JPH10219584A - メカニカルパルプ含有紙の製造方法及びその紙 - Google Patents

メカニカルパルプ含有紙の製造方法及びその紙

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JPH10219584A
JPH10219584A JP3146597A JP3146597A JPH10219584A JP H10219584 A JPH10219584 A JP H10219584A JP 3146597 A JP3146597 A JP 3146597A JP 3146597 A JP3146597 A JP 3146597A JP H10219584 A JPH10219584 A JP H10219584A
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Japan
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pulp
mechanical pulp
bacterial cellulose
strength
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JP3146597A
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Hideomi Matsuoka
英臣 松岡
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NIPPON P M C KK
Japan PMC Corp
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NIPPON P M C KK
Japan PMC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】新聞紙等のメカニカルパルプ含有紙の抄紙時の
湿紙の強度を向上し、断紙を防ぎ、濾水性を維持し、高
速抄紙を可能にし、得られた紙の不透明度を低下させな
いようにすること。 【構成】メカニカルパルプ含有の原料パルプにバクテリ
アセルロースを混合して抄紙するメカニカルバルプ含有
紙の製造方法、その紙及び新聞紙等。 【効果】上記目的を達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロース生産能力を
有する微生物が生産するバクテリアセルロースを利用し
て、メカニカルパルプを含有するパルプ原料を用いて抄
紙する際に湿紙強度を向上させ、抄紙時の断紙を抑え
て、効率的にメカニカルパルプ含有紙の抄造を行なうこ
とができるメカニカルパルプ含有紙の製造方法及びその
紙に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の紙の消費量の増加にともない、製
紙業界では生産性を向上させるために、製紙装置の抄紙
機、プレス装置、ドライヤーなどの改良あるいは開発を
行なうことにより抄紙速度を向上させる検討が行われて
おり、年々抄紙速度は向上している。このような状況の
もとで、特にメカニカルパルプを原料として使用してい
る新聞用紙などの坪量の低い紙(40〜49g/m2
では、抄紙速度の向上及び紙の軽量化を行なおうとする
と、抄紙時に湿紙の紙切れが起こるので、これを防ぐた
めに「つなぎ」として針葉樹クラフトパルプを原料のパ
ルプに配合することが行われている。ところで、セルロ
ース生産能力を有する微生物が生産するバクテリアセル
ロースを抄紙工程で用いる方法としては、例えば特開昭
62−36467号公報には、フェノール積層板用の紙
を得るためにバクテリアセルロースをパルプ等と混抄す
ることによりシートの乾燥強度を向上させることが記載
され、また、特開昭63−295793号公報には、バ
クテリアセルロースと填料を凝集剤で凝集させてパルプ
に添加する填料内添紙の製造方法が記載され、また、特
開平1−246495号公報には、バクテリアセルロー
スとカチオン性高分子をパルプに添加し、填料及び微細
繊維の歩留まりを向上させる方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようなメカニカルパルプと針葉樹クラフトパルプを混抄
するような方法では、特に低坪量の紙を製造する場合に
は紙の不透明度が低下するという紙としての重要な性質
