JPH1021841A - イオンビーム立上げ方法 - Google Patents

イオンビーム立上げ方法

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JPH1021841A
JPH1021841A JP8167967A JP16796796A JPH1021841A JP H1021841 A JPH1021841 A JP H1021841A JP 8167967 A JP8167967 A JP 8167967A JP 16796796 A JP16796796 A JP 16796796A JP H1021841 A JPH1021841 A JP H1021841A
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gas
plasma
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JP8167967A
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Mitsunori Nakamura
光則 中村
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Nissin Electric Co Ltd
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Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体試料を使用してイオンビームを立上げる
場合に、固体試料のイオンビームを確実に形成すると共
に、イオンビーム立上げ処理に要する時間の短縮化を図
る。 【解決手段】 先にキャリアガスとしての気体試料のプ
ラズマを得てから、固体オーブンの温度が固体試料が気
化すると予想される温度以上の所定温度に達した後に、
一旦、気体試料の流量を低下させ(S12)、このとき
の引出電流の測定値に基づいて、固体試料のプラズマの
発生を確認する(S15)。また、気体試料の流量を低
下させたときに測定した引出電流に基づいて、固体オー
ブンの設定温度を調整する(S14・S17)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属等の固体試料
を用いてイオン源を運転する際のイオンビーム立上げ方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】イオン注入装置は、拡散したい不純物を
イオン化し、この不純物イオンを磁界を用いた質量分析
法により選択的に取り出してイオンビームとし、所望エ
ネルギーのイオンビームを被処理物に照射することで、
被処理物内に不純物を注入するものであり、半導体プロ
セスにおいてデバイスの特性を決定する不純物を任意の
量および深さに制御性良く注入できることから、現在の
集積回路の製造に重要な装置になっている。
【0003】そして、従来より、マス値、ビーム電流、
ビームエネルギーといった注入条件を入力するだけで、
上記イオン注入装置の各部の動作を制御して装置の立上
げを自動的に行うイオン注入制御装置が用いられてい
る。
【0004】上記イオン注入制御装置には、幾つかの注
入条件およびそれに対応する各種パラメータの最適値が
予め登録されており、オペレータによって注入条件が設
定されれば、通常、以下のようにしてイオン注入装置の
立上げが実施される。
【0005】先ず、イオン注入制御装置は、予め登録さ
れているパラメータに基づいて補間を行い、与えられた
注入条件に対する各種パラメータの初期値を近似的に求
める。
【0006】次に、イオン注入制御装置は、イオン源に
関するパラメータが上記で求めた初期値になるようにイ
オン源の制御を行い、プラズマチャンバ内に導入されて
いる物質をプラズマ化してイオンビームの引き出しを可
能にし、この後、引出電源を投入してイオンビームを引
き出す。上記イオン源に関するパラメータとしては、例
えばフリーマン型やバーナス型のイオン源では、ガス流
量、固体オーブン温度、アーク電流、ソースマグネット
電流等、また、ECR(Electron Cyclotron Resonanc
e)イオン源では、ガス流量、固体オーブン温度、マイ
クロ波電源電圧、ソースマグネット電流等である。
【0007】次に、イオン注入制御装置は、加速電圧が
初期値になるように加速電源を制御し、ビームエネルギ
