ね、イオン性界面活性剤であるモノグリセリド多価カル
ボン酸エステル等を用いた製剤を見出し(特開平4−2
18597号公報、特開平6−279785号公報、特
開平6−279787号公報)、さらに加水分解酵素と
の組み合わせを提案した(特開平8−12995号公
報)。
【0006】しかしながら、本発明者らが発明した上記
の製剤は、液体状よりも高濃度にできる粉体状の方が保
存スペースなどの点で好ましいが保存時吸湿し固化して
作業性が悪くなる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、一般生菌、
あるいは従来の物理的ないしは化学的方法では殺菌が難
しい耐熱性芽胞菌の除去に優れ、保存時の固化がなく作
業性の良い粉末状の豆類および塩蔵野菜用処理組成物を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、食品、特
に豆類および塩蔵野菜に付着している微生物を除去する
機能を損なうことなく保存時の固化を抑え、かつ、食品
に用いても安全性で問題のない方策に関してさらに鋭意
研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明によれば、下記の
(A)、(B)、(C)成分を含有することを特徴とす
る食品用処理組成物が提供される。 (A)下記の一般式(I)
【化1】 (式中、R1は炭素数7〜17のアルキル基又はアルケ
ニル基、Z1及びZ2はいずれか一方が多価カルボン酸も
しくはその塩の残基で、他方は水素原子又は多価カルボ
ン酸もしくはその塩の残基である)で表されるモノグリ
セリド多価カルボン酸エステル又はその塩、脂肪酸残基
の炭素数が8〜18のポリグリセリン脂肪酸エステル、
ショ糖脂肪酸エステル、エチレンオキシドの平均付加モ
ル数10〜30のソルビタン脂肪酸エステルから選ばれ
る少なくとも一種の化合物 (B)加水分解酵素 (C)澱粉分解物
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の食品用処理組成物
について、さらに詳細に説明する。本発明の食品用処理
組成物においては、(A)成分として、前記一般式
(I)のモノグリセリド多価カルボン酸エステルもしく
はその塩、脂肪酸残基の炭素数が8〜18のポリグリセ
リン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、エチレン
オキシドの平均付加モル数10〜30のソルビタン脂肪
酸エステルが用いられる。
【0011】前記一般式(I)で表されるモノグリセリ
ド多価カルボン酸エステルもしくはその塩において、該
式中、R1は炭素数7〜17のアルキル基又はアルケニ
ル基であるが、このアルキル基又はアルケニル基は直鎖
状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。このよ
うなものの具体例としては、ヘプチル基、ノニル基、ウ
ンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデ
シル基、ヘプタデセニル基などが挙げられる。
【0012】また、該式中、Z1及びZ2は、いずれか一
方は多価カルボン酸もしくはその塩の残基であり、他方
は水素原子又は多価カルボン酸もしくはその塩の残基で
ある。この多価カルボン酸もしくはその塩の残基として
は、例えばコハク酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ
酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、ジアセチル酒石
酸などの二塩基酸や三塩基酸もしくはそれらの塩の残基
が好ましく、特に、コハク酸、クエン酸もしくはその塩
の残基が好適である。
【0013】これらの塩としては、例えばナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マ
グネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、さらにはアン
モニウム塩、低級アミン(トリメチルアミン、トリエチ
ルアミンなど)塩、リジン塩、モノ、ジ又はトリ低級ア
ルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミンなど)塩などの置換も
しくは無置換のアンモニウム塩などが挙げられる。これ
らのモノグリセリド多価カルボン酸エステルもしくはそ
の塩は、単独あるいは必要に応じ両者を適宜混合して使
用してよい。
【0014】本発明に用いられるモノグリセリド多価カ
ルボン酸エステルは、炭素数8〜18の脂肪酸モノグリ
セリドに、コハク酸やクエン酸あるいはこれらの無水物
などを反応させて得られ、必要に応じて炭酸塩などのア
ルカリ触媒を使用してよい。その反応モル比は適宜選択
してよいが、炭素数12のモノグリセリドと無水コハク
酸の場合、モノグリセリド1モルに対して無水コハク酸
