JPH1022565A - 半導体レーザ素子とその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子とその製造方法

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JPH1022565A
JPH1022565A JP17217996A JP17217996A JPH1022565A JP H1022565 A JPH1022565 A JP H1022565A JP 17217996 A JP17217996 A JP 17217996A JP 17217996 A JP17217996 A JP 17217996A JP H1022565 A JPH1022565 A JP H1022565A
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laser
thin film
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JP17217996A
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Daisuke Ide
大輔 井手
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォトレジスト技術といった複雑な工程を必
要とせず、簡単なプロセスで、レーザ端面上に二つの異
なる反射率を有する誘電体薄膜領域を形成することがで
き、高歩留まりで、良好な雑音特性をもつ半導体レーザ
素子を提供することが目的である。 【解決手段】 エッチングによって活性層3とクラッド
層2及び4とに段差を形成した後、1回の誘電体薄膜形
成工程において、共振器端面の活性層3近傍部分の反射
率が30%以上に、その他の部分の反射率が20%以下
になるように、レーザ端面上に二つの異なる膜厚を有す
る誘電体薄膜領域10を形成することによって、レーザ
素子に入射するディスクからの戻り光を、レーザへの入
射部分、即ち端面が低反射率である基板部分1にほとん
ど吸収させ、活性層4にはほとんど吸収させずに、戻り
光雑音を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は雑音特性を改善した
半導体レーザ素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からCD(コンパクトディスク)や
光ディスクメモリ等の光ピックアップ光学系において、
半導体レーザから出射された光の一部が、レーザ共振器
に帰還されると、レーザ特性に大きな変化が生じるとい
う問題がある。即ち、レーザ共振器に帰還された戻り光
は、半導体レーザの光出力,発振モード,発振スペクト
ル幅等のゆらぎ、変動等をもたらすことになり、ひいて
は、半導体レーザの雑音強度の増大を招き、システムの
特性を劣化させてしまう。
【0003】このレーザの雑音を低減する方法として
は、種々の方法が試みられている。例えば、レーザの
軸モードを安定化する方法(分布帰還型レーザ;Electr
on.Lett.,20 24 (1984) p.1008-1010)、戻り光と内
部光との干渉を防止する方法(高周波重畳;Electron.L
ett.,20,(1984) p.821、自励発振;IEEE J.QuantumEle
ctron.,QE-13, 5 (1977) p.351)、レーザ共振器への
戻り光を低減する方法(端面反射率の制御;第31回応用
物理関係連合講演会予稿集(1984) p.176)、等がある。
【0004】このうち、図7に、雑音特性上問題となる
半導体レーザの戻り光のメカニズムについて、3ビーム
方式のレーザピックアップの光学系を例にして、説明す
る。
【0005】半導体レーザ21から出射されたレーザビ
ーム22は、コリメータレンズ23に入射し、平行光に
成形された後、回折格子24に入射する。レーザビーム
22は、この回折格子24で3つのレーザビームに分割
されて、ビームスプリッタ25を透過後、対物レンズ2
6によりディスク27上に集光される。ディスク27で
反射したレーザビームは、対物レンズ26を通過し、ビ
ームスプリッタ25に入射し、その一部は、反射されて
光検出器28に入射する。この光検出器は、3分割され