ーを設定した後、質量分析部に与えられる分析マグネッ
ト電流を調整し、マスサーチ処理を行う。さらにその
後、イオン源に関するパラメータ等の調整によってビー
ム電流調整を行う。以上の処理により、装置立上げモー
ドが完了し、次の注入処理モードに移行する。
【0008】ところで、金属等の固体試料を用いてイオ
ンビームを得る場合は、先ず、キャリアガスとなる気体
試料だけをプラズマチャンバ内に導入してプラズマを点
灯させ、プラズマチャンバからイオンを引き出してビー
ムを抽出し、その後に固体試料を固体オーブン内で気化
させてプラズマチャンバ内に導入する方法が用いられる
ことがある。この方法を用いれば、最初から気化させた
固体試料をプラズマチャンバ内に導入してプラズマを点
灯させることが困難な場合でも、比較的容易に固体試料
を用いたプラズマ点灯が可能となる。
【0009】上記の方法の詳細は、上記のように気体試
料だけを使用してプラズマを発生させ、このプラズマ発
生と同時に、固体試料を加熱気化するために固体オーブ
ンの温度を設定し、固体オーブンによる固体試料の加熱
を開始させる。その後、固体オーブンの温度の上昇によ
って気化した固体試料はプラズマチャンバ内へ導入され
る。そこで、固体オーブンの温度が、固体試料が気化す
ると予想される温度に達した後、キャリアガスとなる気
体試料の供給を完全に停止させ、これにて固体試料によ
るプラズマを得ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来で
は、固体オーブンの温度が固体試料の気化予想温度に達
したか否かのみを、固体試料によるプラズマ発生の判断
材料とし、キャリアガスとなる気体試料の供給停止制御
を行っているので、固体オーブン温度の設定ミスや計測
ミスが生じた場合、キャリアガスとなる気体試料の供給
を停止させたとき、得られていたプラズマが消失してし
まうことがある。そこで、通常、このような不都合を回
避するため、固体オーブンの温度を高めに設定したり、
或いはプラズマが消失した際のリカバリー処理をイオン
注入制御装置に追加することにより対処している。この
ため、以下に示すように、固体試料によるイオンビーム
を得るまでの効率が悪く立上げに時間がかかり、ビーム
が安定しないという問題がある。
【0011】すなわち、キャリアガスとなる気体試料の
供給を停止させる際には、気体試料供給源(ガスボンベ
等)の導入バルブを閉じるまでの制御として、配管内に
残留しているガスを真空ポンプにて排出する等の時間の
かかる制御が行われる。このため、気体試料の供給停止
から、プラズマが消失した際のリカバリー処理として再
び導入バルブを開けて気体試料の流量を制御するまでを
含めると、相当な時間のロスがある。このため、ビーム
の立上げ完了までに長時間がかかるので、気体試料の供
給の停止・再開は出来るだけ避けたい処理である。
【0012】そこで、気体試料の供給を停止した場合に
固体試料によるプラズマがなるべく消失しないようにす
るために、固体オーブンの温度を予め高めに設定するこ
とになるが、この場合、固体試料によるイオンビームが
得られた後に固体オーブンの設定温度を低下させる処理
を行わなければならず、立上げ後のイオンビームの安定
性が損なわれる。
【0013】本発明は上記に鑑みなされたものであり、
その目的は、固体試料を用いてイオン源を運転する際の
イオンビーム立上げ処理を確実且つ効率よく行い、その
立上げ処理に要する時間の短縮化を図ることができるイ
オンビーム立上げ方法を提供することにある。本発明の
その他の目的は、安定したイオンビームを確実に得るこ
とができるイオンビーム立上げ方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るイ
オンビーム立上げ方法は、固体オーブンの加熱によって
気化された固体試料がプラズマチャンバ内へ導入される
前に、キャリアガスとなる気体試料を気体試料供給源か
らプラズマチャンバへ供給して気体試料によるプラズマ
を生成し、プラズマチャンバ内で固体試料のプラズマが
生成された後に気体試料供給源からの気体試料の供給を
停止して固体試料によるイオンビームを形成するイオン
ビーム立上げ方法であって、固体オーブンの温度が固体
試料が気化すると予想される温度以上の所定温度に達し
た後、気体試料供給源からの気体試料の供給を停止する
ことなく、気体試料供給源とプラズマチャンバとの間に
設けられた流量調節手段(例えば、流量コントローラ)
