JPH10232274A - 信号処理装置 - Google Patents

信号処理装置

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JPH10232274A
JPH10232274A JP3474197A JP3474197A JPH10232274A JP H10232274 A JPH10232274 A JP H10232274A JP 3474197 A JP3474197 A JP 3474197A JP 3474197 A JP3474197 A JP 3474197A JP H10232274 A JPH10232274 A JP H10232274A
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Fumie Taga
史江 多賀
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ATR KANKYO TEKIOU TSUSHIN KENK
ATR KANKYO TEKIOU TSUSHIN KENKYUSHO KK
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ATR KANKYO TEKIOU TSUSHIN KENK
ATR KANKYO TEKIOU TSUSHIN KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術のFBSSを用いたMUSIC法に
よる信号処理装置に比較して、より小さい計算コストで
DOAの入射角θを計算することができる信号処理装置
を提供する。 【解決手段】 1直線上に所定の間隔で並置された複数
のセンサを用いて受信された複数の受信信号に基づいて
所定の時間間隔における複数の受信信号の各受信ベクト
ルの時間平均値である複数の期待値を演算し、互いに直
交する信号基底ベクトルを基礎とする反復演算を用いて
複数の期待値にで張られた空間における複数の信号基底
ベクトルを演算する。次いで、複数の信号基底ベクトル
と直交する1個の雑音固有ベクトルを演算し、1個の雑
音固有ベクトルと、複数のセンサの複数の方向ベクトル
とに基づいて、複数の受信信号の分解結果を示す固有ス
ペクトルを演算し、演算された固有スペクトルにおいて
少なくとも1個の極大値のピークを検出してそのピーク
に対応する到来方向の入射角を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、並置されたアンテ
ナ素子などの複数のセンサによって検出された受信信号
の到来入射角を検出するための信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの実際の信号処理問題において、そ
の目的は、受信信号データが依存する1組の一定のパラ
メータを測定により検出することにある。遠距離の狭帯
域ソースからの信号の到達方向又は入射方向(Directio
n Of Arrival:以下、DOAという。)を高分解能で検
出することは、例えば、レーダ、ソナー、電気的なサー
ベイランス(監視又は調査)、及び地震探査などのセン
サシステムにおいて重要である。
【0003】シュミットは、彼が提案した複数の信号の
識別(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズム
(以下、MUSICアルゴリズム又はMUSIC法とい
う。)(例えば、従来技術文献1「R.O.Schmidt,“Mult
iple emitter location andsignal parameter estimati
on",Proceedings of RADC Spectral Estimation Worksh
op,pp.243-258,1979年」参照。)において、入射受信信
号の数やそのDOAは入射受信信号に関する事前情報が
なくても検出可能であることを示している。しかしなが
ら、複数の信号が高度に相関している場合、例えばマル
チパス伝搬のような場合においては、DOAの検出が困
難となる。
【0004】上記MUSIC法を有効的に活用するため
に、コヒーレンシーを抑圧するために幾つかの前処理方
法が提案されているが、その中で、従来技術文献2「W.
Du et al.,“Improved spatial smoothing technique f
or DOA estimation of coherent signals",IEEE Transa
ctions on Signal Processing, Vol.39,pp.1208-1210,1
991年5月」において提案されたフォワード−バックワー
ド空間平滑化(Forward-Backward Spatial Smoothing)
(以下、FBSSという。)が最も効果的であると考え
られている。従って、現在はFBSSを用いたMUSI
C法の多くのアプリケーションが提案されている(例え
ば、従来技術文献3「M.Wax et al.,“Direction findi
ng of coherent signal via spatial smoothing for un
iform circuit arrays",IEEE Transactions on Antenna
s & Propagation,Vol.AP-42,pp.613-620,1994年5月」な
ど参照。)。
【0005】以下、従来技術のFBSSを用いたMUS
IC法を用いたDOA検出のための受信信号処理につい
て説明する。ここでは、1直線上に等間隔δで並置され
た複数M個の全方向性アンテナ素子(センサの一例であ
る。)からなるアレーアンテナが設けられ、当該アレー
アンテナを用いて、到来方向の入射角がθp(p=1,
2,…,P)である少なくとも1個であるP個(P<
M)の入射受信信号Sp(t)(p=1,2,…,P)
を無線回線で受信する。上記入射受信信号Sp(t)
(p=1,2,…,P)を、当該入射受信信号と相関性
が無く、平均値ゼロと共分散行列δ2Iを有する定常エ
ルゴード性のガウス雑音ηm(t)(m=1,2,…,
M)に混合する。ここで、δ2は未知数であって、Iは
単位行列である。上記受信信号は、中心波長λを有する
狭帯域信号であると仮定する。定常エルゴード性のガウ
ス雑音ηm(t)(m=1,2,…,M)が存在すると
きに、各アンテナ素子において受信される受信信号デー
タrm(t)は以下の通りである。
【0006】
【数1】
【0007】上記数1において、Jは虚数を表わす記号
であり、一般数学では、i又はjを用いるが、本実施形
態において、記号i及びjを用いるため、記号Jを用い
る。そして、受信信号データベクトルr(t)=[r1
(t),r2(t),…,rM(t)]は次式のように行
列形式に書き直すことができる。
【0008】
【数2】 r(t) =(d1 … dp)S(t)+η(t) =DS(t)+η(t) ここで、
【数3】S(t)(p)=Sp(t)
【数4】η(t)(m)=ηm(t)
【0009】上記数3において、S(t)(p)はベク
トルS(t)のp番目の構成要素であり、以下同様であ
る。dpは、アレーアンテナにおいてDOAの入射角θp
で決定される方向ベクトル又は操向ベクトル(steering
vector)である。
【0010】
【数5】 D(m,p) =dp(m) =exp[J(2π/λ)mδsinθp
【0011】上記数5において、D(m,p)は行列D
のm番目の行と、p番目の列の構成要素であり、以下同
様である。受信信号ベクトルr(t)の共分散行列E
[r(t)r(t)†]は次式で表わすことができる。
【0012】
【数6】E[r(t)r(t)†]=DE[S(t)S
(t)†]D†+σ2I ここで、
【数7】E[S(t)S(t)†](i,j)=E[S
i(t)Sj(t)*]
【0013】上記数6において、r(t)†は、ベクト