たレーザビームのそれぞれを検出できるように多分割さ
れている。この検出器でトラッキングエラー信号やフォ
ーカスエラー信号の検出を行っている。
【0006】一方、光検出器28に向かって反射される
ことなくビームスプリッタ25を透過したレーザビーム
は、回折格子24に入射し、各レーザビームは再び3分
割されて、コリメータレンズ22を通過して、半導体レ
ーザ21に戻ってくる。斯るメカニズムにより、半導体
レーザに戻ってきた光を戻り光と称している。
【0007】ここで、レーザ共振器への戻り光を低減す
る方法の従来例の一つとして、図8に、レーザ端面に二
つの異なる反射率を有する誘電体薄膜領域を形成した半
導体レーザの素子構造を示す。
【0008】この半導体レーザは、一導電型半導体基板
1と、一導電型クラッド層2と,活性層3と,他導電型
クラッド層4と,他導電型キャップ層7とがこの順番に
連続的に成長され、キャップ層7面上には他導電型用電
極8が、基板1面上には一導電型用電極9が、それぞれ
形成されている。そして、ヒートシンク11上に前記電
極8が下面となるように載置され、さらにレーザ素子の
端面には、酸化防止用の保護膜として用いるとともに、
形成条件などにより反射率を制御することが可能な誘電
体薄膜が形成されている。
【0009】斯る誘電体薄膜を用いることにより、通
常、半導体レーザの共振器端面において局所的な反射率
の制御を行っている。例えば、ここでは、共振器端面の
うち、活性層3を含むクラッド層2の一部からキャップ
層7にかけての部分12と、それ以外のクラッド層2か
ら基板1にかけての部分13とは、端面反射率を変えて
いる。即ち、前者は例えば標準的な30%もしくはそれ
以上に、後者は20%以下の低反射率になるように誘電
体薄膜の厚さを設定している。
【0010】図8に示すように、ディスクからの戻り光
14及び15は、レーザ端面の2ケ所の位置に戻ってく
る。戻り光14の方は、ヒートシンク11の面は粗く乱
反射されるので、特性上問題はない。一方、戻り光15
は、レーザチップに入射する部分のレーザ端面の誘電体
薄膜を低反射率に設定してあるため、戻り光15はこの
レーザ基板1にほとんど吸収されてしまい、活性層3を
含む共振器内部にはほとんど帰還しないため、戻り光雑
音は低減される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一つの
レーザ端面上に二つの異なる反射率を有する誘電体薄膜
領域を形成する端面コーティングには、複数の製造プロ
セスが必要である。例えば、端面全面に誘電体膜を形成
後、フォトレジスト技術でパターン形成して部分的にエ
ッチンングにより除去する方法がある。その他、レーザ
端面にマスクパターンを形成し、1回目の誘電体膜の形
成を行い、次に、2回目のマスクパターンを形成し、2
回目の誘電体膜形成を行うという、個別に異なる誘電体
膜厚を形成する方法もある。いずれの方法も、製造プロ
セスが非常に複雑になり、微小領域にマスクを形成する
ことも困難であり、フォトレジストによるレーザ端面の
汚染の問題も発生する。
【0012】本発明は上述の問題点に鑑み成されたもの
であり、フォトレジスト技術を用いた複雑な工程を必要
とせず、簡単なプロセスでレーザ端面上に二つの異なる
反射率を有する誘電体薄膜領域を形成することができ、
高歩留まりで、良好な雑音特性をもつ半導体レーザ素子
とその製造方法を提供することが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、一導電型半導
体基板と、前記半導体基板上に形成された一導電型クラ
ッド層と、活性層と、他導電型クラッド層と、他導電型
キャップ層と、を有する半導体レーザ素子において、レ
ーザ光出射端面における前記活性層と、前記クラッド層
と、に段差が設けられ、前記レーザ光出射端面に誘電体
薄膜が形成されていることを特徴とする。
【0014】この場合、活性層と、クラッド層その他の
共振器端面上に形成された誘電体薄膜の厚みが異なるの
で、前記誘電体薄膜の活性層以外の部分の反射率が戻り
光に対して低反射率になるように、設定することができ
る。レーザ素子に入射するディスクからの戻り光は、入
射する基板部のレーザ端面が低反射率であるため、この
基板部でほとんど吸収され、活性層には入射しないの
で、戻り光雑音は低減される。
【0015】特に、前記活性層の層厚が0.01〜0.