によって気体試料の流量を低下させる工程と、気体試料
の流量を低下させているときに、プラズマチャンバから
引き出されたイオンビームが引出電極に衝突して当該引
出電極に流れる引出電流を測定し、この引出電流が所定
値以上であるか否かを判断する工程と、上記引出電流が
所定値より小さいときには上記流量調節手段によって気
体試料の流量を再び増加させて気体試料のプラズマを再
点灯させ、上記引出電流が所定値以上になったときのみ
気体試料供給源からの気体試料の供給を停止する工程と
を含んでいることを特徴としている。
【0015】上記の構成によれば、先に気体試料のプラ
ズマを得てから、固体オーブンの温度が固体試料が気化
すると予想される温度以上の所定温度に達した後に、一
旦気体試料の流量を低下させる。
【0016】ここで、気体試料の流量を低下させると
は、気体試料供給源とプラズマチャンバとの間に設けら
れた流量調節手段によって気体試料の流量を低下させる
ものであり、気体試料供給源からの気体試料の供給を停
止する場合のような配管内の残留ガスの排出制御等の時
間のかかる制御を必要としない。
【0017】上記のようにキャリアガスの流量を低下さ
せると、充分にキャリアガスが供給されていた環境下で
は得られていたはずの固体試料のプラズマも、固体オー
ブンが充分に昇温しておらず固体試料の気化量が充分で
なければ消失してしまう。一方、固体オーブンが充分に
昇温していれば、固体試料のプラズマは維持され、プラ
ズマチャンバから引き出されるイオンビームの大部分は
固体試料から生じたイオンとなる。
【0018】そこで、キャリアガスの流量を低下させた
ときの引出電流の測定値に基づいて、固体試料のプラズ
マの発生を確認するようになっている。ここで、引出電
流とは、プラズマチャンバから引き出されたイオンビー
ムが引出電極に衝突して当該引出電極に流れる電流であ
って、キャリアガスの流量を低下させたときにこの引出
電流を確認する(所定値以上か否かを見る)ことによっ
て、固体試料のプラズマが維持されているか或いは消失
しているかを判断することができる。
【0019】上記引出電流が所定値より小さいときには
固体試料のプラズマが消失していると考えられるので、
上記流量調節手段によって気体試料の流量を再び増加さ
せて気体試料のプラズマを再点灯させる。この場合も、
気体試料供給源からの気体試料の供給を停止していない
ので、流量調節手段を使用した流量調節だけで簡単且つ
短時間で気体試料のプラズマを再点灯させることができ
る。そして、上記引出電流が所定値以上になったとき
に、気体試料供給源からの気体試料の供給を停止する。
【0020】このように、キャリアガスの流量を低下さ
せても固体試料のプラズマが維持されることを確認して
から、気体試料供給源からの気体試料の供給を停止する
ので、その後に従来のような時間のかかるリカバリー処
理を必要とせず、イオンビーム立上げ処理を確実且つ効
率よく行い、その立上げ処理に要する時間の短縮化を図
ることができる。
【0021】請求項2の発明に係るイオンビーム立上げ
方法は、請求項1の発明において、さらに、気体試料の
流量を低下させているときに測定した引出電流に基づい
て、固体オーブンの設定温度を調整する工程を含んでい
ることを特徴としている。
【0022】上記の構成によれば、気体試料の流量を低
下させているときに測定した引出電流に基づいて、例え
ば引出電流の大小によって固体オーブンの設定温度を下
げる又は上げるという調整を行うので、固体試料のプラ
ズマが安定して得られる適切なオーブン温度条件に設定
することができる。そして、この場合、この温度調整は
固体試料のイオンビームが得られた時点ですでに完了し
ていることになるので、立上げ後のイオンビームの安定
性に優れている。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0024】本実施の形態に係るイオン注入制御装置1
1は、図3に示すイオン注入装置の各部の動作を制御し
て、本発明に係るイオンビーム立上げ方法を自動で行う
ものである。
【0025】上記イオン注入装置は、プラズマチャンバ
4内でプラズマを生成し、プラズマ中のイオンをプラズ
マチャンバ4の外部へ引き出してイオンビームを形成す
るイオン源1と、上記イオン源1で形成されたイオンビ
ームに対して質量分析を行って所望質量のイオンのみを
選択的に取り出す質量分析電磁石2と、シリコンウエハ
等の被処理物を所定の注入処理位置に保持してビーム照
