JPH10231477A - 有機el素子材料およびそれを用いた有機el素子 - Google Patents
有機el素子材料およびそれを用いた有機el素子Info
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- JPH10231477A JPH10231477A JP3501297A JP3501297A JPH10231477A JP H10231477 A JPH10231477 A JP H10231477A JP 3501297 A JP3501297 A JP 3501297A JP 3501297 A JP3501297 A JP 3501297A JP H10231477 A JPH10231477 A JP H10231477A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 有機EL素子材料としての、発光層に使用さ
れるドーパントであって、有機EL素子に使用した場合
に、当該有機EL素子が、(1)十分な発光輝度を有す
る、(2)有機EL素子の発熱のために容易に劣化せ
ず、時間の経過とともに、発光輝度が著しく低下するお
それが少ない、ドーパントおよびそれを用いた有機EL
素子を提供する。 【解決手段】 式(1)で表される、フルオレン基を有
するEu錯体およびその誘導体の双方またはいずれか一
方を、有機EL発光物質のドーパントの主成分として用
いることを特徴とする。 【化1】 (Rは、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換または
非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル
基またはアリール基を表す。)
れるドーパントであって、有機EL素子に使用した場合
に、当該有機EL素子が、(1)十分な発光輝度を有す
る、(2)有機EL素子の発熱のために容易に劣化せ
ず、時間の経過とともに、発光輝度が著しく低下するお
それが少ない、ドーパントおよびそれを用いた有機EL
素子を提供する。 【解決手段】 式(1)で表される、フルオレン基を有
するEu錯体およびその誘導体の双方またはいずれか一
方を、有機EL発光物質のドーパントの主成分として用
いることを特徴とする。 【化1】 (Rは、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換または
非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル
基またはアリール基を表す。)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エレクトロルミ
ネッセンスを利用した有機発光素子の、発光層におけ
る、有機EL発光物質のドーパントとしての有機EL素
子材料およびそれを用いた有機EL素子に関し、特に、
EL発光のピーク波長が600nm以上の、高輝度であ
って、しかも長時間使用しても劣化の少ない有機EL素
子が得られる、ドーパントの主成分としての有機EL素
子材料等に関する。
ネッセンスを利用した有機発光素子の、発光層におけ
る、有機EL発光物質のドーパントとしての有機EL素
子材料およびそれを用いた有機EL素子に関し、特に、
EL発光のピーク波長が600nm以上の、高輝度であ
って、しかも長時間使用しても劣化の少ない有機EL素
子が得られる、ドーパントの主成分としての有機EL素
子材料等に関する。
【0002】
【従来の技術】1963年に、アントラセンの結晶に直
流電場を印加すると発光する、いわゆるエレクトロルミ
ネッセンス現象が観測されて以来、様々な観点から当該
EL現象を示す有機EL素子材料およびそれを用いた有
機EL素子の研究が行われてきており、1987年に
は、T.W.TangやS.A.VanSlykeによ
り、蛍光性金属キレート錯体分子とホール輸送性ジアミ
ン系分子の薄膜を積層させた構造により、低電圧直流駆
動での高輝度発光を実現させている。
流電場を印加すると発光する、いわゆるエレクトロルミ
ネッセンス現象が観測されて以来、様々な観点から当該
EL現象を示す有機EL素子材料およびそれを用いた有
機EL素子の研究が行われてきており、1987年に
は、T.W.TangやS.A.VanSlykeによ
り、蛍光性金属キレート錯体分子とホール輸送性ジアミ
ン系分子の薄膜を積層させた構造により、低電圧直流駆
動での高輝度発光を実現させている。
【0003】ここで、従来の有機EL素子の構造として
は、「有機EL素子開発戦略」(編集次世代表示デバイ
ス研究会、1992年、(株)サイエンスフォーラム刊
行)に記載されているように、一般に、有機発光層が有
機電子輸送層を兼ねた、陽極、有機ホール輸送層、有機
発光層および陰極からなる二層構造−A型、または、有
機発光層が有機ホール輸送層を兼ねた、陽極、有機発光
層、有機電子輸送層および陰極からなる二層構造−B
型、あるいは、有機ホール輸送層および有機電子輸送層
がそれぞれ有機発光層とは独立して設けられた、陽極、
有機ホール輸送層、有機発光層、有機電子輸送層および
陰極からなる三層構造型であつて、適宜、これらの構造
に併せてホールブロッキング層や電子ブロッキング層
が、発光効率をさらに高めるために設けられているもの
である。
は、「有機EL素子開発戦略」(編集次世代表示デバイ
ス研究会、1992年、(株)サイエンスフォーラム刊
行)に記載されているように、一般に、有機発光層が有
機電子輸送層を兼ねた、陽極、有機ホール輸送層、有機
発光層および陰極からなる二層構造−A型、または、有
機発光層が有機ホール輸送層を兼ねた、陽極、有機発光
層、有機電子輸送層および陰極からなる二層構造−B
型、あるいは、有機ホール輸送層および有機電子輸送層
がそれぞれ有機発光層とは独立して設けられた、陽極、
有機ホール輸送層、有機発光層、有機電子輸送層および
陰極からなる三層構造型であつて、適宜、これらの構造
に併せてホールブロッキング層や電子ブロッキング層
が、発光効率をさらに高めるために設けられているもの
である。
【0004】そして、より具体的には、例えば二層構造
−A型では、陽極として、ガラス基板にスパッタリング
法等で製膜された酸化インジウムスズ(ITO)等の透
明電極が用いられ、有機ホール輸送層には、銅フタロシ
アニン、式(2)で表される1,1´−ビス−(4−
N,N´−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、
式(3)で表されるN,N´−ジフェニル−N,N´−
(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,
4´−ジアミン(以下、TPD)等のジアミン化合物お
よびその誘導体等が一般に用いられ、さらに有機発光層
には、式(4)で表されるトリス(8−キノリノール)
アルミニウム(以下、Alq)等が用いられ、陰極に
は、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウ
ム等の金属が用いられていた。
−A型では、陽極として、ガラス基板にスパッタリング
法等で製膜された酸化インジウムスズ(ITO)等の透
明電極が用いられ、有機ホール輸送層には、銅フタロシ
アニン、式(2)で表される1,1´−ビス−(4−
N,N´−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、
式(3)で表されるN,N´−ジフェニル−N,N´−
(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,
4´−ジアミン(以下、TPD)等のジアミン化合物お
よびその誘導体等が一般に用いられ、さらに有機発光層
には、式(4)で表されるトリス(8−キノリノール)
アルミニウム(以下、Alq)等が用いられ、陰極に
は、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウ
ム等の金属が用いられていた。
【0005】そして、適宜、有機発光層における発光効
率を高めるために、ドーパントとして、式(5)で表さ
れるヘテロ環を有するEu錯体や、式(6)で表される
4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−p−ジメチル
アミノスチリル−4H−ピランや、あるいはクマリン等
が、有機発光層に、約0.1〜3モル%の範囲で添加さ
れて用いられていた。
率を高めるために、ドーパントとして、式(5)で表さ
れるヘテロ環を有するEu錯体や、式(6)で表される
4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−p−ジメチル
アミノスチリル−4H−ピランや、あるいはクマリン等
が、有機発光層に、約0.1〜3モル%の範囲で添加さ
れて用いられていた。
【0006】そして特に、式(5)で表されるヘテロ環
を有するEu錯体は、「Jpn.J.Appl.Phy
s.」、vol.34(1995)、pp.1883〜
1887に記載されているように、主に、陽極、有機ホ
