JPH10231930A - 内燃機関用ピストン及びその製造方法 - Google Patents

内燃機関用ピストン及びその製造方法

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JPH10231930A
JPH10231930A JP3448497A JP3448497A JPH10231930A JP H10231930 A JPH10231930 A JP H10231930A JP 3448497 A JP3448497 A JP 3448497A JP 3448497 A JP3448497 A JP 3448497A JP H10231930 A JPH10231930 A JP H10231930A
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JP
Japan
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piston
aluminum alloy
ring groove
internal combustion
composite wire
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Application number
JP3448497A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Sasaki
正登 佐々木
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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Publication date
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Publication of JPH10231930A publication Critical patent/JPH10231930A/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム合金ピストンの製造作業能率の
向上とコストの低廉化を図りつつ、耐摩耗性と耐凝着性
を満足すると共に、ピストン本体と再溶融合金部との接
合境界面の接合強度を向上させる。 【構成】 アルミニウム合金からなるピストン本体1の
リングランド部3に3つのピストンリング溝4,5,6
が形成された内燃機関のピストンである。前記トップリ
ング溝に対応する位置に環状凹部を形成すると共に、こ
の環状凹部内に、炭化珪素の粒子を含有したアルミニウ
ム合金と銅の複合材料からなる複合線材11を巻装す
る。そして、この環状凹部の周壁と複合線材を電子ビー
ムにより再溶融した後、この再溶融合金部15の外周に
トップリング溝4を切削により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術】本発明は、自動車等の内燃機関用
ピストン及び該ピストンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、近時、自動車用内燃機関
のピストンにあっては、高出力化高性能化の要請に伴い
軽量化を図るべくその材質を鋳鉄に代えてアルミニウム
合金で形成しており、また、シリンダボアの内壁面と対
向する外周面に、ピストンリングが装着される複数のピ
ストンリング溝が形成されている。さらに、このピスト
ンリング溝のうち燃焼室に最も近いトップリング溝は、
特に高温に晒され、かつ燃焼圧力を直接受けるため、ピ
ストンリング(トップリング)との摩耗が激しい。この
ため、トップリング溝とトップリングとの間には、アル
ミ凝着が発生し易くなる。
【0003】そこで、斯かるアルミ凝着を防止する種々
の技術が開発されており、例えば(1)トップリング溝
の表面部に無機繊維集合体を複合させて強化するもの
(特開昭59−201953号公報)や、(2)In−
SituプロセスによるハイブリッドMMC(金属基複
合材料)をピストンへ応用するもの(自動車技術198
9−5.NO891056)、(3)トップリング溝の
表面部にニッケル多孔体を複合させて強化するもの(特
公平3−30708号公報)などがある。また、(4)
トップリング溝の表面部をアルマイト処理層により強化
したり(特開平1−190951号公報)、(5)トッ