が損なわれるという問題があり、これを解決するために
填料を添加してその不透明度の低下を補おうとすること
も行われているが、今度は湿紙の強度を低下させ、高速
抄紙には耐えられなくなり、今後、さらに紙の軽量化及
び抄紙速度の向上が見込まれるなかで、湿紙の強度と紙
の不透明度の両方を満足させることはできず、その解決
策が望まれていた。また、上述の各公報に記載されたバ
クテリアセルロースを利用する抄紙方法は、いずれもメ
カニカルパルプを主体とするパルプ原料を用いた旨の記
載はないのみならず、フェノール積層板用の紙(成形材
料用紙)や広葉樹クラフトパルプを使用した紙について
の具体的な記載があるに過ぎず、メカニカルパルプとバ
クテリアセルロースを組み合わせた選択的効果について
は全く示唆もない。このことは、バクテリアセルロース
をメカニカルパルプ以外のクラフトパルプ等と混合して
抄紙すると濾水性が著しく悪化し、操業性が低くくなる
ことからも明らかである。
【0004】本発明の第1の目的は、メカニカルパルプ
を主体としたパルプ原料を用いた抄紙工程において湿紙
の強度を向上することができるメカニカルパルプ含有紙
の製造方法及びその紙を提供することにある。本発明の
第2の目的は、メカニカルパルプを主体に用いて得られ
る紙の不透明度を低下させることのないメカニカルパル
プ含有紙の製造方法及びその紙を提供することにある。
本発明の第3の目的は、抄紙工程における断紙が起こら
ないようにして抄紙速度を高めることができるメカニカ
ルパルプ含有紙の製造方法及びその紙を提供することに
ある。本発明の第4の目的は、抄紙工程における濾水性
を損なわず操業性の点から実用化し得るメカニカルパル
プ含有紙の製造方法及びその紙を提供することにある。
本発明の第5の目的は、上記第2〜4の目的を高効
率、簡単、低コストで実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、メカニカ
ルパルプ含有紙の抄紙時の湿紙強度を向上させる方法に
ついて鋭意研究した結果、セルロース生産能力を有する
微生物が生産するバクテリアセルロースを、メカニカル
パルプを含有するパルプ原料に少量添加することによ
り、紙の不透明度を低下させることがなく、抄紙時にお
ける良好な湿紙強度が得られることを見いだし、本発明
をするに到った。すなわち、本発明は、上記課題を解決
するために、(1)、メカニカルパルプを含有するパル
プ原料にセルロース生産能力を有する微生物が生産する
バクテリアセルロースを混合して抄紙するメカニカルパ
ルプ含有紙の製造方法を提供するものである。また、本
発明は、(2)、セルロース生産能力を有する微生物が
生産するバクテリアセルロースのメカニカルパルプに対
する割合が0.05〜10重量%である上記(1)のメ
カニカルパルプ含有紙の製造方法、(3)、メカニカル
パルプの全パルプ原料に対する割合が10%より少なく
ない上記(1)又は(2)のメカニカルパルプ含有紙の
製造方法、(4)、上記(1)ないし(3)のいずれか
のメカニカルパルプ含有紙の製造方法により製造された
メカニカルパルプ含有紙、(5)、新聞用紙、印刷用紙
又は情報用紙である上記(4)のメカニカルパルプ含有
紙を提供するものである。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おけるバクテリアセルロースとは、微生物により生産さ
れるセルロース及び/又はセルロースを主鎖としたヘテ
ロ多糖を含むもの及び/又はβ−1,3、β−1,2等
のグルカンを含むものが挙げられる。このヘテロ多糖の
セルロース以外の混成成分はマンノース、フラクトー
ス、ガラクトース、キシロース、アラビノース、ラムノ
ース、グルクロン酸等の六炭糖、五炭糖及び有機酸等で
ある。セルロースを生産する微生物としては、Acet
obacter属(アセトバクター属)、Pseudo
monas属(シュードモナス属)Agrobacte
rium属(アグロバクテリウム属)等に属する微生物
が挙げられるが、特にAcetobacter xyl
inum(アセトバクター キシリナム)が好ましい。
なお、セルロースを生産する微生物は上記微生物に限定
されるものではなく、上記各公報に記載されたその他の
セルロースを生産する微生物であればいずれも使用でき
る。上記微生物を培養するための培地組成としては、通
常これらの微生物が生育し得るものであれば天然培地及
び合成培地のいずれでも使用でき、培地は固体又は液体
