JPH10216406A - 消泡剤組成物及び消泡方法 - Google Patents

消泡剤組成物及び消泡方法

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JPH10216406A
JPH10216406A JP2290997A JP2290997A JPH10216406A JP H10216406 A JPH10216406 A JP H10216406A JP 2290997 A JP2290997 A JP 2290997A JP 2290997 A JP2290997 A JP 2290997A JP H10216406 A JPH10216406 A JP H10216406A
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JP
Japan
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polyether
polypropylene glycol
defoaming
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JP2290997A
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English (en)
Inventor
Keisuke Fukumoto
圭祐 福本
Keiji Kita
啓二 喜多
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Katayama Chemical Inc
Original Assignee
Katayama Chemical Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ポリエーテル系消泡剤とポリプロピレン
グリコールとを含有する消泡剤組成物及びそれを用いた
消泡方法を提供する。 【効果】 ポリプロピレングリコールの水に対する乳化
分散性が著しく向上し、ポリエーテル系消泡剤とポリプ
ロピレングリコールとが相乗的に作用して消泡効力が増
強する。このため、ポリエーテル系消泡剤の添加量を低
減することができ、ポリエーテル系消泡剤の添加により
生じる、排水規制の対象であるCOD成分やn−ヘキサ
ン抽出物等の増加を抑制することができる。従って、こ
の発明の消泡剤組成物は、各種排水系又は各種工業分野
におけるプロセス水系等で発生する有害な発泡に対して
使用することができる。特にこの発明の消泡剤組成物
は、下水処理等の排水処理工程における消泡に非常に有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、消泡剤組成物及
びそれを用いた消泡方法に関する。更に詳しくは、この
発明は、各種排水系又は各種工業分野におけるプロセス
水系等で発生する有害な発泡に対して使用される、ポリ
エーテル系消泡剤とポリプロピレングリコールとを含有
する消泡剤組成物及びそれを用いた消泡方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】各種排
水系及び各種工業分野におけるプロセス水系等における
発泡現象は、様々な弊害をもたらす。例えば、下水処理
場のばっ気槽においては、生分解性の良好な洗剤の導入
によりかなり減少したとはいえども、未だ重質、褐色か
つ高粘性の泡沫が発生している。この泡沫は、ばっ気槽
の表面を覆い厚いスカムとなり、最終沈殿池へ流れ込み
悪臭の原因となる。更には、排水へ流出して懸濁物質
(SS)及び有機物の濃度を増大させる原因となる。
【0003】また、製紙・パルプ工業においては、パル
プ化工程、漂白工程、抄紙工程、サイズプレス工程、コ
ーティング工程、排水処理工程等のパルプ化、製紙及び
加工工程全般にわたって発泡トラブルが発生している。
この発泡は、操業に悪影響を及ぼし、ひいては製品の品
質低下の原因となる。更に、繊維工業においては、洗浄
工程、精錬工程、染色工程、仕上工程、排水処理工程等