プリング溝の表面部に銅などを電子ビームで溶融拡散さ
せることにより合金層を形成するもの(三菱自動車19
88,NO1「テクニカルレビュー」,特開平2−12
5952号)があり、更には、(6)トップリング溝部
分にニレジスト鋳鉄をアルフィン処理してアルミニウム
合金に鋳ぐるんでリング支持部材とするものなど、多く
の改良技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、前記各従来
例には、以下のような欠点がある。即ち、(1),
(2),(3)の従来例にあっては、無機繊維材等の材
料上の点からその成形法として高圧凝固法を用いなけれ
ばならない。したがって、製造コストの上昇が余儀なく
されるばかりか、ピストンの形状が制約されてしまう。
【0005】また、(4)の従来例にあっては、アルマ
イト処理層によりピストンリングとの耐凝着性は向上す
るものの、耐摩耗性が不十分になる。更に、(5)の従
来例は、逆に耐凝着性が不足する惧れがある。
【0006】また、(6)の従来例は、最も古くから行
われている技術であり、耐摩耗性や耐凝着性は確保でき
るものの、鋳鉄製であるため、重量の増加が余儀なくさ
れる。
【0007】さらに、他の従来例として特開平2ー10
1141号に記載された発明のように、アルニミウム合
金を、Si,Cu,Mg,Fe,Mnを夫々所定の重量
%割合で配合し、このアルミ合金の粉末のマトリックス
にAl23等の一種の粒子を分散させて高強度のアルニ
ミウム合金を成形するものも提供されているが、この材
料を高いエネルギー密度の熱源により再溶融させると、
該再溶融部の接合の際に、再溶融部にブローホールが発
生するおそれがある。なぜならば、粉末粒子間に不可避
の空気が存在して最終加工まで残留してしまう可能性が
あるからである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の各従来
例における実情に鑑みて案出されたもので、請求項1の
発明は、アルミニウム合金からなるピストン本体の外周
に複数のピストンリング溝が形成されてなる内燃機関用
ピストンにおいて、前記ピストン本体のピストンリング
溝の少なくともトップリング溝に対応する位置に環状凹
部を形成し、この環状凹部内に、炭化珪素の粒子を含有
したアルミニウム合金と銅の複合材料からなる複合線材
を嵌挿し、前記環状凹部周壁と複合線材を高エネルギー
密度の熱源により再溶融すると共に、該再溶融部の外周
にピストンリング溝を形成したことを特徴としている。
【0009】請求項2の発明は、アルミニウム合金から
なるピストン本体の外周に複数のピストンリング溝が形
成されてなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ピスト
ン本体のピストンリング溝の少なくともトップリング溝
に対応する位置に環状凹部を形成し、その環状凹部内
に、炭化珪素の粒子を含有したアルミニウム合金と銅の
複合材料からなる複合線材を嵌挿した後、前記環状凹部
周壁と複合線材を高エネルギー密度の熱源により再溶融
すると共に、この再溶融部を、10重量%≦Cu≦23
重量%、8≦Si重量%、及び不可避の不純物を含むア
ルミニウム合金マトリックスに炭化珪素の粒子を5体積
%以上、25体積%以下分散させたアルミニウム合金と
し、該再溶融部の外周にピストンリング溝を形成したこ
とを特徴としている。
【0010】請求項3の発明は、アルミニウム合金から
なるピストン本体の外周に複数のピストンリング溝が形
成されてなる内燃機関用ピストンの製造方法において、
前記ピストン本体となるピストン母材の少なくともトッ
プリング溝に対応する位置に環状凹部を形成する第1工
程と、この環状凹部内に、炭化珪素の粒子を含有したア
ルミニウム合金と銅の複合材料からなる複合線材を嵌挿
する第2工程と、その後、前記環状凹部周壁と複合線材
とを高エネルギー密度の熱源により再溶融する第3工程
と、冷却後、該再溶融部の外周にピストンリング溝を形
成する第4工程とからなることを特徴としている。
【0011】
【作用】前記構成の本発明によれば、ピストンリング溝
周壁に炭化珪素粒子と銅を同時に含有させることができ
る。したがって、炭化珪素によりピストンリングに対す
る耐摩耗性が向上し、さらに、銅の含有によって耐摩耗
性が更に向上すると共に、耐凝着性の向上が著しい。
【0012】しかも、炭化珪素の粒子を含有したアルミ
