JPH10226762A - 塗膜の付着性改良剤、水性塗料組成物、塗膜構造および水性塗膜の付着性改良方法 - Google Patents

塗膜の付着性改良剤、水性塗料組成物、塗膜構造および水性塗膜の付着性改良方法

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JPH10226762A
JPH10226762A JP4702297A JP4702297A JPH10226762A JP H10226762 A JPH10226762 A JP H10226762A JP 4702297 A JP4702297 A JP 4702297A JP 4702297 A JP4702297 A JP 4702297A JP H10226762 A JPH10226762 A JP H10226762A
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JP
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aqueous
water
coating film
adhesion
coating
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Shinya Yamada
真也 山田
Shoichi Watanabe
正一 渡辺
Hisashi Soma
寿 相馬
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性塗料を用いて形成される塗膜について、
金属性基材に対する付着性を高める。 【解決手段】 金属性基材に付与される水性塗料による
塗膜の付着性を高めるための付着性改良剤は、実質的に
水に不溶の溶剤と、当該溶剤に溶解されたりん酸エステ
ルとを含んでいる。ここで、溶剤は、例えば白灯油であ
る。また、りん酸エステルは、例えば、炭素数が6〜1
8個の長鎖アルキル基を有しかつ固形分酸価が100〜
500のものである。さらに、りん酸エステルは、例え
ば、溶剤中に1〜80重量%の濃度で溶解されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、付着性改良剤、塗
料組成物、塗膜構造および付着性改良方法、特に、金属
性基材に付与される水性塗料による塗膜の付着性を高め
るための付着性改良剤、金属性基材に対して付着性が良
好な塗膜を付与するための水性塗料組成物、金属性基材
に対して水性塗料による塗膜が配置された塗膜構造およ
び水性塗膜の付着性改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】例えば、自動車の車体を構成
する鋼板などの金属性の基材に対して塗膜を形成するた
めの塗料として、従来から主に溶剤系塗料が用いられて
いる。しかし、当該塗料は、必然的に有機溶剤を用いる
必要があることから環境汚染のおそれがあり、最近は使
用が制限されつつある。このため、塗料の分野では、溶
剤系塗料に代えて、有機溶剤を用いる必要性が少ない水
性塗料への転換が図られつつある。
【0003】水性塗料を用いて形成される塗膜は、強度
や質感などの点において、溶剤系塗料を用いて形成され
た塗膜に比べても遜色のない特性を発揮し得るように改
良されつつあるが、基材、特に金属性基材に対して付与
された場合の付着性が良好ではない。このため、水性塗
料を用いて形成された塗膜について、基材、特に金属基
材に対する付着性を高める必要があるが、現時点ではこ
れを達成するための有効な手段が確立されるには至って
いない。
【0004】なお、例えば特開平6−88056号公報
には、付着性が改良された水性塗料組成物が開示されて
いるが、ここでの付着性は、塗膜の層間の付着性であ
り、金属性基材に対する付着性を高める見地については
何等示されていない。
【0005】本発明の目的は、水性塗料を用いて形成さ
れる塗膜について、金属性基材に対する付着性を高める
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る塗膜の付着
性改良剤は、金属性基材に付与される、膜形成性樹脂を
含む水性塗料による塗膜の付着性を高めるためのもので
ある。この付着性改良剤は、実質的に水に不溶の溶剤
と、当該溶剤に溶解されたりん酸エステルとを含んでい
る。
【0007】ここで、溶剤は、例えば白灯油である。ま
た、りん酸エステルは、例えば、炭素数が6〜18個の
長鎖アルキル基を有しかつ固形分酸価が100〜500
のものである。さらに、りん酸エステルは、例えば、溶
剤中に1〜80重量%の濃度で溶解されている。
【0008】なお、このような付着性改良剤が適用され
る水性塗料に含まれる膜形成性樹脂は、例えば、水性ア
クリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性アルキド樹脂
およびエポキシ変性されたこれらの水性樹脂からなる群
から選ばれた少なくとも1種である。また、付着性改良
剤が適用される水性塗料による塗膜が付与される金属性
基材は、例えば、鉄、銅、アルミニウムおよびメッキ材
から選ばれたものである。
【0009】また、本発明に係る水性塗料組成物は、金
属性基材に対して付着性が良好な塗膜を付与するための
ものである。この水性塗料組成物は、水性の膜形成性樹
脂とりん酸エステルとを含んでいる。ここで、りん酸エ
ステルは、水性の膜形成性樹脂の固形分に対して固形分
換算で0.05〜10重量%に含有量が設定されてい
る。
【0010】なお、この水性塗料組成物において、水性
の膜形成性樹脂は、例えば、水性アクリル樹脂、水性ポ