ルr(t)のエルミート共役を表しており、以下同様で
ある。また、E[r(t)r(t)†]は、時系列のベ
クトルr(t)r(t)†の期待値であって、例えば1
フレームなどの一定の時間に対する時間平均値であり、
以下同様である。さらに、上記数7におけるSj(t)
*は、複素数Sj(t)の複素共役であり、以下同様で
ある。
【0014】複数P個の入射受信信号が非干渉性を有す
るとき、すなわちすべてコヒーレント性を有しないとき
(これは、MUSIC法を適用するときの前提条件であ
る。)、入射受信信号の数PやそのDOAの入射角θ
は、の共分散行列E[r(t)r(t)†]の固有値解
析によって検出することが可能である。しかしながら、
実際には、すべての入射受信信号がコヒーレント性を有
しないということはなく、こうした条件下では、行列E
[S(t)S(t)†]は特異な行列であり、行列E
[r(t)r(t)†]の固有値解析は正確に行われな
い。従って、行列E[S(t)S(t)†]が非特異行
列、すなわち正則行列であって、固有値解析をベースと
する方法を成功裏に適用することができるときに、ある
前処理技術をMUSIC法に適用することができる。以
下に述べる従来技術及び本発明に係る好ましい実施形態
において、すべての入射受信信号がコヒーレントである
という最も問題を含んでいる場合を取り扱う。
【0015】現在のところ、FBSSの方法が、複数の
コヒーレント信号におけるコヒーレント性を抑圧する
(decorrelation)ための最も有効な技術であると考え
られているので、従来技術の一例として、FBSSの方
法によるMUSICアルゴリズムについて説明する。
【0016】まず、受信信号データベクトルr(t)か
らなるL×Lの共分散部分行列を形成し、その固有値解
析を行う。ここで、Lは、予め決定される自然数であっ
て、好ましい例では、アンテナ素子の数Mの0.8倍に
設定される。従って、P個の入射受信信号を計数し、P
個の信号固有ベクトル及び(L−P)個の雑音固有ベク
トルを計算する。
【0017】コヒーレントな複数の入射受信信号をFB
SSの方法によって、コヒーレント性を抑圧し(decorr
elate)、受信信号データベクトルr(t)から正則共
分散部分行列を形成する。ここで、受信信号データベク
トルr(t)から次式を満足するように、L次元の2K
個のベクトルrvk(t)(1≦k≦2K)を抽出す
る。以下、例えば1≦k≦2Kと記載したとき、自然数
kは1,2,…,2Kをとりうることを示し、以下同様
である。
【0018】
【数8】 rvk(t)−η(t) =ΓAk-1S(t),(1≦k≦K≦M) =ΥΓ*(Ak-1-K)*S(t)*,(K+1≦k≦2K) ここで、
【数9】 Γ(l,p) =γp(l) =exp[J(2π/λ)lδsinθp], (1≦l≦L=M−K+1)
【数10】 Ak(i,j) =exp[J(2π/λ)kδsinθi],(1≦i=j≦P) =0,(i≠j)
【数11】 Υ(i,j) =1(i+j=L+1) =0(i+j≠L+1)
【0019】受信信号データベクトルr(t)から、上
述のように、L次元の2K個のベクトルrvk(t)
(1≦k≦2K)を抽出したときのL次元の2K個のベ
クトルrvk(t)(1≦k≦2K)は、次の通りであ
る。
【0020】
【表1】 ─────────────────────────────────── rv1(t)=[r1(t),r2(t),…,rL(t)] rv2(t)=[r2(t),r3(t),…,rL+1(t)] ……… rvK(t)=[rK(t),rK+1(t),…,rL+K(t)] rvK+1(t)=[rM(t)*,rM-1(t)*,…,rM-L+1(t)*] rvK+2(t)=[rM-1(t)*,rM-2(t)*,…,rM-L(t)*] ……… rv2K(t)=[rM-K+1(t)*,rM-K(t)*,…,rM-L-K+1(t)*] ───────────────────────────────────
【0021】表1から明らかなように、ベクトルrv1
(t)からベクトルrvK(t)までを抽出するとき
は、受信信号データベクトルr(t)=[r1(t),
2(t),…,rM(t)]の最初の構成要素からL個
ずつとり、かつ1つずつずらして抽出する。次いで、ベ
クトルrvK+1(t)からベクトルrv2K(t)までを
抽出するときは、受信信号データベクトルr(t)=
[r1(t),r2(t),…,rM(t)]の各構成要
素の共役複素数の最後からL個ずつとり、かつ1つずつ
ずらして抽出する。
【0022】従来技術のFBSSの方法による受信信号
データベクトルr(t)の共分散部分行列Cは次式で表
わすことができる。
【0023】
【数12】 ここで、
【数13】 ここで、 である。
【0024】上記数12において、S(t)Tは行列S
(t)の転置行列を表し、以下同様である。上記数12
においては、受信信号ベクトルの平均化によって雑音成
分を除去している。ここで、i≠jのとき、コヒーレン
ト性を抑圧する係数であるデコリレーションファクタ
(decorrelation factor)Dcfの大きさは1未満であ
り、従って、入射受信信号Si(t)とSj(t)の間の
干渉性は上記デコリレーションファクタDcfによっ
て、部分的又は完全に抑圧される(decorrelated)。
【0025】次いで、共分散部分行列Cの固有値解析を
行い、その結果として、入射受信信号の数Pと、信号固
有ベクトルの数と、雑音固有ベクトルの数がすべてを検
出される。ここで、共分散部分行列Cの固有値解析によ
り次式を得る。
【0026】
【数14】
【0027】ここで、μl(1≦l≦L)は固有値であ
り、al(1≦l≦L)は上記固有値μlに対応する共分
散部分行列Cの固有ベクトルである。ここで、すべての
入射受信信号が完全に、コヒーレント性が抑圧される
(decorrelated)とき、次式が成立する。
【0028】
【数15】μL≦…≦μP+1≪μP≦…≦μ1
【数16】aL⊥…⊥aP+1⊥aP⊥…⊥a1
【0029】第p番目に大きい固有値に対応するa
l(1≦l≦P)は信号固有ベクトルであり、より小さ
い(L−p)の固有値に対応するal(P+1≦l≦
L)は雑音固有ベクトルである。従来技術のMUSIC
法においては、μP+1≪μPを満足するμPを発見するこ
とによって、P個の入射受信信号の数を計数する。FB
SSを用いるMUSIC法においては、共分散部分行列
Cの計算処理と、その固有値解析の両方のピークの計算
負荷又は計算コストは、ほぼL3のオーダーである。
【0030】(L−P)個のL次元の雑音固有ベクトル
を用いてDOAの入射角θを検出する。従来技術のMU
SIC法においては、DOAの入射角θは次式で表され
るMUSICの固有スペクトルΨを用いて検出し、当該
固有スペクトルΨのピーク値に対応するθnが入射角θ
である。
【0031】
【数17】
【0032】上記数17において、(dn,al)はベク
トルdnとalとの間の内積を表し、以下同様である。こ
こで、入射角θnは、高分解能を確立するように精細に
その間隔が設定され、また、アンテナ素子の方向ベクト
ルdnは数5で定義される。入射角θnを−π/2からπ
/2へN回変化した場合、このときの計算負荷又は計算
コストはNL(L−P)のオーダーである。
【0033】図4は、従来技術のFBSSを用いたMU
SIC法による受信信号処理を示すフローチャートであ
る。図4において、まず、ステップS11において1フ
レーム分の受信信号データrm(t)(m=1,2,
…,M)を入力する。次いで、ステップS12で、入力
した受信信号データrm(t)(m=1,2,…,M)
から数8を満足するようにL次元の2K個のベクトルr
k(t)(1≦k≦2K)を抽出する。そして、ステ
ップS13で、抽出されたベクトルrvk(t)(1≦
k≦2K)に基づいて、数12を用いて共分散部分行列
Cを計算した後、ステップS14で、共分散部分行列C
