JPH10232184A - レーザー耐久性評価方法 - Google Patents
レーザー耐久性評価方法Info
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- JPH10232184A JPH10232184A JP9034706A JP3470697A JPH10232184A JP H10232184 A JPH10232184 A JP H10232184A JP 9034706 A JP9034706 A JP 9034706A JP 3470697 A JP3470697 A JP 3470697A JP H10232184 A JPH10232184 A JP H10232184A
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- Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
- Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 光学薄膜の種類(反射防止膜、反射増加膜
等)の相違やサンプル間のばらつきにかかわらず、精度
良く膜の破壊の起点(開始点)を検出することができる
レーザー耐久性評価方法を提供する。 【解決手段】薄膜が形成されたサンプルに光を照射した
ときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により発生
する音響信号と、前記サンプルに光を照射したときに生
じる散乱信号とを、照射光強度を増加させて照射し続け
ながら同時に計測し、その変動を用いて行うレーザー耐
久性評価方法。
等)の相違やサンプル間のばらつきにかかわらず、精度
良く膜の破壊の起点(開始点)を検出することができる
レーザー耐久性評価方法を提供する。 【解決手段】薄膜が形成されたサンプルに光を照射した
ときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により発生
する音響信号と、前記サンプルに光を照射したときに生
じる散乱信号とを、照射光強度を増加させて照射し続け
ながら同時に計測し、その変動を用いて行うレーザー耐
久性評価方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学薄膜が形成さ
れた光学素子のレーザー耐久性評価方法に関するもので
ある。
れた光学素子のレーザー耐久性評価方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】近年、半導体素子の集積度を増すために、
半導体製造用縮小投影露光装置(ステッパー)の高解像
力化の要求が高まっている。このステッパーによるフォ
トリソグラフィーの解像度を上げる一つの方法として、
光源波長の短波長化が挙げられる。それに伴って、この
短波長における光学素子などの計測評価が不可欠になり
つつある。
半導体製造用縮小投影露光装置(ステッパー)の高解像
力化の要求が高まっている。このステッパーによるフォ
トリソグラフィーの解像度を上げる一つの方法として、
光源波長の短波長化が挙げられる。それに伴って、この
短波長における光学素子などの計測評価が不可欠になり
つつある。
【0003】光学素子など要求される評価項目のうち、
重要な項目の一つはレーザー耐久性である。ステッパー
に用いられる高出力のエキシマレーザーに対する光学材
料及び光学薄膜等の光学素子のレーザー耐久性について
はほとんど実績がない。光学素子の破壊のメカニズムは
詳細には解明されていないが、基板や薄膜の吸収発熱に
よる溶解、熱応力による脆性破壊、強い光電界による絶
縁破壊により光学素子の破壊に至ると考えられている。
重要な項目の一つはレーザー耐久性である。ステッパー
に用いられる高出力のエキシマレーザーに対する光学材
料及び光学薄膜等の光学素子のレーザー耐久性について
はほとんど実績がない。光学素子の破壊のメカニズムは
詳細には解明されていないが、基板や薄膜の吸収発熱に
よる溶解、熱応力による脆性破壊、強い光電界による絶
縁破壊により光学素子の破壊に至ると考えられている。
【0004】また、現実の光学素子では、基板材料の純