リエステル樹脂、水性アルキド樹脂およびエポキシ変性
されたこれらの水性樹脂からなる群から選ばれた少なく
とも1種である。また、りん酸エステルは、例えば、炭
素数が6〜18個の長鎖アルキル基を有しかつ固形分酸
価が100〜500のものである。さらに、この水性塗
料組成物は、例えば、硬化剤をさらに含んでいる。
【0011】本発明に係る塗膜構造は、金属性基材と、
当該金属性基材上に配置された水性塗料による塗膜とを
備えている。ここで、水性塗料は、水性の膜形成性樹脂
とりん酸エステルとを含み、りん酸エステルは、水性の
膜形成性樹脂の固形分に対して固形分換算で0.05〜
10重量%に含有量が設定されている。
【0012】なお、この塗膜構造において、金属性基材
は、例えば、鉄、銅、アルミニウムおよびメッキ材から
選ばれたものである。ここで、メッキ材は、例えば、重
金属または重金属合金でメッキされた鋼材である。ま
た、重金属合金でメッキされた鋼材は、例えばターンシ
ートである。
【0013】本発明に係る水性塗膜の付着性改良方法
は、金属性基材に対して水性塗料を塗布することにより
形成される水性塗膜の付着性を高めるための方法であ
る。この方法は、実質的に水に不溶の溶剤と、当該溶剤
に溶解されたりん酸エステルとを含む付着性改良剤を予
め水性塗料中に添加する工程を含んでいる。
【0014】
【発明の実施の形態】付着性改良剤 本発明の付着性改良剤は、水性塗料からなる塗膜につい
て、金属性基材への付着性を高めるためのものである。
この付着性改良剤は、主に、溶剤と、りん酸エステルと
を含んでいる。
【0015】この付着性改良剤に含まれる溶剤は、いわ
ゆる有機溶剤であり、実質的に水に対して不溶のもので
ある。より具体的には、水に対する溶解度が1重量%以
下の溶剤である。このような溶剤としては、後述するり
ん酸エステルを溶解することができるものであれば特に
限定されるものではないが、通常、りん酸エステルの溶
解性の点で脂肪族系または芳香族系の炭化水素系溶剤が
好ましく用いられる。また、この溶剤は、沸点が50〜
200℃のものがより好ましい。沸点が50℃未満の場
合は、溶剤が揮発し易くなるため、本発明の付着性改良
剤が添加された水性塗料の安定性が低下するおそれがあ
る。逆に、200℃を超える場合は、本発明の付着性改
良剤が添加された水性塗料による塗膜中に溶剤が残存し
易くなり、塗膜性能を低下させるおそれがある。
【0016】上述のような条件を満たす炭化水素系溶剤
の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン、昭和
化学株式会社製の商品名”ソルベッソ100”および
同”ソルベッソ150”、コスモ石油株式会社製の商品
名”スワゾール1000”および同”スワゾール150
0”、並びに白灯油などを例示することができる。但
し、上述の沸点範囲の観点から、白灯油を用いるのが最
も好ましい。なお、上述の各種溶剤は、2種以上のもの
が混合して用いられてもよい。
【0017】一方、本発明で用いられるりん酸エステル
は、りん酸のアルキルエステルまたはアルキルフェニル
エステルである。特に、炭素数が6〜18個の長鎖アル
キル基を有するものが好ましく用いられる。ここで、長
鎖アルキル基の炭素数が6個未満の場合は、本発明の付
着性改良剤を水性塗料に添加しても、当該水性塗料によ
る塗膜の金属性基材に対する付着性を十分に高めること
ができない場合がある。逆に、炭素数が18個を超える
場合は、りん酸エステルが水性塗料中で結晶となって析
出し、不具合を生じる場合がある。
【0018】また、上述のりん酸エステルは、固形分酸
価が100〜500のものが好ましい。固形分酸価が1
00未満の場合は、十分な付着性改良効果を発揮できな
い場合がある。逆に、500を超える場合は、塗膜の耐
水性を低下させるおそれがある。なお、ここで言う固形
分酸価は、JIS K 007に記載の方法に基づいて
求めた値である。
【0019】本発明で用いられるりん酸エステルは、例
えば、下記の一般式(1)または(2)で示されるモノ
エステルまたはジエステルである。なお、一般式(1)
および(2)中、nは6〜18の整数を示し、mは1ま
たは2を示している。
【0020】
【化1】
【0021】このようなりん酸エステルの具体例として
は、モノ−ヘキシルアシッドホスフェート、ジ−ヘキシ
ルアシッドホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルア
シッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッド
ホスフェート、モノ−ジイソデシルアシッドホスフェー
ト、ジ−ジイソデシルアシッドホスフェート、モノ−ト
リデシルアシッドホスフェート、ジ−トリデシルアシッ
ドホスフェート、モノ−ラウリルアシッドホスフェー
ト、ジ−ラウリルアシッドホスフェート、モノ−ノニル
フェニルアシッドホスフェート、ジ−ノニルフェニルア
シッドホスフェート、モノ−ステアリルアシッドホスフ
ェート、ジ−ステアリルアシッドホスフェート、モノ−
イソステアリルアシッドホスフェート、ジ−イソステア
リルアシッドホスフェート、モノ−オレイルアシッドホ
スフェート、ジ−オレイルアシッドホスフェート、モノ
−ドデシルフェニルアシッドホスフェート、ジ−ドデシ
ルフェニルアシッドホスフェートなどを挙げることがで
きる。
【0022】本発明の付着性改良剤において、上述のり
ん酸エステルは上述の溶剤中に溶解されている。ここ
で、りん酸エステルの濃度は、通常、溶剤に対して1〜
80重量%に設定されるのが好ましい。この濃度が1重
量%未満の場合は、塗膜に対して所要の付着性を与える