の各種工程全般にわたり、洗浄剤、浸透剤、分散剤、均
染剤、染料溶解剤、帯電防止剤、柔軟剤等に使用される
界面活性剤に起因して、各種発泡トラブルが発生してい
る。
【0004】更にまた、塗料工業においては、塗料の製
造時に、撹拌や顔料分散等によって泡が塗料中に入る
と、塗料に配合されている顔料湿潤剤や分散剤等の界面
活性剤が泡の安定剤となり、泡が塗料の中に細かく分散
する。これが塗装後、塗膜表面や塗膜中に残ると塗膜外
観や塗膜物性を低下させる原因となっている。また、エ
マルション・ラテックスを乳化重合法で製造する場合に
は、乳化剤に起因する発泡トラブルが発生し、製造時の
安定運転を阻害する原因となっている。その他、諸工業
や排水処理工程においても発泡トラブルが多発し、生産
効率や処理効率を阻害する原因となっている。
【0005】そこで、従来より、油脂類、高級アルコー
ル類、金属石鹸やシリコーンオイル、疎水性シリカ・シ
リコーンコンパウンド、変成シリコーン等のシリコーン
系消泡剤、ポリグリコール等のポリエーテル系消泡剤等
の各種消泡剤が開発され、実際に使用されている。
【0006】しかしながら、上記消泡剤のうち、油脂
類、高級アルコール類、金属石鹸やシリコーン系消泡剤
は、水に不溶性又は難溶性であるため、製紙工業ではワ
イヤーの汚れや紙へのスポットむらが生じるという欠点
を有する。また、繊維工業では繊維への付着による障
害、塗料工業では、塗布面でのピンホール又はオイルス
ポットの発生等の障害、エマルション工業では、ハジキ
現象の原因となっている。また、シリコーン系消泡剤
は、消泡しようとする発泡液の種類や量、温度、pH等
の変動により、乳化破壊による効力低下を生じる欠点も
ある。
【0007】一方、ポリエーテル系消泡剤は、脂肪酸や
高級アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオ
キサイド等を反応させたものを主成分としたHLB(親
水性親油性バランス)の低い界面活性剤であり、原液の
外観は油状であるが、水に添加すると白濁(エマルショ
ン分散=自己乳化)するタイプの消泡剤である。この消
泡剤は前記のようなオイルスポット等の障害の原因とな
らないが、シリコーン系消泡剤に比較して、使用量が多
くなるという欠点を有する。このため排水規制の対象で
あるCOD成分やn-ヘキサン抽出物等の増加の原因とな
ることを防止するため、極力その使用量を低減する必要
があった。
【0008】この発明において、ポリエーテル系消泡剤
と併用するポリプロピレングリコールは、それ自体消泡
効果を有する有機極性化合物系消泡剤として公知である
〔兵庫経営開発センター出版部発行(昭和58年10月1
日)「泡トラブルと消泡技術」、第 247頁参照〕。しか
しながら、ポリプロピレングリコールは、重量平均分子
量1,200以上では、水に対して不溶性となり、オイ
ルスポット等の原因につながるという欠点を有してい
た。また、ポリプロピレングリコールを単独で使用した
場合には有効な消泡効果が得られないという欠点も有し
ていた。
【0009】一方、特公昭50−1475号公報等に
は、ポリプロピレングリコールに水に難溶性のオキシエ
チレン及びオキシプロピレンを付加重合したブロック型
付加重合体、並びに平均粒子径100μm以下の無水珪
酸微粒子とを有効成分とする消泡剤組成物が開示されて
いる。しかしながら、ポリプロピレングリコールとポリ
エーテル系消泡剤との組合せは知られていない。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、かかる現状
と認識に鑑み、ポリエーテル系消泡剤とポリプロピレン
グリコールとを併用することにより、相乗効果でその消
泡効力が増強されることを意外にも見出し、この発明を
完成させるに至った。
【0011】かくして、この発明によれば、ポリエーテ
ル系消泡剤とポリプロピレングリコールとを含有する消
泡剤組成物が提供される。
【0012】また、この発明によれば、消泡対象系に、
上記のポリエーテル系消泡剤とポリプロピレングリコー
ルとを含有する消泡剤組成物を、合計濃度として0.1