を0.5〜2モル反応させて得られたものが良好な性能
を示す。脂肪酸モノグリセリドとしては、例えば蒸留モ
ノグリセリドとして市販されているものが使用できる。
【0015】これらのモノグリセリド多価カルボン酸エ
ステルは、製造工程でモノグリセリドの1位あるいは2
位の水酸基に多価カルボン酸が結合した位置異性体や、
該多価カルボン酸がモノグリセリドに2分子結合したも
のを一部生成することがあるが、本発明においては、こ
のような混合物をそのまま使用しても差し支えない。さ
らに、製造条件により、未反応のモノグリセリドが残存
するが、前記の反応モル比であれば特に問題ない。ま
た、一般式(I)のR1が異なるものを併用してもよ
い。
【0016】さらに、モノグリセリド多価カルボン酸エ
ステルの塩は、上記の方法で製造したモノグリセリド多
価カルボン酸エステルを水、メタノール、エタノール、
アセトンなどの有機溶媒中あるいはそれらの混合溶媒中
で水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、リン酸3ナトリウムなどのアルカリ
性物質で予め中和後、水あるいは有機溶媒を留去して製
造する。
【0017】ポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂
肪酸エステルとしては、ポリグリセリンまたはショ糖と
炭素数8〜18の脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルコール
エステル(メタノール、エタノールなど)を反応させて
得られ、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルまたはショ
糖モノ脂肪酸エステルが主生成物となる反応条件を適宜
選択することが望ましい。また、ポリグリセリンの平均
重合度は2〜20、好ましくは4〜10が望ましい。
【0018】さらに、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステルは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレン
オキシドを常法により付加したもので、その平均付加モ
ル数は10〜30の範囲が好適である。
【0019】本発明の食品用処理組成物においては、
(B)成分として、加水分解酵素が用いられる。該加水
分解酵素としては、例えばセルラーゼ系(エンドグルカ
ナーゼ、エキソグルカナーゼ、β−グルコシダーゼな
ど)およびヘミセルラーゼ系の加水分解酵素、プロテア
ーゼ、ペプチダーゼ、ブロメライン、パパインから選ば
れる一種以上の加水分解酵素が用いられ、微生物、植
物、動物いずれの起源のものも使用できる。パパイン
は、早熟パパイア起源のペプチド、アマイド、エステル
特に塩基性アミノ酸結合加水分解酵素であり、ブロメラ
インは植物起源の酵素で、商業的にはパイナップルから
分離製造されるペプチド、アマイド、エステル加水分解
酵素である。これらの加水分解酵素は、単独で用いても
よいが、2種以上を併用してもよい。例えば、セルラー
ゼとブロメライン、セルラーゼとプロテアーゼなどのよ
うに併用した方が生菌と耐熱性芽胞菌の双方に効果的で
ある。以上の加水分解酵素の他に必要に応じてアミラー
ゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、フォスファターゼなどの
加水分解酵素を使用することができる。
【0020】本発明に用いられる加水分解酵素を生産す
る微生物としては、Acremonium cellu
loyticus、Aspergillus acul
eatus、Aspergillus awamor
i、Aspergillusniger、Asperg
illus pulverulentus、Asper
gillus melleus、Aspergillu
s oryzae、Aspergillus sait
oi、Aspergillus sojae、Aspe
rgillus usamii、Monascus p
ilosus、Monascus purpureu
s、 Mucor circinelloides、M
ucor iavanicus、 Mucor mie
hei、Mucor rouxii、Penicill
ium decumbens、Penicillium
citrinum、Penicillium dup
onti、Rhizomucor miehei、Rh
izopus chinensis、Rhizopus
delemar、Rhizopus nivenu
s、Rhizopus oryzae、Humicol
a insolens、Rhizopus delem
ar、 Trichoderma harzianu
m、Trichoderma longibrachi
atum、Trichoderma viride、T
richoderma reesei、Trichod
erma insolens、Trichoderma
koningii、Corticium irpe