の固有値解析を行うことにより、固有値μl(1≦l≦
L)及び共分散部分行列Cに対応する固有ベクトル
1,a2,…,aLを計算する。次いで、ステップS1
5で、固有ベクトルa1,a2,…,aLと、各アンテナ
素子の方向ベクトルdnに基づいて数17を用いて固有
スペクトルΨを計算し、ステップS16で、計算された
固有スペクトルΨに基づいて少なくとも1個の極大値の
ピークを見つけそのピークの入射角θpeakを示す入射角
信号を出力する。さらに、ステップS17で、次の1フ
レーム分の受信信号データrm(t)(m=1,2,
…,M)を入力した後、ステップS12に戻り、上記の
処理を繰り返す。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のMUSIC
法がすべての入射受信信号の全数を計数できない場合の
DOAの検出に関して議論することは意味のあることで
ある。MUSIC法がP個の入射受信信号の数を正確に
計数する場合、もしくは、固有ベクトルap(1≦p≦
P)がすべての信号要素を含んでいる場合、DOAの入
射角θは数17に示す固有スペクトルΨによって完全に
検出できる。しかしながら実際には、入射受信信号の数
Pは(μP+1/μP)≦Thを満足するμPを見つけること
によって計数される。ここで、しきい値Thは1未満に
適宜設定される。MUSIC法は必ずしもすべての場合
において、すべての信号を計数することはないが、代わ
りにE[S(t)S(t)†]が縮退した場合には入射
受信信号の正確な数より少ない検出を行う。この場合に
おいて、固有ベクトルal(P+1≦l≦L)は、信号
要素の幾つかの部分を含み、また数17における固有ス
ペクトルΨによるDOAの検出精度は劣下するという問
題点があった。
【0035】FBSSを用いたMUSIC法の計算負荷
又は計算コストは、雑音固有ベクトルを計算するために
用いられる複数の受信信号データからなる共分散行列の
固有値解析、並びに、MUSIC法による固有スペクト
ルΨの解析のために、きわめて大きなものとなってい
る。固有スペクトルΨの固有値解析においては、考慮す
る方向性の範囲が精細に分割され、高分解能を保証して
いる。このことは、固有値解析において計算すべき雑音
固有ベクトルとともに、多くの方向について考慮しなけ
ればならないことを意味している。
【0036】本発明の目的は以上の問題点を解決し、従
来技術のFBSSを用いたMUSIC法による信号処理
装置に比較して、より小さい計算コストでDOAの入射
角θを計算することができる信号処理装置を提供するこ
とにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の信号処理装置は、1直線上に所定の間隔で並置され
た複数のセンサを用いて受信された複数の受信信号を受
信して処理することにより、上記複数の受信信号の到来
方向の入射角を演算する信号処理装置において、上記受
信された複数の受信信号に基づいて所定の時間間隔にお
ける上記受信された複数の受信信号の各受信ベクトルの
時間平均値である複数の期待値を演算する第1の演算手
段と、上記第1の演算手段によって演算された複数の期
待値に基づいて、上記複数の期待値のベクトルから反復
計算の先に演算された信号基底ベクトルの方向成分を引
くことにより反復計算の先に演算された信号基底ベクト
ルに対して直交する反復計算の次の信号基底ベクトルを
演算するように、複数の信号基底ベクトル間の直交性に
基礎をおく反復演算を用いて、上記複数の期待値で張ら
れた空間における複数の信号基底ベクトルを演算する第
2の演算手段と、上記第2の演算手段によって演算され
た複数の信号基底ベクトルに基づいて、上記複数の信号
基底ベクトルと互いに直交する1個の雑音固有ベクトル
を演算する第3の演算手段と、上記第3の演算手段によ
って演算された1個の雑音固有ベクトルと、上記複数の
センサの指向方向を示す複数の方向ベクトルとに基づい
て、複数の受信信号の分解結果を示す固有スペクトルを
演算し、演算された固有スペクトルにおいて少なくとも
1個の極大値のピークを検出して、検出されたピークに
対応する到来方向の入射角を演算する第4の演算手段と
を備えたことを特徴とする。
【0038】また、請求項2記載の信号処理装置は、請
求項1記載の信号処理装置において、上記第4の演算手
段は、上記第3の演算手段によって演算された1個の雑
音固有ベクトルと、上記複数のセンサの指向方向を示す
複数の方向ベクトルとに基づいて、上記複数の方向ベク
トルの各方向ベクトルと、上記雑音固有ベクトルとの内
積の2乗の逆数を、上記固有スペクトルとして演算する
ことを特徴とする。
【0039】さらに、請求項3記載の信号処理装置は、
請求項1又は2記載の信号処理装置において、上記第4
の演算手段によって演算された到来方向の入射角に基づ
いて、上記複数のセンサの指向方向を上記入射角の方向
になるように制御する制御手段をさらに備えたことを特
徴とする。
【0040】またさらに、請求項4記載の信号処理装置
は、請求項1乃至3のうちの1つに記載の信号処理装置
において、上記複数のセンサは、複数のアンテナ素子で
あることを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。
【0042】図1は、本発明に係る一実施形態である受
信信号処理装置の構成を示すブロック図である。本実施
形態の受信信号処理装置は、(a)1直線上に所定の間
隔で並置された複数M個のアンテナ素子1−m(m=
1,2,…,M)からなるアレーアンテナ100と、
(b)複数M個の受信機2−m(m=1,2,…,M)
と、(c)複数M個の移相器3−m(m=1,2,…,
M)と、(d)複数M個のA/D変換器4−m(m=
1,2,…,M)と、(e)複数M個のバッファメモリ
5−m(m=1,2,…,M)と、(f)同相合成器6
と、(g)復調器7と、を備えるとともに、(h)従来
技術のFBSSを用いたMUSIC法を改善した高速化
カーネルMUSIC(Fast Kernel MUltiple SIgnal Cl
assification)法(以下、FKMUSIC法という。)
を用いて、複数M個のアンテナ素子1−m(m=1,
2,…,M)からなるアレーアンテナ100によって受
信されて受信機2−m(m=1,2,…,M)、移相器
3−m及びA/D変換器4−mを介してバッファメモリ
5−mから出力される受信信号データrm(t)(m=
1,2,…,M)を処理することにより、入射受信信号
のDOAの入射角θpeakを検出して入射角θpeakを示す
入射角信号を出力する受信信号処理回路20と、(i)
検出された入射角θpeakの入射角信号に基づいて、アレ
ーアンテナ100の指向方向が入射角θpeakとなるよう
に複数M個の移相器3−m(m=1,2,…,M)の移
相量θsmを移相するように制御する移相器コントロー
ラ30と、を備えたことを特徴とする。
【0043】図1において、アレーアンテナ100の各
アンテナ素子1−mからバッファメモリ6−mまでの回
路においては、M個の系統の受信回路が設けられ、各系
統とも同一の受信回路で構成される。従って、ここで
は、1系統の受信回路のみについて説明する。アレーア
ンテナ100のアンテナ素子1−mで受信された無線回
線の入射受信信号は、受信機2−mに入力され、受信機
2−mは、高周波増幅部と、周波数変換部と、中間周波
増幅部とを備え、入力された入射受信信号を増幅した
後、所定の中間周波数を有する中間周波信号に周波数変
換しかつ増幅して、移相器3−mに出力する。移相器3
−mは、当該装置の電源投入時又はリセット時にその移
相量θsmが0に設定された後、移相器コントローラ3
0により制御される。移相器3−mは入力された入射受
信信号を上記移相量θsmだけ移相した後、A/D変換
器4−mに出力し、A/D変換器4−mは、入力される
アナログ入射受信信号をディジタル入射受信信号のデー
タにA/D変換した後、A/D変換後のディジタル入射