培地のいずれでも良い。例えば、炭素源としてグルコー
ス、フラクトース、シュークロース、N−アセチルグル
コサミン、グルコサミン、澱粉加水分解物、パルプスラ
ッジ加水分解物等の糖類、酢酸、クエン酸などの有機酸
類、エタノール、グリセロール等のアルコール類などが
挙げられ、窒素源としてペプトン、肉エキス、酵母エキ
ス、タンパク質加水分解物、アミノ酸などの一般天然窒
素源のほかに尿素、有機アンモニウム塩、硝酸塩などが
使用できる。その他、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄
塩、カルシウム塩、リン酸などの無機塩類などが必要に
応じて適宜使用される。セルロースを生産する微生物の
培養は、慣用その他の方法で行うことができる。通常、
培養温度は20〜40℃、好ましくは25〜35℃、p
H3〜8.5、好ましくはpH4.5〜6.5の条件下
で、振とう培養、通気撹拌培養あるいは静置培養などの
手段により好気的条件下に行われる。
【0007】本発明によるバクテリアセルロースを含有
する紙の製造方法においては、上記微生物を前記のごと
き培養条件下で培養して得られたバクテリアセルロース
を、更に分散・離解して用いるのが好ましい。なお、培
養して得られたバクテリアセルロースは必要に応じてオ
ートクレーブ滅菌、アルカリ処理、酸処理、水洗処理な
どの精製処理を施してもよく、更に、グリシジルトリメ
チルアンモニウムクロライド、2−クロロエチルジメチ
ルアミンなどの公知のカチオン化剤で、カチオン化して
使用してもよい。バクテリアセルロースの分散・離解処
理は慣用その他の方法で実施することができるが、具体
的には、離解機、ミキサー、ビーター、リファイナー、
ホモジナイザーなどが例示できる。なお、Kajaan
i繊維長測定装置FS−200(KAJAANI EL
ECTORONICSS社製)にて測定した、本発明に
おけるバクテリアセルロース分散物の長さ加重平均繊維
長は0.30〜1.92mmであり、特に好ましい長さ
加重平均繊維長は0.45〜1.01mmである。前述
のごとき繊維長のバクテリアセルロース分散・離解物
は、例えば家庭用ミキサーを用いた場合には20秒〜3
0分間分散・離解して得られるが、静置培養して得られ
たバクテリアセルロースの場合、2分以上分散・離解し
た場合に未分散・未離解物の少ない良好なバクテリアセ
ルロース分散・離解物が得られるので好ましい。離解時
間が20秒未満ではバクテリアセルロースが完全に分散
・離解されないため、抄紙時の湿紙強度の良好な向上効
果が得られないばかりでなく、紙にバクテリアセルロー
スの未分散・未離解物の斑点ができるので好ましくな
い。また、ミキサーで30分以上離解してもバクテリア
セルロースの分散・離解度は殆ど進まないため生産効率
が悪くなるので好ましくない。
【0008】本発明によるメカニカルパルプとは、木材
あるいはチップを機械的に処理して製造した晒あるいは
未晒パルプであり、具体的にはSGP(ストーン砕木パ
ルプ)、RMP(リファイナー機械パルプ)、TMP
(サーモ機械パルプ)、PGP(加圧砕木パルプ)等が
挙げられるが、これらに限定されるものではなく、木材
あるいはチップを機械的に処理して製造したパルプであ
ればいずれも使用できる。本発明におけるメカニカルパ
ルプを含有するパルプ原料とは、メカニカルパルプを少
量含有すればよく、好ましくはメカニカルパルプを10
〜100%含有するパルプ原料であり、メカニカルパル
プ以外のパルプ原料としては、クラフトパルプあるいは
サルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、新
聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙等の
古紙パルプのいずれも使用することができる。また、上
記パルプ原料と石綿、ポリアミド、ポリイミド、ポリエ
ステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール等の合
成繊維との混合物としても使用することができる。な
お、メカニカルパルプの含有率が10%未満であると、
バクテリアセルロースによる抄紙時の湿紙強度の十分な
向上効果が得られない場合がある。本発明は種々の紙の
製造に用いることが出来るが、例えば新聞用紙、印刷用
紙、情報用紙等が挙げられる。さらに印刷用紙(印刷機
で印刷される紙)としては、メカニカルパルプを含有す