射処理を行うためのエンドステーション3とを備えてい
る。
【0026】尚、図示しないが、上記イオン源1からエ
ンドステーション3までのイオンビームの経路中には、
必要によって静電加速管等の加速手段、Qレンズ等のビ
ーム整形手段、或いはビーム走査手段等が設けられる。
【0027】上記イオン源1は、内部に導入された試料
をプラズマ化するためのプラズマチャンバ4と、上記プ
ラズマチャンバ4の周囲に設けられてその内部に磁場を
形成するためのソースマグネット5と、プラズマチャン
バ4から電界によってイオンを引き出すための引出電極
6とを備えている。上記ソースマグネット5には、その
コイルに電流を供給するためのソースマグネット電源1
3が接続されている。
【0028】また、上記引出電極6には、当該引出電極
6とプラズマチャンバ4との間に引出電圧を印加するた
めの引出電源ユニット14が接続されている。図4に示
すように、引出電源ユニット14には、引出電極6に流
れる引出電流を測定する電流測定計18が設けられてい
る。この引出電流の測定について次に説明する。
【0029】上記引出電極6にはビーム通過孔6aが形
成されており、引出電極6に向かって引き出されたイオ
ンビームの一部は引出電極6に衝突し、ビーム通過孔6
aを通過したイオンビームのみが下流へと進む。引出電
極6に衝突したイオンビームによって発生した電荷は、
引出電源ユニット14を通って基準電位(アース電位)
へと流れる。そこで、引出電源ユニット14内に上記電
流測定計18を設け、引出電源19に流れる電流を測定
すれば、引き出されているイオンビームの量に応じた引
出電流(引出電極6に流れる電流)を測定することがで
きる。
【0030】上記引出電源ユニット14の電流測定計1
8で測定された値は、イオン注入制御装置11へ取り込
まれ、後述のようにイオンビーム立上げ制御のためのパ
ラメータとして使用される。
【0031】図3に示すように、上記プラズマチャンバ
4には、固体試料を加熱気化する固体オーブン7が導入
パイプ8を介して接続されている。上記固体オーブン7
のON/OFF動作や加熱温度等は、オーブン制御ユニ
ット12によって制御される。さらに、上記プラズマチ
ャンバ4には、気体試料の供給源である気体試料供給源
17が、導入パイプ9を介して接続されている。
【0032】上記の気体試料供給源17には、固体試料
を使用する際にキャリアガスとして使用されるArガス
等を充填したガスボンベ、BF3 等の動作ガスを充填し
たガスボンベ、ガス配管、ガス配管内の残留ガスを排出
する真空ポンプ等を含んでいる。
【0033】そして、上記導入パイプ9には、気体試料
供給源17からプラズマチャンバ4へ供給されるガスの
流量を調節するための流量コントローラ10が設けられ
ている。
【0034】尚、イオン源には例えばフリーマン型、バ
ーナス型、或いはECR型等様々な種類のイオン源が存
在するが、上記イオン源1としては、どの様な種類のも
のでも使用できる。例えばフリーマン型やバーナス型の
イオン源の場合、上記プラズマチャンバ4内にフィラメ
ントが設けられ、また、ECRイオン源の場合、上記プ
ラズマチャンバ4には導波管を介してマグネトロンが接
続される。
【0035】上記イオン注入制御装置11は、オーブン
制御ユニット12に温度設定信号aを出力して固体オー
ブン7の加熱温度を調整し、流量コントローラ10に流
量設定信号bを出力して気体試料のプラズマチャンバ4
への導入量を調整し、ソースマグネット電源13にソー
スマグネット電流設定信号cを出力してソースマグネッ
ト5のコイルに流すソースマグネット電流を調整し、引
出電源ユニット14に引出電圧設定信号dを出力して引
出電圧(引出電極6とプラズマチャンバ4との間の電位
差)を調整する。また、イオン注入制御装置11は、気
体試料供給源17に対して、気体試料の供給開始及びそ
の停止の制御も行う。さらに、イオン注入制御装置11
は、例えばフリーマン型やバーナス型のイオン源の場合
にはフィラメント加熱用電源やアーク放電用電源の制御
等を行い、ECRイオン源の場合にはマイクロ波電源の
制御等を行う。
【0036】また上記イオン源1の後段に設けられた質
量分析電磁石2には、分析電磁石電源15から励磁用電
力が供給されるようになっており、上記イオン注入制御
装置11は、上記分析電磁石電源15に分析電磁石電流
設定信号eを出力して、質量分析電磁石2のコイルに流
す分析電磁石電流を調整する。
【0037】また、注入処理位置に保持された被処理物