x、Pycnoporus coccineus、Ar
throbacter、Bacillus subti
lis、Bacillus circulans、Ba
cillus amyloliquefaciens、
Bacillus coagulans、Bacill
us lentus、Bacillus lichen
iformis、Bacillus polymix
a、Bacillus stearothermoph
ilus、Bacillus thermoprote
olyticus、Lactococcus lact
is、Pseudomonas paucimobil
is、Saccharomyces、Actinomy
ces、Streptomycesなどが例示される
が、これらに限定されるものではない。
【0021】本発明の食品用処理組成物においては、
(C)成分として、澱粉分解物が用いられる。この澱粉
分解物としては例えば、トウモロコシ、サツマイモ、ジ
ャガイモ、キャッサバ、コムギ、コメ等からの各種の澱
粉を常法に従い各種の酸、酵素などを用いてブドウ糖当
量18以下まで分解し、濾過、脱色、脱塩等の精製操作
を経た後、ドラムドライヤー等で乾燥することにより製
造される。ドラムドライヤーで乾燥する場合、条件を適
宜選択し、また篩別機によって粒度を揃えることによっ
て得られる比容積が6〜20ml/g程度の嵩高い澱粉
分解物が好ましい。(A)成分が常温でロウ状もしくは
流動性あるペースト状の場合、嵩高い澱粉分解物が特に
好ましい。このようなものとして、市販されている「パ
インフロー」(商品名、松谷化学工業株式会社)を挙げ
ることができる(特開昭53ー23305)。
【0022】又、本発明においては、前記の(A)成
分、(B)成分、(C)成分の他にポリリン酸および/
またはその塩[以下、ポリリン酸(塩)と略す]が用い
られる。その対イオンとしてはナトリウム、カリウム等
のアルカリ金属が好ましい。本発明でいうポリリン酸
(塩)とは、工業的に広く用いられているピロリン酸
塩、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、ペンタポ
リリン酸塩等であり、これらを単独あるいは混合物とし
て使用してよい。市販されているポリリン酸(塩)は、
トリポリリン酸塩を主成分としており、本発明の目的に
好適である。ポリリン酸(塩)を配合することにより、
一層微生物制御が容易となり、また、粉体特性も良好で
ある。
【0023】本発明の食品用処理組成物において(A)
成分、(B)成分、(C)成分の配合量は特に限定され
るものではないが、一般には(A)成分は1〜70重量
%、好ましくは5〜50重量%、(B)成分は0.05
〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、(C)
成分は10〜80重量%、好ましくは30〜60重量%
が望ましい。又、請求項2のポリリン酸(塩)は1〜7
0重量%、好ましくは5〜50重量%が望ましい。
【0024】本発明の食品用処理組成物には、本発明の
目的が損なわれない範囲で、所望に応じ通常の食品処理
に使用される添加成分の中から任意のものを選択して添
加してよい。このような添加成分としては、グリセリン
脂肪酸エステル、エチレンオキシドの平均付加モル数1
0〜30のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステ
ル、グリセリン脂肪酸エステルのリン酸エステル塩、ソ
ルビタンあるいはソルビトール脂肪酸エステル、プロピ
レングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レ
シチン、脂肪酸塩、ステアロイル乳酸塩、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−
スルホ脂肪酸低級アルキルエステル、アルキル硫酸塩、
エチレンオキシドの平均付加モル数1〜10のポリオキ
シエチレンアルキルエーテル硫酸塩、エチレンオキシド
の平均付加モル数5〜20のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルなどの界面活性剤、クエン酸、リンゴ酸、乳
酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸などの有機酸や
その塩、炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、グルコ
ース、ラクトース等の糖類、殺菌剤、抗菌剤、香料、着
色剤などが挙げられる。
【0025】本発明の食品用処理組成物の例えば豆類へ
の使用方法は、豆類の加工前もしくは加工の初期段階で
本発明組成物の0.01〜3重量%、好ましくは0.0
5〜1重量%の水溶液に豆類を所定時間接触させること
である。水溶液の温度と接触時間は特に限定されるもの
ではない。小豆について例示すると、常温で接触させる
場合は一般に少なくも1時間程度、加熱しながら接触さ