受信信号のデータを、例えば2フレーム分のディジタル
入射受信信号のデータを順次一時的に記憶するバッファ
メモリ5−mを介して同相合成器6及び受信信号処理回
路20に出力する。ここで、同相合成器6は、入力され
る複数M個の入射受信信号のデータを同相合成した後、
復調器7に出力し、復調器7は、入力される入射受信信
号のデータを所定の復調方式で受信ベースバンド信号に
復調して出力する。
【0044】受信信号処理回路20は、図2に示すよう
に、例えば、ディジタル計算機などのコンピュータで構
成され、改善されたFKMUSIC法を用いて、バッフ
ァメモリ5−mから出力される受信信号データr
m(t)(m=1,2,…,M)を処理することによ
り、固有スペクトルΨを計算してCRTディスプレイ1
7に出力して表示するとともに、計算された固有スペク
トルΨにおける極大値のピークを見つけ、そのピークに
対応する入射受信信号のDOAの入射角θpeakを検出し
て入射角θpeakを示す入射角信号を移相器コントローラ
30に出力する。次いで、移相器コントローラ30は、
検出された入射角θpeakの入射角信号に基づいて、公知
の方法を用いて、アレーアンテナ100の指向方向が入
射角θpeakとなるように複数M個の移相器3−m(m=
1,2,…,M)の移相量θsmを移相するように制御
する。
【0045】図2は、図1の受信信号処理回路20の構
成を示すブロック図である。図2において、受信信号処
理回路20は、当該処理回路20の演算制御の処理を実
行するためのCPU(中央演算処理装置)10と、CP
U10が実行する詳細後述の受信信号処理のプログラム
及びそれを実行するために必要なデータを予め記憶する
ROM11と、CPU10のワークエリアとして用いら
れるRAM12と、上記受信信号処理を実行するときに
種々のデータを一時的に記憶するためのデータメモリ1
3と、2個のインタフェース14,15とを備え、これ
らの回路10乃至15は、互いにバス16を介して接続
される。図1のバッファメモリ5−m(m=1,2,
…,M)は、バス16を介してCPU10に接続され、
CPU10は、信号変換などの処理を行うインタフェー
ス14を介して移相器コントローラ30に接続されると
ともに、CPU10は、信号変換などの処理を行うイン
タフェース15を介してCRTディスプレイ17に接続
される。ここで、データメモリ13は、(a)バッファ
メモリ5−mから読み出される受信信号データr
m(t)を一時的に記憶する受信信号データメモリ21
と、(b)受信信号処理における計算途中データである
信号基底ベクトルak(k=1,2,…,P)を一時的
に記憶する信号基底ベクトルメモリ22と、(c)受信
信号処理における計算途中データである期待値E[rv
k(t)](k=1,2,…,2K)を一時的に記憶す
る期待値メモリ23と、(d)受信信号処理における計
算途中データである単位ベクトルuを一時的に記憶する
単位ベクトルメモリ24と、(e)受信信号処理におけ
る計算途中データである雑音固有ベクトルaNを一時的
に記憶する雑音固有ベクトルメモリ25と、(f)受信
信号処理における計算結果である固有スペクトルΨを一
時的に記憶する固有スペクトルメモリ26と、を備え
る。
【0046】次いで、本発明に係る実施形態で用いるF
KMUSIC法のアルゴリズムについて、説明する。本
実施形態のFKMUSIC法の計算負荷又は計算コスト
は、詳細後述するように、従来技術のMUSIC法のそ
れより遙かに小さいことを理論的に証明するが、このこ
とはFKMUSIC法が受信信号データの期待値E[r
k(t)]で張られた空間の信号基底ベクトル(MU
SIC法では信号固有ベクトルと考えられている。)を
計算するためであり、この固有ベクトルの発見方法は固
有値解析のそれとは異なるものである。
【0047】従来技術のMUSIC法においては、受信
信号データr(t)で構成されるC共分散部分行列の固
有値解析によって信号固有ベクトル及び雑音固有ベクト
ルを計算する。しかしながら、本発明に係る実施形態の
FKMUSIC法においては、複数P個の信号基底ベク
トル(従来技術のMUSIC法における信号固有ベクト
ルに対応する。)と、ただ1つの雑音固有ベクトルを計
算するため、必要な計算量が従来技術のMUSIC法よ
り少ない。
【0048】本実施形態のFKMUSIC法において
は、入射受信信号の数を計数し、受信信号データの期待
値E[rvk(t)]で張られた空間における信号基底
ベクトルを計算する。ここで、期待値とは、例えば1フ
レームなどの一定の時間に対する時間平均値である。ま
た、従来技術のMUSIC法における信号固有ベクトル
に対応する信号基底ベクトルの計算負荷を計算する。こ
のため、受信信号データの期待値E[rvk(t)]で
張られた空間における信号基底ベクトルak(1≦k≦
P)を次式の反復演算により計算する。
【0049】
【数18】
【0050】上記数18において、その右辺は、自然数
の変数pをkから2Kまで変化したときに、関数vct
MAXの引数の大きさが最大であるときの当該引数のベ
クトルを表わす。ここでは、上記数18を用いて、期待
値E[rvp(t)]のベクトルから反復計算の先に演算さ
れた信号基底ベクトルakの方向成分を引くことにより
反復計算の先に演算された信号基底ベクトルakに対し
て直交する反復計算の次の信号基底ベクトルakを演算
している。すなわち、上記数18では、信号基底ベクト
ルak間の直交性に基礎をおく反復演算により信号基底
ベクトルakを演算している。
【0051】P個の入射受信信号の数は、次式に示すよ
うに0と仮定された|aP+1|の値を見つけることによ
り計数される。
【数19】|aP+1|=0
【0052】信号基底ベクトルak(1≦k≦P)は従
来技術のMUSIC法における受信信号データベクトル
r(t)の共分散部分行列Cのk番目の最大の固有値に
対応する固有ベクトルであると考えられる。そして、信
号基底ベクトルak(1≦k≦P)の計算負荷は、
【数20】 のオーダーとなる。なお、数20の右辺をOaとおいて
いる。
【0053】従来技術のMUSIC法においては、(L
−P)個の雑音固有ベクトルが計算される。ここで、基
底ベクトルの次元数Lは、好ましくは、アンテナ素子1
−mの数Mの約0.8倍に設定される。しかしながら、
DOAの入射角θの検出が信号固有ベクトルは雑音固有
ベクトルに直交するという理論に基づいている限り、理
論上はただ1つの雑音固有ベクトルを計算するだけでD
OAの入射角θの検出が可能である。従って、本実施形
態のFKMUSIC法においては、DOAの入射角θの
検出に有効なただ1つの雑音固有ベクトルのみを計算す
る。さらに、本実施形態のFKMUSIC法における複
数P個の信号基底ベクトルと、1つの雑音固有ベクトル
との両方の計算負荷又は計算コストが、従来技術のMU
SIC法における共分散部分行列Cの計算及びその固有
値解析のための計算負荷又は計算コストに比較して、極
めて小さいことを証明する。このために、まず、次式を
満たす数Liを求める。
【0054】
【数21】
【0055】上記数21において、その右辺は、自然数
の変数lを1からLまで変化したときに、ベクトルa1
(l)の大きさが最大になるときのベクトルa1(l)
の大きさの値を表し、以下同様である。次いで、次式の
ように単位ベクトルuを確立する。
【0056】
【数22】
【0057】次いで、すべての信号基底ベクトルa
k(1≦k≦P)を計算した後、次式を用いて1つの雑
音固有ベクトルaNを計算する。
【0058】
【数23】
【0059】雑音固有ベクトルaNの計算負荷又は計算
コストは、L(P+1)のオーダーである。従って、複
数P個の信号基底ベクトル及び1つの雑音固有ベクトル
のためのFKMUSIC法の計算負荷又は計算コスト
は、L(P+1)+Oaであり、L=4Kのとき(これ
は、非現実的な仮定ではない。)はL2のオーダーであ