に対してビーム照射処理を行うエンドステーション3に
は、イオンビームを収集するための図示しないファラデ
ーケージ型のカップ(以下、ファラデーカップと称す
る)が設けられており、当該ファラデーカップに照射さ
れたイオンビームの電流が、ビーム電流測定部16にお
いて測定されるようになっている。そして、このビーム
電流測定値は、イオン注入制御装置11に取り込まれ、
装置立上げ処理の際の各種パラメータの調整に用いられ
る。
【0038】上記イオン注入制御装置11は、マイクロ
コンピュータ等によって構成され、与えられた注入条件
(マス値、ビーム電流、ビームエネルギー)になるよう
に各種パラメータを自動調整する。このイオン注入制御
装置11は、種々のエネルギー域・ビーム電流域毎に代
表的な立上げパラメータ(以下、基本運転パラメータと
称する)を記憶するハードディスク装置等の補助記憶装
置11a、およびオペレータによる注入条件の設定等を
行うための操作部11bを具備している。上記補助記憶
装置11aに記憶されている基本運転パラメータは、予
めオペレータがマニュアルでイオン注入装置を適正状態
に立上げることによって採取したパラメータである。
【0039】上記の構成において、金属等の固体試料を
用いてイオン源1を運転する場合のイオン注入制御装置
11によるイオン注入装置の立上げ処理を、図1および
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】先ず、オペレータによって注入条件(マス
値、ビーム電流、ビームエネルギー)が与えられれば、
イオン注入制御装置11は、与えられた注入条件に対応
するパラメータの初期値を、補助記憶装置11aに記憶
されている基本運転パラメータに基づいて取得する(図
1のS1)。尚、与えられた注入条件が補助記憶装置1
1a内に無い場合は、その注入条件に近い2個の基本運
転パラメータの値から線形一次補間で算出した値を、パ
ラメータの初期値とする。
【0041】次に、イオン注入制御装置11は、オーブ
ン制御ユニット12に温度設定信号aを出力して固体オ
ーブン7の温度を上記S1で取得した初期値に設定する
(S2)。
【0042】次に、イオン注入制御装置11は、気体試
料供給源17を制御して、Arガス等のキャリアガス
(気体試料)の供給を開始させる(S3)と共に、流量
コントローラ10に流量設定信号bを出力してキャリア
ガスの流量を所定値(ここでは1ccとする)に設定す
る(S4)。
【0043】次に、イオン注入制御装置11は、上記S
1で取得したパラメータの初期値に基づいてイオン源1
の各部を制御し、プラズマチャンバ4内でキャリアガス
を用いてプラズマを点灯させるための処理を行わせる
(S5)。詳しくは、ソースマグネット電源13にソー
スマグネット電流設定信号cを出力すると共に、フリー
マン型やバーナス型のイオン源の場合にはフィラメント
加熱用電源やアーク放電用電源の制御、ECRイオン源
の場合にはマイクロ波電源の制御等を行う。これによ
り、プラズマチャンバ4内にプラズマが点灯し、イオン
ビームの引き出しが可能な状態になれば、続いて引出電
源ユニット14に引出電圧設定信号dを出力してイオン
ビームの引き出し制御を行う(S6)。これにより、プ
ラズマチャンバ4と引出電極6との間に一定の引出電圧
(たとえば、40kV)が印加され、正イオンが引き出
されてイオンビームが形成される。
【0044】その後、イオン注入制御装置11は、固体
オーブン7の温度が上記のS2で設定した値に到達する
まで温度監視を行い(S7)、固体オーブン7の温度が
当該設定温度に到達すれば、イオンビームの安定性を判
断する(S8)。このS8では、例えば次のような判断
がなされる。すなわち、1分間に電流測定計18により
測定される引出電流値の変動量が5%以内であるか否か
の判断である。
【0045】上記のS8においてビームの安定性が確認
できた後、イオン注入制御装置11は、電流測定計18
により測定される引出電流が所定の第1基準値(ここで
は5mAとする)以上であるか否かを判断する(S
9)。当該第1基準値は、キャリアガスのみのプラズマ
が発生している場合に得られる引出電流値よりも大きな
値であり、キャリアガスの供給を停止しても固体試料の
プラズマが消失しないと考えられる状態のときに得られ
る引出電流値(引出電圧等のビーム引き出し条件は一定
とする)である。
【0046】上記のS9においてYESと判定した場
合、イオン注入制御装置11は気体試料供給源17から