ール輸送層、有機発光層および陰極からなる2層構造−
A型の有機EL素子の有機発光層において、Alq等の
発光物質に対する、蒸着容易なドーパントとして研究さ
れているものである。
を有するEu錯体は、「Jpn.J.Appl.Phy
s.」、vol.34(1995)、pp.1883〜
1887に記載されているように、主に、陽極、有機ホ
ール輸送層、有機発光層および陰極からなる2層構造−
A型の有機EL素子の有機発光層において、Alq等の
発光物質に対する、蒸着容易なドーパントとして研究さ
れているものである。
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機EL素子材料におけるドーパント、例えば、式
(5)で表されるヘテロ環を有するEu錯体は、従来の
ドーパントの中では、蒸着が容易で、しかも蛍光強度が
比較的高いが、それでも当該Eu錯体を用いて有機EL
素子を作製した場合においては、当該素子は、(1)電
子供与性が不十分であり、初期から発光輝度に乏しく、
(2)有機EL素子の発熱等のために、劣化しやすく、
(3)時間の経過とともに、発光輝度が著しく低下し、
結果として、長期間有機EL素子を使用する場合には、
上記Eu錯体は、ドーパントとしての添加効果に乏しい
という問題があった。
有機EL素子材料におけるドーパント、例えば、式
(5)で表されるヘテロ環を有するEu錯体は、従来の
ドーパントの中では、蒸着が容易で、しかも蛍光強度が
比較的高いが、それでも当該Eu錯体を用いて有機EL
素子を作製した場合においては、当該素子は、(1)電
子供与性が不十分であり、初期から発光輝度に乏しく、
(2)有機EL素子の発熱等のために、劣化しやすく、
(3)時間の経過とともに、発光輝度が著しく低下し、
結果として、長期間有機EL素子を使用する場合には、
上記Eu錯体は、ドーパントとしての添加効果に乏しい
という問題があった。
【0010】すなわち、初期から高い発光輝度を有し、
劣化するおそれが少なく、さらには、耐久性の高い有機
EL素子およびそれに使用されるのに適した有機EL素
子材料が望まれていた。
劣化するおそれが少なく、さらには、耐久性の高い有機
EL素子およびそれに使用されるのに適した有機EL素
子材料が望まれていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の有機EL素子
材料によれば、式(1)で表される、フルオレン基を有
するEu錯体を、有機EL発光物質におけるドーパント
の主成分として用いることを特徴とする。
材料によれば、式(1)で表される、フルオレン基を有
するEu錯体を、有機EL発光物質におけるドーパント
の主成分として用いることを特徴とする。
【0012】
【化4】
【0013】(Rは、水素またはヒドロキシ基、あるい
は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シ
クロアルキル基またはアリール基を表す。) ここで、この発明のフルオレン基を有するEu錯体にお
いて、当該フルオレン基を分子内に有することを必須要
件とするのは、電子供与性の高いフルオレン基が、β−
ジケトンの炭素と結合していることにより、置換基Rで
吸引した電子を、直接の発光部位であるEuを介して、
外部により強く押し出すことができると考えられるため
である。
は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シ
クロアルキル基またはアリール基を表す。) ここで、この発明のフルオレン基を有するEu錯体にお
いて、当該フルオレン基を分子内に有することを必須要
件とするのは、電子供与性の高いフルオレン基が、β−
ジケトンの炭素と結合していることにより、置換基Rで
吸引した電子を、直接の発光部位であるEuを介して、
外部により強く押し出すことができると考えられるため
である。
【0014】すなわち、この発明のEu錯体は、フルオ
レン基を分子内に有することにより、強い電子供与性を
示すことが可能となり、結果として高い蛍光強度が得ら
れる。その結果、従来使用されていた、単独で600n
m以上のピーク波長の赤色発光する発光物質はもちろん
のこと、350〜500nm程度の青色発光の発光物質
を用いた場合であっても、この発明のEu錯体を発光物
質に所定量ドーピングすることにより、600nm以上
のピーク波長を有する赤色系の有機EL素子を、容易に
作製可能とするためである。
レン基を分子内に有することにより、強い電子供与性を
示すことが可能となり、結果として高い蛍光強度が得ら
れる。その結果、従来使用されていた、単独で600n
m以上のピーク波長の赤色発光する発光物質はもちろん
のこと、350〜500nm程度の青色発光の発光物質
を用いた場合であっても、この発明のEu錯体を発光物
質に所定量ドーピングすることにより、600nm以上
のピーク波長を有する赤色系の有機EL素子を、容易に
作製可能とするためである。
【0015】ここで、式(1)における置換基Rとして
は、電子吸引性の高いものが好適であり、具体的に、水
素、ヒドロキシ基、あるいは炭素数1〜20の置換また
は非置換の、メチル基、エチル基等のアルキル基、シク
ロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルキル基、ベ
ンジル基、ナフチル基等のアリール基が好適に使用可能
である。
は、電子吸引性の高いものが好適であり、具体的に、水
素、ヒドロキシ基、あるいは炭素数1〜20の置換また
は非置換の、メチル基、エチル基等のアルキル基、シク
ロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルキル基、ベ
ンジル基、ナフチル基等のアリール基が好適に使用可能
である。
【0016】特に、ハロゲン化アルキルは、電子吸引性
が高い点で、置換基Rとして好適である。また、ハロゲ
ン化アルキルの中でも、より具体的には、CF3 、C2
F5、C3 F7 が、電子吸引性がより高い上に、あまり
嵩高くなく、一般的な原材料を用いて、分子内への導入
を容易に行える点から、この発明に最適である。
が高い点で、置換基Rとして好適である。また、ハロゲ
ン化アルキルの中でも、より具体的には、CF3 、C2
F5、C3 F7 が、電子吸引性がより高い上に、あまり
嵩高くなく、一般的な原材料を用いて、分子内への導入
を容易に行える点から、この発明に最適である。
【0017】また、式(1)における置換基Rの炭素数
は、前述したように、1〜20の範囲が好適である。そ
の理由は、かかる範囲の炭素数を有する置換基を用いる
ことにより、強い電子吸引性を示すことがより容易とな
り、また一方で、耐熱性が低下したりあるいは、反応性
が低下して、当該Eu錯体を合成することが困難となる
おそれが少ないためである。
は、前述したように、1〜20の範囲が好適である。そ
の理由は、かかる範囲の炭素数を有する置換基を用いる
ことにより、強い電子吸引性を示すことがより容易とな
り、また一方で、耐熱性が低下したりあるいは、反応性
が低下して、当該Eu錯体を合成することが困難となる
おそれが少ないためである。
【0018】よって、かかるバランスがより良好なた
め、置換基Rとしてのアルキル基またはシクロアルキル
基の炭素数は、より好適には1〜10の範囲である。
め、置換基Rとしてのアルキル基またはシクロアルキル
基の炭素数は、より好適には1〜10の範囲である。
【0019】また、式(1)で表されるフルオレン基を
有するEu錯体は、フェナントロリンの部分を有してい
ることが必要である。当該フェナントロリンをEu錯体
内に導入することにより、蒸発性を向上させることがで
き、真空蒸着法等により、有機EL素子の発光層におけ
る薄膜形成を容易に行えるためである。
有するEu錯体は、フェナントロリンの部分を有してい
ることが必要である。当該フェナントロリンをEu錯体
内に導入することにより、蒸発性を向上させることがで
き、真空蒸着法等により、有機EL素子の発光層におけ
る薄膜形成を容易に行えるためである。
【0020】なお、この明細書で、フルオレン基を有す
るEu錯体と言うときは、当該Eu錯体の誘導体も含む
広い意味であり、この発明において、フルオレン基を有
するEu錯体の単独使用はもちろんのこと、当該Eu錯
体の誘導体の単独使用、あるいはフルオレン基を有する
Eu錯体と当該Eu錯体の誘導体との混合使用も好適で
ある。
るEu錯体と言うときは、当該Eu錯体の誘導体も含む
広い意味であり、この発明において、フルオレン基を有
するEu錯体の単独使用はもちろんのこと、当該Eu錯
体の誘導体の単独使用、あるいはフルオレン基を有する
Eu錯体と当該Eu錯体の誘導体との混合使用も好適で
ある。
【0021】また、この発明において、具体的なフルオ
レン基を有するEu錯体の誘導体とは分子内に有するフ
ェナントロリン環に存在する、少なくとも1つの水素
が、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基等のアルキル
基、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルキ
ル基、あるいはベンジル基、ナフチル基等のアリール基
等により置換されたものをいい、各種誘導体が、この発
明に好適である。
レン基を有するEu錯体の誘導体とは分子内に有するフ
ェナントロリン環に存在する、少なくとも1つの水素
が、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基等のアルキル
基、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルキ
ル基、あるいはベンジル基、ナフチル基等のアリール基
等により置換されたものをいい、各種誘導体が、この発
明に好適である。
【0022】次に、この発明のフルオレン基を有するE
u錯体の諸物性について説明する。まず、蛍光強度につ
いて説明すると、一般に、有機EL素子の発光輝度は、
発光物質やドーパントを初めとして、構成要素の材料等
により大きくかわるが、発光物質やドーパントの単独の
蛍光強度が高いものほど、当該材料を用いて有機EL素
子を作製した場合にも、高い発光輝度が得られると言わ
れている。
u錯体の諸物性について説明する。まず、蛍光強度につ
いて説明すると、一般に、有機EL素子の発光輝度は、
発光物質やドーパントを初めとして、構成要素の材料等
により大きくかわるが、発光物質やドーパントの単独の
蛍光強度が高いものほど、当該材料を用いて有機EL素
子を作製した場合にも、高い発光輝度が得られると言わ
れている。
【0023】したがって、この発明のフルオレン基を有
するEu錯体の蛍光強度も、値が高い程好適であるが、
具体的には、赤色系の長波長である600〜650nm
の波長範囲において、式(5)で表されるヘテロ環を有
するEu錯体の蛍光強度を基準として、少なくとも同
等、より好適には5%以上、最適には、10〜100%
高いことである。
するEu錯体の蛍光強度も、値が高い程好適であるが、
具体的には、赤色系の長波長である600〜650nm
の波長範囲において、式(5)で表されるヘテロ環を有
するEu錯体の蛍光強度を基準として、少なくとも同
等、より好適には5%以上、最適には、10〜100%
高いことである。
【0024】なお、蛍光強度の測定方法としては、例え
ば、蛍光分光光度計を用いて、テトラヒドロフラン(T
HF)等の溶剤に対して、1×10-4mol/lの濃度
になるように対象となるEu錯体を溶解させて測定する
ことが好適である。
ば、蛍光分光光度計を用いて、テトラヒドロフラン(T
HF)等の溶剤に対して、1×10-4mol/lの濃度
になるように対象となるEu錯体を溶解させて測定する
ことが好適である。
【0025】また、この発明のフルオレン基を有するE
u錯体の融点については、示差熱走査型熱量計(DS
C)等を用いて、融解ピークの位置から測定することが
できるが、例えば、100〜500℃の範囲が好適であ
る。その理由は、この発明のEu錯体がかかる温度範囲
の融点を有すれば、有機EL素子における発光層の耐熱
性が良好となり、一方で、この発明のEu錯体が、容易
に結晶化するおそれも少なくなり、さらには当該Eu錯
体を用いて容易に真空蒸着を行うことができるためであ
る。
u錯体の融点については、示差熱走査型熱量計(DS
C)等を用いて、融解ピークの位置から測定することが
できるが、例えば、100〜500℃の範囲が好適であ
る。その理由は、この発明のEu錯体がかかる温度範囲
の融点を有すれば、有機EL素子における発光層の耐熱
性が良好となり、一方で、この発明のEu錯体が、容易
に結晶化するおそれも少なくなり、さらには当該Eu錯
体を用いて容易に真空蒸着を行うことができるためであ
る。
【0026】よって、かかるバランスがより良好な観点
から、この発明のEu錯体の融点としては、200〜4
50℃の範囲がより好適である。
から、この発明のEu錯体の融点としては、200〜4
50℃の範囲がより好適である。
【0027】さらに、この発明のフルオレン基を有する
Eu錯体の熱分解温度については、熱天秤計(TGA)
等を用いて、質量が半減する温度として測定チャートか
ら求めることができるが、例えば、200〜500℃の
範囲が好適である。
Eu錯体の熱分解温度については、熱天秤計(TGA)
等を用いて、質量が半減する温度として測定チャートか
ら求めることができるが、例えば、200〜500℃の
範囲が好適である。
【0028】その理由は、この発明のEu錯体が、かか
る範囲の熱分解温度を有すれば、有機EL素子における
発光層の耐熱性が良好となり、また、当該Eu錯体を用
いて容易に真空蒸着を行うことができるためである。
る範囲の熱分解温度を有すれば、有機EL素子における
発光層の耐熱性が良好となり、また、当該Eu錯体を用
いて容易に真空蒸着を行うことができるためである。
【0029】よって、かかるバランスがより良好な観点
から、この発明のEu錯体の熱分解温度としては、30
0〜450℃の範囲がより好適である。
から、この発明のEu錯体の熱分解温度としては、30
0〜450℃の範囲がより好適である。
【0030】次に、この発明における、フルオレン基を
有するEu錯体の合成例について説明する。但し、この
発明において、かかる合成方法に限定されることなく、
種々の公知の合成方法をとることが可能である。
有するEu錯体の合成例について説明する。但し、この
発明において、かかる合成方法に限定されることなく、
種々の公知の合成方法をとることが可能である。
【0031】すなわち、2−アセチルフルオレンとハロ
ゲン化アルキルカルボン酸エステルを、クライゼン縮合
反応を用いて反応させることにより、まず特定のβ−ジ
ケトンを得て、それと、フェナントロリンとユーロピウ
ム塩を反応させることにより、合成することが可能であ
る。より具体的には、以下のような手順で合成可能であ
る。
ゲン化アルキルカルボン酸エステルを、クライゼン縮合
反応を用いて反応させることにより、まず特定のβ−ジ
ケトンを得て、それと、フェナントロリンとユーロピウ
ム塩を反応させることにより、合成することが可能であ
る。より具体的には、以下のような手順で合成可能であ
る。
【0032】(1)まず、2−アセチルフルオレンとア
ルキルカルボン酸エステルを混合し、アルカリ性触媒存
在下で、エーテル溶液中で攪拌しながら、クライゼン縮
合反応を生じさせ、反応液とする。
ルキルカルボン酸エステルを混合し、アルカリ性触媒存
在下で、エーテル溶液中で攪拌しながら、クライゼン縮
合反応を生じさせ、反応液とする。
【0033】(2)得られた反応液に、酸を添加して弱
酸性とし、水とエーテルを用いて分液を行い、β−ジケ
トンを得て、さらに精製する。
酸性とし、水とエーテルを用いて分液を行い、β−ジケ
トンを得て、さらに精製する。
【0034】(3)精製後のβ−ジケトンと1,10−
フェナントロリンを、エタノールに所定量溶解させ、水
酸化ナトリウムを加えた後に、さらに塩化ユーロピウム
水溶液を加えて、加熱、攪拌後、室温まで冷却し、沈殿
を生じさせることにより、この発明のフルオレン基を有
するEu錯体を得る。
フェナントロリンを、エタノールに所定量溶解させ、水
酸化ナトリウムを加えた後に、さらに塩化ユーロピウム
水溶液を加えて、加熱、攪拌後、室温まで冷却し、沈殿
を生じさせることにより、この発明のフルオレン基を有
するEu錯体を得る。
【0035】次に、この発明のフルオレン基を有するE
u錯体を、有機EL素子材料におけるドーパントの主成
分として用いた場合の、有機EL素子の態様について具
体的に説明する。
u錯体を、有機EL素子材料におけるドーパントの主成
分として用いた場合の、有機EL素子の態様について具
体的に説明する。
【0036】すなわち、この発明のフルオレン基を有す
るEu錯体は、 有機発光層が有機電子輸送層を兼ねた、陽極、有機ホ
ール輸送層、有機発光層および陰極からなる二層構造−
A型、 有機発光層が有機ホール輸送層を兼ねた、陽極、有機
発光層、有機電子輸送層および陰極からなる二層構造−
B型、 あるいは、有機ホール輸送層および有機電子輸送層が
それぞれ有機発光層とは独立して設けられた、陽極、有
機ホール輸送層、有機発光層、有機電子輸送層および陰
極からなる三層構造型の、いずれの構造の有機EL素子
においても、有機発光層のドーパントの主成分として、
使用に好適である。
るEu錯体は、 有機発光層が有機電子輸送層を兼ねた、陽極、有機ホ
ール輸送層、有機発光層および陰極からなる二層構造−
A型、 有機発光層が有機ホール輸送層を兼ねた、陽極、有機
発光層、有機電子輸送層および陰極からなる二層構造−
B型、 あるいは、有機ホール輸送層および有機電子輸送層が
それぞれ有機発光層とは独立して設けられた、陽極、有
機ホール輸送層、有機発光層、有機電子輸送層および陰
極からなる三層構造型の、いずれの構造の有機EL素子
においても、有機発光層のドーパントの主成分として、
使用に好適である。
【0037】なお、この発明のフルオレン基を有するE
u錯体は、有機発光層のドーパントの主成分として使用
されれば良く、当該Eu錯体の単独使用でも良く、ある
いは、従来のドーパント材料や各種添加剤を、本発明の
目的の範囲内で所定量含むことも好適である。