度や均質性、加工後の表面状態や粗さ、研磨材の残留
物、コートによる吸収やコート内部の電界強度分布等の
加工プロセス全体での各種の要因も光学素子の破壊の原
因になっている。第1のレーザー耐久性の評価方法とし
ては、図5に示すような装置を用いて、サンプル表面上
に場所を変えながら単位面積あたりのエネルギー密度を
変化させたレーザー光をスポットにして照射し、膜の破
壊の有無を顕微鏡の目視にて観察して、判定する方法が
ある。
度や均質性、加工後の表面状態や粗さ、研磨材の残留
物、コートによる吸収やコート内部の電界強度分布等の
加工プロセス全体での各種の要因も光学素子の破壊の原
因になっている。第1のレーザー耐久性の評価方法とし
ては、図5に示すような装置を用いて、サンプル表面上
に場所を変えながら単位面積あたりのエネルギー密度を
変化させたレーザー光をスポットにして照射し、膜の破
壊の有無を顕微鏡の目視にて観察して、判定する方法が
ある。
【0005】しかし、目視による判定法は観察者の個人
差があり、測定結果のバラツキをまねき、またサンプル
数の増加に対応できない等の問題がある。さらに、目視
による判定法は、膜破壊の状態認識によってのみでしか
耐久性を評価することができない。そこで、次に示すよ
うな第2、3のレーザー耐久性評価方法が提案された。
第2のレーザー耐久性の評価方法としては、図6に示す
ような装置を用いて光量調整光学系のズームレンズを駆
動して照射光強度を増大させながらサンプルに照射し続
け、光吸収に起因するサンプルの体積変化により発生す
る音響信号を測定し、急激な音響信号の変動が生じたと
き膜破壊が生じたと認定する方法がある。
差があり、測定結果のバラツキをまねき、またサンプル
数の増加に対応できない等の問題がある。さらに、目視
による判定法は、膜破壊の状態認識によってのみでしか
耐久性を評価することができない。そこで、次に示すよ
うな第2、3のレーザー耐久性評価方法が提案された。
第2のレーザー耐久性の評価方法としては、図6に示す
ような装置を用いて光量調整光学系のズームレンズを駆
動して照射光強度を増大させながらサンプルに照射し続
け、光吸収に起因するサンプルの体積変化により発生す
る音響信号を測定し、急激な音響信号の変動が生じたと
き膜破壊が生じたと認定する方法がある。
【0006】第3のレーザー耐久性の評価方法として
は、図7に示すような装置を用いて光量調整光学系のズ
ームレンズを駆動して照射光強度を増大させながらサン
プルに照射し続ける。光の照射と照射との間隙にHe−
Neレーザーを照射し、その時に発生する散乱信号を測
定し、急激な散乱信号の変動が生じたときに膜破壊が生
じたと認定する方法がある。
は、図7に示すような装置を用いて光量調整光学系のズ
ームレンズを駆動して照射光強度を増大させながらサン
プルに照射し続ける。光の照射と照射との間隙にHe−
Neレーザーを照射し、その時に発生する散乱信号を測
定し、急激な散乱信号の変動が生じたときに膜破壊が生
じたと認定する方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は光学基板上に形成された光学薄膜の種類(反射防止
膜、反射増加膜等)の違いや、サンプル間のばらつきに
よって膜破壊のメカニズムが相違するため、音響信号の
変動のみによって評価する第2のレーザー耐久性評価方
法や散乱信号の変動のみによって評価する第3のレーザ
ー耐久評価方法では精度良く膜の破壊の起点(開始点)
を検出することができない。
は光学基板上に形成された光学薄膜の種類(反射防止
膜、反射増加膜等)の違いや、サンプル間のばらつきに
よって膜破壊のメカニズムが相違するため、音響信号の
変動のみによって評価する第2のレーザー耐久性評価方
法や散乱信号の変動のみによって評価する第3のレーザ
ー耐久評価方法では精度良く膜の破壊の起点(開始点)
を検出することができない。
【0008】そこで、本発明はこれらの問題点に鑑み、
光学薄膜の種類(反射防止膜、反射増加膜等)の相違や
サンプル間のばらつきにかかわらず、精度良く膜の破壊
の起点(開始点)を検出することができるレーザー耐久
性評価方法を提供することを目的とする。
光学薄膜の種類(反射防止膜、反射増加膜等)の相違や
サンプル間のばらつきにかかわらず、精度良く膜の破壊
