JPH10218086A - ヨットのブームの回転装置 - Google Patents

ヨットのブームの回転装置

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JPH10218086A
JPH10218086A JP9021598A JP2159897A JPH10218086A JP H10218086 A JPH10218086 A JP H10218086A JP 9021598 A JP9021598 A JP 9021598A JP 2159897 A JP2159897 A JP 2159897A JP H10218086 A JPH10218086 A JP H10218086A
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JP
Japan
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boom
sail
mast
rotating
rotation
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP9021598A
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English (en)
Inventor
Norikazu Hara
以起 原
Takateru Kubo
貴照 久保
Masanobu Katori
正信 鹿取
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造でブーム回転のための大きなトル
クを発生させることが容易な構造にする。 【解決手段】 水平面内で揺動可能に船体に支持された
ブーム1と、このブーム1によって支持されたマストと
によってセールが保持され、このブーム1の回転中心部
には下方に突出する回転軸(回転筒)65が設けられ、
この回転65回りにブーム1を回転させるブーム回転手
段が設けられ、このブーム回転手段は上甲板11とブー
ム1との間に配置され、上記ブーム1は上甲板11を上
下に貫通して船体に取付けられた固定軸60によって回
転可能に支持され、この固定軸60の上甲板11より上
方に突出した部分に外嵌された筒状体によって上記回転
筒65が構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に小型のヨッ
トに適用されるヨットのブームの回転装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、1本マストのヨットにおいては、
マストは船体中心線上の船体中央部より前方にシフトし
た位置に取付けられており、このためマストを倒す際に
は前向きに倒すことはできず、後向きに倒すようにして
いる。しかしながら、マストにはセールを張るためにブ
ームが後方に延びて取付けられており、このためマスト
を倒す作業に先立って、マストおよびブームからセール
を取外すととともに、マストからブームを取外す必要が
あった。
【0003】上記構成では、クルージングエリアと停泊
港との間を出入りする度に、橋などの下をくぐらざるを
得ないため、高さの制限を受ける場合にはマストの傾倒
を繰返す作業が必要となり、かつセールの展開の際には
セールおよびブームの着脱作業のみならず、セールを揚
げ下げするハリヤードの操作も必要となり、これらの作
業に非常に手間がかかっていた。これを解決するものと
して、水平面内で揺動可能に船体に支持されたブーム
と、このブームによって支持されたマストとによってセ
ールが保持され、マストの傾倒およびセールの折り畳み
を容易に行なうことができるようにした構造も提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構成では、ブーム
の回転中心部に回転軸を設け、この回転軸を駆動手段に
よって回転させるようにしているが、この回転軸にはブ
ームを回転させるために大きなトルクを作用させる必要
があり、かつブームから受ける横力に耐えるように上甲
板を貫通させて支持することが必要となり、このため上
甲板を貫通させる部分での複雑なシール構造が必要とな
って、装置全体が複雑で高価になるという問題がある。