る印刷用紙、グラビア用紙、塗工印刷用紙、微塗工印刷
用紙、特殊印刷用紙等が挙げられ、情報用紙(情報機器
あるいは事務用機器を用いて文字、図形等が複製される
紙)としてはメカニカルパルプを含有する複写用紙、感
光紙用紙、フォーム用紙、PPC用紙、熱転写紙、イン
クジェット紙、計測記録用紙、感熱紙原紙、感圧紙原紙
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】本発明によるバクテリアセルロースは、メ
カニカルパルプに直接添加するか、あるいはメカニカル
パルプとその他のパルプ原料とを混合した後に添加して
もよい。本発明によるバクテリアセルロースをパルプ原
料に添加する添加場所については特に制限はなく、ミキ
シングチェスト、マシンチェスト、種箱、ファン・ポン
プ、スクリーン等に添加することができる。パルプ原料
には必要に応じて、通常使用する他の製紙用薬品、すな
わち澱粉および各種変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、カルボ
キシメチルセルロース、ポリアミドポリアミン−エピク
ロルヒドリン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミ
ンホルムアルデヒド樹脂等の紙力増強剤、ロジン系サイ
ズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤やアルケニル
無水コハク酸系サイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸
化チタン、クレー、尿素樹脂等の填料、歩留まり向上
剤、染料、蛍光染料、スライムコントロール剤、消泡剤
等の紙の製造で使用される添加物を必要に応じ使用する
ことができる。また、サイズプレス、ゲートロールコー
ター、キャレンダー、ビルブレードコーター等でポリア
クリルアミド、澱粉および各種変性澱粉、ポリビニルア
ルコール、染料、コーティングカラー、防滑剤等を必要
に応じ使用することができる。なお、メカニカルパルプ
を除くクラフトパルプ等にバクテリアセルロースを添加
する公知のバクテリアセルロースを抄紙工程で用いる方
法では、バクテリアセルロースを添加することにより濾
水性が著しく悪化して、操業性が悪化するためその実用
化は困難である。これに対して、本発明によるバクテリ
アセルロースを用いた湿紙強度の向上方法は、バクテリ
アセルロースをメカニカニルパルプを含有するパルプ原
料に添加しても濾水性は全く悪化しないため、バクテリ
アセルロースの効果的な使用方法である。
【0010】本発明で用いるバクテリアセルロースの添
加量は、バクテリアセルロースの繊維長、粒径などの形
状またはメカニカルパルプあるいはメカニカルパルプを
含有するパルプ原料の種類、繊維長、強度などに依存す
るが、メカニカルパルプの絶乾重量当り固形分で0.0
5%〜10%の添加が好ましい。例えば、SGPのみの
パルプ原料に長さ加重平均繊維長0.52mmのバクテ
リアセルロースを対パルプ1.0%添加したパルプ原料
を使用して得られた湿紙(水分率55〜60%)の強度
は、SGP/針葉樹晒クラフトパルプ=9/1の混合パ
ルプを用いた湿紙に対比して同等以上の湿潤強度を有す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下の実施例の同効の範囲まで拡
大すると、メカニカルパルプとしてストーン砕木パル
プ、リファイナー機械パルプの単独あるいは両者を全パ
ルプ原料の5〜100%用いた混合スラリーに、Ace
tobacter xylinum ATCC(Ame
rican type culture collec
tion)10245(アセトバクター・キシリナムA
TCC 10245)を静置培養し、さらに分散・離解
し、長さ加重平均繊維長0.30〜1.92mmのバク
テリアセルロース分散・離解物を対パルプ0.05〜1
0重量%添加し、さらに硫酸バン土を対パルプ0.5〜
3.0重量%添加してもよく、pH4〜7.5で抄紙を
行なうことができ、坪量40〜49g/m2 の新聞用紙
とすることもできるメカニカルパルプ含有紙を製造す
る。このようにして抄紙すると、湿紙の強度を高め、濾
水性を損なわず、高速抄紙をすることができ、しかも得
られたメカニカルパルプ含有紙の不透明度を低下させな
いようにできる。