1μmであり、前記活性層以外のレーザ光出射端面に形
成された前記誘電体薄膜の反射率は、20%以下である
ことを特徴とする。
【0016】この場合、例えば、波長785nmのレー
ザ素子にAl23誘電体薄膜を用いる場合の膜厚は、2
780〜4280Åが好ましく、より好ましくは、端面
反射率を10%以下とするための3030〜3950Å
である。さらに好ましくは、5%以下の反射率を得るた
めの3200〜3780Åである。反射率を低くするに
したがって、戻り光を基板部で吸収しやすくなるので、
戻り光の影響を受けない、より良好なレーザ雑音特性を
得ることができる。
【0017】特に、前記活性層のレーザ光出射端面上に
形成された誘電体薄膜の反射率は、30%以上であるこ
とを特徴とする。
【0018】この場合、前記活性層のレーザ光出射端面
上に形成された誘電体薄膜の膜厚は、2330Åとする
ことが好ましく、活性層近傍のみに限定された相対的な
高反射率膜が得られるので、レーザ特性において、安定
な低しきい値発振を維持することができる。
【0019】特に、前記レーザ光出射端面上の前記活性
層と前記クラッド層との段差が0.03〜0.32μm
であることを特徴とする。
【0020】この場合、活性層以外の誘電体薄膜の膜厚
を、2780〜4280Åに設定することができるの
で、端面反射率が20%以下の低反射となり、戻り光を
基板で吸収しやすくなるので、レーザ特性としては、戻
り光の影響を受けにくい良好なレーザ雑音特性を得るこ
とができる。
【0021】特に、前記レーザ光出射端面上の前記活性
層と前記クラッド層との段差が0.04〜0.30μm
であることを特徴とする。
【0022】この場合も、活性層の膜厚が0.05μm
のとき、活性層以外の誘電体薄膜の膜厚を、3030〜
3950Åに設定でき、端面反射率が10%以下になる
ため、より好ましい。
【0023】特に、前記レーザ光出射端面上の前記活性
層と前記クラッド層との段差が0.05〜0.28μm
であることを特徴とする。
【0024】この場合も、活性層の膜厚が0.05μm
のとき、活性層以外の誘電体薄膜の厚を、3200〜3
780Åに設定でき、端面反射率が5%以下になるた
め、さらに好ましい。
【0025】特に、前記誘電体薄膜が単層膜からなるこ
とを特徴とする。
【0026】この場合、誘電体薄膜の反射率は、その2
分の1波長の厚さごとに周期的に変化するので、端面反
射率の選択が極めて容易である。したがって、前記で設
定した誘電体薄膜の膜厚は、Al23膜の場合だと、2
分の1波長分の厚み2330Åをそれぞれに加算した値
でも可能である。
【0027】特に、前記誘電体薄膜がAl23,Si
N,SiO2膜からなることを特徴とする。
【0028】この場合、膜厚を変化させることによっ
て、単層の端面反射率を30%以下で周期的に制御する
ことができる。
【0029】特に、前記半導体基板上に、一導電型クラ
ッド層、活性層、他導電型クラッド層、他導電型キャッ
プ層を成長する工程と、レーザ光出射端面上の前記活性
層と、前記クラッド層と、に段差を設ける工程と、前記
レーザ光出射端面に誘電体薄膜を形成する工程と、を備
えることを特徴とする。
【0030】なお、半導体基板上に、一導電型クラッド
層、活性層、他導電型クラッド層、他導電型キャップ
層、を成長する工程は、通常気相成長法が用いられる。
レーザ光出射端面上の前記活性層と、前記クラッド層
と、に段差を設ける工程は、例えば、AlGaAsの選
択エッチャントによって、Al組成の小さい活性層のエ
ッチング量がクラッド層よりも大きいことによって得ら
れる。前記レーザ光出射端面に誘電体薄膜を形成する工
程は、スパッタもしくは蒸着により形成される。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態であるAlGa
As系半導体レーザ素子を図を用いて説明する。素子
は、量子井戸活性層を有する屈折率導波型レーザ構造で
あり、有機金属気相結晶成長(MOCVD)法によっ
て、作製されている。図1(a)は半導体レーザ素子の
断面構造模式図を、図1(b)はレーザ共振器方向から
見た端面近傍の側面図を示している。
【0032】図1(a)中、1はn型GaAs基板で、
この基板1上には、n型Alx1Ga 1-x1Asクラッド層
(本形態では、x1=0.7、層厚0.8〜1.2μ
m、Siドープ)2が形成されている。
【0033】このn型クラッド層2上には、GaAs多
重量子井戸層(本形態では、3層、各層厚80Å)とA
rGa1-rAs多重量子障壁層(本形態ではr=0.