【0005】この発明は、このような従来の欠点を解消
するためになされたものであり、簡単な構造で大きなト
ルクを発生させることも容易なヨットのブームの回転装
置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、水平
面内で揺動可能に船体に支持されたブームと、このブー
ムによって支持されたマストとによってセールが保持さ
れ、このブームの回転中心部には下方に突出する回転軸
が設けられ、この回転軸回りにブームを回転させるブー
ム回転手段が設けられ、このブーム回転手段の少なくと
も回転力が入力される回転力入力部が上甲板とブームと
の間に位置して回転軸上に設けられているものである。
【0007】請求項1の発明では、ブーム回転手段の回
転力入力部が上甲板とブームとの間に配置されるため
に、ブームが回転した際にブームとブーム回転手段とが
干渉するのを防止する回転軸を上甲板を貫通させる必要
がなく、このため貫通部のシールの問題はなく、また上
甲板の下側の船室のスペースを狭めることがないという
利点がある。さらにブームを回転させるためには大きな
トルクが必要であるが、回転軸を上甲板を貫通させない
構造では上記回転力入力部の径を大きくすることも容易
であって、大きなトルクを発生させるようにすることも
容易である。さらに上記回転力入力部ブームを上甲板近
傍に配置した場合には、上記回転力入力部が上甲板上を
移動する乗員の邪魔にならないという利点もある。
【0008】請求項2の発明は、上記ブームは上甲板を
上下に貫通して船体に取付けられた固定軸によって回転
可能に支持され、この固定軸の上甲板より上方に突出し
た部分に外嵌された筒状体によって上記回転軸が構成さ
れているものである。
【0009】請求項2の発明では、回転軸となる筒状体
の内部を貫通する固定軸により、ブームの自重および横
力を支持するようにしているために、横力に対しては固
定軸を上甲板と船底部の支持台などを支点として大荷重
に耐えることができ、また上甲板の貫通部は単にフラン
ジなどで固定的に保持すればよいために、シールが容易
で構造が簡単であるという利点がある。
【0010】請求項3の発明は、上記回転力入力部を上
記回転軸に取付けたプーリによって形成し、上記ブーム
を回転させるブーム回転手段は、上記プーリと、このプ
ーリに掛け渡されて左右方向に導出された一対のワイヤ
ロープと、このワイヤロープの各端部に結合されたアク
チュエータとにより構成されているものである。
【0011】請求項3の発明では、一対の油圧シリンダ
などのアクチュエータによってワイヤロープを介して回
転軸に設けられたプーリを回転させるようにしているた
めに、大きなトルクを発生させて所定の回転角の回転を
正確に行なわせることができ、しかもセールが強い風を
受けることによりブームから逆に大きな回転力がプーリ
を介して作用した場合でも、アクチュエータによって制
動することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1および図2において、ヨット
の船体10には船体中央部付近の船体中心線上に後述の
ブーム回転手段が設けられ、このブーム回転手段によっ
て水平面内で回転(揺動)可能にブーム1が支持されて
いる。この支持位置は、ブーム1の中間位置、すなわち
ブーム1は支持位置から後側(図の左側)に延びるとと
もに前側へも突出している。そしてブーム1の前端部に
マスト2が立てられ、このマスト2とブーム1とによっ
てナイロン製のセール4が張られている。このセール4
には、上下方向に所定間隔で数本のバテン410が取付
けられている。また船尾部には船幅方向中央部に船外機
8が取付けられ、その両側にはそれぞれラダー9が取付
けられている。
【0013】上記ブーム1の後端部にはマスト支え15
が形成され、このマスト支え15とマスト2の下端部と
の間には、図4に示すようにブーム1の上面両側部に沿
って所定の高さでUVカット処理を施したナイロン製の
布からなる覆い部材45が張られてブーム1上に、ブー
ム1の上面および左右の覆い部材45の内面とからなる
セール収納部が形成されている。この覆い部材45の上
端縁にはボルトロープ46を介して側面形状三角形のナ
イロン製の網体からなるセールガイド44が接合され、
このセールガイド44をマスト2の中間部から引き上げ
