JPH102202A - タービン静翼 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】静翼のダイヤフラム外輪や内輪で生じる二次流
れと主流との干渉を低減することにより、タービン段落
の流れ性能を向上するタービン静翼を提供する。 【解決手段】ダイヤフラム外輪３とダイヤフラム内輪４
の間に形成される環状流路内に、複数枚の静翼１と複数
枚の動翼２で構成される軸流タービンの段落において、
静翼１は根元から先端にかけて多断構造とし、静翼１の
中間断面の出口角は、ダイヤフラム外輪３側の出口角よ
りも小さく、かつダイヤフラム内輪４側の出口角よりも
大きい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は蒸気タービンやガス
タービンなどの軸流流体機械の静翼構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】タービン段落での流体の流れは複雑な３
次元流れとなるが、タービン性能の向上を図る上で、内
部損失を低減する段落流路の適正化がすすめられてい
る。しかしながら、その方法はまだ十分なものとは言え
ず大きな課題となっている。

【０００３】これらの回避方法として従来より次のよう
な構造が考案されている。

【０００４】一つは、図４に示すように静翼１を動翼２
の回転方向６に対してある角度（接線方向傾き角７）傾
けて取り付ける構造。あるいは、図５に示うように静翼
の根元では動翼の回転方向に傾き角９を設け、先端では
動翼の回転方向とは逆方向に傾き角１０を設ける構造な
どがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、次の
ような課題がある。

【０００６】図２に一般のタービン段落の子午面形状を
示す。静翼１は動翼２への流れを制御するものであり、
ダイヤフラム外輪３とダイヤフラム内輪４により支えら
れている。一方、動翼２はロータ５に埋め込められ、静
翼１に対向して下流側に配設される。タービン段落に供
給された蒸気または燃焼ガス等の作動流体は静翼１を通
過する際、周方向に十分な旋回力が与えられた後、対向
する動翼２に吹き付けられる。そして最終的には作動流
体の旋回力は動翼２を介してロータ５の回転力に変換さ
れる。

【０００７】このようなタービン段落を形成する静翼１
で、幾何学的な特性のため個々の静翼間で形成される流
路では大きな圧力勾配が存在する。この圧力勾配は、円
周方向及び半径方向にそれぞれ存在する。また、静翼１
では図３に示すように流れが転向することによって、遠
心力の影響により腹側から背側にかけて向かう二次流れ
１４が発生し、背側に衝突して巻上がる二次渦１５を発
生する。このような二次流れや圧力勾配は作動流体の主
流に影響を及ぼし、複雑な３次元流れを助長し、流れの
エネルギが散逸するため、内部損失をもたらす。

【０００８】本発明の目的は、静翼のダイヤフラム外輪
や外輪で生じる二次流れと主流との干渉を低減すること
により、タービン段落の流れ性能を向上するタービン静
翼を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のタービン静翼は、静翼の後縁端の出口角をダイヤフラ
ム外輪側では中間部よりも大きく、ダイヤフラム内輪で
は中間部よりも小さくすることにより、各断面で旋回流
れの流速が変わり、遠心力の影響による半径方向の流れ
の干渉を制御できるという着想に基づき考案されたもの
である。

【００１０】本発明は、ダイヤフラム外輪とダイヤフラ
ム内輪の間に形成される環状流路内に、複数枚の静翼と
複数枚の動翼で構成される軸流タービンの段落におい
て、前記静翼は根元から先端にかけて多断面構造とし、
該静翼の中間断面の出口角は、ダイヤフラム外輪側の出
口角よりも小さく、かつダイヤフラム内輪側の出口角よ
りも大きいことを要点とする。

【００１１】本発明によるタービン静翼を用いれば、静
翼のダイヤフラム外輪側の軸方向に遅い流れは、ダイヤ
フラム外輪側で中間部よりも遠心力の影響を大きく受
け、半径方向ではダイヤフラム外輪近傍に向かって偏
る。一方、静翼のダイヤフラム内輪側の軸方向に遅い流
れは、ダイヤフラム内輪側で中間部よりも遠心力の影響
が小さいので、半径方向はダイヤフラム内輪近傍に淀む
ように偏る。そのため、ダイヤフラム外輪や内輪で生じ
る遅い流れや二次流れ渦は、通常の流れに比べて壁面近
くに偏るために、静翼中間部を流れる主流流れとの半径
方向での干渉が小さくなる。そのため、静翼間の流れの
損失が低減でき、ひいてはタービン段落での流れ性能は
向上する。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図１，
図３及び図６を用いて詳細に説明する。