ために、水性塗料中に多量の付着性改良剤を添加する必
要があり、結果的に水性塗料の安定性を損なう場合があ
る。逆に、濃度が80重量%を超える場合は、塗料中で
付着性改良剤が十分に分散しにくい場合がある。
【0023】本発明の付着性改良剤は、上述の溶剤中に
上述のりん酸エステルを所定の濃度で溶解することによ
り調製することができる。なお、この付着性改良剤は、
上述の必須成分以外の成分を含んでいてもよい。必須成
分以外の成分としては、例えば、塗料に通常添加される
各種の添加剤を挙げることができる。
【0024】この付着性改良剤は、公知の各種の水性塗
料に添加されると、当該水性塗料により形成される塗膜
の金属性基材に対する付着性を効果的に高めることがで
きる。
【0025】水性塗料組成物 本発明の水性塗料組成物は、主に、水性の膜形成性樹脂
と、りん酸エステルとを含んでいる。
【0026】本発明で利用可能な水性の膜形成性樹脂
は、公知の水性塗料に用いられれているものであれば特
に限定されるものではないが、通常は熱硬化性の水性塗
料組成物用または強制乾燥型の水性塗料組成物用として
用いられている樹脂である。このような膜形成性樹脂の
具体例としては、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル
樹脂、水性アルキド樹脂およびエポキシ変性されたこれ
らの水性樹脂を挙げることができる。
【0027】ここで、水性アクリル樹脂としては、公知
のアクリル系モノマーの重合反応により選られるものを
利用することができる。アクリル系モノマーとしては、
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタ
コン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メ
タクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタク
リル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、アクリル
酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n
−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブ
チル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−
オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル
など)、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタク
リル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル
酸トリデシルなど)、油脂脂肪酸とオキシラン構造を有
するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーと
の付加反応物(例えば、ステアリン酸とグリシジルメタ
クリレートとの付加反応物)、炭素数が3個以上のアル
キル基を含むオキシラン化合物とアクリル酸またはメタ
クリル酸との付加反応物(例えば、特許第583185
号、同第609322号に記載されたもの)、スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブ
チルスチレン、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベン
ジル、イタコン酸エステル(例えば、イタコン酸ジメチ
ルなど)、マレイン酸エステル(例えば、マレイン酸ジ
メチルなど)、フマール酸エステル(例えば、フマール
酸ジメチルなど)、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
【0028】上述の水性アクリル樹脂として好ましいも
のは、側鎖の炭素数が6〜18個であるモノマーの割合
が少なくとも5重量%のものである。このようなモノマ
ーの割合が5重量%未満の場合は、本発明の水性塗料組
成物に含まれるりん酸エステルとの相互作用が低下し、
結果的に当該水性塗料組成物により得られる塗膜の金属
性基材に対する付着性が低下する場合がある。なお、側
鎖の炭素数が18個以上のモノマーを多量に用いた場合
は、水性アクリル樹脂の水分散性が悪化するおそれがあ
る。
【0029】また、水性アクリル樹脂の数平均分子量
は、2,000〜100,000が好ましい。この分子
量が2,000未満の場合は、塗膜の耐水性が低下する
おそれがある。逆に、100,000を超える場合は、
本発明の塗料組成物の粘度が高くなり、塗装作業性等が
低下する場合がある。
【0030】なお、水性アクリル樹脂として特に好まし
いものは、上述のモノマーとしてアクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アク
リル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル
酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチルおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの
うちの1種または2種以上を用いて調製されたものであ
る。
【0031】水性ポリエステル樹脂としては、アルコー
ル類とカルボン酸類との縮合反応により得られるものが