せる場合は常温もしくは常温付近から昇温することが望
ましい。また、常温で使用する場合、一夜浸漬のように
長時間浸漬してもよい。さらに、本発明に用いられる水
溶液は繰り返し使用ができ、接触時に攪拌、超音波、気
泡等の流体力や機械力を作用させてもよい。また、塩蔵
野菜への使用方法は、10%以下好ましくは5%以下ま
で塩抜きされた塩蔵野菜を豆類と同様の本発明の食品用
処理組成物の水溶液に常温で浸漬する。浸漬する時間は
野菜の種類や付着している微生物数によって適宜選択し
てよいが、5%程度に塩抜きされたキュウリでは少なく
も30分から1時間程度、場合によってはそれ以上の長
時間浸漬してもよい。また、攪拌、超音波、気泡等によ
る流体力や機械力を付与してもよい。
【0026】本発明の食品用処理組成物は、(C)成分
を含む粉体混合物に(A)成分を含む加熱溶融物を滴下
もしくは噴霧して製造される粉体に(B)成分を含む粉
体もしくは顆粒状成分の混合物を混合後、必要に応じて
篩別等の処理を行なって製造される。この場合、(C)
成分を含む粉体混合物には(C)成分の他にポリリン酸
(塩)を添加すると本発明の一層好適な食品用処理組成
物が得られ、さらにリン酸塩、硫酸塩等の粉末状もしく
は顆粒状無機化合物、フマル酸やアジピン酸もしくはそ
の塩、グルコース、ラクトースなどの粉末状もしくは顆
粒状有機化合物を混合してもよい。(A)成分を含む加
熱溶融物には、(A)成分の他にグリセリン脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤、常温で流動状
もしくはペースト状のもの、融点が100℃以下の有機
化合物等を含有させることができる。(B)成分を含む
粉体もしくは顆粒状成分としては、(B)成分の他に熱
に不安定な物質や酸・アルカリと接触することが好まし
くない物質、例えば亜硫酸塩等を含有させることができ
る。製造機械としては、連続的に供給される乱流状態の
粉体へ流動性液体を噴霧するシュギ連続式造粒装置(例
えば冨士産業株式会社のもの)やバッチ式の流動床造粒
装置、転動造粒装置、転動造粒装置とチョッパーによる
解砕を組み合わせた装置(深江工業株式会社製ハイスピ
ードミキサー)、ニーダーなどが例示されるが、これら
に限定されるものではない。このような方法で製造され
る本発明の食品用組成物は、保存期間中においても粉末
として固化することなく流動性が良好である。
【0027】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0028】実施例1 表1に示す本発明組成物及び比較例組成物を転動造粒装
置を用いて製造した。比較例組成物はこの段階ですでに
流動性がなく粉体が悪いものであった。この組成物をシ
ャーレにいれ上部にふたをせずに35℃、60%RHで1ヶ月
保存し固化状態を下記の基準によって評価した。その結
果を表1に示す。 固化抑制性:1…固化なし、 2…わずかに固化、 3
…固化部あり 次いでこれらの組成物を表1に示す使用濃度になるよう
に水に溶かし、その水溶液1リットル(20℃)に大豆
200gを入れて2時間浸漬後大豆を水洗いした。この
大豆を滅菌水1リットルへ移して20℃で15時間放置
し、一般生菌検査試料とした。耐熱性芽胞菌検査の場合
は、2時間の浸漬処理をした大豆を滅菌水に入れて85
℃、15分間の熱処理を行い、急冷後20℃に15時間
放置した。次に、各々別個に無菌下で大豆10gと0.
9%滅菌生理食塩水90mlをホモジナイザーカップに
入れて微粉砕し、滅菌ガーゼで固形物を分離し、濾液を
一般生菌あるいは耐熱性芽胞菌検査原液とする。常法に
従い、各試料原液と、それを滅菌生理食塩水で10倍、
100倍、1,000倍、10,000倍と順次希釈し
たもの各々を滅菌シャーレに1mlずつ分注し、あらか
じめ高圧滅菌後約50℃に保温しておいた標準寒天培地
15〜20mlを上記シャーレに注ぎ、直ちに試料液と
培地がよく混ざり合うように混釈後、培地が完全に凝固
するまで放置する。凝固後、35℃で2日間培養し、常
法に従い細菌のコロニー数を計測する。その結果を表1
に示した。菌数は大豆1g当たりである。
【0029】
【表1】
【0030】表1において用いた成分は以下のものを示
す。 A1:グリセリンコハク酸モノラウリン酸エステル(蒸
留グリセリンモノラウリン酸エステルと無水コハク酸を
等モルで反応したもの) A2:グリセリンコハク酸モノパルミチン酸エステルナ
トリウム(蒸留グリセリンモノパルミチン酸エステルと
無水コハク酸を1:0.9のモル比で反応後、水酸化ナ
トリウムで中和したもの) A3:デカグリセリンモノラウリン酸エステル A4:ショ糖モノステアリン酸エステル A5:ポリオキシエチレン(エチレンオキシド20モル
付加)ソルビタンモノステアリン酸エステル B1:ブロメライン(協和ソルザイム(株)) B2:ノボザイム243(プロテアーゼ、ノボノルディ
スクバイオインダストリー(株)) B3:セルラーゼ4,000(協和ソルザイム(株)) C1:澱粉分解物、商品名パインフローS(比容積7.
