JPH10216155A - 義歯を維持安定させるための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 患者にとって、健全な歯を削らずに、異物感
が少なく、審美性が良く、しかも歯周組織に負担が少な
い義歯を提供することを目的とした維持装置で、さらに
歯科技工士にとって、技術的に容易に製作できる維持装
置を提供することを目的とする。 【構成】 頬（唇）側と舌側に各々製作したアームを開
閉式にし、バネによって把持力を持たせ維持歯を把持す
る。さらに開いた状態で固定させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は義歯の維持装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、義歯を口腔内で維持安定させる装
置には、鉤またはテレスコープシステムの維持装置があ
る。

【０００３】鉤を用いた義歯では、金属の弾性を利用し
たり、鉤の上腕によって横揺れと沈下を防止し、下腕に
よって義歯の離脱に抵抗し維持力をもたせていた。

【０００４】テレスコープシステムにおいては、歯を削
り鋳造冠にし、凹状溝を設け、その溝に合う凸状のもの
をスライドさせる構造で義歯を維持させていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の鉤
の維持装置は、歯面との摩擦抵抗や金属の弾性を利用し
て維持を求めていたが、着脱に力が必要になり歯周組織
への負担が増す。

【０００６】また金属鉤の弾性には限度があり、補綴歯
に近接する維持装置だけで安定性に乏しい場合は装置を
増やし、そのためますます義歯は大きくなり異物感を増
す。

【０００７】維持歯と固着していないので咀嚼能力に劣
る。

【０００８】金属鉤の弾性が弱まると義歯の安定が劣
り、歯牙を動揺させ歯周組織を痛めやすく、また維持歯
と鉤腕の隙間に食物が残留しやすくなりカリエスを誘発
しやすいなどの為害作用が出てくる。

【０００９】さらに鉤腕が長いため外観に触れると審美
性が阻害される。

【００１０】テレスコープシステムの維持装置は金属で
製作した凹面と凸面の摩擦抵抗が維持力として働いてい
るので、長期に至ると金属壁の摩耗が起こり維持力が弱
まり破損の原因になる。

【００１１】またテレスコープシステムの維持装置の製
作においては、複雑で精密なため高度な技術や高額な設
備が必要となる。

【００１２】また患者にとってわざわざ健全な歯を削る
場合もあり、高額で負担が大きい。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は歯を削らず維持
力を長期に渡って安定させ、また審美性に優れた義歯の
維持装置を提供するために、バネの力を利用して把持力
をもたせ、開閉し可動する頬（唇）側アームと舌側のア
ームによって、維持歯を把持する維持装置であり、また
口腔内において義歯の着脱を容易にするため、アームを
開いた状態に固定できることを特徴とする維持装置であ
る。

【００１４】

【作用】この維持装置はバネの力を利用し、頬（唇）側
アームと舌側アームに把持力を持たせ維持歯を押さえる
ので、義歯の維持安定性が向上する。また両アームが開
閉するため着脱が容易である。

【００１５】

【実施例】以下、一例として下顎右側二歯欠損の症例に
ついて図面を参照して説明する。

【００１６】図１は、本発明の維持装置とカバーケース
の分解斜視図である。

【００１７】図２は、頬（唇）側アーム１９と舌側アー
ム２０の製作過程を示す図である。

【００１８】頬（唇）側維持アーム７と舌側維持アーム
８は、患者個々の維持歯に合わせて石膏模型上でワック
スパターンを製作し、合成樹脂か鋳接可能な材質にした
頬（唇）側ボディ２と舌側ボディ４にそれぞれ連結し、
一塊鋳造して金属に置き換える。頬（唇）側維持アーム
７と頬（唇）側ボディ２を連結したものを、頬（唇）側
アーム１９とし、舌側維持アーム８と舌側ボディ４を連
結したものを、舌側アーム２０とする。

【００１９】図３は、できあがった頬（唇）側アーム１
９と舌側アーム２０が開いた状態を表し、人口歯１６や
義歯床１７に埋め込んである様子。

【００２０】心棒１２を中心に頬（唇）側アーム１９
と、舌側アーム２０、ロック捧１３、バネ１４を組み合
わせ、それをカバーケース１０、１１に収め義歯内に埋
め込む。

【００２１】カバーケース１０、１１は制作上容易に義
歯内に埋め込むためと、食物の侵入を防ぐ役目をする。

【００２２】舌側アーム２０とボタン１を指で矢印方向
Ａ、Ｂに押すと頬（唇）側アーム１９、舌側アーム２０
は開き、ロック棒１３が穴５から突出し、矢印方向Ｃに
ずらすと両アーム１９、２０は開いた状態に固定され
る。

【００２３】凸部３は、両アーム１９、２０が閉じてい
る時は凹部６に収まっているが、開くに従い底面９の位
置に移行しそのため両アーム１９、２０を上方向に押し
上げて開かせ、レスト１８を咬頭や隆線に当たるのを防
ぐ役目である。

【００２４】これによって、患者は口腔内より容易に取
り外しができる。

【００２５】装着の際はこれと逆に行えばよい。

【００２６】図４は完成した義歯の舌側面観で、舌側維
持アーム８は機能性を考慮して維持歯をつかむ形態にす
ることもできる。

【００２７】図５は義歯の頬側面観で、外観に触れるた
め頬（唇）側維持アーム７は審美性を考慮し短い形態に
するなど、用途に合わせた形態にするとよい。

【００２８】ボタン１をレジン前装等にすれば白くな
り、より審美性が良い。

【００２９】

【発明の効果】本発明の維持装置は、患者にとって健全
な歯を削る事なく口腔内に維持安定する義歯を提供でき
る。

【００３０】頬（唇）側維持アーム７と舌側維持アーム
８が維持歯に精密に適合させることができ、そのため食
物の侵入を防ぎ不潔になりにくく、異物感も軽減され
る。

【００３１】頬（唇）側維持アーム７を短くすることが
でき、審美性が良好である。

【００３２】アームが開くので、着脱時に歯周組織への
負担が少ない。

【００３３】着脱に際してアームを開いた状態に固定で
きるため、一つの義歯にこの装置を多数使用することも
可能である。

【００３４】バネの力を利用して把持力を持たせるた
め、維持力に優れ、安定性、咀嚼能力が向上する。

【００３５】また制作上テレスコープシステムのように
複雑な技術や工程を要せず、容易に製作することがで
き、高額な機材、設備を要しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の維持装置とカバーケースの分解斜視図

【図２】頬（唇）側アームと舌側アームの製作過程を示
す図

【図３】義歯内部における維持装置を示す図

【図４】完成した義歯の舌側面観

【図５】完成した義歯の頬側面観

【符号の説明】

１ ボタン ２ 頬（唇）側ボディ ３ 凸部 ４ 舌側ボディ ５ 穴 ６ 凹部 ７ 頬（唇）側維持アーム ８ 舌側維持アーム ９ 底面 １０ カバーケース １１ カバーケース １２ 心棒 １３ ロック棒 １４ バネ １５ 維持歯 １６ 人口歯 １７ 義歯床 １８ レスト １９ 頬（唇）側アーム ２０ 舌側アーム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 頬（唇）側アームと舌側アームにバネの
   力を利用して、維持歯を把持し、また義歯の着脱を容易
   にするため二本のアームが開くようにし、さらに開いた
   状態に固定できることを特徴とした維持装置。