用いられる。ここで、アルコール類としては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3―
ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5―ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9―
ノナンジオール、1,10―デカンジオール、プロピレ
ングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール、グリセリン、ブタントリオー
ル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
トリエタノールアミン、ソルビタンモノオレート、ペン
タエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ソルビ
トール、ジグリセリン、トリペンタエリスリトール、ビ
スフェノールAなどを挙げることができる。
【0032】一方、カルボン酸類としては、例えば、シ
ュウ酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル
酸、テトラクロロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、プ
ロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、トリメ
リット酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、
安息香酸、およびこれらのエステル形成誘導体(例え
ば、低級アルコールエステル、無水物、酸ハロゲン化物
など)を挙げることができる。
【0033】上述の水性ポリエステル樹脂として好まし
いものは、側鎖の炭素数が6〜18個であるモノマーの
割合が少なくとも5重量%のものである。このようなモ
ノマーの割合が5重量%未満の場合は、本発明の水性塗
料組成物に含まれるりん酸エステルとの相互作用が低下
し、結果的に当該水性塗料組成物により得られる塗膜の
金属性基材に対する付着性が低下する場合がある。な
お、側鎖の炭素数が18個以上のモノマーを多量に用い
た場合は、水性ポリエステル樹脂の水分散性が低下する
おそれがある。
【0034】水性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、
1,000〜10,000が好ましい。この分子量が
1,000未満の場合は、塗膜の耐水性が低下するおそ
れがある。逆に、10,000を超える場合は、本発明
の塗料組成物の粘度が高くなり、塗装作業性等が悪化す
る場合がある。
【0035】なお、上述の水性ポリエステル樹脂のうち
最も好ましいものは、アルコール類としてネオペンチル
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロー
ルプロパンまたはペンタエリスリトールを用い、カルボ
ン酸成分としてイソフタル酸、無水トリメリット酸、フ
タル酸またはアジピン酸を用いて調製されたものであ
る。
【0036】水性アルキド樹脂としては、油脂成分、並
びに上述の酸およびアルコール成分を用いて合成したも
のが用いられる。ここで利用可能な油脂成分としては、
例えば、ヤシ油、ヒマシ油、ヌカ油、大豆油、サフラワ
ー油、脱水ヒマシ油、アマニ油、キリ油、パーム油、ト
ール油、綿実油、およびこれらの脂肪酸を挙げることが
できる。なお、このような水性アルキド樹脂は、アルキ
ル基の炭素数が6〜18個である油脂成分の割合が少な
くとも5重量%のものが好ましい。このような油脂成分
の割合が5重量%未満の場合は、本発明の水性塗料組成
物に含まれるりん酸エステルとの相互作用が低下し、結
果的に当該水性塗料組成物により得られる塗膜の金属性
基材に対する付着性が低下する場合がある。なお、アル
キル基の炭素数が18個以上の油脂成分を多量に用いた
場合は、水性アルキド樹脂の水分散性が低下するおそれ
がある。さらに、水性アルキド樹脂の数平均分子量は、
上述の水性ポリエステル樹脂の場合と同様の理由によ
り、1,000〜10,000の範囲にあるものが好ま
しい。
【0037】なお、上述の各種水性樹脂は、2種以上の
ものが混合して用いられてもよい。
【0038】本発明で用いられる上述の各種水性樹脂
は、固形分酸価が20〜100でありかつ水酸基価が3
0〜300のものが好ましい。固形分酸価が20未満の
場合は、水分散性が低下する場合がある。逆に、固形分
酸価が100を超えると、塗膜の耐水性が低下する場合
がある。一方、水酸基価が30未満の場合は、水分散性
が低下する場合がある。また、本発明の水性塗料組成物
が後述する硬化剤を含む場合は硬化性が低下するおそれ
がある。逆に、水酸基価が300を超える場合は、本発
明の水性塗料組成物が部分的なゲルを生じるおそれがあ
り、また、塗膜の耐水性が低下する場合がある。
【0039】本発明の水性塗料組成物に含まれるりん酸
エステルは、上述の付着性改良剤に含まれるりん酸エス
テルと同様のものである。このりん酸エステルの含有量
は、通常、上述の水性の膜形成性樹脂の固形分に対して
固形分換算で0.05〜10重量%に設定されるのが好
ましく、0.1〜2重量%に設定されるのがより好まし
い。この含有量が0.05重量%未満の場合は、この塗
料組成物により形成される塗膜の金属性基材に対する付
着性を十分に高めることができない場合がある。逆に、
10重量%を超える場合は、塗膜の耐水性が低下する場
合がある。
【0040】本発明の水性塗料組成物は、所望により硬
化剤を含んでいてもよい。ここでの硬化剤は、上述の水
性の膜形成性樹脂を硬化させるためのものであり、その