5〜10.5ml/g、松谷化学工業(株))
【0031】実施例2 表2に示す本発明組成物をシュギ連続式造粒装置を用い
て製造した。この組成物をシャーレに入れ上部にふたを
せずに35℃、60%RHで1ヶ月保存し固化状態を評価した
が、固化は認めなかった。この組成物の0.2重量%水
溶液(20℃、4リットル)に小豆1Kgを1時間浸漬
後、小豆を取り出して水洗いを行った。この小豆と水洗
いのみを行った小豆を用い、一般的な手順で糖度40
%、55%、70%の加糖つぶ餡を製造した。各々の餡
を殺菌処理を施したビニール袋に詰めて30℃、2週間
保存後、一般生菌数を測定し、その結果を表3に示し
た。本発明の食品用処理組成物で処理した小豆から製造
した餡は菌数が少なく良好な保存性を示した。
【0032】
【表2】 成分 配合量(wt%) ────────────────────────────────── グリセリンコハク酸モノラウリン酸エステル*2 25.0 ポリリン酸ナトリウム 25.0 Cellulase Tr Concentrate 0.8 ブロメライン 0.8 亜硫酸ナトリウム 1.5 澱粉分解物(比容積4.5〜8.5ml/g) 残部 ────────────────────────────────── *2:蒸留グリセリンモノラウリン酸エステルと無水コハク酸をモル比1:0. 65で反応したもの
【0033】
【表3】 一般生菌数(餡1g当たり) ────────────────────────────────── 糖度40% 9.8×101 本発明品使用 糖度55% 10以下 糖度70% 10以下 ────────────────────────────────── 糖度40% 4.6×107 水洗いのみ 糖度55% 3.1×107 糖度70% 2.4×105 ──────────────────────────────────
【0034】実施例3 表4に示す本発明の食品用処理組成物を転動造粒装置で
製造した。この組成物をシャーレにいれ上部にふたをせ
ずに35℃、60%RHで1ヶ月保存し固化状態を評価した
が、固化は認めなかった。この組成物の0.2重量%水
溶液(25℃、2リットル)に豆もやし用の緑豆500
gを15時間浸漬後、緑豆を取り出して水洗いを行っ
た。比較例として緑豆を水に15時間浸漬した。一般生
菌数(豆1g当たり)を測定した結果、本発明の食品用
処理組成物で浸漬処理した緑豆は1.5×103、比較
例は6.2×105であった。
【0035】
【表4】 成分 配合量(wt%) ────────────────────────────────── グリセリンコハク酸モノミリスチン酸エステル*3 20 デカグリセリンモノラウリン酸エステル 5 ポリリン酸ナトリウム 21 Cellulase 4,000 1.0 ニュートラーゼ1.5MG 1.0 澱粉分解物(比容積9.5〜12.5ml/g) 残部 ────────────────────────────────── *3:蒸留グリセリンモノミリスチン酸エステルと無水コハク酸をモル比1:0 .8で反応したもの
【0036】実施例4 表5に示す本発明の食品処理組成物をシュギ連続式造粒
装置で製造した。澱粉分解物406Kgとポリリン酸ナ
トリウム230Kgの混合粉体を連続的に装置の混合部
へ供給し、これにグリセリンコハク酸モノラウリン酸エ
ステル230Kgとグリセリンジ・トリステアリン酸エ
ステル110Kgの80℃溶融物を噴霧した。粉体温度
が常温まで低下したのち酵素(Cellulase T
r Concentrate、ノボザイム 243)1
4Kgおよび亜硫酸ナトリウム10Kgを混合し、粉末
状の本発明組成物を得た。この粉体5Kgをビニール袋
に詰め、25℃の恒温室に5段積みの形で30日間保管
後、粉体の固化および流動性を評価した。下方のものに
若干の固化が発生したものの簡単に解砕でき、流動性は
問題なかった。
【0037】
【表5】 成分 配合量(wt%) ────────────────────────────────── グリセリンコハク酸モノラウリン酸エステル*4 23 グリセリンステアリン酸エステル*5 11 ポリリン酸ナトリウム 23 Cellulase Tr Concentrate 0.7 ノボザイム 243(プロテアーゼ) 0.7 亜硫酸ナトリウム 1.0 澱粉分解物(比容積7.5〜10.5ml/g) 残部 ────────────────────────────────── *4:実施例2で使用したものと同じ *5:ジ及びトリエステル含量55重量%
【0038】実施例5 実施例4で製造した本発明組成物の0.2重量%水溶液