u錯体は、有機発光層のドーパントの主成分として使用
されれば良く、当該Eu錯体の単独使用でも良く、ある
いは、従来のドーパント材料や各種添加剤を、本発明の
目的の範囲内で所定量含むことも好適である。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、具体的に説明する。まず、この発明の実施の形態
として、有機EL素子としての態様における、各構成要
素を図1〜3を使用して具体的に説明する。
いて、具体的に説明する。まず、この発明の実施の形態
として、有機EL素子としての態様における、各構成要
素を図1〜3を使用して具体的に説明する。
【0039】図1は、この発明の有機EL素子の一例で
ある。まず、ガラス基板10の上に、ITO等がスパッ
タリング等により積層されて、陽極12が形成されてお
り、その上に、有機ホール輸送層14、有機発光層1
6、陰極18が順次蒸着等により積層されている。そし
て電源20が、陽極12と陰極18の間に接続されて、
有機EL素子100が構成されている。
ある。まず、ガラス基板10の上に、ITO等がスパッ
タリング等により積層されて、陽極12が形成されてお
り、その上に、有機ホール輸送層14、有機発光層1
6、陰極18が順次蒸着等により積層されている。そし
て電源20が、陽極12と陰極18の間に接続されて、
有機EL素子100が構成されている。
【0040】かかる有機EL素子100の構成によれ
ば、電源20により所定の電圧が印加されることによ
り、陽極12にホールが注入され、それから有機ホール
輸送層14に移動したホールは、有機ホール輸送層14
のホール輸送性により、順次有機発光層16へ移動す
る。一方、電源20から、陰極18には、電子が注入さ
れ、その後、注入された電子は、有機電子輸送層を兼ね
た有機発光層16に移動する。よって、陽極12から注
入されたホールと陰極18から注入された電子とが、有
機発光層16において再結合し、再結合エネルギーを発
することにより、有機発光層16に含まれる発光物質を
励起させ、当該発光層物質は、高輝度のEL発光をす
る。
ば、電源20により所定の電圧が印加されることによ
り、陽極12にホールが注入され、それから有機ホール
輸送層14に移動したホールは、有機ホール輸送層14
のホール輸送性により、順次有機発光層16へ移動す
る。一方、電源20から、陰極18には、電子が注入さ
れ、その後、注入された電子は、有機電子輸送層を兼ね
た有機発光層16に移動する。よって、陽極12から注
入されたホールと陰極18から注入された電子とが、有
機発光層16において再結合し、再結合エネルギーを発
することにより、有機発光層16に含まれる発光物質を
励起させ、当該発光層物質は、高輝度のEL発光をす
る。
【0041】そして、当該EL発光をする際に、この発
明のフルオレン基を有するEu錯体は、発光物質のドー
パントとして、優れた電子吸引性を有する官能基である
ハロゲン化アルキル基等により電子を有効に引きつけ、
発光金属であるEuを介して、優れた電子供与性を有す
るフルオレン基により、電子を効率良く外部に放出す
る。
明のフルオレン基を有するEu錯体は、発光物質のドー
パントとして、優れた電子吸引性を有する官能基である
ハロゲン化アルキル基等により電子を有効に引きつけ、
発光金属であるEuを介して、優れた電子供与性を有す
るフルオレン基により、電子を効率良く外部に放出す
る。
【0042】また、図2は、この発明の有機EL素子に
おいて、有機発光層と有機電子輸送層をそれぞれ別個に
設けた例である。まず、ガラス基板10の上に、ITO
等がスパッタリング等により積層されて、陽極12が形
成されており、その上に、有機ホール輸送層14、有機
発光層16、有機電子輸送層22、陰極18が、順次蒸
着等により積層されている。そして電源20が、陽極1
2と陰極18の間に接続されて、有機EL素子200が
構成されている。
おいて、有機発光層と有機電子輸送層をそれぞれ別個に
設けた例である。まず、ガラス基板10の上に、ITO
等がスパッタリング等により積層されて、陽極12が形
成されており、その上に、有機ホール輸送層14、有機
発光層16、有機電子輸送層22、陰極18が、順次蒸
着等により積層されている。そして電源20が、陽極1
2と陰極18の間に接続されて、有機EL素子200が
構成されている。
【0043】かかる有機EL素子200の構成によれ
ば、陰極18から注入された電子は、有機電子輸送層2
2の電子輸送性により、有効に有機発光層16に移動
し、当該有機発光層16において、より効率良くホール
と再結合し、再結合エネルギーにより、発光物質が励起
されて、高輝度のEL発光が得られるとともに、再結合
エネルギーが有効に利用されることから、有機EL素子
の発熱も少なくなる。
ば、陰極18から注入された電子は、有機電子輸送層2
2の電子輸送性により、有効に有機発光層16に移動
し、当該有機発光層16において、より効率良くホール
と再結合し、再結合エネルギーにより、発光物質が励起
されて、高輝度のEL発光が得られるとともに、再結合
エネルギーが有効に利用されることから、有機EL素子
の発熱も少なくなる。
【0044】さらに、図3は、この発明の有機EL素子
において、ホールブロッキング層24を、有機発光層1
6と陰極18との間に設けた例である。まず、ガラス基
板10の上に、ITO等がスパッタリング等により積層
されて陽極12が形成されており、その上に、有機ホー
ル輸送層14、有機発光層16、ホールブロッキング層
24、陰極18が順次積層されている。そして、電源2
0が、陽極12と陰極18の間に接続されて、有機EL
素子300が構成されている。
において、ホールブロッキング層24を、有機発光層1
6と陰極18との間に設けた例である。まず、ガラス基
板10の上に、ITO等がスパッタリング等により積層
されて陽極12が形成されており、その上に、有機ホー
ル輸送層14、有機発光層16、ホールブロッキング層
24、陰極18が順次積層されている。そして、電源2
0が、陽極12と陰極18の間に接続されて、有機EL
素子300が構成されている。
【0045】かかる有機EL素子300の構成によれ
ば、陽極12から注入されたホールが、有機発光層16
において電子と再結合せずに透過しようとした場合であ
っても、ホールブロッキング層24により、当該ホール
を効率良く遮蔽し、有機発光層16を透過するホールの
割合を可及的に少なくすることができる。
ば、陽極12から注入されたホールが、有機発光層16
において電子と再結合せずに透過しようとした場合であ
っても、ホールブロッキング層24により、当該ホール
を効率良く遮蔽し、有機発光層16を透過するホールの
割合を可及的に少なくすることができる。
【0046】そして、さらには、当該ホールブロッキン
グ層24は、陰極18から有機発光層16に向かって電
子が移動する際の、陰極18と有機発光層16とのエネ
ルギーギャップを埋めて、いわゆる電子のホッピングに
より、有機発光層16への電子の移動を容易にすること
ができ、結果として、有機EL素子300は、効率良く
高輝度のEL発光をし、また、有機EL素子300の駆
動による発熱も少なくなる。
グ層24は、陰極18から有機発光層16に向かって電
子が移動する際の、陰極18と有機発光層16とのエネ
ルギーギャップを埋めて、いわゆる電子のホッピングに
より、有機発光層16への電子の移動を容易にすること
ができ、結果として、有機EL素子300は、効率良く
高輝度のEL発光をし、また、有機EL素子300の駆
動による発熱も少なくなる。
【0047】ここで、陽極12および陰極18は、有機
EL素子の構成要素のうち、外部から電圧を印加するた
めの電極としての機能を有する。特に、陽極12は、ホ
ール(正孔)を注入する機能を有し、この陽極を、当該
ホールの注入のしやすさのために、仕事関数の大きな金
属や合金の電気伝導性化合物およびこれらの混合物の材
料で形成するのが好適である。
EL素子の構成要素のうち、外部から電圧を印加するた
めの電極としての機能を有する。特に、陽極12は、ホ
ール(正孔)を注入する機能を有し、この陽極を、当該
ホールの注入のしやすさのために、仕事関数の大きな金
属や合金の電気伝導性化合物およびこれらの混合物の材
料で形成するのが好適である。
【0048】これらの材料として、具体的には、金、ヨ
ウ化銅、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等があ
る。また、一般に、陽極12側に発光させるため、陽極
12の材料として可視光域の光透過率が優れている点
で、酸化錫や酸化インジウム錫の透明電極が最適であ
る。
ウ化銅、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等があ
る。また、一般に、陽極12側に発光させるため、陽極
12の材料として可視光域の光透過率が優れている点
で、酸化錫や酸化インジウム錫の透明電極が最適であ
る。
【0049】一方、陰極18の材料としては、有機発光
層16および有機電子輸送層22への電子注入効率が優
れている点から、仕事関数の小さい(4.0eV以下)
金属や合金が好適である。陰極材料としては、具体的に