【００１３】図１は、本発明を取り入れたタービン静翼
の説明図である。また、図３は一般的なタービン静翼間
の翼間流路の説明図、図６は静翼下流側の流れ方向の逆
方向から見た静翼の説明図である。

【００１４】第１実施例である図１で、１は静翼、３は
ダイヤフラム外輪、４はダイヤフラム内輪を各々示し、
３１はダイヤフラム外輪側出口角、４１はダイヤフラム
内輪側出口角を示す。また、図６で７０は主流の遠心力
による旋回流れ、７１はダイヤフラム外輪側の旋回流
れ、７２はダイヤフラム外輪側の旋回流れを示す。

【００１５】さて、蒸気あるいは燃焼ガスなどの作動流
体が、図３で表したタービン段落を通過する場合、図中
２０で表した矢印の方向に主流は流れる。この際、翼間
流路の転向に伴い、主流は遠心力を受けるので、ダイヤ
フラム外輪３やダイヤフラム内輪４では、図中の１４で
示す二次流れが発生する。二次流れ１４は静翼の腹側１
２から背側１１に向かう流れであるので、背側１１に衝
突して巻きあがり、図中１５で示した二次渦を発生させ
る。これに対し、本発明を取り入れたタービン静翼で
は、全体として図１に示すようにダイヤフラム外輪側の
静翼出口角部３１は中間部の出口角よりも大きく、ダイ
ヤフラム内輪側の静翼出口角部４１は中間部の出口角よ
りも小さく構成する。そのため、図６の模式図で示した
ように、ダイヤフラム外輪近くの流れが受ける遠心力の
影響は、中間部の流れよりも大きいので、ダイヤフラム
外輪と静翼の腹側部のコーナで、主流の遠心力による旋
回流れ７０がダイヤフラム外輪側の旋回流れ７１と干渉
しあい、ダイヤフラム外輪を沿って流れる二次流れの影
響を弱めることができる。また、ダイヤフラム内輪近く
の流れが受ける遠心力の影響は、中間部の流れよりも小
さいので、ダイヤフラム内輪と静翼の腹側部のコーナで
主流の遠心力による旋回流れ７０がダイヤフラム内輪側
の旋回流れ７２と干渉しあいかつ流れがよどみ、ダイヤ
フラム内輪を沿って流れる二次流れの影響を弱めること
ができる。従って、ダイヤフラムの外輪側と内輪側で二
次流れ１４の大きさが抑制されることによって、最終的
には、静翼背側で生じる二次渦の大きさが小さくなるこ
とから作動流体の主流流れに影響を及ぼすことなく安定
した流れを得られる。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、静翼の腹側とダイヤフ
ラムの外輪，内輪で形成されるコーナ近くで、二次流れ
を抑制し、静翼背側で生じる二次渦等と主流との干渉を
低減できるので、タービン段落の流れ性能を向上するタ
ービン静翼が構成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す説明図。

【図２】一般のタービン段落を示す説明図。

【図３】一般のタービン段落の流れを示す説明図。

【図４】従来の実施例を示す説明図。

【図５】従来の実施例を示す説明図。

【図６】本発明の第１の実施例を示す説明図。

【符号の説明】

１…静翼、３…ダイヤフラム外輪、４…ダイヤフラム内
輪、２０…主流、３１…ダイヤフラム外輪側出口角、４
１…ダイヤフラム内輪側出口角。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ダイヤフラム外輪とダイヤフラム内輪の間
   に形成される環状流路内に、複数枚の静翼と複数枚の動
   翼で構成される軸流タービンの段落において、前記静翼
   は根元から先端にかけて多断面構造とし、前記静翼の中
   間断面の出口角は、ダイヤフラム外輪側の出口角よりも
   小さく、ダイヤフラム内輪側の出口角よりも大きいこと
   を特徴とするタービン静翼。