の起点(開始点)を検出することができるレーザー耐久
性評価方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、本発明をするに至った。本発明は、第一に「薄膜
が形成されたサンプルに光を照射したときの光吸収に起
因するサンプルの体積変化により発生する音響信号と、
前記サンプルに光を照射したときに生じる散乱信号と
を、照射光強度を増加させて照射し続けながら同時に計
測し、その変動を用いて行うレーザー耐久性評価方法
(請求項1)」を提供する。また、本発明は第二に「前
記音響信号又は散乱信号の急激な変動のうち、最初に急
激に変動し始めた信号の始点を前記照射光強度を増加さ
せて照射し続けることに起因する前記薄膜の破壊の起点
と認定することを特徴とする請求項1記載のレーザー耐
久性評価方法(請求項2)」を提供する。また、本発明
は第三に「前記信号変化の始点の照射光強度をレーザー
耐力しきい値として認定することを特徴とする請求項2
記載のレーザー耐久性評価方法(請求項3)」を提供す
る。
結果、本発明をするに至った。本発明は、第一に「薄膜
が形成されたサンプルに光を照射したときの光吸収に起
因するサンプルの体積変化により発生する音響信号と、
前記サンプルに光を照射したときに生じる散乱信号と
を、照射光強度を増加させて照射し続けながら同時に計
測し、その変動を用いて行うレーザー耐久性評価方法
(請求項1)」を提供する。また、本発明は第二に「前
記音響信号又は散乱信号の急激な変動のうち、最初に急
激に変動し始めた信号の始点を前記照射光強度を増加さ
せて照射し続けることに起因する前記薄膜の破壊の起点
と認定することを特徴とする請求項1記載のレーザー耐
久性評価方法(請求項2)」を提供する。また、本発明
は第三に「前記信号変化の始点の照射光強度をレーザー
耐力しきい値として認定することを特徴とする請求項2
記載のレーザー耐久性評価方法(請求項3)」を提供す
る。
【0010】
【発明の実施形態】以下、本発明にかかるレーザー耐久
性評価方法に用いる光学薄膜損傷測定装置と、その測定
方法の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1
(a)は、本発明にかかる実施形態の光学薄膜損傷測定
装置の概略断面図である。
性評価方法に用いる光学薄膜損傷測定装置と、その測定
方法の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1
(a)は、本発明にかかる実施形態の光学薄膜損傷測定
装置の概略断面図である。
【0011】本発明にかかる実施形態の光学薄膜損傷測
定装置のチャンバー(図示されていない)内には、光源
101からのエキシマレーザーを成形するビーム成形光
学系102と、光量を調節する光量調整光学系(ズーム
レンズ)103と、光量調整されたエキシマレーザーを
参照光と測定光に分離するビームスプリッタ105と、
エキシマレーザーをサンプル上に集光させる集光光学系
106と、参照光を受光する光量モニタセンサー104
と、サンプル108に取り付けられた音響検知素子10
9(圧電素子など)と、測定光を吸収するビームストッ
プ(図示されていない)が設置されている。
定装置のチャンバー(図示されていない)内には、光源
101からのエキシマレーザーを成形するビーム成形光
学系102と、光量を調節する光量調整光学系(ズーム
レンズ)103と、光量調整されたエキシマレーザーを
参照光と測定光に分離するビームスプリッタ105と、
エキシマレーザーをサンプル上に集光させる集光光学系
106と、参照光を受光する光量モニタセンサー104
と、サンプル108に取り付けられた音響検知素子10
9(圧電素子など)と、測定光を吸収するビームストッ
プ(図示されていない)が設置されている。
【0012】光学薄膜損傷測定装置において、光源10
1からの光は、ビーム成形光学系102で成形され、光
量調整光学系103で光量(照射光強度)を変化させ、
ビームスプリッタ105により参照光と測定光に分離さ
れる。照射光強度は参照光を用いて光量モニタセンサー
104でモニタし、測定光はサンプル108に照射され
る。光量モニタセンサー104でモニタされた照射光強
度でサンプル108に照射し続けたとき発生する音響信