ニウム合金と銅の複合線材をトップリング溝に対応する
位置の環状凹部に嵌挿した後、前記環状凹部の周壁と複
合線材を、例えば電子ビームを照射して再溶融し、その
後冷却するようにしたため、再溶融による均質な合金層
が形成されて、該合金層とピストンの母材との境界面の
接合強度を著しく高くすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様を図面
に基づいて詳述する。
【0014】図1〜図2は本発明に係る内燃機関用ピス
トンの断面図を示し、このピストンは、ピストン本体1
がアルミニウム合金製(JISAC8A−T6)で略円
筒状に形成され、燃焼室に臨む冠部2と、該冠部2の下
部に有するリングランド部3の外周面に形成された3つ
のピストンリング溝4,5,6と、該各トップ,セカン
ド,オイルリング溝4〜6に嵌着されるピストンリング
7,8,9とを備えている。 前記複数のピストンリン
グ溝4,5,6のうち、トップリング溝4は次のように
して形成される。
【0015】まず、図3A,Bに示すように、ピストン
本体1のトップリング溝4を形成すべき冠部2の外周に
環状凹部10を形成し(第1工程)、この環状凹部10
内に複合線材11を巻き付けて嵌挿する(第2工程)。
【0016】次に、図3Cに示すように、真空雰囲気中
で電子ビーム14を照射して、複合線材11及びその近
傍のピストン本体1のアルミニウム合金母材つまりトッ
プリング溝周壁を局部的に溶融し、アルミニウム及び炭
化珪素をアルミニウム合金中に溶融拡散させてアルミニ
ウム合金−炭化珪素の再溶融合金部15を形成する(第
3工程)。前記電子ビーム14の照射は、ピストン本体
1を緩速度で回転させつつ実施される。したがって、電
子ビーム14照射後、つまり、電子ビーム14が通過し
た後、再溶融合金部15はアルミニウム合金の母材によ
って急速に冷却され、アルミニウムと鋼の金属間化合物
が微細に生成される。また、電子ビーム14はエネルギ
ー密度が高いため、再溶融部分には炭化珪素が均一に分
散され、均質な再溶融合金部15が得られる。
【0017】その後、図3Dに示すように、再溶融合金
部15部分にトップリング溝4を形成する(第4工
程)。かかる一連の工程によって高温に晒されても容易
に変形しないピストンリング溝が得られる。
【0018】そして、前記ピストン本体1のアルミニウ
ム合金母材は、表1に示した成分を有し、また、該ピス
トン本体1の母材に形成された前記環状凹部10は、幅
が4.4mm,深さが4.4mmに設定されて複合線材11の
外径よりも小さく形成され、該複合線材11を嵌挿した
際に環状凹部10の内周面との間に隙間が生じないよう
に形成するのが好ましい。
【0019】前記複合線材11は、具体的には図4に示
すように99重量%以上の銅材を用いた中空銅管12
(外径φ4.5、肉厚0.15mm)の内部に後掲の表1に
示したSiC粒子を複合したアルミニウム合金の充填材
13を充填して構成されている。この充填材13の複合
アルミニウム合金の組成は、表2に示されている。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】また、前述のように電子ビーム14の照射
により溶融されて形成された再溶融合金部15は、冠部
2の頂面2aから10mm離れた位置を中心に深さ6mm、
巾10mmに設定され、10重量%≦Cu≦23重%、8
≦Si重量%、及び不可避の不純物を含むアルミニウム
合金マトリックスに炭化珪素の粒子を5体積%以上、2
5体積%以下分散させたアルミニウム合金に形成されて
いる。
【0023】したがって、最終的に形成されたトップリ
ング溝4の周壁は、前記成分からなる再溶融合金部15
のアルミニウム合金で形成されることになる。
【0024】尚、高エネルギー密度の熱源としては、電
子ビーム14の他にTIG,レーザ,プラズマアーク等
を用いることも可能である。
【0025】次に、前記複合線材11の製造方法につい
て述べる。
【0026】最大径で数μmから数十μm(好ましくは
5〜15μmの平均粒径をもつ)のSiC粒子を30体
積%含有したアルミニウム合金鋳造インゴットをアルゴ
ンガス等の不活性雰囲気中で溶解し993Kに保持した
のち、機械撹拌を行いSiC粒子をアルミニウム合金溶
湯内に均一に分散させる。この溶湯を使って次の工程で
複合線材11を製造する。
【0027】〔方法1〕 まず方法1は、図5に示すよ
うに、外径4.5mm、肉厚0.15mmの中空銅管12の外