る吊りロープ43がセールガイド44の上端部に接合さ
れている。そして張られたセール4が下降しつつ折り畳
まれ、セール4の覆い部材45により両側から支持され
て収納部に収納され、収納状態のセール4への光を覆い
部材45によって遮ってセール4の紫外線による劣化を
防止するようにしている。またこのセール4の収納状態
で、マスト2が後述のように後向きに倒されるように構
成され、図1に仮想線で示すように倒されたマスト2を
マスト支え15で支持するようにしている。
【0014】上記船体10内の船室100には、支持台
17上にカーボン製の固定軸60が鉛直に立てられ、こ
の固定軸60は上甲板11を貫通して上方に突出し、図
3に示すようにこの貫通部では固定軸60に外嵌された
アルミニウム製のフランジ16によって固定的に保持さ
れ、固定軸60の上端部はブーム1中に貫通してブーム
1を回転可能に支持している。すなわち、固定軸60の
上端外周部にはアルミニウム製のスリーブ61が接着に
よって取付けられ、ブーム1にはアルミニウム製の筒状
体62が取付けられ、この筒状体62には固定軸60の
上端部のスリーブ61の部分が嵌入され、スリーブ61
と筒状体62との間にはベアリング63およびパッキン
64が介在され、これによってブーム1が固定軸60に
よって回転可能に支持されている。また固定軸60の上
端面にはエンコーダ69が取付けられ、固定軸60に対
してブーム1が回転した角度を検出するようにしてい
る。このエンコーダ69の上側には、水密カバー68が
取付けられて筒状体62の内部に水が入らないように覆
われている。
【0015】上記ブーム回転手段は、ブーム1の筒状体
62の下端部に取付けられたFRP製の回転筒65と、
この回転筒65の下端部に取付けられたプーリ66を備
えて折おり、回転筒65がブーム1の回転軸を形成する
一方、プーリ66が、回転軸(回転筒65)に回転力を
入力する回転力入力部を形成している。そして回転手段
は、このプーリ66に端部670が係止されて掛け渡さ
れ、左右に導出された一対のワイヤロープ67と、この
左右に導出された各ワイヤロープ67を駆動する一対の
アクチュエータ(油圧シリンダ)68も備えている。こ
のワイヤロープ67は、図5に示すように、プーリ66
から船幅方向両側部に引き出されて、上甲板11に支持
されたガイドプーリ660を通って後方に延び、それぞ
れの後端部が上甲板11上に設置された船幅方向左右一
対のアクチュエータ68のピストンロッド680にそれ
ぞれ結合されている。上記回転筒65は、その後方に設
置された操作ハンドル19を操作する運転者が、風防1
8、および上甲板11とブーム1との間を通して前方を
見ることができる適正な高さに設定されている。なお、
上記油圧シリンダのアクチュエータ68の代わりに、ボ
ールねじ型直動式のアクチュエータを採用してもよい。
【0016】なお、上記ブーム1およびマスト2はカー
ボンファイバー強化プラスチックで製作すればよい。ま
たブーム回転手段としては、上記のものに限らず、回転
筒65にプーリ66の外周に歯車を設け、これに噛合す
るウォームギアをモータによって駆動するようにしても
よい。またワイヤロープ67はステンレス鋼または高張
力鋼製のものを使用すればよく、あるいはチェーンを用
いてもよい。さらにワイヤロープ67を、図5に示すよ
うに平面視で後向きに末広がりに配置したのは、アクチ
ュエータ68が風防18と干渉しないようにするためで
ある。
【0017】図6〜図9に示すように、上記ブーム1の
前端部には上方に突出するアルミニウム合金製のマスト
支持ステイ3が設けられ、このマスト支持ステイ3は一
対の互いに平行な板材とそれらを下部で互いに結合する
連結板36とからなり、このマスト支持ステイ3の上端
部には水平方向の支持軸30が取付けられている。そし
てこの支持軸30に、図1および図2に示すように平面
形状コ字形の保持部材21が支持軸30回りに回転可能
に取付けられ、この保持部材21がマスト2の下端部付
近を挾持するようにマスト2を保持している。この保持
部材21とマスト2とは適宜のビスなどにより強固に固
定結合されている。したがって、保持部材21に結合さ
れたマスト2も支持軸30回りに回転可能であり、これ
によってマスト2は後方に傾倒することができる。