種類は特に限定されるものではないが、例えば、ブロッ
ク化ポリイソシアネート化合物、メラミンホルムアルデ
ヒドなどのアルコキシ化メラミンホルムアルデヒド縮合
物、およびメトキシメチロールメラミン,イソブトキシ
化メチロールメラミン,n−ブトキシ化メチロールメラ
ミンなどのパラホルムアルデヒド縮合物のアルコキシ化
物を挙げることができる。
【0041】また、本発明の水性塗料組成物は、必要に
応じて着色顔料、体質顔料および塗料に対して通常添加
される各種の添加剤を含んでいてもよい。ここで、着色
顔料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレン
ブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミ
ネラルファストイエロー、ネーブルスイエロー、ベンジ
ジンイエロー、モリブデンオレンジ、パーマネントオレ
ンジGTR、ベンガラ、カドミウムレッド、リゾールレ
ッド、パーマネントレッド4R、ファストバイオレット
B、メチルバイオレットレーキ、金属フタロシアニンブ
ルー、ファーストスカイブルー、クロムグリーン、酸化
クロム、酸化チタン等を挙げることができる。また、体
質顔料としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸
バリウム、クレー、シリカ、タルクなどを例示すること
ができる。さらに、その他の各種添加剤としては、例え
ば、表面調整剤、粘性抑制剤(例えば、水不溶性粒子
等)、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤など
を挙げることができる。なお、これらの添加剤の添加量
は、従来からの塗料組成物の場合と同様に設定すること
ができる。
【0042】次に、上述の水性塗料組成物の調製方法に
ついて説明する。先ず、上述の水性の膜形成性樹脂を用
意し、これを中和する。ここでの中和は、膜形成性樹脂
に含まれるカルボキシル基などの酸性基を中和すること
を言い、常法に従って実施することができる。具体的に
は、膜形成性樹脂に中和剤を添加して中和することがで
きる。ここで利用可能な中和剤としては、例えば、モノ
メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モ
ノエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソ
プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメ
チルエタノールアミン、モルホリン、メチルモルホリ
ン、ピペラジン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウムなどの塩基性物質を挙げる
ことができる。なお、中和剤の使用量は、通常、膜形成
性樹脂の固形分に対して0.1〜10重量%に設定する
のが好ましい。
【0043】次に、中和された膜形成性樹脂を水で希釈
し、樹脂水溶液を調製する。希釈用の水としては、通
常、脱イオン水が用いられる。なお、ここで添加する水
の量は、本発明の水性塗料組成物中に含まれる揮発成分
のうち、水の占める割合が60重量%以上になるように
設定するのが好ましい。添加する水の量をこのように設
定しない場合は、溶剤量が増し、環境への溶剤飛散が増
大するおそれがある。
【0044】次に、得られた樹脂水溶液にりん酸エステ
ル並びに所望により硬化剤および他の添加剤を添加す
る。ここで、りん酸エステルは、上述の付着性改良剤の
形態で添加される。すなわち、りん酸エステルは、溶剤
に溶解された状態で添加される。この際、りん酸エステ
ルの添加量は、水性塗料組成物中の固形分に対して0.
05〜10重量%になるよう設定するのが好ましく、
0.1〜2重量%になるよう設定するのがより好まし
い。具体的には、水性塗料組成物中におけるりん酸エス
テルの量がこのような割合になるように、付着性改良剤
の添加量を調整する。なお、りん酸エステルの含有量が
0.05重量%未満の場合は、金属性基材に対する塗膜
の付着性を十分に高めることができない場合がある。逆
に、10重量%を超える場合は、本発明の水性塗料組成
物により得られる塗膜の耐水性が低下する場合がある。
【0045】本発明の水性塗料組成物は、上述のような
りん酸エステルを含有しているため、金属性基材に対す
る付着性の良好な塗膜を形成することができる。これ
は、りん酸エステル中の長鎖アルキル基が膜形成性樹脂
と相互に作用し合い、同時にりん酸エステル中の酸基が
金属性基材と相互に作用し合うことによるものと推定さ
れる。
【0046】塗膜構造 本発明の塗膜構造の実施の一形態を図1に示す。図にお
いて、塗膜構造1は、主に、基材2と塗膜3とを備えて
いる。
【0047】基材2は、少なくとも塗膜3が配置される
面が金属からなる金属性のものであり、全体が金属によ
り構成されていてもよいし、塗膜3が配置される表面部
分のみが金属により構成されていてもよい。後者の例と
しては、例えば、メッキ材を例示することができる。
【0048】基材2の全体が金属からなる場合、当該基
材2は、鉄、銅、アルミニウムなどの単一の金属からな
るものであってもよいし、錫、鉛、亜鉛などの重金属を
含むものであってもよい。
【0049】また、基材2がメッキ材からなる場合、当
該メッキ材の種類は特に限定されないが、例えばアルミ
ニウムメッキ、鉛メッキ、亜鉛メッキ、錫メッキ、クロ
ムメッキ、銅メッキなどが施された鋼材やプラスチック
材などを挙げることができる。なお、メッキ材が重金属
または重金属合金でメッキされた鋼材、特に、JISG