のキャリアガスの供給を完全に停止させる制御を行う
(S10)。この制御により、気体試料供給源17は、
配管内に残留しているガスを真空ポンプにて排出する等
の処理を行い、キャリアガスがプラズマチャンバ4内へ
導入されないようにする。このS10の制御は、プラズ
マチャンバ4に接続されている導入パイプ9内の残留ガ
スを排出するために、流量コントローラ10の設定を1
ccにした状態で行われ、S10の終了後にその設定値
が0ccにセットされる(S11)。
【0047】一方、上記のS9においてNOと判定した
場合、イオン注入制御装置11は、気体試料供給源17
からのキャリアガスの供給を停止させることなく、流量
コントローラ10の設定値を所定値(例えば0cc)ま
で低下させることによって、プラズマチャンバ4へ導入
されるキャリアガスの流量を低下させる(S12)。こ
こで、流量コントローラ10の設定をどの程度低下させ
るかは任意であるが、後段のステップ(S15)でキャ
リアガスの流量を低下させても固体試料のプラズマが得
られているか否かを判断する必要があり、その低下量が
少な過ぎると当該判断が困難になるため、流量コントロ
ーラ10の設定値を0ccに近づける方がよい。
【0048】尚、流量コントローラ10を略0ccに設
定しても、実際には、ある程度の期間、導入パイプ9内
に残留しているキャリアガスがプラズマチャンバ4へ導
入されることになる。
【0049】上記のようにキャリアガスの流量を低下さ
せると、充分にキャリアガスが供給されていた環境下で
は得られていたはずの固体試料のプラズマも、固体オー
ブン7が充分に昇温しておらず固体試料の気化量が充分
でなければ消失してしまう。一方、固体オーブン7が充
分に昇温していれば、固体試料のプラズマは維持され、
プラズマチャンバ4から引き出されるイオンビームの大
部分は固体試料から生じたイオンとなる。
【0050】ところで、図2のフローチャートでは上記
S12の後にS13の判断(引出電流が15mA以上か
否かの判断)を行うようになっているが、S12の前段
のS9において、既に、キャリアガス低下前の引出電流
が5mA未満であることを確認しているので、S13の
最初の判定は必ずNOとなり、S15へ移行することに
なる。
【0051】S15では、電流測定計18にて測定され
た引出電流が第2基準値(ここでは2mA)以上か否か
を判断する。この第2基準値は、キャリアガスの流量を
低下させた状態で固体試料のプラズマが点灯していると
きに得られると予想される引出電流値(固体試料と少量
のキャリアガスとから得られるプラズマから引き出され
たイオンビームによって引出電極6に流れる引出電流
値)である。
【0052】尚、プラズマチャンバ4と引出電極6との
間で放電が発生すれば、瞬間的に引出電流が第2基準値
以上になることも考えられるので、このS15では、引
出電流が一定期間安定した状態で第2基準値以上になっ
ていることを判断することが望ましい。フリーマン型や
バーナス型等のアーク放電によってプラズマを生成する
イオン源の場合は、アーク電流の安定性(アーク電流の
測定値が一定期間安定しているか否か)をみることによ
っても放電の発生の有無を確認できる。
【0053】上記のS15でYESの判定をした場合
は、直ちにキャリアガスの供給を停止しても、プラズマ
が消灯することなく、確実に固体試料のイオンビームを
得ることができる。そこで、この場合は、流量コントロ
ーラ10の設定を一旦1ccに戻した後(S18)、気
体試料供給源17からのキャリアガスの供給を完全に停
止させる制御(図1のS10)に移行する。
【0054】一方、S15でNOの判定をした場合は、
所望の固体試料のプラズマが得られなかったので、流量
コントローラ10の設定を再び1ccにしてキャリアガ
スの流量を元に戻し(S16)、プラズマを点灯させ
る。さらに、固体オーブン7を所定の温度(ここでは1
℃とするが任意の値を設定可能)だけ昇温させた後(S
17)、S12の処理に戻る。
【0055】以降はS12〜S17の処理を繰り返す。
もしも固体オーブン7の温度が高くなり過ぎた場合は、
キャリアガスの流量を低下させたときの引出電流が第3
基準値(ここでは15mA)以上となり(S13でYE
S)、この場合は固体オーブン7を所定の温度(ここで
は1℃とするが任意の値を設定可能)だけ低下させる
(S14)。この第3基準値は、キャリアガスの流量を
低下させた状態で、固体試料が気化すると予想される温
度より高い温度で当該固体試料を加熱した場合に得られ