【0012】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。また、各実施例における%はいずれも重量%であ
る。なお、実験に使用した培地は常法にて滅菌した培地
を使用した。 参考例1 下記に示した培地400mlに、Acetobacte
r xylinumATCC(American ty
pe culture collection)102
45(アセトバクター・キシリナムATCC 1024
5)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養を行っ
た。培養後、培養液上に形成したバクテリアセルロース
のゲル状の膜を回収し、1%水酸化ナトリウム水溶液に
1日間浸漬し、次いで1%酢酸水溶液に1日間浸漬した
後、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。洗浄後の
ゲル状の膜200g(湿潤重量)に水を200g加えた
後、家庭用ミキサーで5分間離解し、長さ加重平均繊維
長0.52mmのバクテリアセルロース分散物を得た。 (培地) グルコース 2.0% バクトペプトン 0.5% 酵母エキス 0.5% クエン酸 0.115% リン酸水素2ナトリウム 0.27% pH 6.0
【0013】実施例1 パルプ濃度が2.4%のストーン砕木パルプスラリー
(カナディアンスタンダードフリーネス=88ml)
に、参考例1で示したバクテリアセルロース分散物を固
形分で対パルプ1.0%、硫酸バン土1.5%を添加
後、pH5.0の希釈水で、このパルプスラリー濃度を
0.25%まで希釈した。次いで、ノーブルアンドウッ
ド抄紙機の金網の上に幅30mm、長さ90mmの試験
片が3枚取れる取り枠を置いて抄紙し、湿紙の水分率が
57.5%、55%になるようにプレス機でプレスして
坪量80g/m2 の2種類の湿紙試験片を得た。得られ
た湿紙試験片について、裂断長を測定して湿紙強度を評
価した。その結果を表1 に示す。また、試験片取り枠を
置かずに抄紙し、ドラムドライヤーを用いて100℃で
80秒間の条件で湿紙を乾燥した。得られた乾燥試験紙
を恒温恒湿(20℃、60%相対湿度) 環境下で24時
間調湿した後、不透明度の測定を行った。結果を表1 に
示す。なお、裂断長の測定はJIS P−8113の方
法、不透明度の測定はJISP−8138の方法に準じ
て行った。
【0014】
【表1】
【0015】比較例1 実施例1において、バクテリアセルロースを使用しない
こと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片及び乾燥
試験紙について同様に試験した結果を表1 に示す。
【0016】比較例2 実施例1において、バクテリアセルロースを使用しない
こと、及びストーン砕木パルプ(メカニカルパルプ)と
針葉樹晒クラフトパルプ(カナディーンスタンダードフ
リーネス=550ml)を9対1で混合したパルプ原料
を使用したこと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験
片及び乾燥試験紙について同様に試験した結果を表1に
示す。
【0017】表1の結果より、メカニカルパルプのみを
原料して使用して得られた湿紙の強度に比べ、メカニカ
ルパルプにバクテリアセルロースを1.0%添加したパ
ルプ原料を使用して得られた湿紙の強度は向上し、不透
明度も低下しないことがわかる。一方、メカニカルパル
プ/針葉樹晒クラフトパルプ=9/1の混合パルプを用
いた湿紙の強度は、メカニカルパルプのみを原料として
使用して得られた湿紙の強度に比べて若干向上するが、
不透明度が低下することがわかる。これらに対し、メカ
ニカルパルプにバクテリアセルロースを1.0%添加し
たパルプ原料を使用して得られた湿紙の強度は、メカニ
カルパルプ/針葉樹晒クラフトパルプ=9/1の混合パ
ルプを用いた湿紙の強度よりも優れており、なおかつメ
カニカルパルプ/針葉樹クラフトパルプ=9/1の混合
パルプを用いた場合のような不透明度の低下は認められ
ないことが分かる。
【0018】実施例2 パルプ濃度が2.4%のストーン砕木パルプスラリー
(カナディアンスタンダードフリーネス=78ml)と
リファイナー機械パルプスラリー(カナディアンスタン
ダードフリーネス=73ml)を2対3で混合した混合
パルプに、参考例1で示したバクテリアセルロース分散
物を固形分で対パルプ1.0%と、3.0%加えた2種
類のバクテリアセルロース添加パルプスラリーを用意