周に黒鉛、窒化珪素、アルミナ等のアルミ溶湯に濡れな
い材料の保護管23を中空銅管12と隙間なく被せる
か、または、中空銅管12の外周面にいわゆる塗型剤を
塗布する。
【0028】次に、中空銅管12と保護管23の組み合
わせた管24を、溶湯炉22内の溶湯25面25aに対
して垂直に溶湯中に入れる。組み合わせ管体24の底面
より溶湯25が侵入し、中空銅管12内部の空気を追い
出し溶湯25で置換され空気は残らない。
【0029】かかる組み合わせ管体24を溶湯25内で
水平姿勢に変え、そのまま図5の左側に示すように、組
み合わせ管体24の両端部24a,24bがほぼ同時に
大気中に出るよう取り出す。大気中に取り出されと速や
かに中空銅管12ないの溶湯25の凝固が始まり、した
がって、溶湯25が中空銅管12内より流れ出すことは
ない。つまり、組み合わせ管体24を傾けながら両端部
24a,24bのどちらか一方を先に大気中に出した場
合は、重力の作用によって低いもう一方の端部から溶湯
25が流れ出して、中空銅管12内部の溶湯25の充填
量が減少する。
【0030】その後、組み合わせ管体24全体を大気中
に取り出したのち、保護管23を中空銅管12から取り
外せば、中空銅管12内部に溶湯25が充填された複合
線材11が得られる。次に、この複合線材11を環状凹
部の円周長さに応じて適度な長さに切断すればよい。
【0031】〔方法2〕 方法2は、図6A〜Dに示す
ように、方法1と同様に組み合わせ管体24を溶湯25
内に浸せきする。溶解炉22の底面には、組み合わせ管
体24とほぼ同じ径をもつガイド27と、溶湯25がガ
イド27から流出を防止する栓26が設けられている。
溶湯25内に充分浸せきされた組み合わせ管体24は、
ガイド27内に誘導されたのち、栓26を押し下げるよ
うに下降する(図6B)。その際に、冷却のための空気
または水が組み合わせ管体24の回りから組み合わせ管
体24に当たるようにする。これにより、組み合わせ管
体24の中空銅管12内の溶湯25はガイド27を出る
と同時に凝固が始まる。また、溶湯25面が凝固界面よ
り高いため、重力により加圧され欠陥のない鋳物が中空
銅管12内部に充填される。そして、図6Dに示すよう
に一本の組み合わせ管体24がガイド27内から引き出
される直前に、別の組み合わせ管体24をガイド27内
に挿入し、以下前述の繰り返しを行うことにより連続的
に中空銅管12内に溶湯を欠陥無く充填することがで
き、これによって適性な複合線材11を得ることができ
る。
【0032】〔方法3〕 方法3としては、図7Aに示
すように坩堝30の上壁から内部に垂直方向から筒状の
ストーク28が挿通されており、このストーク28は、
溶湯25である黒鉛、窒化珪素、アルミナ等のアルミ合
金溶湯25に侵食されない材料または鋼鉄製に塗型をし
形成されている。また、ストーク28は、その上端のは
め合部に中空銅管12の下端部が適度なはめ合い代をも
って差し込まれている。さらに、中空銅管12の上端部
は、第1バルブ30が取り付けられた第1パイプ32を
介してサージタンク31に接続されている。また、サー
ジタンク31は、第2バルブ33が取り付けられた第2
パイプ34を介して真空ポンプ35に接続されている。
前記中空銅管12とストーク28は、電気加熱炉36に
て500〜600℃に加熱されている。
【0033】所定時間加熱後に第1バルブ30を閉じる
と共に、第2バルブ33を開ける。同時に真空ポンプ3
5を作動させてサージタンク31内を減圧した後、真空
ポンプ35の作動を停止させて第2バルブ33を閉じ、
次に、第1バルブ30を開ける。このため、中空銅管1
2内が減圧されて、溶湯25が中空銅管12内に吸引さ
れ内部に充填される。この溶湯25の充填高さは中空銅
管12内圧とのバランスで決まり、したがって、充填し
たい高さとなるように中空銅管12内の圧力を調整す
る。また、他例として、チェックバルブを設けて溶湯が
チェックバルブを押し上げて、溶湯充填が終了するよう
にしても良い。
【0034】その後、図7Bに示すように、加熱炉36
を上方に移動させながら冷却風をストーク28及び中空
銅管12に吹きかけて(矢印)、充填されたアルミニウ
ム合金溶湯25をストーク28側から一方向に凝固させ
る。凝固が完了したのちストーク28から中空銅管12
を抜き取って、第1パイプ32を中空銅管12から外
す。これによって、中空銅管12内に溶湯25が満つに
充填された複合線材11が得られる。
