JPH10225985A - 樹脂管状体の製造方法 - Google Patents

樹脂管状体の製造方法

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JPH10225985A
JPH10225985A JP2901797A JP2901797A JPH10225985A JP H10225985 A JPH10225985 A JP H10225985A JP 2901797 A JP2901797 A JP 2901797A JP 2901797 A JP2901797 A JP 2901797A JP H10225985 A JPH10225985 A JP H10225985A
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JP
Japan
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hollow workpiece
former
hollow
tubular body
workpiece
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JP2901797A
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English (en)
Inventor
Masafumi Nakamaru
雅史 中丸
Ibrahim Urashu
イブラヒム ウラシュ
Tomohiko Tanaka
智彦 田中
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観が良好で、特に周方向の引張弾性率が高
く、しかも熱可塑性樹脂の融点より数10℃低く、ガラ
ス転移温度以上の温度条件に長時間保持したときの弾性
率の低下がきわめて小さい樹脂管状体を製造する。 【解決手段】 結晶性熱可塑性樹脂からなる中空加工物
1を、ダイ2と円錐状フォーマー3との間からクランプ
5で引っ張って延伸成形する樹脂管状体の製造方法にお
いて、円錐状拡径部の半頂角が16〜30°のフォーマ
ー3を用い、該中空加工物に該結晶性熱可塑性樹脂の加
工温度における降伏歪み量よりも大きく破断歪み量より
も小さな歪みを引張方向および周方向の両方向に与えて
ネッキングを起こして延伸し、肉厚を初期肉厚の25%
より小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂管状体の製造方
法に関する。詳しくは、本発明は延伸可能な結晶性熱可
塑性樹脂の中空筒状体(加工物)を拡径させるように延
伸させて樹脂管状体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特公平4−55379号公報には、樹脂
管状体の製造方法として、延伸可能な結晶性熱可塑性樹
脂からなる中空加工物をダイの入口側から供給し、該中
空加工物の内部に配設した円錐状フォーマーを通してダ
イの出口側へ送られた中空加工物に、該中空加工物の引
張破壊を生じさせるには不十分であるが、固相で延伸変
形させるには十分な引張応力を加え、該中空加工物を延
伸変形させ、ダイの出口側からこれを回収する工程を含
む樹脂管状体の製造方法が記載されている。ここで使用
される円錐状フォーマーは、最大横断面積が該中空加工
物の中空部の初期横断面積より大きく、かつ横断面が下
流方向に増大するように配置されている。
【0003】図2は上記特公平4−55379号公報の
第4図に記載の樹脂管状体の製造方法を示すものであ
り、延伸可能な結晶性熱可塑性樹脂からなる中空加工物
11がオーブン(図示略)により加熱され、ダイ12の
内周面と円錐状のフォーマー13間を通って装置外に引
き出されている。この中空加工物(筒状体)11の先端
は引張部材(図示略)にチャックされており、該引張部
材が図の右方に移動することにより該中空加工物11に
周方向(拡径方向)及び引張方向(長手方向)の延伸処
理が施され、樹脂管状体17が製造される。
【0004】この方法によれば、軸方向および周方向に
二軸延伸され、引張弾性率などの物性が向上した樹脂管
状体を製造することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の樹脂管状体
の製造方法によって製造された樹脂管状体は、これを構
成する熱可塑性樹脂の融点より数10℃低い温度以下〜
ガラス転移温度以上の温度条件に長時間保つと物性が低
下し、かつ寸法が変化するという不具合がある。延伸工
程の条件によっては、寸法が20%以上も変化し、かつ
延伸加工前の中空加工物と同等にまで低下することがあ
り、実用上好ましくない。