し、さらにそれぞれに硫酸バン土1.5%を添加後、p
H5.0の希釈水で、それぞれのパルプスラリー濃度を
0.25%まで希釈した。これらのバルプスラリーにつ
いて濾水性(DDT)の測定を行った。その結果を表2
に示す。次いで、実施例1と同様に抄紙してそれぞれ水
分率60%、57.5%の2種類の湿潤試験片を作製す
るとともに、乾燥した後、調湿した試験紙を作製し、こ
れらの湿紙試験片及び乾燥試験紙について実施例1と同
様に試験した結果を表2に示す。なお、DDTは下記の
方法に準じて測定した。DDT・・・Tappi jo
urnal第56巻、第10号(1973年)の第46
頁に記載されている「Dynamic Drainag
e Jar」と同様な装置を用いて、パルプスラリー5
00mlを直径7.5cmのジャー(Jar)に注ぎ、
800rpmで攪拌しながら下部コックを開き、100
メッシュ(mesh)金網にて濾過させ、濾液量が一定
になるまでの時間を測定するものであり、濾水性の評価
に用いることができる。ここでは、濾液量が100gに
なるまでの時間を測定した。すなわち、濾液量が100
gになるまでの時間が短い程、濾水性が良いことを示
す。
【0019】比較例3 実施例2において、バクテリアセルロース分散物を使用
しないこと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片及
び乾燥試験紙について同様に試験した結果と、使用した
パルプスラリーのDDTを測定した結果を表2に示す。
【0020】比較例4 実施例2において、バクテリアセルロース分散物を使用
しないこと、及びストーン砕木パルプとリファイナー機
械パルプが2対3の割合で混合されている混合パルプ
(メカニカルパルプ)と針葉樹クラフトパルプ(カナデ
ィアンスタンダードフリーネス=540ml)を9対1
で混合したパルプ原料を使用したこと以外は同様にして
抄紙し、その湿紙試験片及び乾燥試験紙について同様に
試験した結果を表2に示す。
【0021】表2の結果より、メカニカルパルプのみを
原料として使用して得られた湿紙の強度に比べ、メカニ
カルパルプにバクテリアセルロースを1.0%又は3.
0%添加したパルプ原料を使用して得られた湿紙の強度
は向上し、不透明度も低下しないことがわかる。また、
バクテリアセルロースを添加しても濾水性が全く悪化し
ないことがわかる。一方、メカニカルパルプ/針葉樹晒
クラフトパルプ=9/1の混合パルプを用いた湿紙の強
度は、メカニカルパルプのみを原料として使用して得ら
れた湿紙の強度に比べて若干向上するが、不透明度が低
下することがわかる。これらに対し、メカニカルパルプ
にバクテリアセルロースを1.0%添加したバルプ原料
を使用して得られた湿紙の強度は、メカニカルパルプ/
針葉樹晒クラフトパルプ=9/1の混合パルプを用いた
湿紙の強度よりも優れており、なおかつメカニカルパル
プ/針葉樹クラフトパルプ=9/1の混合パルプを用い
た場合のような不透明度の低下は認められないことが分
かる。
【0022】
【表2】
【0023】実施例3 実施例1において、パルプ原料として広葉樹晒クラフト
パルプ(カナディアンスタンダードフリーネス=517
ml)とストーン砕木パルプ(カナディアンスタンダー
ドフリーネス=88ml)を9対1で混合した混合パル
プを使用したこと、および坪量を65g/m2 に設定し
たこと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片及び乾
燥試験紙について同様に試験した結果を表3に示す。
【0024】実施例4 実施例1において、パルプ原料として広葉樹晒クラフト
パルプ(カナディアンスタンダードフリーネス=517
ml)とストーン砕木パルプ(カナディアンスタンダー
ドフリーネス=88ml)を95対5で混合した混合パ
ルプを使用したこと、および坪量を65g/m2 に設定
したこと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片及び
乾燥試験紙について同様に試験した結果を表3に示す。
【0025】比較例5 実施例3において、バクテリアセルロースを使用しない
こと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片及び乾燥
試験紙について同様に試験した結果を表3に示す。
【0026】比較例6 実施例4において、パクテリアセルロースを使用しない