は、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム
等の周期律表の1族や2族の金属、あるいはガリウム、
インジウム等の周期律表の3族の金属がある。特に、マ
グネシウムは、安価で、化学的に安定な点で、この発明
の陰極材料として使用に最適である。
層16および有機電子輸送層22への電子注入効率が優
れている点から、仕事関数の小さい(4.0eV以下)
金属や合金が好適である。陰極材料としては、具体的に
は、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム
等の周期律表の1族や2族の金属、あるいはガリウム、
インジウム等の周期律表の3族の金属がある。特に、マ
グネシウムは、安価で、化学的に安定な点で、この発明
の陰極材料として使用に最適である。
【0050】次に、この発明における有機EL素子にお
ける、有機ホール輸送層14について説明する。すなわ
ち、有機ホール輸送層14は、陽極12から注入された
ホールを有機発光層16に伝達する機能を有するものと
する。そして、当該有機ホール輸送層14の有機材料と
しては、前述したように従来から使用されている、銅フ
タロシアニン、式(2)で表される、1,1´−ビス−
(4−N,N´−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキ
サン、式(3)で表される、N,N´−ジフェニル−
N,N´−(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェ
ニル−4,4´−ジアミン(TPD)、式(7)で表さ
れる、N,N´−ジフェニル−N,N´−ジナフチル−
1,1´−ビフェニル−4,4´−ジアミン(NPD)
等の有機材料が使用可能である。
ける、有機ホール輸送層14について説明する。すなわ
ち、有機ホール輸送層14は、陽極12から注入された
ホールを有機発光層16に伝達する機能を有するものと
する。そして、当該有機ホール輸送層14の有機材料と
しては、前述したように従来から使用されている、銅フ
タロシアニン、式(2)で表される、1,1´−ビス−
(4−N,N´−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキ
サン、式(3)で表される、N,N´−ジフェニル−
N,N´−(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェ
ニル−4,4´−ジアミン(TPD)、式(7)で表さ
れる、N,N´−ジフェニル−N,N´−ジナフチル−
1,1´−ビフェニル−4,4´−ジアミン(NPD)
等の有機材料が使用可能である。
【0051】
【化5】
【0052】そして、TPDは、従来から幅広く使用さ
れているという使用実績があること、およびNPDおよ
びその誘導体は、ナフチル基を分子内に有するため、ガ
ラス転移点が高く、より具体的には、示差走査型熱量計
(DSC)等で測定した当該ガラス転移点が、後述する
好適なガラス転移点の温度範囲である、90〜200℃
の範囲に入りやすいこと、という理由のため、これら有
機材料で有機ホール輸送層14を形成した有機EL素子
は、その駆動の際の発熱による劣化等が少なく、また、
キャリア輸送能力が高いために、高い発光効率が得られ
る。
れているという使用実績があること、およびNPDおよ
びその誘導体は、ナフチル基を分子内に有するため、ガ
ラス転移点が高く、より具体的には、示差走査型熱量計
(DSC)等で測定した当該ガラス転移点が、後述する
好適なガラス転移点の温度範囲である、90〜200℃
の範囲に入りやすいこと、という理由のため、これら有
機材料で有機ホール輸送層14を形成した有機EL素子
は、その駆動の際の発熱による劣化等が少なく、また、
キャリア輸送能力が高いために、高い発光効率が得られ
る。
【0053】ここで、有機ホール輸送層14に使用され
る材料のガラス転移点について、90〜200℃の温度
範囲を好適とするのは、かかる温度範囲であれば、有機
ホール輸送層の耐熱性が向上するためであり、一方で、
当該材料を用いて容易に真空蒸着が可能なためである。
る材料のガラス転移点について、90〜200℃の温度
範囲を好適とするのは、かかる温度範囲であれば、有機
ホール輸送層の耐熱性が向上するためであり、一方で、
当該材料を用いて容易に真空蒸着が可能なためである。
【0054】よって、当該バランスがより良好な観点か
ら、有機ホール輸送層14に使用される材料のガラス転
移点としては、より好適には、100〜200℃の範囲
である。
ら、有機ホール輸送層14に使用される材料のガラス転
移点としては、より好適には、100〜200℃の範囲
である。
【0055】また、さらに、この発明における有機ホー
ル輸送層14を、NPD等のホール輸送性能を有する材
料に、Euを含む有機金属錯体、例えば、式(1)で表
されるフルオレン基を有するEu錯体あるいは式(5)
で表されるヘテロ環を有するEu錯体等を、ドーパント
の主成分として所定量添加して形成するのが好適であ
る。当該Euを含む有機金属錯体を、ドーパントの主成
分として使用することにより、有機EL素子は、より高
い発光効率および優れた耐熱性を得て、したがって、よ
り高い輝度が得られやすくなり、また、劣化しずらくな
る。
ル輸送層14を、NPD等のホール輸送性能を有する材
料に、Euを含む有機金属錯体、例えば、式(1)で表
されるフルオレン基を有するEu錯体あるいは式(5)
で表されるヘテロ環を有するEu錯体等を、ドーパント
の主成分として所定量添加して形成するのが好適であ
る。当該Euを含む有機金属錯体を、ドーパントの主成
分として使用することにより、有機EL素子は、より高
い発光効率および優れた耐熱性を得て、したがって、よ
り高い輝度が得られやすくなり、また、劣化しずらくな
る。
【0056】なお、Euを含む有機金属錯体の添加量
は、特に限定されるものでは無いが、例えば、0.01
〜10モル%の範囲が好適である。その理由は、かかる
範囲であれば、Euを含む有機金属錯体の十分な添加効
果が得られ、一方で、キャリア輸送能力が低下し、かえ
って有機EL素子の輝度や寿命が低下したりするおそれ
もないためである。
は、特に限定されるものでは無いが、例えば、0.01
〜10モル%の範囲が好適である。その理由は、かかる
範囲であれば、Euを含む有機金属錯体の十分な添加効
果が得られ、一方で、キャリア輸送能力が低下し、かえ
って有機EL素子の輝度や寿命が低下したりするおそれ
もないためである。
【0057】よって、かかるバランスがより良好な観点
から、Euを含む有機金属錯体の添加量を、0.1〜
3.0モル%の範囲内とするのが良い。
から、Euを含む有機金属錯体の添加量を、0.1〜
3.0モル%の範囲内とするのが良い。
【0058】その他、この発明の有機EL素子におい
て、有機ホール輸送層14の厚さについても特に限定さ
れるものでは無いが、例えば10〜1000nmの範囲
が好適である。その理由は、かかる範囲内の厚さであれ
ば、有機ホール輸送層14において、ホールと電子の再
結合が生じた場合であっても、再結合エネルギーが電極
に吸収される割合が少なく、一方で、膜厚の増加に伴う
抵抗値の増加も、あまり問題とならないためである。
て、有機ホール輸送層14の厚さについても特に限定さ
れるものでは無いが、例えば10〜1000nmの範囲
が好適である。その理由は、かかる範囲内の厚さであれ
ば、有機ホール輸送層14において、ホールと電子の再
結合が生じた場合であっても、再結合エネルギーが電極
に吸収される割合が少なく、一方で、膜厚の増加に伴う
抵抗値の増加も、あまり問題とならないためである。
【0059】次に、この発明の有機EL素子における有
機発光層16について説明する。すなわち、当該有機発
光層16は、電子とホールの結合に伴う励起エネルギー
により発光する発光物質を少なくとも含む層とする。
機発光層16について説明する。すなわち、当該有機発
光層16は、電子とホールの結合に伴う励起エネルギー
により発光する発光物質を少なくとも含む層とする。
【0060】ここで、当該有機発光層16は、図1に示
すように二層構造−A型の有機EL素子として、有機電
子輸送層の機能を兼ねることも可能であり、また、図2
に示すように、有機発光層16が、有機電子輸送層22
の機能を兼ねない場合には、有機電子輸送層22を、別
途、当該有機発光層16と陰極18の間に設け、三層型
の有機EL素子とする必要がある。
すように二層構造−A型の有機EL素子として、有機電
子輸送層の機能を兼ねることも可能であり、また、図2
に示すように、有機発光層16が、有機電子輸送層22
の機能を兼ねない場合には、有機電子輸送層22を、別
途、当該有機発光層16と陰極18の間に設け、三層型
の有機EL素子とする必要がある。
【0061】そして、前述したとおり、この発明の式
(1)で表されるフルオレン基を有するEu錯体をドー
パントの主成分として有機発光層16に所定量含ませる
ことが好適である。
(1)で表されるフルオレン基を有するEu錯体をドー
パントの主成分として有機発光層16に所定量含ませる