【0006】これは、延伸加工時の変形歪み量が降伏歪
み量よりはるかに大きくても延伸効果が実用上十分でな
い領域が存在することを意味する。即ち、中空加工物は
実際、引張方向と周方向の二軸にわたり延伸されるの
で、特公平4−55379号公報に記載されているよう
に引張方向の延伸比のみを制御しても、周方向の延伸が
不十分となるため、このような問題が生起するものと考
えられる。
【0007】また、上記従来法では、軸方向の延伸比が
高くなると、得られる管状体の表層に軸方向に細かいす
じが発生したり、ささくれが発生する。
【0008】また、得られる管状体を埋設管として使用
する場合、特に、延伸による周方向の弾性率の向上が望
まれるが、従来法では、このような効果を確実に得るた
めの製造条件が明確に示されていない。
【0009】本発明は、延伸工程の条件を規定すること
によって、上記従来技術の問題点を解決する樹脂管状体
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂管状体の製
造方法は、延伸可能な結晶性熱可塑性樹脂からなる中空
加工物をダイの入口側から供給し、該中空加工物の内部
に配設した円錐状フォーマーを通してダイの出口側へ送
られた中空加工物に、該中空加工物に引張破壊を生じさ
せるには不十分であるが、固相で延伸変形させるには十
分な引張応力を加えることにより、該中空加工物を延伸
変形して得られる樹脂管状体をダイの出口側から回収す
る工程を含む、樹脂管状体の製造方法であって、前記フ
ォーマーの最大横断面積が該中空加工物の中空部の初期
横断面積より大きく、該フォーマーは横断面が下流方向
に増大するように配置されている樹脂管状体の製造方法
において、該フォーマーは、円錐状拡径部分の半頂角が
16〜30°であり、該中空加工物に該結晶性熱可塑性
樹脂の加工温度における降伏歪み量よりも大きく破断歪
み量よりも小さな歪みを前記引張方向および周方向の両
方向に与えてネッキングを起こさせて該中空加工物を延
伸し、得られる樹脂管状体の肉厚を該中空加工物の初期
肉厚の25%より小さくすることを特徴とする。
【0011】即ち、本発明者らは、上記従来法の不具合
を抑止できる延伸条件を鋭意検討した結果、円錐状拡径
部の半頂角が16〜30°、好ましくは20〜30°の
フォーマーを用い、中空加工物に、これを構成する結晶
性熱可塑性樹脂の加工温度での降伏歪み量、好ましくは
降伏歪み量の2倍よりも大きく破断歪み量よりも小さな
歪みを引張方向だけでなく周方向にも与えて延伸するこ
とで、ネッキングを起こさせて延伸し、得られる樹脂管
状体の肉厚を、中空加工物の初期肉厚の25%、好まし
くは20%より小さくすれば、物性、寸法を安定させる
ことができることを見出し、本発明に到達した。
【0012】本発明において、フォーマーの円錐状拡径
部の半頂角が16°未満では、このようなフォーマーを
用いて得られる樹脂管状体の肉厚を、中空加工物の初期
肉厚の25%より小さく延伸する場合の軸方向の変形歪
み量と周方向の変形歪み量のバランスが悪くなり好まし
くない。この半頂角が30°を超えると、中空加工物内
にフォーマーを通過させる際、大きな張力が必要とな
り、延伸体が破断して延伸不可能となる。
【0013】なお、本発明において、フォーマーの円錐
状拡径部の半頂角とは、フォーマーの中心軸方向に沿う
縦断面を示す図3における角θ、即ち、中心軸L1 と側
周面L2 との交叉角を指す。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。
【0015】本発明において、被延伸加工物となる「中
空加工物」とは、横断面が一定の中空の成形物で、両端
部の開放した単体あるいは同時的に成形される片端部の
み開放した連続体が挙げられる。この中空加工物の横断
面形状は、対称軸を有する形状が望ましく、例えば円
形、楕円形、正方形、長方形もしくは三角形が挙げられ
る。
【0016】中空加工物を構成する結晶性熱可塑性樹脂
は、結晶構造を含む樹脂であり、このような樹脂の好ま
しいものとしては未置換またはハロゲン置換ビニルポリ
マー、未置換もしくはヒドロキシ置換ポリエステル、ポ
リアミド、ポリエーテルケトン、ポリアセタール等が挙
げられる。より好ましくは、エチレンもしくはプロピレ
ンの線状ホモポリマーもしくは少なくとも1種類のコモ
ノマーとの線状コポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ホ
モポリオキシメチレンおよびコポリオキシメチレンが挙
げられる。
【0017】これらの熱可塑性樹脂は、ガラス、カーボ
ンなどの繊維状フィラー、タルク、マイカなどの板状フ
ィラー、あるいは炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カー