(20℃、8リットル)に大豆2Kgを12時間浸漬
後、大豆を取り出して水洗いした。この大豆および水洗
いのみの大豆を用いて絹ごし豆腐を製造し、製造直後お
よび10℃、4日後の一般生菌数(豆腐1g当たり)を
測定した。結果を表6に示した。
【0039】
【表6】 一般生菌数 ───────────────────────── 本発明品使用 製造直後 5.4×101 10℃、4日後 3.8×103 ───────────────────────── 水洗いのみ 製造直後 2.9×103 10℃、4日後 4.3×105 ─────────────────────────
【0040】実施例6 25重量%の食塩水で塩漬けされた塩蔵キュウリを約1
〜2cm幅に切断後、水で連続的に12時間脱塩処理し
た(上部から水を供給し、下部から塩水を排出。キュウ
リの塩分3.7%で一般生菌数はキュウリ1g当たり
3.2×106 )。このキュウリ1Kgを表2記載の本
発明品の0.2重量%水溶液4リットルに1時間浸漬し
(20℃)、水洗い後一般生菌数を測定した。比較例と
して水に1時間浸漬(20℃)したキュウリについても
一般生菌数を測定した。その結果を表7に示した。本発
明品を使用することによって塩抜きキュウリの一般生菌
数は大幅に減少した。又、乳酸菌および酵母についても
検査し、同様の結果であった。
【0041】
【表7】
【0042】
【発明の効果】本発明の食品用処理組成物は、餡、煮
豆、甘納豆、水煮豆、豆腐、油揚げ、納豆などの加工食
品の原料豆や豆もやしなどの豆科野菜の製造向け豆類お
よびキュウリ、ナス、ショウガなど塩蔵野菜の表面に存
在する一般生菌や耐熱性芽胞菌の除去に優れ、かつ粉体
特性が良好である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)、(B)、(C)成分を含
    有することを特徴とする食品用処理組成物。 (A)下記の一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素数7〜17のアルキル基又はアルケ
    ニル基、Z1及びZ2はいずれか一方が多価カルボン酸も
    しくはその塩の残基で、他方は水素原子又は多価カルボ
    ン酸もしくはその塩の残基である)で表されるモノグリ
    セリド多価カルボン酸エステル又はその塩、脂肪酸残基
    の炭素数が8〜18のポリグリセリン脂肪酸エステル、
    ショ糖脂肪酸エステル、エチレンオキシドの平均付加モ
    ル数10〜30のソルビタン脂肪酸エステルから選ばれ
    る少なくとも一種の化合物 (B)加水分解酵素 (C)澱粉分解物
  2. 【請求項2】 さらに、ポリリン酸および/またはその
    塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の食品用
    処理組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1250842A1 (de) * 2001-04-20 2002-10-23 Goldschmidt AG Mittel zur Bekämpfung von Mikroorganismen, enthaltend einen wirksamen Gehalt an Estern des Polyglycerins
JP2007525144A (ja) * 2003-07-14 2007-09-06 カイズ リサーチ コーポレイション 野菜軟化剤
US8466100B2 (en) 2008-08-15 2013-06-18 The Procter & Gamble Company Benefit compositions comprising polyglycerol esters

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1250842A1 (de) * 2001-04-20 2002-10-23 Goldschmidt AG Mittel zur Bekämpfung von Mikroorganismen, enthaltend einen wirksamen Gehalt an Estern des Polyglycerins
JP2007525144A (ja) * 2003-07-14 2007-09-06 カイズ リサーチ コーポレイション 野菜軟化剤
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