【0018】また図6〜図9に示すように、上記マスト
2にはその後縁部に沿って上部ガイドレール20が取付
けられ、この上部ガイドレール20の下方延長線上にお
いて上記マスト支持ステイ3の連結板36の後面に沿っ
て下部ガイドレール50が取付けられている。この上部
ガイドレール20および下部ガイドレール50はアルミ
ニウム合金製である。またマスト2中には、セール昇降
用モータ5が配置され、そのワイヤ駆動プーリ51には
エンドレスのセール操作ワイヤ55が掛け渡され、この
セール操作ワイヤ55の一方はガイドローラ53を介し
て上方に導かれ、マスト2の頂部に設置されたガイドロ
ーラ56を通ってマスト2の外部に導き出され、ついで
上部ガイドレール20の後面を通って下降し、その下端
部と下部ガイドレール50の上端部との間の隙間200
を通って再びマスト2中に導かれ、ガイドローラ52か
らワイヤ駆動プーリ51に戻る。また上記ガイドローラ
56と隙間200との間でセール操作ワイヤ55に、上
部ガイドレール20上を摺動する係止部材54が取付け
られ、この係止部材54にセール4の上端部が結合され
ている。このような構成によってセール昇降手段(ワイ
ヤ駆動手段)が構成され、このセール昇降用モータ5を
正逆転させることにより、セール操作ワイヤ55を駆動
してセール4を昇降させるようにしている。
【0019】上部ガイドレール20および下部ガイドレ
ール50には、これらにわたってスライドして上下動す
るスライダ40が複数個取付けられ、またセール4の前
縁部には所定の間隔で複数個の連結部材41が取付けら
れ、この連結部材41はそれぞれ上記スライダ40に対
して結合されている。したがって、セール4が張られた
状態では、大部分のスライダ40およびそれに結合され
た連結部材41は上部ガイドレール20に嵌合して上下
方向に一定の広い間隔で分布しているが、セール操作ワ
イヤ55によってセール4を下降させると、図6に示す
ようにすべてのスライダ40は下部ガイドレール50上
に位置して上下方向に互いに隣接配置されることにな
る。この状態では、図4に示すように、セール4もジグ
ザグに折り畳まれてブーム1上の下部に位置することに
なる。
【0020】図6〜図8に示すように、ブーム1内にお
いて、ブーム傾倒用シリンダ35のピストンロッド先端
部にはピン31を介して作動杆32の一端部が取付けら
れ、この作動杆32の他端部はマスト1の下端部に取付
けられ、これらによってマスト傾倒手段が構成されてい
る。そしてこの取付け部には補強板33が取付けられて
ブーム傾倒用シリンダ35からの操作力がマスト2に広
い面積で伝達されるようにしている。またブーム1の前
端上面には補強板12が取付けられ、この補強板12に
は切欠き13が形成され、この切欠き13を上記作動杆
32が作動時に通過するようにしている。上記補強板1
2は、ブーム1の前端上面と前端面とに当接するように
L字形に形成され、ブーム1の前端面に当接する部分は
マスト支持ステイ3の左右の板材を互いに連結してい
る。
【0021】上記構成において、ヨットの航走時には、
マスト2はブーム1の前端部で垂直に立てられ、マスト
2の下端部はブーム傾倒用シリンダ35によってブーム
1の前端縁に引き付けられている。またセール4は、セ
ール操作ワイヤ55によって連結部材54を介して上端
部がマスト2の頂部まで引き上げられ、マスト2とブー
ム1とによって張られている。またブーム1の向き、す
なわちセール4の向きを調整するには、左右一対のアク
チュエータ68を駆動させて一方のアクチュエータ68
でワイヤロープ67を引くとともに、他方のアクチュエ
ータ68のピストンロッドを伸長させてワイヤロープ6
7を緩めることによりプーリ66を所定の方向に、所定
量回転させる。これによって、固定軸60によって回転
可能に支持されたブーム1に、プーリ66から回転筒6
5を介して回転力が伝達され、ブーム1およびセール4
が所定の方向に向くことになり、同時にエンコーダ69
によってブーム1の回転角が計測される。なお、セール
4の向きは、船室内にある手動スイッチによってアクチ
ュエータ68を駆動させて行なうマニュアル操作あるい
はマスト上端に設けた風向センサーおよびエンコーダ6
9からの信号に基づいてECUがアクチュエータ68を
自動的に駆動させるオート操作によって調整される。ま