号を測定し、照射光強度を増大させながら照射し続けた
ときの音響信号の変化を観察するシステムである。
1からの光は、ビーム成形光学系102で成形され、光
量調整光学系103で光量(照射光強度)を変化させ、
ビームスプリッタ105により参照光と測定光に分離さ
れる。照射光強度は参照光を用いて光量モニタセンサー
104でモニタし、測定光はサンプル108に照射され
る。光量モニタセンサー104でモニタされた照射光強
度でサンプル108に照射し続けたとき発生する音響信
号を測定し、照射光強度を増大させながら照射し続けた
ときの音響信号の変化を観察するシステムである。
【0013】この例での測定サンプル108は、ガラス
基板上の薄膜である。図1(b)は、本発明にかかる光
学薄膜損傷測定装置の被測定物付近の概略断面図であ
る。サンプル108は金属製のサンプルホルダーにセッ
ティングされており、音響信号検出は、サンプル108
に取り付けられた音響検知素子(圧電素子など)109
によって行なわれる。図示されていない治具により、サ
ンプル108と音響検知素子ホルダー115とは固定さ
れ、音響検知素子ホルダー115内では、音響検知素子
109はコイルバネ114により一定の圧力で押さえつ
けられ、サンプル108の裏側(レーザー照射の反対
側)に強固に固定され、安定に音響整合がとられてい
る。
基板上の薄膜である。図1(b)は、本発明にかかる光
学薄膜損傷測定装置の被測定物付近の概略断面図であ
る。サンプル108は金属製のサンプルホルダーにセッ
ティングされており、音響信号検出は、サンプル108
に取り付けられた音響検知素子(圧電素子など)109
によって行なわれる。図示されていない治具により、サ
ンプル108と音響検知素子ホルダー115とは固定さ
れ、音響検知素子ホルダー115内では、音響検知素子
109はコイルバネ114により一定の圧力で押さえつ
けられ、サンプル108の裏側(レーザー照射の反対
側)に強固に固定され、安定に音響整合がとられてい
る。
【0014】このようにしてセットされたサンプル10
8に光量調整光学系103のズームレンズを駆動して照
射光強度を増大させて照射し続け、その時発生する音響
信号の出力を測定する。照射径Φ1mmの測定光はサン
プル108を1ショットごとに20°ずつ回転させなが
ら円周に沿って照射する。サンプル108が一周回転し
終わったら2mm外側に移動して同様に照射し続ける。
8に光量調整光学系103のズームレンズを駆動して照
射光強度を増大させて照射し続け、その時発生する音響
信号の出力を測定する。照射径Φ1mmの測定光はサン
プル108を1ショットごとに20°ずつ回転させなが
ら円周に沿って照射する。サンプル108が一周回転し
終わったら2mm外側に移動して同様に照射し続ける。
【0015】サンプルの吸収による音響信号発生は、照
射後約15μsecである。照射直後、あるいは音響到
達直後しばらくたってからの信号は、サンプルの光吸収
以外の雑音信号がのってくるため、この付近約10μs
ec分の信号をとりこんで測定を行う。信号は適切なフ
ィルタリングがなされて雑音が除かれる。実施形態では
音響のメインの周波数が150kHz程度であり、この
付近の波長を選択して(FFTによる)測定をする。
射後約15μsecである。照射直後、あるいは音響到
達直後しばらくたってからの信号は、サンプルの光吸収
以外の雑音信号がのってくるため、この付近約10μs
ec分の信号をとりこんで測定を行う。信号は適切なフ
ィルタリングがなされて雑音が除かれる。実施形態では
音響のメインの周波数が150kHz程度であり、この
付近の波長を選択して(FFTによる)測定をする。
【0016】サンプル108から発生する散乱光を受光
する光電管107は、集光光学系106の横に配置さ
れ、サンプル108の照射箇所を中心に回転して任意の
角度で散乱信号の測定をすることができる。次に、光学
薄膜損傷測定装置を用いて、照射光強度を変化させなが
らサンプルに照射し続けた時の膜破壊と、音響信号の変
動及び散乱信号の変動との関係について説明する。
する光電管107は、集光光学系106の横に配置さ
れ、サンプル108の照射箇所を中心に回転して任意の
角度で散乱信号の測定をすることができる。次に、光学
薄膜損傷測定装置を用いて、照射光強度を変化させなが