〜5000mg/リットルとなるように各成分を同時に
又は別々に添加することを特徴とする消泡方法が提供さ
れる。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明に用いることができるポ
リエーテル系消泡剤としては、例えば、下記一般式
(I)〜(III)で表されるものが挙げられる。また、こ
れらのポリエーテル系消泡剤は、公知の化合物であり、
消泡剤として上市されている市販品を用いることができ
る。
【0014】一般式(I)は、 R1 O−(AO)n (EO)m −CO−R (I) 〔式中、AOはオキシプロピレン基又はオキシテトラメ
チレン基、EOはオキシエチレン基、R1 は炭素数12
〜22のアルキル基又はアルケニル基、若しくは炭素数
11〜21のアルキルカルボニル基又はアルケニルカル
ボニル基、Rは炭素数11〜21のアルキル基又はアル
ケニル基、nは2〜50の整数、mは2〜15の整数、
但し、式中のオキシプロピレン基又はオキシテトラメチ
レン基、オキシエチレン基はランダム状又はブロック状
に付加し、配列は(EO)−(AO)−(EO)、(A
O)−(EO)−(AO)、(EO)−(AO)、又は
(AO)−(EO)〕で表される。この化合物は、脂肪
酸や高級アルコールに、エチレンオキサイド及びプロピ
レンオキサイド又はブチレンオキサイドを反応させるこ
とにより得られ、エステルタイプと呼ばれる。
【0015】一般式(II)は、 HO−(AO)n"(EO)m"−H (II) 〔式中、AO及びEOは一般式(I)と同義、n”は1
6〜66、m”は2〜40の整数、但し、式中のオキシ
プロピレン基又はオキシテトラメチレン基、オキシエチ
レン基はランダム状又はブロック状に付加し、その配列
は(EO)−(AO)−(EO)、(AO)−(EO)
−(AO)、(EO)−(AO)、又は(AO)−(E
O)〕で表される。この化合物は、ポリオキシプロピレ
ン基とポリオキシエチレン基とのブロック共重合体であ
り、プルロニックタイプと呼ばれる。また、一般式(I
I)で表される化合物は、HLB(親水性親油性バラン
ス)の低い界面活性剤である。
【0016】一般式(III)は、 R2 O−(PO)n'(EO)m'−H (III) 〔式中、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチ
レン基、R2 は、ノニルフェニル基又はオクチルフェニ
ル基、炭素数12〜22のアルキル基又はアルケニル
基、n’は10〜40の整数、m’は2〜20の整数、
但し、式中のオキシプロピレン基、オキシエチレン基は
ランダム状又はブロック状に付加し、その配列は(E
O)−(PO)又は(PO)−(EO)〕で表され、エ
ーテルタイプと呼ばれる。
【0017】一般式(I)において、置換基R1 の「炭
素数12〜22のアルキル基」としては、例えば、ドデ
シル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキ
サデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、
イコシル、ヘニコシル等の直鎖状アルキル基;メチルド
デシル、メチルトリデシル、メチルテトラデシル、メチ
ルペンタデシル、メチルヘキサデシル、メチルヘプタデ
シル、メチルオクタデシル、メチルノナデシル、メチル
イコシル;ジメチルドデシル、ジメチルトリデシル、ジ
メチルテトラデシル、ジメチルペンタデシル、ジメチル
ヘキサデシル、ジメチルヘプタデシル、ジメチルオクタ
デシル、ジメチルノナデシル;エチルドデシル、エチル
トリデシル、エチルテトラデシル、エチルペンタデシ
ル、エチルヘキサデシル、エチルヘプタデシル、エチル
オクタデシル、エチルノナデシルの分枝状アルキル基が
挙げられる。
【0018】また、置換基R1 の「炭素数12〜22の
アルケニル基」としては、例えば、ドデケニル、トリデ
ケニル、テトラデケニル、ペンタデケニル、ヘキサデケ
ニル、ヘプタデケニル、オクタデケニル、ノナデケニ