【0035】〔方法4〕 方法4は、図8Aに示すよう
にストーク28を坩堝30の上壁から内部に垂直方向に
挿通してあり、このストーク28は、黒鉛、窒化珪素、
アルミナ等アルミ溶湯に侵食されない材料または鋼鉄製
によって塗型に形成されている。また、このストーク2
8の上端部のはめ合部に中空銅管12の下端部が適度な
はめ合い代をもって差し込まれている。そして、前記中
空銅管12の上端部は、大気に解放されている。
【0036】さらに、坩堝30の内部上端側には、円板
状の保持部材37が取り付けられており、坩堝30とス
トーク28の接合界面は大気に通じることがないよう可
撓性のシール部材38によりシールされていると共に、
該シール部材38と保持部材37との間には空間部39
が隔成されている。この空間部39は、第1バルブ40
が設けられた第1パイプ41を介して蓄圧室42に接続
されている。また蓄圧室42には、第2バルブ43を有
する第2パイプ44を介して加圧ポンプ45に接続され
ている。さらに、中空銅管12とストーク28は、電気
加熱炉46にて500〜600℃に加熱されている。
【0037】次に、所定時間加熱後、第1バルブ40を
閉じると共に、第2バルブ43を開ける。次に、加圧ポ
ンプ45を作動させて蓄圧室42内を加圧し、その後、
加圧ポンプ45を停止させて第2バルブ43を閉じた
後、第1バルブ40を開ける。これによって、前記空間
部39内が加圧されて、シール部材38の下方への変形
により溶湯25がストーク28を通って中空銅管12内
に充填される。充填高さは空間部39の圧力と充填高さ
のバランスで決まる。充填したい高さとなるように空間
部39の圧力を調整する。また方法3同様チェックバル
ブ方式をとっても良い。
【0038】その後、図8Bに示すように、加熱炉46
を上方に移動させながら冷却風をストーク28及び中空
銅管12に吹きかけ(矢印)、充填されたアルミニウム
合金溶湯25をストーク28側から一方向に凝固させ
る。凝固が完了したのちストーク28より中空銅管12
を外す。これによって、複合線材11が成形される。
【0039】1から4のいずれかの方法で製作された複
合線材11は、中空銅管12内に最大径で数μmから数
十μm、好ましくは5〜15μmの平均粒径をもつのS
iC粒子を10から50体積%含有したアルミニウム合
金が充填されたものとなり、これを前述のように環状凹
部の円周方向の長さに応じて適当な長さに切断すれば、
製造が完了する。
【0040】再溶融合金部15にできたアルミニウム合
金成分は次の因子できまる。
【0041】 中空銅管 外径 R1 内径 R2 内径に充填されるアルミニウム合金 成分 Si,Cu等 SiC粒子の体積率 V体積% 高密度熱源により溶かされるピストン母材 成分 Si,Cu等 すなわち、再溶融合金部15の求めるアルミニウム合金
は、10重量%≦Cu≦23重量%、8≦Si重量%、
および不可避の不純物を含むアルミニウム合金マトリッ
クスに炭化珪素の粒子を5体積%以上、25体積%以下
分散したアルミニウム合金となるようそれらの値が決定
されている。
【0042】以下、前述のような工程で成形された再溶
融合金部15の接合境界面の強度と耐摩耗性と耐凝着性
及び機械加工性についての特性変化を実験した結果を述
べる。
【0043】まず、マトリックスのアルミニウム合金の
成分を表3に示す。この実験においては、鋳造法で製作
した試料を用いた。またSiC粒子の添加量は、0,
5,10,15,20,25,30体積%として7種の
材料について評価した。
【0044】
【表3】
【0045】そして、耐摩耗性の評価方法は、図9に示
す装置を用いて行った。即ち、図外のモータで回転する
回転台50上にピストンリング7を固定して、この上部
にヒータ51の下端に固定されたテストピース52を押
し付けて摩耗させる。このテストピース52は、ピスト
ン本体1のリング溝から切り出したアルミニウム合金部
材である。この方法における温度,潤滑状態等の試験条
件は実際のエンジンのピストンと相関性のあるものとし
た。評価は、試験後の摩耗深さで行った。
【0046】また、耐凝着性の評価方法は、図10に示
す装置を用いて行い、ピストン本体1のトップリング溝
4下面にピストンリング7を押し当てて、アクチュエー
タ53,54を介して矢印一方向にのみ摺動させる加速
試験法によった。評価は、リング溝4のピストンリング
7摺動面積に対する凝着摩耗した面積の割合で行った。