ことが好適である。
【0062】ここで、好適な当該Eu錯体の添加量は、
0.01〜10モル%の範囲内である。その理由は、添
加量がかかる範囲内であれば、ドーパントの十分な添加
効果が得られ、一方で、キャリア輸送能力の低下によ
り、有機EL素子の輝度や寿命が低下したりするおそれ
が少ないためである。
0.01〜10モル%の範囲内である。その理由は、添
加量がかかる範囲内であれば、ドーパントの十分な添加
効果が得られ、一方で、キャリア輸送能力の低下によ
り、有機EL素子の輝度や寿命が低下したりするおそれ
が少ないためである。
【0063】よって、かかるバランスがより良好な観点
から、式(1)で表されるフルオレン基を有するEu錯
体の添加量としては、より好適には、0.1〜5.0モ
ル%、最適には、0.2〜3.0モル%の範囲内とする
のが良い。
から、式(1)で表されるフルオレン基を有するEu錯
体の添加量としては、より好適には、0.1〜5.0モ
ル%、最適には、0.2〜3.0モル%の範囲内とする
のが良い。
【0064】なお、当該フルオレン基を有するEu錯体
の有機発光層16における添加量は、当該Eu錯体と発
光物質の蒸発速度比率を制御することにより、容易に調
整することが可能である。
の有機発光層16における添加量は、当該Eu錯体と発
光物質の蒸発速度比率を制御することにより、容易に調
整することが可能である。
【0065】次に、この発明の有機EL素子における有
機発光層16に含まれる、好適な発光物質の種類につい
て簡単に説明する。すなわち、式(4)で表されるAl
オキシン錯体としてのAlqを初めとして、ペリレン系
化合物、ナフタレン系化合物、クマリン系化合物、オキ
サジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、ビスベン
ゾキサゾリン系化合物、ビススチリル系化合物、ピラジ
ン系化合物、CPD系化合物、Inオキシン錯体、Zn
錯体、Feオキシン錯体、Gaイミン錯体、あるいは、
従来、有機ホール輸送層の材料として使用されてきたT
PD、NPD等が使用に好適である。
機発光層16に含まれる、好適な発光物質の種類につい
て簡単に説明する。すなわち、式(4)で表されるAl
オキシン錯体としてのAlqを初めとして、ペリレン系
化合物、ナフタレン系化合物、クマリン系化合物、オキ
サジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、ビスベン
ゾキサゾリン系化合物、ビススチリル系化合物、ピラジ
ン系化合物、CPD系化合物、Inオキシン錯体、Zn
錯体、Feオキシン錯体、Gaイミン錯体、あるいは、
従来、有機ホール輸送層の材料として使用されてきたT
PD、NPD等が使用に好適である。
【0066】特に、式(8)で表されるZn錯体、オキ
サジアゾール系化合物、ビススチリル系化合物は、単独
では青色発色の発光物質であるが、この発明のフルオレ
ン基を有するEu錯体および/またはその誘導体をドー
パントすることにより、高輝度で、耐久性が高い、赤色
系の有機EL素子が得られる点で、この発明における有
機発光層16の発光物質として最適である。
サジアゾール系化合物、ビススチリル系化合物は、単独
では青色発色の発光物質であるが、この発明のフルオレ
ン基を有するEu錯体および/またはその誘導体をドー
パントすることにより、高輝度で、耐久性が高い、赤色
系の有機EL素子が得られる点で、この発明における有
機発光層16の発光物質として最適である。
【0067】
【化6】
【0068】また、この発明における、好適な有機発光
層16の発光物質の種類としては、所望のピーク波長か
ら選択することも好適であり、赤色系の色度が高い有機
EL素子が得られやすい観点から、350nm以上のピ
ーク波長を有する発光物質を使用することが好適である
が、より好適には、400nm以上、最適には、450
nm以上の波長のものが好適である。
層16の発光物質の種類としては、所望のピーク波長か
ら選択することも好適であり、赤色系の色度が高い有機
EL素子が得られやすい観点から、350nm以上のピ
ーク波長を有する発光物質を使用することが好適である
が、より好適には、400nm以上、最適には、450
nm以上の波長のものが好適である。
【0069】その他、有機発光層16の厚さについて
も、特に限定されるものでは無いが、10〜1000n
mの範囲が好適である。
も、特に限定されるものでは無いが、10〜1000n
mの範囲が好適である。
【0070】その理由は、厚さが、かかる範囲内であれ
ば、有機発光層16において、ホールと電子の再結合が
生じた場合でも、再結合エネルギーが電極に吸収される
割合が少なくなり、一方で、有機発光層16の厚さ増加
に伴う抵抗値の増加の問題もあまり生じないためであ
る。
ば、有機発光層16において、ホールと電子の再結合が
生じた場合でも、再結合エネルギーが電極に吸収される
割合が少なくなり、一方で、有機発光層16の厚さ増加
に伴う抵抗値の増加の問題もあまり生じないためであ
る。
【0071】最後に、ホールブロッキング層24につい
て説明する。前述したように、この発明において、電子
と再結合せずに有機発光層16を透過してしまうホール
を可及的に少なくするために、有機発光層16と有機電
子輸送層22または陰極18の間にホールブロッキング
層24を設けることが好適である。
て説明する。前述したように、この発明において、電子
と再結合せずに有機発光層16を透過してしまうホール
を可及的に少なくするために、有機発光層16と有機電
子輸送層22または陰極18の間にホールブロッキング
層24を設けることが好適である。
【0072】ここで、ホールブロッキング層24におい
て使用される材料は、イオン化ポテンシャルが大きく、
ホール移動度の小さい材料であれば好適に使用できる
が、より具体的には、式(9)で表されるトリアゾール
化合物およびその誘導体の双方またはいずれか一方を用
いるのが良い。
て使用される材料は、イオン化ポテンシャルが大きく、
ホール移動度の小さい材料であれば好適に使用できる
が、より具体的には、式(9)で表されるトリアゾール
化合物およびその誘導体の双方またはいずれか一方を用
いるのが良い。
【0073】
【化7】
【0074】なぜならば、トリアゾール化合物およびそ
の誘導体は、イオン化ポテンシャルが、6.0eV以上
と大きく、その結果、ホール移動度が小さくて、ホール
ブロッキング効果に大変優れているためである。
の誘導体は、イオン化ポテンシャルが、6.0eV以上
と大きく、その結果、ホール移動度が小さくて、ホール
ブロッキング効果に大変優れているためである。
【0075】よって、この発明のフルオレン基を有する
Eu錯体を、有機発光層16のドーパントの主成分とし
て用いるとともに、トリアゾール化合物およびその誘導
体の双方またはいずれか一方をホールブロッキング層2
4に使用することにより、より高い発光輝度と耐久性を
有する有機EL素子300を得ることができる点で、こ
の発明の有機EL素子の構成として好適である。
Eu錯体を、有機発光層16のドーパントの主成分とし
て用いるとともに、トリアゾール化合物およびその誘導
体の双方またはいずれか一方をホールブロッキング層2
4に使用することにより、より高い発光輝度と耐久性を
有する有機EL素子300を得ることができる点で、こ
の発明の有機EL素子の構成として好適である。
【0076】なお、ホールブロッキング層24の厚さ
は、ホールブロッキング効果及び有機EL素子の内部抵
抗値の増加等を考慮して定めることが好適であるが、具
体的には、0.1〜1000nmの範囲、より好適には
5〜500nmの範囲内であれば良い。
は、ホールブロッキング効果及び有機EL素子の内部抵
抗値の増加等を考慮して定めることが好適であるが、具
体的には、0.1〜1000nmの範囲、より好適には
5〜500nmの範囲内であれば良い。
【0077】
【実施例】この発明をさらに詳細に、実施例を用いて説
明する。
明する。
【0078】(実施例1)以下の合成方法により、フル
オレン基を有するEu錯体を合成した。
オレン基を有するEu錯体を合成した。
【0079】(1)まず、三角フラスコ内で、5.86
gの2−アセチルフルオレンと4.0gのハロゲン化ア
ルキルカルボン酸エステルとしてのトリフルオロ酢酸エ
チルを、アルカリ触媒としての1.67gのナトリウム
メトキシド存在下で混合し、さらに80gのジエチルエ
ーテル中、室温で、1日攪拌しながら、クラウゼン縮合
反応を生じさせて、β−ジケトンを含む第1の反応液と
した。
gの2−アセチルフルオレンと4.0gのハロゲン化ア
ルキルカルボン酸エステルとしてのトリフルオロ酢酸エ
チルを、アルカリ触媒としての1.67gのナトリウム
メトキシド存在下で混合し、さらに80gのジエチルエ
ーテル中、室温で、1日攪拌しながら、クラウゼン縮合
反応を生じさせて、β−ジケトンを含む第1の反応液と
した。
【0080】(2)得られた第1の反応液に、10gの
希塩酸を添加しての弱酸性(Ph=5.0)とし、15
0gの水と100gのエーテルを用いて分液を行い、
8.2gのβ−ジケトンを得た。そして、得られた8.