こと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片及び乾燥
試験紙について同様に試験した結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3の結果より、クラフトパルプとメカニ
カルパルプを9対1または95対5で混合した混合パル
プのみをパルプ原料として使用して得られた湿紙の強度
に比べ、バクテリアセルロースを1.0%添加したパル
プ原料を使用して得られた湿紙の強度は向上し、不透明
度も低下しないことが分かる。
【0029】比較例7 実施例2において、パルプ原料として広葉樹晒クラフト
パルプ(カナディアンスタンダードフリーネス=517
ml)を使用したこと、及び坪量を65g/m2 に設定
したこと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片の湿
紙強度及び使用したパルプスラリーのDDTを測定した
結果を表4に示す。なお、DDTの測定は濾液量が35
0gになるまでの時間を測定した。
【0030】比較例8 比較例7において、バクテリアセルロースを使用しない
こと以外は同様にして抄紙し、その湿紙試験片の湿紙強
度及び使用したパルプスラリーのDDTを測定した結果
を表4に示す。なお、DDTの測定は濾液量が350g
になるまでの時間を測定した。
【0031】
【表4】
【0032】表4の結果より、メカニカルパルプを含有
しない広葉樹晒クラフトパルプにバクテリアセルロース
を添加しても湿紙の強度は全く向上せず、しかもかえっ
て濾水性が著しく悪化することが分かる。
【0033】以上の結果より、実施例のものは、比較例
のバクテリアセルロースを使用しない場合に比べて、湿
紙の強度(裂断長)を9〜60%向上させ、また、不透
明度を若干向上させることができる。また、バクテリア
セルロースを併用した場合には、メカニカルパルプを主
として使用した実施例のものは、クラフトパルプを主と
して使用した比較例に比べ濾水性が悪化しないことが分
かる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、メカニカルパルプを主
体としたパルプ原料を用いた抄紙工程において湿紙の強
度を向上することができ、紙の不透明度を低下させるこ
とがなく、抄紙工程で断紙が起こらないようにして抄紙
速度を高めることができるとともに濾水性を損なわず操
業性の点から実用化し得、高効率、簡単、低コストで実
現することができるメカニカルパルプ含有紙の製造方法
及びその紙を提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メカニカルパルプを含有するパルプ原料
    にセルロース生産能力を有する微生物が生産するバクテ
    リアセルロースを混合して抄紙するメカニカルパルプ含
    有紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 セルロース生産能力を有する微生物が生
    産するバクテリアセルロースのメカニカルパルプに対す
    る割合が0.05〜10重量%である請求項1に記載の
    メカニカルパルプ含有紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 メカニカルパルプの全パルプ原料に対す
    る割合が10%より少なくない請求項1又は2に記載の
    メカニカルパルプ含有紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のメ
    カニカルパルプ含有紙の製造方法により製造されたメカ
    ニカルパルプ含有紙。
  5. 【請求項5】 新聞用紙、印刷用紙又は情報用紙である
    請求項4記載のメカニカルパルプ含有紙。
JP3146597A 1997-01-31 1997-01-31 メカニカルパルプ含有紙の製造方法及びその紙 Pending JPH10219584A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011214162A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Arakawa Chem Ind Co Ltd 製紙用填料分散液および填料含有紙

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