ボンなどの粒状フィラーが配合されていてもよい。
【0018】本発明に係る中空加工物は、熱可塑性樹脂
を溶融し次いで冷却することで成形できる。実際には射
出成形、押出成形を利用するのが最も実用的であるが、
切削加工により製造してもよい。
【0019】以下に図面を参照して本発明をより詳細に
説明する。
【0020】図1(a)、(b)は本発明の樹脂管状体
の製造方法において採用するのに好適な延伸成形装置の
断面図である。
【0021】中空加工物(筒状体)1はオーブン4内に
おいて加熱され、ダイ2の成形孔(リップ)の内周と円
錐状フォーマー3の外周との間を通って装置外に引き出
され、管状体7とされる。なお、この管状体7の下流側
の端部はクランプ5に把持されており、このクランプ5
が引張装置(図示略)によって定速にて図の右方へ移動
される。前記フォーマー3はシャフト6によって支持さ
れる。
【0022】この成形装置を用いて延伸を開始するに
は、中空加工物1をフォーマー3上に被せる作業が必要
である。この場合、例えば、中空加工物の端部の内面を
切削してこの作業を容易にすることができる。あるいは
中空加工物を加熱し融点以下で軟化させることでもこの
作業が容易になる。中空加工物1をフォーマー3上に被
せた後、この端部をダイ2のリップを通して突出させ、
これをクランプ5に固定して、延伸の準備が完了する。
【0023】クランプ5としては、機械式、油圧式、空
気圧式等の中空加工物把持機構を用いることができる。
このクランプ5がワイヤ、チェーン、ラックピニオン等
に媒介されモーターウインチ等の引張装置によって移動
される。なお、キャタピラ式(「CATERPILLA」は登録商
標)のパイプ等引取機を用いて連続的に引張力を中空加
工物に加えることでも延伸を実施できる。
【0024】延伸成形された管状体7を冷却する場合に
は、図1(b)に示す如く、冷却水槽8をダイ2の出口
部に配置して管状体7を水冷する。この冷却水槽8は、
対向する一対の側面に、管状体7通過用の孔8A、8B
が設けられ、この孔8A,8Bの周縁部にシール部材9
が設けられ、図示しない冷却水導入口及び排出口から冷
却水が循環される水槽であり、管状体7は、この水槽8
内を通過することで水冷される。
【0025】なお、この場合、冷却水槽8は、フォーマ
ー3上の中空加工物の一部を冷却できるような位置に設
けるのが好ましい。
【0026】このような冷却水槽8を設けて管状体を冷
却することにより、周方向の過剰延伸を防止して、外
観、物性を向上させることができる。
【0027】中空加工物をその引張方向(長手方向ない
し軸方向)及び周方向(拡径方向)の双方に延伸するこ
とを特徴とする本発明を実施するには、最大横断面積が
該中空加工物の中空部の初期横断面積より大きなフォー
マーを用い、かつこのフォーマーを横断面が下流方向に
増大するように配置し、中空加工物を構成する結晶性熱
可塑性樹脂の加工温度での降伏歪み量よりも大きい歪み
を与えられる応力、すなわち降伏応力以上の応力を中空
加工物に作用させなければならない。実際には、ダイと
フォーマー間に形成される間隙の横断面積と加工温度、
および予備実験から得られる降伏応力の温度依存性から
所要の引張力が決定される。ただし、与える引張張力の
上限は中空加工物の破壊張力より小さくなければならな
い。
【0028】本発明では、円錐状拡径部の半頂角が16
〜30°、好ましくは20〜30°のフォーマーを用
い、中空加工物に、これを構成する結晶性熱可塑性樹脂
の加工温度での降伏歪み量の好ましくは2倍よりも大き
い歪みを引張方向および周方向の両方向に与えてネッキ
ングを起こさせて延伸し、得られる樹脂管状体の肉厚を
中空加工物の初期肉厚の25%、好ましくは20%より
小さく、特に好ましくは5〜20%とする。このために
は、加工温度、延伸速度およびダイとフォーマーの間隙
の適当な組み合わせを予備実験で決定する必要がある。
加工温度は、中空加工物を構成する結晶性熱可塑性樹脂
の融点より10℃〜50℃低い温度、望ましくは融点よ
り10℃〜20℃低い温度が適当である。
【0029】中空加工物が円筒形状の場合の軸方向(引
張方向)、および周方向の「変形歪み量」は以下の式で
計算される。すなわち、 εA =Lp/Li−1 εH =(ODp/ODi+IDp/IDi)/2 ただし、εA は軸方向の変形歪み量、Lpは延伸体のマ
ーク間距離、Liは中空加工物の延伸前マーク間距離、
εH は周方向の変形歪み量、ODpは延伸体の外径、O
Diは中空加工物の延伸前外径、IDpは延伸体の内
径、IDiは中空加工物の延伸前内径である。
【0030】本発明により製造された樹脂管状体は流体
輸送管、管状構造体、柱部材、あるいは輪切りにしてベ
ルト状部材として用いることができる。さらには、得ら