る。これに対して、従来技術のMUSIC法における固
有値解析のための計算負荷又は計算コストは概ねL
3(>L2)のオーダーである。
【0060】本発明者は、FKMUSIC法のために、
簡単なMUSIC法の固有スペクトルΨを計算すること
を提案し、その計算負荷又は計算コストを評価する。従
来技術のMUSIC法においては、(L−P)個の雑音
固有ベクトルを使用して数17における固有スペクトル
Ψを決定している。しかしながら、本発明に係る実施形
態のFKMUSIC法においては、1つの雑音固有ベク
トルのみを利用する。DOAの入射角θは次式の固有ス
ペクトルΨを用いて検出する。
【0061】
【数24】Ψ=1/|(dn,aN)|2,−(π/2)
≦θn≦π/2
【0062】従って、上記数24における固有スペクト
ルΨに対する計算負荷又は計算コストはNLのオーダー
である一方、従来技術のMUSIC法における計算負荷
又は計算コストはNL(L−P)のオーダーである。
【0063】次いで、本実施形態のFKMUSIC法が
すべての入射受信信号の数を計数できない場合のDOA
の入射角θの検出について検討する。P個の入射受信信
号の数が正確に計数される場合、もしくは、信号基底ベ
クトルak(1≦k≦P)がすべての信号要素を含んで
いる場合、DOAの入射角θは上記数24の固有スペク
トルΨによって完全に検出される。しかしながら、実際
には、数20の反復演算が停止され、入射受信信号の数
Pが決定されたときに、|aP+1|/|a1|≦Th(こ
こで、しきい値Thは1未満に適宜設定される。)を満
足する値|aP+1|を計算することができる。ただPi
の信号基底ベクトルak(1≦k≦Pi<P)が計算さ
れ、雑音固有ベクトルaNを検出するために用いられる
ときに、雑音固有ベクトルaNとP個の信号固有ベクト
ルak(1≦k≦P)間の直交性は、次式で表わすこと
ができる。
【0064】
【数25】 |(ak*/|ak|,aN/|aN|)| =0,(1≦k≦Pi) =|(ak*/|ak|,u/|aN|)| =|ak(Li)*|/(|ak||aN|),(Pi+1≦k≦P)
【0065】ここで、|aN|はkに独立している。|
k(Li)*|/|ak||aN|又は|ak(Li)*|
/|ak|(Pi+1≦k≦Qi≦P)を0と仮定できる
場合、雑音固有ベクトルaNは信号基底ベクトルak(1
≦k≦Qi≦P)と直交する。このことは、本実施形態
のFKMUSIC法においては、Qi個のDOAの入射
角θを、雑音固有ベクトルaNを用いて検出することが
できることを意味している。ただし、雑音固有ベクトル
Nは、Pi個の信号基底ベクトルak(1≦k≦Pi≦Q
i≦P)のみを用いて計算される。従って、本実施形態
のFKMUSIC法が計数できる入射受信信号の数Qi
は、|ak(Li)*|/|ak|(Pi+1≦k≦2K)
の解析によって検出することができる。Qi=Pの場合
において、本実施形態のFKMUSIC法はすべての入
射受信信号を分解して決定することができる。
【0066】図3は、本発明に係る実施形態のFKMU
SIC法による受信信号処理を示すフローチャートであ
る。図3において、まず、ステップS1において1フレ
ーム分の受信信号データrm(t)(自然数m=1,
2,…,M)をバッファメモリ5−mから読み出して受
信信号データメモリ21に記憶する。次いで、ステップ
S2で、読み出した受信信号データrm(t)(m=
1,2,…,M)に基づいて受信信号データの期待値E
[rvk(t)](1≦k≦2K)を計算して期待値メ
モリ23に記憶した後、数18を用いて、信号基底ベク
トルak(1≦k≦P)間の直交性に基礎をおく反復演
算により信号基底ベクトルak(1≦k≦P)を演算し
て信号基底ベクトルメモリ22に記憶する。そして、ス
テップS3において、数21を満足する番号Liを見つ
ける。そして、ステップS4において、数22を用いて
単位ベクトルuを計算して単位ベクトルメモリ24に記
憶する。さらに、ステップS5において、単位ベクトル
uと、信号基底ベクトルak(1≦k≦P)に基づいて
雑音固有ベクトルaNを計算して雑音固有ベクトルメモ
リ25に記憶し、ステップS6において、計算された雑
音固有ベクトルaNと各アンテナ素子1−mの方向ベク
トルdnに基づいて数24を用いて固有スペクトルΨを
計算して固有スペクトルメモリ26に記憶する。次い
で、ステップS7において、計算された固有スペクトル
Ψに基づいて少なくとも1個の極大値のピークを見つ
け、そのピークの入射角θpeakを検出し、当該入射角θ
peakを示す入射角信号を移相器コントローラ11に出力
する。さらに、ステップS8においてバッファメモリ5
−mから次の1フレーム分の受信信号データrm(t)
(m=1,2,…,M)を読み出して受信信号データメ
モリ21に記憶した後、ステップS2に戻り、上記の処
理を繰り返す。
【0067】すなわち、本実施形態の受信信号処理回路
は、1直線上に所定の間隔で並置された複数のアンテナ
素子1−mを用いて受信された複数の受信信号を受信し
て処理することにより、上記複数の受信信号の到来方向
の入射角を演算する受信信号処理回路であって、(a)
ステップS2に示すように、上記受信された複数の受信
信号に基づいて所定の時間間隔における上記受信された
複数の受信信号の各受信ベクトルの時間平均値である複
数の期待値を演算し、(b)ステップS2に示すよう
に、演算された複数の期待値に基づいて、上記複数の期
待値のベクトルから反復計算の先に演算された信号基底
ベクトルの方向成分を引くことにより反復計算の先に演
算された信号基底ベクトルに対して直交する反復計算の
次の信号基底ベクトルを演算するように、複数の信号基
底ベクトル間の直交性に基礎をおく反復演算を用いて、
上記複数の期待値で張られた空間における複数の信号基
底ベクトルを演算し、(c)ステップS5に示すよう
に、演算された複数の信号基底ベクトルに基づいて、上
記複数の信号基底ベクトルと互いに直交する1個の雑音
固有ベクトルを演算し、(d)ステップS6及びS7に
示すように、演算された1個の雑音固有ベクトルと、上
記複数のアンテナ素子1−mの指向方向を示す複数の方
向ベクトルとに基づいて、複数の受信信号の分解結果を
示す固有スペクトルを演算し、演算された固有スペクト
ルにおいて少なくとも1個の極大値のピークを検出し
て、検出されたピークに対応する到来方向の入射角を演
算する。
【0068】ここで、上記固有スペクトルとして演算す
るためには、好ましくは、演算された1個の雑音固有ベ
クトルと、上記複数のセンサの指向方向を示す複数の方
向ベクトルとに基づいて、上記複数の方向ベクトルの各
方向ベクトルと、上記雑音固有ベクトルとの内積の2乗
の逆数を、上記固有スペクトルとして演算する。
【0069】
【実施例】本発明者は、従来技術のFBSSを用いたM
USIC法と、本発明に係る実施形態のFKMUSIC
法との比較を行うために、数値シミュレーションを行っ
た。ここでは、本実施形態のFKMUSIC法がすべて
の入射受信信号を検出できない場合に、FKMUSIC
法が、前述した方法で検出される信号固有ベクトルの数
を示すPi、及び、FKMUSIC法が検出可能な信号
の数を示すQiを検出することを数値シミュレーション
によって確認する。また、FKMUSIC法によるCP
Uの処理時間、及び分解能の限界値を、従来技術のMU
SIC法と比較して測定する。
【0070】まず、本実施形態のFKMUSIC法の能
力について確認を行う。ここでは、Pi及びQiが決定さ
れたときの処理、及び入射受信信号の数Pを検出するの
に失敗したときにおけるFKMUSIC法の能力につい
て確認する。表2は、3つの数値シミュレーションにお
ける、アンテナ素子1−mの数M、固有ベクトル又は基
底ベクトルの次元数L、入射受信信号の数P、及び入射
受信信号の入射角間隔Δθを示している。
【0071】