5、2層、各層厚70Å)が交互に積層された量子井戸
構造からなるアンドープの活性層3が形成されている。
【0034】この活性層3上には、層厚0.1μmの平
坦部と紙面に対して垂直な方向にストライプ状リッジ部
(本形態では、断面が台形状であって、その下部幅は4
μm、上部幅は2μm、高さ0.7〜0.8μm)を有
する、p型Aly1Ga1-y1Asクラッド層(本形態で
は、y1=0.7)4が形成されている。
【0035】このp型クラッド層4のリッジ部上には、
p型AlzGa1-zAsコンタクト層(本形態ではz=
0.5、層厚0.1μm)5が形成されており、さら
に、前記p型クラッド層4の平坦部上及びリッジ部の側
面に連なって、p型クラッド層4より屈折率が小さく、
発振光のエネルギー(hν)よりエネルギーの大きなバ
ンドギャップ(Eg:Eg>hν)を有するn型AlS
1-SAs電流ブロック層(本形態ではS=0.5、層
厚0.5μm)6が形成されている。
【0036】このn型AlGaAs電流ブロック層6上
及びp型AlzGa1-zAsコンタクト層5上には、p型
GaAsキャップ層(本形態では層厚3〜5μm)7が
形成されている。そして、上記キャップ層7の上面側及
び上記基板1の下面側には電極8及び9が形成されてい
る。
【0037】同図(b)は、同図(a)で示す半導体レ
ーザ素子のレーザ端面をAlGaAs系のエッチャント
で選択エッチングすることにより、その端面を段差状と
した後、その端面に1回のプロセスでAl23の誘電体
薄膜10を形成したものである。前記エッチングによる
段差は、レーザ端面を構成する上述した各層のAl組成
の違いによって生じるものであり、この段差上に形成さ
れたAl23の誘電体薄膜10の膜厚は、活性層3の層
厚に依存するが、活性層3の端面上ではクラッド層2及
び4上に比べ薄くなる。
【0038】図2は、図1で示したAlGaAs系半導
体レーザ素子の各製造工程を示す素子構造断面図であ
る。
【0039】まず、図2(a)では、n型GaAs基板
1上に、n型AlGaAsクラッド層2、多重量子井戸
活性層3、p型AlGaAsクラッド層4、p型GaA
sコンタクト層5を、この順に連続して結晶成長する。
【0040】次に、図2(b)では、SiO2等の誘電
体マスク201を介して、p型AlGaAsクラッド層
4及びp型GaAsコンタクト層5をエッチングし、p
型AlGaAsクラッド層リッジ部4a及びp型AlG
aAsクラッド層平坦部4bからなる、紙面に対して垂
直方向に延在するストライプを形成する。
【0041】図2(c)では、p型GaAsコンタクト
層5とp型AlGaAsクラッド層4に連なって、誘電
体マスク201を介して、n型GaAs電流ブロック層
6を選択埋め込み成長する。
【0042】図2(d)で、誘電体マスク201を除去
後、p型GaAsコンタクト層5、及びn型GaAs電
流ブロック層6上に、p型GaAsキャップ層7を結晶
成長を行い、p型GaAsキャップ層7上並びにn型G
aAs基板1下に、電極を形成する。
【0043】続いて、レーザ素子全体をAlGaAsの
選択性エッチャント(例えば、酒石酸水50wt%:H22
=5:1)により、レーザ光出射端面をエッチングす
る。このとき、Al組成が0.7と最も大きいクラッド
層2及び4はほとんどエッチングされない。一方、Al
組成が0.5の活性層3はある程度エッチングされ、G
aAs基板1とGaAsキャップ層7が最も多くエッチ
ングされるので、レーザ端面には各成長層ごとに段差が
形成される。斯る端面上に、Al23膜の誘電体薄膜を
形成する。このとき、クラッド層2と4との間に挟まれ
た段差の底にあたる活性層3端面では、クラッド層やそ
の他の部分の端面に比べて、同一条件下で形成される誘
電体膜厚は薄くなる。
【0044】この結果、活性層3と、クラッド層2及び
4との段差量を設定すれば、1回の誘電体薄膜形成工程