れた樹脂管状体をスリッティング、ローリングを経て板
材、シート部材、あるいはその優れたバリア性を利用し
た機能性膜としても使用することができる。
【0031】
【実施例】以下、具体的な実施例及び比較例を以て本発
明をより詳細に説明する。
【0032】実施例1 結晶性を有するエチレンコポリマー(日本ポリケム社の
市販品「ノバテックHD HF410」;密度:0.9
55g/cm3 、MFR:0.06g/10分、融点:
135℃)を押出機を用いて円筒形状に溶融押出し、真
空式外径サイジング装置で外径60mm、内径30m
m、長さ1.7mの円筒型中空加工物1を製造した(中
空部初期断面積:707mm2 )。この中空加工物の一
端を長さ200mmにわたって内径55mmに、さらに
半頂角約15°で内径30mmまで連続的に減少するよ
うに機械加工をおこなった。
【0033】加工した端部の内側に、半頂角15°、最
大外径70mmの円錐を接続した治具を挿入して、該端
部から約5cm程度を120℃に加熱し、中空加工物の
加工をしていない他端面に力を加えて推進することによ
って、内径65mm、長さ約100mmのノーズ(テー
パ状部分)を形成させた。
【0034】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、120℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角25
°、最大外径62mm(最大横断面積:3019m
2 )の円錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部に
テーパーの無いダイ2(内径65mm)が設置されたオ
ーブン4中に入れ、前記ノーズを機械式クランプ5によ
り把持し、このクランプ5をウインチに連結した。
【0035】この状態で、120℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
3を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度
延伸させて停止させた。フォーマー3の下流側端部3a
がダイ2端部から3mmの位置(ダイ−フォーマー間
隙:2.8mm)になるまで、このフォーマー押し込み
作業を繰り返した。その後、ウインチの引張張力をモニ
ターしながら延伸速度10mm/分で延伸を再開し、張
力が安定したのを確認後、延伸速度を50mm/分に上
昇させて延伸した。張力は増加後漸次減少しながら安定
し、それに伴いネッキングが現れ、中空加工物が不透明
から次第に半透明に変化するのが観察された。この条件
で中空加工物1のすべてが延伸されて、外径56.8m
m、内径53.4mm、肉厚1.7mmの半透明で光沢
のある延伸エチレンコポリマー管(管状体7)を得た。
【0036】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向4.3と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は0.4と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の引張試験により120℃の降伏歪みは0.1であり、
したがって変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいこ
とを確認した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の
初期肉厚の11%であり、25%より小さいことを確認
した。
【0037】この管から、軸方向(引張方向)および円
周方向に幅15mm、長さ150mmの短冊を打ち抜
き、23℃にて24時間状態調節後、引張速度10mm
/分の引張試験により引張弾性率を測定した。その結
果、軸方向の弾性率は4.1GPa、円周方向の弾性率
は2.7GPaであった。比較のためこの材料を溶融プ
レス法で成形した2mm厚のシートの弾性率を同様の方
法で測定したところ1.0GPaであり、得られた延伸
管は軸方向と円周方向のいずれの方向にも強化された二
軸延伸体であることが確認された。
【0038】同様の方法で取得した軸方向の試験片を8
0℃のオーブン中に1時間放置した。その後23℃にて
24時間状態調節後の弾性率を測定した。その結果、軸
方向弾性率の低下率は12%と小さかった。
【0039】実施例2 結晶性を有するプロピレンホモポリマー(日本ポリケム
社の市販品「ノバテックPP EA9」;密度:0.9
0g/cm3 、MFR:0.8g/10分、融点:16
3℃)を押出機を用いて円筒形状に溶融押出し、真空式
外径サイジング装置で外径60mm、内径30mm、長