らサンプルに照射し続けた時の膜破壊と、音響信号の変
動及び散乱信号の変動との関係について説明する。
【0017】多層膜の内部(基板との界面)で膜破壊が
生じた場合、まず膜の破壊による膜吸収係数の変化によ
って音響信号が大きくなる。さらに、照射光強度を増大
させていくと、内部の破壊が膜表面にまで到達し散乱信
号が大きくなる。ここで、レーザー耐力しきい値(膜破
壊の起点)は音響信号が急激に増加し始めた時の照射光
強度である。
生じた場合、まず膜の破壊による膜吸収係数の変化によ
って音響信号が大きくなる。さらに、照射光強度を増大
させていくと、内部の破壊が膜表面にまで到達し散乱信
号が大きくなる。ここで、レーザー耐力しきい値(膜破
壊の起点)は音響信号が急激に増加し始めた時の照射光
強度である。
【0018】音響信号が急激に増加し始める照射光強度
と散乱信号が急激に変化し始める照射光強度との間にず
れが生じるのは、内部破壊が表面におよぶまでに必要な
エネルギーと考えられる。光学基板の表面で光の反射を
低減する反射防止膜は、まず光学基板と反射防止膜との
界面で破壊が生じることが多いので、本発明にかかる光
学薄膜損傷測定装置を用いてレーザー耐久性評価を行っ
た場合、まず音響信号の変動が生じ、その後散乱信号が
変動が生じるという現象が観察される。
と散乱信号が急激に変化し始める照射光強度との間にず
れが生じるのは、内部破壊が表面におよぶまでに必要な
エネルギーと考えられる。光学基板の表面で光の反射を
低減する反射防止膜は、まず光学基板と反射防止膜との
界面で破壊が生じることが多いので、本発明にかかる光
学薄膜損傷測定装置を用いてレーザー耐久性評価を行っ
た場合、まず音響信号の変動が生じ、その後散乱信号が
変動が生じるという現象が観察される。
【0019】これは、反射防止効果により照射された光
のエネルギーが損失することなく基板表面まで到達し、
基板と膜の界面に存在する不純物等に蓄熱され、熱によ
り破壊が引き起こされると考えられるからである。多層
膜の表面又は膜中で膜破壊が生じた場合、まず膜の外観
変化により散乱信号が大きくなる。さらに、照射光強度
を増大させていくと、表面又は膜中の破壊が膜内部まで
到達し膜吸収係数の変化によって音響信号が大きくな
る。
のエネルギーが損失することなく基板表面まで到達し、
基板と膜の界面に存在する不純物等に蓄熱され、熱によ
り破壊が引き起こされると考えられるからである。多層
膜の表面又は膜中で膜破壊が生じた場合、まず膜の外観
変化により散乱信号が大きくなる。さらに、照射光強度
を増大させていくと、表面又は膜中の破壊が膜内部まで
到達し膜吸収係数の変化によって音響信号が大きくな
る。
【0020】ここで、レーザー耐力しきい値(膜破壊の
起点)は散乱信号が急激に増加し始めた時の照射光強度
である。音響信号が急激に増加し始める照射光強度と散
乱信号が急激に変化し始める照射光強度との間にずれが
生じるのは、表面又は膜中破壊が内部におよぶまでに必
要なエネルギーと考えられる。
起点)は散乱信号が急激に増加し始めた時の照射光強度
である。音響信号が急激に増加し始める照射光強度と散
乱信号が急激に変化し始める照射光強度との間にずれが
生じるのは、表面又は膜中破壊が内部におよぶまでに必
要なエネルギーと考えられる。
【0021】光を反射するレーザーミラーは、まず、膜
表面又は膜中で破壊が生じることが多いので、本発明の
かかる光学薄膜損傷測定装置を用いてレーザー耐久性評
価を行った場合、まず散乱信号の変動が生じ、その後音
響信号の変動が生じるという現象が観察される。これ
は、レーザーミラーは膜の積層数が多く膜中の欠陥の存
在確率が高くなるので、破壊の発生率が高くなる。ま
た、反射効果により照射された光のエネルギーは積層さ
れた各層で反射され、ガラス基板に到達するレーザーは
少ないためたとえ基板と膜の界面に不純物があっても蓄
熱されることがない。したがって、基板と膜の界面から
膜破壊が生じることはほとんどなく、膜表面又は膜中に
付着した不純物により破壊が生じると考えられる。
表面又は膜中で破壊が生じることが多いので、本発明の
かかる光学薄膜損傷測定装置を用いてレーザー耐久性評
価を行った場合、まず散乱信号の変動が生じ、その後音
響信号の変動が生じるという現象が観察される。これ
は、レーザーミラーは膜の積層数が多く膜中の欠陥の存