によって、共振器端面の活性層近傍部分の反射率が30
%以上となり、その他の部分の反射率は20%以下とな
るように、一つのレーザ端面上に二つの異なる反射率を
有する誘電体薄膜領域を同時に形成することができる。
ディスクからの戻り光は、レーザへの入射部分、即ち端
面が低反射率となる基板部分にほとんど吸収され、活性
層にはほとんど吸収されないので、戻り光雑音は低減さ
れる。
【0045】次に、素子の設計条件について、以下に述
べる。
【0046】まず、図3は、Al23膜の単層構造から
なる誘電体薄膜に、785nmの波長をもつ光を照射し
た場合の、該誘電体薄膜の膜厚と反射率との関係をシュ
ミレートした計算結果で、全体として2分の1波長ごと
に、周期的に反射率が増減していることを示している。
【0047】この図より、活性層以外のレーザ端面の反
射率を20%以下とするためには、Al23の膜厚を2
780〜4280Åとすることが好ましく、より好まし
くは、レーザ端面の反射率を10%以下とするために、
Al23の膜厚を3030〜3950Åとすることであ
る。さらに好ましくは、レーザ端面の反射率を5%以下
とするために、Al23の膜厚を3200〜3780Å
とすることである。また、活性層3付近の反射率を30
%以上(所謂、低出力,低雑音仕様)にするためには、
Al23の膜厚を2330Åとすることが好ましい。
【0048】また、誘電体薄膜の反射率は、その2分の
1波長の厚さごとに周期的に変化するので、端面反射率
の選択が極めて容易である。したがって、前記で設定し
た誘電体薄膜の膜厚は、2分の1波長、即ち、Al23
膜の場合だと、2330Åをそれぞれに加算した厚みで
も可能である。
【0049】次に、段差上への誘電体薄膜の形成例を示
す。図4に示すように、段差の境界部で薄くなるような
膜厚分布になる。また、段差幅の狭い活性層3の領域で
は、段差幅の広い基板1やクラッド層部に比べて全体に
薄く形成される。この活性層3上の膜厚は、活性層厚d
と活性層3とクラッド層2及び4との段差Dとによって
決定される。
【0050】今、活性層厚dを0.01μm,0.05
μm,0.1μmとしたとき、段差Dと活性層3上に形
成される誘電体膜厚t2(段差なしのときを1として規
格化)との関係を図5に示す。D=0のとき、これはク
ラッド層2及び4、並びに基板1及びキャップ層7等、
活性層部以外の膜厚に近似される。
【0051】活性層厚dが0.01〜0.1μmの場
合、活性層3付近の反射率を30%以上とするために、
所望の誘電体膜厚を形成するための段差Dは、0.03
〜0.32μmが好ましい。また、この段差Dは、より
好ましくは、活性層以外の誘電体薄膜の膜厚を、303
0Å〜3950Åに設定するための0.04〜0.30
μmであり、さらに好ましくは、3200〜3780Å
に設定するための0.05〜0.28μmである。
【0052】例えば、活性層厚dが0.05μmの場
合、活性層3付近の反射率を30%以上とするために、
所望の誘電体膜厚を形成するための段差Dは、0.11
〜0.19μmが好ましい。また、この段差Dは、より
好ましくは、0.12〜0.17μmであり、さらに好
ましくは、0.13〜0.16μmである。
【0053】次に、図6に酒石酸水によるGaAs及び
AlGaAsのエッチング時間とエッチング量の関係を
示す。エッチャントの組成及び温度によってその選択性
も変化する。先に計算で求めた段差Dを得るためのエッ
チング条件は、酒石酸水50wt%:H22=5:1、25
℃の条件で、4〜46秒であり、より好ましくは16〜
43秒であり、さらに好ましくは7〜40秒である。
【0054】例えば、活性層厚が0.05μmの場合、
エッチング時間は、15〜27秒であり、より好ましく
は18〜25秒であり、さらに好ましくは19〜24秒
である。
【0055】本発明の実施形態では、活性層厚dは0.