さ1.7mの円筒型中空加工物1を製造した(中空部初
期断面積:707mm2 )。この中空加工物の一端を長
さ150mmにわたって内径50mmに、さらに半頂角
約15°で内径30mmまで連続的に減少するように機
械加工をおこなった。
【0040】加工した端部の内側に、半頂角25°、最
大外径70mmの円錐を接続した治具を挿入して、端部
から約5cm程度を155℃に加熱し、中空加工物の加
工をしていない端面に力を加えて推進することによっ
て、内径65mm、長さ約100mmのノーズを形成さ
せた。
【0041】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、150℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角25
°、最大外径62mm(最大横断面積:3019m
2 )の円錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部に
テーパーの無いダイ2(内径65mm)が設置されたオ
ーブン4中に入れ、ノーズを機械式クランプ5により把
持し、このクランプ5をウインチに連結した。
【0042】この状態で、150℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
3を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度
延伸させて停止させた。フォーマー下流側端部3aがダ
イ端部から3mmの位置(ダイ−フォーマー間隙:2.
8mm)になるまで、このフォーマー押し込み作業を繰
り返した。その後、ウインチの引張張力をモニターしな
がら延伸速度10mm/分で延伸を再開し、張力が安定
したのを確認後、延伸速度50mm/分に上昇させて延
伸した。張力は増加後漸次減少しながら安定し、それに
伴いネッキングが現れ、ネッキングポイントを通過した
中空加工物が次第に不透明から透明へ変化するのが観察
された。この条件で中空加工物の実質上すべてが延伸さ
れて外径57.5mm、内径53.7mm、肉厚1.9
mmのほぼ透明な延伸プロピレンホモポリマー管を得
た。
【0043】この管の変形歪み量は予め中空加工物1に
マークした定間隔線から、軸方向4.6と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は0.4と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の引張試験により150℃の降伏歪みは0.1であり、
したがって変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいこ
とを確認した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の
初期肉厚の13%であり、25%より小さいことを確認
した。
【0044】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定したところ、軸方向の弾性率は4.9G
Pa、円周方向の弾性率は3.1GPaであった。この
材料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性
率を同様の方法で測定したところ1.2GPaであり、
得られた管は軸方向と円周方向のいずれの方向にも強化
された二軸延伸体であることが確認された。
【0045】また、実施例1と同様にして加熱による軸
方向弾性率の低下率を求めたところ、9%と小さかっ
た。
【0046】実施例3 実施例1で用いたと同様のエチレンコポリマーを押出機
を用いて円筒形状に溶融押出し、真空式外径サイジング
装置で外径60mm、内径25mm、長さ1.7mの円
筒型中空加工物1を製造した(中空部初期断面積:49
1mm2 )。この中空加工物の一端を長さ150mmに
わたって内径50mmに、さらに半頂角約15°で内径
25mmまで連続的に減少するように機械加工をおこな
った。
【0047】加工した端部の内側に、半頂角15°、最
大外径85mmの円錐を接続した治具を挿入して、該端
部から約5cm程度を120℃に加熱し、中空加工物の
加工をしていない他端面に力を加えて推進することによ
って、内径81mm、長さ約100mmのノーズを形成
させた。
【0048】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、120℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角25
°、最大外径80mm(最大横断面積:5024m