たマニュアル操作とオート操作は切換えスイッチによっ
て任意に切換えることができる。
【0022】このように、この構成では一対の油圧シリ
ンダなどのアクチュエータによってワイヤロープ67を
介して回転軸に設けられたプーリ66を回転させるよう
にしているために、大きなトルクを発生させて所定の回
転角の回転を正確に行なわせることができ、しかもセー
ル4が強い風を受けることによりブーム1から逆に大き
な回転力がプーリ66を介して作用した場合でも、アク
チュエータによって制動することができる。
【0023】マスト2を倒すには、以下のように操作す
る。まずマスト2中のセール昇降用モータ5を図示しな
い制御装置によって駆動させ、セール操作ワイヤ55の
連結部材54を上部ガイドレール20に沿って下降させ
る。連結部材54が一番上方に位置するスライダ40を
押し下げることによって、上記上部ガイドレール20に
嵌合してセール4の前縁部を保持しているすべてのスラ
イダ40が上部ガイドレール20に沿って下降し、下部
ガイドレール50上に位置するようになる。この状態で
は、セール4は折り畳まれて支持軸30より下側に位置
し、セール4の上端部に結合された連結部材54は支持
軸30の直上に位置するようになる。つぎに、マスト傾
倒用ブーム傾倒用シリンダ35により作動杆32を介し
てマスト2の下端部を前方に押し、これによってマスト
2を支持軸30回りに回転させて、マスト2をブーム1
とほぼ平行になるように後方に倒す。この際、セール4
はすべて折り畳まれて支持軸30より下側に位置すると
ともに、マスト2側からブーム1側(ブーム1に固定さ
れたマスト支持ステイ3側)に移動することになるため
に、マスト2の回転には何らの支障もない。
【0024】また上記支持軸30は、側面視において、
上部ガイドレール20の下端面と下部ガイドレール50
の上端面との接合部よりもわずかに後方に位置してい
る。この構成により、上部ガイドレール20が支持軸3
0を中心に後傾した際に、上部ガイドレール20の下端
面が下部ガイドレール50の上端面に当たることを防止
することができ、その分マスト2が起立状態において上
部ガイドレール20の下端面と下部ガイドレール50の
上端面との間隔を狭く設定することができ、これによっ
てセール4の昇降をスムーズに行なうことができる。
【0025】またマスト2を倒し、セール4を折り畳ん
だ状態から、セール4を張るには、上記と逆の操作を行
なえばよい。すなわち、まずマスト傾倒用シリンダ35
により作動杆32を介してマスト2の下端部をブーム1
の前端部に引き付けることによりマスト2を支持軸30
回りに回転させて起こす。ついで、セール昇降用モータ
5を逆転させることによって、セール操作ワイヤ55を
介してセール4の上端部を引き上げる。これによって、
セール4の前縁部に結合されたスライダ40は順次下部
ガイドレール50から上部ガイドレール20に沿って上
昇し、セール4の張設に応じて所定の間隔で上部ガイド
レール20上に配置されることになる。
【0026】上記ブーム回転手段は、回転軸(回転筒6
5)に回転力を入力する回転力入力部たるプーリ66の
みならず、アクチュエータ68などのすべての部品が上
甲板11とブーム1との間に配置されるために、ブーム
1が回転した際にブーム1とブーム回転手段とが干渉す
るのを防止することが可能となる。また回転軸となる回
転筒65を上甲板11を貫通させる必要がなく、このた
め貫通部のシールの問題はなく、また上甲板11の下側
の船室のスペースを狭めることがないという利点があ
る。さらにブーム1を回転させるためには大きなトルク
が必要であるが、上記のように回転軸(回転筒65)を
上甲板11を貫通させない構造ではプーリ66および回
転筒65を大径にすることが可能であり、このため大き
なトルクを発生させるようにすることも容易である。な
お、これらの効果のためには、ブーム回転手段のうち少
なくとも回転力入力部(プーリ66)を上甲板11とブ
ーム1との間に配置すればよく、アクチュエータ68な
どの他の部品を船室100内に配置してもよい。さらに
上記構成では、回転軸となる回転筒65の内部を貫通す
る固定軸60により、ブーム1の自重および横力を支持
するようにしているために、横力に対しては固定軸60
を上甲板11と船底部の支持台17とを支点として大荷