01〜0.1μmであり、この範囲の任意の活性層厚d
に対する段差D及び誘電体膜厚tを設定することによっ
て実現できる。
【0056】なお、本発明の実施形態では、誘電体膜と
してSiO2を用いたが、Al23やSi34等、あら
ゆる誘電体材料に適用できる。
【0057】また、本発明の実施形態では、AlGaA
sのエッチング材料として、酒石酸水とH22の混合液
を用いたが、使用する半導体レーザ材料に対して、選択
性を持つものならば何でも良い。
【0058】また、上述の本発明の実施形態では、活性
層は多重量子井戸構造としたが、単一量子井戸構造から
なってもよく、また、非量子井戸層である活性層でもよ
い。
【0059】さらには、上述の本発明の実施形態では、
AlGaAs系の半導体レーザ素子について述べたが、
他の材料系、例えばAlGaInP系の半導体レーザ素
子にも適宜応用できる。
【0060】
【発明の効果】本発明はフォトレジスト技術といった複
雑な工程を必要とせず、簡単なプロセスで、レーザ端面
上に二つの異なる反射率を有する誘電体薄膜領域を形成
することができ、高歩留まりで、良好な雑音特性をもつ
半導体レーザ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施形態である半導体レー
ザ素子の断面構造模式図であり、(b)は、本発明の実
施形態である半導体レーザ素子の活性層近傍のバンド構
造側面図である。
【図2】本発明の実施形態である半導体レーザ素子の各
製造工程を示す断面図である。
【図3】誘電体膜厚と反射率の関係を示す図である。
【図4】本発明の実施形態である半導体レーザ素子の誘
電体膜厚を示す断面図である。
【図5】段差Dと活性層上に形成される誘電体膜厚の関
係を示す図である。
【図6】酒石酸水エッチャントのAlGaAsに対する
エッチング速度を示す図である。
【図7】光ピックアップの半導体レーザへの戻り光を説
明するための、3ビーム方式のレーザピックアップ光学
系の構造例を示す図である。
【図8】端面の反射率を部分的に替えた従来例の半導体
レーザ素子の構造図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板 2 n型AlGaAsクラッド層 3 活性層 4 p型AlGaAsクラッド層 5 p型AlGaAsコンタクト層 6 n型AlGaAs電流ブロック層 7 p型GaAsキャップ層 8 p型電極 9 n型電極 10 誘電体薄膜

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一導電型半導体基板と、前記半導体基板
    上に形成された一導電型クラッド層と、活性層と、他導
    電型クラッド層と、他導電型キャップ層と、を有する半
    導体レーザ素子において、レーザ光出射端面における前
    記活性層と、前記クラッド層と、に段差が設けられ、前
    記レーザ光出射端面に誘電体薄膜が形成されていること
    を特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記活性層の層厚が0.01〜0.1μ
    mであり、前記活性層以外のレーザ光出射端面に形成さ
    れた前記誘電体薄膜の反射率は、20%以下であること
    を特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記活性層のレーザ光出射端面上に形成
    された前記誘電体薄膜の反射率は、30%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の半導体レーザ素
    子。
  4. 【請求項4】 前記レーザ光出射端面上の前記活性層と
    前記クラッド層との段差が0.03〜0.32μmであ
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の半導体レ
    ーザ素子。
  5. 【請求項5】 前記レーザ光出射端面上の前記活性層と
    前記クラッド層との段差が0.04〜0.30μmであ
    ることを特徴とする請求項4記載の半導体レーザ素子。
  6. 【請求項6】 前記レーザ光出射端面上の前記活性層と
    前記クラッド層との段差が0.05〜0.28μmであ
    ることを特徴とする請求項5記載の半導体レーザ素子。
  7. 【請求項7】 前記誘電体薄膜が単層膜からなることを
    特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は6記載の半
    導体レーザ素子。
  8. 【請求項8】 前記誘電体薄膜がAl23又はSiN又
    はSiO2膜のいずれかからなることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、又は7記載の半導体レーザ
    素子。
  9. 【請求項9】 前記半導体基板上に、一導電型クラッド
    層、活性層、他導電型クラッド層、他導電型キャップ層
    を成長する工程と、レーザ光出射端面上の前記活性層
    と、前記クラッド層と、に段差を設ける工程と、前記レ
    ーザ光出射端面に誘電体薄膜を形成する工程と、を備え
    ることを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
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