【0047】機械加工性の評価は、直径70mmの円柱粗
材を以下の加工条件で加工し、工具の摩耗量が0.3mm
になるまでの加工数で評価した。切削速度:200m/mi
n,切り込み量:0.3mm,送り量:0.03mm(1回転
毎),工具:気相合成ダイヤモンド工具(旭ダイヤ
(株)製) 前記各評価結果を表4に示す。
【0048】ここで、耐摩耗性は、SiC粒子が無添加
(O)の摩耗量を100とした割合を示す。数値が小さ
い程摩耗しないことを示す。
【0049】また、耐凝着性は、SiC粒子が無添加の
凝着した面積を100とした割合を示す。数値が小さい
程凝着しないことを示す。
【0050】機械加工性は、SiC粒子の無添加の粗材
を、工具としてCPXを使って加工した場合の工具寿命
を100とした。但し、SiC粒子が添加された粗材は
気相合成ダイヤモンド工具で加工している。
【0051】
【表4】
【0052】上記表4から明らかなように、SiC粒子
の添加量が5重量%でも無添加の場合に比べて耐摩耗性
は著しく向上し、10体積%でほぼその効果は一定とな
る。
【0053】一方、耐凝着性も同様な傾向にあり、Si
C粒子の添加量が5体積%でも無添加に比べて著しく向
上していることがわかる。しかし、10体積%以上では
凝着の発生はない。
【0054】また、機械加工性は、SiC粒子の添加量
が5体積%でも無添加に比べて加工性が悪くなる。更
に、添加量の増加に伴って加工性は悪化してゆき、30
体積%では工具の刃先に欠けが生じて加工不能である。
【0055】以上の実験から、最適なSiC粒子の添加
量は5体積%から25体積%までで、望ましくは10体
積%から20体積%であることがわかる。
【0056】他の成分の含有理由及び含有量の限定理由
は以下の通りである。
【0057】Cuについて Cuは、金属間化合物を形成し、アルミニウム合金マト
リックスを強化し耐摩耗性、耐凝着性を向上させる効果
を有する。ただし、10重量%を下回ると前記効果を得
ることができず、一方、23重量%を上回ると、非常に
硬くなる一方、脆くなり、耐摩耗性が悪化する。そし
て、再溶融合金部15のCu量を変化させ、摩耗試験を
行い、図11のような結果を得た。また、耐摩耗性の評
価方法は、図10に示す装置を用いて行った。即ち、図
外のモータで回転する回転台上にピストンリングを固定
して、この上部にヒータの下端に固定されたテストピー
スを押し付けて摩耗させる。このテストピースは、ピス
トン本体のリング溝から切り出したアルミニウム合金部
材である。この方法における温度、潤滑状態等の試験条
件は、実際のエンジンのピストンと相関性のあるものと
した。評価は試験後の摩耗深さで行った。
【0058】Siについて Siは12%以上で初晶シリコンの晶出により耐摩耗性
の向上が図られるが、加工性が悪化してくる。しかし、
それは以下の場合は高エネルギー密度の熱源にて溶融す
る再溶融性に影響する。すなわち、SiC粒子と熱源に
より再溶融したマトリックスのアルミニウム合金との反
応がSi8重量%以下で発生することを認めた。したが
って、再溶融後得られるアルミニウム合金のSi量が8
重量%以下となる場合、SiCとアルミニウムの反応生
成物であるAl4C3の生成が認められると同時に溶融
面の荒れ、ブローの発生により再溶融ができない。
【0059】それゆえ、Si重量%は8%以上とすべき
であり、加工性の点から好ましくは上限15%以下が良
い。本実施例の場合には、再溶融部の断面積については
特に規定していないが、上記断面積を変えた場合には複
合線材の寸法,内部アルミニウム合金中の炭化珪素の体
積%を変える必要があるが、本発明の再溶融部の合金成
分であれば適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、従来のような高圧凝固
法を用いることなく、単に重力鋳造によって得られたピ
ストン母材を用いることができる。
【0061】また、中空銅管の内部にSiC粒子を含ん
だアルミニウム合金で充填したことにより内部に空気が
存在せず、再溶融によるブローの発生がない。
【0062】さらに、高エネルギー密度の熱源による再
溶融化により再溶融部とピストン母材との界面の接合強
度がきわめて高くなる。また、SiC粒子が均一に分散
するため、耐摩耗、耐凝着性の向上が図れる。
【0063】また、請求項2の発明によれば、再溶融部
を10重量%≦Cu≦23重量%、8≦Si重量%、及
び不可避の不純物を含むアルミニウム合金マトリックス