2gのβ−ジケトンを、20gのエタノールを用いて、
再結晶法により精製した。
希塩酸を添加しての弱酸性(Ph=5.0)とし、15
0gの水と100gのエーテルを用いて分液を行い、
8.2gのβ−ジケトンを得た。そして、得られた8.
2gのβ−ジケトンを、20gのエタノールを用いて、
再結晶法により精製した。
【0081】(3)精製後の、2.0gのβ−ジケトン
と0.43gの1,10−フェナントロリンを、20g
のエタノールに溶解させ、0.15gの水酸化ナトリウ
ムを加えた後に、さらに0.80gの塩化ユーロピウム
水溶液を加え、第2の反応液とした。
と0.43gの1,10−フェナントロリンを、20g
のエタノールに溶解させ、0.15gの水酸化ナトリウ
ムを加えた後に、さらに0.80gの塩化ユーロピウム
水溶液を加え、第2の反応液とした。
【0082】(4)得られた第2の反応液を、60℃で
加熱、攪拌して十分反応させたた後、室温まで、冷却器
等を用いて強制冷却させて沈殿を生じさせた。その後、
20gのエタノールおよび5gの水を用いて洗浄し、更
に、乾燥させて、フルオレン基を有するEu錯体を2.
1g得た。
加熱、攪拌して十分反応させたた後、室温まで、冷却器
等を用いて強制冷却させて沈殿を生じさせた。その後、
20gのエタノールおよび5gの水を用いて洗浄し、更
に、乾燥させて、フルオレン基を有するEu錯体を2.
1g得た。
【0083】次に、得られたフルオレン基を有するEu
錯体の粉末を、フーリーエ変換赤外分光光度計を用いて
構造分析をしたところ、式(1)で表される構造である
ことを確認した。
錯体の粉末を、フーリーエ変換赤外分光光度計を用いて
構造分析をしたところ、式(1)で表される構造である
ことを確認した。
【0084】それから、当該Eu錯体を、THF溶剤
に、1×10-4mol/lの濃度に溶解し、蛍光分光光
度計を用いて、波長380nmの紫外線を照射した場合
の蛍光強度を測定した。
に、1×10-4mol/lの濃度に溶解し、蛍光分光光
度計を用いて、波長380nmの紫外線を照射した場合
の蛍光強度を測定した。
【0085】その結果、この発明のフルオレン基を有す
るEu錯体の蛍光強度は、615nmの波長において、
式(5)で表されるヘテロ環を有するEu錯体の蛍光強
度を基準として、1.2倍以上、すなわち20%以上高
くなっていることが確認された。
るEu錯体の蛍光強度は、615nmの波長において、
式(5)で表されるヘテロ環を有するEu錯体の蛍光強
度を基準として、1.2倍以上、すなわち20%以上高
くなっていることが確認された。
【0086】また、DSCを用いて測定した融点は、2
34℃であり、さらに、TGAを用いて測定した質量が
半減する温度として定義される熱分解温度は、約300
℃であった。
34℃であり、さらに、TGAを用いて測定した質量が
半減する温度として定義される熱分解温度は、約300
℃であった。
【0087】(実施例2および3)実施例1のトリフル
オロ酢酸エチルの代わりに、実施例2ではペンタフルオ
ロ酢酸エチルを、実施例3ではヘプタフルオロ酢酸エチ
ルを、それぞれ用いた他は、実施例1と同様にフルオレ
ン基を有するEu錯体を合成した。
オロ酢酸エチルの代わりに、実施例2ではペンタフルオ
ロ酢酸エチルを、実施例3ではヘプタフルオロ酢酸エチ
ルを、それぞれ用いた他は、実施例1と同様にフルオレ
ン基を有するEu錯体を合成した。
【0088】次に、実施例1と同様に、フーリーエ変換
赤外分光光度計を用いて、得られたEu錯体の構造分析
を行い、Rの官能基が、それぞれC2 F5 およびC3 F
7 であるほかは、式(1)で表される構造を有している
ことを確認した。
赤外分光光度計を用いて、得られたEu錯体の構造分析
を行い、Rの官能基が、それぞれC2 F5 およびC3 F
7 であるほかは、式(1)で表される構造を有している
ことを確認した。
【0089】そして、実施例1と同様に測定した蛍光強
度は、それぞれ、式(5)で表されるヘテロ環を有する
Eu錯体の蛍光強度を基準として、1.2倍(20%)
と1.7倍(70%)と高くなっていることが確認され
た。
度は、それぞれ、式(5)で表されるヘテロ環を有する
Eu錯体の蛍光強度を基準として、1.2倍(20%)
と1.7倍(70%)と高くなっていることが確認され
た。
【0090】また、DSCを用いて測定した融点は、そ
れぞれ実施例1と同等であり、さらにTGAを用いて測
定した、質量が半減する温度として定義される熱分解温
度は、実施例2では300℃以上、実施例3では350
℃以上であった。
れぞれ実施例1と同等であり、さらにTGAを用いて測
定した、質量が半減する温度として定義される熱分解温
度は、実施例2では300℃以上、実施例3では350
℃以上であった。
【0091】(実施例4)酸化インジウムスズ(IT
O)をスパッタリングしたガラス基板を陽極として用
い、まずアセトンおよび2−プロパノールを用いて順次
洗浄した後、有機ホール輸送層として、50nmの厚さ
のTPDを、真空蒸着法により積層した。
O)をスパッタリングしたガラス基板を陽極として用
い、まずアセトンおよび2−プロパノールを用いて順次
洗浄した後、有機ホール輸送層として、50nmの厚さ
のTPDを、真空蒸着法により積層した。
【0092】次ぎに、有機発光層として、単独では青緑
色に発光する、式(8)で表されるZn錯体および式
(1)に示すフルオレン基を有するEu錯体を、蒸着速
度比率で、約20:1(Eu錯体の添加量は2.0モル
%)となるよう、真空蒸着法により50nmの厚さに積
層し、さらに、陰極としてマグネシウムを150nmの
厚さになるように真空蒸着して、この発明の有機EL素
子とした。
色に発光する、式(8)で表されるZn錯体および式
(1)に示すフルオレン基を有するEu錯体を、蒸着速
度比率で、約20:1(Eu錯体の添加量は2.0モル
%)となるよう、真空蒸着法により50nmの厚さに積
層し、さらに、陰極としてマグネシウムを150nmの
厚さになるように真空蒸着して、この発明の有機EL素
子とした。
【0093】それから、かかる有機EL素子の電圧−輝
度特性を、輝度計を用いて測定した。その結果を、図4
に示す。なお、測定データは、横軸に電圧(V)をと
り、縦軸に輝度(cd/m2 )をとって示してある。
度特性を、輝度計を用いて測定した。その結果を、図4
に示す。なお、測定データは、横軸に電圧(V)をと
り、縦軸に輝度(cd/m2 )をとって示してある。
【0094】この実験結果から明らかなように、12V
の電圧を電極間に印加すると、有機EL素子はEL発光
し、輝度が100cd/m2 の値を超えた。また、15
Vの電圧を印加すると、輝度として、約200cd/m
2 のさらに高い値が得られた。 また、15V印加した
時の、発光スペクトル曲線を、蛍光分光光度計を用いて
測定した。その結果を、図5に示す。なお、測定データ
は、横軸に波長(nm)をとり、縦軸に発光強度(任意
単位)をとって示してある。
の電圧を電極間に印加すると、有機EL素子はEL発光
し、輝度が100cd/m2 の値を超えた。また、15
Vの電圧を印加すると、輝度として、約200cd/m
2 のさらに高い値が得られた。 また、15V印加した
時の、発光スペクトル曲線を、蛍光分光光度計を用いて
測定した。その結果を、図5に示す。なお、測定データ
は、横軸に波長(nm)をとり、縦軸に発光強度(任意
単位)をとって示してある。
【0095】この実験結果から明らかなように、発光ス
ペクトルは、波長ピークを616nm付近に有し、半値
幅も、分解能が10nmのスリットを用いた場合には2
0nm以下とかなり狭い値が得られた。なお、分解能が
1.5nmのスリットを用いた場合には、半値幅は3n
mと、より狭い値が得られることも別途確認された。
ペクトルは、波長ピークを616nm付近に有し、半値
幅も、分解能が10nmのスリットを用いた場合には2
0nm以下とかなり狭い値が得られた。なお、分解能が
1.5nmのスリットを用いた場合には、半値幅は3n
mと、より狭い値が得られることも別途確認された。
【0096】そして、さらに15Vの電圧印加を続けた
ところ、この発明の有機EL素子は、100時間経過後
においても、顕著な輝度の低下は見られなかった。
ところ、この発明の有機EL素子は、100時間経過後
においても、顕著な輝度の低下は見られなかった。
【0097】(比較例1)実施例6における、フルオレ
ン基を有するEu錯体の代わりに、式(5)に示される
従来のヘテロ環を有するEu錯体を、ドーパントとして
用いたほかは、実施例6と同様に有機EL素子を作成し
て、輝度および発光スペクトルを比較評価した。
ン基を有するEu錯体の代わりに、式(5)に示される
従来のヘテロ環を有するEu錯体を、ドーパントとして
用いたほかは、実施例6と同様に有機EL素子を作成し
て、輝度および発光スペクトルを比較評価した。
【0098】その結果、電圧15Vを印加しても、波長
ピーク約615nmにおけるEL発光の輝度は、80c
d/m2 以下と低く、また、15Vの電圧印加を続けた
ところ、1時間以内に、顕著な輝度の低下が見られた。
ピーク約615nmにおけるEL発光の輝度は、80c
d/m2 以下と低く、また、15Vの電圧印加を続けた
ところ、1時間以内に、顕著な輝度の低下が見られた。
【0099】
【発明の効果】この発明のフルオレン基を有するEu錯
体は、単独で高い蛍光強度を示し、また、当該Eu錯体
を発光層のドーパントとして用いて有機EL素子を作製
した場合に、(1)15V以下の低電圧において、高い
EL発光の輝度、具体的には、600nm以上の赤色発
光の波長において100cd/m2 以上の高い輝度を示
すとともに、分解能が10nmのスリットを用いた場合
でも、20nm以下の狭い半値幅が得られ、(2)ま
た、有機EL素子の発熱により、容易に劣化することな
く、時間の経過とともに、発光輝度が顕著に低下するこ
とがなかった。
体は、単独で高い蛍光強度を示し、また、当該Eu錯体
を発光層のドーパントとして用いて有機EL素子を作製