2 )の円錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部に
テーパーの無いダイ2(内径65mm)が設置されたオ
ーブン4中に入れ、前記ノーズを機械式クランプ5によ
り把持し、このクランプ5をウインチに連結した。
【0049】この状態で、120℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
3を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度
延伸させて停止させた。フォーマー3の下流側端部3a
がダイ2端部から22mmの位置(ダイ−フォーマー間
隙:2.8mm)になるまで、このフォーマー押し込み
作業を繰り返した。その後、ウインチの引張張力をモニ
ターしながら延伸速度10mm/分で延伸を再開し、約
800mm延伸して停止させた。ノーズをクランプから
はずし、長さ600mm、幅約400mm、深さ約40
0mmの冷却水槽8のシール部材9を取り付けた孔8
A、8Bに通し、再度中空加工物をクランプし、水槽8
に約6℃の冷水を循環させ、冷水がフォーマー3上の延
伸体の一部を冷やせる位置に固定した。再び、ウインチ
の引張張力をモニターしながら延伸速度10mm/分で
延伸を再開し、張力が安定したのを確認後、延伸速度を
50mm/分に上昇させて延伸した。張力は増加後漸次
減少しながら安定し、それに伴いネッキングが現れ、ネ
ッキングポイントを通過した中空加工物が不透明から次
第に半透明に変化するのが観察された。この条件で中空
加工物1の実質上すべてが延伸されて、外径80.1m
m、内径75.5mm、肉厚2.3mmの半透明で光沢
のある延伸エチレンコポリマー管を得た。
【0050】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向2.1と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は1.2と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の引張試験により120℃の降伏歪みは0.1であり、
したがって変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいこ
とを確認した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の
初期肉厚の13%であり、25%より小さいことを確認
した。
【0051】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定したところ、軸方向の弾性率は3.5G
Pa、円周方向の弾性率は3.2GPaであった。この
材料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性
率を同様の方法で測定したところ1.0GPaであり、
得られた管は軸方向と円周方向のいずれの方向にも強化
された二軸延伸体であることが確認された。特に、円周
方向の弾性率は従来技術に比較して約20%の向上効果
が確認された。
【0052】また、実施例1と同様にして加熱による軸
方向弾性率の低下率を求めたところ14%と小さかっ
た。
【0053】実施例4 実施例1で用いたと同様のエチレンコポリマー製円筒型
中空加工物1の一端を長さ150mmにわたって内径5
0mmに、さらに半頂角約15°で内径30mmまで連
続的に減少するように機械加工をおこなった。
【0054】加工した端部の内側に、半頂角15°、最
大外径85mmの円錐を接続した治具を挿入して、該端
部から約5cm程度を120℃に加熱し、中空加工物の
加工をしていない他端面に力を加えて推進することによ
って、内径81mm、長さ約100mmのノーズを形成
させた。
【0055】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、120℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角25
°、最大外径80mm(最大横断面積:5024m
2 )の円錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部に
テーパーの無いダイ2(内径65mm)が設置されたオ
ーブン4中に入れ、ノーズを機械式クランプ5により把
持し、このクランプ5をウインチに連結した。
【0056】この状態で、120℃で熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度延
伸させて停止させた。フォーマー下流側端部3aがダイ
端部から22mmの位置(ダイ−フォーマー間隙:2.