ると予想される引出電流値である。
【0056】S12〜S17のループ処理を繰り返し
て、最終的にS15においてYESと判定すれば、当該
ループ処理を抜けて、上述のようにS18を実行した
後、気体試料供給源17からのキャリアガスの供給を完
全に停止させる制御(図1のS10・S11)に移行す
る。
【0057】上記の処理によって固体試料のイオンビー
ムが得られているので、その後は、質量分析電磁石2に
よって所望のイオン種を取り出すマスサーチ処理(S1
9)、さらにはビームエネルギー調整(S20)および
ビーム電流調整(S21)を行い、全ての処理が終了す
れば装置立上げモードを終了し、次の注入処理モードに
移行する。
【0058】尚、上記の処理フローでは、図1のS9の
判断を行ってこれがYESの場合はキャリアガスの流量
低下制御および引出電流に基づく固体オーブン7の温度
調整制御を行わないようになっているが、S9の判断を
行わずにS8の次は必ずS12へ移行するようにしても
よい。S9の判断を行う場合、固体オーブン7の設定温
度が高くてもその温度調整がなされないが、S9の判断
をせずに必ずS12へ移行するのであれば、キャリアガ
スの供給を完全に停止させる制御の前に、S13・S1
4において高すぎるオーブン温度を低下させる制御が行
われる。
【0059】以上のように、本実施の形態に係るイオン
注入制御装置11は、固体試料を使用したイオンビーム
を立上げるモードのとき、先にキャリアガスとしての気
体試料のプラズマを得てから、固体オーブン7の温度が
固体試料が気化すると予想される温度以上の所定温度に
達した後に、一旦気体試料の流量を低下させ、このとき
の引出電流の測定値に基づいて、固体試料のプラズマの
発生を確認することを特徴としている。
【0060】このように、流量を低下させて引出電流を
確認するだけで、確実に固体試料によるイオンビームを
得ることができる。この方法は、従来の制御方法と比較
しても別段複雑な制御を必要とすることもなく、気体試
料によるイオンビーム抽出から固体試料によるイオンビ
ーム抽出までの処理を比較的容易に行うことができると
共に、確実なイオンビームの立上げが可能なので従来の
ようなイオンビーム消失時のリカバリー処理等も不要で
あることから、装置立上げの自動化への対応も容易であ
り、自動制御の時間短縮および自動制御の性能向上が実
現できる。
【0061】また、上記のように、気体試料の流量を低
下させているときに測定した引出電流に基づいて、固体
オーブンの設定温度の調整を行えば、固体試料のプラズ
マが安定して得られる適切なオーブン温度条件に設定す
ることができ、立上げ後のイオンビームの安定性に優れ
ている。
【0062】尚、上記の実施の形態では、イオン注入制
御装置11を用いた装置立上げの自動化の例を示してい
るが、勿論、マニュアル操作によっても本発明のイオン
ビーム立上げ方法を実施することもできる。上記の実施
の形態は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにす
るものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義
に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請
求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができ
るものである。
【0063】
【発明の効果】請求項1の発明に係るイオンビーム立上
げ方法は、以上のように、固体オーブンの温度が固体試
料が気化すると予想される温度以上の所定温度に達した
後、気体試料供給源からの気体試料の供給を停止するこ
となく、気体試料供給源とプラズマチャンバとの間に設
けられた流量調節手段によって気体試料の流量を低下さ
せる工程と、気体試料の流量を低下させているときに、
プラズマチャンバから引き出されたイオンビームが引出
電極に衝突して当該引出電極に流れる引出電流を測定
し、この引出電流が所定値以上であるか否かを判断する
工程と、上記引出電流が所定値より小さいときには上記
流量調節手段によって気体試料の流量を再び増加させて
気体試料のプラズマを再点灯させ、上記引出電流が所定
値以上になったときのみ気体試料供給源からの気体試料
の供給を停止する工程とを含んでいる構成である。
【0064】それゆえ、キャリアガスとしての気体試料
の流量を低下させても固体試料のプラズマが維持される