【表2】 ─────────────────────────────── 数値シミュレーションのケース SA SB SC ─────────────────────────────── アンテナ素子の数M 32 32 32 固有ベクトル 25 25 25 又は基底ベクトルの次元数L 入射受信信号の数P 10 10 7 入射受信信号の入射角間隔Δθ 2 7 7 ───────────────────────────────
【0072】Pi<Qiの場合、本実施形態のFKMUS
IC法の検証は簡単である。これを示すために、入射受
信信号の数P及びしきい値Thをできる限り大きな値に
設定する。ここで、ケースSAは、FKMUSIC法の
しきい値Thの限界値によってすべての入射受信信号が
分解できないときの典型的なケースである。ケースSB
は、FKMUSIC法がすべての入射受信信号を分解で
き、その数は上記しきい値Thの限界値を有するケース
SAと同数であるときの典型的なケースである。ケース
SCは、ケースSBとは対照的なケースであって、本実
施形態のFKMUSIC法がケースSBのようにすべて
の入射受信信号を検出するが、入射受信信号の数が異な
るケースである。
【0073】本実施形態のFKMUSIC法において
は、信号基底ベクトルak(1≦k≦2K)を理論的
に、しきい値Thの限界値を設定しなくとも、上記数1
8の反復計算によって計算できる。
【0074】図5は、実施形態の受信信号処理装置の数
値シミュレーション結果であって、P個の入射受信信号
を入射角間隔Δθで設定し付加雑音のない場合におけ
る、信号基底ベクトルの番号kに対する基底ベクトルa
k(1≦k≦2K=2(M−L+1))の大きさを示す
グラフである。図5において、開始信号基底ベクトルの
大きさ|a1|は1に設定された基準点である。信号基
底ベクトルの大きさ|ak|は、上記数18が信号基底
ベクトルakの大きさを考慮しないため、単調減少では
ない。
【0075】図5は、しきい値Thが特定値のときに、
1個の雑音固有ベクトルaNを計算するときに利用され
る信号固有ベクトルの数Piを示している。例えば、し
きい値Th=0.1のとき、ケースSA、SB及びSC
におけるPiはそれぞれ4,8,及び6である。
【0076】図6は、実施形態の受信信号処理装置の数
値シミュレーション結果であって、P個の入射受信信号
を入射角間隔Δθで設定し付加雑音がなく、1つのみの
信号基底ベクトルa1(Pi=1)を使用して雑音固有ベ
クトルaNを計算する場合における、固有ベクトルa
k(2≦k≦2K)と雑音固有ベクトルaNとの間の直交
性|ak(Li)|/|ak|を示すグラフである。図6
において、|a1(Li)*|/|a1|は1に設定され
ている基準点である。
【0077】ケースSAにおいて、|ak(Li)*|/
|ak|(2≦k≦10)の中で、0.5<|a
k(Li)*|/|ak| は、k=3,5,8,9のと
きに実現される。従って、9<Piでないならば、本実
施形態のFKMUSIC法は、すべての10個の入射受
信信号を計数することはできない。事実、しきい値Th
=0.1のときの数値演算では、本実施形態のFKMU
SIC法においては、図5に示すように、Pi=1と検
出している。このことは、雑音固有ベクトルaNを計算
するために、4個の信号基底ベクトルak(1≦k≦
4)が利用されることを意味している。この雑音固有ベ
クトルaNと信号基底ベクトルak(5≦k≦10)との
間の直交性は、k=5,8,9において、満足されな
い。すなわち、最終的に、10個のすべての入射受信信
号を分解して検出することはできない。
【0078】ケースSBにおいて、2≦k≦10のとき
に、不等式|ak(Li)*|/|ak|<0.1が成り
立つ。しきい値Th=0.1のときの数値演算において
は、10個の入射受信信号のDOAの入射角θが正確に
検出され、一方、本実施形態のFKMUSIC法は、図
5に示すように、Pi=8を検出するが、ただ5個の信
号基底ベクトルak(1≦k≦5)のみが雑音固有ベク
トルaNを計算するために利用される。
【0079】ケースSCにおいて、2≦k≦7のとき不
等式|ak(Li)*|/|ak|<0.1が成り立つ。
しきい値Th=0.1のときに数値演算においては、7
個の入射受信信号のDOAの入射角θがケースSBのよ
うに正確に検出され、一方、本実施形態のFKMUSI
C法は、図5に示すように、Pi=6を検出している。
このようにして、本実施形態のFKMUSIC法が計数
する入射受信信号の数Qは、|ak(Li)*|/|ak
|(Pi+1≦k≦2K)によって検出できる。
【0080】次いで、数値シミュレーションを用いて、
アンテナ素子の数Mと、考慮すべき方向の数Nと、入射
受信信号の数Pと、信号対雑音電力比SNRを変化する
ことにより、本実施形態のFKMUSIC法の特性を検
証する。結果的には、本実施形態のFKMUSIC法の
計算負荷又は計算コストは、従来技術のMUSIC法の
1/100から1/1000であり、またその分解能の
限界値が、従来技術のMUSIC法にまったく劣らない
ことを確認することができる。
【0081】まず、CPUの処理時間に与えるN及びM
について検討するために、本実施形態のFKMUSIC
法と、従来技術のMUSIC法におけるCPUの処理時
間を測定する。Mは、分解能の限界値に対して大きな影
響を与え、従って、Piの検出に対して大きな影響を与
える。ここで、Pが大きな数であってMを変化すると
き、その変化により、Piが本実施形態のFKMUSI
C法におけるCPUの処理時間に対して影響を及ぼす。
iの効果を制限し、M及びNの効果を調査するため
に、入射受信信号の数Pを2に設定する。
【0082】図7は、実施形態及び従来技術の受信信号
処理装置の数値シミュレーション結果であって、2個の
入射受信信号が存在し(P=2)付加雑音の無い場合
の、アンテナ素子の数Mに対するCPUの処理時間
(秒)を示すグラフである。図7において、アンテナ素
子1−mの数Mの範囲は、30から1000までに設定
され、L=0.8M、並びに、しきい値Thは0.1に
設定される。
【0083】図7における各ケースの特性A,B,C及
びDはそれぞれ、N=20及びN=2000のときの、
本実施形態のFKMUSIC法及び従来技術のMUSI
C法における処理時間である。
【0084】従来技術のMUSIC法の場合において、
特性C及び特性Dの勾配は、本実施形態のFKMUSI
C法における特性A及び特性Bの場合の1.95倍であ
る。このことは、従来技術のMUSIC法におけるCP
Uの処理時間が、本実施形態のFKMUSIC法のそれ
よりもM倍以上大きく影響を与えることを意味してい
る。言い換えれば、従来技術のMUSIC法におけるC
PUの処理時間は、固有スペクトルΨの解析よりも、共
分散部分行列Cの固有値解析の方に多く費やされる。
【0085】より小さいNの値を有する特性Aに対する
より大きなNの値を有する特性Bの増加量は、特性Cに
対する特性Dの増加量の6.4倍である。このことは、
本実施形態のFKMUSIC法において、NがCPUの
処理時間に及ぼす影響が従来技術のMUSIC法より大
きいことを意味している。つまり、本実施形態のFKM
USIC法におけるCPUの処理時間は、信号基底ベク
トルakの計算と比較して、固有スペクトルΨの方に多
く費やされる。さらに、本実施形態のFKMUSIC法
におけるCPUの処理時間は、従来技術のMUSIC法
におけるそれの1/100から1/1000である。
【0086】最後に、本実施形態のFKMUSIC法
と、従来技術のMUSIC法の分解能の限界値について
調査し、付加雑音の有無に関わらず両方の分解能の限界
値がほぼ同じであることを確認する。
【0087】図8は、実施形態の受信信号処理装置の数
値シミュレーション結果であって、3個の入射受信信号
(P=3)が存在し付加雑音の無い場合の入射角間隔Δ
θに対する検出された入射角θを示すグラフであり、図
9は、従来技術の受信信号処理装置の数値シミュレーシ