在確率が高くなるので、破壊の発生率が高くなる。ま
た、反射効果により照射された光のエネルギーは積層さ
れた各層で反射され、ガラス基板に到達するレーザーは
少ないためたとえ基板と膜の界面に不純物があっても蓄
熱されることがない。したがって、基板と膜の界面から
膜破壊が生じることはほとんどなく、膜表面又は膜中に
付着した不純物により破壊が生じると考えられる。
【0022】
【実施例】図1に示す光学薄膜損傷測定装置を用いてレ
ーザー耐久性評価を行った。光源101は、波長が24
8nmパルス巾40nsecのエキシマレーザーであ
る。光学薄膜損傷測定装置のサンプルホルダーにサンプ
ル108をセットした。
ーザー耐久性評価を行った。光源101は、波長が24
8nmパルス巾40nsecのエキシマレーザーであ
る。光学薄膜損傷測定装置のサンプルホルダーにサンプ
ル108をセットした。
【0023】サンプルはΦ30mm-t3mmの石英ガ
ラス基板上にNdF3とMgF2とからなる2層の反射防
止膜を片面に成膜したものである。光学系のズームレン
ズを駆動して、10J/cm2以下の範囲内で、照射光
強度を変えながらサンプルに照射し、音響信号及び散乱
信号の出力を計測した。図2は、反射防止膜に照射光強
度を変えながら照射し続けた時の散乱信号と光音響信号
をグラフ化したものである。
ラス基板上にNdF3とMgF2とからなる2層の反射防
止膜を片面に成膜したものである。光学系のズームレン
ズを駆動して、10J/cm2以下の範囲内で、照射光
強度を変えながらサンプルに照射し、音響信号及び散乱
信号の出力を計測した。図2は、反射防止膜に照射光強
度を変えながら照射し続けた時の散乱信号と光音響信号
をグラフ化したものである。
【0024】照射光強度が増加するにしたがって音響信
号、散乱信号は緩やかに増加するがある照射光強度の
時、先ずどちらか一方の信号が急激に増加して信号の傾
きが大きくなる。この変化の始点が膜破壊の瞬間であ
る。図2よりこの変化の始点は、音響信号の方が散乱信
号に比べて低い照射光強度で起こっていることがわか
る。
号、散乱信号は緩やかに増加するがある照射光強度の
時、先ずどちらか一方の信号が急激に増加して信号の傾
きが大きくなる。この変化の始点が膜破壊の瞬間であ
る。図2よりこの変化の始点は、音響信号の方が散乱信
号に比べて低い照射光強度で起こっていることがわか
る。
【0025】これより、先ず膜破壊が膜の内部(基板と
膜の界面付近)で発生して、膜破壊による膜の吸収係数
の変化によって音響信号が急激に大きくなり、さらに照
射光強度を増加させて照射し続けることによって、その
破壊が表面にまで至り、散乱信号が急激に大きくなった
と推測することができる。また、レーザーミラーについ
て同様な測定を行った。
膜の界面付近)で発生して、膜破壊による膜の吸収係数
の変化によって音響信号が急激に大きくなり、さらに照
射光強度を増加させて照射し続けることによって、その
破壊が表面にまで至り、散乱信号が急激に大きくなった
と推測することができる。また、レーザーミラーについ
て同様な測定を行った。
【0026】レーザーミラーはΦ30mm-t3mmの
石英ガラス基板上にAl2O3とSiO2との交互層から
なる21層の多層反射膜を片面に成膜したものである。
図3は、レーザーミラーに照射光強度を変えながら照射
し続けた時の散乱信号と音響信号をグラフ化したもので
ある。図3より信号の急激な変化の開始は、散乱信号の
方が音響信号に比べて低い照射光強度で起こっているこ
とがわかる。
石英ガラス基板上にAl2O3とSiO2との交互層から
なる21層の多層反射膜を片面に成膜したものである。
図3は、レーザーミラーに照射光強度を変えながら照射
し続けた時の散乱信号と音響信号をグラフ化したもので
ある。図3より信号の急激な変化の開始は、散乱信号の
方が音響信号に比べて低い照射光強度で起こっているこ
とがわかる。
【0027】これより、先ず膜破壊が膜の表面付近で発
生して、外観変化により散乱信号が急激に大きくなり、
さらに照射光強度を増加させて照射し続けることによっ
て、その破壊が内部にまで至り、音響信号が急激に大き
くなったと推測することができる。さらに、ハーフミラ
ーについて同様な測定を行った。
生して、外観変化により散乱信号が急激に大きくなり、