ル、イコケニル、ヘニコケニル等の直鎖状アルケニル
基;メチルドデケニル、メチルトリデケニル、メチルテ
トラデケニル、メチルペンタデケニル、メチルヘキサデ
ケニル、メチルヘプタデケニル、メチルオクタデケニ
ル、メチルノナデケニル、メチルイコケニル;ジメチル
ドデケニル、ジメチルトリデケニル、ジメチルテトラデ
ケニル、ジメチルペンタデケニル、ジメチルヘキサデケ
ニル、ジメチルヘプタデケニル、ジメチルオクタデケニ
ル、ジメチルノナデケニル;エチルドデケニル、エチル
トリデケニル、エチルテトラデケニル、エチルペンタデ
ケニル、エチルヘキサデケニル、エチルヘプタデケニ
ル、エチルオクタデケニル、エチルノナデケニルの分枝
状アルケニル基が挙げられる。
【0019】更に、置換基R1 の「炭素数11〜21の
アルキルカルボニル基」としては、例えば、ウンデカノ
イル、ドデカノイル(ラウロイル)、トリデカノイル、
テトラデカノイル(ミリストイル)、ペンタデカノイ
ル、ヘキサデカノイル(パルミトイル)、ヘプタデカノ
イル、オクタデカノイル(ステアロイル)、ノナデカノ
イル、イコサノイル、ヘニコサノイル等が挙げられる。
更にまた、置換基R1 の「炭素数11〜21のアルケニ
ルカルボニル基」としては、例えば、ウンデケノイル、
ドデケノイル、トリデケノイル、テトラデケノイル、ペ
ンタデケノイル、ヘキサデケノイル、ヘプタデケノイ
ル、オクタデケノイル(例えば、オレオイル)、ノナデ
ケノイル、イコセノイル、ヘニコセノイル等が挙げられ
る。中でも、置換基R1 としては、ステアロイル及びオ
レオイルが好ましい。
【0020】また、置換基Rの「炭素数11〜21のア
ルキル基又はアルケニル基」としては、前記「炭素数1
2〜21のアルキル基又はアルケニル基」に、例えば、
ウンデシル、メチルデシル、ジメチルノニル、エチルノ
ニル等を加えたものが挙げられ、中でも、ヘプタデシル
及びヘプタデケニルが好ましい。
【0021】上記ポリエーテル系消泡剤の中で、消泡効
果の点において、一般式(I)及び(II)で表されるエ
ステルタイプ及びプルロニックタイプが好ましい。更に
は、一般式(I)のエステルタイプとして下記一般式
(IV)及び(V)で表される化合物、或いは一般式(I
I)のプルロニックタイプとして一般式(VI)で表され
る化合物を用いるのがより好ましい。
【0022】一般式(IV)は、 S−O−(EO)−(PO)−(EO)−S (IV) (式中、Sはステアロイル基、POはオキシプロピレン
基、EOはオキシエチレン基、PO:EO=30モル:
10モル)で表され、そのエステル価は1.4である。
また、一般式(V)は、 L−O−(PO)−(EO)−(PO)−L (V) (式中、Lはオレオイル基、PO及びEOは一般式(I
V)と同義、PO:EO=29.3モル:6.8モル)
で表され、そのエステル価は2.0である。更に、一般
式(V)は、 H−O−(EO)−(PO)−(EO)−H (VI) (式中、PO及びEOは一般式(IV)と同義、PO:E
O=56モル:12.5モル)で表される。
【0023】一方、この発明の用いることができるポリ
プロピレングリコールとしては、消泡剤として上市され
ている市販品をいずれも用いることができる。しかしな
がら、前記ポリエーテル系消泡剤との併用による消泡効
力増強効果の点において、ポリプロピレングリコール
は、重量平均分子量2,500〜5,000、より好ま
しくは2,500〜3,500である。重量平均分子量
が2,500未満、或いは5,000より大きい場合、
ポリエーテル系消泡剤との併用による相乗効果が得られ
ず好ましくない。ここで、重量平均分子量は、ポリプロ
ピレングリコール(重量平均分子量:800、1,20
0、2,000、4,000)を標準としたGPC(ゲ
ル浸透クロマトグラフィー)で得られる分子量分布より
求められる。
【0024】この発明の消泡剤組成物において、ポリエ
ーテル系消泡剤とポリプロピレングリコールとの併用割
合は、ポリプロピレングリコールがポリエーテル系消泡
剤1重量部に対して0.1〜10重量部である。ポリプ
ロピレングリコールが0.1重量部未満の場合、ポリエ