0203に規定された、錫と鉛の合金でメッキされた
鋼材であるターンシートの場合において、基材2に対す
る塗膜3の付着性の改善効果が特に顕著である。
【0050】一方、塗膜3は、上述の水性塗料組成物を
用いて構成されたものである。この塗膜3の厚さは、特
に限定されるものではないが、通常、10〜50μm程
度に設定される。
【0051】上述の塗膜構造1は、基材2の表面に対し
て上述の水性塗料組成物を塗布すると得られる。水性塗
料組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー、浸
漬、刷毛塗りなどの公知の方法を採用することができ
る。なお、塗布した水性塗料組成物は、焼付け処理する
のが好ましい。焼付け処理の条件は、通常、60〜25
0℃の温度で5〜60分に設定される。
【0052】このような塗膜構造1は、本発明の水性塗
料組成物を用いて塗膜3を形成しているため、基材2と
塗膜3との付着性が良好である。
【0053】水性塗膜の付着性改良方法 本発明に係る水性塗膜の付着性改良方法は、金属性基材
に水性塗料を塗布して水性塗膜を形成する際に、水性塗
膜と金属性基材との付着性を高めるための方法である。
なお、ここでの金属性基材は、例えば上述の塗膜構造の
説明で挙げたものと同様のものである。
【0054】この方法では、水性塗料を金属性基材に対
して塗布する前に、水性塗料に対して本発明に係る上述
の付着性改良剤を予め添加する。ここで、水性塗料は、
特に限定されるものではなく、公知の種々のものが対象
になり得る。また、付着性改良剤の添加量は、上述の本
発明に係る水性塗料組成物の場合と同様に、水性塗料組
成物中に含まれる膜形成性樹脂の固形分に対してりん酸
エステルの含有量が固形分換算で0.05〜10重量%
になるよう設定するのが好ましく、0.1〜2重量%に
なるよう設定するのがより好ましい。
【0055】このような付着性改良方法によれば、上述
の塗膜構造と同様のものが達成される。したがって、こ
の方法によれば、既存の水性塗料を用いて水性塗膜を金
属性基材に付与する際に、当該基材に対する水性塗膜の
付着性を効果的に、しかも容易に高めることができる。
【0056】
【実施例】製造例1(水性アルキド樹脂の製造) 撹拌機、温度計、還流管、デカンターおよび窒素ガス吹
き込み管を備えた四つ口フラスコを用意し、これに大豆
油脂肪酸30重量部、無水フタル酸13重量部およびト
リメチロールプロパン36重量部を導入した。これを2
20℃に加熱し、水を除去しながら縮合反応させた。な
お、この縮合反応は、水の除去が完了するまで継続し
た。次に、反応混合物に無水トリメリット酸を11重量
部加えて180℃に加熱し、水を除去しながら縮合反応
させた。この縮合反応は、反応生成物の酸価が35にな
るまで継続した。これにより、水酸基価が110、数平
均分子量が1,200の水性アルキド樹脂を得た。この
水性アルキド樹脂を固形分濃度が70重量%になるよう
ブチルセロソルブを用いて希釈した。
【0057】製造例2(水性ポリエステル樹脂の製造) 製造例1で用いたものと同様のフラスコを用意し、これ
に無水フタル酸33重量部、ネオペンチルグリコール3
5重量部、アジピン酸27重量部および1,6−ヘキサ
ンジオール14重量部を導入した。これを190℃に加
熱し、水を除去しながら縮合反応させた。なお、縮合反
応は、反応生成物の酸価が50になるまで継続した。こ
れにより、水酸基価が90、数平均分子量が800の水
性ポリエステル樹脂を得た。この水性ポリエステル樹脂
を固形分濃度が70重量%になるようブチルセロソルブ
を用いて希釈した。
【0058】製造例3(水性アクリル樹脂の製造) 撹拌機、温度計、還流管、窒素ガス吹き込み管および滴
下ロートを備えた四つ口フラスコを用意し、これにメト
キシプロパノール30重量部を仕込んで120℃に加熱
した。これに、メタクリル酸8重量部、メタクリル酸ラ
ウリル10重量部、メタクリル酸n−ブチル46重量
部、アクリル酸n−ブチル22重量部、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル14重量部、t−ブチルパーオキシ
ヘキサノエート10重量部およびメトキシプロパノール
15重量部からなるモノマー混合液を3時間かけて滴下
し、その後1時間撹拌を継続した。これにより、固形分
が65重量%の水性アクリル樹脂溶液を得た。なお、こ
の樹脂溶液に含まれるアクリル樹脂は、数平均分子量が
5,000、水酸基価が60、酸価が50であった。
【0059】製造例4(水性アクリル樹脂の製造) 製造例3で用いたものと同様のフラスコを用意し、これ
にメトキシプロパノール30重量部を仕込んで120℃
に加熱した。これに、メタクリル酸8重量部、メタクリ
ル酸n−ブチル44重量部、アクリル酸n−ブチル34
重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル14重量部
およびt−ブチルパーオキシヘキサノエート10重量部
からなるモノマー混合液を3時間かけて滴下し、その後
1時間撹拌を継続した。これにより、固形分が65重量
%の水性アクリル樹脂溶液を得た。なお、この樹脂溶液
に含まれるアクリル樹脂は、数平均分子量が5,00
0、水酸基価が60、酸価が50であった。
【0060】製造例5(溶剤型エポキシ変性アルキド樹
脂の製造) 大豆油脂肪酸40重量部、イソフタル酸27重量部、ト
リメチロールプロパン35重量部、無水トリメリット酸
7重量部を用いる点以外は製造例1と同様に操作し、酸
価が10、水酸基価が130、数平均分子量が2,00
0のアルキド樹脂を得た。これに、エポキシ樹脂(油化
シェル株式会社製の商品名”エピコート1004”)3