に炭化珪素の粒子を5体積%以上、25体積%以下分散
させたアルミニウム合金としたため、その外周に形成し
たピストンリング溝周壁がより一層耐摩耗,耐凝着性に
優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の形態に供されるすピストンの要
部断面図。
【図2】ピストンの縦断面図。
【図3】A〜Dはピストンの製造工程を示す要部拡大
図。
【図4】本実施の形態に供される複合線材の縦断面図。
【図5】複合線材の第1の製造方法に供される装置を示
す概略図。
【図6】複合線材の第2の製造方法に供される装置を示
す概略図。
【図7】複合線材の第3の製造方法に供される装置を示
す概略図。
【図8】複合線材の第4の製造方法に供される装置を示
す概略図。
【図9】耐摩耗性のテスト装置を示す説明図。
【図10】耐凝着性のテスト装置を示す説明図。
【図11】摩耗試験の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1…ピストン本体 2…冠部 4…トップリング溝 10…環状凹部 11…複合線材 12…中空銅管 13…充填材 14…電子ビーム 15…再溶融合金部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 32/00 C22C 32/00 Q F02F 3/00 F02F 3/00 N G 301 301Z 302 302Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金からなるピストン本体
    の外周に複数のピストンリング溝が形成されてなる内燃
    機関用ピストンにおいて、 前記ピストン本体のピストンリング溝の少なくともトッ
    プリング溝に対応する位置に環状凹部を形成し、この環
    状凹部内に、炭化珪素の粒子を含有したアルミニウム合
    金と銅の複合材料からなる複合線材を嵌挿し、前記環状
    凹部周壁と複合線材を高エネルギー密度の熱源により再
    溶融すると共に、該再溶融部の外周にピストンリング溝
    を形成したことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金からなるピストン本体
    の外周に複数のピストンリング溝が形成されてなる内燃
    機関用ピストンにおいて、 前記ピストン本体のピストンリング溝の少なくともトッ
    プリング溝に対応する位置に環状凹部を形成し、その環
    状凹部内に、炭化珪素の粒子を含有したアルミニウム合
    金と銅の複合材料からなる複合線材を嵌挿し、前記環状
    凹部周壁と複合線材を高エネルギー密度の熱源により再
    溶融すると共に、この再溶融部を、 10重量%≦Cu≦23重量%、8≦Si重量%、及び
    不可避の不純物を含むアルミニウム合金マトリックスに
    炭化珪素の粒子を5体積%以上、25体積%以下分散さ
    せたアルミニウム合金とし、該再溶融部の外周にピスト
    ンリング溝を形成したことを特徴とする内燃機関用ピス
    トン。
  3. 【請求項3】 アルミニウム合金からなるピストン本体
    の外周に複数のピストンリング溝が形成されてなる内燃
    機関用ピストンの製造方法において、 前記ピストン本体となるピストン母材の少なくともトッ
    プリング溝に対応する位置に環状凹部を形成する第1工
    程と、この環状凹部内に、炭化珪素の粒子を含有したア
    ルミニウム合金と銅の複合材料からなる複合線材を嵌挿
    する第2工程と、その後、前記環状凹部周壁と複合線材
    とを高エネルギー密度の熱源により再溶融する第3工程
    と、冷却後、該再溶融部の外周にリング溝を形成する第
    4工程とからなる内燃機関用ピストンの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011231769A (ja) * 2011-06-17 2011-11-17 Yanmar Co Ltd 金属部材の表面硬化方法
CN103074509A (zh) * 2013-01-10 2013-05-01 山东正诺机械科技有限公司 碳化硅-氧化锆颗粒增强的刹车盘铝基复合材料的制备方法

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