ーテル系消泡剤との併用による相乗効果が得られず好ま
しくない。また、ポリプロピレングリコールが10重量
部より多い場合、更なる相乗的な消泡効果が期待できず
好ましくない。
【0025】また、前記併用割合の好ましい範囲は、消
泡対象系によっても異なる。消泡対象系が下水処理等の
排水処理工程の場合、ポリプロピレングリコールは、ポ
リエーテル系消泡剤1重量部に対して3〜10重量部と
するのが更に好ましい。また、消泡対象系が製紙・パル
プ工業における抄紙工程、各種工業分野におけるプロセ
ス水系等の場合、ポリプロピレングリコールは、ポリエ
ーテル系消泡剤1重量部に対して0.1〜1重量部とす
るのが更に好ましい。
【0026】この発明の消泡剤組成物は、前記ポリエー
テル系消泡剤にポリプロピレングリコールを混合するこ
とにより得られる。このようにして得られたこの発明の
消泡剤組成物は、長期保存時の製剤安定性が優れるとと
もに、少量の配合で優れた消泡効果を発揮する。
【0027】なお、この発明の消泡剤組成物は、ポリエ
ーテル系消泡剤とポリプロピレングリコールの他に、シ
リコーン系消泡剤、高級脂肪酸金属石鹸、油脂やパラフ
ィン等のワックス類等の公知の消泡剤成分やその助剤を
適宜併用することができる。
【0028】この発明の消泡剤組成物の添加により消泡
効果の得られる消泡対象系としては、 下水処理等の排水処理工程 製紙・パルプ工業における抄紙工程、サイズプレス工
程、コーティング工程、排水処理工程などのパルプ化、
製紙及び加工工程全般 繊維工業における洗浄工程、精錬工程、染色工程、仕
上工程、排水処理工程等各種工程全般 塗料やエマルション・ラテックスの製造工程、製品の
保管・輸送工程 その他諸工業の工程及びそれらの各種排水処理工程が
挙げられる。
【0029】この発明の消泡剤組成物の消泡対象系に対
する有効添加量としては、対象系の温度、pH、発泡物
質量等により適宜決定することができる。一般に消泡剤
組成物の添加量は、0.1〜5000mg/リットル、
好ましくは1〜1000mg/リットルである。特にp
Hが低い対象系においては、消泡効力が低下する傾向に
あり、上記範囲内で増量するのが望ましい。しかしなが
ら、どのような状況においても5000mg/リットル
までの添加量で十分であり、それ以上の添加は環境汚染
上もまた経済上も好ましくない。
【0030】従って、この発明によれば、消泡対象系
に、上記のポリエーテル系消泡剤とポリプロピレングリ
コールとを含有する消泡剤組成物を、合計濃度として
0.1〜5000mg/リットルとなるように各成分を
同時に又は別々に添加することを特徴とする消泡方法が
提供される。
【0031】この発明の消泡剤組成物は、前記ポリエー
テル系消泡剤とポリプロピレングリコールとを混合する
ことにより容易に製剤化される。従って、この発明の方
法においては、同一製剤として用いるのが簡便である
が、各成分を別々に添加しても差し支えない。
【0032】この発明の消泡剤組成物は、ポリエーテル
系消泡剤とポリプロピレングリコールとの併用により、
ポリプロピレングリコールの水に対する自己乳化性が向
上しする。これにより、塗料工業における塗布面でのオ
イルスポット等の障害を排除することができる。また、
この発明の消泡剤組成物の消泡作用は、ポリプロピレン
グリコール自体が有する消泡作用とは別の、ポリエーテ
ル系消泡剤との併用による相乗効果であると考えられ
る。この発明の消泡剤組成物は、ポリプロピレングリコ
ールがポリエーテル系消泡剤の親水基と疎水基に何らか
の影響を及ぼしているものと考えられる。即ち、ポリエ
ーテル系消泡剤の水面上での拡散が増強され、またポリ
エーテル系消泡剤の水中における不均一性の増長により
泡膜が一層不安定化されるため、強い破泡効果と抑泡効
果を発揮するものと考えられる。
【0033】
【実施例】以下、この発明を製剤、比較製剤を用いた試
験例により説明するが、これによりこの発明の範囲を限
定するものではない。
【0034】(消泡剤組成物の調製)エステルタイプの
ポリエーテル系消泡剤2種及びプルロニックタイプのポ
リエーテル系消泡剤1種のいずれかに、ポリプロピレン