ョン結果であって、3個の入射受信信号(P=3)が存
在し付加雑音の無い場合の入射角間隔Δθに対する検出
された入射角θを示すグラフである。ここで、入射角間
隔Δθを0゜から6゜まで変化させている。また、アレ
ーアンテナ100は、M=32個のアンテナ素子1−m
を有する。さらに、LとKはそれぞれ、25と8に設定
され、しきい値Thは0.1に設定される。
【0088】図8及び図9はそれぞれ、本実施形態のF
KMUSIC法及び従来技術のMUSIC法によって得
られた数値シミュレーションの結果である。その分解能
の限界値は、すべての3個の入射受信信号を、分解可能
な最小の入射角間隔Δθで設定している。図8及び図9
において、分解能の限界値は縦方向の点線で示されてい
る。
【0089】図10は、実施形態及び従来技術の受信信
号処理装置の数値シミュレーション結果であって、付加
雑音が無い場合の入射受信信号の数Pに対する分解能の
限界値(度)を示すグラフである。ここで、入射受信信
号の数Pを2から10に変化させている。アレーアンテ
ナ100は、M=32個のアンテナ素子1−mを有す
る。LとKはそれぞれ、25と8に設定され、しきい値
hは0.1に設定される。図10における特性A及び
特性Bはそれぞれ、本実施形態のFKMUSIC法及び
従来技術のMUSIC法の分解能の限界値である。図1
0に示すように、本実施形態のFKMUSIC法の分解
能の限界値は、従来技術のMUSIC法のそれとほぼ同
じである。
【0090】次いで、付加雑音のある場合の分解能の限
界値を調べる。図10においては、分解能の限界値は、
Pが2≦P≦4の場合にのみ変化する。従って、入射受
信信号の数Pが小さい場合のタイプとしてP=2をチェ
ックし、入射受信信号の数Pが大きい場合のタイプとし
てP=9のケースをチェックする。
【0091】図11は、実施形態及び従来技術の受信信
号処理装置の数値シミュレーション結果であって、P個
の入射受信信号が存在し付加雑音のある場合における信
号対雑音電力比SNRに対する分解能の限界値(度)を
示すグラフである。アレーアンテナ100は、M=32
個のアンテナ素子1−mを有している。LとKはそれぞ
れ、25と8に設定され、しきい値Thは0.1に設定
される。信号対雑音電力比SNRの範囲は0dBから2
0dBである。受信信号データの時間平均をとるときの
受信データ数を示すスナップショット数と、数値計算実
験のときの試行回数を示すモンテカルロ数はそれぞれ、
70と30に設定される。
【0092】図11における特性A、B、C及びDはそ
れぞれ、P=7及びP=2の場合の本実施形態のFKM
USIC法、及び従来技術のMUSIC法の分解能の限
界値である。図11に示すように、本実施形態のFKM
USIC法の分解能の限界値もまた従来技術のMUSI
C法のそれとほぼ同じである。従って、本実施形態のF
KMUSIC法は、分解能の限界値、雑音の許容性、C
PUの処理時間に関して、従来技術のMUSIC法に比
較して優秀な特性を得ることができる。
【0093】以上説明したように、本発明に係る実施形
態においては、FKMUSIC法のアルゴリズムを提案
するものであり、従来技術のMUSIC法では、受信信
号データの共分散行列の固有値解析、及び固有スペクト
ルの解析のための計算負荷又は計算コストが極めて大き
い。本実施形態のFKMUSIC法では、直交正規化さ
れた信号基底ベクトルakを用いて、共分散部分行列C
が形成され、ガウスの除去法(Gaussian elimination)
を用いて(L−P)個の雑音ベクトルに変換して検出し
ている。これらすべての(L−P)個の雑音ベクトルが
MUSIC法の固有スペクトルを求めるために利用され
ており、このとき比較的大きな計算負荷又は計算コスト
を必要としている。しかしながら、本実施形態のFKM
USIC法は、受信信号データベクトルで張られた空間
における幾らかの信号基底ベクトル、及び信号基底ベク
トルに直交するただ1つのベクトルを計算するだけで、
共分散行列の固有値解析を行わないため、アレーアンテ
ナのシステムにおける計算負荷又は計算コストを、電波
環境の急激な変化に対応できる程度にまで軽減させるこ
とができる。本実施形態の信号基底ベクトルは、従来技
術のMUSIC法における信号固有ベクトルに対応し、
直交ベクトルは雑音固有ベクトルに対応する。さらに、
固有スペクトルΨにおいては、本実施形態のFKMUS
IC法はただ1つの雑音固有ベクトルを使用する。その
結果、従来技術のMUSIC法の計算負荷又は計算コス
トは、本発明に係る実施形態のFKMUSIC法によっ
て1/100から1/1000に減少させることができ
る。そして、上記数値シミュレーションにおいて、従来
技術のMUSIC法に対する、本実施形態のFKMUS
IC法における優位性又は優秀性は、上記得られたより
小さい計算負荷又は計算コストと、より高い分解能の性
能によって示されている。
【0094】すなわち、本実施形態のFKMUSIC法
においては、受信信号データの共分散行列Cを使用する
必要はなく、従来技術のMUSIC法における固有スペ
クトルΨよりも簡単な固有スペクトルΨを導入してい
る。しかしながら、本実施形態のFKMUSIC法と従
来技術のMUSIC法は信号の固有ベクトルが雑音の固
有ベクトルに直交するという原理を共有している。
【0095】以上の実施形態において、センサシステム
の一例として、複数のアンテナ素子1−mを備えたアレ
ーアンテナ100の受信システムについて述べている
が、本発明はこれに限らず、例えば、無線信号に限ら
ず、超音波、マイクロ波、ミリ波などの種々の信号を、
1直線上に所定間隔で並置された複数のセンサを用いて
受信した後、DOAの入射角θを検出するセンサシステ
ムに広く適用することができる。
【0096】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る請求項
1記載の信号処理装置によれば、1直線上に所定の間隔
で並置された複数のセンサを用いて受信された複数の受
信信号を受信して処理することにより、上記複数の受信
信号の到来方向の入射角を演算する信号処理装置におい
て、上記受信された複数の受信信号に基づいて所定の時
間間隔における上記受信された複数の受信信号の各受信
ベクトルの時間平均値である複数の期待値を演算する第
1の演算手段と、上記第1の演算手段によって演算され
た複数の期待値に基づいて、上記複数の期待値のベクト
ルから反復計算の先に演算された信号基底ベクトルの方
向成分を引くことにより反復計算の先に演算された信号
基底ベクトルに対して直交する反復計算の次の信号基底
ベクトルを演算するように、複数の信号基底ベクトル間
の直交性に基礎をおく反復演算を用いて、上記複数の期
待値で張られた空間における複数の信号基底ベクトルを
演算する第2の演算手段と、上記第2の演算手段によっ
て演算された複数の信号基底ベクトルに基づいて、上記
複数の信号基底ベクトルと互いに直交する1個の雑音固
有ベクトルを演算する第3の演算手段と、上記第3の演
算手段によって演算された1個の雑音固有ベクトルと、
上記複数のセンサの指向方向を示す複数の方向ベクトル
とに基づいて、複数の受信信号の分解結果を示す固有ス
ペクトルを演算し、演算された固有スペクトルにおいて
少なくとも1個の極大値のピークを検出して、検出され
たピークに対応する到来方向の入射角を演算する第4の
演算手段とを備える。従って、従来技術のFBSSを用
いたMUSIC法による信号処理装置に比較して、より
小さい計算コストでかつ高速でDOAの入射角θを計算
することができ、しかも従来技術と同等の分解能を有す
る信号処理装置を実現することができる。
【0097】さらに、請求項2記載の信号処理装置にお
いては、請求項1又記載の信号処理装置において、上記
第4の演算手段は、上記第3の演算手段によって演算さ
れた1個の雑音固有ベクトルと、上記複数のセンサの指
向方向を示す複数の方向ベクトルとに基づいて、上記複