8mm)になるまで、このフォーマー押し込み作業を繰
り返した。その後、ウインチの引張張力をモニターしな
がら延伸速度10mm/分で延伸を再開し、約800m
m延伸して停止させた。次いで、実施例3と同様にして
冷却水槽8に通した後、再び延伸を再開し、張力が安定
したのを確認後、延伸速度50mm/分に上昇させて延
伸した。張力は増加後漸次減少しながら安定し、それに
伴いネッキングが現れ、ネッキングポイントを通過した
中空加工物が次第に不透明から半透明へ変化するのが観
察された。この条件で中空加工物1の実質上すべてが延
伸されて、外径79.5mm、内径75.5mm、肉厚
2.0mmの半透明の延伸エチレンコポリマー管を得
た。
【0057】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向2.0と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は0.9と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の120℃における降伏歪みは0.1であり、したがっ
て変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいことを確認
した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の初期肉厚
の13%であり、25%より小さいことを確認した。
【0058】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定したところ、軸方向の弾性率は3.4G
Pa、円周方向の弾性率は2.9GPaであった。この
材料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性
率は1.0GPaであり、得られた管は軸方向と円周方
向のいずれの方向にも強化された二軸延伸体であること
が確認された。特に、円周方向の弾性率は従来技術に比
較して約20%の向上効果が確認された。
【0059】また、実施例1と同様にして、加熱による
軸方向弾性率の低下率を求めたところ14%と小さかっ
た。
【0060】比較例1 実施例1で用いたと同様のエチレンコポリマー製円筒型
中空加工物1を、実施例1と同様の手順で加工し、12
5℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角15°、最大
外径62mm(最大横断面積:3019mm2 )の円錐
状フォーマー3を挿入して、下流側端部にテーパーの無
いダイ2(内径65mm)が設置されたオーブン4中に
入れ、ノーズを機械式クランプ5により把持し、このク
ランプ5をウインチに連結した。
【0061】この状態で、125℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度延
伸させて停止させた。フォーマー下流側端部3aがダイ
端部から30mmの位置(ダイ−フォーマー間隙:5.
5mm)になるまで、このフォーマー押し込み作業を繰
り返した。その後、ウインチの引張張力をモニターしな
がら延伸速度5mm/分で延伸した。この条件ではネッ
キング現象が現れず、管の色も不透明なままであった。
この条件で中空加工物1の実質上すべてが延伸されて、
外径58.2mm、内径48.0mm、肉厚5.1mm
の不透明白色の延伸エチレンコポリマー管を得た。
【0062】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向1.1と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は0.3と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の125℃における降伏歪みは0.1であり、したがっ
て変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいことを確認
した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の初期肉厚
の34%であり、25%より大きいことを確認した。
【0063】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定ところ、軸方向の弾性率は1.3GP
a、円周方向の弾性率は1.1GPaであった。この材
料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性率
は1.0GPaであり、得られた管は軸方向と円周方向
のいずれの方向にもわずかに強化された二軸延伸体であ
ることが確認された。
【0064】また、実施例1と同様にして加熱による軸