した場合に、(1)15V以下の低電圧において、高い
EL発光の輝度、具体的には、600nm以上の赤色発
光の波長において100cd/m2 以上の高い輝度を示
すとともに、分解能が10nmのスリットを用いた場合
でも、20nm以下の狭い半値幅が得られ、(2)ま
た、有機EL素子の発熱により、容易に劣化することな
く、時間の経過とともに、発光輝度が顕著に低下するこ
とがなかった。
【0100】さらに、この発明のEu錯体は、合成が容
易であり、コストも安く、また、有機EL素子の有機発
光層や有機ホール輸送層に少量ドープするだけで、高い
輝度が得られ、蒸着するに当たって、従来の蒸着装置の
条件がそのまま使用できる等の利点も効果として得られ
た。
易であり、コストも安く、また、有機EL素子の有機発
光層や有機ホール輸送層に少量ドープするだけで、高い
輝度が得られ、蒸着するに当たって、従来の蒸着装置の
条件がそのまま使用できる等の利点も効果として得られ
た。
【図1】この発明の有機EL素子(二層構造−A型)の
構成例を示す図である。
構成例を示す図である。
【図2】この発明の有機EL素子(三層構造型)の構成
例を示す図である。
例を示す図である。
【図3】この発明の有機EL素子において、ホールブロ
ッキング層を設けた構成例を示す図である。
ッキング層を設けた構成例を示す図である。
【図4】図1に示す有機EL素子の、電圧−輝度特性を
示す図である。
示す図である。
【図5】図1に示す有機EL素子の、EL発光スペクト
ルを示す図である。
ルを示す図である。
10:ガラス基板 12:陽極 14:有機ホール輸送層 16:有機発光層 18:陰極 20:電源 22:有機電子輸送層 24:ホールブロッキング層 100、200、300:有機EL素子
Claims (6)
- 【請求項1】 式(1)で表される、フルオレン基を有
するEu錯体を、有機EL発光物質におけるドーパント
の主成分として用いることを特徴とする有機EL素子材
料。 【化1】 (Rは、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換または
非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル
基またはアリール基を表す。) - 【請求項2】 前記式(1)におけるRが、ハロゲン化
アルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の
有機EL素子材料。 - 【請求項3】 前記式(1)におけるRが、CF3 、C
2 F5 またはC3 F7 のいずれか1つであることを特徴
とする、請求項1または2に記載の有機EL素子材料。 - 【請求項4】 少なくとも陽極、有機ホール輸送層、有
機発光層および、陰極を構成要素として含む有機EL素
子において、当該有機発光層に、請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の有機EL素子材料をドーパントの主成分
として用いたことを特徴とする有機EL素子。 - 【請求項5】 前記有機発光層に、ドーパントの主成分
として、前記有機EL素子材料を、0.01〜10モル
%添加することを特徴とする、請求項4に記載の有機E
L素子。 - 【請求項6】 前記有機EL素子のピーク波長が、60
0nm以上であることを特徴とする、請求項4または5
に記載の有機EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3501297A JPH10231477A (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 有機el素子材料およびそれを用いた有機el素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3501297A JPH10231477A (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 有機el素子材料およびそれを用いた有機el素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10231477A true JPH10231477A (ja) | 1998-09-02 |
Family
ID=12430172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3501297A Withdrawn JPH10231477A (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 有機el素子材料およびそれを用いた有機el素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10231477A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1245659A1 (en) * | 2001-03-27 | 2002-10-02 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
US6541909B1 (en) | 1999-03-02 | 2003-04-01 | Nec Corporation | Organic electroluminescent device with doped transport layer(s) and production method |
WO2006016455A1 (ja) * | 2004-08-10 | 2006-02-16 | National University Corporation Kyushu Institute Of Technology | ユーロピウムジケトンキレート化合物及びそれを用いた蛍光材料 |
JP2012144733A (ja) * | 2000-06-12 | 2012-08-02 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ポリマーマトリックス・エレクトロルミネッセンス材料及び装置 |
-
1997
- 1997-02-19 JP JP3501297A patent/JPH10231477A/ja not_active Withdrawn
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6541909B1 (en) | 1999-03-02 | 2003-04-01 | Nec Corporation | Organic electroluminescent device with doped transport layer(s) and production method |
JP2012144733A (ja) * | 2000-06-12 | 2012-08-02 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ポリマーマトリックス・エレクトロルミネッセンス材料及び装置 |
EP1245659A1 (en) * | 2001-03-27 | 2002-10-02 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
US7947340B2 (en) | 2001-03-27 | 2011-05-24 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
EP2258805A3 (en) * | 2001-03-27 | 2011-10-26 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
EP2258808A3 (en) * | 2001-03-27 | 2011-10-26 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
EP2258809A3 (en) * | 2001-03-27 | 2011-10-26 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
EP2258806A3 (en) * | 2001-03-27 | 2011-10-26 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
EP2258807A3 (en) * | 2001-03-27 | 2011-10-26 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
US10141513B2 (en) | 2001-03-27 | 2018-11-27 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymeric light emitting substance and polymer light emitting device using the same |
WO2006016455A1 (ja) * | 2004-08-10 | 2006-02-16 | National University Corporation Kyushu Institute Of Technology | ユーロピウムジケトンキレート化合物及びそれを用いた蛍光材料 |
US7736620B2 (en) | 2004-08-10 | 2010-06-15 | National University Corporation Kyushu Institute Of Technology | Europium-diketone chelate compound and fluorescent material using the same |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040511 |