ことを確認してから、気体試料供給源からの気体試料の
供給を停止するので、その後に従来のような時間のかか
るリカバリー処理を必要とせず、イオンビーム立上げ処
理を確実且つ効率よく行い、その立上げ処理に要する時
間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【0065】請求項2の発明に係るイオンビーム立上げ
方法は、以上のように、請求項1の発明の構成におい
て、さらに、気体試料の流量を低下させているときに測
定した引出電流に基づいて、固体オーブンの設定温度を
調整する工程を含んでいる構成である。
【0066】それゆえ、請求項1の発明の効果に加え
て、固体試料によるイオンビームを形成する段階で、固
体試料のプラズマが安定して得られる適切なオーブン温
度条件に設定することができ、安定したイオンビームを
確実に得ることができるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すものであり、固体
試料を用いてイオン源を運転する場合のイオン注入制御
装置によるイオン注入装置の立上げ処理を示すフローチ
ャートである。
【図2】固体試料を用いてイオン源を運転する場合のイ
オンビーム立上げ処理の要部を示すフローチャートであ
る。
【図3】上記イオン注入制御装置により自動立上げが行
われるイオン注入装置の概略構成図である。
【図4】上記イオン注入装置の引出電流計測系を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 イオン源 2 質量分析電磁石 3 エンドステーション 4 プラズマチャンバ 6 引出電極 7 固体オーブン 9 導入パイプ 10 流量コントローラ(流量調節手段) 11 イオン注入制御装置 12 オーブン制御ユニット 13 ソースマグネット電源 14 引出電源ユニット 17 気体試料供給源 18 電流測定計 19 引出電源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体オーブンの加熱によって気化された固
    体試料がプラズマチャンバ内へ導入される前に、キャリ
    アガスとなる気体試料を気体試料供給源からプラズマチ
    ャンバへ供給して気体試料によるプラズマを生成し、プ
    ラズマチャンバ内で固体試料のプラズマが生成された後
    に気体試料供給源からの気体試料の供給を停止して固体
    試料によるイオンビームを形成するイオンビーム立上げ
    方法において、 固体オーブンの温度が固体試料が気化すると予想される
    温度以上の所定温度に達した後、気体試料供給源からの
    気体試料の供給を停止することなく、気体試料供給源と
    プラズマチャンバとの間に設けられた流量調節手段によ
    って気体試料の流量を低下させる工程と、 気体試料の流量を低下させているときに、プラズマチャ
    ンバから引き出されたイオンビームが引出電極に衝突し
    て当該引出電極に流れる引出電流を測定し、この引出電
    流が所定値以上であるか否かを判断する工程と、 上記引出電流が所定値より小さいときには上記流量調節
    手段によって気体試料の流量を再び増加させて気体試料
    のプラズマを再点灯させ、上記引出電流が所定値以上に
    なったときのみ気体試料供給源からの気体試料の供給を
    停止する工程とを含んでいることを特徴とするイオンビ
    ーム立上げ方法。
  2. 【請求項2】気体試料の流量を低下させているときに測
    定した引出電流に基づいて、固体オーブンの設定温度を
    調整する工程を含んでいることを特徴とする請求項1に
    記載のイオンビーム立上げ方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181894A (ja) * 2010-02-02 2011-09-15 Sii Nanotechnology Inc Euvマスク修正装置および方法
JP2015064603A (ja) * 2010-02-02 2015-04-09 株式会社日立ハイテクサイエンス Euvマスク修正装置
CN111192808A (zh) * 2018-11-15 2020-05-22 北京中科信电子装备有限公司 一种固态源自动引束的方法

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