方向の弾性率の低下を調べたところ、弾性率は1.1G
Paとなり、延伸の効果はほとんど失われていた。
【0065】比較例2 実施例1で用いたと同様のエチレンコポリマー製円筒型
中空加工物1を、実施例1と同様の手順で加工し、12
0℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角約40°、最
大外径62mm(最大横断面積:3019mm2 )の円
錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部にテーパーの
無いダイ2(内径65mm)が設置されたオーブン4中
に入れ、ノーズを機械式クランプ5により把持し、この
クランプ5をウインチに連結した。
【0066】この状態で120℃の熱平衡に達するまで
約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加工
物の延伸を行ったが、未加工部がフォーマーに乗り上げ
る時、引張力が1.5トンを超え、延伸された場合の一
部が破断し、管状延伸体を得ることはできなかった。
【0067】上記実施例1〜4及び比較例1、2の引張
弾性率及び加熱による弾性率の低下の測定結果及び得ら
れた管の外観の観察効果を、用いたフォーマーの半頂角
及び中空加工物の初期肉厚に対する得られた管の肉厚の
割合と共に、表1に示した(ただし、比較例2は延伸不
可)。
【0068】実施例5 実施例1において、半頂角約20°、最大外径80mm
(最大横断面積:5024mm2 )のフォーマーを用
い、フォーマーの下流側端部をダイ端部から4mmの位
置(ダイ−フォーマー間隙:2.8mm)としたこと以
外は同様にして延伸(延伸中のネッキング有)を行い、
評価結果を表1に示した。
【0069】実施例6 実施例1において、半頂角約30°、最大外径80mm
(最大横断面積:5024mm2 )のフォーマーを用
い、フォーマーの下流側端部をダイ端部から2mmの位
置(ダイ−フォーマー間隙:2.8mm)としたこと以
外は同様にして延伸(延伸中のネッキング有)を行い、
評価結果を表1に示した。
【0070】比較例3 実施例1において、半頂角約15°、最大外径62mm
(最大横断面積:3019mm2 )のフォーマーを用
い、フォーマーの下流側端部をダイ端部から12mmの
位置(ダイ−フォーマー間隙:4.8mm)としたこと
以外は同様にして延伸(延伸中のネッキング有)を行
い、評価結果を表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂管状
体の製造方法によれば、引張弾性率、とりわけ周方向の
引張弾性率が著しく高く、また、樹脂管状体を構成する
熱可塑性樹脂の融点より数10℃低く、ガラス転移温度
以上の温度条件に長時間保持したときの弾性率の低下が
きわめて小さい、物性及び寸法の安定性に優れ、外観が
良好な樹脂管状体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に好適な延伸成形装置を示す模式
的な断面図である。
【図2】従来例で採用された延伸成形装置を示す模式的
な断面図である。
【図3】フォーマーの縦断面図である。
【符号の説明】
1,11 中空加工物 2,12 ダイ 3,13 フォーマー 4 オーブン 5 クランプ 6 シャフト 7,17 管状体 8 冷却水槽 9 シール部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸可能な結晶性熱可塑性樹脂からなる
    中空加工物をダイの入口側から供給し、該中空加工物の
    内部に配設した円錐状フォーマーを通してダイの出口側
    へ送られた中空加工物に、該中空加工物に引張破壊を生
    じさせるには不十分であるが、固相で延伸変形させるに
    は十分な引張応力を加えることにより、該中空加工物を
    延伸変形して得られる樹脂管状体をダイの出口側から回
    収する工程を含む、樹脂管状体の製造方法であって、 前記フォーマーの最大横断面積が該中空加工物の中空部
    の初期横断面積より大きく、該フォーマーは横断面が下
    流方向に増大するように配置されている樹脂管状体の製
    造方法において、 該フォーマーは、円錐状拡径部分の半頂角が16〜30
    °であり、 該中空加工物に該結晶性熱可塑性樹脂の加工温度におけ
    る降伏歪み量よりも大きく破断歪み量よりも小さな歪み
    を前記引張方向および周方向の両方向に与えてネッキン
    グを起こさせて該中空加工物を延伸し、 得られる樹脂管状体の肉厚を該中空加工物の初期肉厚の
    25%より小さくすることを特徴とする樹脂管状体の製
    造方法。
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