0重量部を加え、180℃で30分間加熱したところ、
酸価が6の均一なエポキシ樹脂変性アルキド樹脂が得ら
れた。これにブチルセロソルブを加え、固形分が70重
量%になるよう希釈した。
【0061】製造例6(水性顔料分散ペーストの製造) 製造例1で得られた水性アルキド樹脂溶液52重量部、
ジメチルエタノールアミン3重量部、酸化チタン(石原
産業株式会社製の商品名”R−930”)12重量部、
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製の商品名”
SP−200”)15重量部、沈降性バリウム(工屋カ
オリン株式会社製の商品名”沈降性バリウム100”)
2重量部および脱イオン水73重量部をサンドグライン
ドミルを用いて3時間分散混合し、顔料分散ペーストを
得た。
【0062】製造例7(水性顔料分散ペーストの製造) 製造例2で得られた水性ポリエステル樹脂溶液52重量
部、ジメチルエタノールアミン5重量部、酸化チタン
(石原産業株式会社製の商品名”CR−95”)12重
量部、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製の商
品名”SP−200”)7重量部および脱イオン水70
重量部をサンドグラインドミルを用いて3時間分散混合
し、顔料分散ペーストを得た。
【0063】製造例8(水性顔料分散ペーストの製造) 製造例3で得られた水性アクリル樹脂溶液52重量部、
ジメチルエタノールアミン5重量部、カーボンブラック
(三菱化学株式会社製の商品名”カーボンMA−10
0”)12重量部、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株
式会社製の商品名”SP−200”)15重量部、沈降
性バリウム(工屋カオリン株式会社製の商品名”沈降性
バリウム100”)2重量部および脱イオン水73重量
部をサンドグラインドミルを用いて3時間分散混合し、
顔料分散ペーストを得た。
【0064】製造例9(水性顔料分散ペーストの製造) 製造例3で得られた水性アクリル樹脂溶液に代えて製造
例4で得られた水性アクリル樹脂溶液を用い、他は製造
例8の場合と同様にして顔料分散ペーストを得た。
【0065】製造例10(溶剤型顔料分散ペーストの製
造) 製造例5で得られたエポキシ変性アルキド樹脂溶液52
重量部、酸化チタン(石原産業株式会社製の商品名”R
−930”)12重量部、炭酸カルシウム(丸尾カルシ
ウム株式会社製の商品名”SP−200”)15重量部
およびキシロール70重量部をサンドグラインドミルを
用いて3時間分散混合し、顔料分散ペーストを得た。
【0066】実施例1〜8、比較例1〜8(水性塗料組
成物の調製) 製造例6〜9で得られた顔料分散ペースト、硬化剤、お
よび付着性改良剤(ラウリルアシッドホスフェートの白
灯油溶液:濃度=30重量%)を表1に示す割合で撹拌
機を用いて混合し、塗料組成物を調製した。得られた塗
料組成物を脱イオン水を用いて希釈し、NK−2カップ
にて20℃で40秒の粘度に調整した。
【0067】得られた塗料組成物を乾燥膜厚が20μm
になるよう表1に示す基材に対してエアースプレーを用
いて塗装し、20分間常温で静置した後、さらに140
℃で20分間乾燥させた。
【0068】得られた塗膜について、形成直後の付着
性、室温において24時間脱イオン水に浸漬した後の付
着性および塩水噴霧後の付着性を評価した。評価方法は
下記の通りである。結果を表1に示す。
【0069】(形成直後の付着性)基材に達するように
カッターナイフの刃先で塗膜に1mm間隔の平行線を引
き、四方が1mmのマス目を100個形成した。この塗
膜に対して幅が2cmのセロハンテープを用いて剥離テ
ストを実施し、剥離していないマス目の数を調べた。な
お、剥離していないマス目の数が多い程、付着性は良好
である。
【0070】(脱イオン水に浸漬後の付着性)塗膜を脱
イオン水に浸漬した後、基材に達するようにカッターナ
イフの刃先で塗膜に対して長さ5cmの2本の線を互い
に60度の角度で交差するように引いた。この塗膜に対
して幅が2.4cmのセロハンテープを用いて剥離テス
トを実施し、剥離していない部分の面積の割合(%)を
調べた。なお、剥離していない面積の割合が多い程、付
着性は良好である。
【0071】(塩水噴霧後の付着性)基材に達するよう
に、カッターナイフの刃先で塗膜に対して長さが5cm
の2本の線を互いに60度の角度で交差するように引い
た。この塗膜に対し、35℃で96時間塩水を噴霧し
た。その後、幅が2.4cmのセロハンテープを用いて
剥離テストを実施し、塗膜が剥離していない部分の面積
の割合(%)を調べた。なお、剥離していない面積の割
合が多い程、付着性は良好である。
【0072】
【表1】
【0073】比較例9 製造例10で得られた溶剤型顔料分散ペースト90重量
部とメラミン硬化剤(三井サイテック株式会社製の商品
名”サイメル235”)10重量部とを撹拌機を用いて
混合した。これにより得られた塗料を溶剤(昭和化学株
式会社製の商品名”ソルベッソ100”)を用いて希釈
した。こうして調製された溶剤型塗料を上述の実施例お
よび比較例で用いたものと同様のターンシート上にエア
ースプレーを用いて塗装し、得られた塗膜の密着性を同
様に評価した。その結果、形成直後の密着性は剥離して
いないマス目の数が100であり、また、脱イオン水に
浸漬後の密着性は剥離していない面積の割合は100%
であった。
【0074】
【発明の効果】本発明に係る塗膜の付着性改良剤は、溶
剤中に上述のようなりん酸エステルを溶解したものであ
るため、水性塗料に添加すると、当該水性塗料により形
