JP3126623U - 船舶のラダー構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラダーの操舵能力が減少しないよう舵板の傾きを調整可能とする。
【解決手段】艇体7の船尾側下方に設けられ、舵操作を行うための船舶のラダー構造1であって、舵板10に、艇体上下方向7aに延びる回転可能な第一舵軸2と、艇体前後方向に延びる回転可能な第二舵軸3とを取り付けてなり、第一舵軸2及び第二舵軸3を回転することにより、舵板10を艇体上下方向7a及び艇体前後方向を中心として角度調整可能とする。
【選択図】図2

Description

本考案は、船舶の舵操作を行うためのラダー構造に関するものである。
ヨットやセーリングクルーザー等の船舶は、艇体の船尾側に、水面下方に配置され船舶の進行方向を操舵するためのラダーを備えている(特許文献1、ラダー3、図5等参照)。このラダーは舵板を有しており、舵板は艇体に対して垂直(艇体上下方向)に設けられている。舵板は、艇体上下方向を中心に回転可能に構成されている。そして、舵板を回転して角度を調整することにより、船舶の進路方向を定めている。従来のラダー構造は、前記したように、舵板が艇体上下方向を中心にのみ回転可能である。従って、舵板は常に艇体に対して垂直状態(艇体上下方向)に維持されるので、艇体が水平方向に対して傾いたときは、舵板も傾くことになる。しかしながら、舵板が傾くと、ラダーの操舵能力が減少し、船舶を所望の方向に進行させることが非常に難しかった。
特開平8−40373号公報
そこで、本考案が解決しようとする課題は、舵板の傾きを調整可能な船舶のラダー構造を提供することにある。
本発明に係る船舶のラダー構造は、艇体の船尾側下方に設けられ、舵操作を行うためのラダー構造であって、舵板に、艇体上下方向に延びる回転可能な第一舵軸と、艇体前後方向に延びる回転可能な第二舵軸とを取り付けてなり、第一舵軸及び第二舵軸を回転することにより、舵板を艇体上下方向及び艇体前後方向を中心として角度調整可能である。
好ましくは、第二舵軸を回転駆動する手段と、この回転駆動手段の駆動を制御するための制御部と、この制御部に接続され、艇体の傾きを検知する手段とを備え、この検知手段の検知信号に応じて、制御部が、回転駆動手段を駆動して第二舵軸を回転する。
更に好ましくは、制御部は、舵板が略垂直状態に維持されるよう、回転駆動手段を駆動する。
更に好ましくは、回転駆動手段がサーボ機構からなる。
前記したように、本考案に係るラダー構造は、舵板が、第二舵軸を介して艇体前後方向を中心に角度調整可能になっている。これにより、艇体が傾いたときでも、舵板を垂直状態に維持することができるので、ラダーの操舵能力を一定に保つことができる。従って、艇体が傾いても、容易に船舶の進行方向を定めることが可能である。
更に、ラダー構造が、回転駆動手段、制御部及び検知手段を備えることにより、艇体の傾きに応じて、ラダーの操舵能力を保つよう、舵板の角度を調節することができる。特に、制御部によって、舵板を常に垂直状態に維持することにより、熟練した操縦者でなくとも、船舶を容易に操舵することができるようになる。
以下、図面に基づいて、本考案に係る船舶のラダー構造について詳細に説明する。
図1は、船舶全体を示しており、(a)は側面図、(b)は背面図である。図2は、ラダー構造を示す一部拡大背面図である。図3は、ラダー構造を示す一部拡大側面図である。図4は、水平センサを説明するための概略図である。
図1に示す通り、ヨット等の船舶の艇体7は、F.R.P.(強化繊維プラスチック)や木製等が一般的であり、この実施形態ではFRPで構成されている。艇体7は、船尾側にラダー1が設置されている。ラダー7で操舵することにより、船舶の進路方向を定める。艇体7の中央部には、船底にバラストキール70が設けられ、船上に艇体上下方向(艇体に対する上下方向)7aに延びるマスト73が立設されている。
図1(a)に示すように、マスト73は、基部よりやや上に、艇体前後方向(艇体に対する船首から船尾の方向)7bに延びるブーム74が設けられている。ブーム74は、回転自在に取り付けられている。メインセール71は、マスト73とブーム74によって張られている。72はジブセールである。75はメインシートである。
図1(b)に示すように、艇体7は、波風が発生したとき、その揺れにより、地表面における水平方向H及び垂直方向Vに対して、傾きが生じる。これにより、艇体7は、艇体上下方向7aが垂直方向Vに対して(又、艇体幅方向7cが水平方向Hに対して)、角度θだけ傾斜する。従来では、艇体7が角度θ傾斜した場合、ラダー1も傾斜して、ラダー1の操舵能力が低下していた。
本考案のラダー1は、艇体7が傾いたときでも、操舵能力が低下しないように次のように構成されている。図2及び図3に示すように、ラダー1は、艇体7の底部よりも下方に突出する、舵板10を備えている。舵板10は、そのプレート面が艇体上下方向7aに延びるように配置されている。舵板10は、艇体上下方向7aに延設する第一舵軸2が取り付けられている。第一舵軸2は、艇体7に設けられたベアリング2a,2aによって、その軸方向に回転自在になっている。尚、第一舵軸2は、後述するように、第二舵軸3を中心に回転するので、この回転に従動するよう、ベアリング2a,2aは、レール部材等(図示略)にそって移動可能になっている。
そして、第一舵軸2は、その上端に、艇体前後方向に延設する操舵レバー20が設けられている。この操舵レバー20を操作することにより、第一舵軸2の軸方向を中心に、舵板10を回転して角度調整できるようになっている。この舵板10の角度を調節することによって、船舶の進行方向を定めるように操舵する。
更に、ラダー1は、艇体前後方向7bに延びる第二舵軸3を備えている(図3)。第二舵軸3は、第一舵軸2の中央部よりやや下に取り付けられている。第二舵軸3は、艇体7に設けられたベアリング3a,3aによって、その軸方向に回転自在になっている(図3)。従って、第二舵軸3を回転することにより、第一舵軸2及び舵板10が回転するようになっている(図2)。第二舵軸3は、船首側に回転レバー30が設けられている。回転レバー30は、艇体上下方向7aに延設されている。
回転レバー30は、その上端に、艇体幅方向7cに延びる連結アーム31が取り付けられている。(尚、図3では、連結アーム31は艇体前後方向7bに延びているが、これは理解し易いように模式的に描かれているだけである。)連結アーム31は、その一端側が、回転レバー30に設けられた軸30aを介して、艇体前後方向7bを中心に回転可能に構成されている。連結アーム31は、その他端にラック32が設けられている。
ラック32は、艇体7に設けられたピニオン40に係合している。そして、ピニオン40の正逆回動により、ラック32を介して連結アーム31が、艇体幅方向7cに左右に移動するようになっている。この連結アーム31の移動に連動して、回転レバー30が操作され、これにより、第二舵軸3が回転し、第一舵軸2及び舵板10が第二舵軸3を中心に回動するようになっている。その際、連結アーム31は左右(7c)及び上下(7a)に移動するので、ラック32に、伸縮可能なロッド33及びピストン34が設けられており、ピストン34が軸34aを中心に回動するようになっている。
連結アーム32が艇体幅方向7cに沿って左右に移動することにより、第一舵軸2が第二舵軸3を中心に回動し、これにより、舵板10の傾きを調節することができる。
ピニオン40は、サーボモータ4によって正逆回転するように構成されている。サーボモータ4は、制御部5に接続されている。制御部5は、艇体7に装備された水平センサ6に接続されている。水平センサ6は、艇体7の傾斜角度θ(図1(b))を検知する。そして、水平センサ6からの傾斜角度θの検知信号に基づいて、制御部5がサーボモータ4の正逆回転をコントロールする。これにより、舵板10は、常に垂直Vになるようにコントロールされ、ラダー1の操舵能力が低下しないように構成されている。尚、連結アーム31の移動は、サーボモータ式に限らず、アクチュエーター式等、サーボ機構であればよい。
例えば水平センサ6は、図4に示す通り、半球状容器60を備えている。半球状容器60は、艇体7に固定されている。半球状容器60は、内部に導電性液体61(例えば水銀)が収納されている。半球状容器60は、導電性液体61の表面付近に複数の電極62,62が設けられている。各電極62,62は、艇体幅方向7cに対向して設けられている。更に、半球状容器60の側部にも電極62’が設けられており、この電極62’は接地されている。
従って、艇体7が水平状態Hにあるとき、液体61は各電極62のいずれにも接触しない。艇体7が艇体幅方向7cに傾斜すると、液体61は電極62に接触し、接触した電極62の個数に応じて、導電性液体61を通じて接地電位が生じる。この電位に応じて、制御部5は、艇体7の傾き角度θを検知するようになっている。尚、水平センサ6は、上記形態に限らず、公知のセンサであれば特に限定されない。
尚、上記した実施形態では、舵板10の角度調整をサーボ機構等により自動コントロールしているが、例えば連結アーム31等を手動で移動させることにより、舵板10の角度を垂直V等に調節してもよい。
船舶全体を示しており、(a)は側面図、(b)は背面図である。 ラダー構造を示す一部拡大背面図である。 ラダー構造を示す一部拡大側面図である。 水平センサを説明するための概略図である。
符号の説明
1 ラダー構造
2 第一舵軸
3 第二舵軸
4 回転駆動手段(サーボモータ)
5 制御部
6 検知手段(水平センサ)
7 艇体
10 舵板
7a 艇体上下方向
7b 艇体前後方向