さらに照射光強度を増加させて照射し続けることによっ
て、その破壊が内部にまで至り、音響信号が急激に大き
くなったと推測することができる。さらに、ハーフミラ
ーについて同様な測定を行った。
【0028】ハーフミラーはΦ30mm-t3mmの石
英ガラス基板上にAl2O3とSiO2との交互層からな
る9層の多層反射膜を片面に成膜したものである。図4
は、ハーフミラーに照射光強度を変えながら照射し続け
た時の散乱信号と光音響信号をグラフ化したものであ
る。レーザーミラーと同様な変化を示した。
英ガラス基板上にAl2O3とSiO2との交互層からな
る9層の多層反射膜を片面に成膜したものである。図4
は、ハーフミラーに照射光強度を変えながら照射し続け
た時の散乱信号と光音響信号をグラフ化したものであ
る。レーザーミラーと同様な変化を示した。
【0029】
【発明の効果】以上、説明したとおり、本発明にかかる
レーザー耐久性評価方法は、散乱信号の変動と音響信号
の変動の両方を用いて評価しているので、膜破壊の過程
(膜の破壊が先ず散乱信号の変動となって現れる場合
と、膜の破壊が先ず音響信号の変動となって現れる場
合)にかかわらず、精度良くレーザー耐久性評価を行う
ことができる(レーザー耐力のしきい値を検出すること
ができる)。すなわち、膜の種類(反射防止膜、反射増
加膜等)の相違、サンプル間のばらつきにかかわらず、
精度良くレーザー耐久性評価を行うことができる。
レーザー耐久性評価方法は、散乱信号の変動と音響信号
の変動の両方を用いて評価しているので、膜破壊の過程
(膜の破壊が先ず散乱信号の変動となって現れる場合
と、膜の破壊が先ず音響信号の変動となって現れる場
合)にかかわらず、精度良くレーザー耐久性評価を行う
ことができる(レーザー耐力のしきい値を検出すること
ができる)。すなわち、膜の種類(反射防止膜、反射増
加膜等)の相違、サンプル間のばらつきにかかわらず、
精度良くレーザー耐久性評価を行うことができる。
【0030】また、光学薄膜の種類、サンプルごとに生
じた膜破壊のメカニズムを解明することができる。
じた膜破壊のメカニズムを解明することができる。
【図1】(a)は本発明にかかるレーザー耐久性評価方
法に用いられる光学薄膜損傷測定装置の概略断面図であ
り、(b)は、その装置の被測定物付近の概略断面図で
ある。
法に用いられる光学薄膜損傷測定装置の概略断面図であ
り、(b)は、その装置の被測定物付近の概略断面図で
ある。
【図2】実施例の反射防止膜に照射光強度を変えながら
照射し続けた時の散乱信号と光音響信号をグラフ化した
ものである。
照射し続けた時の散乱信号と光音響信号をグラフ化した
ものである。
【図3】実施例のレーザーミラーに照射光強度を変えな
がら照射し続けた時の散乱信号と光音響信号をグラフ化
したものである。
がら照射し続けた時の散乱信号と光音響信号をグラフ化
したものである。
【図4】実施例のハーフミラーに照射光強度を変えなが
ら照射し続けた時の散乱信号と光音響信号をグラフ化し
たものである。
ら照射し続けた時の散乱信号と光音響信号をグラフ化し
たものである。
【図5】従来の第1のレーザー耐久性評価に用いられる
測定装置の概略断面図である。
測定装置の概略断面図である。
【図6】従来の第2のレーザー耐久性評価に用いられる
測定装置の概略断面図である。
測定装置の概略断面図である。
【図7】従来の第3のレーザー耐久性評価に用いられる
測定装置の概略断面図である。
測定装置の概略断面図である。
101、201、301、401・・・光源 102、202・・・ビーム成形光学系 103、203・・・光量調整光学系(ズームレンズ) 104、204・・・光量モニタセンサー 105、205・・・ビームスプッリッター 106、206・・・集光光学系 107・・・光電管 108、207、303、404・・・サンプル 109、304・・・音響検知素子(圧電素子) 110・・・サンプルホルダーステージ 111、305・・・アンプ 112、208、306・・・オシロスコープ 113・・・コンピュータ 114・・・コイルバネ 115・・・音響検知素子ホルダー 302、402・・・光学系 307・・・FFT 403・・・He−Neレーザ 405・・・バイプラナ光電管
Claims (3)