成される塗膜について、金属性基材に対する付着性を効
果的に高めることができる。
【0075】また、本発明の水性塗料組成物は、上述の
ようなりん酸エステルを含んでいるため、金属性基材に
対する付着性が良好な塗膜を形成することができる。
【0076】さらに、本発明の塗膜構造は、金属性基材
に配置された塗膜が上述のようなりん酸エステルを含む
水性塗料を用いて形成されたものであるため、金属性基
材に対する塗膜の付着性が良好である。
【0077】さらに、本発明の付着性改良方法によれ
ば、水性塗料に本発明の付着性改良剤を添加しているの
で、金属性基材に対する水性塗膜の付着性を効果的に高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る塗膜構造の縦断面
図。
【符号の説明】
1 塗膜構造 2 基材 3 塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 167/08 C09D 167/08

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属性基材に付与される、膜形成性樹脂を
    含む水性塗料による塗膜の付着性を高めるための付着性
    改良剤であって、 実質的に水に不溶の溶剤と、 前記溶剤に溶解されたりん酸エステルと、を含む塗膜の
    付着性改良剤。
  2. 【請求項2】前記溶剤が白灯油である、請求項1に記載
    の塗膜の付着性改良剤。
  3. 【請求項3】前記りん酸エステルは、炭素数が6〜18
    個の長鎖アルキル基を有しかつ固形分酸価が100〜5
    00のものである、請求項1または2に記載の塗膜の付
    着性改良剤。
  4. 【請求項4】前記りん酸エステルが前記溶剤中に1〜8
    0重量%の濃度で溶解されている、請求項1、2または
    3に記載の塗膜の付着性改良剤。
  5. 【請求項5】前記水性塗料に含まれる前記膜形成性樹脂
    は、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ア
    ルキド樹脂およびエポキシ変性されたこれらの水性樹脂
    からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項
    1、2、3または4に記載の付着性改良剤。
  6. 【請求項6】前記水性塗料による塗膜が付与される前記
    金属性基材は、鉄、銅、アルミニウムおよびメッキ材か
    ら選ばれたものである、請求項1、2、3、4または5
    に記載の付着性改良剤。
  7. 【請求項7】金属性基材に対して付着性が良好な塗膜を
    付与するための水性塗料組成物であって、 水性の膜形成性樹脂とりん酸エステルとを含み、 前記りん酸エステルは、前記水性の膜形成性樹脂の固形
    分に対して固形分換算で0.05〜10重量%に含有量
    が設定されている、水性塗料組成物。
  8. 【請求項8】前記水性の膜形成性樹脂が、水性アクリル
    樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性アルキド樹脂および
    エポキシ変性されたこれらの水性樹脂からなる群から選
    ばれた少なくとも1種である、請求項7に記載の水性塗
    料組成物。
  9. 【請求項9】前記りん酸エステルは、炭素数が6〜18
    個の長鎖アルキル基を有しかつ固形分酸価が100〜5
    00のものである、請求項7または8に記載の水性塗料
    組成物。
  10. 【請求項10】硬化剤をさらに含む、請求項7、8およ
    び9に記載の水性塗料組成物。
  11. 【請求項11】金属性基材と、 前記金属性基材上に配置された水性塗料による塗膜とを
    備え、 前記水性塗料は、水性の膜形成性樹脂とりん酸エステル
    とを含み、前記りん酸エステルは、前記水性の膜形成性
    樹脂の固形分に対して固形分換算で0.05〜10重量
    %に含有量が設定されている、塗膜構造。
  12. 【請求項12】前記金属性基材は、鉄、銅、アルミニウ
    ムおよびメッキ材から選ばれたものである、請求項11
    に記載の塗膜構造。
  13. 【請求項13】前記メッキ材は、重金属または重金属合
    金でメッキされた鋼材である、請求項12に記載の塗膜
    構造。
  14. 【請求項14】前記重金属合金でメッキされた鋼材がタ
    ーンシートである、請求項13に記載の塗膜構造。
  15. 【請求項15】金属性基材に対して水性塗料を塗布する
    ことにより形成される水性塗膜の付着性を高めるための
    方法であって、 実質的に水に不溶の溶剤と、前記溶剤に溶解されたりん
    酸エステルとを含む付着性改良剤を予め前記水性塗料中
    に添加する工程を含む、水性塗膜の付着性改良方法。
JP4702297A 1997-02-14 1997-02-14 塗膜の付着性改良剤、水性塗料組成物、塗膜構造および水性塗膜の付着性改良方法 Pending JPH10226762A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019533039A (ja) * 2016-09-15 2019-11-14 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH ワックス変性超分岐ポリオール、及びワックス変性可撓性超分岐ポリオールによるコーティング
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