グリコールを撹拌下、下記の配合比で混合して消泡剤組
成物を調製した。なお、使用したポリエーテル系消泡剤
は下記式で表される。 ・ポリエーテル系消泡剤 No.1(エステルタイプ:エス
テル価1.4) S−O−(EO)−(PO)−(EO)−S (式中、Sはステアロイル基、POはオキシプロピレン
基、EOはオキシエチレン基、PO:EO=30モル:
10モル) ・ポリエーテル系消泡剤 No.2(エステルタイプ:エス
テル価2.0) L−O−(PO)−(EO)−(PO)−L (式中、Lはオレオイル基、POはオキシプロピレン
基、EOはオキシエチレン基、PO:EO=29.3モ
ル:6.8モル) ・ポリエーテル系消泡剤 No.3(プルロニックタイプ) H−O−(EO)−(PO)−(EO)−H (式中、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチ
レン基、PO:EO=56モル:12.5モル)
【0035】この発明による消泡剤組成物を製剤とし
て、それぞれの配合比を示す。また、前記製剤の有効成
分を単独で用いる場合を比較製剤として示す。 製剤1 ポリエーテル系消泡剤 No.1 15重量部 PPG3000 85重量部 製剤2 ポリエーテル系消泡剤 No.1 20重量部 PPG3000 80重量部 製剤3 ポリエーテル系消泡剤 No.1 80重量部 PPG3000 20重量部 製剤4 ポリエーテル系消泡剤 No.2 50重量部 PPG3000 50重量部 製剤5 ポリエーテル系消泡剤 No.2 80重量部 PPG3000 20重量部 製剤6 ポリエーテル系消泡剤 No.3 20重量部 PPG3000 80重量部 製剤7 ポリエーテル系消泡剤 No.3 50重量部 PPG3000 50重量部 製剤8 ポリエーテル系消泡剤 No.3 80重量部 PPG3000 20重量部
【0036】 比較製剤1 ポリエーテル系消泡剤 No.1 100重量部 比較製剤2 ポリエーテル系消泡剤 No.2 100重量部 比較製剤3 ポリエーテル系消泡剤 No.3 100重量部 比較製剤4 PPG3000 100重量部 ここで、略号:PPG3000はポリプロピレングリコ
ール(重量平均分子量3,000)を示す。
【0037】試験例1〔し尿処理排水の消泡効果確認試
験〕 (試験方法)某し尿処理場ばっ気槽より採取した試料水
200ミリリットルを液温30℃に調整し、図1の試験
装置を用いてこの発明の消泡剤組成物である製剤、及び
比較製剤の消泡効果確認試験を実施した。また、無添加
の条件についても同様に試験を実施した。
【0038】即ち、液温30℃の試料水(1)200ミ
リリットルを容量500ミリリットルのメスシリンダー
(3)に投入し、フローメーター(4)により通気量が
1リットル/分になるように予め調整したエアーポンプ
(5)(テクノ高槻社製:SPP−15GA)を連結し
たエアーストーン(2)(ナショナル社製:BH−46
5)を投入した。なお、各器具の連結にはゴム管(6)
を用いた。次いで、試料水の泡立ちが、静水状態を基準
として12cmになったところで、供試薬剤2.5mg
/リットル(2.5ppm)を添加して、経時的に泡立
ちを測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1より、ポリエーテル系消泡剤とポリプ
ロピレングリコールとを含有するこの発明の消泡剤組成
物(製剤1〜3)は、前記製剤の有効成分を単独で用い
る場合(比較製剤1、4)と比較して、消泡効果が優れ
ていることがわかる。
【0041】試験例2〔ボード抄造工程水の消泡効果確
認試験〕 (試験方法)試料水に某製紙工場のボード抄造工程より
採取した脱水循環水を用い、供試薬剤を5.0mg/リ
ットル(5ppm)添加する以外は、試験例1と同様に
して消泡効果確認試験を実施した。その結果を表2及び
図2、3に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2及び図2、3より、ポリエーテル系消
泡剤とポリプロピレングリコールとを含有するこの発明