- 【請求項1】薄膜が形成されたサンプルに光を照射した
ときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により発生
する音響信号と、前記サンプルに光を照射したときに生
じる散乱信号とを、照射光強度を増加させて照射し続け
ながら同時に計測し、その変動を用いて行うレーザー耐
久性評価方法。 - 【請求項2】前記音響信号又は散乱信号の急激な変動の
うち、最初に急激に変動し始めた信号の始点を前記照射
光強度を増加させて照射し続けることに起因する前記薄
膜の破壊の起点と認定することを特徴とする請求項1記
載のレーザー耐久性評価方法。 - 【請求項3】前記信号変化の始点の照射光強度をレーザ
ー耐力しきい値として認定することを特徴とする請求項
2記載のレーザー耐久性評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9034706A JPH10232184A (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | レーザー耐久性評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9034706A JPH10232184A (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | レーザー耐久性評価方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10232184A true JPH10232184A (ja) | 1998-09-02 |
Family
ID=12421807
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9034706A Pending JPH10232184A (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | レーザー耐久性評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10232184A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10225842A1 (de) * | 2002-06-04 | 2003-12-24 | Zeiss Carl Smt Ag | Verfahren und Vorrichtung zur Bestimmung der Strahlungsbeständigkeit eines optischen Materials |
CN104075877A (zh) * | 2013-03-29 | 2014-10-01 | 海洋王(东莞)照明科技有限公司 | 光源寿命探测装置及探测方法、使用该装置的照明系统 |
-
1997
- 1997-02-19 JP JP9034706A patent/JPH10232184A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10225842A1 (de) * | 2002-06-04 | 2003-12-24 | Zeiss Carl Smt Ag | Verfahren und Vorrichtung zur Bestimmung der Strahlungsbeständigkeit eines optischen Materials |
US6734970B2 (en) | 2002-06-04 | 2004-05-11 | Carl Zeiss Semiconductor Manufacturing Technologuies Ag | Method and a device for determining the radiation-damage resistance of an optical material |
CN104075877A (zh) * | 2013-03-29 | 2014-10-01 | 海洋王(东莞)照明科技有限公司 | 光源寿命探测装置及探测方法、使用该装置的照明系统 |
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