重に耐えることができ、また上甲板11の貫通部は単に
フランジ16で固定的に保持すればよいために、シール
が容易であるという利点がある。さらに回転力入力部
(プーリ66)は勿論、ブーム回転手段を構成する他の
部品も全てを上甲板11近傍に配置しているので、ブー
ム回転手段が上甲板上を移動する乗員の邪魔にならない
という利点もある。
【0027】また上記構成では、セール4の折り畳み、
張設およびマスト2の傾倒は、ブーム1に設けられたマ
スト傾倒手段およびマスト2に設けられたセール昇降手
段によって行なわれ、ブーム1およびセール4の取外し
や、ハリヤードによるセールの揚げ下しなどの作業も必
要ないために、作業を容易かつ迅速に行なうことができ
る。
【0028】また、水平面内で揺動可能に船体に取付け
られたブーム1と、このブーム1によって支持されたマ
スト2とによってセール4が保持される構造であるた
め、マスト2の下端部付近を中心としてマスト2を後向
きに揺動させて倒すことができ、マスト2の傾倒はセー
ル4を下降させてマスト2の下端部付近の支持部を中心
として回転させるだけでよい。そしてセール4の最下降
状態ではセール4のほぼ全体が下部ガイドレール50上
に位置するように下部ガイドレール50の長さが設定さ
れているために、セール4の最下降状態ではセール4は
マスト2側からブーム1側に移動することになり、マス
ト2の傾倒に当っては、セール4のほぼ全体が下部ガイ
ドレール50上に位置するようにセール4をセール操作
ワイヤ55によってブーム1上に下降させるだけでよ
く、マスト2の傾倒に当ってはブーム1やセール4の着
脱作業が必要ないために作業を容易かつ迅速に行なうこ
とができる。
【0029】図10〜図12は上記ヨットのハル形状の
1例を示し、ハル70は、セール4を下ろした状態では
船外機(例えば、50馬力の船外機を搭載)8を用いる
ことによって通常のモータボートとしての滑走を行なう
ことができ、またセール4を上げた状態では通常のヨッ
トとしての帆走を行なうことができる形状を有してい
る。
【0030】すなわち、船外機8による滑走に備え、船
首から船尾まで延びる外側チャイン71と内側チャイン
72とが設けられている。またセール4による帆走に備
え、センターボード73を収容するセンターボード収容
部74を設けるとともに、内側チャイン72に挟まれた
ハル形状は、船体幅方向の断面において船体中央部が一
番下方に突出した滑らかな湾曲面に形成されている。
【0031】この構成において、船外機8による滑走を
行なうには、ブーム1を船体中心線に沿わせて固定して
セール4を下げるとともに、センターボード73を引き
上げてセンターボード収容部74に収容し、船外機8を
チルトダウンさせてプロペラを水に没入させる。この状
態で、船外機8を駆動させれば、内側のチャイン72で
水切りが行なわれて滑走が行なわれる。なお、滑走状態
における操舵は、船外機8の左右方向の向きを変えるこ
とによって行なわれる。
【0032】また、セールによる帆走を行なうには、船
外機8をチルトアップさせてプロペラを水中から引き上
げ、センターボード73をセンターボード収容部74か
ら下方に突出させ、セール4を上げればよい。なお、帆
走状態における操舵は、船外機8の両側に設けた一対の
ラダー9の向きを変えることによって行なえばよい。
【0033】なお、内側チャイン72が、センターボー
ド収容部74の両側方を前後に延びているために、滑走
状態において旋回を行なう際、内側チャイン72とセン
ターボード収容部74の両方が船体の横滑りを防ぐ抵抗
体として機能するので、滑走状態における旋回性能が優
れている。
【0034】
【発明の効果】請求項1の発明では、ブーム回転手段の
回転力入力部が上甲板とブームとの間に配置されるため
に、ブームが回転した際にブームとブーム回転手段とが
干渉するのを防止することが可能になる。また回転軸を
上甲板を貫通させる必要がなく、このため貫通部のシー
ルの問題はなく、また上甲板の下側の船室のスペースを
狭めることがないという利点がある。さらにブームを回
転させるためには大きなトルクが必要であるが、回転軸
を上甲板を貫通させない構造では上記回転力入力部の径
を大きくすることも容易であって、大きなトルクを発生
させるようにすることも容易である。さらに上記回転力