Claims (4)

  1. 艇体(7)の船尾側下方に設けられ、舵操作を行うための船舶のラダー構造(1)であって、舵板(10)に、艇体上下方向(7a)に延びる回転可能な第一舵軸(2)と、艇体前後方向(7b)に延びる回転可能な第二舵軸(3)とを取り付けてなり、前記第一舵軸(2)及び前記第二舵軸(3)を回転することにより、前記舵板(10)を前記艇体上下方向(7a)及び前記艇体前後方向(7b)を中心として角度調整可能とすることを特徴とする船舶のラダー構造。
  2. 前記第二舵軸(3)を回転駆動する手段(4)と、この回転駆動手段(4)の駆動を制御するための制御部(5)と、この制御部(5)に接続され、艇体(7)の傾きを検知する手段(6)とを備え、この検知手段(6)の検知信号に応じて、前記制御部(5)が、前記回転駆動手段(4)を駆動して前記第二舵軸(3)を回転することを特徴とする請求項1に記載の船舶のラダー構造。
  3. 前記制御部(5)は、前記舵板(10)が略垂直状態(V)に維持されるよう、前記回転駆動手段(4)を駆動することを特徴とする請求項2に記載の船舶のラダー構造。
  4. 前記回転駆動手段(4)がサーボ機構からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の船舶のラダー構造。
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