の消泡剤組成物(製剤4〜8)は、前記製剤の有効成分
を単独で用いる場合(比較製剤2〜4)と比較して、消
泡効果が優れていることがわかる。
【0044】
【発明の効果】この発明の消泡剤組成物は、ポリエーテ
ル系消泡剤とポリプロピレングリコールとを含有するの
で、ポリプロピレングリコールの水に対する乳化分散性
が著しく向上し、ポリエーテル系消泡剤とポリプロピレ
ングリコールとが相乗的に作用して消泡効力が増強す
る。このため、ポリエーテル系消泡剤の添加量を低減す
ることができ、ポリエーテル系消泡剤の添加により生じ
る、排水規制の対象であるCOD成分やn−ヘキサン抽
出物等の増加を抑制することができる。従って、この発
明の消泡剤組成物は、各種排水系又は各種工業分野にお
けるプロセス水系等で発生する有害な発泡に対して使用
することができる。特にこの発明の消泡剤組成物は、下
水処理等の排水処理工程における消泡に非常に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の消泡剤組成物の消泡効果を確認する
ための試験装置の概略図である。
【図2】この発明の消泡剤組成物の消泡効果を示す図で
ある。
【図3】この発明の消泡剤組成物の消泡効果を示す図で
ある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエーテル系消泡剤とポリプロピレン
    グリコールとを含有する消泡剤組成物。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレングリコールが、重量平均
    分子量2,500〜5,000である請求項1記載の消
    泡剤組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエーテル系消泡剤が、一般式
    (I): R1 O−(AO)n (EO)m −CO−R (I) 〔式中、AOはオキシプロピレン基又はオキシテトラメ
    チレン基、EOはオキシエチレン基、R1 は炭素数12
    〜22のアルキル基又はアルケニル基、若しくは炭素数
    11〜21のアルキルカルボニル基又はアルケニルカル
    ボニル基、Rは炭素数11〜21のアルキル基又はアル
    ケニル基、nは2〜50の整数、mは2〜15の整数、
    但し、式中のオキシプロピレン基又はオキシテトラメチ
    レン基、オキシエチレン基はランダム状又はブロック状
    に付加し、配列は(EO)−(AO)−(EO)、(A
    O)−(EO)−(AO)、(EO)−(AO)、又は
    (AO)−(EO)〕で表されるエステルタイプ、又は
    一般式(II): HO−(AO)n"(EO)m"−H (II) 〔式中、AO及びEOは一般式(I)と同義、n”は1
    6〜66、m”は2〜40の整数、但し、式中のオキシ
    プロピレン基又はオキシテトラメチレン基、オキシエチ
    レン基はランダム状又はブロック状に付加し、その配列
    は(EO)−(AO)−(EO)、(AO)−(EO)
    −(AO)、(EO)−(AO)、又は(AO)−(E
    O)〕で表されるプルロニックタイプである請求項1又
    は2記載の消泡剤組成物。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレングリコールが、ポリエー
    テル系消泡剤1重量部に対して0.1〜10重量部であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の消泡剤組成物。
  5. 【請求項5】 消泡対象系に、請求項1〜4のいずれか
    に記載のポリエーテル系消泡剤とポリプロピレングリコ
    ールとを含有する消泡剤組成物を、合計濃度として0.
    1〜5000mg/リットルとなるように各成分を同時
    に又は別々に添加することを特徴とする消泡方法。
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