数の方向ベクトルの各方向ベクトルと、上記雑音固有ベ
クトルとの内積の2乗の逆数を、上記固有スペクトルと
して演算する。従って、従来技術のFBSSを用いたM
USIC法による信号処理装置に比較して、より簡便に
計算することができるので、より小さい計算コストでか
つ高速でDOAの入射角θを計算することができ、しか
も従来技術と同等の分解能を有する信号処理装置を実現
することができる。
【0098】また、請求項3記載の信号処理装置におい
ては、請求項1又は2記載の信号処理装置において、上
記第4の演算手段によって演算された到来方向の入射角
に基づいて、上記複数のセンサの指向方向を上記入射角
の方向になるように制御する制御手段をさらに備える。
従って、従来技術のFBSSを用いたMUSIC法によ
る信号処理装置に比較して、より簡便に計算することが
できるので、より小さい計算コストでかつ高速でDOA
の入射角θを計算することができるので、リアルタイム
に変化する受信信号を追跡して、当該複数のセンサの指
向方向を高速で変化させることができる。
【0099】さらに、請求項4記載の信号処理装置にお
いては、請求項1乃至3のうちの1つに記載の信号処理
装置において、上記複数のセンサは、複数のアンテナ素
子である。従って、従来技術のFBSSを用いたMUS
IC法による信号処理装置に比較して、より簡便に計算
することができるので、より小さい計算コストでかつ高
速でDOAの入射角θを計算することができるので、リ
アルタイムに変化する無線受信信号を追跡して、当該複
数のアンテナ素子の指向方向を高速で変化させることが
できる。すなわち、本発明は高速移動の移動体との移動
体通信に対して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態である受信信号処理
装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の受信信号処理回路20の構成を示すブ
ロック図である。
【図3】 図2の受信信号処理回路20によって実行さ
れる受信信号処理を示すフローチャートである。
【図4】 従来技術の受信信号処理を示すフローチャー
トである。
【図5】 実施形態の受信信号処理装置の数値シミュレ
ーション結果であって、P個の入射受信信号を入射角間
隔Δθで設定し付加雑音のない場合における、信号基底
ベクトルの番号kに対する信号基底ベクトルak(1≦
k≦2K=2(M−L+1))の大きさを示すグラフで
ある。
【図6】 実施形態の受信信号処理装置の数値シミュレ
ーション結果であって、P個の入射受信信号を入射角間
隔Δθで設定し付加雑音がなく、1つのみの信号基底ベ
クトルa1(Pi=1)を使用して雑音固有ベクトルaN
を計算する場合における、固有ベクトルak(1≦k≦
2K)と雑音固有ベクトルaNとの間の直交性|ak(L
i)|/|ak|を示すグラフである。
【図7】 実施形態及び従来技術の受信信号処理装置の
数値シミュレーション結果であって、2個の入射受信信
号が存在し(P=2)付加雑音の無い場合の、アンテナ
素子の数Mに対するCPUの処理時間(秒)を示すグラ
フである。
【図8】 実施形態の受信信号処理装置の数値シミュレ
ーション結果であって、3個の入射受信信号(P=3)
が存在し付加雑音の無い場合の入射角間隔Δθに対する
検出された入射角θを示すグラフである。
【図9】 従来技術の受信信号処理装置の数値シミュレ
ーション結果であって、3個の入射受信信号(P=3)
が存在し付加雑音の無い場合の入射角間隔Δθに対する
検出された入射角θを示すグラフである。
【図10】 実施形態及び従来技術の受信信号処理装置
の数値シミュレーション結果であって、付加雑音が無い
場合の入射受信信号の数Pに対する分解能の限界値
(度)を示すグラフである。
【図11】 実施形態及び従来技術の受信信号処理装置
の数値シミュレーション結果であって、P個の入射受信
信号が存在し付加雑音のある場合における信号対雑音電
力比SNRに対する分解能の限界値(度)を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1−1乃至1−M…アンテナ素子、 2−1乃至2−M…受信機、 3−1乃至3−M…移相器、 4−1乃至4−M…A/D変換器、 5−1乃至5−M…バッファメモリ、 6…同相合成器、 7…復調器、 10…CPU、 11…ROM、 12…RAM、 13…データメモリ、 14,15…インターフェース、 16…バス、 17…CRTディスプレイ、 20…受信信号処理回路、 21…受信信号データメモリ、 22…信号基底ベクトルメモリ、 23…期待値メモリ、 24…単位ベクトルメモリ、 25…雑音固有ベクトルメモリ、 26…固有スペクトルメモリ、 30…移相器コントローラ、 100…アレーアンテナ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1直線上に所定の間隔で並置された複数
    のセンサを用いて受信された複数の受信信号を受信して
    処理することにより、上記複数の受信信号の到来方向の
    入射角を演算する信号処理装置において、 上記受信された複数の受信信号に基づいて所定の時間間
    隔における上記受信された複数の受信信号の各受信ベク
    トルの時間平均値である複数の期待値を演算する第1の
    演算手段と、 上記第1の演算手段によって演算された複数の期待値に
    基づいて、上記複数の期待値のベクトルから反復計算の
    先に演算された信号基底ベクトルの方向成分を引くこと
    により反復計算の先に演算された信号基底ベクトルに対
    して直交する反復計算の次の信号基底ベクトルを演算す
    るように、複数の信号基底ベクトル間の直交性に基礎を
    おく反復演算を用いて、上記複数の期待値で張られた空
    間における複数の信号基底ベクトルを演算する第2の演
    算手段と、 上記第2の演算手段によって演算された複数の信号基底
    ベクトルに基づいて、上記複数の信号基底ベクトルと互
    いに直交する1個の雑音固有ベクトルを演算する第3の
    演算手段と、 上記第3の演算手段によって演算された1個の雑音固有
    ベクトルと、上記複数のセンサの指向方向を示す複数の
    方向ベクトルとに基づいて、複数の受信信号の分解結果
    を示す固有スペクトルを演算し、演算された固有スペク
    トルにおいて少なくとも1個の極大値のピークを検出し
    て、検出されたピークに対応する到来方向の入射角を演
    算する第4の演算手段とを備えたことを特徴とする信号
    処理装置。
  2. 【請求項2】 上記第4の演算手段は、上記第3の演算
    手段によって演算された1個の雑音固有ベクトルと、上
    記複数のセンサの指向方向を示す複数の方向ベクトルと
    に基づいて、上記複数の方向ベクトルの各方向ベクトル
    と、上記雑音固有ベクトルとの内積の2乗の逆数を、上
    記固有スペクトルとして演算することを特徴とする請求
    項1記載の信号処理装置。
  3. 【請求項3】 上記第4の演算手段によって演算された
    到来方向の入射角に基づいて、上記複数のセンサの指向
    方向を上記入射角の方向になるように制御する制御手段
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の
    信号処理装置。
  4. 【請求項4】 上記複数のセンサは、複数のアンテナ素
    子であることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つ
    に記載の信号処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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