入力部を上甲板近傍に配置した場合は、上記回転力入力
部が上甲板上を移動する乗員の邪魔にならないという利
点もある。
【0035】請求項2の発明では、回転軸となる筒状体
の内部を貫通する固定軸により、ブームの自重および横
力を支持するようにしているために、横力に対しては固
定軸を上甲板と船底部の支持台などを支点として大荷重
に耐えることができ、また上甲板の貫通部は単にフラン
ジなどで固定的に保持すればよいために、シールが容易
で構造が簡単であるという利点がある。
【0036】請求項3の発明では、一対の油圧シリンダ
などのアクチュエータによってワイヤロープを介して回
転軸に設けられたプーリを回転させるようにしているた
めに、大きなトルクを発生させて所定の回転角の回転を
正確に行なわせることができ、しかもセールが強い風を
受けることによりブームから逆に大きな回転力がプーリ
を介して作用した場合でも、アクチュエータによって制
動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示すヨットの全体側面図
である。
【図2】図1の概略平面図である。
【図3】ブーム支持、回転部の縦断面図である。
【図4】図1のC−C線断面図である。
【図5】図3のD−D線矢視図ある。
【図6】図1のマスト下端部の側面説明図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】図6のB−B線断面図である。
【図9】セール操作ワイヤの斜視説明図である。
【図10】ハルの形状の1例を示す側面図である。
【図11】図10の底面図である。
【図12】図10の正面図である。
【符号の説明】
1 ブーム 2 マスト 4 セール 10 船体 11 上甲板 17 固定軸の支持台 60 固定軸 65 回転筒(回転軸) 66 プーリ(回転力入力部) 67 ワイヤロープ 68 アクチュエータ(油圧シリンダ)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平面内で揺動可能に船体に支持された
    ブームと、このブームによって支持されたマストとによ
    ってセールが保持され、このブームの回転中心部には下
    方に突出する回転軸が設けられ、この回転軸回りにブー
    ムを回転させるブーム回転手段が設けられ、このブーム
    回転手段の少なくとも回転力が入力される回転力入力部
    が上甲板とブームとの間に位置して回転軸上に設けられ
    ていることを特徴とするヨットのブームの回転装置。
  2. 【請求項2】 上記ブームは上甲板を上下に貫通して船
    体に取付けられた固定軸によって回転可能に支持され、
    この固定軸の上甲板より上方に突出した部分に外嵌され
    た筒状体によって上記回転軸が構成されていることを特
    徴とする請求項1記載のヨットのブームの回転装置。
  3. 【請求項3】 上記回転力入力部を上記回転軸に取付け
    たプーリによって形成し、上記ブームを回転させるブー
    ム回転手段は、上記プーリと、このプーリに掛け渡され
    て左右方向に導出された一対のワイヤロープと、このワ
    イヤロープの各端部に結合されたアクチュエータとによ
    り構成されていることを特徴とする請求項1記載のヨッ
    トのブームの回転装置。
JP9021598A 1997-02-04 1997-02-04 ヨットのブームの回転装置 Withdrawn JPH10218086A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111216862A (zh) * 2020-02-11 2020-06-02 中国科学院沈阳自动化研究所 双支点模块化无人帆船转帆装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111216862A (zh) * 2020-02-11 2020-06-02 中国科学院沈阳自动化研究所 双支点模块化无人帆船转帆装置
CN111216862B (zh) * 2020-02-11 2023-11-14 中国科学院沈阳自动化研究所 双支点模块化无人帆船转帆装置

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